タイトル: | 特許公報(B2)_コーティング用紫外線硬化性組成物およびそれから得られるコーティング材ならびにその製造方法 |
出願番号: | 1999127111 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C09D 133/00,C09D 7/12,C07D 305/06,C08G 65/18 |
三輪 孔之 国村 勝 JP 4168530 特許公報(B2) 20080815 1999127111 19990507 コーティング用紫外線硬化性組成物およびそれから得られるコーティング材ならびにその製造方法 宇部興産株式会社 000000206 鮫島 睦 100100158 新免 勝利 100156085 田村 恭生 100068526 三輪 孔之 国村 勝 20081022 C09D 133/00 20060101AFI20081002BHJP C09D 7/12 20060101ALI20081002BHJP C07D 305/06 20060101ALN20081002BHJP C08G 65/18 20060101ALN20081002BHJP JPC09D133/00C09D7/12C07D305/06C08G65/18 C09D CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平10−212343(JP,A) 特開平11−060995(JP,A) 特開平10−156952(JP,A) 特開平10−001508(JP,A) 特開平09−278866(JP,A) 特開平08−269392(JP,A) 特開平08−218296(JP,A) 特開平08−208832(JP,A) 特開平07−062082(JP,A) 特開平07−053711(JP,A) 特開平11−060683(JP,A) 特開2000−319457(JP,A) 13 2000319577 20001121 23 20050204 天野 宏樹 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、コーティング用組成物、該組成物の硬化方法、およびその方法によって得られる新規なコーティング材に関する。さらに詳しくは、分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物、熱可塑性アクリルポリマーおよびカチオン性光重合開始剤を含んでなり、鉄等の金属、プラスチック、コンクリート、木材等の表面に、透明性、耐熱性、耐候性、密着性等に優れた塗膜を形成できるコーティング用紫外線硬化性組成物、該組成物を紫外線(以下「UV」ともいう)照射により重合・硬化せしめて得られる新規なコーティング材、および分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物中に熱可塑性アクリルポリマーを加熱溶解後、カチオン性光重合開始剤を添加し、次いでUV照射する前記コーティング材の製造方法に関する。【0002】本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物は、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属、合金、プラスチック、コンクリート、木材等のコーティング用途の他、プラスチック用塗料、リソグラフ・スクリーンインキ、紙用塗料、電気/電子関係の塗料およびシーラント、フレキソ印刷などの分野への使用が大いに期待できる。【0003】【従来の技術】従来から、鉄等の金属、プラスチック、コンクリートおよび木材等の造形品の表面に保護膜を形成する目的で種々のコーティング用組成物およびその製法が検討されている。その一つとして、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系モノマーと光重合開始剤とを混合した組成物を上記鉄等の金属、プラスチック、コンクリートおよび木材等の基材表面に塗布後、UV照射する方法が知られている。例えば、特開平8−47667号公報には、熱可塑性アクリルポリマーをベースとする造形品の表面上に、少なくとも2つの重合性二重結合を有する少なくとも一種の(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマーを40〜98.5重量%、少なくとも一種の極性基を有する(メタ)アクリルモノマー及び/又はオリゴマーを1〜20重量%、UV光重合開始剤を0.5〜10重量%、コロイド状シリカ及び/又はコロイド状金属酸化物を0〜3重量%、UV安定剤を0〜8重量%および非イオン性界面活性剤を0〜3重量%含む組成物をコーティングし、そして該組成物を20〜65℃の温度でUV光により重合および架橋することからなる、熱可塑性アクリルポリマーをベースとする耐引掻性及び耐磨耗性を有する造形品(つまりプレート及びフィルム)の製造方法が開示されている。【0004】一方、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル等の熱可塑性アクリルポリマーをトルエン、キシレン等の非反応性有機溶媒に加熱溶解せしめて基材表面にキャスト後、該非反応性有機溶媒を留去することにより、基材表面に保護膜を形成する方法も知られている。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開平8−47667号公報に開示されたようなアクリル系モノマーと光重合開始剤とを混合した組成物を基材表面に塗布後、UV照射する方法においては、UV照射によりアクリル系モノマーをラジカル重合せしめて、基材表面上に硬化膜を形成するため、硬化に際しての硬化物の大きな収縮性や高い吸水性が大きな問題となる。しかし、このようなラジカル重合に基づく保護膜形成方法でも、薄膜形成ができれば前述の問題、特に前記硬化収縮の問題が小さくなるので、コスト面の問題とも相まって、保護膜の形成技術は数μm程度の薄膜化へ移行しているのが現状であり、保護膜として数十〜数百μm程度の厚膜を必要とする物には向かない。一方、前記熱可塑性アクリルポリマーを非反応性有機溶媒に加熱溶解せしめて基材表面にキャスト後、該非反応性有機溶媒を留去する方法では、場合によっては非反応性有機溶媒を減圧留去しなければならないなど処理工程が煩雑であり、また、処理時間も長くなるなどの問題がある。【0006】本発明の目的は、硬度、透明性、保存性、低収縮性、低臭気性、耐候性、低刺激性等に優れ、厚膜成形が可能なコーティング用組成物およびその製造方法、ならびにその方法によって得られるコーティング材を提供することである。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題の解決されたコーティング用組成物を製造すべく鋭意検討を重ねた結果、反応性有機溶媒である特定のオキセタン化合物中に熱可塑性アクリルポリマーを加熱溶解後、カチオン性光重合開始剤を添加して、鉄等の金属、プラスチック、コンクリートおよび木材等の基材表面上にキャストし、次いでUV照射することにより、上記課題が解消され、透明性、保存性、低収縮性等に優れ、厚膜成形が可能なコーティング用組成物が容易に得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0008】すなわち、請求項1に記載の第1の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物、熱可塑性アクリルポリマーおよびカチオン性光重合開始剤を含んで成るコーティング用紫外線硬化性組成物を提供することで達成できる。請求項2に記載の第2の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物、熱可塑性アクリルポリマーおよびカチオン性光重合開始剤を含んで成る組成物を、紫外線照射により、硬化せしめて得られるコーティング材を、また、請求項3に記載の第3の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物中に熱可塑性アクリルポリマーを加熱溶解後、カチオン性光重合開始剤を添加し、次いで紫外線照射することを特徴とするコーティング材の製造方法を、それぞれ、提供することで達成できる。