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タイトル:特許公報(B2)_(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物および含フッ素アリールエーテルケトン重合体
出願番号:1999183950
年次:2006
IPC分類:C07C 49/84,C08G 65/00


特許情報キャッシュ

木村 邦生 山下 祐彦 パトリック,イー.,キャシディー ジョン,ダブリュー,フィッチ サード ブイ.,スリーニバスル,レディー JP 3736992 特許公報(B2) 20051104 1999183950 19990629 (2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物および含フッ素アリールエーテルケトン重合体 株式会社日本触媒 000004628 安富 康男 100086586 玉井 敬憲 100112025 木村 邦生 山下 祐彦 パトリック,イー.,キャシディー ジョン,ダブリュー,フィッチ サード ブイ.,スリーニバスル,レディー US 09/106270 19980629 JP 1999180091 19990625 20060118 C07C 49/84 20060101AFI20051221BHJP C08G 65/00 20060101ALI20051221BHJP JPC07C49/84 GC08G65/00 C07C 49/00 C08G 65/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平04−009805(JP,A) 特開昭53−144556(JP,A) 10 2001064226 20010313 27 20011004 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物及び含フッ素アリールエーテルケトン重合体に関するものである。【0002】【従来の技術】高性能を有する含フッ素重合体は、フィルム、光学またはマイクロエレクトロニクス用被覆剤、ガス分離用膜等として利用される先端材料として極めて注目をあびている(Cassidy, P.E., Aminabbai, T.M.及び Farley, J.M., J. Macromol. Sci.-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29 (2&3), pp.365-429 (1989))。重合鎖へのフッ素原子の導入は、重合体の溶解度、耐炎性、熱安定性およびガラス転移温度の増加をもたらし、さらに着色、結晶性、誘電率および吸湿性をも低下させる。このような利点があるので、ヘキサフルオロイソプロピリデン基含有ポリ(アリールエーテルケトン)(PEK)は、宇宙ならびにエレクトロニクス用に製造されかつ研究された(Tullos, G.L.及び Cassidy, P.E., Macromolecules.,24 , p. 6059-6064 (1991))。最近、パーフルオロフェニレン基含有ポリ(アリールエーテルケトン)が、パーフルオロベンゾフェノンから合成された(Mercer, F.W., Fone, M.M., Reddy, V.N. 及び Goodwin, A.A., Polymer,38(8), 1989-1995 (1997))。【0003】しかしながら、これらの重合体は、未だ溶解度ならびに耐炎性が充分ではないという欠点がある。【0004】【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、高い機械的強度および強靭性を有し、電気的特性、熱酸化安定性および溶解性に優れた新規な含フッ素アリールエーテルケトン重合体の原料として使用される新規な(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物を提供することにある。【0005】本発明の他の目的は新規な含フッ素アリールエーテルケトン重合体を提供することにある。【0006】本発明のさらに他の目的は、高い機械的強度および強靭性を有し、電気的特性、熱酸化安定性および溶解性に優れた含フッ素アリールエーテルケトン重合体を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】これらの諸目的は、下記(1)〜(7)により達成される。【0008】(1)下記式(I):【0009】【化11】【0010】ただし、Rは水酸基または下記式:【0011】【化12】【0012】で示される基である、で表される(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物。【0013】(2)式(I)中、Rは水酸基である、前記(1)に記載の(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物。【0014】(3)式(I)中、Rは下記式:【0015】【化13】【0016】で示される基である、前記(1)に記載の(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物。【0017】(4)下記式(II):【0018】【化14】【0019】ただし、nは重合度を表し、mは0または1の整数であり、およびR1は下記式(III):【0020】【化15】【0021】この際、pは0または1の整数であり、およびR2は下記6種:【0022】【化16】【0023】のいずれかである、で表される基である、で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体。【0024】(5)下記式(IV):【0025】【化17】【0026】ただし、nは重合度を表す、で示される、前記(4)に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体。【0027】(6)下記式(V):【0028】【化18】【0029】ただし、nは重合度を表す、で示される、前記(4)に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体。