タイトル: | 特許公報(B2)_不活化X染色体の解析法 |
出願番号: | 1999194555 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12Q 1/68,C12Q 1/06 |
久保田 健夫 小嶋 牧子 涌井 敬子 福島 義光 野々山 恵章 外木 秀文 升野 光雄 今泉 清 島津 光伸 JP 4346162 特許公報(B2) 20090724 1999194555 19990708 不活化X染色体の解析法 三菱化学メディエンス株式会社 591122956 遠山 勉 100089244 松倉 秀実 100090516 川口 嘉之 100100549 久保田 健夫 小嶋 牧子 涌井 敬子 福島 義光 野々山 恵章 外木 秀文 升野 光雄 今泉 清 島津 光伸 20091021 C12N 15/09 20060101AFI20091001BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20091001BHJP C12Q 1/06 20060101ALN20091001BHJP JPC12N15/00 AC12Q1/68 AC12Q1/06 C12Q1/00-3/00 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) R. CUTLER ALLEN, et al,Am. J. Hum. Genet.,1992年,Vol.51,p.1229-1239 M. ZESCHNIGK, et al.,Human Molecular Genetics,1997年,Vol. 6, No. 3,p.387-395 5 2001017199 20010123 21 20060602 特許法第30条第1項適用 ヒューマン・ジェネティクス第104巻(1999年2月3日発行)第49−55頁に発表 長井 啓子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトアンドロジェン受容体(HUMARA)遺伝子のメチレーションに基づいてX染色体の不活化を解析する方法に関する。X染色体の不活化の解析は、細胞の異常な増殖性の検出、詳しくは、癌、免疫性疾患などのモノクローナルな細胞増殖の検出において有用な情報を提供するものである。【0002】【従来の技術】正常男性は、X染色体を細胞内に1本持つのに対し、正常女性は、X染色体を細胞内に2本持っている。女性におけるX染色体遺伝子量効果を正常化させるために、通常、両親から受け継がれた2本のX染色体の内いずれか一方がメチル化により不活化され発現量が制御されている。この制御は各細胞ごとにおこなわれるため、多くの場合、両親から受け継がれた2本のX染色体はランダムに不活化を受けている。しかしながら、ある特定の伴性遺伝性疾患の無症状女性保因者においては、異常を有するX染色体が活性化し、異常を有していないX染色体が不活化を受けている細胞は、X染色体上の異常に起因する細胞増殖性の異常からその細胞が増殖系から除かれるため、ランダムな不活化パターンから著しくはずれること、すなわち一方の親に由来するX染色体が主に不活化されている状態が観察されることが知られている。この現象を調べることは、伴性遺伝性疾患の保因者の検出や細胞増殖の均一性を検出する上で有用な情報を提供する。X染色体の不活化パターンを調べる方法としては、不活化型X染色体と活性型X染色体の複製のタイミングが異なることを利用して行う方法があるが、この場合は、あらかじめ2本あるX染色体を染色体レベルで構造的に区別できる場合に利用が限られている。また、アンドロジェン受容体遺伝子の多型トリヌクレオチド反復配列付近の制限酵素認識部位がメチル化されているか否かをメチル化感受性制限酵素を利用して調べる方法も報告されている(Allen et al., Am. J. Hum. Genet., 54, 1229-1239, 1992; Green et al., Hum. Genet., 97, 240-243, 1996)が、この方法では制限酵素処理の不完全性から結果を誤る場合がある。すなわち、制限酵素による完全な切断が困難であったり、制限酵素処理に慎重な操作が要求されたりすることがある。【0003】一方、メチル化感受性制限酵素を使用しないDNAのメチル化の解析法として、メチル化特異的PCRが報告されており、癌における異常メチル化の検出のために癌抑制遺伝子(p15、p16、E-cadherin、VHL、hMLH1)、Prader-Will/Angelman症候群の診断のために刷込み遺伝子(SNRPN)、及び、脆弱X症候群の診断のためにX連鎖遺伝子におけるメチル化の差異を検出するためのメチル化特異的PCR法の開発が報告されている。【0004】また、前立腺癌細胞において、アンドロジェン受容体の発現の喪失と、アンドロジェン受容体遺伝子プロモーターのCpGアイランドのメチル化との関連が、メチル化特異的PCRによりCpGアイランドのメチル化を解析することによって研究されている(Jarrad et al., Cancer Res., 58, 5310-5314, 1998)。