【0009】請求項4に記載の第4の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物100重量部に対して、熱可塑性アクリルポリマーを0.1〜100重量部およびカチオン性光重合開始剤を0.1〜10重量部の割合で含んで成る前記第1の発明に係わるコーティング用紫外線硬化性組成物を提供することで達成できる。そして、請求項5に記載の第5の発明は、熱可塑性アクリルポリマーが(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーである前記第4の発明に係わるコーティング用紫外線硬化性組成物を、また請求項6に記載の第6の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物が前記一般式(I)(式中、XはOまたはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である。また、R1 およびR2 は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)で表わされるビスオキセタン化合物である前記第5の発明に係わるコーティング用紫外線硬化性組成物を、それぞれ、提供することで達成できる。【0010】一方、請求項7に記載の第7の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物100重量部に対して、熱可塑性アクリルポリマーを0.1〜100重量部およびカチオン性光重合開始剤を0.1〜10重量部の割合で含んで成る組成物を、紫外線照射により、硬化せしめて得られる前記第2の発明に係わるコーティング材を提供することで達成できる。そして、請求項8に記載の第8の発明は、熱可塑性アクリルポリマーが(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーである前記第7の発明に係わるコーティング材を、請求項9に記載の第9の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物が前記一般式(I)(式中、XはOまたはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である。また、R1 およびR2 は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)で表わされるビスオキセタン化合物である前記第8の発明に係わるコーティング材を、それぞれ、提供することで達成できる。【0011】さらに、請求項10に記載の第10の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物100重量部に対して、熱可塑性アクリルポリマーを0.1〜100重量部およびカチオン性光重合開始剤を0.1〜10重量部の割合で使用することを特徴とする前記第3の発明に係わるコーティング材の製造方法を提供することで達成できる。さらにまた、請求項11に記載の第11の発明は、熱可塑性アクリルポリマーが(メタ)アクリル酸エステル(コ)ポリマーである前記第10の発明に係わるコーティング材の製造方法を、請求項12に記載の第12の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物が前記一般式(I)(式中、XはOまたはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である。また、R1 およびR2 は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)で表わされるビスオキセタン化合物である前記第11の発明に係わるコーティング材の製造方法を、それぞれ、提供することで達成できる。【0012】【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明する。本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物であるオキセタン化合物(A)(以下「(A)成分」ともいう)、熱可塑性アクリルポリマー(B)(以下「(B)成分」ともいう)およびカチオン性光重合開始剤(C)(以下「(C)成分」ともいう)からなる透明液状樹脂組成物であり、後述する紫外線照射による硬化方法によって本発明の新規な硬化膜(コーティング材)を製造し得るものである。【0013】そこでまず、本発明の紫外線硬化性組成物の一成分である前記オキセタン化合物(A)について述べる。本発明に用いられる前記オキセタン化合物(A)は、上述したように、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物である。分子中に1個のオキセタン環を有する化合物は、下記一般式(II)【0014】【化4】【0015】(ただし、式中、R3 は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す)で表わされる化合物である。1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基およびイソヘキシル基などの直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。分子中に1個のオキセタン環を有する化合物としては、前記一般式(II)においてR3 が水素原子である3−ヒドロキシメチルオキセタン、R3 がメチル基である3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンおよびR3 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンの使用が好ましく、これらの中でも3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンおよび3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンの使用が特に好ましい。【0016】一方、分子中に2個のオキセタン環を有する化合物は、下記一般式(I)【0017】【化5】【0018】(式中、R1 およびR2 は、前記一般式(II)におけるR3 と同様の基であり、Xは、OまたはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である。ここで、(CH2)mとしては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基およびドデカメチレン基などの1〜12個の炭素原子を有する線状アルキレン基が具体的に挙げられる。)で表わされるビスオキセタン化合物である。【0019】本発明における分子中に2個のオキセタン環を有する化合物としては、前記一般式(I)において、R1 およびR2 が低級アルキル基のものが好ましく、メチル基およびエチル基のものがより好ましい。したがって、上記の分子中に2個のオキセタン環を有する化合物の好ましい具体例としては、下記式(1)〜(5)で示されるビスオキセタンなどが挙げられる。【0020】【化6】【0021】つまり、式(1)で示される化合物は、前記一般式(I)において、R1 およびR2 がエチル基であり、XがOであるビスオキセタン、すなわち、3,3’−(オキシジメチレン)ビス〔3−エチルオキセタン〕である。また、式(2)〜(5)で示される化合物は、前記一般式(I)において、R1 およびR2 がエチル基であり、XがO(CH2)mOにおいてmが、それぞれ、2、4、6および8であるビスオキセタンである。【0022】本発明に用いられる分子中に3または4個のオキセタン環を有する化合物は、下記一般式(III)【0023】【化7】【0024】(式中、R4 は、前記一般式(II)におけるR3 と同様の基であり、R5 は、炭化水素基、置換された炭化水素基、下記一般式(IV)【0025】【化8】で示される基、および下記一般式(V)【0026】【化9】【0027】で示される基からなる群より選択される原子価が3または4の多価基であり、nは、3もしくは4である。