【0030】(7)下記式(VI):【0031】【化19】【0032】ただし、nは重合度を表し、およびR2は下記6種:【0033】【化20】【0034】のいずれかである、で表される基である、で示される、前記(4)に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体。【0035】(8)下記式(XI):【0036】【化21】【0037】ただし、nは重合度を表し、mは0または1の整数であり、およびR1は下記式(III):【0038】【化22】【0039】この際、pは0または1の整数であり、およびR2は下記6種:【0040】【化23】【0041】のいずれかである、で表される基である、で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体。【0042】【発明の実施の形態】本発明の(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルは、下記式(I):【0043】【化24】【0044】ただし、Rは水酸基(−OH)または下記式:【0045】【化25】【0046】で示される基である、で表される新規な化合物である。【0047】式(I)において、Rが水酸基(−OH)である場合には、下記式(VII):【0048】【化26】【0049】で示される4−ヒドロキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「HPDE」と略称する)となる。【0050】また、式(I)において、Rが下記式:【0051】【化27】【0052】で示される基である場合には、下記式(VIII):【0053】【化28】【0054】で示される4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「BPDE」と略称する)となる。【0055】上記式(VII)で示されるHPDEは、有機溶剤中で、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを、4−アルコキシジフェニルエーテルとフリーデルクラフツ反応に供し、さらに反応産物を脱アルキル化反応させることよって得られる。この際、4−アルコキシジフェニルエーテルとしては、例えば、4−メトキシジフェニルエーテル、4−エトキシジフェニルエーテル等が挙げられる。【0056】上記態様において、フリーデルクラフツ反応における4−アルコキシジフェニルエーテルの使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モル当たり、0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。この際、4−アルコキシジフェニルエーテルの使用量が0.8モル未満では、4−アルコキシジフェニルエーテルに過剰に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル基が導入されてしまい好ましくない。これに対して、4−アルコキシジフェニルエーテルの使用量が1.2モルを越えると、未反応の4−アルコキシジフェニルエーテルが多量に残り、生産性の面で好ましくない。【0057】本発明において効果的に使用されるフリーデルクラフツ触媒としては、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化第二鉄、塩化第一鉄、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化錫、塩化ビスマス、塩化亜鉛、塩化水銀及び硫酸等が挙げられる。また、フリーデルクラフツ触媒の使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モルに対して、0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルである。【0058】本発明において使用される有機溶剤は、酸クロライドと反応しないものでなければならない。このような有機溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、二硫化炭素及びニトロベンゼン等が挙げられる。この有機溶剤における2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドの濃度は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。反応は、反応系を撹拌状態に保ちながら、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度で行なわれる。【0059】このような反応によって得られる生成物は、反応混合物に水を注加し、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたは四塩化炭素等の抽出剤で抽出した後、有機層を抽出物から分離し、抽出剤を留去することにより得られる。さらに、この生成物を、必要であれば、メタノールまたはエタノールで再結晶化することによって、白色結晶として得てもよい。【0060】つぎに、脱アルキル化処理について、以下に説明する。すなわち、脱アルキル化反応は、酸、アルカリまたは有機金属試薬などを用いて行うことができる。試薬としては、例えば、臭化水素、ヨウ化水素、トリフルオロ酢酸、ピリジンの塩酸塩、濃塩酸、ヨウ化マグネシウムエーテラート(magnesium iodide etherate)、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三塩化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、水酸化カリウム及びグリニヤール試薬などが挙げられる。試薬の使用量は、4−アルコキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは0.1〜30モルである。