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タイトル:特許公報(B2)_樹脂注型装置
出願番号:1999197766
年次:2004
IPC分類:7,B29C39/44,B29C39/02,G01N11/00,G01N27/22


特許情報キャッシュ

槙島 聡 伊藤 善博 清水 敏夫 木下 晋 JP 3560858 特許公報(B2) 20040604 1999197766 19990712 樹脂注型装置 株式会社東芝 000003078 三好 秀和 100083806 三好 保男 100068342 岩▲崎▼ 幸邦 100100712 川又 澄雄 100100929 中村 友之 100108707 伊藤 正和 100095500 高橋 俊一 100101247 高松 俊雄 100098327 槙島 聡 伊藤 善博 清水 敏夫 木下 晋 20040902 7 B29C39/44 B29C39/02 G01N11/00 G01N27/22 JP B29C39/44 B29C39/02 G01N11/00 G G01N27/22 C 7 B29C 39/00 特開平10−202674(JP,A) 特開平09−055119(JP,A) 特開平06−270171(JP,A) 19 2001018240 20010123 14 20020222 須藤 康洋 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、例えばガス遮断器等電力機器に用いるブッシング、絶縁スペーサや樹脂モールドコイル、モールドバルブなどのエポキシ樹脂注型品を短時間で高速注型するのに適する樹脂注型装置に関する。【0002】【従来の技術】高速注型とは、エポキシ樹脂注型品を短時間で硬化成形する製造手法であり、一般に樹脂混合タンクと真空室を介して配管で接続された注型金型と、金型を駆動する金型開閉装置で構成される。【0003】注型樹脂にはシリカ粉やアルミナ粉を充填した反応性の高いエポキシ樹脂が用いられる。その成型手順の概要は、樹脂を混合タンク内で真空脱泡しながら硬化剤と攪拌混合する。金型内には、予め樹脂注型品内に埋設する予熱乾燥した金属導体やインサートを設置しておき、金型を真空室内で金型開閉装置によって閉鎖し、真空室を真空にした後、金型底部に設けられた注入口から、樹脂混合タンク内を加圧することによって、樹脂注入を行う。金型に樹脂が充填された後は、樹脂混合タンク側から0.1〜0.5MPa程度の樹脂圧力を与えたまま加熱硬化させる。通常、高速注型では注入前の樹脂温度をポットライフ(可使時間)を確保するために40〜60℃と低温に設定し、一方の金型には、短時間に硬化物を得るために120℃以上の高温が設定される。これにより、樹脂量10kg以上の大型の樹脂注型品を、20〜60分という非常に短時間で離型することができる。【0004】金型を開放し離型した樹脂注型品は、2次硬化炉に投入され、樹脂の反応が終了するまで完全に硬化される。【0005】【発明が解決しようとする課題】高速注型技術で、品質の高い樹脂注型品を得るためには、温度や圧力、時間などの製造条件を最適化するとともに、決定した製造条件を精密に管理し、硬化中の樹脂の粘弾性を正確に知る必要がある。高速注型技術は、樹脂の反応性が高く硬化発熱も大きくなるため、注入する樹脂の温度、圧力、注入速度などの条件の偏差や、金型の温度バランス、離型タイミングなどの製造条件の僅かなばらつきによって、樹脂注型品の耐クラック性、寸法精度、部分放電特性が大きく左右され、不良率の上昇を招く。金型内部の樹脂硬化のバランスがくずれると、樹脂注型品の残留応力は増大し、収縮マーク等の発生によって、耐クラック性能や寸法精度が低下し、応力による導体と樹脂間の剥離によって部分放電特性等の電気特性が著しく低下する。また、電界緩和用U字溝などの複雑な形状の樹脂注型品の場合には、特に、離型のタイミングが重要となる。離型のタイミングが早すぎると、離型に十分な強度を確保することができない。一方、離型タイミングが遅れ金型内で過剰に硬化を与えると、金型に拘束されれたまま樹脂の硬化収縮が進行するため、残留ひずみが生じ導体部の剥離によって部分放電特性が低下したり、クラックに至ることがある。