なお、上記一般式(IV)および一般式(V)において、Y1 およびY2 は、いずれも場合により置換されている原子価が3または4の脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素基であり、pおよびqは、共に3もしくは4である)で表わされる化合物である。【0028】前記3または4価の炭化水素基、あるいは、置換された3または4価の炭化水素基としては、下記式(6)〜(8)で示される多価基などの炭素原子数1〜12の分岐状アルキレン基を例示することができる。【0029】【化10】【0030】上記式(6)において、R6 は、水素原子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基あるいはtert−ブチル基などの1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル基である。【0031】また、前記一般式(IV)において、場合により置換されている3または4価の炭化水素基であるY1 としては、下記式【0032】【化11】【0033】で示される3価の芳香族炭化水素基を挙げることができる。さらにまた、前記一般式(V)において、場合により置換されている3または4価の炭化水素基であるY2 としては、下記式【0034】【化12】【0035】あるいは【化13】で示される3価の脂環式または芳香族炭化水素基を挙げることができる。【0036】そして、本発明に用いられる分子中に3または4個のオキセタン環を有する化合物として、具体的には、前記一般式(III)において、R4 が低級アルキル基であり、R5 が前記式(6)で示される原子価が3で炭素原子数1〜12の分岐状アルキレン基や、前記一般式(IV)で示される基であるものが好ましい。さらには、前記一般式(III)において、R4 がエチル基であり、R5 が、前記式(6)でR6 がエチル基であるもの、または、前記一般式(IV)でY1 が下記式【0037】【化14】で示される芳香族炭化水素基、かつpが3であるものがより好ましい。【0038】本発明に用いられる上述したような分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)は、次のようにして製造され得る。例えば、前記一般式(II)で示される分子中に1個のオキセタン環を有する化合物は、下記式(9)のように、パティソン(Pattison)(J.Am.Chem.Soc.,1957,79を参照)の方法により、1,3−ジオールから合成することができる。【0039】【化15】【0040】具体的には、前記一般式(II)においてR3 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンは、トリメチロールプロパンと炭酸ジエチルから上記パティソンの方法により得られる。【0041】前記一般式(I)において、R1およびR2 がエチル基で、XがOである分子中に1個のエーテル基を含むビスオキセタン化合物、すなわち、3,3’−(オキシジメチレン)ビス〔3−エチルオキセタン〕は、前述のパティソンの方法により合成された3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと、メタンスルホニルクロライドとから、下記化学式(10)のように合成することができる。なお、下記化学式(10)において用いた略号TEA、MeおよびTBABは、それぞれ、トリエチルアミン、CH4 およびテトラn−ブチルアンモニウムブロマイドを表わす。【0042】【化16】【0043】また、前記一般式(I)において、R1 およびR2 がエチル基で、XがO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である分子中に2個のエーテル基を含むビスオキセタン化合物は、前述のパティソンの方法により合成された3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと、ジハライドとから、下記化学式(11)のように合成することができる。【0044】【化17】【0045】前記の化学式(11)において、X1 は、臭素原子、塩素原子またはヨウ素原子であり、mは、1〜12の整数である。【0046】また、前記一般式(III)において、nが3または4である、すなわち、分子中に3または4個のオキセタン環を有する化合物は、前述のパティソンの方法により合成された3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを出発原料とすることにより、前述のビスオキセタン化合物と同様にして調製することができる。【0047】本発明では、前記コーティング用紫外線硬化性組成物を構成する分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)として、前述の分子中に1個のオキセタン環を有する化合物、分子中に2個のオキセタン環を有するビスオキセタン化合物、あるいは分子中に3または4個のオキセタン環を有する化合物から選ばれる1種類が単独使用されてもよく、また、これらの2種類以上が併用されたものであってもよい。【0048】次に、本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物を構成する第2成分である熱可塑性アクリルポリマー(B)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミノカルボニルアルキルエステル、(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸エポキシシクロアルキルエステルおよび(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステルなどの一般に透明である(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーが挙げられる。【0049】前記(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーのモノマー成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数に特に制限はなく、1〜20程度の任意のものが使用できる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリルおよび(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。また、モノマー成分の前記(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルおよび(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなど、そして(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸カルボキシエチルなどが、それぞれ、好適に挙げられる。さらにまた、モノマー成分の前記(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルおよび(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルなど、(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸グリシジルなど、(メタ)アクリル酸エポキシシクロアルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなど、そして(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸パーフルオロブチルエチルおよび(メタ)アクリル酸パーフルオロイソノニルエチルなどが、それぞれ、好適に挙げられる。なお、本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーのモノマー成分である上述の(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用されてもよく、また、2種以上の併用であってもよい。