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タイトル:特許公報(B2)_ブロメラインの成分である単離されたタンパク質、同タンパク質を含む治療剤及び製薬組成物
出願番号:1998537424
年次:2011
IPC分類:C07K 14/415,A61K 38/46,A61K 39/39,A61P 37/04,C12N 9/50


特許情報キャッシュ

トレーシー リーハン ミノット クリスチャン エングワーダ ケイト ピーク JP 4651756 特許公報(B2) 20101224 1998537424 19980225 ブロメラインの成分である単離されたタンパク質、同タンパク質を含む治療剤及び製薬組成物 サランティス プロプライエタリィ リミテッド 510050225 SARANTIS PTY LTD. 恩田 博宣 100068755 恩田 誠 100105957 本田 淳 100142907 池上 美穂 100149641 トレーシー リーハン ミノット クリスチャン エングワーダ ケイト ピーク GB 9703827.7 19970225 GB 9703850.9 19970225 GB 9704252.7 19970228 GB 9706119.6 19970325 20110316 C07K 14/415 20060101AFI20110224BHJP A61K 38/46 20060101ALI20110224BHJP A61K 39/39 20060101ALI20110224BHJP A61P 37/04 20060101ALI20110224BHJP C12N 9/50 20060101ALI20110224BHJP JPC07K14/415A61K37/54A61K39/39A61P37/04C12N9/50 C12N 15/00 - 15/90 A61K 39/00 - 39/44 A61K 38/00 - 38/58 A61P 37/04 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) BIOTECHABS(STN) 国際公開第96/000082(WO,A1) 特開平08−038173(JP,A) 特表平08−503691(JP,A) J.Protein Chemistry, 1995年, Vol.14, Mo.1, p.41-52 J.Biochem., 1985年, Vol.98, p.219-228 Planta Medica, 1988年, Vol.54,No.5, p.377-381 J.Immunol., 1992年, Vol.149, No.12, p.3809-3816 8 GB1998000591 19980225 WO1998038319 19980903 2001513635 20010904 21 20050224 水落 登希子 本発明はブロメラインの一画分に関する。特に、本発明は新規なタンパク質を含みそして免疫調節活性及び抗腫瘍活性を有するブロメラインの一画分に関する。ステム・ブロメライン(ブロメライン)は植物ブロメリアセーの組織に見出されるタンパク分解酵素に対する集合的名称である。それは、パイナップル植物(アナナス・コモスス)の茎から誘導される種々の部分の混合物である。ブロメラインは少なくとも5個のタンパク分解酵素を含むが、酸性ホスファターゼやペルオキシダーゼなどの非−タンパク分解酵素をも含むことが知られている。それはアミラーゼやセルラーゼ活性をも含んでいる。さらに、種々の他の成分が存在する。ブロメラインは炎症を含む種々の状態の治療に従来から使用されてきており、特に下痢の治療に使用されてきた。感染性下痢の治療におけるブロメラインの使用はWO−A−9301800号に記述されており、ここでは、ブロメラインがタンパク分解により病原体に対する小腸の受容体を破壊することにより作用すると示唆されている。そして、WO−A−8801506号にも記述されており、これはブロメラインが小腸受容体から病原体を分離することを教示する。タウシックら、Planta Medica, 1985, 538-539 及びマウラーら、Planta Medica, 1988, 377-381は両者とも、ブロメラインが腫瘍の成長を阻止するのに有用でありうることを示唆する。米国特許5,223,406号、DE−A−4302060号及びJP−A−59225122号も癌の治療におけるブロメラインの使用を開示する。米国特許第5,223,406号はブロメラインが腫瘍壊死因子(TNF)を誘導することができることを教示するが、DE−A−4302060号はブロメラインが腫瘍表面タンパク質CD44の構造的修飾により転移を防止することができることを教示する。WO−A−9400147号では、タンパク分解酵素、特にブロメラインが分泌を阻害することができることを証明する種々の実験が記述された。この出願はブロメラインが毒素結合活性を減少させることができ、そして熱不安定性毒素(LT)やコレラ毒素(CT)などの毒素さらには熱安定性毒素(ST)などの毒素の分泌効果を阻害することができることをも開示する。これは、STがLTやCTとは極めて異なる作用様式を持つという事実にもかかわらずである。これらの観察はブロメライン混合物の一つの成分である、ステムブロメラインプロテアーゼが環状ヌクレオチド経路を調節することができるようにみえるという事実により説明された。そしてこれはWO−A−9500169号によりさらに論じられた。さらに、ブロメラインがカルシウム依存経路により惹起される分泌を阻害することも証明された。WO−A−9600082号も、ブロメラインに関係し、そして粗ブロメラインが成長にとって重要なシグナル発信経路、特にインターロイキン−2(IL−2)、血小板由来成長因子(PDGF)及びインスリン様成長因子(IGF)などの成長因子の生産に導くシグナル発信経路を妨害することができることを開示する。この文書はシグナル発信経路を阻止するその能力の結果、ブロメラインが抗癌剤として作用することができることを教示する。さらに、ブロメラインは治療する細胞のタイプによりそしてその細胞が既に活性化されたか否かにより、免疫抑制剤か又は免疫刺激剤として使用することができる。先行技術から、ブロメラインは種々の異なる生理学的効果を有する混合物であることは明らかである。