生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_懸濁系のカチオン要求量を決定する方法
出願番号:1999101600
年次:2006
IPC分類:G01N 33/00,B01D 21/01,B01D 21/30,C02F 1/00,C02F 1/56,G01N 21/64,G01N 21/78


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田中 浩雄 JP 3818354 特許公報(B2) 20060623 1999101600 19990304 懸濁系のカチオン要求量を決定する方法 田中 浩雄 599048100 東亞合成株式会社 000003034 田中 浩雄 20060906 G01N 33/00 20060101AFI20060817BHJP B01D 21/01 20060101ALI20060817BHJP B01D 21/30 20060101ALI20060817BHJP C02F 1/00 20060101ALI20060817BHJP C02F 1/56 20060101ALI20060817BHJP G01N 21/64 20060101ALI20060817BHJP G01N 21/78 20060101ALI20060817BHJP JPG01N33/00 DB01D21/01 105B01D21/30 AC02F1/00 KC02F1/00 VC02F1/56 ZG01N21/64 FG01N21/78 C G01N 33/00 B01D 21/01 B01D 21/30 C02F 1/00 C02F 1/00 C02F 1/56 G01N 21/64 G01N 21/78 JST7580(JDream2) JSTPlus(JDream2) 特開平10−194726(JP,A) 国際公開第96/26220(WO,A1) Colloids Surf A,1999年11月30日,Vol.159, No.1 3 2000258407 20000922 6 20030902 加々美 一恵 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、懸濁系、例えば下水懸濁系や製紙原料系の凝集、脱水あるいは歩留まりを最高にするための添加剤の最適量を決定する方法に関する。【0002】【従来の技術および発明が解決しようとする課題】懸濁液のカチオン要求量を決定する方法にはコロイド滴定法とゼータ電位法があるが、後者は測定に時間を要し、また測定値にバラツキが多いので、多くの場合前者が採用されている。前者のコロイド滴定法は1947年に日本で開発され、今では世界中に普及している。伝統的な方法では滴定の終点判定に色素のトルイジンブルーの変色を用いている。その後、終点判定法として、蛍光指示薬、濁度、電気伝導度、流動電位などを活用する方法が導入された。以上の方法は何れも純水系やイオン強度が0.1mM以下の系では操作も簡便で、測定の精度も非常に高い。これはコロイド滴定の最大の利点であり、高分子電解質や界面活性剤の分析に世界中で愛用されている理由である。しかし、被検液のイオン強度の増加に伴い滴定終点の判定が困難となり、NaClなど1価の塩では10mM,CaSO4など2価の場合では2mM,Al2(SO4)3など3価のイオンを含む塩では0.2mMが滴定終点判定の限度である。下水、工場廃水、製紙用水などの実用的な懸濁系では、上記の塩類濃度を越えている場合が大部分であるが、このような系にも適用できるカチオン要求量の測定法の開発が切望されている。【0003】【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題を解決すべく研究を重ねた結果、在来の指示薬や流動電位を用いるのではなく、滴定試薬の高分子自体に蛍光ラベル、紫外線ラベルあるいは可視光ラベルすることにより、従来法では終点の判定ができない程の高濃度の塩類共存下でもカチオン要求量の測定ができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、1.