タイトル: | 特許公報(B2)_エロージョンの測定方法及びその測定装置 |
出願番号: | 1999057941 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 27/26,G01N 17/02 |
宮澤 正純 JP 3760657 特許公報(B2) 20060120 1999057941 19990305 エロージョンの測定方法及びその測定装置 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 宮澤 正純 20060329 G01N 27/26 20060101AFI20060309BHJP G01N 17/02 20060101ALI20060309BHJP JPG01N27/26 351AG01N27/26 351ZG01N17/02 G01N 27/26-27/49 G01N 17/02 特開平10−142219(JP,A) 特開平9−297117(JP,A) 米国特許第5139627(US,A) 2 2000258380 20000922 6 20030512 黒田 浩一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、エロージョンの測定方法及びその測定装置に関する。詳しくは、エロージョンによる酸化現象を電気化学的に捉え、その測定値に基づきエロージョンによる減肉量を算出する方法及びその測定装置に関する。本発明の方法により、石油化学プラント等の機器及び配管装置類のエロージョンによる減肉量を簡便に求めることができる。【0002】【従来の技術】石油化学プラント等の各種プラントは、多くの機器及び配管装置類により構成されている。これらのプラントの健全性を保ち、且つ、安定した運転を行うためには、これらの機器及び配管装置類の損害をなくし、不具合を最小限に止めて、劣化管理及び診断を行ない、保守管理をする必要がある。即ち、高い信頼性の下で、長期的な安定した運転を維持していくためには、計画的な予防保全が不可欠である。【0003】機器及び配管装置類の主要な劣化要因の一つとして、内部流体によって、管壁及び機器の内面等にエロージョン・コロージョンによる薄肉化する減肉現象、即ち、化学的作用による腐食(コロージョン)と機械的作用による侵食(エロージョン)の相互作用により生ずる減肉現象が発生する。一般に、これらの機器及び配管装置類の減肉傾向の把握及び状況管理のため、石油化学プラント等の実機プラントの機器及び配管装置類の主な部位について、定期的に肉厚測定を超音波厚み計等により実施している。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の方法では、相当長時間運転後、装置を停止した場合にしか肉厚測定ができず、且つエロージョンのみによる減肉量を測定することは困難である。本発明は、上記の実情に鑑み、装置の内面の流体流れに伴うエロージョンによる減肉量を正確に測定する方法及びその測定装置を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者は、機器及び配管装置類の内部流体によるエロージョンによる減肉量の測定法につき鋭意検討した結果、装置内の流体流れ中に複数の装置材質と同じ材質の金属電極を浸漬し、該流体の流速を変化させた場合に電気化学的電流ノイズ及び電気化学的電位ノイズがそれぞれ変化し、その変化量よりエロージョンによる減肉量を測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。【0006】 即ち、本発明の要旨は、金属装置内を流れる流体中に金属装置と同じ材質を有する第1〜第3電極を設け、流体の流速を変化させた場合の電気化学的電流ノイズと電気化学的電位ノイズの変化をそれぞれ測定し、演算処理によってエロージョンによる金属装置内面の減肉量を算出することを特徴とするエロージョンの測定方法、及び金属装置と同じ材質を有する第1及び第2電極と、前記第1〜第3電極を金属装置内を流れる流体中に取付ける取付部材、前記第1電極と第2電極との間の電気化学的電流ノイズを測定する電気化学的電流ノイズ測定手段、前記第2電極と第3電極との間の電気化学的電位ノイズを測定する電気化学的電位ノイズ測定手段、流体の流速を変化させる手段、流速を変化させた場合の電気化学的電流ノイズと電気化学的電位ノイズの変化をそれぞれ測定し、演算処理によってエロージョンによる金属装置内面の減肉量を算出する手段とを備えることを特徴とするエロージョンの測定装置、にある。【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明する。内部流体の装置内面のエロージョン・コロージョンによる減肉現象の発生のメカニズムを簡単に説明する。エロージョン・コロージョンによる減肉現象は、先ず、流体性状、温度等の化学的作用によりコロージョンが発生し、これらは保護被覆の形成に関係する。また、流速及び形状による機械的作用の機械的な力によりエロージョンが発生し、これらの相互作用によりエロージョン・コロージョンによる減肉現象が発生し、管壁及び機器の内面等にエロージョン・コロージョンによる減肉現象が発生する。このエロージョン・コロージョンによる減肉現象及び作用について詳細に説明する。