ブロメライン混合物の成分の全てが特性決定された訳ではなく、従って、本発明者らがその活性を記述してきたステムブロメラインプロテアーゼを除き、どの成分がブロメラインの種々の異なる効果のどれに対して責任があるのかは明らかでない。これは、勿論、ブロメライン混合物を薬物として投与すべきときの主要な不利益である。何故なら、ブロメラインの一つの成分は望ましい効果を与えうる一方、ブロメライン混合物の他のある成分の作用から生ずる望ましくない副作用が十分にありうるからである。従って、もし特定の医薬としての活性を生ずるブロメラインの個々の成分が単離され、副作用の可能性を減少させるように、別々に投与されうるならば、有益であろう。本発明はブロメライン混合物から単離されたそして免疫調節活性及び抗ガン活性に対し少なくとも部分的に責任があるように思われる一つの特定の画分に関する。本発明のその画分は、一般に行われている方法、例えばクロマトグラフィーにより、ブロメライン混合物から単離することができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)はこの目的に適しており、ブロメラインタンパク質の特に良好な分離は、SP−セファロースなどのカラム充填剤を用いるファスト・プロテイン・リキッド・クロマトグラフィー(FPLCTM)により達成することができる。実施例でより詳細に記述するように、300mlを越える酢酸バッファー中の0〜0.8M塩化ナトリウムの直線勾配を用いるSP−セファロース上のクロマトグラフィーで、本発明のタンパク質は主要なステムブロメラインプロテアーゼのピーク(カラムから溶出する第四のピーク)の立ち上がり末端に現れるカラムから溶出する第三のピークであった。本発明の第1の側面では、SDS−PAGEで測定したとき約27.45kDaの分子量を持つブロメラインの一画分であって、下記の方法、すなわちi. 0.1mMのEDTAナトリウムを含むpH5.0の20mM酢酸バッファーにブロメラインを溶解し、ii. SP−セファロースHP上、300mlを越える酢酸バッファー中の0〜0.8M塩化ナトリウムの直線勾配で溶出するファスト・プロテイン・リキッドクロマトグラフィーによりブロメラィンのその成分を分離し、そしてiii. 最初の主要なステムブロメラインプロテアーゼピークの立ち上がり末端に現れる、カラムから溶出する第三のピークに対応する画分を集める方法により取得することができるブロメラインの一画分が提供される、本発明者らによりCCZと名付けられた本発明のブロメライン画分は、ブロメラインの免疫刺激活性の大部分に責任がある。何故なら、ステムブロメラインプロテアーゼ(SBP)、コモサイン及びアナナインなどの他の既知の成分は免疫刺激活性をほとんど持たないことが見出されており、そして実際には、免疫抑制剤として作用しうるからである。本発明者らによりCCUと名付けられたブロメライン画分は、これもブロメラインに含まれるF9(ガルビンら、Int. J. of Oncology, (1994)5, 197-203)が持つように、ある免疫調節活性を持つことが本発明者らにより発見された。また、それは粗ブロメラインよりも遥かに少ない数の成分を持つから、本発明のブロメライン画分は薬剤として使用されるときそう多くの副作用を持つことはないように思われ、そしてその活性はより明確に規定することができる。本発明者らはCCZ画分の主要な成分の特性を決定しそしてそのアミノ酸配列を得た。このタンパク質はCCZ画分の生物学的活性に責任があると考える。従って、本発明の第二の側面では、ブロメラインの一成分であり、SDS−PAAGEにより測定するとき約27.45kDaの分子量を持ち、等電点電気泳動により測定するとき9.7の等電点を持ちそして下記のアミノ酸配列Val Leu Pro Asp Ser Ile Asp Trp Arg Gln Lys Gly Ala Val Thr Glu Val Lys Asn Arg Glyを有するタンパク質が提供される。本発明のCCZ画分は免疫刺激剤としてそして抗癌剤として作用することができ、そして第二の側面のタンパク質はこれらの活性に責任があると考えられる。例えば、WO−A−9301800号から、ブロメライン混合物は非特異的免疫刺激剤であることが知られているが、しかしそれはブロメラインの既知の成分の一つ、多分ステムブロメラインプロテアーゼがこの活性に責任があったと従来推定されてきた。いまや、これがそうではなく、本発明のタンパク質が免疫刺激剤であって、ステムブロメラインプロテアーゼはほとんど免疫刺激活性を持っていないことが見出された。本発明のさらなる側面では、この第二の側面のタンパク質をコードする配列又はそれに相補的な配列を持つ核酸が提供される。このような核酸の配列は標準的方法を用いて決定された。本発明のさらなる側面では、ヒト用又は獣医用の薬品に使用するための本発明の第一の側面のCCZ画分又は本発明の第二の側面のタンパク質が提供される。本発明のCCZ画分の一つの使用は免疫刺激剤としてであり、従って、免疫刺激剤の調製における本発明の第一の側面のCCZ画分及び第二の側面のタンパク質の使用も提供される。こうして、CCZ画分又はその主要な成分である精製タンパク質は、免疫系が抑制されている状態の治療のための方法であって、本発明の第一の側面のCCZ画分又は第二の側面のタンパク質の有効量を患者に投与する工程を含む方法において使用することができる。免疫応答を刺激するその能力のために、ブロメラインのCCZ画分は、患者が免疫的に弱められている多くの臨床状態に使用するのにかなりの潜在能力を有する。主要な免疫欠損は遺伝的異常から生ずるが、一方二次的免疫欠損は栄養失調、感染(例えば、HIVやマラリア)、腫瘍(例えば、リンパ腫、骨髄腫、及びその他のもの)、外傷(例えば、火傷、創傷、手術)、医学的処置(例えば、ステロイド、シクロスポリン及びシクロホスファミドなどの薬物での)、タンパク質損失(下痢や火傷などでの)、糖尿病及び老齢の結果として生じうる。免疫欠損はウイルス、原生動物、細菌及びカビによる広い感染への感受性の増加を惹き起こしそしてそれは毎年多くの死亡と関連すると共に多くの国々で消費する健康の実質的部分の原因となっているのである。免疫応答は二つの機能的部分を持っている。すなわち、先天性免疫システムと適応性免疫システムである。病原体が身体に浸入すると、適応性免疫応答と先天性免疫応答の両方が活性化される。先天性免疫は感染体及び大部分の潜在的病原体が感染を確立する前にそれらに対する防御の第一のラインを提供する。