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タイトル:特許公報(B2)_クロロメチルスチレンの製造法
出願番号:1999248786
年次:2010
IPC分類:C07C 17/10,C07C 17/383,C07C 22/04,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

野元 栄吾 合戸 広 中村 知之 JP 4474699 特許公報(B2) 20100319 1999248786 19990902 クロロメチルスチレンの製造法 日本軽金属株式会社 000004743 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 小泉 雅裕 100085040 野元 栄吾 合戸 広 中村 知之 20100609 C07C 17/10 20060101AFI20100520BHJP C07C 17/383 20060101ALI20100520BHJP C07C 22/04 20060101ALI20100520BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100520BHJP JPC07C17/10C07C17/383C07C22/04C07B61/00 D C07C 17/10 C07C 17/383 C07C 22/04 特開昭62−138442(JP,A) 米国特許第02780604(US,A) 特開昭59−080624(JP,A) 特開昭49−000230(JP,A) 特開昭60−252435(JP,A) 特開平01−165533(JP,A) 特公昭38−007978(JP,B1) 特開昭52−036630(JP,A) 特開昭54−044621(JP,A) 6 2001072619 20010321 9 20060417 野口 勝彦 【0001】【発明の属する技術分野】 この発明は、イオン交換樹脂、導電性樹脂、酸化還元樹脂、感光性樹脂等の機能性樹脂の製造原料として、更には、水溶性光硬化性エラストマーや水中分散型でポリマー結合タイプの光増感剤等の用途にも有用なクロロメチルスチレンを工業的に有利に製造する方法に係り、特に液相反応により高収率でかつ高純度のクロロメチルスチレンを工業的に製造するのに適したクロロメチルスチレンの製造法に関する。【0002】【従来の技術】従来、この種のクロロメチルスチレン類の製造方法としては、大別して気相法と液相法とが知られている。そして、気相法としては、メチルスチレンを高温下に塩素ガスと接触させてクロロメチルスチレンを製造する方法(米国特許第 2,981,758号明細書)や、p-メチルスチレンを加熱条件下に塩素と反応させ、得られた反応生成物を亜硫酸ソーダ含有水溶液と接触させてp-クロロメチルスチレンを製造する方法(特開昭62-138,442号公報)等が知られている。【0003】しかしながら、これらの気相法は、いずれも400〜600℃という高温条件下での反応が必要になり、反応装置に特殊な材質が要求される等設備費が嵩むほか、エネルギーコストも嵩み、しかも、比較的多量の重合物が副生して満足できる収率が得られず、工業的には必ずしも満足できる方法とはいえない。【0004】また、液相法としては、エチルベンゼンをパラホルムアルデヒドと塩化水素でクロロメチル化し、エチル基のα位を臭素化し、次いでアミン塩基を用いて脱臭化水素してクロロメチルスチレンを製造する方法(米国特許第 3,927,117号明細書)や、フェネチルブロマイドをパラホルムアルデヒドと塩化水素でクロロメチル化し、次いでアルコール溶媒中で水酸化カリウムにより脱臭化水素してクロロメチルスチレンを製造する方法(ヨーロッパ特許第 345,478号明細書)等が知られている。【0005】しかしながら、これらの方法では、クロロメチル化反応においてオルソ置換体とパラ置換体等の工業的には分離困難な置換位置異性体が生成し、また、臭素化に用いる臭素が比較的高価で、しかも、臭素化生成物が催涙性を有して工業的に取扱い難いという問題があり、更に、脱臭化水素反応で多量に副生する臭化カリウム等の臭化塩の処理も工業的には大きな負担になる。【0006】【発明が解決しようとする課題】 そこで、本発明者らは、このような従来の方法における問題点のないクロロメチルスチレンの製造法について鋭意検討した結果、メチルスチレンを原料にし、そのビニル基に塩化水素を付加せしめる塩化水素付加工程、メチル基に塩素を導入するメチル基塩素化工程、及び、このメチル基塩素化工程で得られたα−クロロエチルベンジルクロライドをクロロメチルスチレンの蒸留条件下で加熱脱塩化水素してクロロメチルスチレンを留出せしめる加熱脱塩化水素工程、更に必要により精留工程を採用することにより、操作が比較的簡便な液相法により高純度のクロロメチルスチレンを工業的に容易に高収率で製造できることを見出し、本発明を完成した。