タイトル: | 特許公報(B2)_アルミナ粒子の製造方法 |
出願番号: | 1999100077 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C01F7/14,A61K7/02 |
森村 剛 JP 3711318 特許公報(B2) 20050819 1999100077 19990407 アルミナ粒子の製造方法 キンセイマテック株式会社 591136193 酒井 正己 100116713 加々美 紀雄 100094709 小松 純 100117145 小松 秀岳 100078994 森村 剛 20051102 7 C01F7/14 A61K7/02 JP C01F7/14 C A61K7/02 L 7 C01F 7/14 特開平11−021125(JP,A) 特開平10−310426(JP,A) 特開平09−059018(JP,A) 7 2000290013 20001017 5 20011001 大工原 大二 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はアルミナ粒子特には板状アルミナ粒子の製造方法に関するものであり、板状アルミナ粒子にあってはさらに詳しくはアスペクト比が大きく、粒度分布の狭い粒子表面が滑らかな板状アルミナ粒子を提供し、研磨剤、充填材、化粧料、セラミック原料、顔料、さらには表面に金属酸化物をコーティングすることにより光輝性顔料としても有用な材料を提供するものである。【0002】【従来の技術】従来、アルミナ粒子特には板状の形態を有するアルミナ粒子の製造方法としては、特許2654276号公報にみられるような水熱処理による方法(以下水熱合成法)や特開平9−227337号公報にみられるようなフッ素系の鉱化剤の存在下で焼成する方法等が知られている。【0003】しかし、水熱合成法は、製造方法の観点からみて高温反応処理装置を必要とし、設備投資が大掛かりなものとなり不利であるとともに、製法としても高温・高圧下での合成であるため、得られる粉体は高価になるという問題があった。また、水酸化アルミニウムをハロゲン系のガスの存在下で焼成する方法は、焼成時に発生するハロゲンガスの処理問題が存在する。さらには酸性アルミニウム塩に炭酸アルカリ塩を用いて焼成する方法もあるが、この方法だと中和する時に大量の炭酸が発生し、扱いにくい問題がある。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来技術における多くの課題を改善することを目的とし、凝集のない粒度分布がシャープなアルミナ粒子さらにはこれらを含み表面が滑らかな板状アルミナ粒子の簡便な製造方法を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、下記の構成よりなる。【0006】(1)アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩とを水を含んだ状態で反応させることにより、アルミナ又は/及びアルミナ水和物と中和金属塩を含む混合物を製造し、この混合物を1000〜1600℃で焼成することを特徴とするアルミナ粒子の製造方法。【0007】(2)アルミナ又は/及びアルミナ水和物が非晶質又は/及び結晶質である上記(1)記載のアルミナ粒子の製造方法。(3)アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩と燐酸塩とを水を含んだ状態で反応させる(1)記載のアルミナ粒子の製造方法。【0008】(4)アルミン酸塩にアルカリ性の燐酸塩を添加したものと酸性アルミニウム塩を混合したものを水分を含んだ状態で反応させる上記(1)記載のアルミナ粒子の製造方法。(5)アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩に酸性の燐酸塩を添加したものを水分を含んだ状態で反応させる上記(1)記載のアルミナ粒子の製造方法。(6)アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩と燐酸塩とを混合した時の水素イオン濃度がpH=6〜10の範囲である上記(3)〜(5)のいずれかに記載のアルミナ粒子の製造方法。