生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_プロテアーゼ含有液
出願番号:1999162127
年次:2010
IPC分類:C12N 9/96,C12Q 1/37


特許情報キャッシュ

関口 政博 牛澤 幸司 JP 4434360 特許公報(B2) 20100108 1999162127 19990609 プロテアーゼ含有液 積水メディカル株式会社 390037327 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 棚井 澄雄 100106909 関口 政博 牛澤 幸司 20100317 C12N 9/96 20060101AFI20100225BHJP C12Q 1/37 20060101ALN20100225BHJP JPC12N9/96C12Q1/37 IPC C07K 5/06 C12N 9/00 C12Q 1/00 DB名 CA/BIOSIS/MEDLINE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed Science Direct CiNii WPI 特開平08−131170(JP,A) 特開平05−192193(JP,A) 特開平09−169797(JP,A) BIOCHEMISTRY,1974年,vol.13 no.6,pp.1186-1189 2 2000342252 20001212 6 20060522 左海 匡子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、プロテアーゼ含有液に関し、さらに詳しくは、長期間溶液中でプロテアーゼ活性の低下が少なく、操作性、経済性に優れたプロテアーゼ含有液に関する。【0002】【従来の技術】グリコシル化蛋白質は、グルコース等の還元糖類と、血清アルブミン等の蛋白質とが非酵素的に縮合したものであり、その主なグリコシル化部位は、リジン残基のε−アミノ基及びN末端アミノ酸のα−アミノ基である。かかるグリコシル化蛋白質は、糖尿病における血糖制御を監視する上で有用な手段である。例えば、フルクトサミンは、アルブミンを主とする血漿蛋白質がグルコースと結合し、アマドリ転移により安定化したものであり、血液中の過去1〜3週間のグルコースレベルを反映する。また、HbA1cは、グルコースがヘモグロビンβ鎖のN末端バリンと結合し、アマドリ転移により安定化したものであり、血液中の過去3〜4週間のグルコースレベルを反映する。【0003】上記フルクトサミン等のグリコシル化蛋白質を測定する手段としては、例えば試料をプロテアーゼで処理し、そのプロテアーゼ処理試料をケトアミンオキシダーゼで処理し、その反応生成物を測定することを特徴とする、試料中の非酵素的グリコシル化蛋白質の測定法(特開平5−192193号公報)が知られている。これは、ケトアミンオキシダーゼの反応によって、プロテアーゼ処理蛋白質から糖オソン及び過酸化水素を生成させ、そのいずれかを測定することにより、グリコシル化蛋白質を測定する方法である。この方法は、測定精度が高く、自動化に適しているという優れた利点を有している。しかしながら、この方法において、プロテアーゼは、蛋白質を分解してケトアミンオキシダーゼの基質を遊離するという性質を有するものであるため、プロテアーゼの活性が低下すると、測定感度が低下するという問題を有している。このためこれまでは、プロテアーゼを含む試薬を凍結乾燥して、保存中のプロテアーゼ活性の低下を防止し、使用する際にその都度必要量を水に溶解していた。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、使用の際にその都度必要量を溶解することは、操作性、迅速性の点で問題があった。また、余った溶液は、そのまま保存するとプロテアーゼ活性が低下するため、廃棄せざるを得ず、経済的にも不利であった。【0005】したがって、本発明は、プロテアーゼが溶液中で長期間安定であり、液状化試薬としてそのまま用いることができ、操作性、経済性に優れたプロテアーゼ含有液を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、プロテアーゼとともに、Gly−Phe、Gly−Leu、His−Leu及びαアミノ基をt−ブトキシカルボニル基で修飾したアミノ酸からなる群より選ばれる1種以上を配合したプロテアーゼ含有液であれば、長期間保存してもプロテアーゼ活性の低下が少なく安定であり、測定時にそのまま使用することができ、操作性、迅速性、経済性に優れていることを見出し、本発明を完成した。