ポリアリールアミン、ポリビニールアミン、カチオン性−N−ホルムアミドアミジン、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリルアミド、ジアリールジメチルアンモニウム塩とビニールアミン、アリールアミンあるいはN−ホルムアミドアミジンの共重合体を含むカチオン性合成高分子、あるいはキトサン、メチルキトサン、カチオン化でんぷん、カチオン化セルロースなどの天然高分子誘導体を5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルフォニルクロリド、2−アンスラセンスルフォニルクロリド、4−ジメチルアミノナフチル−1−イソチオシアネートなどの蛍光ラベル化剤で蛍光ラベルすることを特徴とする蛍光ラベルした高分子、または蛍光を有するモノマーとカチオン性モノマーの共重合体を用いて懸濁液のカチオン要求量を測定する方法、および2.ポリアリールアミン、ポリビニールアミン、カチオン性−N−ホルムアミドアミジン、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリルアミド、ジアリールジメチルアンモニウム塩とビニールアミン、アリールアミンあるいはN−ホルムアミドアミジンの共重合体を含むカチオン性合成高分子、あるいはキトサン、メチルキトサン、カチオン化でんぷん、カチオン化セルロースなどの天然高分子誘導体を3,5−ジニトロベンゾイルクロリド、N−サクシニミジル−4−ニトロフェニルアセテート、ベンゾフェノン−4−イソチオシアネートなどの紫外線ラベル化剤で紫外線ラベルすることを特徴とする紫外線ラベルした高分子、または紫外線を吸収するモノマーとカチオン性モノマーの共重合体を用いて懸濁液のカチオン要求量を測定する方法、および3.ポリアリールアミン、ポリビニールアミン、カチオン性−N−ホルムアミドアミジン、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリルアミド、ジアリールジメチルアンモニウム塩とビニールアミン、アリールアミンあるいはN−ホルムアミドアミジンの共重合体を含むカチオン性合成高分子、あるいはキトサン、メチルキトサン、カチオン化でんぷん、カチオン化セルロースなどの天然高分子誘導体を4−ジメチルアミノアゾベンゼン−41−スルフォニルクロリド(ダブシルクロリド)、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−41−イソチオシアネートなどの可視光ラベル化剤で可視光ラベルすることを特徴とする可視光ラベルした高分子、または着色団を有するモノマーとカチオン性モノマーの共重合体を用いて懸濁液のカチオン要求量を測定する方法に関する。【0004】【発明の実施の形態】本発明において使用する蛍光、紫外線あるいは可視光ラベルカチオン性高分子は、少なくとも1級あるいは2級のアミノ基を含むカチオン性高分子を、水と有機溶媒(ジメチルホルムアミド、アセトンなど)の混合系に溶かし、これをかきまぜながら有機溶媒に溶かした5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルフォニルクロリドなどのラベル化剤を添加することにより、または例えばビニールアンスラセンスルフォネートとジアリールジメチルアンモニウムクロリドの共重合により調製することができる。【0005】かくして得られるラベル化カチオン性高分子の0.001〜1%程度の水溶液を調製し、これをコロイド滴定法により滴定し、規定濃度を定める。他方、種々の濃度のラベル化高分子水溶液について、蛍光強度、紫外線吸収度あるいは可視吸光度を測定し、検量線を作成する。凝集剤、脱水剤あるいは歩留まり向上剤添加直前の下水、製紙用原料懸濁液などの試料の一定量(通常40g程度)をビーカまたはセルに取り、かきまぜながらラベル化カチオン性高分子水溶液の所定量を添加する。懸濁液が沈降しやすい場合は上澄液の、沈降に時間を要する場合は例えば濾過膜を附属した注射器で試料の一部を吸い上げて得た濾液の蛍光強度、紫外線吸収度あるいは可視吸光度を測定する。高分子水溶液の添加量を増やしながら、同様の手順を繰り返す。ラベル化カチオン性高分子の添加量が少ない間は固形物に全て吸着されるので、上澄液あるいは濾液には何の変化も現れないが、やがて蛍光、紫外線吸収あるいは可視光が現れる。さらに、1〜2回同様の操作を行えば、外挿法により遊離のラベル化カチオン性高分子が出現するまでの添加量を求めることができる、すなわちこの値と予め決めてあるラベル化カチオン性高分子の濃度から懸濁系のカチオン要求量を決定できる。蛍光ラベル、紫外線ラベルおよび可視光ラベルカチオン性高分子のうち、可視光ラベルカチオン性高分子は、遊離の高分子が現れるまでの添加量を肉眼で判別することが可能で、分光光度計を必ずしも使う必要がないなどの大きな特徴を有している。【0006】【実施例】次に、実施例をもって本発明を具体的に説明する。当該分野の研究常識に照らし、本発明が以下に示す実施例で用いる実験条件の末節に限定されないのは明らかである。