タイトル: | 特許公報(B2)_洗浄剤組成物 |
出願番号: | 1999198673 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C11D 1/10,A61Q 5/02,A61Q 19/10,A61K 8/44,C11D 17/06 |
森 陽子 山本 晃弐 JP 4345144 特許公報(B2) 20090724 1999198673 19990713 洗浄剤組成物 新日本理化株式会社 000191250 森 陽子 山本 晃弐 20091014 C11D 1/10 20060101AFI20090917BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20090917BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20090917BHJP A61K 8/44 20060101ALI20090917BHJP C11D 17/06 20060101ALI20090917BHJP JPC11D1/10A61Q5/02A61Q19/10A61K8/44C11D17/06 C11D1/10〜C11D19/00 A61K8/00〜A61K8/99 A61Q1/00〜A61Q90/00 B01F7/00〜B01F17/56 特開平04−345698(JP,A) 特開平05−140059(JP,A) 特開平06−108090(JP,A) 特開昭57−067698(JP,A) 特公平05−088919(JP,B2) 特開平06−321876(JP,A) 特開平04−345699(JP,A) 特開平04−351700(JP,A) 特開昭59−051245(JP,A) 特開2000−136172(JP,A) 特開2001−026795(JP,A) 米国特許第02438091(US,A) 7 2001026795 20010130 14 20060703 安藤 達也 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、洗浄剤組成物に関する。より詳しくは、低刺激性で、生分解性、起泡性及び泡質に優れ、洗い上がりの感触が良好な皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物に関する。【0002】【従来の技術】従来、ボディソープや洗顔料等の皮膚用洗浄剤の主剤として、石鹸が広く使われてきた。石鹸は、安価で起泡性やさっぱりとした使用感に優れるが、洗い上がりのつっぱり感や、pHが高いことに起因する皮膚に対する刺激性が問題となっており、より刺激性の低い洗浄剤が求められるようになってきている。【0003】そのような洗浄剤組成物として、例えば石鹸を使用せずにポリオキシエチレンアルキルエ−テル酢酸塩型陰イオン界面活性剤、スルホコハク酸エステル塩型陰イオン界面活性剤、脂肪族アシルアミノ酸系陰イオン界面活性剤のような低刺激性の陰イオン界面活性剤を主剤とする等の試みがなされているが、これらの低刺激性陰イオン界面活性剤を主剤として配合した洗浄剤組成物は、石鹸を主剤としたものと比較して起泡性や泡質が弱く、また、すすぎ時のぬるつきが石鹸と比較して強いため、皮膚用洗浄剤の主剤として必ずしも満足のできるものではなかった。又、このような低刺激性陰イオン界面活性剤の起泡性や泡質を改善するための方法として、ベタイン型やイミダゾリン系の両性界面活性剤の配合が挙げられるが、これらは他の陰イオン界面活性剤との相乗効果によって強い増泡効果や増粘効果を示す反面、ぬるつきが強く、特に皮膚用洗浄剤に用いた際には、すすぎ時のぬるつき感を強め、使用感を著しく損なうという欠点があった。【0004】一方、N−アルキルアスパラギン酸塩を水洗トイレ用の洗浄剤に使用できることが特開平4−345698等に記載されているが、該界面活性剤の皮膚用や頭髪用洗浄剤への使用を検討した例は未だ開示されていない。【0005】また、米国特許第2438091号にはN−アルキルアスパラギン酸ジエステルの塩酸塩の製造方法が開示されており、これをシャンプーやクレンジング剤に使用できることが特表平8−512051及び特表平10−505061に記載されている。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、ほぼ中性領域で使用できる、低刺激性で、生分解性、起泡性、泡質に優れ、さっぱりとした使用感を有する皮膚用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、両性界面活性剤であるN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩は、低刺激性であり、起泡性や生分解性に優れ、ベタイン型両性界面活性剤やイミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤のような、他の両性界面活性剤に見られるすすぎ時のぬるつき感がなく、ほぼ中性領域に近いpHを示し、しかも石鹸と似たさっぱりとした使用感を与えるため、皮膚用洗浄剤の主成分として非常に有用であることを見いだした。【0008】又、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩を、他の陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン界面活性剤と混合することで、良好な低刺激性、生分解性及び起泡性を維持したまま、さっぱりした感触を与える皮膚用洗浄剤組成物を提供できることを見いだした。【0009】しかも、従来の頭髪用洗浄剤の主剤として汎用されてきた陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン界面活性剤を主剤とし、本発明のN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩を第二剤的に使用することで、低温安定性や起泡性に優れた頭髪用洗浄剤組成物を提供できることを見いだした。