タイトル: | 特許公報(B2)_セラミド産生促進剤 |
出願番号: | 1999122402 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61K 36/00,A61Q 19/00 |
大窪 幸治 高木 豊 高徳 博子 堀 公彦 楠奥 比呂志 渋谷 祐輔 JP 3816262 特許公報(B2) 20060616 1999122402 19990428 セラミド産生促進剤 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 大窪 幸治 高木 豊 高徳 博子 堀 公彦 楠奥 比呂志 渋谷 祐輔 JP 1998277903 19980930 20060830 A61K 8/97 20060101AFI20060810BHJP A61K 36/00 20060101ALI20060810BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20060810BHJP JPA61K8/97A61K35/78A61Q19/00 A61K8/97 A61Q19/00 特開平10−152428(JP,A) 特開平07−133216(JP,A) 特開昭62−067028(JP,A) 特開平10−182417(JP,A) 特開平10−273416(JP,A) 特開平09−315925(JP,A) 特開平09−315930(JP,A) 特開平08−268859(JP,A) 特開平01−096121(JP,A) 特開平05−331040(JP,A) 特開昭60−258104(JP,A) 特開平08−127511(JP,A) 特開平09−175929(JP,A) 特開平10−017460(JP,A) 特開平10−182414(JP,A) 国際公開第97/06659(WO,A1) 特開平08−217658(JP,A) 「化粧品用生薬成分の研究開発の現状」、フレグランス ジャ−ナル、フレグランスジャーナル社、1995年8月15日、1995−8 p.15−21 1 2000169359 20000620 8 20000816 2003021100 20031030 森田 ひとみ 弘實 謙二 横尾 俊一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、角層中のセラミドを増加させ、皮膚のバリア機能及び保湿機能を回復させることのできるセラミド産生促進剤に関する。【0002】【従来の技術】スフィンゴ脂質の一つであるセラミドは、生体全体の中では微量な脂質であるが、皮膚の最も外側の層である角層中では、脂質の半分以上を占め、皮膚の保湿機構、バリア機構に重要な役割を果たしている。このセラミドは表皮細胞中において産生、分泌された後に角層中の細胞間においてラメラ構造を構築することにより機能する。しかし、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、老人性乾皮症、乾癬等の皮膚疾患においては、セラミドの健全な代謝が妨げられ、角層中のセラミド量が減少し、皮膚の保湿能やバリア能の低下等を引き起こしていることが数多く報告されている。【0003】そこで、このような皮膚疾患に対し、減少したセラミドを外部から補給する方法も試みられているが、長期的な効果が認められない、安定性が低い等の問題がある。【0004】【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、生体の有するセラミド産生機構を健常に戻すことにより、減少した角層中のセラミドを増加させ、高いバリア機能及び保湿機能を有する皮膚を取り戻しうるセラミド産生促進剤を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】 本発明は、ユーカリ、ガマ、サボンソウ、チョウジ及びイリスから選ばれる植物又はその抽出物、水蒸気蒸留物若しくは圧搾物を有効成分とするセラミド産生促進剤を提供するものである。【0006】【発明の実施の形態】本発明で用いる上記植物は、各種の薬効を有することが知られているものであるが、これらがセラミド産生促進効果を有することについては全く知られていなかった。【0007】本発明で用いる植物のうち、ユーカリは、ユーカリノキ Eucalyptus globulus又はその他近縁のフトモモ科(Myrtaceae)の植物であり、主としてその葉、小枝、花又は果実が用いられる。【0015】ガマは、ヒメガマ Typha angustifolia Linne 又はその他同属のガマ科(Typhaceae)の植物であり、主としてその花穂が用いられる。【0019】サボンソウ Saponaria officinalis Linne は、ナデシコ科(Caryophyllaceae)の植物であり、主としてその葉又は根が用いられる。【0022】チョウジ Syzygium aromaticum Merrill et Perry(Eugenia caryophyllata Thunberg)は、フトモモ科(Myrtaceae)の植物であり、主としてそのつぼみ、花柄、未熟な果実又は葉が用いられる。【0025】イリスは、アヤメ科(Iridaceae)の植物であり、例えばシロバナイリス Iris florentina L.、ムラサキイリス Iris germania L. 、シボリイリス Iris pallida L. 等が挙げられ、主としてその根茎が用いられる。【0027】本発明においては、上記植物をそのまま、又は乾燥粉砕して用いることもできるが、その抽出物、水蒸気蒸留物又は圧搾物を用いることもでき、これらは精油等、より精製したものを用いることもでき、また市販品を利用することもできる。これら植物又はその抽出物、水蒸気蒸留物若しくは圧搾物は、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。【0028】抽出に用いる溶媒としては、通常植物成分の抽出に用いられるもの、例えば水、石油エーテル、n-ヘキサン、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられ、特に水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また抽出条件も通常の条件を適用でき、例えば上記植物を3〜100℃で数時間〜数週間浸漬又は加熱還流すればよい。