【0061】本発明において、脱アルキル化反応は、無溶媒下で行われてもあるいは溶媒中で行われてもよいが、反応効率や反応制御などを考慮すると、溶媒中で行われることが好ましい。【0062】本発明において、溶媒中で脱アルキル化反応を行う際に効果的に使用される溶媒としては、例えば、水、酢酸、無水酢酸、ベンゼン及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。また、この溶媒中での4−アルコキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルの濃度は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。反応は、0〜250℃、好ましくは50〜200℃の温度で行なわれる。【0063】式(VIII)で示されるBPDEは、有機溶剤中で、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドをフリーデルクラフツ触媒の存在下でジフェニルエーテルと反応させることよって得られる。この際、ジフェニルエーテルの使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モル当たり、0.4〜0.6モル、好ましくは0.45〜0.55モルである。すなわち、ジフェニルエーテルの使用量が0.4モル未満では、ジフェニルエーテルに過剰に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル基が導入されてしまい好ましくない。これに対して、ジフェニルエーテルの使用量が0.6モルを越えると、未反応のジフェニルエーテルが多量に残り、生産性の面で好ましくない。【0064】本発明において効果的に使用されるフリーデルクラフツ触媒としては、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化第二鉄、塩化第一鉄、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化錫、塩化ビスマス、塩化亜鉛、塩化水銀及び硫酸等が挙げられる。また、フリーデルクラフツ触媒の使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モルに対して、0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルである。【0065】また、有機溶剤としては、酸クロライドと反応しない溶剤が使用できる。このような有機溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、二硫化炭素及びニトロベンゼン等が挙げられる。この有機溶剤における2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドの濃度は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。【0066】本発明において、反応は、反応系を撹拌状態に保ちながら、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度で行なわれる。このような反応によって得られる生成物は、反応混合物に水を注加し、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたは四塩化炭素等の抽出剤で抽出した後、有機層を抽出物から分離し、抽出剤を留去することにより得られる。さらに、この生成物を、必要であれば、メタノールまたはエタノールで再結晶化することによって、白色結晶として得てもよい。【0067】本発明による含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、下記式(II):【0068】【化29】【0069】で示される重合体である。上記式(II)において、R1及びmは、上記と同様の定義であり、また、nは、重合度を表わし、具体的には、2〜5000、好ましくは5〜500である。さらに、本発明において、含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、同一の繰り返し単位からなるものであったもまたは異なる繰り返し単位からなるものであってもよく、後者の場合には、その繰り返し単位はブロック状であったもまたはランダム状であってもよい。【0070】なお、本発明において、上記含フッ素アリールエーテルケトン重合体の製造方法については詳述するが、この記載から、式(II)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体の末端は、フッ素原子を含むベンゼン環側がフッ素であり、R1側が水素原子であると、即ち、式(II)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体は下記式(XI):【0071】【化30】【0072】で示される重合体であると考えられる。【0073】上記式(II)において、mが0の場合には、下記式(IV):【0074】【化31】【0075】ただし、nは重合度を表す、で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体となる。【0076】また、上記式(II)において、mが1でありかつpが0である場合には、下記式(V):【0077】【化32】【0078】ただし、nは重合度を表す、で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体となる。【0079】さらに、上記式(II)において、mが1でありかつpが1である場合には、下記式(VI):【0080】【化33】【0081】ただし、nは重合度を表し、およびR2は前記のとおりである、で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体となる。なお、上記式(VI)では、nは、好ましくは、2〜2000、より好ましくは5〜200である。