【0007】 従って、本発明の目的は、液相法により高純度のクロロメチルスチレンを高収率で製造することができるクロロメチルスチレンの製造法を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明は、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、及びp-メチルスチレンから選ばれた1種又は2種以上の混合物からなるメチルスチレン(以下、「メチルスチレン類」という。)に塩化水素を反応温度0〜100℃の液相条件下で付加させて原料メチルスチレン類由来のα−クロロエチルトルエン(以下、「α−クロロエチルトルエン類」という。)を製造する塩化水素付加工程と、この塩化水素付加工程で得られたα−クロロエチルトルエン類のメチル基を反応温度0〜120℃の液相条件下で、α-クロロエチルトルエンが塩素化されて塩素化物となる割合が30〜80重量%の範囲内になるまで塩素化して原料メチルスチレン類由来のα−クロロエチルベンジルクロライド(以下、「α−クロロエチルベンジルクロライド類」という。)を製造するメチル基塩素化工程と、このメチル基塩素化工程で得られたα-クロロエチルベンジルクロライド類を加熱温度160〜200℃の減圧加熱下に脱塩化水素して原料メチルスチレン類由来のクロロメチルスチレン(以下、「クロロメチルスチレン類」という。)を生成させると共にこの生成したクロロメチルスチレン類を留出せしめる加熱脱塩化水素工程とを含み、加熱脱塩化水素工程の蒸留で回収されるメチルスチレン及びα-クロロエチルトルエンを主成分とする初留分を前記塩化水素付加工程に循環させることを特徴とするクロロメチルスチレンの製造法である。【0009】また、本発明は、加熱脱塩化水素工程で回収され、クロロメチルスチレン類及びα−クロロエチルベンジルクロライド類を主成分とする本留分を、重合防止剤存在下の減圧蒸留により精製する精留工程を有するクロロメチルスチレン類の工業的製造法である。【0010】本発明において、原料として用いるメチルスチレン類としては、ビニル基に対するメチル基の置換位置に応じて、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、及びp-メチルスチレンの異性体が存在し、製造目的であるクロロメチルスチレン類に応じて、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、又はp-メチルスチレン、若しくはこれらの混合物等が用いられる。このうち、特にp-メチルスチレンは、これを用いて製造されるp-クロロメチルスチレンが非イソシアネート系レンズ材料用モノマー、カチオン系イオン交換樹脂、改質的ポリマーの成分(光硬化性エラストマー、光増感剤)等の用途に重要であることから、このp-クロロメチルスチレンを製造する目的でp-メチルスチレンが好適に用いられる。【0011】本発明方法において、メチルスチレン類に塩化水素を付加させてα−クロロエチルトルエン類を製造する塩化水素付加工程は、メチルスチレン類のメチル基に塩素を導入する際におけるビニル基の保護を目的としており、メチルスチレン類に塩化水素ガスを接触させて行ってもよいほか、塩酸を用いて塩化水素付加を行ってもよいが、転化率や後処理の観点から、好ましくは、メチルスチレン類に塩化水素ガスを接触させて行う反応がよい。【0012】この塩化水素ガスを用いる塩化水素付加工程では、好ましくは、例えばトリフェニルホスフィンオキサイド〔(C6H5)3P=O〕、トリブチルホスフィンオキサイド〔[CH3(CH2)3]3P=O 〕等の鉄のマスキング剤の存在下に行うのがよく、このような鉄のマスキング剤の使用により、生成したα−クロロエチルトルエン類のフリーデルクラフツ型縮合物の副生が効果的に抑制され、結果としてα−クロロエチルトルエン類の収率が向上する。【0013】また、この塩化水素ガスを用いる塩化水素付加工程は、通常、反応温度が0〜100℃、好ましくは0〜50℃であり、原料のメチルスチレン類が液体なので無溶媒で反応を行ってもよいほか、塩化水素利用率向上のために四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム等の反応溶媒を用いてもよく、また、塩化水素ガスをそのまま用いてもよいほか、副生物抑制のために窒素等の不活性ガスで希釈して用いてもよい。