【0050】本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物における熱可塑性アクリルポリマー(B)としては、前記(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーの中でもポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルおよびポリアクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(コ)ポリマーが好ましく、ポリメタクリル酸メチルが特に好ましい。また、本発明においては、前記(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーとポリ塩化ビニルもしくはポリフッ化ビニリデンとの透明なポリマーアロイや、分散相中にアクリルエラストマーを含有するポリメタクリル酸メチル(耐衝撃性ポリメタクリル酸メチル)も前記熱可塑性アクリルポリマー(B)の好適な例として挙げることができる。【0051】一方、本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物のもう一つの構成成分である前記カチオン性光重合開始剤(C)は、紫外線の照射を受けることによって前記(A)成分のオキセタン環の開環ならびにカチオン重合を開始させる化合物である。【0052】カチオン性光重合開始剤(C)の好ましい例として、下記一般式(VI)で表わされる構造を有するオニウム塩を挙げることができる。このオニウム塩は、紫外線を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。【0053】【化18】【0054】(式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、ClまたはN≡Nであり、R7 、R8 、R9 およびR10は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体〔MZh+k〕 の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Zは例えばF、Cl、Brなどのハロゲン原子であり、kはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、hはMの原子価である。)【0055】前記一般式(VI)においてオニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス〔4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル〕スルフィドおよびη5−2,4−(シクロペンタジェニル)〔1,2,3,4,5,6−η)−(メチルエチル)−ベンゼン〕−鉄(1+)などが挙げられる。【0056】前記一般式(VI)中における陰イオン〔MZh+k〕 の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6-)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6-)などが挙げられる。また、カチオン性光重合開始剤(C)として使用することができるオニウム塩として、前記一般式(VI)において、〔MZh+k〕 の代わりに一般式:〔MZh(OH)-〕(ここで、M、Zおよびhは、一般式(VI)に関して前記に定義した通りである。)で表わされる陰イオン、過塩素酸イオン(ClO4-)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3-)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3-)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸イオンなどの他の陰イオンを有するオニウム塩が挙げられる。【0057】さらに、カチオン性光重合開始剤(C)として使用可能なオニウム塩の例として芳香族オニウム塩がある。例えば、特開昭50−151996号公報および、特開昭50−158680号公報などに記載の芳香族ハロニウム塩;特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報および特開昭55−125105号公報などに記載のVIA族芳香族オニウム塩;特開昭50−158698号公報などに記載のVA族芳香族オニウム塩;特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報および特開昭57−192429号公報などに記載のオキソスルホキソニウム塩;特開昭49−17040号公報などに記載の芳香族ジアゾニウム塩;米国特許第4,139,655号明細書に記載のチオビリリウム塩などが好ましい。また、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤などを挙げることができる。【0058】(C)成分として使用できるカチオン性光重合開始剤の市販品としては、例えば、UVI−6950、UVI−6970(ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ〕−フェニルスルフィド)、UVI−6974(ビス〔4−ジフェニルスルホニオ)−フェニル〕スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネートとジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートとの混合物)、UVI−6990(UVI6974のヘキサフルオロホスフェイトの塩)(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−151、SP−170(ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル〕スルフィド)、SP−150(SP−170のヘキサフルオロホスフェイト)、SP−171(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(η5−2,4−シクロペンタジェン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(1+)−ヘキサフルオロフォスフェート(1−))(チバガイギー社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(4−(2−ヒドロキシテトラデカニルオキシ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103((4−ヒドロキシナフチル)−ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、TPS−102(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェイト)、TPS−103(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、MDS−103(4−メトキシフェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、MPI−103(4−メトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)、BBI−101(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート)、BBI−102(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)、BBI−103(ビス(4−tert−フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)(以上、みどり化学(株)製)、Degacure K126(ビス〔4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル〕スルフィドビスヘキサフルオロホスフェイト)(デグサ社製)などの商品名で入手できるものが挙げられる。