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タイトル:特許公報(B2)_光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの除去方法
出願番号:1999002410
年次:2007
IPC分類:C03B 37/012,F23G 7/00,G01N 21/41,G02B 6/00


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鬼頭 毅彦 京極 毅 長瀬 宏記 相川 晴彦 JP 3893784 特許公報(B2) 20061222 1999002410 19990108 光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの除去方法 住友電気工業株式会社 000002130 中野 稔 100102691 鬼頭 毅彦 京極 毅 長瀬 宏記 相川 晴彦 20070314 C03B 37/012 20060101AFI20070222BHJP F23G 7/00 20060101ALI20070222BHJP G01N 21/41 20060101ALI20070222BHJP G02B 6/00 20060101ALI20070222BHJP JPC03B37/012 ZF23G7/00 MG01N21/41 AG02B6/00 356A C03B 37/00-37/16 C03B 23/00-35/26 特開昭62−297239(JP,A) 特開平06−123672(JP,A) 特開平11−029336(JP,A) 4 2000203863 20000725 6 20040322 山崎 直也 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、屈折率分布測定等において光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの除去方法に関する。【0002】【従来の技術】火炎反応によって生成したガラス微粒子を種棒の先端又は周囲に堆積させて多孔質母材を形成し、その多孔質母材を脱水、焼結して透明化し、その後必要に応じて延伸してプリフォームとし、プリフォームの端部を加熱溶融して線引きすることによって光ファイバを製造している。また、前記プリフォームと同様にして製造した透明ガラス体を出発材とし、その出発材の周囲に更に火炎反応によって生成したガラス微粒子を堆積させて多孔質母材とし、その多孔質母材を脱水、焼結して透明化し、その後必要に応じて延伸して大型のプリフォームを作り、そのプリフォームの端部を加熱溶融して線引きし光ファイバとすることも行われている。【0003】また、これらの製造工程中、透明ガラス体となった各工程段階において、中間製品の品質を確認したり、後工程の製造条件を決定したりするため、透明ガラス体の屈折率分布を測定することが行われている。ここでは、脱水、焼結して透明化した透明ガラス体、又は延伸して出来た透明ガラス体等多孔質母材を焼結して得られる光ファイバ製造用の透明ガラス体を総称して光ファイバ母材と呼ぶ。【0004】光ファイバ母材の屈折率分布の測定は、光ファイバ母材をマッチングオイル中に浸漬して、光ファイバ母材の側面から測定光を照射して光ファイバ母材を透過した透過光の偏向角を測定することによって行なう。なお、マッチングオイルは、炭化水素系のオイル等からなり光ファイバ母材の表面屈折率と屈折率整合を行なうもので、測定後洗剤洗浄、水洗洗浄等の洗浄を行って除去している。なお、洗浄後は必要に応じて乾燥する。【0005】【発明が解決しようとする課題】屈折率分布測定の終了した光ファイバ母材は、次工程の延伸工程あるいは線引き工程に供されるが、そこでは光ファイバ母材はリングヒータ等によって高温に加熱される。先の屈折率分布測定において光ファイバ母材に付着したマッチングオイルが完全に洗浄除去されずに光ファイバ母材に付着したまま残留していると、延伸工程、線引き工程の加熱によって炭化し、それが光ファイバ母材に取り込まれると黒変、断線、外径変動等の問題が発生する。【0006】光ファイバ母材は、種棒の先端に成長させた円柱状の多孔質母材を加熱焼結して透明化することによって作られるが、光ファイバ母材の種棒近くの端部側の一部には多孔質母材が未焼結のまま残っていることがある。この未焼結部分には微細な空洞が無数に形成されたまま残留しているため、マッチングオイルがその中に沁み込み、洗浄によって完全に除去することは難しい。従って、この光ファイバ母材の未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルが、加熱によって炭化して、不具合をもたらすことがある。