タイトル: | 特許公報(B2)_コエンザイムQ10の製造法 |
出願番号: | 1999032657 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12N 9/52,C12N 1/21,C12N 9/10,C12N 15/09,C12P 23/00,C12R 1/19 |
松田 英幸 川向 誠 矢島 麗嘉 池中 康裕 西 健一 長谷川 淳三 高橋 里美 JP 4307609 特許公報(B2) 20090515 1999032657 19990210 コエンザイムQ10の製造法 株式会社カネカ 000000941 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 松谷 道子 100106518 松田 英幸 川向 誠 矢島 麗嘉 池中 康裕 西 健一 長谷川 淳三 高橋 里美 20090805 C12N 9/52 20060101AFI20090716BHJP C12N 1/21 20060101ALI20090716BHJP C12N 9/10 20060101ALI20090716BHJP C12N 15/09 20060101ALI20090716BHJP C12P 23/00 20060101ALI20090716BHJP C12R 1/19 20060101ALN20090716BHJP JPC12N9/52C12N1/21C12N9/10C12N15/00 AC12P23/00C12N1/21C12R1:19 C12N15/00-90 C12P21/00-23/00 C12N9/00-52 PUBMED MEDLINE BIOSIS GENEBANK DDBJ GENESEQ SWISSPROT EMBL 14 FERM BP-6538 2000228987 20000822 15 20030528 2005018886 20050929 鈴木 恵理子 上條 肇 平田 和男 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品等として用いられているコエンザイムQ10の製造に関する。さらに詳細には、コエンザイムQ10の生合成に関するキー酵素であるコエンザイムQ10側鎖合成酵素、すなわちデカプレニル2燐酸合成酵素をコードする遺伝子をRhizobiaceae科に属する細菌より単離し、これを微生物に導入することによりコエンザイムQ10を生成させる方法に関する。【0002】【従来の技術】従来のコエンザイムQ10の製造法は、タバコなどの植物由来のコエンザイムを単離してその側鎖長を合成法により調製する等によって工業的には生産されている。【0003】また、コエンザイムQ10は細菌や酵母などの微生物から高等動植物に至るきわめて幅広い生物により生産されることが知られているが、微生物を培養してその菌体より本物質を抽出する方法が最も有効な一つの製造法であると考えられ、実際の工業的な生産にも用いられている。しかしながら、これらの方法では、生成量が少なかったり、操作が煩雑であったりして、生産性が良くなかった。【0004】コエンザイムQ10の生物による生合成経路については、原核生物と真核生物では一部異なっているが、いずれも多くの酵素が関与した多段階の複雑な反応によって生成されている。しかし、基本的には大きく3つのステップ、すなわち、コエンザイムQ10のプレニル側鎖のもとになるデカプレニル2燐酸を合成するステップ、キノン環のもとになるパラヒドロキシ安息香酸を合成するステップ、そして、これらの2つの化合物を結合させて置換基を順次変換してコエンザイムQ10を完成させるステップよりなっている。これらの反応の中で、生合成反応全体の律速であると言われ、コエンザイムQ10の側鎖の長さを決定している反応、すなわちデカプレニル2燐酸合成酵素の反応は最も重要な反応であると考えられる。そこで、コエンザイムQ10を効率よく生産させる為には、生合成に関与するキー遺伝子、デカプレニル2燐酸合成酵素の遺伝子を単離して生産増強に利用することが有効であると考えられるが、その遺伝子源としてはコエンザイムQ10を比較的多量に生産しているRhizobiaceae科に属する細菌が有力な候補となる。【0005】これまでにデカプレニル2燐酸合成酵素の遺伝子としては、Schizosaccaromyces pombe(特開平9-173076)やGluconobacter suboxydans(特開平10-57072)などいくつかの種類の微生物より分離されているが、本来これらの微生物ではコエンザイムQ10の生産性が十分とはいえず、これらの微生物では効率的な培養や分離精製などは出来ていなかった。そこで、さらにコエンザイムQ10を高生産する微生物由来の本酵素遺伝子を単離することが望まれていた。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の生産に関する問題を解決するべく、Rhizobiaceae科に属する細菌由来のコエンザイムQ10の側鎖合成遺伝子を単離してこれを利用することにより、微生物によってコエンザイムQ10を効率よく生産することを目的とする。