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、再現性がよく臨床検査などに使用するのに適した、X染色体の不活化パターンを解析する方法を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、X染色体の不活化パターンを解析する新たな方法について、鋭意検討を行ったところ、X染色体に座位し多型性が認められているヒトアンドジェン受容体遺伝子の上流域CAGの繰り返し配列付近に存在する特定のメチル化部位に対してメチル化特異的PCR法を適用することによってX染色体の不活性パターンを解析できることを見いだし、本発明を完成した。【0007】本発明は、アンドロジェン受容体遺伝子のメチル化を、メチル化特異的PCRにより解析し、解析結果に基づいてX染色体の不活化の状態を検出することを含み、メチル化特異的PCRに使用されるプライマーが、ヒトアンドロジェン受容体遺伝子のCAGの繰り返し数多型を含む領域の塩基配列を増幅でき、かつ、配列番号9に示す塩基配列において199位、203位及び206位、又は、296位、300位、312位及び315位に相当する位置のシトシン塩基のメチル化に特異的になるように設定されたものであることを特徴とする、X染色体の不活化の解析法(以下、本発明解析法ともいう)を提供する。【0008】本発明解析法において、メチル化特異的PCRに使用されるプライマーは、好ましくは、さらに、配列番号9に示す塩基配列において509位、515位及び534位に相当する位置のシトシン塩基のメチル化に特異的になるように設定されたものである。【0009】本発明解析法において、メチル化特異的PCRに使用される好ましいプライマーとしては、配列番号1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号7に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせ、並びに、配列番号4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせ、あるいは、メチル化特異的PCRに使用されるプライマーは、配列番号2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号7に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせ、並びに、配列番号5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせが挙げられる。【0010】また、本発明は、本発明解析法でX染色体の不活化を解析し、クロナリティーを検出する際に、同一人物由来の複数の試験物のX染色体の不活化パターンを比較することによってクロナリティーを検出することを特徴とする、クロナリティーの検出方法を提供する。【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。【0012】本発明解析法は、NUMARA遺伝子座中の多重CpGジヌクレオチドおよびCAGトリヌクレオチド反復要素を含む単位のPCR増幅法に基づく(図1)。メチル化特異的(AR-M)プライマーによる増幅は、CpGジヌクレオチドがメチル化されている場合に起こり、そして、この領域のメチル化はX不活性化に相関しているので、産物はX染色体が不活性の場合のみに得られる。同様に、非メチル化特異的(AR-U)プライマーによる増幅は、CpGジヌクレオチドがメチル化されていない場合に起こり、産物はX染色体が活性の場合のみに得られる。母系および父系のX染色体は反復要素の多型により区別できる。ランダムX活性化の女性においては、母系および父系の不活性X染色体がAR-Mプライマーにより等しく増幅される(図1のA)。同様に、非ランダムX活性化の女性では、一方の親に由来する、より一般的に不活化されたX染色体がAR-Mプライマーにより増幅され、一方、他方の親に由来する、より一般的に活性化されたX染色体がAR-Uプライマーにより増幅される(図1のB)。【0013】本発明解析法は、ヒトアンドロジェン受容体(HUMURA)遺伝子のメチル化を、メチル化特異的PCR(M-PCR)により解析し、解析結果に基づいてX染色体の不活化の状態を検出することを含み、メチル化特異的PCRに使用されるプライマーが、HUMURA遺伝子のCAGの繰り返し数多型を含む領域の塩基配列を増幅でき、かつ、配列番号9に示す塩基配列において199位、203位及び206位、又は、296位、300位、312位及び315位に相当する位置のシトシン塩基のメチル化に特異的になるように設定されたものであることを特徴とする。【0014】メチル化特異的PCRに使用されるプライマーは、好ましくは、さらに、配列番号9に示す塩基配列において509位、515位及び534位に相当する位置のシトシン塩基のメチル化に特異的になるように設定されたものである。【0015】HUMURA遺伝子は、X染色体に存在し、塩基配列中におけるCAGの繰り返し数が異なるCAGの繰り返し数多型を有する。このCAGの繰り返し数多型を含む領域は、配列番号9に示す塩基配列において334〜426位に相当する領域である。【0016】なお、配列番号9に示す塩基配列はヒト由来のものであるが、塩基配列には個体間で、上記の多型その他の相違があることが当然に予想される。このような相違する塩基配列において、上記のCAGの繰り返し数多型を含む領域に相当する領域及び上記のシトシン塩基に相当する位置を特定することは当業者であれば容易である。