先天性免疫の初期相の間に、適応性免疫応答が展開する。第一の防御が突破されるときは、正常にこの感染体を全滅させる感染体への特異的反応を生じさせるため適応性免疫システムを十分に展開させるべきである。本発明のブロメライン画分は適応性及び先天性の両免疫を刺激することにより免疫調節剤として作用することができる。まず、それはT細胞の活性化の増強そしてB細胞による抗体生産を増強することにより適応性免疫を高める。T細胞活性化の増強は、IL−2、IL−3、IL−4、インターフェロン−γ(IFN−γ)、顆粒球−マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)、IL−1、IL−5、IL−6、IL−10、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)及びTNF−αなどのサイトカインの生産の増加をもたらすであろう。さらに、このタンパク質は、適応性の病原体特異的免疫応答が展開するために必要な時間の間に、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞及び好中球により媒介される先天性免疫応答を促進することができる。先天性免疫応答の刺激は、T細胞応答か又はB細胞応答が十分に機能しない状態でブロメラインのCCZ画分を使用させることができる。これは上記のような多くの二次的免疫欠損で、また機能的T細胞及び/又はB細胞を欠如している重篤な複合免疫欠損患者でみられるような遺伝的異常により惹起される状態でも同様に起こりうる。本発明のブロメライン画分はT細胞サブセット分化を増強しそして選択的なT細胞サブセット不全を補償することもできる。T細胞は二つのサブ集団に分けられる。すなわち、抗体と細胞により媒介される免疫応答の両方を促進するCD4+すなわち「ヘルパー」T細胞、及び細胞を殺すCD8+すなわち「細胞障害性」T細胞である。T細胞の両グループ共多数の病原体に対する宿主の防御にとって不可欠のものであり、従って、いずれかのT細胞集団の減少は破壊的な影響を持つことができる。これはCD4+T細胞数が激減しているエイズ患者の日和見感染に対する高い感受性により例示される。CCZ画分がT細胞集団の他方が存在しないときにその一方を刺激する能力を持つことは、T細胞の一つのサブ集団が激減している状態を持つ患者、例えば、bare lymphocyte syndrome(機能的CD8+細胞を欠いている)を持つ患者、又はMHCクラスI不全(機能的CD4+細胞を欠いている)を持つ患者、又はエイズ患者で起こるような様々な二次的免疫欠損を持つ患者、を治療するためにそれを使用することができることを意味する。刺激の後に、CD4+細胞は細胞媒介性免疫応答に関与するTh1細胞か又は体液性(抗体)媒介応答の形成に関与するTh2細胞かに分化することができる。本発明のタンパク質はT細胞を刺激することが知られており、そしてTh1細胞及び/又はTh2細胞の発達に選択的に影響を与えることができる。従って、それは、Th1細胞によって生産されるサイトカイン、例えば、IL−2、IL−3、IFN−γ、TNF及びGM−CSF及び/又はTh2細胞により生産されるサイトカイン、例えば、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10及びTGF−β、により媒介される応答を刺激する可能性が高い。最後に、CCZ画分はT細胞により媒介される免疫応答を刺激する、従って、ワクチンのアジュバントとして作用する潜在能力をも持っている。免疫刺激剤としてのその使用に加えて、本発明者らはCCZ画分がインターフェロン−γにより媒介される一酸化窒素(NO)産生を増加させることができることを明らかにした。こうして、ブロメラインのCCZ画分はNO産生の増加に応答する疾病又は状態を治療するために使用することができる。NO及びその誘導体はカビ、細菌及びウイルスなどの多くの病原体に対する強力な抗微生物活性を有する。これらには、バベシア、ブルギア、クリプトスポリジウム、エンセファリトキスーン、エントアメーバ、ライシュマニア、ナエグレリア、オチョセルカ、オピストルキス、プラスモジウム、シストソマ、トキソプラスマ及びトリパノソーマを含む病原性感染症の治療に使用することもできる。NOにより影響される細菌としては、バシラス、ブルセラ、ブルクホルデリア、クロストリジウム、エーリキア、フランシセラ、クレブシエラ、レジオネラ、リステリア、ミクロコッカス、シュードモナス、リケッチヤ、サルモネラ、スタフィロコッカス、イェルシニア、クラミジア、特にシー.トラコマチス、及びエム.アビウム、エム.レプレ及びエム.ツバーキュロシスなどのミコバクテリアが挙げられる。NOは、アスペルギルス、キャンジダ、クリプトコッカス、ヒストプラスマ、ニューモシスチス及びサッカロミセスなどのカビに対し、そして、例えば、コクサッキーウイルス、エクトメリアウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン−バールウイルス、単純疱疹ウイルス、ヒト免疫欠損ウイルスタイプI、日本脳炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、パルボウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、シミアンウイルス40、ワクシニアウイルス、及び水疱性口内炎ウイルスなどのウイルスに対し活性を有する。CCZ画分がNO産生を増加させる活性を持つことはその免疫刺激活性を補足しそしてCCZが上にリストしたような病原体、細菌、カビ及びウイルスに対する抗微生物剤として使用することができることを意味する。こうして、本発明のさらなる側面では、抗微生物剤の調製におけるブロメラインのCCZ画分又は本発明の第二の側面のタンパク質の使用が提供される。本発明者らはブロメラインのCCZ画分が抗癌活性を持つことも発見した。種々の出版物もNO生産を抗腫瘍活性と結び付けた。例えば、ヒブス(1991、Res. Immunol., 142, 565-569)はマクロファージがNOを生産するとき、それはインビトロで腫瘍細胞を殺すことを示した。こうして、NO生産の増加はCCZ画分が腫瘍に対して作用するメカニズムでありうる。しかしながら、抗腫瘍剤としてのCCZの有効性はこの議論の正しさに左右されない。