タイトル: | 特許公報(B2)_ビニルオキサゾリンまたはイソプロペニルオキサゾリン誘導体の製造法 |
出願番号: | 1999234939 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07D 263/12 |
沖高 勲 陳 天明 JP 4379965 特許公報(B2) 20091002 1999234939 19990823 ビニルオキサゾリンまたはイソプロペニルオキサゾリン誘導体の製造法 株式会社興人 000142252 沖高 勲 陳 天明 20091209 C07D 263/12 20060101AFI20091119BHJP JPC07D263/12 C07D 263/12 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開平11−217376(JP,A) 特開平9−301960(JP,A) 特開平5−117254(JP,A) 特開昭64−31773(JP,A) 特開昭47−34311(JP,A) 1 2001058986 20010306 6 20060327 早乙女 智美 【0001】【産業上の利用分野】本発明はその分子中に重合性の二重結合とオキサゾリン基を有する二官能性モノマーで、水系塗料、接着剤、樹脂改質剤、架橋剤として有用なビニルオキサゾリンまたはイソプロペニルオキサゾリン誘導体の製造法に関する。【0002】【従来の技術】ビニルオキサゾリンまたはイソプロペニルオキサゾリン誘導体の製造法としては、特開昭59−24977号公報に示されるように、2−アルキル−2−オキサゾリンをホルムアルデヒドと縮合させて2−(α−ヒドロキシメチルアルキル)−2−オキサゾリンを得、これをアルカリ触媒存在下に脱水する方法がある。この方法によれば、イソプロペニルオキサゾリンについての縮合収率は96.5%、脱水収率は97.8%と明示されているが、ビニルオキサゾリンの収率は明確ではなく、またいずれのモノマーについても最終的な単離方法、単離収率については何ら述べられていない。また収率はホルムアルデヒド基準の収率であり、この方法ではホルムアルデヒドに対して過剰のアルキルオキサゾリンを使用するため過剰のアルキルオキサゾリンの蒸留回収が避けられず、オキサゾリン基準の収率は極めて低いものと推定される。【0003】一方、アクリル酸メチルなどの二重結合をシクロペンタジエン等と反応して得たディールス-アルダー付加体をアミン等とのアミノリシスを行い、引き続いて生成物を熱分解(逆ディールス-アルダー反応)することにより、N−置換アクリルアミドを得ることは、特開昭47−34311号公報に記載されているが、これらはすべて比較的簡単なN−アルキル置換アクリルアミドに限られており、オキサゾリンのような活性な反応性基をもつ環状化合物については何ら触れられていない。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は高純度、高収率でビニルオキサゾリンまたはイソプロペニルオキサゾリン誘導体を与える製造法を確立することを課題とする。【0005】【課題を解決する手段】本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究の結果、シクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸エステルとのディールスアルダー付加体を、アミノエタノールでアミド化した後、脱水して得られる化1で示されるオキサゾリルノルボルネン誘導体を熱分解して得られた粗モノマーを、比較的簡単な蒸留をするだけで、高純度、高収率で、ビニルオキサゾリンまたはイソプロペニルオキサゾリン誘導体が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。【0006】以下、本発明を詳細に説明する。シクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸エステルとのディールスアルダー反応は、攪拌装置、温度計、滴下装置を備えた三つ口フラスコに、(メタ)アクリル酸エステルを加え、これにシクロペンタジエンを徐々に加え反応を行わせる。アクリル酸エステルとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどが使用できる。【0007】シクロペンタジエンの滴下量は、(メタ)アクリル酸エステルに対して当モルが使用されるが、反応完結のために過剰のシクロペンタジエンを使用してもよい。過剰量は20モル%以下が好ましい。さらなる過剰量は反応の完結を早めるが、シクロペンタジエン自体が2分子縮合して多量のジシクロペンタジエンの副生物を招くため好ましくない。【0008】反応温度はいかなる温度でもかまわないが、60℃以下で行うのが好ましい。これより高い温度では、ジシクロペンタジエンの副生物が増加するので好ましくない。【0009】このようにして得られたエステル付加体は、必要ならば、減圧蒸留などで未反応のアクリル酸エステルまたはシクロペンタジエンおよび副生するジシクロペンタジエンを回収し精製される。【0010】次に、このエステル付加体に対して、アミノアルコールを反応させてアミド付加体を得る。アミノアルコールとしては、2−アミノエタノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−2−ブタノール、およびこれらの同族体がある。アミノエタノールは、反応を完結するために、通常エステル付加体に対して当モル以上が使用される。過剰量は50モル%以下で、20モル%が好ましい。【0011】反応に使用される触媒としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラートであり、通常ナトリウムメチラートが好ましい。触媒は、アミノアルコールによるエステル付加体のアミド化を触媒するに足る量にて使用されるが、通常エステル付加体に対して0.1モル%以上、10モル%以下であり、0.5モル%以上、2モル%以下が好ましい。【0012】アミド化反応は、20℃以上、80℃以下で行われる。