【0009】(7)平均粒子径が0.2〜100μm、厚みが3μm以下、アスペクト比(粒子径/厚み)が5以上である板状アルミナ粒子を製造する上記(3)〜(6)のいずれかに記載のアルミナ粒子の製造方法。【0010】本発明において用いられるアルミン酸塩は水酸化アルカリの溶液にアルミニウム又は水酸化アルミニウムを溶かしたものであれば何でもよく、例えばNaAlO2、KAlO2のようなMAlO2(Mは一価の金属)の構造式をとるアルカリ金属塩やNaAlO2・5/4H2O、NaAlO2・3H2O、KAlO2・3/2H2OのようなMAlO2・nH2O(Mは一価の金属)の構造式をとるもの、更には一般式でxM2O・yAl2O3・zH2O(Mは一価の金属、z=0を含む)の構造式をとるものである。又、酸性アルミニウム塩は、酸性溶液にアルミニウム又は水酸化アルミニウムを溶かしたものであれば何でもよく、酸性溶液としては例えば燐酸や硫酸のような鉱酸または蓚酸やマレイン酸、マロン酸のような有機酸が挙げられる。具体的には硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどがある。【0011】又、燐酸塩は結晶成長剤としての作用があり、板状アルミナを作製する上では必要であり、燐酸、燐酸ソーダ、燐酸カリ、燐酸アンモニウム、ピロ燐酸ソーダ、ピロ燐酸カリ、トリポリ燐酸ソーダ、トリポリ燐酸アンモニウムなどが挙げることができる。この燐酸塩の添加量は、アルミナに換算して0.01重量%以上であることが好ましい。アルミン酸塩に酸性アルミニウム塩又はこれに燐酸塩を混合した水溶液を混合し、加水分解生成物と中和塩を含む懸濁液またはゲルとする。中和塩は焼成時において、溶融状態となり、このときアルミナ化及びアルミナの板状化を促進する効果があり、中和の量はアルミナ重量1に対して0.1〜7倍が好ましい。0.1倍未満ではアルミナ化及びアルミナの板状化に十分な効果を発揮せず、また7倍を超えると洗浄時に相当な負担がかかるためである。【0012】その後乾燥粉末を1000〜1600℃で焼成する焼成温度が1000℃未満であるとアルミナ化(特には板状アルミナ化)するまでに長時間を要し、経済的ではなく、又、1600℃を越えるとアルミナ(特には板状アルミナ)の粒子同士が焼結をしてしまうためである。このような焼結をより確実に防ぐためには、焼成温度を1400℃以下とすることがより好ましい。【0013】水素イオン濃度をpH6〜10の範囲にした場合、アルミナ水和物の析出が効率的になされ、アルミナ(特には板状アルミナ)を効率良く製造することができる。非晶質アルミナ又は/及び結晶質アルミナ粒子と中和金属塩との混合物は、焼成後に生成される粒子同士の凝集を防ぐため、焼成前に蒸散乾燥し、その後、混合物を解することが好ましい。又、焼成後においては、熔融塩処理し固形分を得た後、この固形分を水洗し、濾取し乾燥することが好ましい。【0014】このようにして得られた本発明に係るアルミナ粒子の場合、平均粒子径の0.2〜100μmの粒状アルミナ粒子であり、特に板状アルミナ粒子はSEM観察の結果、大きな平均粒子径で0.2〜100μm、厚みが3μm以下アスペクト比(粒子径/厚み)が5以上である板状アルミナ粒子であり、水に対して分散し撹拌したところ、流線(偏平粒子を液中に懸濁させ撹拌させた際に分散性が良いと粒子の一連の流れが粒子表面の反射光が層状の縞模様となって観察される現象)がみられ、分散性が極めて良好なものであった。板状アルミナ粒子を分析した結果、リン及びリン化合物や中和塩が検出されず、洗浄工程において除去されているものと考えられる。【0015】本発明に係るアルミナ粒子及び板状アルミナ粒子はそのままセラミックスの原料とすることができ、あるいは塗料用、プラスチック等の充填剤、化粧料用、研磨剤、釉薬用等の顔料として優れているものである。特に板状アルミナ粒子の場合、前述の用途に有用であり、さらに金属酸化物をコーティングすることによって光輝性顔料としての有用性はさらに増す。【0016】【発明の実施の形態】次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0017】実施例1水酸化ナトリウム20gを水中で溶液とし、この溶液に金属アルミニウム5g及び燐酸水素2ナトリウム0.25g入れ溶液中に撹拌しながら溶かす。