【0017】X染色体の不活化を誘導するメチル化については、遺伝子上に存在するCpG配列のCすなわちシトシンの5位がメチル化を受けることが知られている。M-PCRは、シトシンと5-メチルシトシンの化学的性質の違いを利用する方法であり、Herman等(Herman et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 93, 9821-9826, 1996)により報告されている。これは、DNAをアルカリ溶液中で亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩(bisulfite)等で処理し、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換し、次いで、処理されたDNAを鋳型として、メチル化されたシトシンが含まれる場合の塩基配列(メチル化される位置のシトシンはシトシンのままであり、メチル化されていないシトシンはウラシルとなったもの)に相補的なメチル特異的プライマーを用いるPCRと、シトシンがメチル化されていない場合の塩基配列(全てのシトシンがウラシルとなったもの)に相補的な非メチル特異的プライマーを用いるPCRとを行い、両方のPCR産物を比較することを含む方法である。【0018】PCRの鋳型となるDNAをあらかじめアルカリ溶液中で重亜硫酸塩で処理することにより、メチル化されていないシトシンが、スルホン化され、次に、加水的脱アミノ化、脱スルホン化の反応が進み、ウラシルに変換される。すなわち、メチル化を受けていないシトシンはウラシルに変換され、メチル化を受けているシトシンはウラシルに変換されず、シトシンのままである。従って、メチル化を受けていないシトシンはウラシルに変換されるので、この変換を考慮して、メチル化を受けているシトシンを含む塩基配列に特異的なPCRプライマー(メチル特異的プライマー)を設計することができ、また、メチル化を受けていないシトシンを含む塩基配列に特異的なPCRプライマー(非メチル特異的プライマー)を設計することができる。メチル特異的プライマーを用いるPCRでは、対象となるシトシンがメチル化されているDNAが増幅され、一方、非メチル特異的プライマーを用いるPCRでは、対象となるシトシンがメチル化されていないDNAが増幅される。これらの増幅産物を比較することによりメチル化の有無を解析できる。【0019】HUMARA遺伝子のCAGの繰り返し数多型を含む領域の塩基配列を増幅することで、X染色体が2本とも同じ繰り返し数を有することが希なため、M-PCRにおけるメチル特異的プライマーを用いるPCRと、非メチル特異的プライマーを用いるPCRとで得られる各増幅産物がいずれのX染色体に由来するかを区別でき、一層詳細な解析ができる。【0020】M-PCRに供されるDNAは、X染色体の不活化を解析しようとする試料(例えば、血液)から調製される。調製方法は、通常のDNA抽出方法でよい。例えば、市販の抽出キットが使用できる。【0021】プライマーは、HUMARA遺伝子の公知の塩基配列に基づいて(例えば、Genbank Accession No. M35844参照)、HUMARA遺伝子のCAGの繰り返し数多型を含む領域の塩基配列を増幅でき、かつ、特定位置のシトシンのメチル化に特異的になるように設定される。本明細書において、特定位置のメチル化に特異的になるように設定されるとは、メチル特異的プライマーでは、対象のシトシンの位置がシトシンであって、かつ他のシトシンの位置がウラシルである塩基配列に特異的になるようにし、非メチル特異的プライマーでは、対象のシトシン及び他のシトシンの位置がウラシルである塩基配列に特異的になるように設定されることを意味する。【0022】上記のように設定されたプライマーの例を以下に挙げる。配列番号9に示す塩基配列において296位、300位、312位及び315位に相当する位置に関しては、メチル特異的プライマーとして、配列番号1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号295〜315に相当)、非メチル特異的プライマーとして、配列番号4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号292〜315に相当)が挙げられる。199位、203位及び206位に相当する位置に関しては、メチル特異的プライマーとして、配列番号2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号183〜206に相当)、非メチル特異的プライマーとして、配列番号5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号183〜206に相当)が挙げられる。【0023】上記のプライマーと組み合わされる逆方向のプライマーは、HUMARA遺伝子のCAGの繰り返し数多型を含む領域の塩基配列を増幅できるよう設定されればよく、このようなプライマーの例としては、メチル特異的プライマーとして、配列番号3に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号477〜454に相当)、非メチル特異的プライマーとして、配列番号6に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号477〜454に相当)が挙げられる。