これらのうち、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990、アデカオプトマーSP−170、SP−171、CD−1012、MPI−103が好ましく使用できる。ただし、これら例示に限定されるものではない。【0059】上記のカチオン性光重合開始剤は、1種単独で、あるいは2種以上のものを組み合わせて、本発明の(C)成分を構成することができる。【0060】ところで、本発明の一つの態様であるコーティング用紫外線硬化性組成物は、前述したように、前記の分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物(A)の少なくとも1種と、前記の熱可塑性アクリルポリマー(B)の少なくとも1種と、前記のカチオン性光重合開始剤(C)の少なくとも1種を含んで成り、前記(A)成分中に前記(B)成分を加熱溶解せしめた後、前記(C)成分を添加することによって得られる透明液状樹脂組成物である。そして、該組成物は、UVを照射することによって前記(A)成分の硬化反応を行わしめ、本発明のもう一つの態様であるコーティング材を製造し得るものである。すなわち、前記(A)成分は、前記(B)成分を加熱溶解するための溶媒として作用するとともに、自らは、前記(C)成分の存在下に前記紫外線を受けてオキセタン環の開環およびカチオン重合反応、いわゆる硬化反応を行い硬化物を形成する反応性有機溶媒である。一方、本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物において、前記(B)成分は、粘度調整による硬化膜(コーティング材)の厚みのコントロール、硬化に際しての収縮性の低減、柔軟性の付与、表面硬度の向上、ガラス転移点(Tg)のアップによる耐熱性の向上などの役目をになうものである。【0061】従って、硬化物を得ることのみからすれば、前記(B)成分は必ずしも必要な成分ではない。しかし、本発明における上述の効果を考えれば、前記コーティング用組成物の構成成分として、前記(B)成分が含まれることが好ましい。本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物における前記(B)成分の含有割合は、前記(A)成分100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部であることが望ましい。前記(B)成分の含有割合が過小である場合には、基材表面上に硬化膜を形成する際の硬化収縮の低減や柔軟性付与の効果が薄れる傾向がある。また、前記(B)成分の含有割合が過大である場合には、基材表面上に硬化膜を形成する際、コーティング用組成物の粘度が高くなり、硬化膜形成が困難になる傾向が見られる。【0062】また本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物において、前述したように、紫外線の照射を受けることによって前記(A)成分のオキセタン環の開環ならびにカチオン重合を開始させる化合物である前記(C)成分の含有割合は、前記(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部であることが望ましい。前記(C)成分の含有割合が少なすぎると、UVの照射時間を長くする必要が生じ、基材の温度が該UVの熱で高温になる傾向が見られる。また、着色の原因にもなることがある。一方、前記(C)成分の含有割合が多すぎる場合には、急激な硬化反応による発熱が生じ、着色や硬化収縮の原因になることがある。【0063】よって、本発明の好ましい態様であるコーティング用紫外線硬化性組成物は、前記の分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物(A)の少なくとも1種と、前記の熱可塑性アクリルポリマー(B)の少なくとも1種と、前記のカチオン性光重合開始剤(C)の少なくとも1種を前述したような割合で含んで成る透明液状組成物である。【0064】次に、本発明の別の態様である前記コーティング用紫外線硬化性組成物の硬化方法、つまり、基材表面上に形成する硬化膜(コーティング材)の製造方法は、前記(A)成分中に前記(B)成分を好ましくは前述したような割合で加熱溶解せしめた後、前記(C)成分を好ましくは前述したような割合で添加することによって得られる混合物である透明液状のコーティング用紫外線硬化性組成物を基材表面に塗布し、次に該組成物にUVを照射して前記(A)成分中のオキセタン環の開環とそれに続くカチオン重合を行わしめることにより、基材表面上に硬化膜を形成することを特徴とするものであり、詳細は、以下に述べる通りである。【0065】本発明において、前記(A)成分中への前記(B)成分の加熱溶解は、必要に応じて攪拌下に80〜170℃、好ましくは100〜150℃で1〜6時間、好ましくは2〜4時間行うのが適当である。この場合、前記(A)成分中に前記(B)成分が溶解していることを十分に確認する必要がある。加熱温度が80℃よりも低いと、前記(A)成分中への前記(B)成分の溶解に長時間を要したり、また、この溶解が不十分となりその後のUV照射によって得られる硬化膜(コーティング材)が不均質なものとなる傾向がある。加熱温度が170℃よりも高い場合には、前記(A)成分や(B)成分が熱分解反応を起こし着色の原因になることがある。一方、加熱時間が1時間より少ないと、前記(A)成分中への前記(B)成分の溶解が不十分となり最終的に得られる硬化膜が不均質なものとなる傾向が見られるし、6時間よりも多くなると、前記(A)成分や(B)成分の熱劣化による着色の原因になることがある。【0066】続いて、室温下で、上述のようにして得られた前記(A)成分と前記(B)成分からなる混合溶液に、前記(C)成分を好ましくは前述したような割合で添加し攪拌混合することによって、均一な透明液状樹脂組成物である本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物を調製することができる。【0067】次に、本発明においては、前記コーティング用紫外線硬化性組成物を基材表面上に塗布した後、UVを照射することによって硬化膜(コーティング材)を形成すればよい。前記基材としては、特に制限されるものではなく、鉄、ステンレススチール、アルミニウム、その他の金属、合金、ゴム、プラスチック、紙、木材、ガラス布、セメントモルタル、コンクリート、セラミック、またはこれらのフィルム、プレート、成形部品、その他の造形品などが挙げられる。また、前記基材表面上への前記コーティング用紫外線硬化性組成物の塗布は、刷毛塗り、スピンコート、スプレーコート、キャスティング、ディッピング、ロールコート、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などの通常用いられる公知の塗布方法で行えばよい。【0068】本発明において、前記コーティング用紫外線硬化性組成物の硬化に際して用いるエネルギー源はUVである。本発明では、該エネルギー源としてUV以外の電子線、X線、放射線、高周波等の活性エネルギー線を使用することを妨げるものではないが、UVが経済的な面から最も好ましい。UVの光源としては、紫外線レーザ、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ、ナトリウムランプおよびアルカリ金属ランプなどが挙げられるが、集光性が良好なことからレーザ光線が特に好ましい。これらのランプは、波長が約185〜約400nm、好ましくは約240〜約400nmの光を透過することができる管球を有しているものでよく、管球は、石英またはパイレックス製のものでもよい。また、UV照射は、照射量が波長約200〜約400nmで約10〜約3000mj/cm2 、好ましくは約50〜約1000mj/cm2 の範囲内となるような条件で行えばよい。例えば120W/cmのUVランプを用い、11cmの照射距離および0.7m/分の送り速度で行うことができる。【0069】なお、本発明においては、上述した前記コーティング用紫外線硬化性組成物の硬化方法は、例えばフィルム成形、押出成形等による基材造形品の製造と統合して連続式で行うことも可能である。