タイトル: | 特許公報(B2)_透明ゲル状芳香・消臭剤組成物 |
出願番号: | 1999227411 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61L 9/01,A61K 8/49,A61Q 13/00 |
浅越 亨 加藤 弘 江森 章一 JP 4224175 特許公報(B2) 20081128 1999227411 19990811 透明ゲル状芳香・消臭剤組成物 長谷川香料株式会社 000214537 特許業務法人小田島特許事務所 110000741 江角 洋治 100074217 小田嶋 平吾 100103311 生研化学株式会社 591075744 江角 洋治 100074217 小田嶋 平吾 100103311 浅越 亨 加藤 弘 江森 章一 20090212 A61L 9/01 20060101AFI20090122BHJP A61K 8/49 20060101ALI20090122BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20090122BHJP JPA61L9/01 VA61K8/49A61L9/01 ZA61Q13/00 102 A61L9/01 特開平04−348182(JP,A) 特開平10−034282(JP,A) 特公昭63−064986(JP,B1) 1 2001046482 20010220 6 20060324 松浦 新司 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、透明で美観に優れ、また、任意の香料を添加してもその香料の変質、異臭化などの不都合な変化を伴うことなしに優れた芳香消臭効果を有するとともに、その効果の持続性及び安定性にも優れた芳香バランス性を示し、容器を逆さまにしても流れ出さず、且つ、高温下で長期間保存しても流動化しないゲル状形態安定性にも優れ、また、多量の香料を含有してもその形態安定性を保持できるなどの諸性質を有する透明ゲル状芳香・消臭剤組成物に関する。【0002】より詳しくは、オクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとの混合物、ベンジリデンソルビトール誘導体及び芳香・消臭成分を含有する透明ゲル状芳香・消臭剤組成物に関する。【0003】【従来の技術】従来、ゲル状芳香・消臭剤組成物は固形香水や室内芳香剤等として用いられており、例えば、ソルビトールとベンズアルデヒドの縮合物であるジベンジリデンソルビトールをゲル化剤乃至固化剤成分として用いる芳香剤として、香料にジベンジリデンソルビトール及び/又はトリベンジリデンソルビトールと熱可塑性樹脂を配合した固形香料(特公昭48−37825号公報)、ジベンジリデンソルビトール、3−メチル−3−メトキシブタノール及び/又はエチレングリコールモノエチルエーテル及び香料を含有してなるゲル状芳香消臭組成物(特公昭63−64986号公報)等が提案されている。【0004】また、美観を重視した透明なゲル状芳香剤が求められるようになって、ゲル化剤としてオクチル酸アルミニウムを用いることが提案され、例えば、オクチル酸アルミニウム、リモネンまたは無臭ケロシンからなる透明油性ゲル状芳香剤組成物(特開平1−320063号公報)や、ジ−2−エチルヘキサン酸アルミニウム、テルペン系炭化水素及び香料からなる透明ゲル状芳香剤組成物(特開平3−9758号公報)、オクチル酸アルミニウムおよびその6〜80モル%のC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムをゲル化剤として用いる透明油性ゲル芳香剤組成物(特開平10−43282号公報)などが提案されている。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゲル化剤としてオクチル酸アルミニウム(ジ−2−エチルヘキサン酸アルミニウム)を単独で用いる特開平1−320063号公報に記載の芳香剤の製造の場合には60℃以上の加温を必要とするという欠点があり、また、テルペン系炭化水素を併用した特開平3−9758号公報に記載の芳香剤組成物は、その製造の際に加温を必要としないが、テルペン系炭化水素を多量に使用するため、香料は柑橘系のものに限られるという欠点がある。【0006】一方、ゲル化剤としてオクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムを併用する特開平10−43282号公報に記載の芳香剤組成物は、その製造時に加温する必要がなく製造でき、透明で美観に優れ、高温においても溶融せず、広範囲の香りを付与することができるが、容器を逆さまにするとゲルが流れ出る流動化や型くずれなどの形状安定性については必ずしも充分ではなく、更なる改良が求められている。【0007】【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、オクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとの混合物をベンジリデンソルビトール誘導体と併用し、それに芳香及び/又は消臭成分を配合すると、容器を逆さまにしても流れ出さず、長期間の高温曝露によっても流動化や型くずれなどを惹起しない安定な保形性を有し、しかも、油性成分である芳香及び/又は消臭成分を任意の割合で配合しても該成分の浸みだしなどの不都合を全く生じない保有力を有する透明ゲル状芳香・消臭剤組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。