【0007】上記目的を達成する為に、本発明では、まず、Rhizobiaceae科に属する細菌よりコエンザイムQ10の生合成に関与するキー遺伝子、デカプレニル2燐酸合成酵素の遺伝子を単離した。そして、該遺伝子を大腸菌などの微生物に導入して発現させることにより、コエンザイムQ10を効率よく生産させることが可能となった。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、コエンザイムQ10を比較的多量に生産しているRhizobiaceae科に属する細菌からデカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子を分離するための検討を重ね、該遺伝子を分離することに成功した。【0009】即ち本発明は、配列番号1に記載のDNA配列、およびこの配列に対し1または複数の塩基の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素をコードするDNA配列を提供する。本発明はまた、配列番号2に記載のアミノ酸配列、およびこの配列に対し1または複数のアミノ酸の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素活性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質、さらにこのアミノ酸配列をコード化するDNA配列を提供する。【0010】本発明はさらに、上記DNA配列を宿主微生物に導入し、該宿主微生物を培養する工程を含む、コエンザイムQ10の製造方法を提供する。本発明の方法において用いる、宿主微生物としては特に限定されないが、Eschericha coliが好適に用いられる。Eschericha coliの産生するコエンザイムQは、コエンザイムQ8であるが、本発明の方法によって、コエンザイムQ10を産生させることが可能となった。【0011】さらに本発明は、上記DNA配列を含有する発現ベクターを提供する。本発明の発現ベクターは、従来知られているベクター系いずれを用いても良く、例えば発現用ベクターpUCNTへ配列番号1の配列を導入してなる、pQAD1が提供される。【0012】本発明は、上記DNA配列にて形質転換された宿主微生物もまた、提供する。本発明の宿主微生物としては、Eschericha coliが好適に用いられる。【0013】【発明の実施の形態】本発明者らは、コエンザイムQ10を比較的多量に生産しているRhizobiaceae科に属する細菌から本酵素遺伝子を分離するための検討を重ねたところ、PCR法によって該遺伝子の断片を取得することに成功した。【0014】既知のデカプレニル2燐酸合成酵素、及び本酵素と類縁で鎖長の違うコエンザイムQの長鎖プレニル鎖合成酵素であるポリプレニル2燐酸合成酵素の遺伝子の配列を比較し、その相同性の高い領域についてPCRプライマーを各種合成した。そしてこれらのプライマーを種々組み合わせ、PCRの条件をいろいろ検討したところ、プライマーDPS-1(5'-AAGGATCCTNYTNCAYGAYGAYGT-3')及びDPS-2(5'-AAGGATCCTCRTCNACNARYTGRAA-3')を用い(なお、ここで示した配列中の、RはAまたはG、YはCまたはT、そしてNはG、A、TまたはCを示す。)、PCRを94℃、1分間の熱処理の後、94℃、1分→50℃、1分→70℃、1分のサイクルを25回繰り返すことにより、Rhizobiaceae科に属する細菌、Agrobacterium sp. KNK712(FERM BP-1900)の染色体遺伝子から本酵素遺伝子の約400bpの断片が増幅してくることを、その遺伝子の塩基配列を解析することにより明らかにした。【0015】そこで次に本酵素遺伝子の全長を取得するためには、Agrobacterium sp. KNK712(FERM BP-1900)の染色体遺伝子を制限酵素EcoRIで切断し、ラムダファージベクターに挿入して組換えファージライブラリーを作製する。そのプラークをナイロン膜に転写した後、標識した該PCR断片を用いてプラークハイブリダイゼーションを行えば、デカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子全長を持つクローンを取得することができる。【0016】得られたクローンに含まれるデカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子について塩基配列の決定を行ったところ、配列表、配列番号1に示した配列を持つことが明らかとなり、この配列から予想できるアミノ酸配列にはデカプレニル2燐酸合成酵素の遺伝子として特徴的な配列がみられる。【0017】デカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子を発現させるためには、適当なプロモーターの下流に該遺伝子を接続することが必要であるが、例えば遺伝子を含むDNA断片を制限酵素によって切り出したり、PCRによって酵素をコードする遺伝子部分のみを増幅させたりした後、プロモーターを持つベクターに挿入することにより発現ベクターとすることができる。