【0082】これらのうち、式(IV)および(V)で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、塩基性化合物の存在下で、有機溶媒中で、下記式(IX):【0083】【化34】【0084】ただし、qは0または1の整数である、で示される2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル化合物を加熱することにより得られる。【0085】上記反応において、反応温度は、30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。【0086】また、下記式(VI):【0087】【化35】【0088】ただし、R2は前記のとおりであり、nは重合度である、で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、塩基性化合物の存在下で、有機溶媒中で、下記式(VIII):【0089】【化36】【0090】で示される4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル及び下記式(X):【0091】【化37】【0092】ただし、R2は下記6種:【0093】【化38】【0094】のいずれかである、で示される2価のフェノール化合物を加熱することよって、得られる。【0095】上記反応において、反応温度は、20〜150℃、好ましくは50〜120℃である。この際、このように低温度で反応することで副反応を抑制し、重合体のゲル化を防止することができる。【0096】本発明において上記重合反応で使用される有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド及びメタノール等の極性溶媒やトルエンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。【0097】また、有機溶媒におけるペンタフルオロベンゾイルジフェニルエーテル化合物の濃度は、5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%である。【0098】トルエンや他の同様の溶媒を反応の初期段階に使用する際には、フェノキシド生成の際に副生する水を、重合溶媒に関係なく、トルエンの共沸物として除去できる。【0099】本発明において使用される塩基性化合物は、重縮合反応によって生成するフッ化水素を捕集することにより重縮合反応を促進するよう作用し、さらに2価のフェノール化合物による重縮合反応の場合には、フェノール化合物をより反応性の高いアニオンに変える作用がある。【0100】このような塩基性化合物としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸リチウム及び水酸化カリウムが挙げられる。【0101】また、本発明において、塩基性化合物の使用量は、式(IV)および(V)の重合体の場合では、使用されるペンタフルオロベンゾイルジフェニルエーテル化合物1モルに対して、0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モルであり、または、式(VI)の重合体の場合では、使用されるペンタフルオロベンゾイルジフェニルエーテル化合物1モルに対して、1〜20モル、好ましくは1〜10モルである。【0102】本発明において使用される2価のフェノール化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン(以下、「6FBA」という)、ビスフェノールA(以下、「BA」という)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「HF」という)、ビスフェノールF(以下、「BF」という)、ハイドロキノン(以下、「HQ」という)およびレゾルシノール(以下、「RS」という)が挙げられる。2価のフェノール化合物の使用量は、4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル1モルに対して、0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。【0103】重合反応終了後は、反応溶液より蒸発等により溶媒の除去を行ない、必要により留出物を洗浄することによって、所望の重合体が得られる。または、反応溶液を重合体の溶解度が低い溶媒中に加えることにより、重合体を固体として沈殿させ、沈殿物を濾過により分離することによって、重合体を得てもよい。【0104】【実施例】つぎに、実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。【0105】なお、下記実施例において、物性の評価は、つぎのようにして行なった。【0106】NMRスペクトルは、500MHz(1H)、125MHz(13C)または470MHz(19F)で操作してVarian Unity 500を用いて記録した。4,4’−ジフルオロベンゾフェノンは、19F−NMR測定用の内部標準として使用した。【0107】ガラス転移温度(Tg)および溶融温度は、20℃/分の加熱速度で、Perkin−Elmer DSC7を用いて測定した。【0108】熱安定性は、窒素または空気雰囲気下に20℃/分の加熱速度でPerkin−Elmer TGA7を用いて測定した。【0109】固有粘度の測定は、0.5dL/gの濃度かつ25℃の温度でジメチルアセトアミド(DMAc)中でOstwald−Fenske粘度計を用いることによって行なった。【0110】実施例1:2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノンの合成2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−4’−メトキシベンゾフェノン6.0g、氷酢酸40mlおよび48%臭化水素水溶液30mlを、コンデンサーを備えた丸底フラスコに供給した。この混合物を一晩還流に供した後、室温にまで冷却した。生成物をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、さらに留去した。