生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アミン誘導体の製造方法
出願番号:1999165033
年次:2009
IPC分類:C07C 209/56,C07C 211/34,C07C 211/38,C07C 211/44,C07C 211/57,C07C 269/00,C07C 271/24,C07C 271/26,C07D 203/20,C07D 263/38,C07B 53/00,C07B 61/00


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古川 喜朗 樋上 和正 JP 4374658 特許公報(B2) 20090918 1999165033 19990611 アミン誘導体の製造方法 ダイソー株式会社 000108993 古川 喜朗 樋上 和正 20091202 C07C 209/56 20060101AFI20091112BHJP C07C 211/34 20060101ALI20091112BHJP C07C 211/38 20060101ALI20091112BHJP C07C 211/44 20060101ALI20091112BHJP C07C 211/57 20060101ALI20091112BHJP C07C 269/00 20060101ALI20091112BHJP C07C 271/24 20060101ALI20091112BHJP C07C 271/26 20060101ALI20091112BHJP C07D 203/20 20060101ALI20091112BHJP C07D 263/38 20060101ALI20091112BHJP C07B 53/00 20060101ALN20091112BHJP C07B 61/00 20060101ALN20091112BHJP JPC07C209/56C07C211/34C07C211/38C07C211/44C07C211/57C07C269/00C07C271/24C07C271/26C07D203/20C07D263/38C07B53/00 GC07B61/00 300 C07C 209/56 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開昭61−176557(JP,A) 特開昭61−271255(JP,A) Journal of Chemical Technology & Biotechnology,1994年,Vol.59,p.271−277 Archives of Pharmacal Research ,1993年,Vol.16,p.152−154 Tetrahedron Letters,1990年,Vol.31,p.1559−1562 Journal of Organic Chemistry,1975年,Vol.40,p.3554−3561 日本化学会第76春季年会−講演予稿集 II,1999年 3月15日,p.732頁 10 2000355575 20001226 9 20060329 野口 勝彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は医薬、農薬等の合成中間体として有用なアミン誘導体の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、アミン誘導体の製造方法としては、ホフマン転移反応を利用することにより、アミドからアミンに導く方法が知られており、例えば、(1)四酢酸鉛を用いて行う方法(J.Org.Chem., 40, 3554 (1975))、(2)N-ブロモこはく酸イミドと酢酸銀または酢酸水銀を用いる方法(Ind.Chem.Libr.,147(1991))、(3)次亜臭素酸を用いる方法(Org.React.,307(1949)等が挙げられる。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの合成法には次のような欠点がある。すなわち、(1)、(2)の方法は、試薬が高価かつ有毒であり、環境を害するおそれが強く工業的には不向きであり、(3)の方法は毒性の強い臭素を用いなければならず、取り扱いが難しいため大量合成には不向きである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題を解決するために種々検討した結果、アミド化合物を原料としてホフマン転位反応を利用することによりアミン誘導体を合成する際、その反応触媒としてN-ハロこはく酸イミドとカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩の組み合わせを用いることにより、これらが安価な反応触媒であることから経済的で、かつ、全反応工程において安全にアミン誘導体を製造し得る方法を見い出し、本発明を完成するに至った。本発明はアミン誘導体の三種類の製造方法に関する。【0005】本発明の第一の方法としては、一般式(1)【化8】[式中、R0は、置換もしくは無置換のアリール基、シクロヘキシル基、もしくはこれらのうち少なくとも一種の2〜5の環で形成される縮合多環炭化水素であるか、または、次式(2)【化9】(式中、R1〜R3は、水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、2−アルケニル基、アリール基、ナフチル基、アルコキシ基、置換アミノ基、もしくはヒドロキシル基である。但し、R2はヒドロキシル基でない。)で表わされる置換エチル基を意味する。]で表されるアミド化合物に、N-ハロこはく酸イミド及びカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を反応させることを特徴とする一般式(3)【化10】(式中、R0は前掲と同じものを意味する。)で表されるアミン誘導体の製造方法に関する。【0006】また、本発明の第二の製造方法としては、一般式(1)【化11】(式中、R0は、前掲と同じものを意味する。)で表されるアミド化合物に、アルコール存在下、N-ハロこはく酸イミド及びカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を反応させることを特徴とする一般式(4)【化12】(式中、R0は前掲と同じものを意味し、Aはアルコール残基を意味する。)