その後この混合溶液中に硫酸アルミニウム水溶液をpH=7になるまで撹拌しながら投入する。混合したものは白濁状のゲルとなり、これをそのまま蒸散乾燥した。この時の蒸散乾燥した固形分のX線回折の結果、結晶質のものとして硫酸ナトリウムが同定された。その後1200℃で5時間保持の条件で焼成した。得られた処理物に水を加え洗浄、濾過し、固形分を乾燥し板状アルミナ粉体を得た。得られた板状アルミナをX線回折法により生成物を同定したところ、酸化アルミニウム(αアルミナ)であった。SEMにて観察してみたところ板状粒子であり、粒度分布計で粒度を測定したところ中心粒径が10μmであり、シャープな分布となっていた。又、この粉末を水に混ぜてみたところ、きれいな流紋が確認された。実施例2水酸化ナトリウム20gを60℃の水中で溶液とし、この溶液に金属アルミニウム5g及び燐酸水素2ナトリウム0.25g入れ溶液中に撹拌しながら溶かす。その後この混合溶液中に60℃の硫酸アルミニウム水溶液をpH=9になるまで撹拌しながら投入する。混合したものは白濁状のゲルとなり、そのまま更に60分撹拌した後、蒸散乾燥した。この時の蒸散乾燥した固形分のX線回折の結果、擬ベーマイトである事を確認した。蒸散乾燥した固形分を1200℃で5時間保持の条件で焼成した。得られた処理物に水を加え洗浄、濾過し、固形分を乾燥し板状アルミナ粉体を得た。得られた板状アルミナをX線回折法により生成物を同定したところ、酸化アルミニウム(αアルミナ)であった。SEMにて観察してみたところ板状粒子であり、粒度分布計で粒度を測定したところ中心粒径が10μmであり、シャープな分布となっていた。又、この粉末を水に混ぜてみたところ、きれいな流紋が確認された。【0018】実施例3アルミン酸ナトリウム20gを60℃の水に溶解させ、その中に硫酸アルミニウム水溶液を加えpH=9になるように調整し、そのまま60分攪拌した。その後蒸散乾燥させ、乾燥した固形分のX線回折の結果、擬ベーマイトの回折ピークが確認された。この乾燥固形分を1200℃、5時間焼成し、洗浄、濾過し、固形分を乾燥した。得られた物をX線回折により同定した結果、酸化アルミニウム(αアルミナ)であった。SEMにて観察してみたところ、0.2μmの粒状であり、板状粒子ではなかった。又、この粉末を水に混ぜてみたところ、流紋が確認されなかった。【0019】【発明の効果】本発明によれば凝集のない独立し、かつ粒度分布がシャープなアルミナ粒子が特に高圧を必要とすることなく容易に得られる。特に燐酸塩を用いた場合には板状アルミナ粒子が生成する。またハロゲン系の鉱化剤を使用しないため、作業環境を汚染することがない。 アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩とを水を含んだ状態で反応させることにより、アルミナ又は/及びアルミナ水和物と中和金属塩を含む混合物を製造し、この混合物を1000〜1600℃で焼成することを特徴とするアルミナ粒子の製造方法。 アルミナ又は/及びアルミナ水和物が非晶質又は/及び結晶質である請求項1記載のアルミナ粒子の製造方法。 アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩と燐酸塩とを水を含んだ状態で反応させる請求項1記載のアルミナ粒子の製造方法。 アルミン酸塩にアルカリ性の燐酸塩を添加したものと酸性アルミニウム塩を混合したものを水分を含んだ状態で反応させる請求項1記載のアルミナ粒子の製造方法。 アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩に酸性の燐酸塩を添加したものを水分を含んだ状態で反応させる請求項1記載のアルミナ粒子の製造方法。 アルミン酸塩と酸性アルミニウム塩と燐酸塩とを混合した時の水素イオン濃度がpH=6〜10の範囲である請求項3〜5のいずれかに記載のアルミナ粒子の製造方法。 平均粒子径が0.2〜100μm、厚みが3μm以下、アスペクト比(粒子径/厚み)が5以上である板状アルミナ粒子を製造する請求項3〜6のいずれかに記載のアルミナ粒子の製造方法。