【0006】高速注型技術において、製造条件を管理するには、金型内部の樹脂の硬化状態を正確に把握することが重要となるために、各種センサーによって検知する試みがある。例えば、圧力センサーを金型面に配置し、金型内圧を計測する場合があるが、樹脂のゲル化以降の硬化検出精度が悪くなる。また、熱電対などの温度センサーでは、製品を非破壊で硬化発熱を計測することが難しいという課題が残る。【0007】そこで、この発明は、非破壊で樹脂の硬化状態を正確に把握できる管理制御によって、品質の高い樹脂注型品が得られるようにした樹脂注型装置を提供することを目的としている。【0008】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、この発明の請求項1によれば、樹脂混合タンクと、真空室内に配置され前記樹脂混合タンク内からの注型樹脂が送り込まれる金型と、金型を開閉する金型開閉制御装置とを備えた樹脂注型装置において、前記金型内部の樹脂硬化中の反応挙動を検出する誘電センサと、その誘電センサから得られる誘電率、誘電損失係数、等価抵抗率等の誘電特性の変化に対応して樹脂の動的粘弾性を換算し、その換算パラメータに基づいてモニター表示する監視制御装置とを設ける。【0009】これにより、金型内部の樹脂の硬化状態が誘電特性の変化として計測され、その計測値から樹脂の粘弾性が、非破壊により正確にリアルタイムでモニター表示される。【0010】また、この発明の請求項2によれば、モニター表示する監視制御装置は、等価抵抗率から粘弾性への換算パラメータを、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサを用いて取得する。【0011】これにより、誘電特性による計測値から樹脂の粘弾性が迅速にリアルタイムで得られると共に、その結果がモニター表示される。。【0012】また、この発明の請求項3によれば、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、粘弾性の複素粘度と誘電特性の等価抵抗率とを相関パラメータとして扱う。【0013】これにより、誘電特性による計測値から樹脂の粘弾性が迅速にリアルタイムで得られると共に、その結果がモニター表示される。【0014】また、この発明の請求項4によれば、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、粘弾性の貯蔵剛性率及び損失剛性率と誘電特性の等価抵抗率とを相関パラメータとして扱う。【0015】これにより、誘電特性による計測値から樹脂の粘弾性が迅速にリアルタイムで得られると共に、その結果がモニター表示される。【0016】また、この発明の請求項5によれば、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、センサのプレート間距離を0.5〜3.0mmとして計測する。【0017】これにより、正確な計測結果が得られる。【0018】また、この発明の請求項6によれば、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、一定の樹脂硬化温度で相関データを取得する。【0019】これにより、実際の金型に近い等温硬化過程での樹脂の動的粘弾性及び誘電特性をが正確に得られる。【0020】また、この発明の請求項7によれば、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、測定時の温度環境に等速昇温のプログラムを与え相関データを取得する。【0021】これにより、粘弾性および誘電特性の温度依存性を加味した相関データが取得できると共に、試験の精度・再現性も高くなる。【0022】また、この請求項8によれば、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサを、エポキシ樹脂調合ロットの品質検査に用いる。【0023】これにより、製造ロットの健全性を短時間で検出できるようになる。【0024】また、この発明の請求項9によれば、誘電センサを、注型品の注入口部,樹脂体積の大きい肉厚部、クラックの発生しやすい弱点部に近接する金型に配置し、その情報に基づき金型開閉制御装置の開閉制御を行なう。