【0010】即ち、本発明に係る皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物は、一般式(1)[式中、Rは炭素数8〜22の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、2つのMは同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンを表す。]で表されるN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の一種又は二種以上を必須成分として配合することを特徴とする。本発明の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物は、更に、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、半極性界面活性剤から選ばれた1種又は2種以上の界面活性剤を含有していてもよい。【0011】【発明の実施の形態】本発明に係る一般式(1)で表されるN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩において、Rで表されるアルキル基又はアルケニル基は、炭素数8〜22の直鎖又は分枝鎖のアルキル基又はアルケニル基である。Rの炭素数が8未満であると良好な起泡性及び洗浄力が得られない。また、Rの炭素数が22を超えると、洗浄剤組成物の起泡性、水溶性及び温度安定性が悪化するおそれがある。具体的なRとしては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、イソステアリル基、イコシル基、ベヘニル基、ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、パーム油アルキル基、大豆油アルキル基等が例示される。【0012】又、該化合物を構成する2つのMは、同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンである。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが例示される。有機アンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、塩基性アミノ酸のアンモニウムイオン等が例示される。【0013】本発明に係るN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩において、Mは水素原子と上記の水素原子以外のイオンとからなるものが好ましい。即ち、2つのMが両方とも水素原子であるもの、2つのMの一方が水素原子で他方が水素原子以外のイオンであるもの及び/又は2つのMが両方とも水素原子以外のイオンであるものが、混在してなるものが好ましい。このとき、Mにおける水素原子と水素原子以外のイオンとの比は、皮膚用又は頭髪用洗浄剤に適した中性に近いpHと、適度な水溶性及び低温安定性を得るために、当量比で水素原子/水素原子以外のイオン=3/1〜1/3であることが好ましく、より好ましくは2/1〜1/2であり、特に1.5/1〜1/1.5であることが好ましい。【0014】係るN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩として、N−オクチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−オクチルアスパラギン酸一カリウム、N−デシルアスパラギン酸一ナトリウム、N−デシルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ラウリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一カリウム、N−ステアリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ステアリルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一ナトリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一カリウム、N−アラキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−アラキルアスパラギン酸一カリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン等が例示される。【0015】これらの中でも、優れた起泡性、水溶性及び低温安定性を有する水溶液状又はペースト状の液体洗浄剤に好適なものとして、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一カリウムが推奨される。【0016】又、固形状又は粉末状の固体洗浄剤に使用する場合は、上記液体洗浄剤に好適なものとして例示したものも使用できるが、吸湿性が小さくクラフト点の高い界面活性剤がより適しており、これに好適なものとしては、N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一ナトリウムが例示される。【0017】本発明に係るN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の製造方法は、特に限定しないが、例えば、マレイン酸又はその塩を水及び/又は水と親和性を示す有機溶媒中で高濃度下に相当する脂肪族第一級アミンと加熱して付加反応させ、反応後溶媒を減圧留去して乾燥し、次いでこの乾燥粗物を粉砕して残存する未反応の脂肪族第一級アミンを溶媒で加熱洗浄除去し、最後に減圧乾燥することで、容易に固体状の精製物として得ることができる。その他、特開平5−140059号記載の方法によっても製造できる。【0018】本発明に係るN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩は、本発明の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物に、1種のみを配合しても良いし、2種以上を適宜組み合わせて配合しても良い。