タイトル: | 特許公報(B2)_ヒト血漿ヒアルロニダーゼ |
出願番号: | 1998517834 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 33/573,A61K 38/46,A61P 35/00,A61K 48/00,C12N 9/26,C07K 16/40,C12N 15/09 |
スターン、ロバート フロスト、グレゴリー、アイ. ソカ、アンソニー ウォン、ティム、エム. JP 4503708 特許公報(B2) 20100430 1998517834 19971007 ヒト血漿ヒアルロニダーゼ ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 中島 淳 加藤 和詳 西元 勝一 スターン、ロバート フロスト、グレゴリー、アイ. ソカ、アンソニー ウォン、ティム、エム. US 08/733,360 19961017 US 08/916,935 19970821 20100714 G01N 33/573 20060101AFI20100624BHJP A61K 38/46 20060101ALI20100624BHJP A61P 35/00 20060101ALI20100624BHJP A61K 48/00 20060101ALI20100624BHJP C12N 9/26 20060101ALN20100624BHJP C07K 16/40 20060101ALN20100624BHJP C12N 15/09 20060101ALN20100624BHJP JPG01N33/573 AA61K37/54A61P35/00A61K48/00C12N9/26 ZC07K16/40C12N15/00 A C12N 15/00 - 15/90 C07K 16/40 C12P 21/08 C12N 5/10 C12N 9/26 PubMed 特開平08−269099(JP,A) Arch. Biochem. Biophys., (1993), 305, [2], p.434-441 Cancer Res., (1996.04), 56, [7], p.1487-1492 横田崇/新井賢一編, 「実験医学別冊 バイオマニュアルシリーズ4 遺伝子導入と発現・解析法」, 株式会社羊土社, (1994), p.16 33 ATCC HB-12213 ATCC HB-12214 US1997018089 19971007 WO1998016655 19980423 2001508646 20010703 54 20040929 柴原 直司 関連出願との相互参照本願は、米国特許出願第08/733360号(1996年10月17日出願、該出願は参照により本明細書に含まれる)の一部継続出願である。合衆国連邦政府支援研究または支援開発に関する記述本発明は、アメリカ予防衛生研究所のグラントCA44768号、CA58207号およびGM46765号の下、政府の支援を受けて達成された。合衆国政府は本発明に関して一定の権利を有するであろう。発明の分野本発明は、一般にβ-1,4-エンドグリコシダーゼ類、特にヒアルロニダーゼ類に関する。発明の背景ヒアルロニダーゼ(HAse)類(E.C.3.1.25)は、微生物(例えばストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、トレポネーマ・パラジウム(Treponema palladium)および線虫)、ミツバチ、ジガバチ、スズメバチ、クモ、サソリ、魚類、ヘビ、トカゲおよびホ乳類のような多様な生物において動物界全体で見出される、中性活性および酸活性の酵素である。ヒアルロニダーゼ類はヒアルロナン(HA;ヒアルロン酸としても知られている)を分解し、さらに分解度は低いがコンドロイチン硫酸も分解する(概説として、Kreilら、Protein Sci.,4:1666-9(1995)を参照のこと)。脊椎動物のヒアルロニダーゼ類は大きく2つの種類に分けられる。1)中性ヒアルロニダーゼ、例えば主に精液関連タンパク質PH20(Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:7832-7(1996);Primakoffら、J.Cell Biol.,101:2239-44(1985);Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:10071-5(1993));および2)酸活性ヒアルロニダーゼ、これはpH3.5〜4.0で明瞭な最適pHを示し、以下の臓器の抽出物で報告されている。肝臓(Fiszer-Szafarzら、Acta Biochim Pol.,42:31-3(1995))、腎臓(Komenderら、Bull.Acad.Pol.Sci.[Biol.]21:637-41(1973))、肺臓(Thetら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,117:71-7(1983))、脳(Margolisら、Neutrochem.,19:2325-32(1972))、皮膚(Cashmanら、Arch.Biochem.Biophys.,135:387-95(1969))、胎盤、マクロファージ、線維芽細胞(Lienら、Biochim Biophys.Acta,1034:318-25(1990);Ruggieroら、J.Dent.Res.,66:1283-7(1987))、尿(Fiszer-Szafarzら、上掲書)およびヒト血漿(De Saleguiら、Arch.Biochem.Biophys.,120:60-67(1967))。