この逆方向のプライマーは、好ましくは、配列番号9に示す塩基配列において509位、515位及び534位に相当する位置のシトシン塩基のメチル化に特異的になるように設定され、このようなプライマーの例としては、メチル特異的プライマーとして、配列番号7に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号535〜509に相当)、非メチル特異的プライマーとして、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号9に示す塩基配列において塩基番号535〜509に相当)が挙げられる。【0024】M-PCRのプライマーは化学的に変換され相補的ではなくなったDNA鎖を基に設計することから、元来二本鎖であったDNAのそれぞれの鎖を基に作製することができる。従って、上記例示した塩基配列の他にも同じ領域内で異なる配列をもつプライマーを設計することができ、これらを使用することも可能である。【0025】プライマーは、プライマーの3'末端近傍にメチル、非メチルの特異性を高めるためにCpGの配列の少なくとも一部を含むように設計することが好ましい。また、プライマーの一方を蛍光標識することが、解析が容易になるため好ましい。【0026】M-PCRにおける各PCRの条件は、通常のPCRに使用される条件と同様でよい。例えば、反応液としては、鋳型DNAを20 ng、25 pmol/μlの各プライマーを各0.25μl、10 mM dNTPを0.5μl、10×緩衝液(100 mM Tris-HCl pH8.3、500 mM KCl、20 mM MgCl2)を2.5μl、耐熱性DNAポリメラーゼ5 U/μlを0.15μl含み、滅菌超純水を加え、最終液量25μlとしたものが挙げられる。反応条件としては、95℃ 10分間、(94℃ 30秒間、62℃ 30秒間、72℃ 30秒間)5サイクル、(94℃ 30秒間、58℃ 30秒間、72℃ 60秒間)35サイクル、72℃ 10分間の伸長が挙げられる。【0027】PCR産物の比較は、メチル特異的プライマーを用いた場合と非メチル特異的プライマーを用いた場合、それぞれのPCR産物の量の比較ができれば特に限定されない。例えば、各PCR産物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、得られたバンドの濃度を比較する。バンドの濃度は、染色をして検出してもよいし、予め標識したプライマーを使用してそのまま検出してもよい。【0028】HUMARA遺伝子のCAGの繰り返し数多型を含む領域の塩基配列を増幅することで、M-PCRにおけるメチル特異的プライマーを用いたPCRと、非メチル特異的プライマーを用いたPCRでは、増幅産物は通常2種得られ、各増幅産物は、各対立遺伝子に由来するので、HUMARA遺伝子のメチル化を対立遺伝子毎に解析することができる。【0029】なお、メチル化の程度を一層正確に定量する場合には、対立遺伝子間のCAGの繰り返し数の相違(増幅産物の大きさの相違)、及び、メチル特異的プライマーと非メチル特異的プライマーとの相違によるPCRにおける増幅効率の差異を下記の方法によって補正することができる。【0030】図1に示すように、M-PCRを行い、各PCR産物をそれぞれ変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、ゲルのバンドの濃度プロフィールを公知のスキャン手段で取得する。図1中、白い染色体は、非メチル化アレルを有する活性X染色体であり、黒い染色体は、メチル化アレルを有する不活性X染色体である。n1は一方の親から遺伝したCAG反復の数であり、n2は他方の親から遺伝したCAG反復の数である(n1>n2)。Uは、非メチル化アレル用のプライマーセット(非メチル特異的プライマー)であり、Mは、メチル化アレル用のプライマーセット(メチル特異的プライマー)である。メチル特異的プライマーを用いて得られた分子量の小さい方のバンドのピーク面積及び分子量の大きい方のバンドのピーク面積並びに非メチル化プライマーを用いて得られた分子量の小さい方のバンドのピーク面積及び分子量の大きい方のバンドのピーク面積をそれぞれA、B、C及びDとすると、PCRにはアレル特異的な競争が生じるため、小さい方のアレルは大きい方のアレルよりも効率よく増幅されると考えられるから、A及びBの補正された真のピーク面積a及びbは下記の式のように表される。【0031】【数1】a=k1Ab=k2B(式中、k1及びk2は各アレルの増幅係数である。)【0032】また、C及びDの補正された真のピーク面積c及びdは下記の式のように表される。【0033】【数2】c=k3k1Cd=k3k2D(式中、k1及びk2は上記と同じであり、k3はメチル特異的プライマーと非メチル特異的プライマーとの間の増幅効率の相違に関する係数である。)【0034】一方のX染色体の不活化型の割合は、他方のX染色体の活性型の割合と等しいから、aとdとは等しく、また、bとcとは等しい。従って、a対bの補正された値(すなわち、メチル化の比)は下記式より算出される。a/b=D/B√(AB/CD)なお、k3=AB/CDである。