【0019】本発明の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物は、水溶液状やペースト状の液体洗浄剤組成物、又は、固形状や粉末状といった固体洗浄剤組成物として提供される。【0020】本発明の水溶液状やペースト状の液体洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の固体状物を、必要に応じて他の界面活性剤と共に、水に加えて均一に溶解させることにより得ることができる。係る液体洗浄剤組成物において、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の含有量は、特に限定されるものではないが、有効成分として2〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%とすることにより、配合の効果が実感できる。【0021】又、本発明の固形状又は粉末状の固体洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、粉末状の固体洗浄剤組成物は、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の粉末状物をそのまま、又は必要に応じて他の粉末状の界面活性剤とドライブレンドする方法や、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩を、必要に応じて他の界面活性剤と共に適量の水に加えて混合し、一旦高濃度ペースト状物とし、次いでこれを噴霧乾燥する方法等により得ることができる。又、固形状の固体洗浄剤組成物は、例えば、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩に、必要に応じて他の界面活性剤と共に、少量の水を加えてニートソープ状に練り、これを型枠等に入れて成形することにより得ることができ、その他常法に従って製造することができる。係る固体洗浄剤組成物において、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩は、1〜100重量%の範囲で使用することができる。【0022】本発明の洗浄剤組成物は、上記のN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩に、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれた一種又は二種以上の界面活性剤を配合することにより、低刺激性で、生分解性、低温安定性、起泡性、泡質及び使用感により優れた洗浄剤組成物が得られる。【0023】本発明に係る陰イオン界面活性剤としては、特にその種類を限定するものではなく、例えば炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するアルキル(又はアルケニル)硫酸塩、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜5)アルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩[()内の数値はエチレンオキシドの平均付加モル数、以下同様]、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン(1〜5)脂肪酸モノエタノールアミドエーテル硫酸塩、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜5)スルホコハク酸モノアルキル(又はアルケニル)エーテルエステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、炭素数8〜20の親油基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数8〜18の脂肪酸由来の脂肪酸塩、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜7)アルキル(又はアルケニル)エーテル酢酸塩、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドエーテル酢酸塩、炭素数8〜18の脂肪酸由来の脂肪族アシルアミノ酸塩(アシルグリシン塩、アシルサルコシン塩、アシルアラニン塩、アシル−N−メチルアラニン塩、アシル−L−グルタミン酸塩、アシル−L−アスパラギン酸塩)、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するN−脂肪族アシル−N−メチルタウリン塩、イセチオン酸エステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するモノアルキルリン酸エステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレン(1〜7)モノアルキルエーテルリン酸エステル塩等が例示される。【0024】これらの陰イオン界面活性剤の内、液体洗浄剤の用途では、アルキル基及びアシル基としてラウリル基、ミリスチル基、ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、ラウロイル基、ミリストイル基、ヤシ油脂肪酸アシル基、パーム核油脂肪酸アシル基を有し、対イオンがナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミンであるものが好ましい。中でも、皮膚用液体洗浄剤の用途に要求される性能(低温安定性、起泡性、低刺激性、使用感)の内、少なくとも複数の性能に優れるものとして、N−ラウロイルグリシン(又はサルコシン)ナトリウム、N−ラウロイルグリシン(又はサルコシン)トリエタノールアミン、N−ラウロイルアラニン(又はN−メチル−β−アラニン)ナトリウム、N−ラウロイルアラニン(又はN−メチル−β−アラニン)トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム(又はカリウム)、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)カリウム、ポリオキシエチレン(1〜5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(1〜5)ラウリルエーテル酢酸カリウム、ポリオキシエチレン(1〜5)スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(1〜5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(1〜5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドエーテル硫酸ナトリウム等が推奨される。