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タイトル:特許公報(B2)_軟膏製剤
出願番号:1999049756
年次:2010
IPC分類:A61K 31/7076,A61K 47/34,A61K 9/06,A61P 17/02


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久米 博子 遠藤 彰 JP 4463337 特許公報(B2) 20100226 1999049756 19990226 軟膏製剤 ニプロパッチ株式会社 000174622 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 棚井 澄雄 100106909 久米 博子 遠藤 彰 JP 1998045015 19980226 20100519 A61K 31/7076 20060101AFI20100422BHJP A61K 47/34 20060101ALI20100422BHJP A61K 9/06 20060101ALI20100422BHJP A61P 17/02 20060101ALI20100422BHJP JPA61K31/7076A61K47/34A61K9/06A61P17/02 A61K 31/00 A61K 9/00 A61K 47/00 CAP/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭63−107935(JP,A) 特開平02−001409(JP,A) 特開平04−139129(JP,A) 宮崎順一、高野正彦,皮膚外用剤−その作り方と応用−,株式会社南山堂,1959年 8月 5日,第167,168,225-227頁 竹尾祥子、外4名,DT-5621(ブクラデシン軟膏)の配合変化試験,病院薬学,1991年,Vol.17,No.3,p.144-8 株式会社薬事日報社編,最近の新薬(第45集),株式会社薬事日報社,1994年 4月 2日,第316頁 4 1999315035 19991116 8 20051129 伊藤 基章 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、サイクリックAMP誘導体を含有する軟膏製剤に関し、更に詳しくは低温条件下でも使用性が良好でかつ有効性にも優れた軟膏製剤に関する。【0002】【従来の技術】ブラクデシンナトリウムに代表されるサイクリックAMP誘導体は、褥瘡、熱傷などの皮膚潰瘍の治療剤として有用であることが知られている(特開昭63−107935号公報)。そして、当該サイクリックAMP誘導体を有効成分とする外用剤としては軟膏製剤が知られており、軟膏製剤中におけるサイクリックAMP誘導体の長期安定性を確保するため、サイクリックAMP誘導体を吸水性かつ乾燥性を有する基剤に配合し、かつこれに無機高分子を配合する、一定のpHの塩を配合する等の手段が行われている(特開平2−1409号、同4−139129号及び同5−271080号公報)。【0003】【発明が解決しようとする課題】かかる手段により軟膏製剤中のサイクリックAMP誘導体の分解防止については解決されたものの、これらの軟膏を低温条件下に保存したとき軟膏が固くなり、チューブからの押し出し性、ボトルからの取り出し性及び患部への塗布性等の点で十分満足できないものであることが判明した。【0004】従って、本発明の目的は、低温条件下でも軟膏が固くならず、使用性の良好なサイクリックAMP誘導体含有軟膏製剤を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】そこで本発明者は上記課題を解決すべく、軟膏基剤について種々検討してきた結果、基剤として平均分子量の異なるポリエチレングリコールを3種類以上組み合せて用いれば、有効成分であるサイクリックAMP誘導体の安定性、放出性を何ら低下させることなく使用性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。【0006】すなわち、本発明は、(a)サイクリックAMP誘導体と、(b)平均分子量の異なる3種類以上のポリエチレングリコールとを含有することを特徴とする軟膏製剤を提供するものである。【0007】【発明の実施の形態】本発明における有効成分である(a)サイクリックAMP(以下、cAMPと略す)誘導体としては、例えば、N6−モノアシルアデノシン−3′,5′−環状リン酸、2′−O−モノアシルアデノシン−3′,5′−環状リン酸、N6,2′−O−ジアシルアデノシン−3′,5′−環状リン酸又はこれらの8−メルカプト、8−低級アルキルチオ、8−ベンジルチオ、8−アミノ、8−ヒドロキシ、8−クロロもしくは8−ブロモ置換体、8−ベンジルチオアデノシン−3′,5′−環状リン酸もしくはそのN6−低級アルキル置換体、又は8−メルカプトアデノシン−3′,5′−環状リン酸等が挙げられる。