精油として利用する場合も通常の方法を採用でき、例えば上記植物から水蒸気蒸留法、抽出法、圧搾法等により得ることができる。これら植物の抽出物、水蒸気蒸留物若しくは圧搾物は、そのまま本発明のセラミド産生促進剤の有効成分として使用できるが、さらに適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画して用いることもできる。【0029】本発明のセラミド産生促進剤は毒性が低く、外用及び内服のいずれの方法でも投与可能である。本発明のセラミド産生促進剤を配合する対象物としては、例えば軟膏、ローション、クリーム、美容液、化粧水、マッサージ剤、パック、ファンデーション、口紅、入浴剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトニック、錠剤、カプセル等が挙げられる。これらへの他の添加剤としては特に限定されず、公知の基剤を使用できる。本発明のセラミド産生促進剤の配合量は特に限定されないが、固形分換算で0.00001〜20重量%、特に0.0001〜10重量%程度の範囲が好ましい。【0030】【実施例】製造例1 ユーカリエキスの調製ユーカリノキ(Eucalyptus globulus Labillardiere)の葉を細切し、その10gに水と1,3-ブタンジオールの混液(20:80)100mlを加え、室温下、ときどき撹拌しながら、24時間抽出した後、ろ過した。これを5℃で7日間静置して熟成させ、生じたオリ及び沈殿をろ過した。これに水100mlを加え、40℃で減圧下、約70mlまで濃縮した。この操作を3回行った後、水及び1,3-ブタンジオールを加えて1,3-ブタンジオール濃度を80v/v%に調整し、全体を100mlとした。【0031】製造例2常法に従い、表1に示す各種生薬エキス100mlを調製した。【0032】【表1】【0033】実施例1 セラミド産生促進試験(細胞系)〈方法〉6ウェルプレートを用い、[14C]-セリン(第一化学薬品社製)を含む培養液(GIBCO SFM/-BPE, EGF)中にて、ヒトケラチノサイト(HK-f;極東製薬工業社製)を、37℃、5%CO2下で24時間培養した。次いで、製造例1又は2で得られたユーカリ、ホップ又はショウキョウの生薬エキスを固形分換算で0.001重量%又は0.01重量%添加し、更に24時間培養した。培養液を除去し、PBSにて1回洗浄した後、セルスクレーパーにより細胞を掻き取り、試験管に集めた。このヒトケラチノサイトに、水3.6mL、クロロホルム4mL及びメタノール4mLを添加して混合した後、クロロホルム層を単離、乾固した。抽出した脂質をHPTLCプレート〔シリカゲルG60(20×10cm)Art.5641;メルク社製〕にて、溶媒1(クロロホルム:メタノール:酢酸=190:9:1)でtopまで2回、更に溶媒2(クロロホルム:メタノール:アセトン=76:20:4)で下から3cm展開した。TLC上のセラミド及びグルコシルセラミドのカウントをオートラジオグラフ(BAS2000;富士フィルム社製)により測定した。【0034】〈結果〉生薬エキス不添加のコントロールを1.0としてセラミド産生促進率を算出した結果を図1に示す。図1から明らかなように、ユーカリ、ホップ及びショウキョウのいずれのエキスにおいても、ヒトケラチノサイトのセラミド産生促進効果が認められた。【0035】実施例2 セラミド産生促進試験(動物系)〈方法〉雌ヘアレスマウスSKH1の背部に、プロピレングリコール:エタノール=7:3にて希釈した製造例1又は2で得られたユーカリ、ホップ又はショウキョウの植物エキス(固形分換算で0.1重量%,0.01重量%,0.001重量%)を2週間塗布した後、皮膚を切り取り、60℃で60秒間の熱処理により表皮を剥離した。更に、これを二分し、その一方より0.5%トリプシンを用いて角層を調製した。表皮及び角層を凍結乾燥し、重量を測定した後、Bligh/Dyer法(クロロホルム:メタノール:水=4:4:3.6)による脂質抽出を行い、実施例1と同様の方法でHPTLCに供した。展開後、8重量%リン酸/10重量%硫酸銅溶液に浸し、160℃で15分間焼き付けた後、デンシトメーター(バイオ・イメージ;バイオ・イメージ社製)によりセラミドの定量を行った。【0036】〈結果〉生薬エキス不添加のコントロールを1.0としたセラミド量の比率を算出した結果を図2に示す。図2から明らかなように、ユーカリ、ホップ及びショウキョウのいずれのエキスにおいても、表皮、角層中のセラミド量増加効果が認められた。【0037】実施例3 セラミド産生促進試験(細胞系)〈方法〉製造例2で得られたアセンヤクエキス、エイジツエキス、マロニエエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ガマエキス、ビワ葉エキス、クチナシエキス、ニンジンエキス、サボンソウエキス、シラカバエキス、アマチャエキス、チョウジエキス、ベニバナエキス、ワレモコウエキス、イリス根エキス及びクララエキスを用いる以外は実施例1と同様にしてセラミド産生促進試験を行った。【0038】〈結果〉生薬エキス不添加のコントロールを1.0としてセラミド産生促進率を算出した結果を図3に示す。図3から明らかなように、いずれのエキスにおいても、ヒトケラチノサイトのセラミド産生促進効果が認められた。【0039】【発明の効果】本発明のセラミド産生促進剤は、生体の有するセラミド産生機構を健常に戻すことにより、減少した角層中のセラミドを増加させ、皮膚のバリア機能及び保湿機能を回復させることができる。【図面の簡単な説明】【図1】ユーカリ(ユーカリノキ)、ホップ及びショウキョウ(ショウガ)のエキスによるヒトケラチノサイトのセラミド産生促進効果を示す図である。【図2】ユーカリ(ユーカリノキ)、ホップ及びショウキョウ(ショウガ)のエキスによる表皮及び角層のセラミド量増加効果を示す図である。【図3】アセンヤク(ガンビールノキ)、エイジツ(ノイバラ)、マロニエ(セイヨウトチノキ)、ユリ、ヨクイニン(ハトムギ)、ガマ(ヒメガマ)、ビワ、クチナシ、ニンジン(オタネニンジン)、サボンソウ、シラカバ(ヨーロッパシラカバ)、アマチャ、チョウジ、ベニバナ、ワレモコウ、イリス(シロバナイリス)及びクララのエキスによるヒトケラチノサイトのセラミド産生促進効果を示す図である。 ユーカリ、ガマ、サボンソウ、チョウジ及びイリスから選ばれる植物又はその抽出物、水蒸気蒸留物若しくは圧搾物を有効成分とするセラミド産生促進剤。