酸活性ヒアルロニダーゼ活性はまたホ乳類の血清でも報告されているが、いくつかの種では検出可能な活性は全く示されなかった(Fiszer-Szafarzら、Biol.Cell,68:95-100(1990);De Saleguiら、(1967)上掲書)。ヒアルロナン、ヒアルロニダーゼの主要基質は、[GlcNAcβ 1-4GlcUAβ 1-3]nの繰り返し二糖類で、インビボでは高分子直鎖多糖類として存在する。ヒアルロニダーゼによるヒアルロナンの分解は、β-N-アセチル-ヘキソサミン-[1→4]-グリコシド結合での切断またはβ-グルコノレート-[1→3]-N-アセチルグルコサミン結合での切断のいずれかによって達成される。ヒアルロナンはホ乳類の主に結合組織、皮膚、軟骨および滑液で見出される。ヒアルロナンはまた目の硝子体の主要な構成成分である。結合組織では、ヒアルロナンに結合している水和水が組織間に空隙を作りだし、したがって細胞運動および細胞増殖に役立つ環境を造る。ヒアルロナンは、迅速な成長、再生、修復、胚形成、胚の発育、創傷治癒、脈管形成、および腫瘍形成を含む細胞の自動運動性に付随する生物学的現象に中心的役割を果たす(Toole,Cell Biol.Extracell.Matrix,Hay編、Plenum Press刊、New York、1384-1386(1991);Bertrandら、Int.J.Cancer,52:1-6(1992);Knudsonら、FASEB J.,7:1233-1241(1993))。さらに、ヒアルロナンレベルは腫瘍の攻撃性と相関する(Ozelloら、Cancer Res.,20:600-604(1960);Takeuchiら、Cancer Res.,36:2133-2139(1976);Kimataら、Cancer Res.,43:1347-1354(1983))。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロナン過剰を伴う疾患処置の治療薬として、さらに生理的液体の循環の強化のために、および/または投与部位での治療薬剤として有用である。例えば、ヒアルロニダーゼを用いて、硝子体液内のヒアルロナンの分解を通して緑内障患者の目の眼圧を低下させている(USPN 4,820,516号、1989年4月11日発行)。ヒアルロニダーゼはまた、化学療法剤の活性を高めるために、および/または腫瘍を化学療法剤にアクセスさせ易くするために“分散剤”として癌治療において用いられている(Schullerら、Proc.Amer.Assoc.Cancer Res.,32:173(1991),アブストラクト番号1034;Czejkaら、Pharmazie,45:H.9(1990))。さらにヒアルロニダーゼは、膀胱癌(Hornら、J.Surg.Oncol.,28:304-307(1985))、有棘細胞癌(Kohnoら、J.Cancer Res.Oncol.,120:293-297(1994))、乳癌(Beckenlehnerら、J.Cancer Res.Cocol.,118:591-596(1992))および胃腸系癌(Scheithauerら、Anticancer Res.,8:391-396(1988))を含む多様なの治療で他の化学療法剤と組み合わせて用いられている。また、ヒアルロニダーゼの投与により、以前に化学療法耐性であった膵臓、胃、大腸、卵巣、乳房の腫瘍の応答性が誘発される(Baumgartnerら、Reg.Cancer Treat.,1:55-58(1988);Zankerら、Proc.Amer.Assoc.Cancer Res.,27:390(1986))。血清ヒアルロニダーゼは、マウスに移植した腫瘍の増殖を防止する(De Maeyerら、Int.J.Cancer,51:657-660(1992))一方、ヒアルロニダーゼを注射することにより、発癌剤暴露によって惹起される腫瘍形成が抑制される(Pawlowskiら、Int.J.Cancer,23:105-109(1979);Habermanら、第17回アメリカ臨床腫瘍学会総会議事録(Proceedings of the Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology)、ワシントンD.C.,22:105(アブストラクト番号415))。ヒアルロニダーゼの静脈内注射または筋肉内注射は脳腫瘍(神経膠腫)の治療に有効である(PCT公開出願WO88/02261号、1988年4月7日公開)。ヒアルロニダーゼの発現、およびヒアルロンレベルは、腫瘍の発生と進行に関係を有する。卵巣(Miuraら、Anal.Biochem.225:333-40(1995))、前立腺(Lokeshwarら、Cancer Res.,56:651-7(1996))、脳、メラニン細胞、および大腸(Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:7832-7837(1996))に由来する癌腫で分泌された中性ヒアルロニダーゼ活性のレベルは正常組織のものより高い。この分泌中性ヒアルロニダーゼ活性は、精子ヒアルロニダーゼPH20の中性ヒアルロニダーゼ活性と類似しているかまたは同一であるらしい。