本発明は、さらなる側面で、抗癌剤の調製におけるCCZ画分又は本発明の第二の側面のタンパク質の使用を提供する。CCZ画分又はこのタンパク質は固形腫瘍か又は軟部腫瘍又は他の癌を治療するために使用することができる。本発明のタンパク質を使用して治療することができる癌の例としては、卵巣、乳房、結腸又は肺の癌、黒色腫、白血病及びリンパ腫が挙げられる。さらに、このタンパク質は癌の化学療法を受けている患者に日和見感染を防御するために投与することができる。CCZ画分又はこのタンパク質は患者に投与する前に通常製剤化される。そこで本発明のさらなる側面では、本発明の第一の側面のCCZ画分又は本発明の第二の側面のタンパク質を、薬学的に又は獣医学的に許容され得る賦形剤と共に含んで成る薬学的又は獣医学的組成物が提供される。自己の権利での薬学的製剤としての使用に加えて、CCZ画分又はその主要成分であるこのタンパク質はワクチンアジュバントとして使用することができる。何故なら、それはワクチンが投与された後に免疫系を刺激して遥かに多くの数の抗体を生産させるからである。アジュバントとして使用するとき、CCZ画分はワクチンの前か後かに別々に投与することができる。また、それをワクチン組成物に含めることもできる。従って、別の側面では、本発明は、ワクチン、アジュバントとしてブロメラインのCCZ画分または本発明の第二の側面のタンパク質及び薬学的に又は獣医学的に許容され得る賦形剤又は担体を含んで成るワクチン組成物を提供する。ブロメラインのCCZ画分はヒトワクチンか動物ワクチンのいずれかにアジュバントとして使用することができる。このワクチンは、例えば、ウイルス、細菌、カビ又は原生動物により惹起される疾病又は癌などの疾病に対するワクチンであることができる。また、このワクチンは他の目的で、例えば実験動物で抗体を作らせるために設計された製剤であることもできる。このタンパク質は、例えば自己免疫での、自己抗原に対し宿主システムに抵抗性を与えるように設計された処置で使用することもできる。CCZ画分又はこのタンパク質は、経腸的投与、例えば、経口投与、経鼻投与、バッカル投与、局所的投与もしくは肛門投与又は、例えば、静脈内、皮下、筋肉内又は腹腔内経路による非経口投与を含む種々の経路により投与することができる。多くの場合、経口投与は、しばしば患者が最も受け入れ易い経路であるので、好ましい。タンパク質の投与量が多く要求される場合、例えば、CCZが免疫系が抑制されている状態を治療するために使用される場合に、この経口ルートは特に有用であろう。経口投与が選ばれるとき、胃を通過するときのその残存を助けるため、腸溶被覆製剤でCCZ画分又はタンパク質を製剤化することが望ましい。また、別の経口的に投与可能な投与剤形、例えばシロップ、エリキシル又は硬又は柔ゼラチンカプセル、腸溶被覆されてもよい硬又は柔ゼラチンカプセル、を使用することができる。しかしながら、1回投与量のみを投与しようとするとき、例えば、CCZ画分又はタンパク質がワクチンアジュバントとして使用されるときは、非経口的ルートを使用するのがさらに便利である。非経口投与のためには、CCZ画分又はタンパク質は蒸留水又は別の薬学的に許容され得る溶媒又は懸濁剤中に製剤化することができる。患者に投与されるべきCCZ画分又はタンパク質の適当な投与量は臨床医が定めることができる。しかしながら、基準として、適当な投与量はkg体重当たり約0.5〜20mgである。多くの場合、この投与量はkg体重当たり約1〜15mgであることが期待され、そしてkg体重当たり1〜10mgであることが好ましい。従って、約70kgの体重のヒトについては、典型的な投与量は約70〜700mgとなるであろう。本発明を下記の実施例及び図を参照してさらに記述する。図1は、SP・セファロース高性能媒体上でのカチオン交換クロマトグラフィーの後の粗ブロメラインの紫外溶出プロフィルである。図2は、SP・セファロース高性能媒体上でのカチオン交換クロマトグラフィーの後の粗ブロメライン画分のタンパク分解活性及びタンパク含量を示すプロットである。図3は、SP・セファロース高性能クロマトグラフィーのプールした画分の、4〜20%T勾配ゲル上で行われたSDS−PAGEであって、レーン1〜4及びレーン6〜9はそれぞれタンパク質CCT、CCV、CCX及びCCZ及びCCY、CCW、CCU及びCCSを含み、そしてレーン5及びレーン10は分子量マーカーを含む。図4は、pH3〜11の勾配ゲル上で行われたプールした画分の等電点電気泳動であって、レーン1、11、及び12は高IEFマーカーを示し、、レーン2及び13は粗ブロメラインを示し、そしてレーン3〜10はそれぞれタンパク質CCT、CCV、CCX、CCZ、CCY、CCW、CCU及びCCSを示す。図5は、粗ブロメラインのHPLCから得た画分の比免疫調節活性を示すプロットである。CCZ及びCCUはT細胞依存性抗原に対するB細胞の応答を増加させ、従って適応性免疫を高める。図6は、IFN−γにより媒介されるマクロファージの亜硝酸生産を増加させ、従って先天性免疫を刺激するCCZの能力を示す。図7は、インビトロでの腫瘍細胞の成長阻害に対するステムブロメラインプロテアーゼ(SBP)及びCCZの効果を示す一連のプロットである。結果はタンパク質当量により表示される。図8は、図7のそれに類似の一連のプロットであるが、データはステムブロメラインプロテアーゼ及びCCZの等価のタンパク分解活性を表すように変形してある。図9は、インビトロにおけるCH1卵巣腫瘍の成長に対するステムブロメラインプロテアーゼとCCZの成長阻害活性の比較である。実施例1−ブロメラインタンパク質の精製a. 材料ブロメラインはソルベイ・エンザイムズ・インク(ドイツ)から入手した。ファスト・フロー・S・セファロース、ファルマライト3−10TM、アンホリン9−11TM、レディミックスIEFTM(アクリルアミド、ビスアクリルアミド)及びIEFTMマーカーはファルマシア・バイオテクから入手した。プレカスト4−20%アクリルアミドゲル及び広域分子量マーカーはバイオ−ラド・ラボラトリーズから入手した。他のすべての試薬類は分析グレードであり、シグマ・ケミカル・コウ.か又はブリティッシュ・ドラッグ・ハウスから入手した。b. プロテイナーゼ検定ブロメラインのタンパク分解活性は、合成基質Z−Arg−Arg−pNAを用いるイン・ハウス・ミクロタイター・プレートに基づく検定法を使用して測定した。