【0007】すなわち、本発明は、グリコシル化蛋白質を測定する際に使用するプロテアーゼ含有液であって、これが、Gly−Phe、Gly−Leu、His−Leu及びαアミノ基をt−ブトキシカルボニル基で修飾したアミノ酸からなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とするプロテアーゼ含有液を提供するものである。【0008】【発明の実施の形態】本発明に用いるプロテアーゼは、グリコシル化蛋白質の測定に用いるものであれば特に制限はなく、例えばプロテイナーゼK、プロナーゼE、アナナイン、サーモリジン、ズブチリシン、ウシ膵臓プロテアーゼ等が挙げられ、これらを1種以上用いることができる。このうち、プロテイナーゼKが好ましい。かかるプロテアーゼは、本発明のプロテアーゼ含有液中、活性として0.5〜10000u/mL、特に10〜2000u/mLの範囲で用いることが好ましい。【0009】本発明においては、αアミノ基をt−ブトキシカルボニル(以下、「Boc」という)基で修飾したアミノ酸(以下、「Bocアミノ酸」という)の絶対配置に特に制限はなく、D型、L型のいずれでもよいが、このうちL型が特に好ましい。【0010】Bocアミノ酸は、少なくともαアミノ基がBoc基で修飾されていれば、残余のアミノ基やカルボキシル基等が、Boc基や、あるいはベンゾキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシ基等のBoc基以外の基で修飾されていてもよい。例えば、α位とε位の2個所にアミノ基を有するリジンの場合、両者がBoc基で修飾されていてもよく、またαアミノ基がBoc基で修飾され、εアミノ基がBoc基以外の基で修飾されていてもよい。かかるBocアミノ酸としては、例えばBoc−Ala位とε位の2個所にアミノ基を有するリジンの場合、両者がBoc基で修飾されていてもよく、またαアミノ基がBoc基で修飾され、εアミノ基がBoc基以外の基で修飾されていてもよい。かかるBocアミノ酸としては、例えばBoc−Ala、N(α)−Boc−Lys、N(α)−Boc−N(ε)−Boc−Lys、N(α)−Boc−N(ε)−ベンゾキシカルボニル−Lys、Boc−Asp、N(α)−Boc−Asp−β−シクロヘキシルエステル、Boc−Gly及びBoc−Val等が好ましい。このうちBoc−L−α−アミノ酸であるBoc−L−α−Ala、N(α)−Boc−N(ε)−ベンゾキシカルボニル−L−α−Lys、N(α)−Boc−L−α−Asp−β−シクロヘキシルエステル、Boc−L−α−Gly及びBoc−L−α−Valが特に好ましい。かかるBocアミノ酸の、本発明のプロテアーゼ含有液中の含有量は、0.1〜500mM、特に1〜100mMが好ましい。0.1〜500mM含有することにより、プロテアーゼ含有液中のプロテアーゼ安定化効果が顕著になる。なお、ここでN(α)またはN(ε)とは、α位のNまたはε位のNを意味する。【0011】また、本発明においては、Gly−Phe、Gly−Leu、His−Leuを用いることもでき、このうち、Gly−Pheが好ましい。また、本発明においては、ペプチドをプロテアーゼ含有液に添加し、該プロテアーゼで該ペプチドを加水分解させ、上記ジペプチドを該プロテアーゼ含有液中で生成させてもよい。上記ジペプチドの、本発明のプロテアーゼ含有液中の含有量は、0.1〜500mM、特に1〜100mMが好ましい。0.1〜500mM含有することにより、プロテアーゼ含有液中のプロテアーゼ安定化効果が顕著になる。また本発明においては、Bocアミノ酸と上記ジペプチドとを併用してもよい。【0012】本発明においては、Bocアミノ酸や上記ジペプチドの、プロテアーゼ含有液への溶解を容易にするため、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン20、ブリジ35等の界面活性剤をプロテアーゼ含有液に配合してもよい。さらに、本発明においては、プロテアーゼ含有液中のプロテアーゼを安定化させるために、既知のプロテアーゼ安定化剤、例えばプロテイナーゼKに対しはてカルシウムイオン等を配合してもよい。