【0035】上述のように、本発明によれば、M-PCR法をHUMARA遺伝子に応用し、本遺伝子が有している多型性により対立遺伝子を区別して、メチル化の有無を検出することによって、X染色体の不活化パターンを検出することができる。【0036】さらに本発明解析法とその検出結果に基づいて、X染色体の不活化の偏りを検出し、細胞増殖の均一性すなわちモノクロナリティーを解析することができる。従って、本発明は、本発明解析法でX染色体の不活化を解析し、クロナリティーを検出する際に、同一人物由来の複数の試験物のX染色体の不活化パターンを比較することによってクロナリティーを検出することを特徴とする、クロナリティーの検出方法も提供する。【0037】クロナリティーは細胞集団の起源ないし由来を示すものであり、例えば、同一のクローンの由来することが示されればモノクロナリティー(モノクローン性)、複数のクローンに由来することが示されればポリクロナリティー(ポリクローン性)というように評価される。試験物について本発明解析法により得られたX染色体の不活化パターンの比較により、試験物のクロナリティーを検出することができる。【0038】【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以降の実施例は、例を示すためのものであり、本発明を限定するものではない。【0039】なお、本実施例で使用された試料はすべて、遺伝学的研究についてのインフォームドコンセントを得た者から得た。X染色体性疾患を有さない者からの試料は、本研究において正常対照として使用した。【0040】【実施例1】メチル化特異的PCR(M-PCR)によるX染色体不活化パターンの解析方法の評価(1)M-PCRアッセイによるX染色体不活化(X不活化)パターンの検証女性及び男性の末梢血由来のリンパ球、エプスタイン・バーウイルス(EBV)形質転換リンパ芽球細胞系(Fukushima et al.,Jpn. J. Hum. Genet., 97, 240-243, 1992)、および、ヒト活性X染色体(GM10324)を含むマウス/ヒトハイブリッド細胞系(Coriell Cell Prpositoriesから入手)から、DNAをPuregene kit(Gentra Systems)を用いて製造者の指示説明書に従って抽出した。【0041】得られた種々のDNAを、既報(Clark et al., Nucl. Acids Res., 22, 2990-2997, 1994; Herman et al., Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 9821-9826, 1996)に従って亜硫酸水素ナトリウムで処理した。すなわち、DNA(0.2〜1μg)を水酸化ナトリウムで変性させ、ヒドロキノン(Sigma)および亜硫酸水素ナトリウム(Sigma)と共に一晩55℃でインキュベートした。DNAはWizard DNA clean-up system(Promega)を用いて精製し、化学反応は水酸化ナトリウムにより終了させた。エタノール沈殿後、処理したDNAを50μl TE(10 mM Tris, 1 mM EDTA, pH 8.0)に再懸濁した。【0042】処理したDNAのを鋳型として用いて、それぞれ、下記のように設計された2種のプライマーセットを用いてPCRを行った。【0043】AR-Mプライマーセットを、HUMARA遺伝子(Genbank登録番号M35844)のCpGアイランド(エキソン1)について、不活性X染色体(Xi)のメチル化コピーの増幅のため、亜硫酸水素ナトリウムで改変されたDNA配列に対して設計した(表1)。AR-Uプライマーセットを、ヒト活性X染色体(Xa)の非メチル化アレルの増幅のため、同様に設計した。これらのプライマーの設計の際には、亜硫酸水素ナトリウムを用いたゲノム配列決定法により、この遺伝子のCpGアイランドにおいてほとんど全てのCpGジヌクレオチドが異なってメチル化されていることが判明したことから(Zeschnigk et al., Hum. Mol. Genet., 6, 387-395, 1997)、このアレルの、HpaIIおよびHhaI部位(Allen et al., Am. J. Hum. Genet., 51, 1229-1239, 1992)を含む全てのCpGジヌクレオチドが、Xiでメチル化され、Xaでメチル化されていないと仮定した。【0044】【表1】【0045】PCRの条件は既報と同じであった(Kubota et al., Nat. Genet., 16, 16-17, 1997)。すなわち、一方のプライマーを蛍光色素Cy5(DyeAmidite-667, Pharmacia)で標識した。ポリメラーゼは95℃で10分間活性化した。DNAは、パーキンエルマーモデル9600サーモサイクラーにより、94℃30秒、58℃30秒および72℃30秒の35サイクル、次いで最後に72℃10分間の伸長という条件で行った。PCR産物を150 bpおよび250 bpのサイズマーカー(Cy5 sizer, Pharmacia)並びにローディング染料と混合した。サイズマーカーは、各試料の正確なバンドサイズを得るために内部対照として使用した。混合した産物を8%アクリルアミドゲル(7 M尿素および1×TBE(TBE=1 M Tris.HCl, 0.83 ホウ酸, 0.001 M EDTA, pH 8.0))で分離し、Pharmacia ALF express DNA自動シークエンサーで分析した。