【0008】エロージョン・コロージョンによる減肉現象は、化学的作用による腐食(コロージョン)と、機械的作用による侵食(エロージョン)の相互作用により、発生する減肉現象である。即ち、金属の減肉を考える場合、周囲の流体条件(性状、温度等)及び流動条件(流速、形状等)によりその機構が異なる。腐食環境下の金属は腐食により、減肉していくが、流体の流速が小さい等、機械的作用が小さい場合には単独腐食が起こり、機械的作用がある程度以上大きくなると、腐食と共に侵食の影響を受け、エロージョン・コロージョンによる減肉現象が生じることになる。【0009】本発明は金属装置の管壁や機器の内面を流れる流体の流速を変化させた場合のエロージョン・コロージョンによる減肉量の変化によりエロージョンによる減肉量を測定することを特徴とするものである。即ち、流体の流速が小さく、且つ機械的作用が小さい場合にはコロージョンによる単独腐食が起こり、一方、流体の流速を大きくすると、エロージョンとコロージョンの両者による減肉現象が生じる。この両者の差異を電気化学的ノイズ法により測定し、エロージョンによる侵食に伴う減肉量を測定するものである。【0010】次に電気化学的ノイズ法による金属材料の腐食測定法については、特開平9−297117号公報に記載されている。図1において、被測定腐食性溶液中に腐食測定対象となる金属表面の同一の材質の三個の測定電極を浸漬する。第1の電極1と第2の電極2との間に内部抵抗がほぼゼロの電流測定回路、いわゆる無抵抗電流計4を接続させ、前記第2の電極2と第3の電極3との間には、該電極側に影響を与えず信号電圧を測定し得る電位計5が接続されている。【0011】この状態では、電極1と電極2の間には、それぞれ各電極表面の腐食の進行程度に応じたカップリング電流が生じ、電流計4によってカップリング電流が測定される。また、電極2と電極3の間の電位差は電位計5によって測定される。図2は上記電流計4と電位計5によって測定された電流、電位の変化を示したものである。これらの測定結果より腐食率は下記式により算出される。【0012】【数1】【0013】ここで、ΔEは電位の変化量ΔIは電流の変化量Rは腐食の電気化学的抵抗をそれぞれ示すものである。【0014】【数2】腐食率=K×R【0015】ここでKは金属材質と流体性状により決まる係数であり、金属試験片の腐食減量より逆算して求めることもできるし、また測定で求めることができる。本発明においては、上記した腐食測定(電気化学的ノイズ法)の原理を利用して図3に示すエロージョン測定装置を用いて、図4に示す流体流れ中に取付けて流体の流速を変化させた際の電気化学的電流ノイズと電気化学的電位ノイズの変化を測定してエロージョンによる減肉量を測定するものである。【0016】図3において、1〜3は機器又は配管内面と同じ材質の金属電極であり、それぞれの電極間は絶縁物4′でシールされている。また電極2には流れる流体の流速を変化させるために流体流れ方向に狭部を形成するオリフィス6が設けられており、該エロージョン測定装置7はその両側に設けた取付部材(フランジ部材)8によって配管又は装置に取付けられる。【0017】図4は、蒸気ドレンを排出するための配管流れ中に上記エロージョン測定装置を取付け、バルブ9の弁開度を調整して流体(蒸気)のオリフィス部6における流速を変化させた場合の電気化学的電流ノイズと電気化学的電位ノイズを測定し、エロージョンによる減肉量を算出する方法の概要を示すものであり、図5は、その電気化学的電流ノイズと電気化学的電位ノイズの変化を示したものである。これらのデータから下記式でエロージョン減肉量を算出する。【0018】【数3】ER=EK*CR【0019】ここで、ERはオリフィスの減肉量により算出されたエロージョン量EKは測定結果により求めた係数CRは腐食測定装置により算出された腐食量の合計【0020】【発明の効果】本発明によれば、装置内におけるエロージョンによる酸化現象を電気化学的に捉え、これを測定することにより、エロージョンによる減肉量を簡便に算出することができる。【図面の簡単な説明】【図1】金属材料の腐食の電気化学的測定法の原理を示す。【図2】電流及び電位の変化を示す図である【図3】本発明のエロージョン測定装置の断面図である。【図4】本発明のエロージョン測定方法の一例のフロー図である。【図5】本発明のエロージョン測定方法における電流ノイズ及び電位ノイズの変化を示す図である。【符号の説明】1 電極2 電極3 電極4 電流計4′ 絶縁物5 電位計6 オリフィス7 エロージョン測定装置8 取付部材9 バルブ 金属装置内を流れる流体中に金属装置と同じ材質を有する第1〜第3電極を設け、流体の流速を変化させた場合の電気化学的電流ノイズと電気化学的電位ノイズの変化をそれぞれ測定し、演算処理によってエロージョンによる金属装置内面の減肉量を算出することを特徴とするエロージョンの測定方法。 金属装置と同じ材質を有する第1及び第2電極と、前記第1〜第3電極を金属装置内を流れる流体中に取付ける取付部材、前記第1電極と第2電極との間の電気化学的電流ノイズを測定する電気化学的電流ノイズ測定手段、前記第2電極と第3電極との間の電気化学的電位ノイズを測定する電気化学的電位ノイズ測定手段、流体の流速を変化させる手段、流速を変化させた場合の電気化学的電流ノイズと電気化学的電位ノイズの変化をそれぞれ測定し、演算処理によってエロージョンによる金属装置内面の減肉量を算出する手段とを備えることを特徴とするエロージョンの測定装置。