生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_酸性染毛料組成物
出願番号:1999029476
年次:2007
IPC分類:A61K 8/34,A61K 8/73,A61K 8/81,A61K 8/55,A61Q 5/10


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水谷 清二 JP 3916194 特許公報(B2) 20070216 1999029476 19990208 酸性染毛料組成物 ホーユー株式会社 000113274 北川 治 100097733 水谷 清二 20070516 A61K 8/34 20060101AFI20070419BHJP A61K 8/73 20060101ALI20070419BHJP A61K 8/81 20060101ALI20070419BHJP A61K 8/55 20060101ALI20070419BHJP A61Q 5/10 20060101ALI20070419BHJP JPA61K8/34A61K8/73A61K8/81A61K8/55A61Q5/10 A61K 8/00 REGISTRY/CA(STN) 特開平09−104611(JP,A) 特開平09−263521(JP,A) 特開平08−020518(JP,A) 化粧品原料辞典,日光ケミカルズ株式会社,1991年11月29日,p.364 化粧品ハンドブック,日光ケミカルズ株式会社,1996年11月 1日,p.572 2 2000229820 20000822 8 20050928 川口 裕美子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、染色性に優れ、染料および粘度の安定性に優れ、かつ毛髪に適度な弾力を与える酸性染毛料に関するものである。【0002】【従来の技術】酸性染料を用いた酸性染毛料は液性が酸性であるため、酸化染料を用いた酸化染毛剤と比較して毛髪の損傷が少なく、また安全性や簡便性に優れるため、広く用いられている。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在市販されている酸性染毛料は、染料を毛髪に浸透させるための促進剤としてベンジルアルコールが用いられているため、十分な染色性を得ることが困難であった。また、アルカリ性の酸化染毛剤より毛髪のダメージは少ないが、仕上がり時に毛髪がボリュームダウンするという課題がある。【0004】一方、これら酸性染毛料は、通常増粘剤を用いて適度な粘度に調整されるが、長期間の保存に耐える粘度安定性の良い酸性染毛料がなかったため、製造直後は塗布に適した粘度であっても長期間保管されていたものは粘度が低下して液状となったり、ゲル化により粘度が上昇して堅くなり、いずれも毛髪への塗布に適さない粘度になってしまうという課題があった。そのため操作性が悪くなり、通常でさえ毛髪へ塗布する際に染毛液が地肌についたり、塗布後に染毛液が地肌に垂れ落ちたりすると、色素が染着して落ち難く、いつまでも残ってしまうという酸性染毛料の課題を助長することがあった。【0005】さらには、酸性染毛料に使用される酸性染料は比較的日光に弱く、窓辺などの直射日光が当たりやすい場所に長期間保管すると、染料が分解して色が変わったりあるいは消失してしまうことがあり、保存容器の素材および保管状態に細心の注意を払わなければならなかった。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記実状を鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を組み合わせ、適度な粘度とpHで作用させることにより、染色性に優れ、かつ毛髪に適度な弾力を与え、酸性染料を安定に配合でき、粘度の経時変化が少ない酸性染毛料組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】 すなわち本発明は、(a)酸性染料、(b)フェノキシイソプロパノール、(c)以下の(c−1)〜(c−3)から選ばれるいずれかの水溶性高分子化合物:(c−1)ヒドロキシエチルセルロース、(c−2)ヒドロキシエチルセルロースと、カルボキシメチルセルロース又はその塩との併用、(c−3)カルボキシビニルポリマー、および(d)ヒドロキシエタンジホスホン酸および/またはその塩を含有し、粘度が3000〜30000cpsに調整され、pHが2〜5である酸性染毛料組成物を提供するものである。【0008】本発明に用いられる成分(a)酸性染料としては、化粧品に用いられるものであれば特に制限はなく、例えばニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料などが挙げられる。【0009】具体的には、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)により定められた酸性染料である赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色220号、赤色227号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、橙色205号、橙色207号、黄色202号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号などが挙げられる。