実施例(1)パルプ0.2gを75mM塩化ナトリウム水溶液40gに加え、かきまぜ機を用いて十分に分散させる。これをかきまぜながら、2mMの蛍光ラベル化カチオン性ポリアクリルアミドの所定量を加える。被験液より、メンブランフィルターを内蔵したカートリッジを付属した吸引器により少量を吸い上げ、濾液に蛍光ランプを照射して蛍光の有無を観察する。蛍光がなければ吸い上げた濾液を被験液に戻し、上記の蛍光ラベル化カチオン性ポリアクリルアミドの所定量を追加し、同様の操作を行う。この操作を繰り返し行い、濾液に蛍光が観察されたら約3mlを採取し、蛍光光度計により蛍光強度を測定する。被験液に上記の蛍光ラベル化カチオン性ポリアクリルアミドの0.5mlを追加し、同様に約3mlの濾液を採取しこの蛍光強度を測定する。(2)2mMの蛍光ラベル化カチオン性ポリアクリルアミドのかわりに紫外線ラベル化カチオン性ポリアクリルアミドを、蛍光のかわりに紫外線を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。(3)2mMの蛍光ラベル化カチオン性ポリアクリルアミドのかわりに可視光ラベル化カチオン性ポリアクリルアミドを、蛍光のかわりに可視光を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。実施例3の実験結果を図1に示す。図の縦軸に、実施例1では蛍光強度を、実施例2では紫外線吸収強度を目盛ると図1と同様の結果が得られる。図1の結果より被験液のカチオン要求量として0.22meq/kgの値が得られる。(4)パルプ0.2gを20mM硫酸カルシウム水溶液40gに加え、かきまぜ機を用いて十分に分散させる。これをかきまぜながら、2mMの可視光ラベル化ポリアリールアミンの所定量を加える。被験液より、メンブランフィルターを内蔵したカートリッジを付属した吸引器により少量を吸い上げ、濾液を肉眼で観察する。着色がなければ吸い上げた濾液を被験液に戻し、上記の可視光ラベル化ポリアリールアミンの所定量を追加し、同様の操作を行う。この操作を繰り返し行い、濾液に着色が観察されたら約3mlを採取し、分光光度計により可視光強度を測定する。被験液に上記の可視光ラベル化ポリアリールアミンの0.5mlを追加し、同様に約3mlの濾液を採取しこの蛍光強度を測定する。(5)分散媒に2mM硫酸アルミニウムを用いる以外は、実施例4と同様に操作した。【0007】【表1】【0008】表1に示す塩類の種類および濃度を有する試料の場合には、当量点において指示薬や流動電位の変化が現れないので従来のコロイド滴定法は適用できない。このような場合でも、本発明の方法によれば、例として図1に示したように当量点の判定は容易で、表1の結果を求めることができる。また、表1から明らかなように、カチオン要求量は塩類の種類や濃度によって異なることが分かる。工業的な現実の試料では種々の不明の塩類と濃度を有することが多いが、本発明の方法はこれらを考慮することなく直接的にカチオン要求量を求めることができる利点を持つことが分かる。【0009】【発明の効果】本発明によれば、下水処理や製紙原料などに用いられる諸懸濁系の凝集、脱水あるいは歩留まりを最も効果的に行うための無機および有機添加剤の最適量を知ることができ、添加剤の節減と水環境の保全・修復に資することができる。【00010】【図面の簡単な説明】【図1】0.2gのパルプを75mMの塩化ナトリウム水溶液409に分散させた懸濁液をかきまぜながら、これに2mMのダブシルクロリドで可視光ラベルしたカチオン性ポリアクリルアミド(DC−PAM)水溶液を所定量添加した場合の添加量と懸濁液の濾液の480nmにおける吸光度との関係を示した図である。【符号の説明】1 ●印はDC−PAMの添加量に対応する濾液の吸光度を示す。 蛍光ラベルしたカチオン性高分子の溶液を下水系、排水系、抄紙系、浮遊選鉱系などの懸濁系に添加し、上澄液または濾過液に蛍光が観察されるようになるまでの添加量から懸濁系のカチオン要求量を決定する方法。 紫外線ラベルしたカチオン性高分子の溶液を下水系、排水系、抄紙系、浮遊選鉱系などの懸濁系に添加し、上澄液または濾過液に紫外線が観察されるようになるまでの添加量から懸濁系のカチオン要求量を決定する方法。 可視光ラベルしたカチオン性高分子の溶液を下水系、排水系、抄紙系、浮遊選鉱系などの懸濁系に添加し、上澄液または濾過液に着色が観察されるようになるまでの添加量から懸濁系のカチオン要求量を決定する方法。


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