具体的な例としては、発現用ベクターpUCNT(WO94/03613に記載)に該遺伝子を挿入すれば、デカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子の発現ベクター、pQAD1を作製することができる。【0018】そして、該酵素遺伝子の発現ベクターを適当な微生物に導入することによりコエンザイムQ10の生産に利用することが可能となる。例えば、デカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子の発現ベクター、pQAD1を大腸菌に導入した場合には、大腸菌が本来は生産しないコエンザイムQ10を、大腸菌が本来生産するコエンザイムQ8の生産量を遙かに上回る著量生産するように変換できる。この大腸菌菌株Escherichia coli HB101 pQAD1は通商産業省、工業技術院、生命工学工業技術研究所にFERM BP-6538として寄託されている。本遺伝子は単独で用いるほか、他の生合成に関与する遺伝子と同時に微生物に導入して発現させることにより、さらに良い効果が期待できる。【0019】【実施例】(実施例1)Agrobacterium sp. KNK712の染色体DNAをMarmurらの方法(J.Mol.Biol.,第3卷、208頁-218頁、(1961年))で調製した。既知の長鎖プレニル2燐酸合成酵素の遺伝子との相同性からPCRに用いるプライマーDPS-1(5'-AAGGATCCTNYTNCAYGAYGAYGT-3')及びDPS-2(5'-AAGGATCCTCRTCNACNARYTGRAA-3')を設計した。なお、ここで示した配列中の、RはAまたはG、YはCまたはT、そしてNはG、A、TまたはCを示す。これらを用いてPCR(94℃、1分→(94℃、1分→50℃、1分→70℃、1分):25サイクル繰り返し→4℃)を行い、0.8%アガロースゲル電気泳動により分析した。そして得られた約400bpの断片をゲルより切り出してDNA抽出キット(宝酒造製)を用いて精製した後、DNA塩基配列をDNAシークエンサー(373A型、アプライドバイオシステム社製)を用い、DNAシークエンスキット(アプライドバイオシステム社製、ABI PRISMTM Dye Terminator Cycle Sequence Ready Reaction Kit With AmpliTaqR DNA polymerase, FS)を使用して、その取り扱い説明書に従って反応を行い配列を決定した。その結果、配列表、配列番号1の514から905までの塩基配列に示す配列が得られた。この翻訳配列に長鎖プレニル鎖を持つプレニル2燐酸合成酵素に特徴的な領域の配列”VGDFLLG”および”EGEVLQL”が見出せたことにより、得られた配列はデカプレニル2燐酸合成酵素の遺伝子の一部であること同定された。【0020】(実施例2)Agrobacterium sp. KNK712の染色体DNA0.25μgを用い、PCR用のプライマーNQE-11(5'-AAGTCCACCGCCCGCACGATCT-3'の配列を持つ)及びNQE-12(5'-CCGAGGTTCATGCCGTAGGATTTTの配列を持つ)を用いてPCR(94℃、1分→(94℃、1分→40℃、1分→60℃、2分):25サイクル繰り返し→60℃、5分→4℃)を行い、4% Nusieve 4:1 アガロース(宝酒造製)によるゲル電気泳動を行い、約320bpの断片をゲルより切り出してDNA抽出キット(宝酒造製)を用いて精製した。このDNA断片約25ngを用い、メガプライムTM・DNAラベリングシステム(アマシャム社製)を用いて〔α-32P〕dCTPで標識した。【0021】(実施例3)Agrobacterium sp. KNK712の染色体DNAを制限酵素 EcoRI、Sac I、Not I、Xho Iで切断し、0,8%アガロースゲルを用いた電気泳動を行った。このゲルをアルカリ(0.5M NaOH、1.5M NaCl)で変成させ、中和(0.5M Tris・HCl(pH7.5)、1.5M NaCl)した後、ハイボンドN+フィルター(アマシャム社製)をゲルに重ね、10×SSCを用いて一晩、サザントランスファーさせた。そのフィルターを乾燥し、80℃で2時間焼付けを行った後、プレハイブリダイズ液(20×SSC (3M NaCl、0.3Mクエン酸3ナトリウム・2水和物、pH7.0) 15ml、10% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 5ml、50×Denhardt's液(10g/l フィコール(FicolR Type 400、ファルマシア社)、10g/lポリビニルピロリドン、10g/l ウシ血清アルブミン(Fraction V、シグマ社))5ml、10mg/ml サケ精子DNA(95℃で5分間加熱後、氷中で急冷し熱変成したもの)0.5ml、水 24.5ml)を用いて60℃、4時間プレハイブリダイズした。【0022】標識したプローブを95℃で5分間加熱後、氷中で急冷し、プレハイブリダイズ処理したフィルターのプレハイブリダイズ液に添加し、60℃で22時間ハイブリダイズさせた。このフィルターを5×SSCに0.5% SDSを添加した溶液を用い室温で2回洗浄後、1×SSCに0.1% SDSを添加した溶液を用い60℃から75℃まで徐々に温度を上げながら洗浄した。