【0046】結果を、図2に示す。図2上段は、ゲルイメージである。MはAR-M増幅、UはAR-U増幅を示す。レーン1は、非処理DNA、レーン2は、ヒト活性X染色体(Xa)を含むマウスハイブリッド細胞由来のDNA、レーン3は、マウス細胞系由来のDNA、レーン4は、男性由来のDNA、レーン5は、ヘテロ接合性女性由来のDNAである。中断は、ゲルイメージで示された同じヘテロ接合性女性のランダムX不活化パターンのピークイメージの例である。Aは一方の親由来の不活性X染色体(Xi)のピーク面積、Bは他方の親由来のXiのピーク面積、Cは一方の親由来のXaのピーク面積、Dは他方の親由来のXaのピーク面積である。下段は、非ランダム不活化パターン(症例1)のピークイメージの例である。【0047】非処理DNAは、全てのプライマーの配列が、元のゲノムDNAの配列に相補的でなく、亜硫酸水素ナトリウムで処理した改変DNAの配列のみに相補的であるため、AR-MおよびAR-Uプライマーセットのいずれによっても増幅されなかった(レーン1)。ヒトXaを含むマウス/ヒトハイブリッド細胞系からの改変DNAは、AR-Uプライマーセットによってのみ増幅され、AR-Mプライマーセットにより増幅されなかった(レーン2)。マウス細胞系からの改変DNAはいずれのプライマーセットによっても増幅されなかった(レーン3)。さらに、男性のリンパ球から得られた改変DNAはAR-Uプライマーセットによってのみ増幅され、AR-Mプライマーセットにより増幅されなかった(レーン4)。これらの結果は、AR-Uプライマーセットが、Xaの特異的に改変された非メチル化DNAを増幅することを示唆する。【0048】2つのPCR産物が、各プライマーセットにより、ヘテロ接合性の女性から得られた改変DNAから生じた。AR-M増幅による、2つのバンドの相対的濃度(図2の上段, レーン5)および2つのピーク面積の比(図2の中段及び下段)は、AR-U増幅によるものと明らかに相補的であった。AR-Uプライマーセットは、Xaの改変非メチル化DNAを特異的に増幅するので、ヘテロ接合性の女性での結果は、AR-Mプライマーが特異的にXiの改変メチル化DNAを特異的に増幅することを示唆する。【0049】(2)定量性M-PCRアッセイの定量性の確認のため、二人の男性に由来するEBVで形質転換された細胞系を混合することによって再構築実験を行った。アレルの大きさは、これらの男性の間で異なっていた(それぞれ192 bp(A)および204 bp(B); 図3)。95:5、80:20、50:50、20:80および5:95の細胞数比で全細胞数1×106個の細胞を混合した。次いで、各混合物からDNAを抽出し、DNAをAR-Uプライマーセットを用いて増幅した。PCRアッセイで得られた、各混合物におけるこれらの二つのピーク面積の比の結果は、それぞれ、99:1、78:22、56:44、21:79および3:97であった。これらの結果は、ヘテロ接合性女性においてAR-U増幅により得られた二つのピーク面積の比が、母系X染色体が活性である細胞に対する父系X染色体が活性である細胞の比であることを示唆する。【0050】(3)HUMARA PCRアッセイとM-PCRアッセイとの比較M-PCRアッセイは上記と同様にして行った。HUMARA PCRアッセイは、既報の様に行った(Allen et al., Am. J. Hum. Genet., 51, 1229-1239, 1992; Yorifuji et al., Hum. Genet., 99, 62-65, 1997)。蛍光色素Cy5を有するフォワードプライマーは、5'-TCC AGA ATC TGT TCC AGA GCG TGC-3'(配列番号10)であった。リバースプライマーの配列は、5'-CTC TAC GAT GGG CTT GGG GAG AAC-3'(配列番号11)であった。PCRは、アニーリング温度を65℃にする他はM-PCRアッセイと同条件で行った。M-PCRアッセイとHUMARAアッセイとの比較の統計学的解析にはStarViewソフトウェア(Abacus Concepts)を使用した。【0051】従来のHUMARA PCRアッセイでは、ヘテロ接合性女性で得られた不活性化パターンは、母系Xiを有する細胞に対する父系Xaを有する細胞の比に基づく(Allen et al., Am. J. Hum. Genet., 51, 1229-1239, 1992)。48人の正常女性を対象とする試験で、AR-Mプライマーセットを用いたM-PCRアッセイで得られた比(大きい方のアレルに対する小さい方のアレルの比)を、HUMARAアッセイで得られた比と比較したところ、強い相関(r=0.984、P<0.0001)が認められた(図4)。このことは、AR-Mプライマーセットを用いたM-PCRアッセイによる結果が従来のHUMARA PCRアッセイに一致することを示す。【0052】(4)対照女性におけるX不活化パターンの分布117人の対照女性のX不活化パターンを調べた。すなわち、末梢血について実施例1(1)記載のM-PCRアッセイを行った。