で表されるアミン誘導体の製造方法に関する。【0007】更に、本発明の第三の方法としては、一般式(5)【化13】(式中、R1およびR3は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、2−アルケニル基、アリール基、ナフチル基、アルコキシ基、置換アミノ基、もしくはヒドロキシル基であり、R2はヒドロキシル基である。)で表されるアミド化合物に、N-ハロこはく酸イミド及びカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を反応させることを特徴とする一般式(6)【化14】(式中、R1およびR3は前掲と同じものを意味する。)で表されるアミン誘導体の製造方法に関する。【0008】本発明における第一の方法および第二の方法において使用されるアミド化合物である置換もしくは無置換のアリール基、シクロヘキシル基、もしくはこれらのうち少なくとも一種が2〜5で形成される縮合多環炭化水素としては、例えば、ベンズアミド、2−クロロベンズアミド、3−ニトロベンズアミド、4−クロロベンズアミド、4−ヒドロキシベンズアミド、4−エトキシベンズアミド、4−ニトロベンズアミド、2,6−ジフルオロベンズアミドが好ましく用いられるが、特に好ましくはベンズアミド、ヘキサハイドロベンズアミドである。【0009】また、この場合、一般式(2)(式中、R1〜R3は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、2−アルケニル基、アリール基、ナフチル基、アルコキシ基、もしくはヒドロキシル基である。但し、R2はヒドロキシル基でない。)で表されるエチル基としては、オクタアセトアミド、トリメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ヘキサノアミド、デカンアミド、3−ヒドロキシブチルアミド、ラクトアミド、グリシンアミド、セリンアミドが好ましく用いられるが、特に好ましくはデカンアミドである。【0010】また、本発明の第三の方法において用いられるアミド化合物としては、2−ベンジル−3,4−ジヒドロキシブチルアミド、3−ヒドロキシプロピルアミド、2−アセチルアミノ−3−ヒドロキシブチルアミド、若しくは3,4−ジヒドロキシブチルアミドが好ましく用いられるが、特に好ましくは2−ベンジル−3,4−ジヒドロキシブチルアミドである。【0011】本発明の第一ないし第三の方法(以下、「全ての方法」という。)に用いられるカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩としては例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸バリウムが好ましく用いられるが、更に好ましくは酢酸ナトリウム、酢酸カリウムである。この試薬の使用量は、基質であるアミド化合物に対して1〜3当量が好ましく、更に好ましくは1〜1.5当量である。【0012】本発明の全ての方法に用いられるN-ハロこはく酸イミドとしては例えば、N-クロロこはく酸イミド、N-ブロモこはく酸イミド等が好ましく用いられるが、更に好ましくはN-ブロモこはく酸イミドである。この試薬の使用量は基質に対して1〜3当量が好ましく、更に好ましくは1〜1.5当量である。【0013】本発明における第二の方法のおいて用いられる窒素原子に直結した水素原子一個をアルコキシカルボニル基で置換したアミノ誘導体を反応生成物として得るために用いられるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、イソブタノール等が好ましく、更に好ましくはメタノールである。この試薬の使用量は基質に対して1〜20当量が好ましく、更に好ましくは5〜10当量であるが、反応溶媒として大過剰に用いることもできる。【0014】また、本発明の全ての方法においては、反応溶媒として、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアイド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体、並びにこれらの混合溶媒等を用いてもよいが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアイド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒が挙げられる。この場合、反応温度は0℃から溶媒の還流温度まででよい。【0015】本発明の全ての方法における反応機構は明らかではないが、ホフマン転位反応の一形態として、例えばInd.Chem.Libr.,147(1991)で示される反応と類似の転位反応が進行するものと推定される。すなわち、本発明の第一の方法においては、アミドがN−ハロこはく酸イミドによりハロゲン化された後、水素が引き抜かれるのに続いてハロゲンが引き抜かれると同時に転位が起こりイソシアナートが形成され、加水分解されて、アミノ基が形成される。また、この反応をアルコール存在下で行うと、本発明における第二の方法のように、形成されたイソシアネートにアルコールが反応してカルバメートが形成される。さらに、本発明の第三の方法のように、一般式(5)のようなR2が水酸基を有する場合には形成されたイソシアネートに水酸基が反応してオキサゾリン環が形成される。【0016】本発明の全ての方法において、原料として用いられる式(1)で表される化合物が光学活性体であれば、ラセミ化すること無く立体を保持したまま反応は進行し、目的とする立体構造を持った化合物が得られる。本発明の第一の方法および第二の方法において、例えば(2S,3S)体の式(1)で表される化合物を用いれば(2S,3S)体の式(2)で表される化合物が得られる。また、本発明の第三の方法において、(2S,3S)体の式(1)で表される化合物を用いれば(4S,5S)体の式(5)で表される化合物が得られる。【0017】【発明の実施の実態】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1アルゴン雰囲気下、ジメチルホルムアミド(50ml)にヘキサハイドロベンズアミド(1.27g、10mmol)、N−ブロモこはく酸イミド(2.31g,13mmol)、酢酸ナトリウム(0.98g、12mmol)を室温で順次加え、2時間攪拌した。