この検定法はフィリッポバらのAnal. Biochem., 143,293-297(1984)に記述されたものに基づいていた。この基質はナッパーらのBiochem. J., 301, 727-735(1994)に記述されたZ−Arg−Arg−pNAであった。c. タンパク質検定タンパク質は、ローリーら(J. Biol. Chem. (1951)193, 265-275)の改良法であるバイオ・ラドが供給するキットを用いて測定した。試料は0.9%食塩水か又は20mM酢酸バッファーpH5.0中で調製されたウシ血清アルブミン標準(0〜1.5mg/ml)を適当なものとして、それと比較した。d. ブロメラインの調製以下の工程は全て周囲温度(20〜25℃)で行った。ブロメラインの溶液(30mg/ml)は450mgの粉末を0.1mMのEDTAナトリウムを含む20mM酢酸バッファー(pH5.0)の15mlに溶解することにより調製した。この溶液を10×1.5mlミクロ遠心分離チューブ中に分配し、13,000×gで10分間遠心分離して不溶性物質を除去した。澄明な上清をプールし、クロマトグラフィー用に使用した。e. SP−セファロース高速クロマトグラフィーSP−セファロースカラムは25mlの培体をXK16/20TMカラム(ファルマシア・バイオテク)中に充填し、FPLCTMシステム上で0.1mMのEDTAを含む20mM酢酸バッファー(pH5.0)で3ml/分で平衡化することにより調製した。5mlのブロメライン溶液をそのカラムに注入した。結合しないタンパク質を集め、そしてそのカラムを100mlの酢酸バッファーで洗浄した。そのカラムに結合したタンパク質は300mlを越える酢酸バッファー中0〜0.8MのNaClの直線勾配を用いて溶出した。その勾配を通して5mlの画分を集めた。図1はこの手順から得られる粗ブロメラインの典型的なU.V.クロマトグラムを示す。次に、この画分は、上記のようにタンパク質及びタンパク分解活性について分析した。図2は個々の画分の合成ペプチドZ−Arg−Arg−pNAに対するタンパク分解活性及びタンパク質含量を示す。このタンパク質含量プロフィルは、予想された通り、U.V.のそれと全くの鏡像である。しかし、その主要タンパク分解活性はブロメライン・プロテアーゼ(SBP)のそれに対応する二つの主要ピークに限定される。小さな活性がそのクロマトグラムの他の領域にも観察される。これは、遅く溶出するアナナイン及びコモサイン(CCS)などの、ブロメラインとは異なる他のプロテイナーゼ類に対応しうる。U.V.プロフィルから確認された主要ピークは続く反復実施で集め、そして表1に示すように名づけた。プールした画分は物理化学的特性決定のために使用した。プールした画分を限外濾過で濃縮し、そしてPD10カラムを用いて等張食塩水(0.9%w/vNaCl)にバッファー交換を行った。そのタンパク質含量及びZ−Arg−Arg−pNA活性は生物学的テストの前に計算した。これらは表2に示してある。プールした画分は下記のように、分析のために処理した。f. プールした画分の処理プールした画分のタンパク分解活性及びタンパク質含量を測定し、そしてその濃度を、10kDaの名目分子量カット−オフの限外濾過膜を含むフィルトロンTM攪拌セルを用いて、タンパク質の1.4mg/mlか又はタンパク分解活性の105ナノモル/分/mlかにほぼ調整した。ついで、この画分をPD10TMカラム(ファルマシア・バイオテク)を用いて等張食塩水(0.9%w/vNaCl)にバッファー交換を行い、無菌濾過(0.2μm)を行い、そしてタンパク質含量又はタンパク分解活性を調整した。試料を次に−20℃で凍結し、ヤーニー溶血プラーク検定により免疫調節活性をテストした。g. ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(SDS−PAGE)プールしたFPLCTM試料は、予め作成した4〜20%T勾配ゲル上でドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分析した。100μlに等容量の20%w/vトリクロロ酢酸(TCA)を混合する酸沈澱により電気泳動用の試料を調製した。沈澱したタンパク質を13,000×gで10分間遠心分離することにより集め、上清は捨てた。このペレットを0.5mlのジエチルエーテルで2回洗浄し、そして周囲温度の空気で乾燥した。次いで、このペレットを300μlのSDS−PAGE試料バッファー(10%v/vグリセロール、2%w/vドデシル硫酸ナトリウム及び40mMジチオトレイトールを含む62.5mMのトリス−塩酸pH6.8)中に溶解し、そして水浴中95℃で加熱した。SDS−PAGE試料バッファー中に1:20で希釈したSDS−PAGE広範囲分子量標準を同様に処理し、そして試料と共に泳動した。ゲルは、バイオ−ラドのプロトコールに従って、ミニ・プロテアンIITM電気泳動システム上で240Vで泳動し、色素先端がゲルの末端に到達するまで(30〜45分)行った。電気泳動の後、分離したタンパク質を、1.5%v/vリン酸、11.25%w/v硫酸アンモニウム及び25%v/vメタノールを含む0.075%w/vコロイダル・ブリリアント・ブルーG−250の溶液中で軌道攪拌しながら一晩染色した。クリアな背景を得るため、25%v/vメタノール及び10%v/v酢酸の溶液中でゲルを脱染色した。結果画分の純度は、図3中のSDS−PAGEにより示す。カラムの素通り(CCT)を除き、プールした画分は全て、存在する主要なタンパク質がほぼ25〜28kDaの間の分子量を持つものであることを示した。これは、他の著者(ローアンら、Methods in Enzymology, (1994), 244, 555-568)によりブロメラインから単離されたシステインプロテイナーゼの分子量に相当する。画分CCX、CCZ、CCY及びCCWの純度は高いように思われる。より低い分子量のマイナーな成分が幾つかの画分、特にCCT、CCV、CCX及びCCSで観察することができる。プールした画分CCU及びCCSは25〜28kDaの間に2重線のバンドを含む。画分CCX、CCZ、CCY及びCCWのより高いゲル負荷を行うと、これらの画分にも二重線のバンドが存在することが分かる。プール画分中の成分及びSDS−PAGEにより測定した計算されたそれらの分子量の概要は表3に示してある。