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タイトル:特許公報(B2)_tert−ブトキシカルボニルクロリドの製造方法
出願番号:1999210064
年次:2009
IPC分類:C07C 68/02,C07C 69/96,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

高田 光正 佐藤 剛弘 JP 4319292 特許公報(B2) 20090605 1999210064 19990726 tert−ブトキシカルボニルクロリドの製造方法 日本曹達株式会社 000004307 廣田 雅紀 100107984 松橋 泰典 100113860 高田 光正 佐藤 剛弘 JP 1998251941 19980821 JP 1999204262 19990719 20090826 C07C 68/02 20060101AFI20090806BHJP C07C 69/96 20060101ALI20090806BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090806BHJP JPC07C68/02 AC07C69/96 AC07B61/00 300 C07C 68/02 C07C 69/96 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特公昭45−035533(JP,B1) 特公昭48−007621(JP,B1) 特開平10−007572(JP,A) 特開平10−114715(JP,A) 英国特許出願公開第01299167(GB,A) BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,日本,1969年,Vol. 42,809-811 3 2001089414 20010403 7 20060628 水島 英一郎 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、農医薬中間体などの有機化合物合成時の保護基としてよく使用される、tert-ブトキシカルボニルクロリド(BOC-クロリド)の製造方法に関し、またそれを用いた有機中間体の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、BOC-クロリドの製造法としては、tert-ブチルアルコールとホスゲンをエーテル系溶媒下、ピリジンまたは2-もしくは3-ピコリンを塩基として用い、反応温度を-25〜-15℃、熟成温度-15〜-5℃で行う事により、80〜85%の収率でBOC-クロリドを得る方法(特開平10-114715)が知られている。【0003】【発明が解決しようとする課題】農医薬中間体の保護基としてBOCを導入する場合、BOC2Oが用いられるが、BOC2Oは高価であるため、より安価にBOC化できる方法が求められていた。BOC-クロリドはエーテル系溶媒での製造方法が知られているが、エーテル系溶媒では工業的に危険であり、また回収が難しいので、より工業的に有利な溶媒(例えばトルエン等)でのBOC-クロリドの合成が望まれていた。しかし、特開平10-114715に記載のピリジンまたは2-もしくは3-ピコリンを塩基として用いると、トルエン溶媒ではBOC-クロリドの収率は大幅に低下する事が判った。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題について詳細に検討した結果、工業的に使用しやすいベンゼン系溶媒を用いても従来と同等以上の収率で目的物を容易に得られる条件を見い出し、本発明を完成するに至った。【0005】即ち、本発明は、tert-ブチルアルコールとホスゲンを、ベンゼン系溶媒中、式[I]【化4】(式中、R1はハロゲン原子もしくはC2〜C4アルキルを表し、R2は水素原子、メチル基、エチル基を表す。)で表されるピリジン類の存在下、-40〜0℃で反応させる事を特徴とするtert-ブトキシカルボニルクロリドの製造方法である。また、0℃以下で反応液を水で洗浄する事を特徴とするtert-ブトキシカルボニルクロリドの製造方法である。また、上記方法で得られたtert-ブトキシカルボニルクロリドをもちいることを特徴とするアミン類、アミノ酸類、およびアルコール類のBOC化方法である。【0006】【発明の実施の形態】R1としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル等のアルキル基が挙げられる。本発明に使用されるピリジン類としては、具体的に2-エチルピリジン、5-エチル-2-ピコリンが挙げられる。