このフィルターを乾燥後、X線フィルムに密着させて感光させ、黒く感光したバンドを検出した。【0023】その結果、制限酵素 EcoR Iで切断した約7.2kb、Sac Iで切断した約4.7kb、Not Iで切断した約8.3kb、Xho Iで切断した約4.7kbの断片に強くハイブリダイズしていた。【0024】(実施例4)Agrobacterium sp. KNK712の染色体DNAを制限酵素EcoRIで切断し、0.8%アガロースによるゲル電気泳動を行い、約7kb付近のDNA断片をゲルより切り出して精製することにより、クローン化に用いるDNA断片を調製した。このDNA断片をλ-ZAPRIIファージキット(ストラテジーン社製)を用いてそのファージのEcoRIサイトに組み込み、インビトロパッケージングキット(アマシャム社製)でパッケージングを行った。そして、大腸菌XL1-Blue MRF'に感染させてNZY平板培地(5g/l NaCl,2g/l MgSO4・7H2O, 5g/l酵母エキス, 10g/l NZアミン、 18g/l 寒天 (pH7.5))上にNZY軟寒天培地(NZY平板培地の寒天のみ 8g/l)とともに重層し、てプラークとした。これをハイボンドN+フィルター(アマシャム社製)にトランスファーしアルカリ(0.5M NaOH、1.5M NaCl)で変成した後、中和(0.5M Tris・HCl(pH7.5)、1.5M NaCl)、乾燥し、80℃で2時間焼付けを行った。【0025】焼き付け後のフィルター24枚を用い、実施例3と同様にプレハイブリダイゼーション、標識したプローブを用いたハイブリダイゼーションを行い、このフィルターを洗浄した。このフィルターを乾燥後、X線フィルムに密着させて感光させ、黒く感光したスポットに対応するファージのプラークを分離した。この分離したプラークのファージを上記と同様の方法で大腸菌に感染させてプラークとし、フィルターに写して再びハイブリダイゼーションを行い、確認を行ったところ、12株のファージが選択できた。【0026】このファージの懸濁液を用い、上記のNQE-11及びNQE-12を用いPCRを行ったところ、8株に320bpのDNA断片が検出できた。そこでλ-ZAPRIIファージキットの取り扱い説明書に従って、2株についてファージミドを調製した。【0027】(実施例5)調製した2株のファージミドDNAを用いて、デカプレニル2燐酸合成酵素の遺伝子のDNA塩基配列を(実施例1)と同様の方法で配列決定した。挿入DNA断片のうちの、約1.6kbのDNAについてその塩基配列を決定したが、その結果を配列表、配列番号1に示す。また、このDNA配列から予測されるアミノ酸配列を配列番号2に示した。【0028】得られた配列を、特開平10-57072に記載のGluconobacter suboxydansのデカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子と比較したところ、アミノ酸配列では、約47%、DNA配列では約60%の相同性を有していた。図3、図4および図5にその結果を示す。また、特開平9-173076に記載のSchizosaccharomyces pombe由来のデカプレニル二燐酸合成酵素と比較したところ、アミノ酸では30%、DNAでは46%の相同性を有していた。【0029】(実施例6)調製したファージミドよりデカプレニル2燐酸合成酵素をコードする遺伝子部分のみを切り出す為、合成DNAプライマー NQE-22(5'-AGTCAAGCTTCAGCTCACCCGGTCGATC-3'の配列を持つ)及びNQE-23(5'-AGCTCATATGATACCGCTGGAAGACAGC-3'の配列を持つ)を用いて実施例3と同様にPCRを行い、制限酵素NdeI及びHindIIIで切断した後、発現用ベクターpUCNT(WO94/03613に記載)に挿入してデカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子の発現ベクター、pQAD1を作製した。得られた発現ベクター、pQAD1の制限酵素地図を図1に示す。なお、DPSとは、デカプレニル2燐酸のコード領域を意味する。【0030】(実施例7)作製したデカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子の発現ベクター pQAD1を大腸菌 HB101に導入し、10mlのLB培地で37℃、一晩振とう培養し、菌を遠心分離(3000回転、20分間)で集めた。【0031】この菌体を1mlの3%硫酸水溶液に懸濁し、120℃、30分間熱処理後、2mlの14%水酸化ナトリウム水溶液を添加して更に120℃、15分間熱処理した。この処理液に3mlのヘキサン・イソプロパノール(10:2)を添加して抽出し、遠心分離の後、その有機溶媒層1.5mlを分離し、減圧条件で溶媒を蒸発させて乾固した。これを0.5mlのエタノールに溶解し、その20μlを高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製、LC-10A)により分析した。