【0025】これにより、樹脂硬化中の反応性や注型工程の条件に偏差が生じても、常に一定の値になった粘弾性の時に、樹脂注型品の製品離型が可能となる。【0026】また、この発明の請求項10によれば、誘電センサを、注型品の強度の弱点部に近接する金型に配置し、その情報に基づき製品離型のノックピンの制御を行なう。【0027】これにより、樹脂硬化中の反応性や注型工程上の条件に偏差が生じても、常に一定の値になった粘弾性の時に、樹脂注型品の製品離型が可能となる。【0028】また、この発明の請求項11によれば、誘電センサを、金型以外にも設けると共に、樹脂混合タンク内の樹脂硬化時の反応挙動を検出し、得られる等価抵抗率の変化から樹脂のポットライフを検知する。【0029】これにより、樹脂混合タンク内の樹脂のポットライフ(可使時間)を定量的に精密に管理することが可能となる。【0030】また、この発明の請求項12によれば、樹脂が金型を満たし、金型上部のエア抜き溝への到達点を誘電センサで検知し、その検知信号に基づいてストップバルブを制御し、樹脂の供給を停止する。【0031】これにより、注型工程での樹脂のゲル化点を検知することが可能となり、樹脂のリークを阻止する。【0032】また、この発明の請求項13によれば、樹脂が金型を満たし、金型上部のエア抜き溝への到達点を誘電センサで検知し、その検知信号に基づき注入側からの樹脂圧力を制御する。【0033】これにより、注型工程での樹脂のゲル化点を検知することが可能となり、樹脂のリークをストップバルブを用いることなく阻止する。【0034】また、この発明の請求項14によれば、誘電センサを、金型以外にも設けると共に、樹脂注入用配管内部の樹脂硬化時の反応挙動を検知し、得られる等価抵抗率の変化から配管内の樹脂粘度を一定に保つようヒータ温度を制御すると共に、樹脂のポットライフを検知する。【0035】これにより、樹脂注入用配管内部の樹脂の粘弾性を正確に検知することが可能となり、正確な注入が行なえる。また、樹脂注入用配管内の樹脂のポットライフ(可使時間)を定量的に精密に管理することが可能となる。【0036】また、この発明の請求項15によりば、誘電センサを、金型以外にも設けると共に、ダイナミックミキサーの混合状態を検知し、その検知信号に基づき、混合状態を管理する。【0037】これにより、ダイナミックミキサー内の最適な樹脂の混合状態を知ることが可能となり、注入時間や硬化時間を安定化させることができる。【0038】また、この発明の請求項16によれば、誘導センサを、金型以外にも設けると共に、スタティックミキサーの混合状態を検知し、その検知信号に基づき、混合状態を管理することを特徴とする。【0039】これにより、スタティックミキサー内の最適な樹脂の混合状態を知ることが可能となり、注入時間や硬化時間を安定化させることができる。【0040】また、この発明の請求項17によれば、誘電センサを、金型以外にも設けると共に、樹脂混合タンク内と樹脂注入用配管内部の樹脂硬化時の反応挙動を検出し、得られる等価抵抗率の変化から樹脂の金型への注入時間をコントロールする。【0041】これにより、樹脂注入用配管内部の樹脂硬化状態が適格に把握できるようになり、注入時間や硬化時間を安定化させることが可能となる。【0042】また、この発明の請求項18によれば、誘電センサを、注型品の注入口部、樹脂体積の大きい肉厚部、クラックの発生し易い弱点部に近接する金型に配置し、その情報に基づき樹脂硬化条件の時間的な偏差を金型ヒータの可変制御によって補償する。【0043】これにより、弱点部領域の樹脂硬化状態が適格に把握できるようになり、注入時間や硬化時間を安定化させることが可能となる。【0044】また、この発明の請求項19によれば、誘電センサを、注型品の注入口部やバリ部に設け、離型後の2次硬化工程の反応挙動を検出し、得られる等価抵抗率の変化から樹脂の剛性率をモニターし硬化の終点を検出する。【0045】これにより、2次硬化工程時の硬化状態を定量的に監視することが可能となり、樹脂の硬化終点を確実に正確に知ることができる。