ベンゼン系溶媒としては、置換されていてもよいベンゼン、たとえばベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられるがトルエンが好ましい。反応のモル比は、tert-ブタノール1モルに対し、ホスゲン0.7〜1.5モルであり、より好ましくは0.9〜1.1 モルである。塩基は1.0〜3.0モル、好ましくは1.1〜1.3モルである。反応温度については、-40〜0℃、好ましくは-25〜-5℃であり、その後反応の熟成を-20〜-5℃で行うと、比較的短い時間で反応を行う事が出来る。この際、温度が0℃より高くなると、BOC-クロリドが分解し、収率の低下をきたすため、好ましくない。【0007】反応は tert-ブチルアルコールとホスゲンをベンゼン系溶媒に溶解し、ベンゼン系溶媒に溶解したピリジン類を滴下させ、熟成する事により行われる。【0008】反応中に生じた塩基の塩酸塩は、濾別して取り除くこともできるが、工程の短縮、塩基の回収の効率上、0℃以下で水を反応溶媒に対して0.05〜100倍、好ましくは0.1〜1倍加え、水層を分離することによって、反応溶媒から取り除く方が有利である。水層中の塩基は、水分を除くことで再利用可能である。【0009】こうして得られたベンゼン系溶媒中のBOC-クロリドは溶媒とともに、農医薬中間体等の有機中間体の保護基として使用することが出来る。該有機中間体としてはアミン類、アミノ酸類あるいはアルコール類が挙げられ、アミン類としては、3−ヒドロキシピロリジン、ピペラジン誘導体、アミノチアゾリルペンテン酸等、アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、グルタミン酸、バリン、4-ヒドロキシプロリン、3-ヒドロキシピロリジン、アミノフェニル酪酸等、アルコール類としては、フェノール等のフェノール系アルコールが挙げられる。【0010】【実施例】以下に実施例を挙げ本発明を詳細に説明する。生成物についてはMS、NMR、HPLCで同定、定量を行った。【0011】比較例1(BOC-クロリドの製造)ホスゲン20g(0.2mol)をtert-ブチルアルコール16.5g(0.22mol)含有トルエン溶液200mlに吹き込み、-20℃に冷却撹拌下、2-ピコリン19.0g(0.24mol)含有トルエン溶液60gを約1時間かけ、徐々に滴下した。その後、温度を-10℃まで上げ、ホスゲンが消失するまで約5時間熟成撹拌した。反応終了後、副生したピリジン塩酸塩を濾別して少量のトルエンで洗浄し、BOC-クロリドのトルエン溶液を収率50%(対tert-ブタノール)で得た。保存は-20℃のフリーザー中で行った。【0012】実施例1(BOC-クロリドの製造)ホスゲン16.6g(0.168mol)をtert-ブチルアルコール11.9g(0.16mol)含有トルエン溶液160mlに吹き込み、-20℃に冷却撹拌下、5-エチル-2-ピコリン23.3g(0.192mol)含有トルエン溶液50gを約1時間かけ、徐々に滴下した。その後、温度を-10℃まで上げ、ホスゲンが消失するまで約2時間熟成撹拌した。反応終了後、副生したピリジン塩酸塩を濾別して少量のトルエンで洗浄し、BOC-クロリドのトルエン溶液を収率88%(対tert-ブタノール)で得た。保存は-20℃のフリーザー中で行った。【0013】実施例2(BOC-クロリドの製造)ホスゲン16.6g(0.168mol)をtert-ブチルアルコール11.9g(0.16mol)含有メシチレン溶液160mlに吹き込み、-20℃に冷却撹拌下、5-エチル-2-ピコリン23.3g(0.192mol)含有メシチレン溶液50gを約1時間かけ、徐々に滴下した。その後、温度を-10℃まで上げ、ホスゲンが消失するまで約2時間熟成撹拌した。反応終了後、副生したピリジン塩酸塩を濾別して少量のメシチレンで洗浄し、BOC-クロリドのメシチレン溶液を収率84%(対tert-ブタノール)で得た。保存は-20℃のフリーザー中で行った。【0014】実施例3(BOC-クロリドの製造)ホスゲン31.2g(0.315mol)をtert-ブチルアルコール22.2g(0.30mol)含有トルエン溶液300mlに吹き込み、-20℃に冷却撹拌下、5-エチル-2-ピコリン43.6g(0.360mol)含有トルエン溶液50gを約1時間かけ、徐々に滴下した。その後、-20℃で熟成を行い、ホスゲンが消失するまで約4時間熟成撹拌した。反応終了後、副生したピリジン塩酸塩を濾別して少量のトルエンで洗浄し、BOC-クロリドのトルエン溶液を収率90%(対tert-ブタノール)で得た。保存は-20℃のフリーザー中で行った。