【0007】本発明は、光ファイバ母材の屈折率分布測定等によって光ファイバ母材に付着したマッチングオイルを完全に除去し、次工程において光ファイバ母材が加熱を受けても支障のないようにするものである。【0008】【課題を解決するための手段】本発明の光ファイバ母材のマッチングオイル除去方法は、光ファイバ母材に火炎を吹き付けて、該光ファイバ母材の屈折率分布測定等によって光ファイバ母材に付着したマッチングオイルを火炎で焼却除去するものである。特に、光ファイバ母材の未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルは洗浄では除去し難いので、光ファイバ母材の表面に付着したマッチングオイルを洗浄除去する場合も、その後未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルを未焼結部分に火炎を吹き付けて焼却除去する。【0009】また、マッチングオイルの焼却除去に使用する火炎は、温度がそれほど高いものを必要とせず、また光ファイバ母材の未焼結部分を高熱火炎で長時間炙ることは光ファイバ母材と種棒との繋がり部分の強度を劣化させる危険性があるので、比較的酸素の少ない火炎を使用して、高熱火炎にならないようにすることが望ましい。例えば、バーナに供給する水素と酸素の割合をモル比で、水素/酸素を4以上にする。更に、バーナに水素のみを供給して空中の酸素を使って水素を燃焼させて火炎とすることが好ましい。【0010】【発明の実施の形態】図1は、本発明の光ファイバ母材のマッチングオイル除去方法を説明する正面図であって、1は光ファイバ母材、1aは未焼結部分、2は種棒、3はバーナ、3aは火炎である。屈折率分布測定のために図示しないマッチングオイルの槽に浸漬された光ファイバ母材1は、マッチングオイル槽から取出して光ファイバ母材の表面に付着したマッチングオイルを布等を使って拭い去る。【0011】それだけでは、光ファイバ母材1に付着したマッチングオイルは薄く光ファイバの表面に付着した状態で残っており、更に未焼結部分1aにはマッチングオイルは沁み込んで残留しているので、バーナ3で発生させた火炎3aでもって光ファイバ母材又は火炎を移動させながら光ファイバ母材の全長を炙る。この時、光ファイバ母材を軸回りに回転させて光ファイバ母材の周囲を均一に炙る。また、未焼結部分では約30分程度火炎を停止させて、光ファイバ母材を回転させながら、火炎でもって炙り、未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルが完全に燃え尽きるのを確認する。【0012】また、屈折率分布測定を行なった後、洗浄によって光ファイバ母材の表面のマッチングオイルを除去して、光ファイバ母材の未焼結部分のみを火炎によって炙り、未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルを除去することも出来る。【0013】マッチングオイルの焼却除去に使用する火炎は、種棒2と光ファイバ母材1の境界部の強度を劣化させないようにするため、酸水素火炎の場合は、バーナへ供給する酸素量をモル比で水素量の1/4以下にしてあまり高温にならないようにする。また、バーナへ供給するガスを水素ガスのみとし、空中の酸素を使って燃焼させることも高熱火炎としないために有効である。また火炎発生のために、メタン、ブタン等の炭化水素ガスも使用することが出来るが、これらの場合は酸素を多く供給して炭素を十分に酸化させ、炭化による煤が発生しないようにする。【0014】【実施例】実施例1として、光ファイバ母材を炭化水素系オイルからなるマッチングオイルに浸漬して屈折率分布を測定した後、次のようにしてマッチングオイルを除去した。光ファイバ母材の表面に付着したマッチングオイルを布で拭った後、水素/酸素=4の割合でバーナに供給して火炎を発生させ、その火炎で光ファイバ母材の全長を炙った。その後、その光ファイバ母材を使って線引きし、直径125μmの光ファイバを得たが、光ファイバの伝送特性は良好であった。また、線引き中、断線等の事故は発生しなかった。また、線引き後、線引き炉の中を観察したが、炭化による煤等に異常は見られなかった。【0015】実施例2として、光ファイバ母材を炭化水素系オイルからなるマッチングオイルに浸漬して屈折率分布を測定した後、次のようにしてマッチングオイルを除去した。光ファイバ母材を洗剤洗浄、水洗洗浄後乾燥して、光ファイバ母材の表面に付着したマッチングオイルを除去した。その後、水素のみをバーナに供給して発生させた火炎で、光ファイバ母材の未焼結部分を約30分間炙った。次にその光ファイバ母材を延伸したが、延伸で出来た透明ガラス体の表面には異常は見られなかった。