生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_食品発酵用フィルム
出願番号:1999057958
年次:2009
IPC分類:C12M 1/00,B32B 3/24,B32B 7/02,B65D 85/50


特許情報キャッシュ

杉山 親嗣 JP 4283367 特許公報(B2) 20090327 1999057958 19990305 食品発酵用フィルム 日本パック株式会社 591049413 小田 治親 100080698 杉山 親嗣 20090624 C12M 1/00 20060101AFI20090604BHJP B32B 3/24 20060101ALI20090604BHJP B32B 7/02 20060101ALI20090604BHJP B65D 85/50 20060101ALI20090604BHJP JPC12M1/00 CB32B3/24 ZB32B7/02B65D85/50 101 C12M1/00-3/10 A23L1/20,109 特開平05−219911(JP,A) 特開平08−175571(JP,A) 実開昭60−150035(JP,U) 特開平11−115967(JP,A) 2 2000245433 20000912 7 20060118 山中 隆幸 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は食品発酵用フィルムに関する。更に詳しくは、透湿度は良好であるが孔を有さないフィルムと孔を有するフィルムとを貼り合わせるか、又は部分的に非通気性のコ−テイングを設けることにより、発酵速度を調節できる食品発酵用フィルムに関する。【0002】【従来の技術】従来発酵食品の1種である納豆を製造する場合、納豆は発酵させた後、紙製或いはポリエチレンやポリスチレン等のプラスチック製の容器に入れられ、市場に出荷されている。近年において食品衛生面から小型容器に蒸煮大豆を入れ蓋をした状態で発酵させて納豆を製造し、そのままの状態で市場に出荷される方式が一般的になった。製造直後の納豆は水分を多く含み該水分を容器外に放出する必要性、並びに発酵をさせるため容器外から酸素を取り入れる必要性の観点から、蓋材には通気性と透湿性が求められ、通常、微細な孔が多数設けられた多孔質のプラスチックフィルム、特にポリエチレンフィルムが使用されている。しかしながら、従来の容器入り納豆は、蓋材に微細な孔が開けられているため、微細な塵埃または微細な昆虫等が入り込む危険性があった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従来技術の欠点を除くために為されたものであり、その目的とするところは、トップシ−ル、シ−ト、または袋として食品の発酵が円滑に行われると共に食品の発酵速度を調節することができ、且つ微細な塵埃または昆虫の侵入を完全に防止できる孔のない食品発酵用フィルムを提供することにある。麹による味噌、漬物、魚の粕漬け、または麹及び納豆菌による納豆の製造の様な発酵用菌は好気性であり、酸素の供給及び炭酸ガスの排出といった空気の流通を必要とする。このため、従来はフィルムに微細な孔または切込みを入れることにより麹菌または納豆菌の活動を促進させていた。しかしながら、そのような手段では微細な塵埃または微細な昆虫が混入する恐れがあるため、本発明においてはそれ等の孔を必要としない食品発酵用フィルムを提供することを目的とする。【0004】ポリオレフィンフィルム等の肉厚は使用するものにより決めると良い。中でもポリエチレンフィルムは肉薄にもかかわらず、その引裂強度は強く、湿気により破れることもなく、しかもポリエチレンフィルムの酸素透過率は5,000〜10,000cc/m2 ・24hr、炭酸ガス透過率は16,000cc/m2 ・24hrもあり、食品発酵用フィルムとして好気性発酵用菌の発酵に最適と思われたが、実際には全く発酵が進行しない。発明者等は種々検討した結果、ポリエチレンフィルムは酸素及び炭酸ガスは良く透過させるが、透湿度は余り良好ではなく結果として湿気が通気孔を閉塞させてしまうため発酵が進行しないものと考えられる。一方、透湿度の良好なフィルムは湿度ばかりでなく、酸素及び炭酸ガスも十分に透過させるフィルムであることに着目し本発明を完成させたものである。【0005】【課題を解決するための手段】 即ち、本発明に係る食品発酵用フィルムは、穿孔または切込みの孔がなく、透湿度が300〜4000g/m2・24hrのフィルムの片面または両面に油性インキ或いはシリコン樹脂を印刷または表面加工処理して非通気性コーティングを部分的に設けることにより発酵速度を調節することができ、トップシール、シートまたは袋として使用できることを特徴とする。また、前記透湿度が300〜4000g/m2・24hrのフィルムがセロファン、紙、多孔質フィルムまたは樹脂布地を熱延したフィルムであることを特徴とし、更に、前記貼り合わせは熱による接着または接着剤による接着であることを特徴とする。【0006】【発明の実施の形態】図1は本発明の食品発酵用フィルムを蓋材として用いた納豆容器の斜視図、図2は本発明の食品発酵用フィルムを袋状容器とした平面図、図3乃至図6は本発明の食品発酵用フィルムの断面図の例を示す。図において、符号1は食品発酵用フィルム、1aは透湿度が300〜4000g/m2 ・24hrのフィルム(以下、透湿性フィルムという)、1bはポリエチレンフィルム、1cは融着又は接着部、1dは非通気性コ−テイング(以下、コ−テイングという)、2は孔、2aは非コ−テイング部、3は容器を示す。【0007】本発明に係る食品発酵用フィルムは、図1に示すように発酵用食品を容器に入れ、その蓋体として、また、図2に示すように発酵食品を包む袋状として用いることができる。その場合袋の周囲に融着又は接着部1cを設けることにより簡単に袋状にすることができる。