プールした画分CCX、CCZ、CCY+CCW及びCCU中のタンパク質をSDS−PAGE後にウエスタンブロットによりニトロセルロース上に移し、そして精製したステムブロメラインプロテアーゼ(SBP)に対して作成されたウサギ抗血清を用いてプローブした(結果は示していない)。これらのプールした画分の全てのタンパク質バンドはその血清中の抗体により認識された。このことは、免疫学的に類似のタンパク質、多分システインプロテイナーゼ・ファミリーの酵素に属するものであることを示す。h. 等電点電気泳動プールした画分(0.5〜1.0mg/ml)を脱イオン水で1:3に希釈し、そしてpH3〜11の勾配ゲル上で泳動させた。ゲルは、レディ・ミックスIEFTMを用いて、10%v/vグリセロール、5.0%ファルマライト3−10TM及び2.5%アンホリン9−11TMを含む5.5%T、3%Cポリアクリルアミドゲルを作成した。簡単に述べると、10μlの試料と高等電点マーカーを700Vで予めフォーカシングした後のゲルの上に載せた。試料のエントリは500Vで10分間、フォーカシングは2500Vで1.5時間、そしてバンドシャープニングは3000Vで10分間であった。電気泳動の後、タンパク質を20%w/vTCA溶液で30分間固定し、TCAを除去するため脱色液中で30分間洗浄し、そしてSDS−PAGDについて述べたように(上を参照)、ブリリアント・ブルーG−250で染色した。結果図4は、CCXを除き、全ての画分が9.3 pIマーカーを越えてフォーカスする塩基性タンパク質を含んでいたことを示す。CCXでのpI 13.8と3.85のタンパク質が何故pH5.0のカチオン交換樹脂上に吸着されたかは、局在化された電荷とクロマトグラフィー用培体の官能基との相互作用により説明されるかも知れない。CCZはpI 9.7の1本のバンドとして現れたが、一方プールした画分CCY、CCW、及びCCUはpH9.5〜9.8の範囲に等電点を持つ複数のバンドを含んでいた。この不均一性の少なくとも一部は共通のステムブロメラインタンパク質骨格の炭水化物部分における変動により説明することができる。その値はブロメラインに対するpI 9.45〜9.55という文献(ローアンら、Methods in Enzymology, (1994), 244, 555-568)に報告されたものと一致している。プールした画分CCSは10.25よりも大きなpIを持つ二つの塩基性タンパク質を含んでいる。外挿による推定は10.4及び10.45のpIを与える。これらはアナナイン及びコモサインに相当し、そして10よりも大きなpIの他の推定値(ローアンら、上記)と一致する。プールした画分のそれぞれにおけるタンパク質のpIは表4にまとめてある。i. ウエスタン・ブロット上述のようにSDS−PAGEにより泳動された試料を、製造者に記載されたように、トランスブロットTM装置(バイオ−ラド)を用い、トウビンバッファー中、100Vで1時間かけてニトロセルロース膜(0.45μmポアサイズ)上に移転した。タンパク質の移転後、この膜を蒸留水で濯ぎ、次いでインキュベーター中、60℃で一晩乾燥した。乾燥した後、この膜を500mM塩化ナトリウム(トリスバッファー)を含む、20mMトリス−塩酸(pH7.5)中のBSA1%溶液中で30分間ブロックし、その後トリスバッファー中で10分間洗浄を2回した。次に、この膜を、0.05%v/vトゥイーン20TMを含むトリスバッファー中の抗ブロメライン抗血清(ウサギ)の50倍希釈液で2時間プローブした。このブロットはトゥイーン20TMを含むトリスバッファー中で3回洗浄し、抗−ウサギ・ホースラディッシュペルオキシダーゼと共に2時間インキュベートした後、発色させた。免疫−反応バンドは4−クロロナフトール基質と共にインキュベートすることにより可視化した。実施例2−CCZタンパク質のNH2末端アミノ酸分析別の実験では、CCZのプールした画分をSDS−PAGEにかけ、そしてPVDF膜上に上記のようにブロットした。この膜を40%v/vメタノールに溶解した0.025%w/vクーマシーブルーR−250で10分間染色し、その後50%v/vメタノール中で脱色した。この膜を室温で空気乾燥し、染色したタンパク質のNH2−末端アミノ酸配列決定を行った。簡単にのべると、そのタンパク質バンドをその膜から切断し、シーケンサーの上部カートリッジ内に置いた。CCZタンパク質のNH2−末端アミノ酸分析は、オン−ライン・フェニルチオヒダントイン・アミノ酸アナライザーを具備した気相シーケンサー(アプライド・バイオシステムズ)を用いるエドマン分解により測定された。表5は、CCZの最初の21個のNH2−末端アミノ酸及びステムブロメラインプロテアーゼ、アナナイン及びコモサインの公表された配列とのその比較を示す。全てのタンパク質は配列相同性を共有する。アナナインとコモサインは、ステムブロメラインプロテアーゼと比較すると、20アミノ酸のうちの2個だけ異なる。対照的に、CCZは、ステムブロメラインプロテアーゼと比較すると、21アミノ酸のうち8個だけ異なる。CCZはアナナイン及びコモサインと20アミノ酸のうち6個だけ異なる。これらのタンパク質は構造的に関連していることは明らかであるが、CCZタンパク質は最も異なっており、ブロメラインから単離された他のプロテイナーゼとは顕著な相違を示す。CCZは粗ブロメライン抽出物中で従来知られていなかった新規なタンパク質を表し、従って、植物システインプロテイナーゼファミリーの新規なメンバーであるようである。実施例3−分画されたタンパク質の免疫調節活性の検定a. 材料雌BALB/cマウスはエイ.タック及びサンLtd.(UK)から入手した。8〜10週齢のマウスをすべての実験で使用した。アルセバー溶液中のヒツジ赤血球(SRBC)はTCSバイオロジカルズ(バッキンガム、UK)から購入した。モルモットの補体はハーラン・シーラ・ラボズから購入しそしてRPMI1640組織培養培地はギブコ・ラボラトリーズから購入した。他の試薬はすべて分析用グレードであり、シグマ・ケミカル・コウから購入した。b. ヤーニー溶血プラーク検定法ヤーニー溶血プラーク検定法(ワイアー,ディー.エム.(編)、1986、ハンドブック・オブ・エクスペリメンタル・イムノロジー、1−4、第4版、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブリケーションズ、オクスフォード、(UK))は分画されたタンパク質のアジュバント能力を検定するために使用した。