好ましくは60℃以下である。温度が高すぎると、エステル付加体がアミノアルコールに2分子反応した副生物などが生成するため好ましくない。【0013】反応後、生成したアルコールおよび過剰のアミノエタノールを蒸留回収して、アミド付加体を得る。【0014】次に、このアミド付加体を脱水閉環して、オキサゾリルノルボルネン誘導体を得る。脱水閉環反応は、触媒として、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛などの亜鉛塩、硫酸第二鉄、塩化第二鉄などの鉄塩など、公知の触媒が使用できる。触媒は、アミド付加体に対して1重量%以上、30重量%以下であり、好ましくは5重量%以上、15重量%以下である。【0015】溶媒は必ずしも必要ないが、反応系のスラリー濃度を調整するために有効であり、不活性な溶媒としてスルホラン、ポリプロピレングリコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などの使用が好ましい。【0016】反応はアミド付加体、触媒、溶媒からなるスラリー溶液を、減圧下、160〜250℃で加熱することで、脱水して生成した水とともに閉環したオキサゾリルノルボルネン誘導体が留出してくる。減圧度は、反応温度と反応速度で変わってくるが、通常20mmHg以下で行われる。【0017】化1で示されるオキサゾリルノルボルネン誘導体の熱分解は、200〜500℃程度の気相で行うことが望ましい。熱交換を容易にするため、ガラス、ステンレス、磁製のラシヒリングなどを、必要に応じて充填した加熱管に、気化させた化1の蒸気をそのまま或いは窒素などの不活性ガスで希釈した状態で通すなどの方法が用いられる。分解物は、水冷することで粗ビニルオキサゾリンを凝縮させ、もう一方のシクロペンタジエンは、アセトン−ドライアイス浴で回収される。粗ビニルオキサゾリンの重合を抑えるために、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、フェノチアジン、4−t−ブチルピロカテコールなどの重合禁止剤を加えることが好ましい。また熱分解時、気相の重合防止のために、クペロン(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン)、酸化窒素などを利用することもできる。【0018】粗ビニルオキサゾリンは、シクロペンタジエン、ビニルオキサゾリンおよび未反応原料以外の副生物をほとんど含まないので、これらの沸点差を利用して、簡単な蒸留で高純度のビニルオキサゾリンを得ることが可能である。【0019】【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例1エステル付加体の製造攪拌装置、温度計、滴下装置を備えた3000mlの三つ口フラスコに、アクリル酸メチル1300gを仕込み、これにシクロペンタジエン1000gを攪拌しながら徐々に滴下した。その間、反応混合物の温度は35℃以下に保った。滴下終了後、35℃以下で反応混合物を一晩攪拌した。未反応物および副生したジシクロペンタジエンを減圧蒸留により回収してエステル付加体2257gを得た。収率は98%であった。【0020】アミド付加体の製造前記同様の反応装置に、エステル付加体2200g、2−アミノエタノール1060g、ナトリウムメチラート30%溶液52gを仕込み、60℃で6h反応した。その後副生したメタノールを減圧蒸留で回収し反応を完結した。反応液を、加えたナトリウムメチラートと当量の濃硫酸で中和した後、過剰のアミノエタノールを蒸留回収してアミド付加体2490gを得た。収率は95%であった。【0021】アミド付加体の脱水攪拌機と蒸留塔を備えた反応器に、アミド付加体2000g、ポリプロピレングリコール2000g、塩基性炭酸亜鉛200g、重合防止剤としてMHQ4gを仕込み、2mmHg減圧下マントルヒーターで160〜190℃に加熱、脱水してオキサゾリルノルボルネン1260gを得た。収率は70%であった。【0022】オキサゾリルノルボルネンの熱分解オキサゾリルノルボルネン1200gを、60mmHgの減圧下蒸発管で加熱気化させ、400〜420℃に加熱したステンレス製熱分解管(内径21.4mm、長さ600mm)に通すことにより熱分解を行った。運転時間は約12時間であった。熱分解による生成物は、約50℃に保った凝縮器と、−60℃に冷却した凝縮器とでトラップし、前者より粗ビニルオキサゾリン696gを得、後者よりシクロペンタジエン479gを得た。オキサゾリルノルボルネン熱分解率96.9%、ビニルオキサゾリン収率は88%であった。【0023】次いで粗ビニルオキサゾリンを、マクマホンパッキングを20cm充填した精留塔を通して減圧下単蒸留した(沸点 50℃/25mmHg)。結果、純度99%以上の留分460g(蒸留収率94%)を得た。 総合収率は54%であった。【0024】実施例2実施例1において、アクリル酸メチルの代わりにメタクリル酸メチルを原料として、同様に各工程の反応を行った結果、イソプロペニルオキサゾリンを総合収率51%で得た。純度は99%以上であった。【0025】【発明の効果】シクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸エステルとのディールスアルダー付加体を、アミノエタノールでアミド化した後、脱水して得られるオキサゾリルノルボルネン誘導体を、気相熱分解することにより、ビニルオキサゾリン誘導体を、副生物がほとんどなく、高収率で製造することができた。 シクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸エステルとのディールスアルダー付加体をアミノエタノールでアミド化した後、脱水して得られる化1で示されるオキサゾリルノルボルネン誘導体を熱分解することを特徴とする化2で示されるビニルオキサゾリンまたはイソプロペニルオキサゾリン誘導体の製造法。(但し、式中R1 は水素またはメチル基を表し、R2 〜R5は水素、アルキル基またはアリール基を表す。)(但し、式中R1 は水素またはメチル基を表し、R2〜R5 は水素、アルキル基またはアリール基を表す。)