【0070】以上のようにして得られる本発明のもう一つの態様である硬化膜(コーティング材)は、JIS B 0601に準じて求められる算術平均粗さ(Ra )および最大高さ(Ry )が、それぞれ、0.1〜0.5μmおよび1〜5μm、好ましくは0.15〜0.3μmおよび1.5〜3μmの表面粗さを有する硬度、透明性、保存性、低収縮性、低臭気性、耐候性、低刺激性等に優れたコーティング材である。また、本発明において、前記コーティング材の膜厚は、0.1〜600μmが好ましく、より好ましくは1〜500μmである。本発明の前記コーティング用紫外線硬化性組成物は硬化膜(コーティング材)の厚膜化に特に有効であり、従来のものは50μmを越えるとクラック等が発生する可能性が高かったが、本発明により基材表面の保護膜として厚膜成形が可能となったものである。【0071】ところで、本発明のコーティング用紫外線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、公知の各種添加剤が含有されていてもよい。かかる添加剤としては、例えば、1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物、熱可塑性高分子化合物、充填剤、着色剤、安定剤(熱安定剤、耐候性改良剤など)、重合禁止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなど)、レベリング剤、濡れ性改良剤、タレ防止剤、沈殿防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、増量剤、粘度調節剤、難燃剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、導電性付与剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、消泡剤、離型剤、接着性付与剤などを挙げることができる。【0072】前記1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの多価アルコール;ビスフェノールA、フェノールノボラック樹脂などの多価フェノール;1種または2種以上の前記多価アルコールまたは多価フェノールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)を付加して得られる水酸基含有ポリエーテル;1種または2種以上の前記多価アルコールや多価フェノールと1種または2種以上の一塩基酸(蟻酸、酢酸、酪酸、安息香酸など)や多塩基酸(アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸など)とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステル;および1種または2種以上の前記多価アルコールや多価フェノールと1種または2種以上のラクトン類(β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなど)とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルなどが挙げられる。【0073】前記熱可塑性高分子化合物としては、室温において液体または固体であり、室温において前記コーティング用紫外線硬化性組成物と均一に混和する前記(B)成分以外の熱可塑性高分子化合物が挙げられる。このような熱可塑性高分子化合物の代表的なものとして、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリブテン、繊維または粉末状の金属、ガラス粉末、スチレンブタジエンブロックコポリマー水添物などが挙げられる。また、これら熱可塑性高分子化合物に水酸基、カルボキシル基、ビニル基、エポキシ基などの官能基を導入したものを用いることもできる。これら熱可塑性高分子化合物の数平均分子量は、1000〜500000であることが好ましく、さらに好ましくは5000〜100000である。この範囲外であっても使用できないわけではないが、あまり低分子量であると、最終的に得られる硬化膜(コーティング材)の強度が十分得られないし、あまり高分子量であっては前記コーティング用紫外線硬化性組成物の粘度が高くなり、硬化膜(コーティング材)の形成が困難になる。【0074】また、本発明の前記コーティング用紫外線硬化性組成物に任意に配合する前記充填剤は、無機および有機の粉末状、フレーク状または繊維状物質である。無機の充填剤の例としては、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、真鍮、金および銀などのウィスカー、フレークマイカ粉末、シリカまたは石英粉末、炭素粉末、炭酸カルシウム粉末、アルミナ粉末、水酸化アルミニウム粉末、珪酸アルミニウム粉末、珪酸ジルコニウム粉末、硫酸バリウム粉末、カオリン、ドロマイト、ケイソウ土、タルク、クレイ、アスベスト、岩綿、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マグネシア、カルシアなどの酸化物、各種金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、ホウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩およびその他の塩基性塩、ガラス繊維、ガラス中空球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、およびフライアッシュやミクロシリカなどの廃棄物などが挙げられる。また、これらの無機充填剤の表面をカップリング剤で処理し、表面に有機基をつけたものも使用することができる。【0075】有機の充填剤の例としては、木粉、パルプ粉末、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、架橋ポリスチレン粉末、架橋フェノール樹脂粉末、架橋尿素樹脂粉末、架橋メラミン樹脂粉末、架橋エポキシ樹脂粉末、ゴム粉末あるいはこれらの表面にエポキシ基、アクリル基、水酸基などの反応性の基をつけたものなどが挙げられる。【0076】前記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、クレイ、マイカなどの無機顔料およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられる。前記安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙げられる。【0077】また、前記界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ステアリン酸塩などの陰イオン系界面活性剤、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン系界面活性剤、ジメチルアルキルラウリルペタインなどの両性系界面活性剤、およびポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。さらにまた、前記カップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、アクリルシラン系などのシラン系カップリング剤の他、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ホウ素系カップリング剤などが挙げられる。【0078】【実施例】次に、実施例および比較例を述べて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例および比較例により何ら限定を受けるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、基材(ガラス板)の表面上に得られた硬化膜(コーティング材)(以下「塗膜」という)の評価は、下記の方法で行った。【0079】(1)塗膜の厚さガラス板の表面上で硬化した塗膜の厚さ(μm)は、ガラス板と塗膜の総厚さ(μm)からガラス板の厚さ(μm)を差し引いて求めた。【0080】(2)UV照射の場合の塗膜形成時間ウシオ電機(株)製ユニキュアシステムUVC−1212型(出力:1.5kw、UVランプ出力:120W/cm、コールドフィルター付)のUV照射装置を用い、照射距離11cmおよびベルトコンベアー送り速度0.7m/分の条件でUVの照射を行い、塗膜を塗布したガラス板がベルトコンベアー上を、照射入口から出口まで移動する時間を塗膜形成時間とした。