実験は二つの別の時期に調製されたブロメラインの分画された試料について行った。各試料には、ユニークなコードを与え(表1)、ダイアフィルトレーションを行い、限外濾過により等張食塩水中に適当に濃縮した(実施例1(f)を参照)。全ての実験は二重盲検法で行った。マウスには粗ブロメラインか、分画したタンパク質か又は食塩水かの1回静脈内注射を表6に示すように投与した。粗ブロメライン(200μg、1500μモル/分/ml)を0.9%(200μl)食塩水中に懸濁し、そして投与の直前に濾過滅菌した。分画した試料(200μl)は同様に濾過滅菌した。滅菌食塩水のみを投与されたマウスは対照として使用した。1500μモル/分/mlの粗ブロメラインの投与量速度は、シグマ・アルドリッチLtdから入手できるマテリアルズ・セイフティー・データ・シート中に与えられているブロメラインのLD50のほぼ3分の1に相当する。粗ブロメライン、分画したタンパク質、又は食塩水の投与の後、マウスをヒツジ赤血球(SRBC)(100μl、107細胞)を腹腔内注射することにより免疫化した。負の対照として用いたマウスは食塩水のみ(100μl)を投与した。マウスを免疫化後3日目に犠牲にし、その時点で脾臓を摘出し、ナイロンメッシュフィルターを通す濾過により脾臓細胞を単離した。SRBC抗原に特異的な抗体を生産するB細胞の数(すなわち、106脾臓細胞当たりのプラークフォーミング細胞(PFC))はヤーニー溶血プラーク検定法を用いて測定した。c. データ分析数値は平均値±標準偏差として表す。独立t−テスト(スチューデンツt−テスト、2−ウエイ)はPFCの平均値間の相違に対するテストとして使用した。分散分析(ANOVA)は二つ以上の処理の平均値が対照と比較されるときに使用した。d. 結果ヤーニー溶血プラーク検定から得た検定結果を図5及び表6に示す。食塩水対照と比較したとき、粗ブロメライン(QC2322)の投与により、PFCの有意の増加が惹き起こされた(ブロメラインPFC/106脾臓細胞,68±47、食塩水対照,29±7、P<0.05)。分画されたタンパク質CCZ及びCCUも食塩水対照よりも有意に高いPFCを誘導した(それぞれ、102±31及び86±31PFC/106脾臓細胞、P<0.002)そして粗ブロメライン抽出物よりも多くのPFCを生産した。成分CCZ及びCCUは、十分に記述されているステムブロメラインプロテアーゼ、コモサイン、アナナイン及びF9酵素とは別にFPLCTMカラムから溶出する。これはCCZ及びCCUが異なる分子であることを示唆する。精製したステムブロメラインプロテアーゼ(成分CCWとCCYの混合)をアジュバント効果に対してテストしたとき、結果はPFCの小さな増加(46±29PFC/106脾臓細胞)しか示さなかった。これはステムブロメラインプロテアーゼがブロメラインのアジュバント活性に責任がある成分ではないことを示唆する。同様に、アナナイン及びコモサイン(CCS)も免疫調節活性を殆ど持たなかった。従って、粗ブロメラインのアジュバント効果は従来免疫学的役割を持つと考えられた粗混合物中の成分に帰せられないように思われる。テストされた成分の一部は対照(そしてステムブロメラインプロテアーゼにも同様に)よりも高いPFC値を持っていた。しかしながら、これらの値は有意に異なるものではない。これらの成分及びステムブロメラインプロテアーゼで観察されたPFCにおける僅かな増加は、マウスにトリプシンを投与したときに従来見られたものに類似しており、そして応答は非特異的タンパク分解的効果に帰せられるであろう。実施例4−CCZはマクロファージによる硝酸生産を増加させ従って先天性免疫応答を刺激することができる実施例3はCCZがT細胞依存性抗原に対するB細胞の応答を高めることにより適応性免疫応答を増強することができることを明らかにした。本発明者らは次にCCZが、先天性免疫に関与する主な細胞集団であるマクロファージに対するその効果を研究することにより先天性免疫をも高めることができるか否かを研究することにした。細胞内寄生体に対する重要な宿主の防御機構はマクロファージによる一酸化窒素(NO)の生産である。従って、本発明者らはCCZがNO生産に影響を与えることができるか否かを研究した。a. 材料マウスのマクロファージ細胞系RAW264を培養中、組換えIFN−γ(100U/ml)で刺激した。培養上清中の亜硝酸エステルのレベルはグライス検定(ローチら、(1991)、Infection and Immunity, 59, 3935-3944)を用いて測定した。b. 方法RAW264マクロファージをCCZ(50μg/ml)か、粗ブロメライン(50μg/ml)か又はステムブロメラインプロテアーゼ(50μg/ml)か又は食塩水でのモック処理かで処理した。ついで、細胞を3回洗浄して処理物を除き、ついでIFN−γで刺激した。c. 結果粗ブロメラインとCCZはIFN−γにより媒介される亜硝酸生産を有意に増加させることが見出されたが、ステムブロメラインプロテアーゼは増加しなかった(図6)。CCZ処理細胞では、IFN−γ媒介亜硝酸生産の増加は食塩水−処理細胞よりも有意に大きかった。このことは、CCZがIFN−γと相乗効果を生じNO生産を増加させることを示唆する。マクロファージがCCZ又はブロメライン単独で刺激されるときは殆ど亜硝酸は生産されなかった。このことはCCZもブロメラインも亜硝酸生産を活性化しないことを示す。CCZ混合物中に存在したかも知れない潜在的な汚染内毒素がNO増加に責任がないことを保証するため、ポリミキシンB(内毒素の強力な阻害剤)を実験に含めた。ポリミキシンBの含有はIFN−γに誘導されるCCZ処理細胞のNO生産の増加に影響を与えなかった。このことは潜在的な汚染内毒素は観察された効果(データは示していない)に対し責任がないことを示す。細胞内病原体に対する宿主防御のための一酸化窒素の生産の重要性を考えれば、マクロファージによるこの代謝物の特異的生産を刺激するCCZの能力は、それが種々の細胞内感染を制御することができることを示すものである。実施例5−ヒト腫瘍細胞系のパネルに対するブロメラィン断片のイン・ビトロにおける成長阻害感染に対する宿主防御におけるNOの決定的な役割に加え、それは腫瘍細胞の強力な殺戮者であることも証明された。ヒブス(1991、Res. Immunol., 142, 565-569)はマクロファージがNOを生産するとき、それはイン・ビトロで腫瘍細胞を殺すことを示した。