これらのうち、ナトリウム N6−2′−O−ジブチリルアデノシン−3′,5′−サイクリックホスフェート(ブクラデシンナトリウム、以下、DBcAMPと略す)、ナトリウム2′−O−ブチリルアデノシン−3′,5′−サイクリックホスフェート、ナトリウム N6−ブチリルアデノシン−3′,5′−サイクリックホスフェート、ナトリウムアデノシン−3′,5′−サイクリックホスフェート、8−ベンジルチオ−N6−ブチリルアデノシン−3′,5′−サイクリックホスフェート、8−ベンジルチオアデノシン−3′,5′−サイクリックホスフェートが好ましい。また、これらの化合物は単独でも、2種以上を混合して使用することもできる。このうち、DBcAMPを使用するのが最も好ましい。【0008】かかる(a)サイクリックAMP誘導体の軟膏製剤中の配合量は、1回使用量との関係で適宜決定すればよいが、通常0.1〜15重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。【0009】本発明に使用される(b)平均分子量の異なる3種類以上のポリエチレングリコールとしては、(b−1)平均分子量3000〜5000のポリエチレングリコール、(b−2)平均分子量360〜650のポリエチレングリコール及び(b−3)平均分子量200〜350のポリエチレングリコールの3種類の組み合せがより好ましい。ここで(b−1)のポリエチレングリコールとしては、平均分子量4000程度のものがより好ましい。(b−2)のポリエチレングリコールとしては平均分子量400〜600程度、特に平均分子量400程度のものが更に好ましい。また、(b−3)のポリエチレングリコールとしては平均分子量300程度のものがより好ましい。【0010】これら平均分子量の異なる3種類のポリエチレングリコールの軟膏製剤中の配合量は、(b−1)のポリエチレングリコールが1〜50重量%(特に10〜40重量%)、(b−2)のポリエチレングリコールが1〜50重量%(特に10〜40重量%)、(b−3)のポリエチレングリコールが5〜60重量%(特に20〜50重量%)であるのが好ましい。【0011】また、本発明の軟膏製剤には、サイクリックAMP誘導体の安定化の目的で無機高分子を配合するのが好ましく、かかる無機高分子としては、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ素マグネシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これら無機高分子の配合量は、軟膏製剤中、例えば0.1〜20重量%、とりわけ1〜20重量%が適している。【0012】また、本発明の軟膏製剤には、サイクリックAMP誘導体のさらなる安定化を図る目的で、無機酸塩、例えばリン酸塩を配合するのが好ましい。かかるリン酸塩としては、リン酸アルカリ金属塩、特に無水リン酸二水素ナトリウム等のリン酸ナトリウムが好ましい。これら無機酸塩の配合量は、軟膏製剤中0.1〜20重量%、特に1〜20重量%が好ましい。【0013】更に、本発明の軟膏製剤には、界面活性剤、抗酸化剤、保湿剤、防腐剤、着色剤、香料等を配合することができる。【0014】また、本発明の軟膏製剤の0℃における硬度は、使用性の点から0.001〜20g/cm2 、特に0.001〜10g/cm2 が好ましい。【0015】本発明の軟膏製剤を製するには、通常の軟膏の製造法に従えばよい。例えば、ポリエチレングリコール等の軟膏基剤を60〜70℃程度で加温溶解させ冷却して軟膏状にしたものに、cAMP誘導体及びその他の成分の混合物を加え十分混合又は練合して分散又は溶解させた後、冷却して軟膏製剤とする。混合又は練合は、常法、例えば攪拌機スリーワンモーター(HEIDON社製)、ホモミキサー等により行われる。【0016】【実施例】次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。【0017】実施例1アジホモミクサー(特殊機加工業社製、M型)に窒素ガスバブリング下、ポリエチレングリコール400を199.2gと、ポリエチレングリコール300を800g加え攪拌し、更にポリエチレングリコール4000を560.0g加え、調製液を75℃まで加温しながら攪拌溶解した。その後、無水リン酸二水素ナトリウム20gを加え、約20分間分散した。更に、予め、ブクラデシンナトリウム66.6gを334.0gのポリエチレングリコール400中に溶解させ、更に乾燥水酸化アルミニウムゲル20g及び香料0.2gを分散させた予製液をアジホモミクサー内に投入し、調製液を55℃まで上昇させ、約20分間攪拌し溶解又は分散させた後、攪拌しながら製剤の温度を37℃まで冷却して軟膏製剤を得た。【0018】比較例1アジホモミクサー(特殊機加工業社製、M型)に窒素ガスバブリング下、ポリエチレングリコール400を1000gと、ポリエチレングリコール4000を560.0g加え、調製液を75℃まで加温しながら攪拌溶解した。