【0025】また、これらの陰イオン界面活性剤の内、固体洗浄剤の用途では、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム、N−パルミトイル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム、N−オレオイル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム、N−牛脂肪酸アシル−L−グルタミン酸(又はアスパラギン酸)ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルグリシン(又はサルコシン)ナトリウム、ミリストイルアラニン(又はN−メチル−β−アラニン)ナトリウム等が推奨される。【0026】これらの陰イオン界面活性剤を本発明の皮膚用洗浄剤組成物に配合する場合、その配合量としては、該組成物が液体の場合0.5〜25重量%、固体の場合0.5〜99重量%が例示される。これらの陰イオン界面活性剤は、脂肪酸塩を除き、程度の差はあるものの何れも皮膚洗浄後のすすぎ時にぬるつき感を与えるものであるので、本発明の皮膚用洗浄剤組成物に配合する場合、その配合率は、各々の性質や性能に応じて適正量は異なる。【0027】又、これらの陰イオン界面活性剤は、脂肪酸塩を除き、頭髪用洗浄剤に主剤として常用されており、本発明の頭髪用洗浄剤組成物の主剤として配合することができる。このときの配合率は、各々の性質や性能に応じて適正量は異なるが、該組成物が液体の場合2〜40重量%、固体の場合0.5〜99重量%が例示される。【0028】本発明に係る両性界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、同じくアルキルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有する脂肪酸アミドプロピルベタイン、同じく脂肪酸アミドプロピルアミノヒドロキシスルホベタイン、炭素数8〜18を有する脂肪酸由来のイミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤が例示される。これらの中でも、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸又はヤシ油脂肪酸由来のイミダゾリニウムベタイン等が好ましい。これらの両性界面活性剤の配合量は、本発明の洗浄剤組成物が液体の場合、皮膚用では0.5〜20重量%、頭髪用では2〜40重量%、又、本発明の洗浄剤組成物が固体の場合、皮膚用では0.5〜49重量%、頭髪用では0.5〜99重量%が例示される。【0029】本発明に係る半極性界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシド、炭素数8〜18のアシル基を有する脂肪酸アミドプロピルアミンオキシドが例示される。中でも、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルアミンオキシド等が好ましい。これらの半極性界面活性剤の配合量は、本発明の洗浄剤組成物が液体の場合、皮膚用では1〜20重量%、頭髪用では2〜40重量%、又、本発明の洗浄剤組成物が固体の場合、皮膚用では0.5〜50重量%、頭髪用では0.5〜99重量%が例示される。【0030】本発明に係る非イオン界面活性剤としては、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するアルカノールアミド類及びこれらのエチレンオキシド1〜10モル付加物、炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレン(1〜20)アルキルエーテル、炭素数8〜14のアルキル基又はポリオキシエチレン(1〜7)アルキルエーテル基を有するアルキルポリグリコシド類が例示される。中でも、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂坊酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸モノエタノールアミド、及び前記モノエタノールアミド類のエチレンオキシド1〜7モル付加物、ポリオキシエチレン(1〜4)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(1〜15)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(1〜15)ヤシ油アルキルエーテル等が好ましい。これらの非イオン界面活性剤の本発明の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物への配合量は、0.2〜7重量%が例示される。【0031】本発明の洗浄剤組成物には、上記の必須成分に加えて洗浄剤に常用されている成分や添加剤を配合することも可能である。即ち、陽イオン界面活性剤、プロピレングリコール、グリセリン等の保湿剤、炭化水素やエステル等の油性剤、減粘剤、メチルポリシロキサン及びその誘導体やカチオン化セルロース等のコンディショニング剤、動植物のエキス及びその誘導体、有機酸、色剤、防腐剤、キレート剤、紫外線吸収剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。【0032】また、本発明の洗浄剤組成物において、その用途により適度な粘度を持つ液状の洗浄剤組成物を調製したい場合は、増粘剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。