【0014】上記塩化水素付加工程で得られたα−クロロエチルトルエン類は、次に塩素ガスを用いて行われるメチル基塩素化工程で、そのメチル基に塩素が導入され、α−クロロエチルベンジルクロライド類が製造される。このα−クロロエチルトルエン類のメチル基の塩素化反応は、紫外線照射下に、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等のラジカル反応開始剤存在下に、若しくは、これらラジカル反応開始剤存在下及び紫外線照射下に、反応剤として塩素、t-ブチルハイポクロライト、塩化スルフリル、トリクロロメタンスルホニルクロリド等を単独で、あるいはこれら2種以上を併用して用いる方法が挙げられるが、好ましくは紫外線照射下に塩素ガスを用いて、必要によりラジカル反応開始剤存在下に、メチル基の塩素化を行う光塩素化反応である。そして、この光塩素化反応で用いる光源については、紫外線を含む光を発光するものであればよく、例えば高圧又は中圧水銀灯等が好適に用いられる。【0015】また、このα−クロロエチルトルエン類のメチル基塩素化工程においては、高濃度の塩素ガスをそのまま用いてもよいが、窒素等の不活性ガスで希釈して用いてもよい。塩素ガスを不活性ガスで希釈して用いることにより、副生物の生成を抑制できるという利点がある。更に、α−クロロエチルトルエン類のメチル基の塩素化を光塩素化反応で行う場合に、必要によりラジカル反応開始剤を併用することは、光塩素化反応の後半に光の透過性が低下して反応速度が低下するが、この反応速度を維持するための補助となる。【0016】 このα-クロロエチルトルエン類のメチル基塩素化工程では、原料のα-クロロエチルトルエン類が塩素化されて塩素化物となる割合(以下、「CET転化率」という。)と、生成した塩素化物中における目的物α-クロロエチルベンジルクロライド類の割合である選択率(以下、「CEBC選択率」という。)とを考慮して、その反応温度と反応終点とが決定されるが、反応温度については、通常0〜120℃、好ましくは0〜40℃、より好ましくは0〜10℃の範囲であるのがよく、また、反応終点については、CET転化率が30〜80重量%の範囲内にある時点、好ましくは50〜70重量%の範囲内にある時点、より好ましくは55〜65重量%の範囲内にある時点であるのがよい。反応温度が高くなるに連れてCEBC選択率が低下する傾向にあり、また、反応終点を転化率30重量%より低い時点にすると未反応α−クロロエチルトルエン類の割合が高くなりすぎて収率が低下し、反対に、転化率80重量%より高い時点にするとCEBC選択率が低下する。【0017】上記メチル基塩素化工程で得られたα−クロロエチルベンジルクロライド類は、次に加熱脱塩化水素工程でクロロメチルスチレン類の蒸留条件下で加熱脱塩化水素され、クロロメチルスチレン類が製造される。このα−クロロエチルベンジルクロライド類の加熱脱塩化水素工程は、好ましくは加熱温度160〜200℃のクロロメチルスチレン類の減圧蒸留条件下で行われる。この加熱温度が160℃より低いと、α−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応が十分に進行せず、また、200℃を超えて加熱すると、生成物中における目的物クロロメチルスチレン類の割合である選択率(CMS選択率)で低下する。【0018】また、この加熱脱塩化水素工程でのCMS選択率は、加熱温度が低いほど高く、また、加熱時間が短いほど高いという傾向を有するので、上記加熱温度の範囲内、より好ましくは180〜190℃の範囲内でクロロメチルスチレン類の減圧蒸留条件を設定してα−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応を行うのがよい。この際に、生成したクロロメチルスチレン類の重合を抑制し、結果として収率を高める目的で、t-ブチルカテコール等の一般的な重合防止剤を添加してもよい。【0019】この加熱脱塩化水素工程では、α−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応と同時に、生成したクロロメチルスチレン類の蒸留分離が行われ、通常、メチルスチレン類及びα−クロロエチルトルエン類を主成分とする初留分と、クロロメチルスチレン類及びα−クロロエチルベンジルクロライド類を主成分とする本留分とに分離される。【0020】そして、この加熱脱塩化水素工程で回収され、クロロメチルスチレン類及びα−クロロエチルベンジルクロライド類を主成分とする本留分は、好ましくは重合防止剤存在下の減圧蒸留を行う精留工程で精製され、この精留工程では、精留分として通常98重量%以上、好ましくは99重量%以上の純度の精製クロロメチルスチレン類を得ると共に、α−クロロエチルベンジルクロライド類を主成分とする釜残分を回収する。