反応終了後ジメチルホルムアミドを留去し、残さに酢酸エチル、水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。残さを蒸留することによりシクロヘキシルアミン(0.71g、72%)を得た。【0018】実施例2アルゴン雰囲気下、ジメチルホルムアミド(2ml)にベンズアミド(50mg、0.41mmol)、N−ブロモこはく酸イミド(96mg、0.54mmol)、酢酸ナトリウム、メタノール(395mg、12.3mmol)を室温で順次加え、2時間攪拌した。反応終了後減圧留去し、残さに酢酸エチル、水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーで精製することによりN−メトキシカルボニルアニリン(53mg、85%)を得た。【0019】実施例3アルゴン雰囲気下、ジメチルホルムアミド(1ml)に(2S,3S)−2−ベンジル−3,4−ジヒドロキシブチルアミド(0.113g、0.54mmol)、N−ブロモこはく酸イミド(0.125g、0.702mmol)、酢酸カリウム(0.063g、0.648mmol)を室温で順次加え、2時間攪拌した。反応終了後ジメチルホルムアミドを留去し、残さに酢酸エチル、水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより(4S,5S)−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オン(79mg、71%)を得た。【0020】【発明の効果】本発明によれば、用いる反応触媒が安価であることから経済的で、かつ、全反応工程において安全にアミン誘導体を製造することができる。 一般式(1)[式中、R0は、無置換のアリール基、シクロヘキシル基、もしくはこれらのうち少なくとも一種の2〜5の環で形成される縮合多環炭化水素であるか、または、次式(2)(式中、R1〜R3は、水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、2−アルケニル基、アリール基、ナフチル基、アルコキシ基、もしくはヒドロキシル基である。但し、R2はヒドロキシル基でない。)で表わされる置換エチル基を意味する。]で表されるアミド化合物に、N-ハロこはく酸イミド及びカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を反応させることを特徴とする一般式(3)(式中、R0は前掲と同じものを意味する。)で表されるアミン誘導体の製造方法。 一般式(1)(式中、R0は、無置換のアリール基、シクロヘキシル基、もしくはこれらのうち少なくとも一種の2〜5の環で形成される縮合多環炭化水素であるか、または、次式(2)(式中、R1〜R3は、水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、2−アルケニル基、アリール基、ナフチル基、アルコキシ基、もしくはヒドロキシル基である。但し、R2はヒドロキシル基でない。)で表わされる置換エチル基を意味する。)で表されるアミド化合物に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、イソブタノールのアルコール群から選択させる少なくとも一種類のアルコール存在下、N-ハロこはく酸イミド及びカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を反応させることを特徴とする一般式(4)(式中、R0は前掲と同じものを意味し、Aはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を意味する。)で表されるアミン誘導体の製造方法。 一般式(5)(式中、R1およびR3は、水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、2−アルケニル基、アリール基、ナフチル基、アルコキシ基、もしくはヒドロキシル基であり、R2はヒドロキシル基である。)で表されるアミド化合物に、N-ハロこはく酸イミド及びカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を反応させることを特徴とする一般式(6)(式中、R1およびR3は前掲と同じものを意味する。)で表されるアミン誘導体の製造方法。 アミド化合物として、2−ベンジル−3,4−ジヒドロキシブチルアミドを用い、これにN-ハロこはく酸イミド及びカルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩を反応させることによる4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オンの製造方法。 N-ハロこはく酸イミドがN-ブロモこはく酸イミドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアミン誘導体の製造方法。 カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩が酢酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアミン誘導体の製造方法。 酢酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩が酢酸ナトリウム、または酢酸カリウムであることを特徴とする請求項6に記載のアミン誘導体の製造方法。 R0がフエニル基またはナフチル基であることを特徴とする請求項1、2、5、6または7に記載のアミン誘導体の製造方法。 一般式(1)で表わされるアミド化合物がヘキサハイドロベンズアミド、またはベンズアミドであることを特徴とする請求項1、2、5、6または7に記載のアミン誘導体の製造方法。 (2S,3S)―2−ベンジル−3,4−ジヒドロキシブチルアミドを用い、(4S,5S)―4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オンを製造することを特徴とする請求項4に記載のアミン誘導体の製造方法。


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