【0046】【発明の実施の形態】以下、図1乃至図3の図面を参照しながらこの発明の実施形態について、請求項に沿って具体的に説明する。【0047】図1は請求項1にかかる樹脂注型装置全体の概要図を示している。樹脂注型装置は、樹脂混合タンク1と、樹脂混合タンク1と真空室3を介して樹脂注入配管5で接続された金型7と、金型7を開閉制御する一対の金型開閉制御装置9とで構成され、樹脂混合タンク1と樹脂注入配管5は、ヒータ11によって約40〜60℃の範囲内に温度管理されている。【0048】注型樹脂13は、樹脂混合タンク1内において、真空ポンプ15と真空バルブ17の操作により真空脱泡しながら攪拌モータ19の動作により、ダイナミックミキサーとなる攪拌羽根21によって混合される。樹脂混合タンク1内の注型樹脂13は、送り出し用の樹脂圧力となる加圧バルブ23の調整によって0.1〜0.5MPaのエアー圧力が与えられると共に、樹脂注入バルブ25を開とすることで、金型7へ向けて注型樹脂13が送り出されるようになっている。【0049】なお、攪拌羽根21にかえて、主剤,硬化剤を別の配管からフィードし、多段のスリットを通して瞬間的に混合するスタティックミキサーであってもよい。【0050】金型7は、上部にストップバルブ27を有するエア抜き溝29を有し、金型ヒータ31によって約120℃に温度管理されている。金型7は、真空室3内に配置されると共に、油圧タイプの金型開閉制御装置9から延長されたシリンダ33によって支持ブロック35と一緒に、真空室3の上下壁3a,3aに沿って図面左右に開閉可能となっている。【0051】真空室3は、真空ポンプ37と真空バルブ39の操作により所定の真空状態に管理されるようになっている。【0052】金型7内には、上部のエア抜き溝29の近接部と底部の注入口41の近接部に樹脂の硬化状態を検知する誘電センサ43が設けられている。【0053】誘電センサ43は、樹脂の粘弾性を誘導率,誘電損失係数,等価抵抗率等の誘電特性として非破壊で計測し、その誘電特性の変化に対応して樹脂の動的粘弾性を換算する。これにより、誘電センサ43によって換算された換算パラメータに基づき、監視制御装置45によってモニター表示するようになっている。【0054】誘電センサ43は、図2に示すように、径の異なる円形状に形成された金属製の櫛型電極45をセラミック製の基板47の上に外側から中心へ向かってプリント配置した構造となっている。中心部には、熱電対49が設置されており、同時に温度計測が可能となっている。【0055】このように構成された樹脂注型装置において、図4の製造工程図に基づいて説明する。【0056】まず、材料受入検査を行ない、樹脂・硬化剤を貯蔵する(ステップ101,102)。次に、注型樹脂を予熱した後、注型樹脂13を樹脂混合タンク1で真空ポンプ15と真空バルブ17の操作により真空脱泡しながら攪拌モータ19の動作により攪拌羽根21によって混合する(ステップ103,104)。この時、樹脂の脱泡,注入の効率やポットライフ(可使時間)を考慮して樹脂混合タンク1と樹脂注入配管5をヒータ11によって40〜60℃に温度調節する。【0057】一方、平行して離型処理された金型7を予熱する(ステップ105、106)。続いて、金型7内に注型品内に埋め込む予熱乾燥した金属導体51をセットし、金型7を真空室3内で金型開閉制御装置9によって閉鎖し、真空ポンプ37と真空バルブ39の操作により真空室3を真空にする(ステップ107、108)。次いで、樹脂混合タンク1の真空を開放し、加圧バルブ23の操作により樹脂混合タンク1内を加圧する。これにより、金型7底部の注入口41から注型樹脂13が注入される(ステップ111、112)。金型7への樹脂充填完了後は、樹脂混合タンク1の加圧バルブ23を調整し0.1〜0.5MPaのエアー圧力を与えたまま金型ヒータ31の通電により加熱硬化させる(ステップ113)。樹脂の硬化状態は誘電センサ43により誘電特性の変化として樹脂の動的粘弾性として換算され、その換算パラメータに基づき、監視制御装置45によりリアルタイムてモニター表示される。次に、1次硬化後、離型する(ステップ114)。離型後、2次硬化炉内において2次硬化させ、加工・検査工程で終了となる(ステップ115、116)。これにより、モニター表示による最適な離型タイミングによって品質の高い樹脂注型品が得られるようになる。