【0021】この精留工程において使用する重合防止剤としては、例えばt-ブチルカテコール、2,4-ジニトロフェノール、ハイドロキノン、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン、アンモニウム塩、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ニトロメタン、フェノチアジン等、あるいはこれらの2種以上の混合物等を挙げることができ、その使用量は通常500〜2000ppm、好ましくは500〜1000ppmの範囲である。また、精留工程での減圧蒸留は通常6〜30mmHg、好ましくは6〜10mmHgの減圧下に、還流比0.2〜7、好ましくは0.2〜5及び留出温度92.5〜93.0℃、好ましくは92.7〜92.8℃で行われる。【0022】そして、上記加熱脱塩化水素工程で回収され、メチルスチレン類及びα−クロロエチルトルエン類を主成分とする初留分は、好ましくは塩化水素付加工程に循環され、再び塩化水素付加反応に供される。また、上記精留工程で回収された釜残分は、好ましくは加熱脱塩化水素工程に循環され、再び加熱下の脱塩化水素反応に供される。【0023】【発明の実施の形態】以下、添付図面に示すp-クロロメチルスチレンの工業的製造法のフローチャートに基づいて、本発明の好適な実施の形態を説明する。【0024】塩化水素付加工程では、その反応容器中に1.00kmol/hrのp-メチルスチレン(MS)と、1.34kmol/hrの塩化水素と、後述の加熱脱塩化水素工程からの初留分(MS:0.34kmol/hr、p-(α−クロロエチル)トルエン(CET) :0.34kmol/hr)とが導入され、攪拌下に反応温度0〜50℃の条件で、p-メチルスチレンの塩化水素付加反応が行われる。【0025】この塩化水素付加工程で得られた反応混合物(CET:1.60kmol/hr、その他:0.08kmol/hr)はそのまま次の光塩素化反応によるメチル基塩素化工程の反応容器中に導入され、この光塩素化反応では、11.52kmol/hrの窒素ガスで希釈された1.28kmol/hrの塩素ガスにより、光照射下に攪拌下反応温度0〜40℃の条件で、p-(α−クロロエチル)トルエンのメチル基が塩素化される。【0026】このメチル基塩素化工程で得られた反応混合物(CET:0.68kmol/hr、p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド(CEBC):0.68kmol/hr、その他:0.32kmol/hr)は、後述の精留工程の釜残分(p-クロロメチルスチレン(CMS) :0.01kmol/hr、CEBC:0.69kmol/hr)と共に、そのまま次の加熱脱塩化水素工程の蒸留塔に導入され、減圧下に蒸留されて留出温度57.4〜94.6℃/15mmHg[加熱温度(釜液温度)140.9〜176.4℃]の初留分(MS:0.34kmol/hr、CET:0.34kmol/hr)と、留出温度94.6〜124.5℃/15mmHg[加熱温度(釜液温度)176.4〜190.2℃]の本留分(CMS:0.61kmol/hr、CEBC:0.69kmol/hr)と、釜残(CEBC:0.08kmol/hr、その他:0.32kmol/hr)とに分離される。【0027】この加熱脱塩化水素工程で得られた本留分(CMS:0.61kmol/hr、CEBC:0.69kmol/hr)は、次に精留工程の蒸留塔に導入され、減圧下に蒸留されて留出温度92.7〜92.8℃/15mmHg[加熱温度(釜液温度)142.5〜146.7℃]の精留分(CMS:0.60kmol/hr)と、釜残分(CMS:0.01kmol/hr、CEBC:0.69kmol/hr)とに分離される。【0028】上記加熱脱塩化水素工程で得られた初留分(MS:0.34kmol/hr、CET:0.34kmol/hr)は上記塩化水素付加工程の反応容器に循環され、また、上記精留工程で得られた釜残分(CMS:0.01kmol/hr、CEBC:0.69kmol/hr)は上記加熱脱塩化水素工程の蒸留塔に循環される。また、上記メチル基塩素化工程で反応副生物として回収される塩化水素は、好ましくは塩化水素付加工程に循環されて利用される。そして、加熱脱塩化水素工程の釜残は中和処理された後に廃棄され、また、この加熱脱塩化水素工程で発生する塩化水素を含む排気は塩化水素吸収処理の後に排出される。