留出物をトルエンから再結晶して、3.7g(収率78.8%)の2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(以下、「HPBP」という)を白色結晶として得た。この生成物の融点は、142〜143℃であった。また、結晶のNMR化学シフトを表1に示す。【0111】実施例2:4−ヒドロキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルの合成滴下ロートおよび塩化カルシウム乾燥管を備えた250ml容の三つロフラスコに、水酸化ナトリウムの存在下にヨウ化エチルとp−フェノキシフェノールとから合成した4−エトキシジフェニルエーテル3.5g、塩化アルミニウム5.4gおよび乾燥ジクロロエタン30mlを仕込んだ。2,3,4,5,6−ペンタフルオロ安息香酸およびチオニルクラロイドから合成された2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド3.7gならびに乾燥ジクロロエタン10mlの溶液を、攪拌しながらフラスコ中に徐々に滴下させた。滴下終了後、反応混合物を室温で一晩攪拌した。少量の水を、反応混合物に非常にゆっくり加え、15分間攪拌し続けた。ついで、反応混合物を250mlの水中に注加し、これをジクロロメタンで抽出した。有機層を集めて、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。活性炭処理しメタノールからの再結晶により、4−エトキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「EPDE」という)の白色結晶を得た(収率60.4%)。【0112】コンデンサーを備えたフラスコに、EPDE 2.1g、氷酢酸14mlおよび48%臭化水素水溶液11mlを仕込んだ。この混合物を一晩還流させた後、室温まで冷却した。生成物をエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。トルエンからの再結晶によって、4−ヒドロキシ−4’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「HPDE」という)の白色結晶を得た(収率78.8%)。HPDEの融点は、136〜137℃であった。また、結晶のNMR化学シフトを表1に示す。【0113】【表1】【0114】実施例3:4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルの合成ジフェニルエーテル6.8g、塩化アルミニウム26.8gおよび乾燥ジクロロエタン60mlを、滴下ロートおよび塩化カルシウム(CaCl2)乾燥管を備えた250ml容の三つ口フラスコに仕込んだ。2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾクロライド18.5gおよび乾燥ジクロロエタン15mlよりなる溶液を、攪拌しながらゆっくりフラスコ中に滴下した。滴下終了後、反応混合物を室温で一晩攪拌した。少量の水を、反応混合物に非常にゆっくり加え、15分間攪拌し続けた。ついで、反応混合物を250mlの水中に注加し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を集めて、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。活性炭処理しメタノールからの再結晶により、4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(以下、「BPDE」という)の白色結晶を生成した(収率61.2%)。BPDEの融点は、125〜127℃である。結晶のNMR化学シフトを上記表1に示す。【0115】実施例4HPBP0.5g、重質炭酸カリウム0.36g、ジメチルアセトアミド(DMAc)2mlおよびトルエン1mlを、ディーンスタークトラップ、コンデンサー、マグネティック撹拌機および窒素供給管を備えた25ml容の丸底フラスコに仕込んだ。この混合物を160℃に加熱し、トルエンを留去した。この混合物を3時間還流させた。冷却後、この溶液を急速撹拌下に1%の酢酸を含有する水中に注加した。析出した重合体を濾過により捕集し、水洗した後、乾燥した。得られた化合物の収率は90%であった。この化合物の粘度は、ジメチルアセトアミド中で0.5g/dLの濃度、25℃の温度で測定したところ、0.18dL/gであった。また、ジメチルアセトアミドに対する不溶解分は11.5%であった。【0116】実施例5実施例4の方法において、ジメチルアセトアミドの代わりにN−メチル−2−ピロリジノンを用いる以外は実施例4と同様にして、HPBPの重合体(以下、「4F−PEK」という)を製造した。その結果、収率85%、粘度0.23dL/g、ジメチルアセトアミドに対する不溶解分は6.0%であった。また、この4F−PEKのIRスペクトルを図3に示す。実施例6〜10実施例4の方法において、HPBP0.5gの代わりにHPDE0.5gを用い、表2に示す条件下で重合を行う以外は実施例4と同様にして、重合体を製造した。その結果を表2に示す。【0117】【表2】【0118】実施例11実施例4の方法において、HPBP0.5gの代わりにHPDE0.5gを用い、さらにジメチルアセトアミドの代わりにN−メチル−2−ピロリジノンを用いる以外は実施例4と同様にして、HPDEの重合体(以下、「4F−PEEK」という)を製造した。その結果、収率82%、粘度0.53dL/g、ジメチルアセトアミドに対する不溶解分0.2%であった。また、この4F−PEEKの19F−NMRスペクトルおよびIRスペクトルを、それぞれ、図1および図4に示す。なお、19F−NMRスペクトルにおいて、19F化学シフトは4,4’−ジフルオロベンゾフェノン=−110.1ppmに相当するppmで示される。【0119】実施例12実施例5で得られた4F−PEKおよび実施例11で得られた4F−PEEKの物性を測定したところ、表3〜6に示す結果が得られた。