【0058】次に、請求項2記載の実施形態にあっては、図5に示すように、誘電特性と樹脂の粘弾性の関係を、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサ53(以下、DMA/DEAセンサと称す)によって迅速に取得できるようにしたものである。【0059】即ち、動的粘弾性測定治具55のガイドリング57に誘電センサ43をマウントし、ねじ59により固定する構成である。図6は、DMA/DEAセンサ53をA−A断面方向にモデル化したものである。測定の原理について説明する。動的粘弾性はヒータ61により温度制御されたパラレルプレート63間のポリマー65に正弦波の回転振動を与え、対向するパラレルプレート63でトルク検出を行い計測するもので、動的粘弾性測定治具55にDMA/DEAセンサ53を用い、同一環境で誘電特性と動的粘弾性を同時に取得する。【0060】これにより、金型内部の樹脂の動的粘弾性を非破壊で迅速に把握できる。【0061】次に、請求項3記載の実施形態にあっては、図7に示すように、Rheometrics社(米国ニュージャージー州)製動的粘弾性測定装置(商品名:ARES)を用い計測した注型樹脂硬化過程の動的粘弾性変化である。G−1は貯蔵剛性率、G−2は損失剛性率、ηは複素粘度をそれぞれ表す。図8は、DMA/DEAセンサ53によって図7と同一環境下で測定した等価抵抗率の変化を示したものである。誘電計測にはMicromet社製誘電体特性測定装置(商品名:ユーメトリックシステム3)を用いた。計測周波数を低く選択した場合、等価抵抗率Rは、R=1/σ=1/(ε″ε0 ω) …(式1)σ:電気伝導率 ε″:誘電損失係数ω:角周波数 ε0 :真空の誘電率で示される。同時計測によって、硬化中の注型樹脂の等価抵抗率は、粘弾性とよく似た挙動をとることが分かり、両時間軸を相殺し、粘弾性と誘電特性パラメータ間の相関性を求めたのが図9である。動的粘弾性と等価抵抗率は、比較的簡単な式2で表される。【0062】logG=AlogR+B …(式2)G:貯蔵剛性率G−1,損失剛性率G−2,複素粘度ηA,B:定数この実施形態では、図9における複素粘度と等価抵抗率との関係67によって求めた式2を用いることで、樹脂の粘弾性を迅速にモニター表示することが可能となる。【0063】次に、請求項4の実施形態にあっては、図9によって得られた等価抵抗率と剛性率の相関関係69,71と式2を用い、金型内部の樹脂の硬化状態を貯蔵剛性率および損失剛性率として樹脂の粘弾性を迅速にモニター表示することが可能となる。【0064】次に請求項5の実施形態にあっては、DMA/DEAセンサ53を用いて誘電特性と粘弾性を同時計測する時に、センサのプレート間距離を0.5〜3.0mmとして計測することで、正確な計測結果が可能となる。【0065】次に、請求項6の実施形態にあっては、樹脂の硬化過程における誘電特性および粘弾性の相関関係をDMA/DEAセンサ53を用い取得する際に、一定の樹脂硬化温度で相関データを取得する。図6におけるヒータ61に樹脂注型装置の金型7に与える温度に近似した等温制御を与え図7〜9に相当する相関データを得る。図7および図8の実施形態では樹脂硬化時間600秒以降を金型温度の120℃に制御し硬化特性を計測することで、正確な測定結果がリアルタイムで得られると共に、樹脂の粘弾性を迅速にモニター表示することが可能となる。【0066】次に、請求項7の実施形態にあっては、樹脂の硬化過程における誘電特性および粘弾性の相関関係をDMA/DEAセンサ53を用い取得する際に、センサ53の温度環境に等速昇温のプログラムを与える。図6におけるヒータ61に昇温制御を与えると、樹脂の粘弾性および等価抵抗率はよく似た温度依存性を示す。図7および図8の実施形態では、樹脂硬化時間600秒までに5℃/minの昇温を与え同時計測を行うことで、正確な測定結果が得られると共に、樹脂の粘弾性が迅速にモニター表示することが可能となる。【0067】次に、請求項8の実施形態にあっては、材料受け入れ検査工程で使用することで、正確に調合された材料となる。このことは、常に同じ粘弾性と誘電特性および両者の相関関係を持つ性質を利用することによるもので、製造ロットの健全性を短時間で検出可能となる。