【0029】このp-クロロメチルスチレンの工業的製造法によれば、製造プロセス中に導入されるp-メチルスチレンの約60重量%が高純度(約98〜99重量%)のp-クロロメチルスチレンとして得られる。【0030】【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明のクロロメチルスチレン類の工業的製造法を具体的に説明する。【0031】実施例1コンデンサー、排ガス除去装置、冷却装置を備えた反応容器にp-メチルスチレン1300.2g(11.0モル)を仕込み、反応温度を40℃に維持しながら攪拌下に塩化水素ガスを3.25g/分の速度で4時間導入し、p-メチルスチレンの塩化水素付加反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、 p-(α−クロロエチル)トルエンの割合が96.4%であった。【0032】次に、上記反応混合物中には、高圧水銀灯照射下、反応温度5℃、及び攪拌下に、窒素ガスで希釈した塩素ガスを8.2g/分の速度(塩素ガス供給速度:2.1g/分)で導入し、 p-(α−クロロエチル)トルエンの光塩素化反応を行った。塩素ガスが8.5モル供給されたところで光塩素化反応を停止させ、得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、反応混合物の組成は、未反応 p-(α−クロロエチル)トルエンが40.4%、 p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライドが40.5%、その他の多塩素化物が19.1%であった。【0033】このようにして得られた反応混合物1973.2gについて、理論段数15段の蒸留塔を用いた還流比1の条件での減圧蒸留による加熱脱HCl反応を行い、加熱温度(釜液温度)140.9〜176.4℃で留出温度57.4〜94.6℃/15mmHgの初留分618.1gを回収し、次いで、加熱温度(釜液温度)176.4〜190.2℃で留出温度94.6〜124.5℃/15mmHgの本留分723.7gを回収した。得られた初留分の組成はp-メチルスチレン49.0%、 p-(α−クロロエチル)トルエン50.0%、その他の成分1.0%であり、また、本留分の組成はp-クロロメチルスチレン44.0%、 p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド51.9%、その他の成分4.1%であった。【0034】得られた本留分723.7gに重合防止剤のN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(和光純薬(株)製商品名:Q1300)500ppmを添加し、理論段数15段の蒸留塔を用いて還流比5の条件で減圧下に精留を行い、92.8℃/10mmHgの精留分194.9gと釜残分379.2gとを得た。得られた精留分及び釜残分をガスクロマトグラフィーで分析した結果、精留分は純度98.8%のp-クロロメチルスチレンであり、原料のp-メチルスチレンを基準とする収率が11.4重量%であり、また、釜残分は純度92.0%の p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライドであった。【0035】次に、コンデンサー、排ガス除去装置、冷却装置を備えた反応容器に、上記実施例1の加熱脱HCl反応で得られた初留分(組成:p-メチルスチレン49.0%、 p-(α−クロロエチル)トルエン50.0%、その他の成分1.0%)618.1gを仕込み、反応温度を40℃に維持しながら攪拌下に塩化水素ガスを1.54g/分の速度で1.5時間導入し、塩化水素付加反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、 p-(α−クロロエチル)トルエンの割合が93.3%であった。【0036】また、上記反応混合物について上記実施例1の場合と同様にして光塩素化反応を行い、塩素ガスが3.3モル供給されたところで光塩素化反応を停止させた。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、反応混合物の組成は、未反応 p-(α−クロロエチル)トルエンが40.2%、 p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライドが31.1%、その他の多塩素化物が28.7%であった。