【0013】本発明のプロテアーゼ含有液は、プロテアーゼ、Bocアミノ酸、上記ジペプチド、必要に応じてその他の化合物を水に混合し、適宜撹拌することにより調製することができる。水の温度、上記成分の添加順序に特に制限はない。本発明のプロテアーゼ含有液の保存条件に特に制限はないが、50℃以下、特に40℃以下で保存することが好ましい。【0014】本発明のプロテアーゼ含有液は、グリコシル化蛋白質測定のための予備処理に用いることができる。すなわち、糖と蛋白質が反応し、さらにアマドリ転移して生じたケトアミン体に対して、本発明のプロテアーゼ含有液を作用させ、蛋白質部分を加水分解する。次いで該加水分解物にケトアミンオキシダーゼ等を作用させ、生成した糖オソン又は過酸化水素を定量することにより、グリコシル化蛋白質を定量することができる。かかるグリコシル化蛋白質の測定は、用いるプロテアーゼの活性により、測定感度が大きく変化するが、本発明のプロテアーゼ含有液は、長期間活性が変化せず安定であり、上記測定方法の予備処理液として優れたものである。本発明のプロテアーゼ含有液は、特に糖化アルブミン、糖化ヘモグロビンの測定に有用である。【0015】【実施例】次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。【0016】実施例1〜6及び比較例1〜3プロテアーゼ含有液の調製糖化タンパク測定用試薬「GlyPro」(ジェンザイム ダイアグノスティク社製)の試薬▲1▼(プロテイナーゼK、パーオキシダーゼ、グッド緩衝液を含む凍結乾燥試薬)に25mLの蒸留水を添加し、室温で10分間適宜撹拌して溶解させた。これに、Boc−L−α−Alaを、濃度が10mMとなるように溶解して、プロテアーゼ含有液を調製した(実施例1)。実施例2〜6及び比較例1、2は、実施例1において、Boc−L−α−Alaの代わりに表1に示す化合物を用いた以外は実施例1と同様にしてプロテアーゼ含有液を調製した。比較例3は、実施例1において、Boc−L−α−Alaを配合せずにプロテアーゼ含有液を調製した。各実施例及び比較例に配合した修飾アミノ酸等及びその濃度を表1に示す。【0017】【表1】【0018】試験例1プロテアーゼ含有液の活性の測定上記で得られた各プロテアーゼ含有液中の、プロテイナーゼK活性を測定した。次いで、該含有液を37℃で15日間保存した後、再度プロテイナーゼK活性を測定した。次いで、活性残存率(%)を、100×(保存後のプロテイナーゼK活性)/(保存前のプロテイナーゼK活性)により算出した。また、比較例3の活性残存率に対する各実施例、比較例の活性残存率を、活性残存率対無添加比として算出した。結果を表1に示す。なお、プロテイナーゼKの活性は、n-succinyl-Ala-Ala-Pro-Phe-p-nitroanilide を基質とし、単位時間当たりに生成するp-nitroaniline量を、波長405nmにおける吸光度変化量を測定することにより測定した。【0019】比較例3のプロテアーゼ含有液は、37℃で15日間保存後の活性残存率が約33%であり、プロテイナーゼKが溶液中では不安定であることが確認された。比較例1及び2のプロテアーゼ含有液の活性残存率は、比較例3の場合よりさらに低かった。これに対し、実施例1〜6のプロテアーゼ含有液は、比較例3の場合より活性残存率が高く、プロテイナーゼKが溶液中で安定化したことが確認された。【0020】【発明の効果】本発明のプロテアーゼ含有液は、凍結乾燥せずにそのまま保存しても、活性の低下が少なく、長期間安定で操作性、経済性にすぐれている。このため、該プロテアーゼ含有液は、プロテアーゼ活性により測定精度が大きく変化するグリコシル化蛋白質の測定に極めて有用である。 グリコシル化蛋白質を測定するためのプロテイナーゼK含有液であって、これが、Gly−Phe、t−ブトキシカルボニル−Ala、N(α)−t−ブトキシカルボニル−N(ε)−ベンゾキシカルボニル−Lys、N(α)−t−ブトキシカルボニル−Asp−β−シクロヘキシルエステル、t−ブトキシカルボニル−Gly及びt−ブトキシカルボニル−Valからなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とするプロテイナーゼK含有液。 グリコシル化蛋白質が、糖化アルブミン又は糖化ヘモグロビンである請求項1項記載のプロテイナーゼK含有液。


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