【0081】(3)非反応性有機溶媒留去の塗膜形成時間熱可塑性アクリルポリマー(ポリメチルメタクリレート樹脂)を非反応性有機溶媒(トルエン)に溶解した液状樹脂組成物を60℃のオーブンに入れ、非反応性有機溶媒(トルエン)を留去するまでの時間を塗膜形成時間とした。【0082】(4)塗膜面の状態目視により塗膜面の状態を観察し、鏡面、柚子肌および波状面の3段階で評価した。【0083】(5)鉛筆硬度傷付度合いをJIS K5400に従った鉛筆硬度試験により評価した。【0084】(6)表面粗さ塗膜面の表面粗さとして、JIS B0601に準じて算術平均粗さ(Ra )、最大高さ(Ry )および十点平均粗さ(Rz )を求めた。【0085】合成例1(3,3’−(オキシジメチレン)ビス〔3−エチルオキセタン〕の合成)温度計、攪拌機、精留塔、冷却器、窒素ガス導入管および滴下漏斗を備えた内容積2リットルの四つ口フラスコに3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(以下「EHO」と略記)511.1g(4.4モル)、トリエチルアミン(以下「TEA」と略記)222.6g(2.2モル)および溶媒としてトルエン1100gを入れ、窒素ガス雰囲気下で氷水に浸し、反応液温度が10℃を越えないように注意しながら、メタンスルホニルクロライド(以下「MSC」と略記)229.1g(2.0モル)を滴下漏斗から滴下した。MSCの滴下終了後、反応器を氷水より取り出し、室温下でさらに2時間反応を続けた。メタンスルホニル化を終了し、生成したトリエチルアミン塩酸塩を除去するために濾過し、得られた結晶をトルエン100gで洗浄した。【0086】次に前記濾液を反応器に戻し、これに触媒としてテトラn−ブチルアンモニウムブロマイド(以下「TABA」と略記)32.2g(0.1モル)を添加し、オイルバス中で60℃に安定させてから、十分に攪拌しながら水酸化ナトリウムペレット60.0g(1.5モル)を1時間かけて添加した。添加終了後、さらに2時間反応を続け、オイルバスを70℃に昇温して、5時間反応させた。反応終了後、生成した塩を溶解するため、また、過剰分のアルカリを除去するために純水300gを加え、冷却、液分離を行った後、有機層を濃縮した。そして、最終的にはオイルバスの温度を200℃まで昇温する一方、6mmHgまで減圧することで、目的生成物の3,3’−(オキシジメチレン)ビス〔3−エチルオキセタン〕(以下「DOE」と略記)を307.5g(1.4モル、収率:71%)取得した。このDOEの蒸留収率は99.3%で、純度は98.9%であった。なおここで、簡易的に測定したDOEの蒸気圧は、圧力10mmHgで約140℃であった。なお、本合成例において、上記DOEの純度分析および反応液の定量分析はガスクロマトグラフィーにより得られたチャートのピーク面積比から求めた。【0087】合成例2(3,3’−〔1,2−エタンジイルビス(オキシメチレン)〕ビス〔3−エチルオキセタン〕の合成)前記合成例1に用いられたものと同様の四つ口フラスコにEHO;220.7g(1.9モル)、TEA;222.6g(2.2モル)および溶媒としてトルエン1100gを入れ、窒素ガス雰囲気下で氷水に浸し、反応液温度が10℃を越えないように注意しながら、MSC;229.1g(2.0モル)を滴下漏斗から滴下した。MSCの滴下終了後、反応器を氷水より取り出し、室温下でさらに2時間反応を続けた。メタンスルホニル化を終了し、生成したトリエチルアミン塩酸塩を除去するために濾過し、得られた結晶をトルエン100gで洗浄した。【0088】次に前記濾液を反応器に戻し、これに触媒としてのTABA;32.2g(0.1モル)およびエチレングリコール68.3g(1.1モル)を添加し、オイルバス中で60℃に安定させてから、十分に攪拌しながら水酸化ナトリウムペレット60.0g(1.5モル)を1時間かけて添加した。添加終了後、さらに2時間反応を続け、オイルバスを70℃に昇温して、5時間反応させた。反応終了後、生成した塩を溶解するため、また、過剰分のアルカリを除去するために純水300gを加え、冷却、液分離を行った後、有機層を濃縮した。そして、最終的にはオイルバスの温度を200℃まで昇温する一方、6mmHgまで減圧することで、目的生成物の3,3’−〔1,2−エタンジイルビス(オキシメチレン)〕ビス〔3−エチルオキセタン〕(以下「EDOE」と略記)を162.8g(0.63モル、収率:63%)取得した。このEDOEの蒸留収率は98.7%で、純度は98.6%であった。なおここで、簡易的に測定したEDOEの蒸気圧は、圧力3mmHgで約140℃であった。なお、本合成例において、上記EDOEの純度分析および反応液の定量分析はガスクロマトグラフィーにより得られたチャートのピーク面積比から求めた。【0089】実施例1(B)成分としてのポリメチルメタクリレート樹脂((株)クラレ製、商品名:クラレパラペットGH−S、メルトフローレート(以下「MFR」という):10g/10分、以下「クラレパラペットGH−S」という)13gを、(A)成分としての前記合成例1で得られたDOE;100g中に加え、130〜150℃の温度で2時間加熱することにより、DOE中に溶解した。続いて、この溶液に(C)成分としてのサイラキュアUVI−6990(ユニオンカーバイド社製カチオン性光重合開始剤、商標名、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェイト塩の混合物、プロピレンカーボネート50%希釈品、以下「サイラキュアUVI−6990」という)4gを加え、攪拌混合して透明液状の樹脂組成物を調製した。次に、この樹脂組成物を室温下でスペーサを貼り付けたガラス板(100mm(W)×100mm(L)×1.7mm(t))上にキャストした後、UV照射装置(ウシオ電機(株)製ユニキュアシステムUVC−1212型、出力:1.5kw、UVランプ出力:120W/cm、コールドフィルター付)を用い、UVランプから11cmの距離にあるベルトコンベアー上にガラス板を維持して0.7m/分のベルトコンベアー送り速度で10秒間UV照射を行い、厚さ10μmの塗膜を得た。そこで、得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した。結果を表1に示す。【0090】実施例2〜6ガラス板上にキャストするクラレパラペットGH−S、DOEおよびサイラキュアUVI−6990からなる透明液状樹脂組成物の層の厚さを変えることにより、実施例2〜6において、得られた塗膜の厚さを10μmから、それぞれ、表1に示したように31μm、43μm、110μm、210μmおよび430μmに変更したこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。実施例2〜6において、得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した結果をそれぞれ表1に示す。【0091】実施例7(A)成分としてのDOE;100gに代えて、前記合成例2で得られたEDOE;100gを用いたこと、および、ガラス板上にキャストするEDOE、クラレパラペットGH−SおよびサイラキュアUVI−6990からなる透明液状樹脂組成物の層の厚さを変えることにより、得られた塗膜の厚さを10μmから表1に示したように53μmに変更したこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した結果を表1に示す。【0092】実施例8ガラス板上にキャストするEDOE、クラレパラペットGH−SおよびサイラキュアUVI−6990からなる透明液状樹脂組成物の層の厚さを変えることにより、得られた塗膜の厚さを53μmから表1に示したように120μmに変更したこと以外は、実施例7と全く同様の操作を行った。得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した結果を表1に示す。