分離には逆相カラム(YMC-pack ODS-A, 250×4.6 mm, S-5μm,120A)を用い、エタノール・メタノール(2:1)を移動相の溶媒として使用して分離させ、275nmの波長の吸光度で生成したコエンザイムQ10を検出した。結果を図2に示した。図2に示すように、デカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子を導入して発現させることによって、組換え大腸菌では、大腸菌が本来生産しないコエンザイムQ10を、生産するようになったことが分かった。【0032】得られた組換え大腸菌株Escherichia coli HB101 pQAD1は通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に平成10年10月1日に寄託した(受託番号FERM BP-6538)。【0033】【発明の効果】コエンザイムQ10の生合成に関するキー酵素、デカプレニル2燐酸合成酵素をコードする遺伝子をRhizobiaceae科の細菌より単離し、配列決定を行った。また、これを大腸菌に導入して発現させることに成功した。本発明の方法を用いることにより医薬品等として用いられているコエンザイムQ10を効率的に製造することができる。【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】 デカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子を持つプラスミド、pQAD1の制限酵素地図を示す。【図2】 デカプレニル2燐酸合成酵素遺伝子を導入した組換え大腸菌において、生産されたコエンザイムQ10を高速液体クロマトグラフィーによって検出したチャートを示す。 配列番号1に記載のDNA、またはこの配列に対し1または複数の塩基の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素をコードするDNA。 配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの配列に対して1または複数のアミノ酸の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコード化するDNA。 配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの配列に対して1または複数のアミノ酸の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素活性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質。 配列番号1に記載のDNA、またはこの配列に対し1または複数の塩基の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素をコードするDNAを宿主微生物へ導入し、該宿主微生物を培養する工程を含む、コエンザイムQ10の製造方法。 配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの配列に対して1または複数のアミノ酸の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコード化するDNAを宿主微生物へ導入し、該宿主微生物を培養する工程を含む、コエンザイムQ10の製造方法。 宿主微生物がEscherichia coliである、請求項4または5記載の方法。 Escherichia coli HB101 pQ AD1 (FRPM BP-6538)を培養することを含む、請求項6記載の方法。 配列番号1に記載のDNA、またはこの配列に対し1または複数の塩基の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素をコードするDNAを含有する、発現ベクター。 配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの配列に対して1または複数のアミノ酸の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコード化するDNAを含有する、発現ベクター。 発現ベクターpUCNTにDNAを導入してなる、請求項8または9記載の発現ベクターpQAD1。 配列番号1に記載のDNA、またはこの配列に対して1または複数の塩基の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素をコードするDNAにて形質転換された、宿主微生物。 配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの配列に対して1または複数のアミノ酸の欠失、追加、挿入を有し、デカプレニル2燐酸合成酵素活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコード化するDNAにて形質転換された、宿主微生物。 Escherichia coliを形質転換して得られる、請求項11または12記載の微生物。 Escherichia coli HB101 pQAD1 (FERM BP-6538)である、請求項13記載の微生物。