係る増粘剤としては、ポリオキシエチレン(60)セトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、ポリオキシエチレン(60)セチルステアリルジエーテル等のポリエーテル型増粘剤、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(150)、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(150)ペンタエリスリット、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(160)ソルビタン、ポリオキシエチレン(120)ジオイレン酸メチルグルコシド等のポリエーテルエステル型増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム等の水溶性高分子、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機塩等が例示される。これらの増粘剤は本発明の洗浄剤組成物に0.05〜5.0重量%配合することができる。【0033】尚、一般式(1)で表されるN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の二級アミノ基上の水素原子を、水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜3を有する短鎖アルキル基で置換した一連のN−長鎖アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩も、一般式(1)で表されるN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩と類似の効果を有すると考えられ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。【0034】かくして得られる洗浄剤組成物は、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料といった皮膚用洗浄剤や頭髪用洗浄剤として極めて優れたものであるが、その他にも使用時に人体に触れる可能性のある台所洗剤、ペット用洗浄剤等にも応用することができる。【0035】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。【0036】尚、実施例中で用いた各種N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸塩は次の如くして調製した。【0037】製造例1攪拌機、温度計、窒素導入管、真空ポンプに接続できる冷却管付きデカンターを備えた1L四つ口フラスコに無水マレイン酸137.3g(1.4モル)、水125.1gを入れ、加熱せずに1時間攪拌して水和した。水冷しながら水酸化カリウム82.7g(純度95%、1.4モル)を徐々に加えてマレイン酸一カリウム塩とした。ミリスチルアミン301.2g(1.4モル)を加えて、わずかに窒素を通気しながら湯浴中で昇温し、90〜97℃に加熱して10時間反応した。半固体状の反応粗物を一旦冷却後、徐々に真空に切り替え、90℃まで昇温しながら減圧脱水し、乾燥粗物とした。このものの未反応アミン含量4.12%から求めた反応率は92.9%であった。これを乳鉢で粉砕し、5重量倍の99.5%エタノール中で加熱洗浄し、室温まで冷却後不溶物を濾過で分取し、さらに減圧乾燥して目的とするN−ミリスチルアスパラギン酸一カリウムの粉末〜塊状の精製物を得た。精製歩留まりは87.8%で、未反応アミンの含有率は0.94%であった。【0038】製造例2表1に記載のN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸塩を製造例1と同様に調製し、実施例2〜6の化合物とした。但し、無水マレイン酸の水和に用いる水は、最終的に系中の目的物濃度が78〜80%となるに必要な量とした。【0039】又、実施例中の試験方法は次の如くして行った。【0040】(1)pH試料をイオン交換水で濃度5%になるように希釈して、25℃で測定した。【0041】(2)低温安定性有効成分濃度が20%又は25%になるようにイオン交換水で希釈して調製した試料を、−5℃〜10℃の温度範囲において2.5℃刻みに調整した低温恒温槽に入れ保存し、72時間後の状態を観察し、最低透明維持温度として測定した。【0042】(3)起泡性と泡安定性N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸塩単独の場合、試料濃度が0.3%になるようにイオン交換水又は水道水で希釈し、所定の硬度に調整して25℃でロス・マイルス法により直後及び5分後の泡高さを測定した。他の界面活性剤との混合組成物の場合は、水道水で濃度0.3%に希釈して測定した。【0043】起泡性は、直後の泡高さで、以下の4段階で評価した。◎ 230mm以上○ 200mm以上、230mm未満△ 170mm以上、200mm未満× 170mm未満【0044】泡安定性は、5分後の泡高さ/直後の泡高さの比で、以下の4段階で評価した。◎ 0.85以上○ 0.80以上、0.85未満△ 0.75以上、0.80未満× 0.75未満【0045】(4)ヒト皮膚パッチ試験濃度が0.5%になるように精製水で希釈した試料0.03gをフィンチャンバーを用いて、被験者の上腕屈側部に24時間閉塞貼付を行い、試料除去後1時間及び除去後24時間にそれぞれ皮膚の状態を観察してICDRG基準により判定を行った。【0046】(5)生分解性試験公共下水道局より入手した活性汚泥を用い、アニリンを標準物質として、修正MITI試験(I)により測定した。【0047】実施例1製造例1で得られたN−ミリスチルアスパラギン酸一カリウムを細かく砕いて粉末状とし、pH、低温安定性、起泡性及び泡安定性を測定した。その結果を表1に示す。【0048】実施例2〜6実施例1と同様に、表1に示すN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸塩を細かく砕いて粉末状とし、これらのpH、低温安定性、起泡性及び泡安定性を測定した。