【0008】かくして、本発明は、(a)オクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとの混合物、(b)ベンジリデンソルビトール誘導体、及び(c)芳香及び/又は消臭成分を含有することを特徴とする、保形性に優れた透明ゲル状芳香・消臭剤組成物を提供するものである。【0009】以下、本発明の芳香・消臭剤組成物についてさらに詳細に説明する。【0010】【発明の実施の形態】本発明において使用されるオクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとの混合物(a)は、例えば、特開平10−43282号公報に記載されているものを用いることができる。【0011】オクチル酸アルミニウムとしては、例えば、ジ−2−エチルヘキサン酸アルミニウムが好適であり、また、これと混合して用いられるC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとしては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸など又はこれら高級脂肪酸の混合物のアルミニウム塩が挙げられる。【0012】オクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとの混合割合は厳密に制限されるものではないが、一般には、オクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムの合計量を基準にしてC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムが6〜80モル%、より好ましくは16〜50モル%の範囲内にあるのが好適である。また、ジ−2−エチルヘキサン酸アルミニウム中の2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)の一部がC12〜C24高級脂肪酸で置換されている複合酸アルミニウム塩を使用することもでき、その場合の該複合酸アルミニウム塩中のC12〜C24高級脂肪酸の含有量は3〜40モル%の範囲内にあることができる。【0013】これらのアルミニウム塩は特開平10−43282号公報に記載されている方法に準じて製造することができる。オクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウム塩との混合物は、通常、粒状の固体であり、「ゲル化剤O」(生研化学社製商品名)などとして市販もされている。オクチル酸アルミニウム塩とC12〜C24高級脂肪酸アルミニウム塩の混合物(a)の使用量は、一般に、芳香・消臭剤組成物の1〜15重量%、好ましくは3〜9重量%の範囲内とすることができる。【0014】また、本発明で用いられるベンジリデンソルビトール誘導体(b)は、ソルビトールとベンズアルデヒドとの縮合反応によって得られる縮合物であって、モノ、ジ又はトリベンジリデンソルビトールのそれぞれ単独又はそれらの任意の割合の混合物が包含される。該ベンジリデンソルビトール誘導体は、化学的に中性で、疎水性且つ耐熱性の固体であり、通常、微粉末の形態で、例えば、「ゲルオールD」、「ゲルオールT」(いずれも新日本理化社製商品名)などの商品名で市販されている。該ベンジリデンソルビトール誘導体(b)の使用量は、上記(a)成分の使用量にもよるが、一般には、芳香・消臭剤組成物の0.01〜2重量%、好ましくは0.02〜0.5重量%の範囲内とすることができる。また、(a)成分と(b)成分は、合計で一般に、芳香・消臭剤組成物の1.01〜17重量%、好ましくは3.02〜9.5重量%の範囲内で存在することが好ましい。【0015】一方、本発明の組成物に配合しうる芳香・消臭成分(c)としては、例えば、香料については、天然及び合成の広い範囲の香料を利用することができる。そのような香料の例としては、たとえば、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、イランイラン油、パチュリ油、シトロネラ油、レモングラス油、ボアドローズ油、チョウジ油、ユーカリ油、セダー油、ビャクダン油・ペチバー油・ゼラニウム油、ペパーミント油、ローズ油、ジャスミン油など、更にはこれら天然精油から分離されたリモネン、ゲラ二オール、シトロネロール、リナロールなどの如き天然源植物性精油及びその単離香料類;ムスク、シベツト、アンバーグリス、カストリウムなどの如き天然源動物性香料類;バニリン、メントール、シンナミツクアルデヒド、ヘリオトロピン、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、シトラール、メントール、ミルセン、ミルセノール、アニスアルデヒド、シネオール、イオノン、ピネン、リモネン、カンフエン、シス−3−ヘキセノール、ベンジルアルコール、α一アミルシンナミツクアルコール、オイゲノール、リナリルアセテート、ベンジルアセテートなどの如き合成香料;これら各種精油乃至香料の少なくとも二種を配合した調合香料類;などの各種の香料成分を例示することができる。なお、香料の溶剤として、イソパラフィン、ノルマルパラフィンを用いることもできる。【0016】また、消臭成分としては、例えば、ラウリルメタアクリレート、ゲラニルクロトネートクロロフィルの如き化学的消臭剤を例示することができる。【0017】上記芳香・消臭成分(c)の使用量は、本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物の利用目的により異なるが、通常、芳香・消臭剤組成物の83〜98.99重量%、好ましくは90.5〜96.98重量%の範囲内を例示することができる。