【0015】実施例4(BOC-クロリドの製造)ホスゲン15.9g(0.16mol)をtert-ブチルアルコール11.9g(0.16mol)含有トルエン溶液160mlに吹き込み、-20℃に冷却撹拌下、2-エチルピリジン 20.6g(0.192mol)含有トルエン溶液50gを約1時間かけ、徐々に滴下した。その後、温度を-10℃まで上げ、ホスゲンが消失するまで約3時間熟成撹拌した。反応終了後、副生したピリジン塩酸塩を濾別して少量のトルエンで洗浄した。BOC-クロリドのトルエン溶液を収率91%(対tert-ブタノール)で得た。保存は-20℃のフリーザー中で行った。【0016】実施例5(BOC-クロリドの製造(水による塩基の除去))ホスゲン31.2g(0.315mol)をtert-ブチルアルコール22.2g(0.30mol)含有トルエン溶液200mlに吹き込み、-5〜0℃(主に‐3℃)に冷却撹拌下、5-エチル-2-ピコリン43.6g(0.36mol)含有トルエン溶液78gを約1時間かけ、徐々に滴下した。その後、-5〜0℃(主に-2℃)で熟成を行い、ホスゲンが消失するまで約3時間熟成撹拌した。反応終了後、0℃に冷却下、冷却した水20mlを投入し、5分間攪拌すると副生した5-エチル-2-ピコリン塩酸塩が溶解する。5分間静置後、二層に分液し水層を分離する事で、ボッククロリドのトルエン溶液240.1g(21.0wt%)を収率80%(対tert-ブタノール)で得た。保存は-20℃のフリーザー中で行った。また水層は28%苛性ソーダ水溶液55gを加え、アルカリ性(pH 13.7)にすると、二層に分液し、水層を分離する事で、回収5-エチル-2-ピコリン48.1g(純分87.5wt%、水分10.0wt%、トルエン2.5wt%)を回収率96.5%で得た。得られた回収5-エチル-2-ピコリンは共沸脱水により水分を除く事で再利用可能である。【0017】実施例6(BOC-クロリドの製造(水による塩基の除去))ホスゲン29.7g(0.30mol)をtert-ブチルアルコール22.2g(0.30mol)含有トルエン溶液200mlに吹き込み、-5〜0℃(主に‐2℃)に冷却撹拌下、2-エチルピリジン35.4g(0.33mol)含有トルエン溶液70gを約1時間かけ、徐々に滴下した。その後、-5〜0℃(主に-1℃)で熟成を行い、ホスゲンが消失するまで約3時間熟成撹拌した。反応終了後、0℃に冷却下、冷却した水20mlを投入し、5分間攪拌すると副生した2-エチルピリジン塩酸塩が溶解する。5分間静置後、二層に分液した水層を分離する事で、ボッククロリドのトルエン溶液239.2g(22.1wt%)を収率85%(対tert-ブタノール)で得た。保存は-20℃のフリーザー中で行った。また水層は28%苛性ソーダ水溶液51gを加え、アルカリ性(pH 13.8)にすると、二層に分液し、水層を分離する事で、回収2-エチルピリジン38.9g(純分84.9wt%、水分14.1wt%、トルエン0.9wt%)を回収率93.3%で得た。また水層をトルエン20mlで再抽出する事で回収率は96.3%まで向上した。得られた回収2-エチルピリジンは共沸脱水により水分を除く事で再利用可能である。【0018】実施例7(N-tert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシプロリンの製造)4-ヒドロキシプロリン3.9g(30mmol)を水30mlに溶解し、0℃に冷却攪拌下、ボッククロリドトルエン溶液31.5g(15.6wt%, 36mmol)を添加する。次に0℃で28%NaOH水溶液9.4g(66mmol)を約1時間かけて滴下し、0℃で3時間熟成攪拌した。反応液についてHPLC分析を行なうと、N-tert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシプロリンの生成率は86.2%であった。反応終了後、反応液を分液し、得られた水層(pH8)は10%KHSO435mlを用いてpH2.5とする。この水溶液は酢酸エチル(計400ml)を用いて3回抽出し、得られた酢酸エチル層は硫酸マグネシウムにより脱水し、ろ過、濃縮した。濃縮液はヘキサン30mlを加え攪拌する事で結晶化した。得られた結晶はろ過し、30℃で3時間ポンプ乾燥する事でN-tert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシプロリン5.6g(純度99.6%、m.p.124-125℃)、収率81%で得た。【0019】実施例8(N-tert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシプロリンの製造)4-ヒドロキシプロリン3.9g(30mmol)を水30mlに溶解し、8%NaOH水溶液33.0g(66mmol) を添加する。