【0093】比較例1(B)成分としてのポリメチルメタクリレート樹脂((株)クラレ製、商品名:クラレパラペットH−S、MFR:22g/10分、ペレット状)(以下「クラレパラペットH−S」という)13gを、トルエン(和光純薬工業(株)製、試薬一級品)100g中に加え、60〜80℃の温度で2時間加熱することにより、トルエン中に溶解し、透明液状の樹脂組成物を調製した。次に、この樹脂組成物を室温下でスペーサを貼り付けたガラス板(100mm(W)×100mm(L)×1.7mm(t))上にキャストした後、60℃のオーブン中で加熱してトルエンを蒸発留去した。5分後にガラス板をオーブンから取り出したところ、厚さ17μmの塗膜が得られた。そこで、得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した。結果を表1に示す。【0094】比較例2および3比較例2および3において、60℃のオーブン中での加熱時間を5分に変えて、それぞれ、10分および15分にしたこと、および、ガラス板上にキャストするクラレパラペットH−Sおよびトルエンからなる透明液状樹脂組成物の層の厚さを変えることにより、比較例2および3において、得られた塗膜の厚さを17μmから、それぞれ、表1に示したように55μmおよび104μmに変更したこと以外は、比較例1と全く同様の操作を行った。比較例2および3において、得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した結果をそれぞれ表1に示す。【0095】比較例4(B)成分としてのクラレパラペットH−S;13gに代えて、ポリメチルメタクリレート樹脂((株)クラレ製、商品名:クラレパラペットH−B、MFR:22g/10分、粉末状、以下「クラレパラペットH−B」という);13gを用いたこと、(A)成分としてのDOE;100gに代えて、脂環式エポキシ化合物であるサイラキュアUVR−6110(ユニオンカーバイド社製、商標名、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、以下「サイラキュアUVR−6110」という);100gを用いたこと、および、ガラス板上にキャストするサイラキュアUVR−6110、クラレパラペットH−BおよびサイラキュアUVI−6990からなる透明液状樹脂組成物の層の厚さを変えることにより、得られた塗膜の厚さを110μmから104μmに変更したこと以外は、実施例4と全く同様の操作を行った。得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した結果を表1に示す。【0096】比較例5(B)成分としてのクラレパラペットGH−Sの使用量を13gに変えて0gにしたこと、すなわち、該クラレパラペットGH−Sを使用しなかったこと、および、ガラス板上にキャストするDOEおよびサイラキュアUVI−6990からなる透明液状樹脂組成物の層の厚さを変えることにより、得られた塗膜の厚さを10μmから43μmに変更したこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。得られた塗膜について塗膜面の状態、鉛筆硬度および表面粗さを測定した結果を表1に示す。【0097】【表1】【0098】【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、反応性有機溶媒としての分子中に1〜4個のオキセタン環を有する特定のオキセタン化合物、特定の熱可塑性アクリルポリマーおよび特定のカチオン性光重合開始剤を好ましくは特定の含有割合で含んで成り、硬度、透明性、接着性、保存性、低収縮性、低臭気性、耐候性および低刺激性などに優れた硬化膜(コーティング材)を与える新規なコーティング用紫外線硬化性組成物が得られる。また、本発明によれば、この硬化膜(コーティング材)は、前記熱可塑性アクリルポリマーを前記オキセタン化合物中に加熱溶解後、前記カチオン性光重合開始剤を添加して得られた液状樹脂組成物を基材表面上に塗布し、続いて、該樹脂組成物に紫外線照射することによって製造されるものであることから、処理が簡単であり、従って、処理時間が短く、かつ、厚膜成形が可能な、コーティング用紫外線硬化性組成物からの硬化膜(コーティング材)の製造方法を提供することができる。したがって、本発明の新規なコーティング用紫外線硬化性組成物は、上述の特性を利用して鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属、合金、プラスチック、コンクリート、セメントモルタル、紙、木材等のコーティング用途の他、プラスチック用塗料、リソグラフ・スクリーンインキ、紙用塗料、電気/電子関係の塗料およびシーラント、フレキソ印刷などの分野への使用が大いに期待され得るものである。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物、熱可塑性アクリルポリマーおよびカチオン性光重合開始剤から成るコーティング用紫外線硬化性組成物。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物、熱可塑性アクリルポリマーおよびカチオン性光重合開始剤から成る組成物を、紫外線照射により、硬化せしめて得られるコーティング材。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物中に熱可塑性アクリルポリマーを加熱溶解後、カチオン性光重合開始剤を添加し、次いで紫外線照射することを特徴とするコーティング材の製造方法。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物100重量部に対して、熱可塑性アクリルポリマーを0.1〜100重量部およびカチオン性光重合開始剤を0.1〜10重量部の割合で含む請求項1に記載のコーティング用紫外線硬化性組成物。 熱可塑性アクリルポリマーが(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーである請求項4に記載のコーティング用紫外線硬化性組成物。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物が下記一般式(I)で表わされるビスオキセタン化合物である請求項5に記載のコーティング用紫外線硬化性組成物。(式中、XはOまたはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である。また、R1およびR2は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。) XはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である請求項6に記載のコーティング用紫外線硬化性組成物。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物100重量部に対して、熱可塑性アクリルポリマーを0.1〜100重量部およびカチオン性光重合開始剤を0.1〜10重量部の割合で含む組成物を、紫外線照射により、硬化せしめて得られる請求項2に記載のコーティング材。 熱可塑性アクリルポリマーが(メタ)アクリル酸エステルの(コ)ポリマーである請求項8に記載のコーティング材。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物が下記一般式(I)で表わされるビスオキセタン化合物である請求項8に記載のコーティング材。(式中、XはOまたはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である。また、R1およびR2は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。) XはO(CH2)mO(ただし、mは1〜12の整数である)である請求項10に記載のコーティング材。 分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物100重量部に対して、熱可塑性アクリルポリマーを0.1〜100重量部およびカチオン性光重合開始剤を0.1〜10重量部の割合で使用することを特徴とする請求項3に記載のコーティング材の製造方法。 熱可塑性アクリルポリマーが(メタ)アクリル酸エステル(コ)ポリマーである請求項12に記載のコーティング材の製造方法。