【0018】本発明の組成物には、さらに、他の添加剤として、例えば、パラジクロールベンゼン、ナフタリン、カンフアーの如き防虫剤;オルトフェニルフオノール、安息香酸、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノールの如き防腐・殺菌剤;アセトキシフェ二ルブタノン、メチルオイゲノールの如き誘引、忌避剤等を配合例示することもできる。【0019】また、上記添加物以外に、ゲル化を促進させ及び/又は(a)成分と(b)成分の混合を促進するために、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ジメチルスルフオキシドなどの溶剤を配合することもできる。【0020】本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物は、以上述べた(a)成分、(b)成分及び(c)成分を必要成分とし、さらに所望により上記例示の如き他の配合剤を適宜配合することにより容易に製造することができる。本発明の一実施態様によれば、室温下で、(a)成分のオクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとの混合物にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて撹拌溶解し、そこに(c)成分のレモンオイルを添加混合し、さらに(b)成分のゲルオールD溶液(溶媒:ジメチルスルフオキシド)を加えて撹拌した後、室温に放置することにより、容器を逆さまにしても流れでない保形性に優れた透明ゲル状芳香・消臭剤組成物を得ることができる。【0021】本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物は、容器を逆さまにしても流れでない優れた形状安定性を示し、たとえば45〜50℃の室温を超える温度条件に、たとえば2ヶ月の如き長期間放置しても不都合な型くずれや液だれ、液浸みだしを生じない。また、本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物は香料の保留効果が優れているので、たとえば室内などの芳香・消臭剤として使用すると、香料成分が一定のバランスを保ちながら揮散する徐放性を示し、例えば、2ケ月以上の長期間にわたって芳香・消臭効果をバランスよく持続することができる。【0022】上記のように、本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物は、芳香・消臭成分の変質、変色、異臭化などの不都合な変化を伴うことなしに、優れた芳香・消臭効果の持続性及び芳香バランス性を示し、且つ、ゲル状形態安定性に優れ、多量の香料を含有してもその形態安定性を保持でき、更に塗布形から硬い固形状にわたる広い領域において、上記優れた諸性質を示し、車内、船舶内、トイレ内、浴場内、居室内などの室内芳香・消臭剤として、更には固型香水、固型芳香・消臭塗布剤、ポマンダーなどの香粧品として、その他広い分野において有用である。【0023】【実施例】以下実施例により本発明の実施の態様をさらに具体的に説明する。【0024】実施例1オクチル酸アルミニウム5g及びステアリン酸アルミニウム2gを混合し、この混合物にプロピレングリコールモノメチルエーテル5gを加えて撹拌溶解する。そこにレモンオイル86gとジベンジリデンソルビトール15%ジメチルスルフオキシド溶液2gを添加混合した後、室温で放置した。得られた組成物は時間の経過とともに徐々に透明感を増しながらゲル化し、約30分後には、容器を逆さまにしても流れでない透明ゲル状芳香剤組成物が得られた。この組成物を2ヶ月間50℃で保存したが、2ヶ月後でも製造時のままの形状を保持していた。【0025】比較例1実施例1において、ベンジリデンソルビトール誘導体を添加しない以外は、実施例1と全く同様にしてゲル状芳香剤組成物を得た。得られたゲル状芳香剤組成物は容器を逆さまにすると流れ出てしまい、また、実施例1の組成物と同時に2ヶ月間50℃で保存したが、2ヶ月後にはやや形がくずれてしまった。【0026】実施例2オクチル酸アルミニウムのオクチル酸の一部をミリスチン酸に20モル%置換したオクチル酸−ミリスチン酸アミルニウム7gにプロピレングリコールモノメチルエーテル5gを加えて撹拌溶解する。そこにジベンジリデンソルビトール20%ジメチルスルフオキシド溶液2gとオレンジオイル86g及びオレンジ色素微量を添加混合した後、室温で放置した。その結果、得られた組成物は徐々に透明感を増しながらゲル化し、約30分後には容器を逆さまにしても流れ出ない透明ゲル状芳香剤組成物が得られた。この組成物を2ヶ月間50℃で保存したが、2ヶ月後でも製造時のままの形状を保持していた。【0027】【発明の効果】本発明によれば、透明で美観に優れ、また、任意の香料、消臭剤を添加してもその香料、消臭剤の変質、異臭化などの不都合な変化を伴うことなしに優れた芳香・消臭効果を有するとともに、その効果の持続性及び安定性にも優れた芳香バランス性を示し、容器を逆さまにしても流れ出ることがなく、且つ、高温下で長期間保存しても流動化しないゲル状形態安定性にも優れるなどの諸性質を有し、且つまた、工業的に容易に製造することができる透明ゲル状芳香・消臭剤組成物を提供することができる。 (a)オクチル酸アルミニウムとC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムとの混合物、(b)ベンジリデンソルビトール誘導体、及び(c)芳香及び/又は消臭成分を含有することを特徴とする、保形性に優れた透明ゲル状芳香・消臭剤組成物。