【0068】次に、請求項9の実施形態にあっては、注型品の注入口部、樹脂体積の大きい肉厚部、クラックの発生しやすい弱点部に近接する金型7にセンサを選択して配置することで、モニター表示により、製品は材料の反応性や各工程での条件偏差によらず常に同じ弾性率で製品を取り出すことが可能となる。【0069】次に、請求項10の実施形態にあっては、注型品の強度の弱点部に近接する金型7にセンサを配置することで、剛性率の発現を、モニター確認しながら離型ポイントを制御し、金型7を開閉した後、金型7から製品を離型するノックピンを制御する。これにより、モニター表示によって、製品は材料の反応性や各工程での条件偏差によらず常に同じ剛性率で製品を完全離型することが可能となる。【0070】次に、請求項11の実施形態にあっては、図10に示すように、樹脂混合タンク1内部の樹脂の反応挙動を、誘導センサ75によって粘弾性の1つである複素粘度をモニター管理することで、樹脂混合タンク1内の樹脂のポットライフ(可使時間)を精密に管理することが可能となる。【0071】次に、請求項12の実施形態にあっては、エポキシ樹脂注型品の注型工程において、注入された樹脂が金型7を満たし金型7上部のエアー抜き溝29を通過する点を誘電センサ43で検知することで、その情報からストップバルブ27を制御することによって、充填後の樹脂リークを防止することが可能となる。【0072】次に、請求項13の実施形態にあっては、エポキシ樹脂注型品の注型工程において、注入された樹脂が金型7を満たし金型7上部のエアー抜き溝29を通過する点を誘電センサ43で検知することで、その情報から樹脂注入バルブ25の制御と、続いて加圧バルブ23の制御とによって、充填後の樹脂リークを防止することが可能となる。【0073】即ち、誘電センサ43によって得られる等価抵抗率の変化を、モニター表示することにより、樹脂のゲル化点を検知する。一般に樹脂のゲル化は貯蔵剛性率と損失剛性率が一致する図7中の点77を指す。樹脂がゲル化を生じる前に過剰な圧力を与えると樹脂が金型上部からリークするため、前記の如く樹脂注入バルブ25を絞る。モニター表示により樹脂のゲル化点77を確認した後、再び樹脂注入バルブ25を開放し加圧バルブ23を調整し、樹脂圧力を高めるもので、本実施形態では樹脂注入自体を制御するため、ストップバルブ27を省略できるメリットが得られる。【0074】次に、請求項14の実施形態にあっては、図10に示す如く樹脂注入用配管5内部に誘電センサ79を配置し、得られる等価抵抗率の変化からの樹脂の複素粘度を推定しモニター表示することによって、配管内の樹脂粘度を一定に保たれるようヒータ11のヒータ温度を制御管理する。またモニター表示された樹脂粘度によって、配管5内の樹脂のポットライフ(可使時間)を正確に検知できるため、配管5の洗浄、交換の時期を正確に把握することが可能となる。【0075】次に、請求項15,16の実施形態にあっては、樹脂混合タンク1の注型樹脂7を、攪拌羽根21を持ったダイナミックミキサーで混合を行なうようにした請求項15に対し、請求項16では、ダイナミックミキサーにかえて、スタティックミキサーを用いたものである。特に、スタティックミキサーは、注型樹脂13の主剤、硬化剤を別の配管からフィードし多段のスリットを通して瞬間的に混合するもので、混合の信頼性を確保するためには、センサ75によるモニター管理が有効となる。【0076】次に、請求項17の実施形態にあっては、エポキシ樹脂注型品の注型工程における樹脂混合タンク1、配管5系から粘度情報を各センサ75,77で検出しモニター表示する。これらの情報を元に注型工程上、製品品質に影響する樹脂注入時間の制御を行うことで、樹脂の予反応による粘度上昇は、樹脂注入時間を遅延させるため、モニター表示された粘度特性を元に樹脂混合タンク1の加圧バルブ23を開閉操作することにより、タンク1内の樹脂押し出し圧力を可変制御して注入時間が一定の幅になるよう制御を行うことが可能となる。【0077】次に、請求項18の実施形態によれば、注型工程中の離型ポイントを精密に管理するもので、離型までの時間(1次硬化時間)の偏差を捉え、一定の時間幅に押さえる制御を行う。