【0037】このようにして得られた反応混合物820.0gに上記実施例1の精留で得られた釜残分379.2g(組成: p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド92.0%)を加え、上記実施例1と同様にして減圧蒸留による加熱脱HCl反応を行い、加熱温度(釜液温度)129.5〜153.6℃で留出温度55.0〜93.3℃/15mmHgの初留分391.0gを回収し、次いで、加熱温度(釜液温度)153.6〜192.5℃で留出温度93.3〜123.5℃/15mmHgの本留分359.4gを回収した。得られた初留分の組成はp-メチルスチレン7.9%、 p-(α−クロロエチル)トルエン77.0%、その他の成分15.1%であり、また、本留分の組成はp-クロロメチルスチレン60.9%、 p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド32.0%、その他の成分7.1%であった。【0038】得られた本留分357.4gについて、上記実施例1と同様にして精留を行い、92.9℃/10mmHgの精留分134.2gを得た。得られた精留分をガスクロマトグラフィーで分析した結果、p-クロロメチルスチレンの純度は98.9%であり、原料のp-メチルスチレンを基準とする収率は7.9モル%であった。この結果、以上の操作で得られた合計のp-クロロメチルスチレンの収率は、19.3モル%に達した。【0039】【発明の効果】本発明によれば、原料のメチルスチレン類のビニル基に塩化水素を付加し、次いでメチル基に塩素を導入し、その後に脱塩化水素を行うという比較的操作が簡便な液相法により、高純度のクロロメチルスチレン類を高収率で製造することができ、クロロメチルスチレン類を工業的に有利に製造することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は、p-クロロメチルスチレンの工業的製造法を示すフローチャートである。 o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、及びp-メチルスチレンから選ばれた1種又は2種以上の混合物からなるメチルスチレンに塩化水素を反応温度0〜100℃の液相条件下で付加させてα-クロロエチルトルエンを製造する塩化水素付加工程と、この塩化水素付加工程で得られたα-クロロエチルトルエンのメチル基を反応温度0〜120℃の液相条件下で、α-クロロエチルトルエンが塩素化されて塩素化物となる割合が30〜80重量%の範囲内になるまで塩素化してα-クロロエチルベンジルクロライドを製造するメチル基塩素化工程と、このメチル基塩素化工程で得られたα-クロロエチルベンジルクロライドを加熱温度160〜200℃の減圧加熱下に脱塩化水素してクロロメチルスチレンを生成させると共にこの生成したクロロメチルスチレンを留出せしめる加熱脱塩化水素工程とを含み、加熱脱塩化水素工程の蒸留で回収されるメチルスチレン及びα-クロロエチルトルエンを主成分とする初留分を前記塩化水素付加工程に循環させることを特徴とするクロロメチルスチレンの製造法。 加熱脱塩化水素工程の蒸留で回収されるクロロメチルスチレン及びα-クロロエチルベンジルクロライドを主成分とする本留分を減圧蒸留してクロロメチルスチレンを精製する精留工程を有し、この精留工程で回収されるα-クロロエチルベンジルクロライドを主成分とする釜残分を加熱脱塩化水素工程に循環させる請求項1に記載のクロロメチルスチレンの製造法。 メチルスチレンがp-メチルスチレンであって、p-クロロメチルスチレンを製造する請求項1又は2に記載のクロロメチルスチレンの製造法。 メチルスチレンの塩化水素付加反応は、トリフェニルホスフィンオキサイド〔(C6H5)3P=O〕及びトリブチルホスフィンオキサイド〔[CH3(CH2)3]3P=O〕から選ばれた鉄のマスキング剤の存在下に行う請求項1〜3のいずれかに記載のクロロメチルスチレンの製造法。 α-クロロエチルトルエンのメチル基塩素化工程は、紫外線照射下の光塩素化反応により行う請求項1〜4のいずれかに記載のクロロメチルスチレンの製造法。 クロロメチルスチレンの精留工程は、t-ブチルカテコール、2,4-ジニトロフェノール、ハイドロキノン、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン、アンモニウム塩、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ニトロメタン、及びフェノチアジンから選ばれた1種又は2種以上の混合物からなる重合防止剤の存在下に行われる請求項2〜5のいずれかに記載のクロロメチルスチレンの製造法。


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