その結果を表1に示す。【0049】【0050】何れも中性付近のpHで優れた起泡性を示した。又、通常の水道水より高い硬水中でも起泡性は低下しなかった。更に、何れの場合も良好な泡安定性を示した。N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウム及びN−ヤシ油脂肪酸一カリウムは低温安定性が良好で、液体洗浄剤組成物の主剤として優れていることが判明した。【0051】尚、アルキル基を有し対イオンが一ナトリウムであるものは殆ど吸湿性がなく、アルキル基を有し対イオンが一カリウムであるもの及びオレイル基を有し対イオンが一ナトリウムであるものは弱い吸湿性があり、一方、オレイル基を有し対イオンが一カリウムであるものはやや強い吸湿性を示すが、何れも粉体化が可能であることから、固形状又は粉末状の合成石鹸、複合石鹸への応用が可能である。【0052】実施例7〜14N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウムを表2に示す比率で含有する粉末状の試料を調製し、そのpH、低温安定性、起泡性及び泡安定性を測定した。その結果を表2に示す。【0053】【0054】起泡性と泡安定性に優れるが低温安定性に劣るN−ミリスチルアスパラギン酸一カリウムも、低温安定性に優れるN−ラウリルアスパラギン酸一カリウムやN−オレイルアスパラギン酸一カリウム等と混合することで、双方の優れた性質を併せ持つ洗浄剤組成物を提供できることが判明した。【0055】実施例15〜17N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウムのヒト皮膚パッチ試験及び生分解性試験を実施した。その結果を表3に示す。【0056】【0057】いずれも皮膚に対し低刺激性で、生分解性も易分解性物質に分類されることがわかる。【0058】実施例18〜24N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム(A)と表4に示す第二界面活性剤(B)とを所定の組成比(合計濃度20重量%)で混合し、水を加えて100とし、皮膚用又は頭髪用の液体洗浄剤組成物を調製した。これらの低温安定性、pH、起泡性及び泡安定性を測定した。その結果を表4に示す。【0059】【0060】実施例25〜31N−オレイルアスパラギン酸一カリウム(C)と表5に示す第二界面活性剤(D)とを所定の組成比(合計濃度20重量%)で混合し、水を加えて100とし、皮膚用又は頭髪用の液体洗浄剤組成物を調製した。これらの低温安定性、pH、起泡性及び泡安定性を測定した。その結果を表5に示す。【0061】【0062】実施例32〜36表6に示した各成分を所定の組成比(合計濃度25重量%)で混合し、水を加えて100とし、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウムを含有する皮膚洗浄剤及び頭髪洗浄剤を調製した。これらのpH、低温安定性、起泡性及び泡安定性を測定した。その結果を表6に示す。【0063】【0064】実施例37〜41表7に示した各成分を所定の組成比(合計濃度25重量%)で混合し、水を加えて100とし、N−オレイルアスパラギン酸一カリウムを含有する皮膚洗浄剤及び頭髪洗浄剤を調製した。これらのpH、低温安定性、起泡性及び泡安定性を測定した。その結果を表7に示す。【0065】【0066】【発明の効果】本発明の洗浄剤組成物は、低刺激性且つ高生分解性であり、起泡性、泡質、使用感に優れており、固形石鹸、粉末石鹸、ハンドソープ、ボディソープ、洗顔料に代表される皮膚洗浄剤組成物に利用できる。又、頭髪用洗浄剤組成物に利用できる。 一般式(1)[式中、Rは炭素数8〜22の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、2つのMは同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]で表されるN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の一種又は二種以上を含有する皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物。 一般式(1)で表されるN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩中の2つのMが、水素原子及び、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンから選ばれる水素原子以外のイオンの一種又は二種以上とからなり、2つのMにおける水素原子と水素原子以外のイオンとの比が当量比で水素原子/水素原子以外のイオン=3/1〜1/3である、請求項1に記載の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物。 組成物の形態が水溶液状又はペースト状である、請求項1に記載の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物。 N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の含有量が5〜40重量%である、請求項3に記載の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物。 組成物の形態が固形状又は粉末状である、請求項1に記載の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物。 N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩の含有量が1〜100重量%である、請求項5に記載の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物。 更に、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれた1種又は2種以上の界面活性剤を含有する、請求項1に記載の皮膚用又は頭髪用洗浄剤組成物。