即ち、一般の注型工程では混合した樹脂の予反応によって1次硬化時間が短縮される傾向がある。この変化は、監視制御装置45によって正確にモニター表示される。硬化時間が変化する分を金型ヒータ31の温度を可変制御することにより、反応速度の偏差を金型温度によって補償することで、製品製作ごとの1次硬化時間を最小のふれ幅に管理するこができる。本実施形態では、金型温度を3〜5℃変化させることによって、硬化時間の偏差を1分以内に納めることが可能となる。【0078】次に、請求項19の実施形態にあっては、樹脂注型装置によって製造された注型品は、離型の後、エポキシ樹脂の反応が終了するまで2次硬化炉内で2次硬化される。この反応の終点を非破壊で検出するものである。【0079】即ち、図11に示すフィルムセンサ80を注型品と同時に発生する余剰樹脂、例えば注入口部やバリ部に埋め込み同時硬化させることにより硬化の終点を監視する。フィルムセンサ80には櫛形電極45をポリイミドフィルム81で被覆したものである。2次硬化中に得られる樹脂の剛性率が完全に飽和し、最終値に到達した点を終点とする。この管理方法によって使用したフィルムセンサ80は、加工工程で除去することが可能になると共に、樹脂の硬化終点検出値が正確に得られる。【0080】なお、本実施形態では、誘電計測から得られる等価抵抗率を動的粘弾性に換算する手法として図9から得られた近似式2を利用した。しかしながら、注型樹脂は、樹脂成分や充填材組成によっては式2のように直線関係が得られるケースはまれで、屈曲するケースがある。この場合は、適当な導関数を用い回帰することによって、また、粘弾性モニターパラメータの代替に、樹脂の反応率、ガラス転移温度や収縮率等の新しい相関パラメータを導入しても同じ作用、効果がある。この場合は、示差走査熱量計、PVT測定装置等の分析機を用い等価抵抗率との相関性を予め取っておくことが望ましい。【0081】【発明の効果】以上、説明したようにこの発明によれば、注型工程における樹脂の効果状態を精密に定量的に管理することが可能となるため、製造条件の偏差によらず、注型樹脂の耐クラック性、寸法精度、部分放電特性を改善し、品質の高い樹脂注型品が得られる。【図面の簡単な説明】【図1】この発明にかかる樹脂注型装置の概要説明図。【図2】誘電センサの平面図。【図3】誘電センサの側面図。【図4】樹脂注型品の製造工程図。【図5】DMA/DEAセンサの概要説明図。【図6】DMA/DEAセンサの原理説明図。【図7】注型樹脂硬化中の動的粘弾性の変化を示した説明図。【図8】注型樹脂硬化中の等価抵抗率の変化を示した説明図。【図9】注型樹脂硬化中の動的粘弾性と等価抵抗率との相関性を示した説明図。【図10】樹脂混合タンクと樹脂注入配管とに誘電センサを設けた図1と同様の説明図。【図11】フィルムタイプの誘電センサの説明図。【符号の説明】1 樹脂混合タンク3 真空室7 金型9 金型開閉制御装置13 注型樹脂43 誘電センサ45 監視制御装置 樹脂混合タンクと、真空室内に配置され前記樹脂混合タンク内からの注型樹脂が送り込まれる金型と、金型を開閉する金型開閉制御装置とを備えた樹脂注型装置において、前記金型内部の樹脂硬化中の反応挙動を検出する誘電センサと、その誘電センサから得られる誘電率、誘電損失係数、等価抵抗率等の誘電特性の変化に対応して樹脂の動的粘弾性を換算し、その換算パラメータに基づいてモニター表示する監視制御装置とを設けるようにしたことを特徴とする樹脂注型装置。 モニター表示する監視制御装置は、等価抵抗率から粘弾性への換算パラメータを、動的粘弾性/誘電特性同時計測センサを用いて取得することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、粘弾性の複素粘度と誘電特性の等価抵抗率とを相関パラメータとして扱うことを特徴とする請求項2記載の樹脂注型装置。 動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、粘弾性の貯蔵剛性率及び損失剛性率と誘電特性の等価抵抗率とを相関パラメータとして扱うことを特徴とする請求項2記載の樹脂注型装置。 