その後、無水リン酸二水素ナトリウム20gを加え、約20分間分散させた。更に、予め、ブクラデシンナトリウム65.8gを334.0gのポリエチレングリコール400中に溶解させ、更に乾燥水酸化アルミニウムゲル20g及び香料0.2gを分散させた予製液をアジホモミクサー内に投入し、調製液の温度を55℃まで上昇させ、約20分間攪拌し、溶解又は分散させた後、攪拌しながら41℃まで冷却して軟膏製剤を得た。【0019】試験例1実施例1の軟膏製剤と比較例1の軟膏製剤の0〜10℃における硬度を測定した。実施例及び比較例にて調製した軟膏製剤をそれぞれ、直径37mm、高さ20mmのプラスチック製の容器に、気泡が入らないように隙間なく充填し、レオメーター(サン科学社製、CR200D)の試料台にのせ、試料台を100mm/minの速度で上昇させることにより、直径10mm、長さ20mmのアクリル製の感圧軸を軟膏容器のほぼ中心部分に進入させて、軟膏製剤の感圧軸接触面に与える重量を、軟膏製剤の硬度(g/cm2)として測定した。【0020】その結果、図1に示す如く、比較例1の軟膏製剤は5℃以下では硬度が上昇するが、実施例1の軟膏製剤は0℃でもほとんど硬度が上昇しないことがわかる。【0021】試験例2比較例1の軟膏製剤中のポリエチレングリコール400の一部をポリエチレングリコール300に置換し、当該置換率(%)の異なる軟膏製剤を得た。得られた軟膏製剤の0〜10℃における硬度を測定し、ポリエチレングリコール300の置換率と硬度との関係を検討した。【0022】得られた結果を図2に示す。図2から、ポリエチレングリコール400の一部をポリエチレングリコール300に置換すると低温、特に5℃以下での硬度低下が抑制できることがわかる。【0023】試験例3実施例1又は比較例1の軟膏製剤をそれぞれチューブ(200g)に充填した。このチューブを0〜9℃で冷所保存してもらい、6箇所の病院で使用してもらい、チューブからの押し出し性を官能評価した。【0024】その結果を表1及び表2に示す。なお、官能評価は、次の4段階で行った。表中の数値は人数を示す。1:軽く押すと出る2:普通に押すと出る3:強く押すと出る4:強く押しても出ない【0025】【表1】【0026】【表2】【0027】表1及び表2の結果より、比較例1の軟膏は8℃以下で保存した場合、押し出し性が良くなかったのに対し、実施例の軟膏は8℃以下の低温で保存してもチューブからの押し出し性が良好であった。なお、この結果は、30g入りチューブを用いた場合も同様であった。【0028】試験例4実施例1又は比較例1の軟膏をそれぞれボトル(200g)に充填した。このボトルを0〜9℃で冷所保存し、試験例3と同様にしてボトルから軟膏ベラを用いての取り出し性を官能評価した。【0029】その結果を表3及び表4に示す。なお、官能評価は次の3段階で行った。表中の数値は人数を示す。1:取り出し易い2:取り出し難い3:取り出せない【0030】【表3】【0031】【表4】【0032】表3及び表4の結果より、比較例1の軟膏は8℃以下で保存した場合、押し出し性が良くなかったのに対し、実施例の軟膏は8℃以下の低温で保存してもボトルからの取り出し性が良好であった。【0033】試験例5比較例1と実施例1の軟膏を用い、(1)25℃、75%RH6ケ月保存時におけるDBcAMPの含量変化及びpH変化、(2)DBcAMPの放出性、(3)切傷に対する治癒効果、及び(4)ウサギ耳介血流増加作用を検討したところ、両軟膏間は同等であった。【0034】【発明の効果】本発明の軟膏製剤は8℃以下の低温条件下でも硬度の上昇がなく、チューブからの押し出し性、ボトルからの取り出し性が良好で、かつ創傷面などへの塗布性も良好であるとともに、従来のサイクリックAMP含有軟膏と同様に有効である。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1と比較例1の軟膏製剤の温度による硬度変化を示す図である。【図2】ポリエチレングリコール400の一部をポリエチレングリコール300に置換したときの置換率と軟膏の低温条件下での硬度変化との関係を示す図である。 (a)ブクラデシンナトリウム、(b−1)平均分子量3000〜5000のポリエチレングリコール10〜40質量%、(b−2)平均分子量360〜650のポリエチレングリコール10〜40質量%及び(b−3)平均分子量200〜350のポリエチレングリコール20〜50質量%を含有することを特徴とする軟膏製剤。 (b−1)のポリエチレングリコールの平均分子量が4000であり、(b−2)のポリエチレングリコールの平均分子量が400であり、(b−3)のポリエチレングリコールの平均分子量が300である請求項1記載の軟膏製剤。 (a)ブクラデシンナトリウムの含有量が0.5〜10質量%である請求項1又は2記載の軟膏製剤。 0℃における硬度が0.001〜20g/cm2である請求項1〜3のいずれかに記載の軟膏製剤。


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