【0010】成分(a)の配合量は、0.005〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜3重量%である。直接染料の量が0.005重量%より少ない場合には、染毛効果が不十分となり、逆に5重量%より多い場合には、それ以上の染着効果が期待できず、頭皮や手指への染着が著しくなるばかりか、染毛後の色落ちも多くなる。【0011】本発明に用いられる成分(b)フェノキシイソプロパノールは、酸性染料及びアミノ酸の毛髪への浸透剤として優れた成分であり、その配合量は、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量%である。0.1重量%未満であると浸透効果が弱く、30重量%を越えてもそれ以上の効果を期待できない。【0012】本発明に用いられる成分(c)水溶性高分子化合物は、組成物を増粘させ、操作性を良くし、毛髪への適度な付着性をもたせるのに必要な成分であり、化粧品に用いられうるものであれば特に制限はない。しかし、後に述べるヒドロキシエタンジホスホン酸およびその塩の効果を期待すると、セルロース系水溶性高分子化合物や合成系水溶性高分子化合物が好ましく、また施術後の水洗時の毛髪の感触やスタイリングのしやすさを考慮するとセルロース系水溶性高分子化合物やガム系水溶性高分子化合物が好ましい。【0013】これら水溶性高分子化合物の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースとその塩類等のセルロース系水溶性高分子化合物、カードラン、プルラン、ペクチン、トラガントガム、ジェランガム、キサンタンガムおよびアラビアガム等のガム系水溶性高分子化合物、でんぷん類、デキストリンおよびカルボキシメチルでんぷん等のでんぷん系水溶性高分子化合物、アルギン酸ナトリウム等の天然系水溶性高分子化合物、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸とその塩類、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン等の合成系水溶性高分子化合物が挙げられる。【0014】これら水溶性高分子化合物の中から単独あるいは複数組み合わせて調製される組成物の粘度は、3000〜30000cpsの範囲が好ましい。この範囲をはずれた場合は、本発明の組成物の操作性が悪くなり、毛髪に対し均一かつ充分に保持されないため、結果として染色性が低下したり、地肌をひどく汚したりすることがある。従って、その配合量は、上述のように組成物の粘度を3000〜30000cpsに調整する量であることが重要であり、特に限定されない。【0015】本発明に用いられる成分(d)ヒドロキシエタンジホスホン酸およびその塩は通常キレート剤として使用される成分である。この成分を配合することにより、染料の日光安定性が向上し、粘度の経時変化が少なくなる。その配合量は0.005〜5重量%が好ましい。0.005重量%よりも少ないと十分な安定性が得られず、5重量%を越えてもそれ以上の効果は得られないので経済的でない。なお、より好ましくは0.02〜3重量%であり、0.02重量%以上配合することにより、より優れた安定性が得られる。しかし3重量%を越えた場合は、安定性の上昇効果が少なくなる。なお、塩としては、例えば四ナトリウム塩や四カリウム塩が用いられる。市販品としてはヘンケルジャパン株式会社のターピナルSL,4NL、ライオン株式会社のフェリオックス115,116などが挙げられる。【0016】本発明の酸性染毛料による色素や粘度の安定化効果には、ヒドロキシエタンジホスホン酸のキレート作用が影響していると考えられるが、その他のキレート剤、例えばエデト酸とその塩類やエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウムなど一般に広く使用されているものでは、本発明の効果を発揮しない。これらのことから、キレート作用の他に、ヒドロキシエタンジホスホン酸特有の何らかの作用が関与すると思われるが、詳細は不明である。【0017】本発明の組成物はpH2〜5に調整される。pHが2より低いと、毛髪が傷むおそれがあり、またpHが5を越えると染色性が低下する。pHの調整は通常化粧品に使用される酸であれば特に限定されない。例えば、有機酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、レブリン酸、シュウ酸などが挙げられる。【0018】さらに、本発明の酸性染毛料組成物に成分(e)アミノ酸もしくはその塩を配合すると、毛髪に適度な弾力を与えることができ、仕上がりの風合いが良くなりスタイリングしやすくなる。その配合量は0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。0.05重量%より少ないと、毛髪に適度な弾力を与えるたり、仕上がりの風合いを良くする効果が期待できず、また5重量%より多くてもそれ以上の効果は得られず経済的でない。アミノ酸としては、酸性アミノ酸であるグルタミン酸、アスパラギン酸もしくはこれらの塩が効果の点でより好ましい。【0019】また、本発明の酸性染毛料組成物は、系の安定性、pH範囲、粘度範囲、使用感、染色性を損なわない範囲であれば、化粧品に配合可能な油性成分、各種界面活性剤、保湿剤、防腐剤、コンディショニング剤、香料などを配合することができる。