【0120】【表3】【0121】【表4】【0122】【表5】【0123】【表6】【0124】実施例13〜19トルエンから再結晶により精製された6FBA 1.2g(またはBA 0.82g,HF 1.25g,BF 0.71g,HQ 0.39gまたはRS 0.39g)、重質炭酸カリウム1.48g、DMAc 13mlおよびトルエン10mlを、ディーンスタークトラップ、コンデンサー、マグネティック撹拌機および窒素供給管を備えた100ml容の三つ口丸底フラスコに仕込んだ。この混合物を160℃に加熱し、2時間還流に供し、ついでトルエンを留去した。BPDE 2.0gをこの混合物に添加し、表7に示す条件下で重合を行なった。冷却後、この溶液を急速撹拌下に1%酢酸を含有する水中に注加した。析出した重合体を濾過により捕集し、水洗した後、乾燥した。その結果を表7に示す。また、実施例14で得られた重合体の19F−NMRスペクトルを図2に示し、さらに実施例14〜19で得られた重合体のIRスペクトルを図5〜10にそれぞれ示す。なお、19F−NMRスペクトルにおいて、19F化学シフトは4,4’−ジフルオロベンゾフェノン=−110.1ppmに相当するppmで示される。【0125】【表7】【0126】実施例20実施例14〜19で得られたBPDEの重合体(以下、「8F−PEKEK」という)の物性を測定したところ、表8〜11に示す結果が得られた。【0127】【表8】【0128】【表9】【0129】【表10】【0130】【表11】【0131】【発明の効果】上述したように、本発明の(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物は、重縮合反応にまたは2価のフェノール化合物との共重縮合反応に供されることによって、高い機械的強度及び強靭性を発揮し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解性に優れた新規な含フッ素アリールエーテルケトン重合体を提供することができる。【0132】本発明の含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、高い機械的強度及び強靭性、優れた電気的特性を有し、通常使用される種々の溶媒に対して優れた溶解度、ならびに耐熱性、耐炎性等の優れた熱安定性、ならびに優れた被覆形成性を有するので、電子部品に対する被覆剤として有用であるばかりでなく、注型品にも好適である。【図面の簡単な説明】【図1】 実施例11で得られた4F−PEEKの19F−NMRスペクトルである。【図2】 実施例14で得られたBPDE−6FBAの19F−NMRスペクトルである。【図3】 実施例5で得られた4F−PEKのIRスペクトルである。【図4】 実施例11で得られた4F−PEEKのIRスペクトルである。【図5】 実施例14で得られたBPDE−6FBAのIRスペクトルである。【図6】 実施例15で得られたBPDE−BAのIRスペクトルである。【図7】 実施例16で得られたBPDE−HFのIRスペクトルである。【図8】 実施例17で得られたBPDE−BFのIRスペクトルである。【図9】 実施例18で得られたBPDE−HQのIRスペクトルである。【図10】 実施例19で得られたBPDE−RSのIRスペクトルである。 下記式(I):ただし、Rは水酸基または下記式:で示される基である、で表される(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物。 式(I)中、Rは水酸基である、請求項1に記載の(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物。 式(I)中、Rは下記式:で示される基である、請求項1に記載の(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル化合物。 下記式(II):ただし、nは重合度を表し、mは0または1の整数であり、およびR1は下記式(III):この際、pは0または1の整数であり、およびR2は下記6種:のいずれかである、で表される基である、で示される含フッ素アリールエーテルケトン重合体。 下記式(IV):ただし、nは重合度を表す、で示される、請求項4に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体。 下記式(V):ただし、nは重合度を表す、で示される、請求項4に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体。 下記式(VI):ただし、nは重合度を表し、およびR2は下記6種:のいずれかである、で示される、請求項4に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体。 溶融温度が、20℃/分の加熱速度、窒素中で50℃から350℃まで検出されないものである、請求項4〜7のいずれかに記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体。 請求項5または6に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体を製造する方法であって、塩基性化合物の存在下で、有機溶媒中で、下記式(IX):ただし、qは0または1の整数である、で示される2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル化合物を加熱することにより得る、含フッ素アリールエーテルケトン重合体の製造方法。 請求項7に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体を製造する方法であって、塩基性化合物の存在下で、有機溶媒中で、下記式(VIII):で示される4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル及び下記式(X):ただし、R2は下記6種:のいずれかである、で示される2価のフェノール化合物を加熱することにより得る、含フッ素アリールエーテルケトン重合体の製造方法。


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