【0053】この結果、これらのうち、105人(90%)がHUMARA遺伝子座においてヘテロ接合性であることが示され、ヘテロ接合性は以前に報告されたものと同じであった(Allen et al., Am. J. Hum. Genet., 51, 1229-1239, 1992; Edwards et al.,Genomics, 12, 241-253, 1992; Yorifuji et al., Hum. Genet., 99, 62-65, 1997)。先ず、AR-Mプライマーセットを用いたM-PCRアッセイでは、105人のヘテロ接合性女性のうち26人(25%)が非ランダムパターンを有することが示された(大きいアレルに対する小さいアレルの比は<20:80または>80:20)。これらの結果は、HUMARA PCRアッセイを用いて以前に報告されたものと一致した(Naumova et al., Am. J. Hum. Genet., 58, 1111-1119, 1996)。しかし、これらの26人の女性のうち、20人は80:20を超える比を示し、一方6人のみが20:80未満の比を示した。さらに、これらの105人の女性の平均の比(58:42)は、正常女性集団において予測される比(50:50)から逸脱していた。AR-M不活化パターンの比をAR-U不活化パターンにより、上記に記載した補正式を用いて補正したところ、80:20未満の比の女性の数は7人に増加し、80:20を超える比の数は5人に減少し、これらの女性の平均の比は50:50になった(図5)。【0054】【実施例2】X;常染色体転座を有する症例への適用X;常染色体転座を有する4症例に実施例1(1)記載のM-PCRアッセイを適用した。これらの症例では、極めて非ランダムのX不活化パターンが、分子的分析やBrdUバンディングを用いた細胞遺伝学的分析(Perry and Wolff, Nature, 251, 156-158, 1974)により予測された。【0055】症例1は、平衡型のX;常染色体転座を有するX染色体性高IgM症候群の女性患者であった。X染色体の破壊点は、この症候群の病因遺伝子であるCD40リガンド遺伝子の中央部に位置し、この遺伝子の発現は極めて少ない。従って、正常なX染色体が優先的に不活化され、転座X染色体が活性化され、非ランダムX不活化パターンを有していると予測した。M-PCRアッセイでは、97:3の比を有する極めて非ランダムのパターンが示された(表2, 図2下段)。【0056】症例2は、平衡型のX;常染色体転座を有するPai症候群の女性患者であった。細胞遺伝学的BrdUバンディングによるX複製試験により、派生的なX染色体は、試験した30の細胞の全てで一貫して遅く複製されたことが示されている(Masuno et al., J. Med. Genet., 34, 952-954, 1997)。M-PCRアッセイでは、89:11の比を有する明確な非ランダムパターンが示された。【0057】症例3および4は、非平衡型のX;常染色体転座を有する多重先天性異常の女性患者であった。X複製試験により、派生的なX染色体は、両症例で一貫して遅く複製されたことが示された。M-PCRアッセイでは、それぞれ、4:96および91:9の比を有する極めて非ランダムのパターンが示された。【0058】【表2】【0059】【実施例3】健常女性のX染色体不活化パターンの解析健常人ボランティア21名から採取した、50 mMの坑凝固剤EDTAを含む全血よりDNA抽出キット(Qiagen)にてDNAを抽出した。このDNAを用いて亜硫酸水素ナトリウム処理を行った。具体的には、DNA溶液から1μgのDNAを分取しエタノール沈澱させ、50μlの0.2 N NaOHで溶解し、37℃で10分間加温した。次に、30μlの10 mMヒドロキノンを加え穏やかに混合し、さらに520μlの376 mg/ml亜硫酸水素ナトリウム(SO2として58.5%)を加え穏やかに混合後、ミネラルオイルを重層し55℃で22時間反応させた。反応終了後、反応終了物をDNA Clean up system (Promega) で精製した。【0060】精製したDNAを鋳型に用い、5'末端をFITC標識したメチル特異的プライマー(配列番号2)および未標識メチル特異的プライマー(配列番号7)ならびに5'末端をXRITCで標識した非メチル特異的プライマー(配列番号5)および未標識非メチル特異的プライマー(配列番号8)を用いて、以下に示す反応液組成、反応条件のもとPCR反応を行った。反応液は、亜硫酸水素ナトリウム処理済みDNAを20 ng、25 pmol/μlの各プライマーを各0.25μl、10 mM dNTPを0.5μl、10×緩衝液(100 mM Tris-HCl pH8.3、500 mM KCl、20 mM MgCl2)を2.5μl、Ampli Taq Gold DNAポリメラーゼ5 U/μlを0.15μl含み、滅菌超純水を加え、最終液量25μlとした。反応条件は、95℃ 10分間、(94℃ 30秒間、62℃ 30秒間、72℃ 30秒間)5サイクル、(94℃ 30秒間、58℃ 30秒間、72℃ 60秒間)35サイクル、72℃ 10分間とした。反応終了後、各PCR産物を、50%尿素を含む4%の変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、FMBIO(日立製作所)で解析し、対立遺伝子(CAGの繰り返しの数が少ないアリルおよびCAGの繰り返し数の多いアリル)ごとに定量した。ゲルのバンドの濃度プロフィールから取得されたピーク面積は上記したように補正された。