動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、センサのプレート間距離を0.5〜3.0mmとして計測することを特徴とする請求項2記載の樹脂注型装置。 動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、一定の樹脂硬化温度で相関データを取得することを特徴とする請求項2、3、4、5のいずれかに記載の樹脂注型装置。 動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、測定時の温度環境に等速昇温のプログラムを与え相関データを取得することを特徴とする請求項2、3、4、5のいずれかに記載の樹脂注型装置。 動的粘弾性/誘電特性同時計測センサは、エポキシ樹脂調合ロットの品質検査に用いられることを特徴とする請求項2記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、注型品の注入口部,樹脂体積の大きい肉厚部、クラックの発生しやすい弱点部に近接する金型に配置され、その情報に基づき金型開閉制御装置の開閉制御を行なうことを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、注型品の強度の弱点部に近接する金型に配置され、その情報に基づき製品離型のノックピンの制御を行なうことを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、金型以外にも設けられると共に、樹脂混合タンク内の樹脂硬化時の反応挙動を検出し、得られる等価抵抗率の変化から樹脂のポットライフを検知することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、樹脂が金型を満たし、金型上部のエア抜き溝への到達点を検知し、その検知信号に基づいてストップバルブを制御し、樹脂の供給を停止することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、樹脂が金型を満たし、金型上部のエア抜き溝への到達点を検知し、その検知信号に基づき、注入側からの樹脂圧力を制御することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、金型以外にも設けられると共に、樹脂注入用配管内部の樹脂硬化時の反応挙動を検知し、得られる等価抵抗率の変化から配管内の樹脂粘度を一定に保つようヒータ温度を制御すると共に、樹脂のポットライフを検知することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、金型以外にも設けられると共に、ダイナミックミキサーの混合状態を検知し、その検知信号に基づき、混合状態を管理することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘導センサは、金型以外にも設けられると共に、スタティックミキサーの混合状態を検知し、その検知信号に基づき、混合状態を管理することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、金型以外にも設けられると共に、樹脂混合タンク内と樹脂注入用配管内部の樹脂硬化時の反応挙動を検出し、得られる等価抵抗率の変化から樹脂の金型への注入時間をコントロールすることを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、注型品の注入口部、樹脂体積の大きい肉厚部、クラックの発生し易い弱点部に近接する金型に配置され、その情報に基づき樹脂硬化条件の時間的な偏差を金型ヒータの可変制御によって補償するようにしたことを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。 誘電センサは、注型品の注入口部やバリ部に設けられ、離型後の2次硬化工程の反応挙動を検出し、得られる等価抵抗率の変化から樹脂の剛性率をモニターし硬化の終点を検出することを特徴とする請求項1記載の樹脂注型装置。


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