次に0℃に冷却攪拌下、ボッククロリドトルエン溶液31.7g(15.5wt%, 36mmol)を20分かけて滴下し、0℃で3時間熟成攪拌した。反応液についてHPLC分析を行なうと、N-tert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシプロリンの生成率は75.1%であった。反応終了後、反応液を分液し、得られた水層(PH8)は10%KHSO435mlを用いてPH2.5とする。この水溶液は酢酸エチル(計400ml)を用いて3回抽出し、得られた酢酸エチル層は硫酸マグネシウムにより脱水し、ろ過、濃縮した。濃縮液はヘキサン30mlを加え攪拌する事で結晶化した。得られた結晶はろ過し、30℃で3時間ポンプ乾燥する事でN-tert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシプロリン4.9g(純度99.7%、m.p.124-125℃)、収率70%で得た。【0020】実施例9(N-tert-ブトキシカルボニル-3-ヒドロキシピロリジンの製造)4-ヒドロキシプロリン13.1g(100mmol)とメシチルオキシド0.49g(5mmol)をジグライム50mlに混和し、窒素気流下、155℃で4時間加熱還流を行なう。得られた反応液はウイドマー型精留管を用い、ジグライムを蒸留回収する(0.4KPa / 30〜35℃)。この3-ヒドロキシピロリジンが主成分である残留物に28%NaOH水溶液14.3g(100mmol)を添加し、4〜6℃に冷却攪拌下、ボッククロリドトルエン溶液93.4g(19.0wt%, 130mmol)を15分かけて滴下し、4〜6℃で3時間熟成攪拌した。反応終了後、反応液を分液し、得られたトルエン層は濃縮し、アイソパーG 50mlを加え攪拌する事で結晶化した。得られた結晶はろ過し、室温で3時間減圧乾燥する事で、N-tert-ブトキシカルボニル-3-ヒドロキシピロリジン16.1g(純度99.5%、m.p.62-63℃)を4-ヒドロキシプロリンより収率86%で得た。【0021】実施例10(N-tert-ブトキシカルボニル-3-ヒドロキシピロリジンの製造)4-ヒドロキシプロリン26.2g(200mmol)とメシチルオキシド0.98g(10mmol)をジグライム90mlに混和し、窒素気流下、150℃で4時間加熱還流を行なう。得られた反応液を0℃に冷却し、塩酸ガスで飽和したイソプロパノール溶液10mlを滴下すると塩が析出し、これをろ過、ポンプ乾燥する事で3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩(22.97g、収率93.8%)を得た。この3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩の半量11.48g(983mmol)に4〜6℃で、28%NaOH水溶液28.0g(196mmol)を添加し、4〜6℃に冷却攪拌下、ボッククロリドトルエン溶液116.0g(15.3wt%, 130mmol)を15分かけて滴下し、4〜6℃で3時間熟成攪拌した。反応終了後、反応液を分液し、得られたトルエン層は濃縮した。この濃縮液にアイソパーG 50mlを加え攪拌する事で結晶化した。得られた結晶はろ過し、室温で3時間減圧乾燥する事で、N-tert-ブトキシカルボニル-3-ヒドロキシピロリジン15.3g(純度99.7%、m.p.61-62℃)を4-ヒドロキシプロリンより収率81.9%で得た。【0022】【発明の効果】本発明によれば、短時間、高収率でBOC-クロリドを製造する事が出来、またベンゼン系の溶媒を用いるため工業的規模でのBOC-クロリドの製造方法に適している。 tert−ブチルアルコールとホスゲンを、ベンゼン、トルエン及びキシレンから選択されるベンゼン系溶媒中、式[I](式中、R1はC2〜C4アルキルを表し、R2は水素原子、メチル基又はエチル基を表す)で表されるピリジン類の存在下、−40〜0℃で反応させる事を特徴とするtert−ブトキシカルボニルクロリドの製造方法。 tert−ブチルアルコールとホスゲンを、ベンゼン、トルエン及びキシレンから選択されるベンゼン系溶媒中、式[I](式中、R1はC2〜C4アルキルを表し、R2は水素原子、メチル基又はエチル基を表す)で表されるピリジン類の存在下、−40〜0℃で反応させ、更に0℃以下で反応液を水で洗浄する事を特徴とするtert−ブトキシカルボニルクロリドの製造方法。 ピリジン類が5−エチル−2−ピコリンもしくは2−エチルピリジンである請求項1又は2記載のtert−ブトキシカルボニルクロリドの製造方法。


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