その結果を表3に示す。表の数値は、(CAGの繰り返し数が少ないアリル:CAGの繰り返し数が多いアリル)で示した。【0061】【表3】【0062】健常女性のX染色体の不活化パターンは、80:20から20:80の範囲であり、この範囲を超えるサンプルは3名であった。【0063】【実施例4】伴性遺伝性疾患保因者における解析実施例2のX染色体性高IgM症候群患者およびpai症候群患者から採取した、50 mMの坑凝固剤EDTAを含む全血よりDNA抽出キット(Qiagen)にてDNAを抽出し、X染色体と常染色体との転座を有する染色体(染色体型:46,X,t(X;14)(q26.3;q13.1および46,X,t(X;16)(q28;q11.2))を含むDNAをそれぞれ調製した。このDNAを用いて、実施例3の方法に従って解析を行った。この結果を表4に示す。【0064】【表4】【0065】X染色体と常染色体との転座を有する試料ではX染色体の不活化パターンが著しく偏っていることが判明した。この結果は、実施例2の結果と一致した。【0066】【実施例5】女性白血病患者における解析女性の白血病患者から採取した、50 mMの坑凝固剤EDTAを含む全血(治療前、寛解後)よりDNA抽出キット(Qiagen)にてDNAを抽出した。得られたDNAを用いて、実施例3の方法に従って解析を行った。その結果を表5および図6に示す。図6は、メチル特異的プライマーを用いて得られたPCR産物を50%尿素を含む4%の変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した結果である。【0067】【表5】【0068】白血病治療前には、細胞の均一的増殖モノクロナリティーが示され、治療することにより、モノクロナリティーが消失したと判断された。本法の均一細胞の異常増殖性、白血病再発、治療効果の確認における有用性が確認された。【0069】【発明の効果】本発明により、制限酵素を使用せず、従って、制限酵素による消化に適さない試料へ適用でき、また、再現性がよく臨床検査などに使用するのに適した、不活化X染色体の検出法が提供される。この検出法は、HUMARA遺伝子のメチル化されている染色体あるいはメチル化を受けていない染色体を個別に解析することができ、細胞増殖の均一性すなわちクロナリティーを検出するのに有用である。【0070】【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】 本発明解析法の原理の説明図である。【図2】 メチル化特異的PCRアッセイの結果を示す。【図3】 2名の男性由来の細胞混合物を用いた再構成実験の結果を示す。【図4】 M-PCRアッセイとHUMARAアッセイとの間の2つのピーク面積の比の相関を示す。【図5】 PCRにおけるアレル特異的競合について補正したM-PCRアッセイで測定した105名のヘテロ接合性女性におけるX不活化パターンの分布を示す。【図6】 メチル特異的プライマーを用いて得られたPCR産物を50%尿素を含む4%の変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した結果を示す。 ヒトアンドロジェン受容体遺伝子のメチル化を、メチル化特異的PCRにより解析し、解析結果に基づいてX染色体の不活化の状態を検出することを含み、メチル化特異的PCRに使用されるプライマーが、ヒトアンドロジェン受容体遺伝子のCAGの繰り返し数多型を含む領域の塩基配列を増幅でき、かつ、配列番号9に示す塩基配列において199位、203位及び206位、又は、296位、300位、312位及び315位に相当する位置のシトシン塩基のメチル化に特異的になるように設定されたものであることを特徴とする、X染色体の不活化の解析法。 メチル化特異的PCRに使用されるプライマーが、さらに、配列番号9に示す塩基配列において509位、515位及び534に相当する位置のシトシン塩基のメチル化に特異的になるように設定されたものであることを特徴とする請求項1記載の解析法。 メチル化特異的PCRに使用されるプライマーが、配列番号1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号7に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせ、並びに、配列番号4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせであることを特徴とする請求項2記載の解析法。 メチル化特異的PCRに使用されるプライマーが、配列番号2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号7に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせ、並びに、配列番号5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの組み合わせであることを特徴とする請求項2記載の解析法。 請求項1〜4のいずれか1項に記載の解析法でX染色体の不活化を解析し、クロナリティーを検出する際に、同一人物由来の複数の試験物のX染色体の不活化パターンを比較することによってクロナリティーを検出することを特徴とする、クロナリティーの検出方法。