【0020】本発明の酸性染毛料組成物の剤型としては、主にジェル状であると、充分な効果を得ることができる。またクリーム状や乳液状とすることもできるが、乳化物の場合、染色性、堅牢性および色素安定性は充分に効果的であるが、粘度安定性に寄与する効果は小さくなる。【0021】こうして得られた酸性染毛料組成物は、クシやブラシなどの適当な道具を用いて毛髪に塗布して、室温もしくは加温にて5〜40分放置した後、洗髪して乾燥すればよい。【0022】【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。【0023】【実施例】実施例1〜2及び比較例1〜4表1に示す組成の、実施例1〜2及び比較例1〜4の酸性染毛料組成物を常法により調製した。比較例1は従来の酸性染毛料の最も基本的な処方である。これらを用いて染色性、毛髪の弾力および組成物の経時安定性について評価した。試験方法及び評価基準を以下に示す。【0024】(1)染色性の評価試験毛束(白髪まじり人毛及び山羊毛約2g)に、10gの酸性染毛料組成物を均一に塗布し、室温にて20分間放置した。次いで、その毛束を通常のシャンプーで洗浄し、水で十分に濯いだ後に乾燥した。この毛束について、下記の基準により評価した。○;比較例1に比べ良好△;比較例1と同程度×;比較例1より悪い【0025】(2)毛髪の弾力の評価試験毛束(人毛4g、約20cm)に、20gの酸性染毛料組成物を均一塗布し、室温にて20分間放置した。次いで、その毛束を通常のシャンプーで洗浄し、水で十分に濯いだ後に乾燥した。この毛束について、下記の基準により評価した。○;処理前と比較して、適度な弾力がある×;処理前と同程度【0026】(3)染料安定性各組成物をガラス瓶に充填し、実験室南側の日当たりの良い窓際に2週間放置して、染料の変化を観察した。判定は目視にて行い、以下の基準で評価した。○:変化なし△:色が薄くなる/色調が変わる×:色が消失する【0027】(4)粘度安定性各組成物をガラス瓶に充填し、50℃高温槽で1ヶ月保存した。この試験は、室温で長期間保存した時の結果を短期的に再現する方法である。この試験で、各組成物の粘度と粘質の変化を観察した。粘度はB型粘度計で測定し、保存前に対する増減を以下の基準で評価した。なお、カッコ内は操作性を示した。◎:95〜105%(操作性全く変わらず)○:70〜95または105〜150%(操作性問題なし)△:40〜70または150〜250%(操作性低下、要注意)×:40%未満または250%を超える(操作性悪し)結果を表1に示す。【0028】【表1】【0029】本発明の実施例1〜2において、染色性および染料、粘度安定性のいずれもが優れた半永久染毛料組成物が得られた。一方、比較例1〜4の結果から明らかなように、ベンジルアルコールではフェノキシイソプロパノールほどの染色性を実現できず、またヒドロキシエタンジホスホン酸を含有しない時は保存試験で粘度と染料の安定性を確保することができず、他のキレート剤を含有したときには、染料の安定性に若干変化があったものの、やはり粘度安定性を確保することはできなかった。さらにアミノ酸を配合することにより、毛髪に適度な弾力を与えることができた。【0030】実施例3及び比較例5〜6表2に示す組成の、実施例3及び比較例5〜6の酸性染毛料組成物を常法により調製した。これらを用いて操作性を評価した。結果を表2に示す。【0031】【表2】【0032】実施例3及び比較例5〜6は水溶性高分子化合物の量以外は全て同じ組成であり、染色性、毛髪の弾力性および色素経時安定性は良好な結果を示した。しかし各組成物の粘度が違うため、比較例5は流動性がありすぎて操作中に垂れ落ちを起こしやすく、頭皮を汚してしまっていた。また比較例6は逆に粘度が高すぎるため伸びが悪く、毛髪に均一に塗布することが困難となり、ムラ染まりを起こしていた。【0033】さらに比較例5〜6では、粘度経時安定性に対するヒドロキシエタンジホスホン酸の効きがやや悪く、比較例5は液化の傾向が、比較例6ではゲル化の傾向が見られ、適度な粘度に調整することが本発明の要件であることが示された。【0034】【0035】上記組成の実施例4とヒドロキシエタンジホスホン酸を除いた比較例7を常法により調製し、実施例1と同様に染色性及び毛髪の弾力の評価を行ったところ、実施例1と同様の良好な結果が得られた。保存安定性試験では、実施例4の場合、粘度は高分子化合物によるものより乳化による要因が大きく、比較例7と粘度変化に差はなく良好であったが、色素の安定性は実施例4が良好であった。【0036】【発明の効果】本発明の酸性染毛料組成物によれば、染色性に優れ、かつ毛髪に適度な弾力を与え、酸性染料を安定に配合でき、粘度の経時変化が少ない酸性染毛料組成物を提供することができる。 次の成分(a)〜(d):(a)酸性染料、(b)フェノキシイソプロパノール、(c)以下の(c−1)〜(c−3)から選ばれるいずれかの水溶性高分子化合物:(c−1)ヒドロキシエチルセルロース、(c−2)ヒドロキシエチルセルロースと、カルボキシメチルセルロース又はその塩との併用、(c−3)カルボキシビニルポリマー、および(d)ヒドロキシエタンジホスホン酸および/またはその塩を含有し、粘度が3000〜30000cps、pHが2〜5に調整されたことを特徴とする酸性染毛料組成物。 さらに、成分(e):(e)アミノ酸および/またはその塩を含有してなることを特徴とする請求項1記載の酸性染毛料組成物。


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