【0008】本発明に用いられる食品発酵用フィルム1の断面図は、図3乃至図6に示すように、透湿性フィルム1aの片面または両面に部分的にコ−テイング1dを設けるか、又は、透湿性フィルム1aと円形又は多角形状の孔2を適宜数有するポリエチレンフィルム1bとを貼り合わせたフィルムであり、貼り合わせは熱による接着または接着剤により接着されたフィルムである。【0009】透湿性フィルム1aとしては、セロファン、紙、多孔質フィルムまたは樹脂布地を熱延したフィルムが好適に使用することができる。更に透湿性フィルムとして半透膜も使用することができる。セロファンには普通のセロファンであるPTと、防湿性のセロファンMSTがあるが、透湿性の良好な肉厚25μの普通のセロファンPTが使用できる。セロファンPTの透湿度は表1に示すごとく1,000〜2,000g/m2 24hrで比較的大きな値を示すが、酸素透過率は10〜1,000g/m2 24hrであり、炭酸ガス透過率は40〜4,000g/m2 24hrであり比較的小さな値を示すものが多い。発酵食品の1種である納豆につき発酵試験した結果では、セロファンフィルム単独では発酵が進み過ぎる傾向があり、流通市場において長期間品質を維持させることは難しいと考えられる。更に、不都合な点としては、セロファンの透湿度は良好であるが、セロファン自体は湿気に弱く、フィルム強度が低下し弛む性質を有することである。そのような場合、もっと肉厚のセロファンフィルムを用いるか、又は透湿度の比較的小さな、孔開きポリエチレンフィルムを貼り合わせるか、又は透湿性フィルム1aの表面或は裏面に部分的にコ−テイング1dを設けることにより強度の改善及び発酵速度の調節を行うことができる。【0010】【表1】【0011】透湿度は良好であるが、湿気に弱い材質としては紙も同様であり、もっと肉厚の紙を用いて強度を増加させ、透湿度の調整にはコ−テイング1dを部分的に設けるか、又は適宜通気孔を有する樹脂フィルムと貼り合わせて強度を増加させると共に透湿度を調整し発酵速度を調整する必要がある。【0012】コ−テイング1dとしては、非通気性であれば良いが、透湿性フィルム1aの強度を増加できるものであれば更に良く、油性インキ或はシリコン樹脂等を印刷することによりコ−テイング1dを設けることができる。多孔質フィルムは酸素、炭酸ガス、アンモニアガスを透過させる多孔質フィルムであり、NY不織布との複合化により機能アップしたカイロ用通気性フィルムである。表1に示すように肉厚50μ以上のフィルムであるが透湿度は良好で、600〜1200g/ m2 ・24hrを有するフィルムである。【0013】また、樹脂布地を熱延したフィルムは、熱延により樹脂布地の一部が溶融し、布地の目を完全に閉塞した孔のないフィルムであり、このような処理をすることにより通気度の向上を図った製品であり、このフィルムを用いて納豆の発酵試験を行った結果において良好な成績をあげたフィルムである。【0014】前記透湿度の良好なフィルムと貼り合わせて強度を増加させるために用いられるフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル等を挙げることがでいるが、中でもポリエチレンは一般的である。ポリエチレンフィルムとしては、表1に示すように高圧のLDPEと中低圧のHDPEとがあり、両者とも酸素透過率及び炭酸ガス透過率は良好であるが、透湿度は低く15〜45g/m2 24hr程度であり、納豆発酵試験においてこのフィルム単独で用いた場合には発酵が殆ど進行しなかったフィルムであるが、このフィルムに円形または多角形状の孔を開け、前記透湿度の良好なフィルムと貼り合わせて用いることにより透湿度の良好なフィルムの補強及び孔の面積の調節を行うことができ、発酵速度の調節を行うことができる。【0015】【発明の効果】(1)本発明の食品発酵用フィルムは透湿度300〜4000g/m2・24hrの孔のないフィルムを用いるため、微小な塵埃及び昆虫の侵入を完全に防ぐことができ極めて衛生的であると共に、食品の発酵を進行させることができる。(2)また、本発明の食品発酵用フィルムは円形、多角形、または好みの形状の孔を有する樹脂フィルムとを貼り合わせているため、強度的に丈夫である。(3)更に、本発明の食品発酵用フィルムは円形、多角形、または好みの形状の孔を有する樹脂フィルムとを貼り合わせるか、又は、コ−テイングにより、孔の面積を調節し発酵の進行速度を調節することができるため、市場における賞味期間の延長を図ることができる。(4)また、本発明の食品発酵用フィルムを納豆容器の蓋体として用いた場合には、納豆表面のネバネバを適当に抑えることができ、納豆表面のネバネバ付着防止用に必要であったセパレ−ト紙を省略することもできる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の食品発酵用フィルムを蓋材として用いた納豆容器の斜視図。【図2】本発明の食品発酵用フィルムを袋状とした平面図。【図3】本発明の食品発酵用フィルムの断面図の一例。【図4】本発明の食品発酵用フィルムの断面図の一例。【図5】本発明の食品発酵用フィルムの断面図の一例。【図6】本発明の食品発酵用フィルムの断面図の一例。【符号の説明】1 食品発酵用フィルム1a 透湿度が300〜4000g/m2 /24hrのフィルム1b ポリエチレンフィルム1c 融着又は接着部1d 非通気性コ−テイング2 孔2a 非コ−テイング部3 容器 穿孔または切込みの孔がなく、透湿度が300〜4000g/m2・24hrのフィルムの片面または両面に油性インキ或いはシリコン樹脂を印刷または表面加工処理して非通気性コーティングを部分的に設けることにより発酵速度を調節することができ、トップシール、シートまたは袋として使用できることを特徴とする食品発酵用フィルム。 前記透湿度が300〜4000g/m2・24hrのフィルムがセロファン、半透膜、紙、多孔質フィルムまたは樹脂布地を熱延したフィルムである請求項1に記載の食品発酵用フィルム。


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