従って、一酸化窒素は癌治療に有用であると提案されてきた(サガーら、(1995)、Cancer Treatment Reviews, 21, 159-181)。従って、本発明者らは、CCZが幾つかの異なるヒト腫瘍細胞系の腫瘍成長をイン・ビトロで阻止できる、従って抗腫瘍剤として作用できるか否かを研究した。CCZタンパク質及びステムブロメラインプロテアーゼの成長阻害性を、ヒトにおける最も普通の固形癌である、卵巣癌、結腸癌、乳癌、肺癌及び黒色腫の五つの代表としての15のヒト腫瘍細胞系のパネルに対して測定比較した。細胞系をトリプシン処理し、そして個々の生細胞を96ウエルミクロタイタープレート中にウエル当たり4×103の密度で160:1成長培地中に蒔いた。一晩接着させた後、次に、CCZ、SBP又はブロメラインを、50、10、2.5、1及び0.25g/mlのウエル当たりの最終濃度範囲となるように成長培地を含むウエルに4連で添加した。8個のウエルには対照として無処理の細胞を配置した。無菌水中の細胞に添加する直前に抽出物を希釈した。抽出物の接触は96時間であった。そこで、各ウエルの細胞数を先に記述された(ケランドら、Cancer Res.,53, 2581-2586(1993))ように1%酢酸中の0.4%スルホロ−ダミンBでの染色を用いて測定した。次に、50%阻害濃度(IC50:g/ml)を、濃度:対照吸光度の%(540nmでの読み)のプロットから計算した。結果抽出物は巧く溶解しそしてIC50値は図7に示してある。図7から見ることができるように、CCZタンパク質は、細胞系の全てに対し、QC2322(粗ブロメライン)及びステムブロメラインプロテアーゼのそれと同等のイン・ビトロでの能力を示した。CCZは15の系の全てにわたって11.9μg/mlという平均のIC50を示したが、SKOV−3(卵巣)、LOVO(結腸)、MDA231(乳房)、MDA361(乳房)及びMOR(肺)に対する活性は一般的に低かった。この実施例に用いた方法はミクロタイタートレーのウエルに固定された細胞の検出に依存する。成長阻害活性はブロメライン画分で処理した後、細胞の染色により測定する。死細胞又は死にかかっている細胞はウエルから脱着するようになり、従って染色されない。細胞は、トリプシンなどの酵素の高濃度で処理することによってもウエルから除去されうる、これは「トリプシン処理」と呼ばれるプロセスである。従って、CCZ及びブロメラインの成長阻害活性は、その画分の特異的「抗−癌」効果ではなくタンパク分解活性から生ずる、ウエルからの細胞の非特異的除去により惹起される可能性がある。この観点から、図7に与えられた結果はその画分それぞれのタンパク分解活性に対して調整された。調整された結果は図8に示してある。この解釈を用いると、この結果の幾らか異なる分析が得られることが図8から分かる。これらの画分のそれぞれのタンパク分解活性を一度考慮に入れると、CCZは粗ブロメラインか又はステムブロメラインプロテアーゼよりも有意に大きな抗癌活性を持つことを知ることができる。CCZが実際に成長阻害活性を持つことを確認するために、粗ブロメライン、ステムブロメラインプロテアーゼ及びCCZを当量のタンパク分解活性(5.7μモル/分/ml)を含むように希釈し、そしてCH1卵巣腫瘍の成長を防止するそれらの能力についてテストした。図9から、CCZが、実際、粗ブロメライン又はステムブロメラインプロテアーゼのいずれよりもより強力な成長阻害活性を有することが確認される。配列表配列番号:1配列の長さ:21配列の型:アミノ酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:ペプチドハイポセティカル:NOフラグメント型:N末端フラグメント配列配列番号:2配列の長さ:21配列の型:アミノ酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:ペプチドハイポセティカル:NOフラグメント型:N末端フラグメント配列配列番号:3配列の長さ:20配列の型:アミノ酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:ペプチドハイポセティカル:NOフラグメント型:N末端フラグメント配列配列番号:4配列の長さ:20配列の型:アミノ酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:ペプチドハイポセティカル:NOフラグメント型:N末端フラグメント配列 SDS−PAGEで測定するとき27.45kDaの分子量を有し、かつ等電点電気泳動により測定するとき9.7の等電点を有するとともに、Val Leu Pro Asp Ser Ile Asp Trp Arg Gln Lys Gly Ala Val Thr Glu Val Lys Asn Arg Glyのアミノ末端配列を有する、単離されたタンパク質であって、前記単離されたタンパク質は、i.0.1mMEDTAナトリウムを含むpH5.0の20mM酢酸バッファー中にブロメラインを溶解する工程と、ii.SP−セファロースHP上にて、300mLを超える酢酸バッファー中の0〜0.8M塩化ナトリウムの直線勾配で溶出するファスト・プロテイン液体クロマトグラフィーによりブロメラインの諸成分を分離する工程と、iii.カラムから溶出する第三のピークに対応する画分であって、ステムブロメラインプロテアーゼピークの最初の主要なピークの立ち上がり末端上に現れる画分を集める工程と、iv.工程(iii)にて得られた画分からタンパク質を単離する工程と、からなる方法により得られたブロメラインの成分である、単離されたタンパク質。 請求項1に記載の単離されたタンパク質を含む治療剤であって、免疫刺激剤として使用される治療剤。 ワクチンのアジュバンドである、請求項2に記載の治療剤。 請求項1に記載の単離されたタンパク質と、薬学的に許容され得る賦形剤又は担体と、を含む、製薬組成物。 経腸投与用に製剤化された、請求項4に記載の製薬組成物。 経口投与、経鼻投与、バッカル投与又は肛門投与用に製剤化された、請求項5に記載の製薬組成物。 非経口投与用に製剤化された、請求項4に記載の製薬組成物。 前記非経口投与が、静脈内、皮下、筋肉内又は腹腔内ルートによるものである、請求項7に記載の製薬組成物。


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