また、延伸炉の炉内を観察したが煤等の付着は見られなかった。次にその延伸した透明ガラス体の表面に更にガラス微粒子を堆積させて多孔質母材とし、焼結して全体を透明ガラス化して、続いて線引きを行い直径125μmの光ファイバを得たが、光ファイバの伝送特性は良好であった。また、線引き中、断線等の事故は発生しなかった。また、線引き後、線引き炉の中を観察したが、炭化による煤等に異常は見られなかった。【0016】比較例1として、光ファイバ母材を炭化水素系オイルからなるマッチングオイルに浸漬して屈折率分布を測定した後、光ファイバ母材の表面を布で拭うことによってマッチングオイルを拭き取った。その後、その光ファイバ母材を使って、線引きして直径125μmの光ファイバを得たところ、線引き途中で断線あるいは、外径異常が発生した。また、線引き後、線引き炉の中を観察したが、炉の壁面に黒い煤の付着が見られた。【0017】比較例2として、光ファイバ母材を炭化水素系オイルからなるマッチングオイルに浸漬して屈折率分布を測定した後、光ファイバ母材を洗浄して光ファイバ母材の表面に付着したマッチングオイルを除去した。そして、火炎による処理はしないで、光ファイバ母材を延伸炉に挿入して延伸を行なった。延伸は光ファイバ母材の長手方向に種棒の反対側から行なったが、種棒近くの未焼結部分が延伸加熱を受ける段階で炉内に黒煙が発生するのが見られた。また延伸後、透明ガラス体の表面を観察したところ、黒色の煤状物質が透明ガラス体の未焼結部分の近くに付着しており、その部分は線引きには使えないものであった。また、延伸炉の内部を観察したところ、炉の壁面に黒い煤の付着が見られた。【0018】【発明の効果】 本発明の光ファイバ母材のマッチングオイル除去方法は、未焼結部分を含む光ファイバ母材に火炎を吹き付けて、屈折率分布測定等によって光ファイバ母材の未焼結部分に付着したマッチングオイルを火炎で焼却除去するものであるので、光ファイバ母材の表面だけでなく、洗浄では除去し難い光ファイバ母材の未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルまで、完全に除去することが可能である。また、光ファイバ母材を洗浄した後、未焼結部分にのみ火炎を吹き付けて未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルを焼却除去することでも、マッチングオイルを完全除去することが出来る。【0019】また、マッチングオイルの焼却除去に使用する火炎として、水素と酸素の割合をモル比で水素/酸素を4以上として酸素が比較的少ないガスをバーナに供給して発生させたものを使用すれば、火炎の温度を比較的低くすることが出来るので、光ファイバ母材と種棒との繋がり部分の強度を劣化させる危険性がない。また、バーナに水素のみを供給して空中の酸素を使って水素を燃焼させて火炎とすることでも火炎の温度を下げることが出来、光ファイバ母材と種棒との繋がり部分の強度劣化を防止することが出来る。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の光ファイバ母材のマッチングオイル除去方法を実施しているところを示す正面図である。【符号の説明】1:光ファイバ母材1a:未焼結部分2:種棒3:バーナ3a:火炎 光ファイバ母材の未焼結部分に火炎を吹き付けて、該光ファイバ母材の未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルを焼却除去することを特徴とする光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの除去方法。 光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの内、光ファイバ母材の表面に付着したマッチングオイルを洗浄にて除去し、その後光ファイバ母材の未焼結部分に沁み込んだマッチングオイルを該未焼結部分に吹き付けた火炎で焼却除去することを特徴とする光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの除去方法。 前記火炎は、バーナへモル比で水素/酸素が4以上となるように水素と酸素を供給して燃焼させることによって生ずるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの除去方法。 前記火炎は、バーナへ水素のみを供給して燃焼させることによって生ずるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ファイバ母材に付着したマッチングオイルの除去方法。


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