中性活性とは対照的に、酸活性の血清ヒアルロニダーゼ活性は、肺臓、乳房および大腸の転位性癌では顕著に減少する(Northrupら、Clin.Biochem.,6:220-8(1973);Kolarovaら、Neoplasma,17:641-8(1970))。さらに、低レベルの血清ヒアルロニダーゼ活性に付随するhya1−1対立遺伝子座をもつマウスは、3倍高いヒアルロニダーゼ活性レベルを付随するhya1−1対立遺伝子座をもつマウスより速い移植腫瘍増殖速度を示す(Fiszer-Szafarzら、Somat.Cell.Mol.Genet.,15:79-83(1989);De Maeyerら、上掲書)。現時点で、臨床用途のために利用できる唯一のヒアルロニダーゼ活性は、ウシの精巣抽出物から単離されたヒアルロニダーゼ(WYDASE(登録商標)、Wyeth-Ayerst製)である。ウシの抽出物は、それが非ヒト由来であるだけでなく抽出物が多数のタイプのヒアルロニダーゼおよび未特定の他の成分を含んでいるために最適ではない。ヒト血清中の酸活性ヒアルロニダーゼ活性は投与に好ましいであろうが、このヒアルロニダーゼはこれまで単離または精製されたことがない。これまでの研究では血清中の酸活性のヒアルロニダーゼ活性は、血漿中のヒアルロニダーゼ活性が血清で見出されたものに匹敵するので、血小板の成分ではないと決定できたが、ヒト血清からのこの酸活性ヒアルロニダーゼ活性を単離する試みは、一部には精製活性の安定性のため、および適度に高い比活性を得ることが困難なため、成功は限られていた。免疫精製の試みは、血漿中の天然形の活性と特異的に結合する抗体を同定し単離することができないために妨げられている。通常のELISA技術によって特定されるモノクローナル抗体はELISAスクリーニングアッセイで変性ヒト血漿ヒアルロニダーゼと結合し、天然の折り畳まれた構造のタンパク質とは結合しない(Harrisonら、J.Reprod.Fertil.,82:777-85(1988))。ヒアルロニダーゼ活性のための通常の方法にはELISA様アッセイが含まれる(Delpechら、J.Immunol.Methods,104:223-9(1987);Sternら、Matrix,12:397-403(1992);Afifyら、Arch.Biochem.Biophys.,305:434-41(1993);Reissigら、J.Biol.Chem.,217:956-966(1955))。このアッセイでは、ヒアルロニダーゼを含むサンプルを、ヒアルロナンまたはヒアルロネクチンを非共有結合によってその表面に結合させたマイクロタイター盤のウェルに塗布する。サンプル中に存在するHAseはHA基質を分解する。続いてプレートを洗浄し、残余のHA基質についてプレートを検査してHAse活性を検出する。ヒアルロニダーゼ活性は、基質ゲルザイモグラフィーによっても検出できる(Guentenhonerら、Matrix,12:388-396(1992))。このアッセイでは、サンプルはヒアルロナンを含むSDS−PAGEゲルに適用され、サンプル中のタンパク質を電気泳動によて分離する。続いてゲルを酵素アッセイ緩衝液中でインキュベートし、その後で染色してゲル中のヒアルロナンを検出する。ヒアルロニダーゼ活性は基質ゲル中に鮮明なゾーンとして可視化される。ヒアルロニダーゼ活性を検出するのこれらの従来の方法は、検出可能に標識化したヒアルロン酸基質を製造することの難しさ、および迅速で高感度でさらに再現性を有するヒアルロニダーゼ活性検出を達成する技術的困難の双方によって妨げられている。例えば、ELISA様アッセイで使用するヒアルロン酸のビオチン標識は、HAが遊離アミノ基、即ち活性化ビオチンが共有結合する部分を含まないので、ビオチン付加には不向きであることが分かった。この問題を解決しようとする従来の試みは、ウシ鼻軟骨由来のビオチン付加HA結合アグリカン(aggrecan)ペプチドを用いることに集中していた(Levvyら、Method Enzymol.,8:571-584(1966))が、この方法は単調で時間のかかる工程を必要とする。さらに、従来のヒアルロニダーゼアッセイは、HA基質がプレート表面に非共有結合によって結合したアッセイプレートを使用するが、これは偽陽性および偽陰性結果をもたらす可能性がある。HA基質はプレート表面に非共有結合によって結合されるので、HAse含有サンプルにプレートを暴露した後の洗浄工程でしばしばプレート上の非分解HA基質の非特異的除去が生じる。したがって、従来のヒアルロニダーゼアッセイの感度は高くない。ゲルザイモグラフィーを用いるHAse活性は、ELISA様アッセイに伴うこの問題を回避することができるが、時間がかかり(例えばテストサンプルとHA含有ゲルを通常約18〜24時間インキュベートする)、ゲルに過剰なタンパク質サンプルが適用されると人工産物を生じる可能性がある。さらにまた、粗調製物の分析はゲルザイモグラフィーでは不可能である。したがって、好ましい酸活性血漿ヒアルロニダーゼ活性が存在するにもかかわらず、さらにヒトの血液と同じように貴重で稀少な資源から得られる一切の有用な成分を得ようとするヒト血液製剤メーカーの経済的動機にもかかわらず、この酸活性ヒアルロニダーゼ活性を含むヒト血漿分画は、その単離と精製に許容可能な方法が無いために廃棄されている。化学療法におけるヒアルロニダーゼの価値を考えれば、ヒト血清中の酸活性ヒアルロニダーゼ活性と結びついたポリペプチドを同定し単離する方法が当分野で切望されている。発明の要旨本発明は、ヒト血漿で見出される酸活性ヒアルロニダーゼ(hpHAse)の精製方法の発見に基づいており、該方法は生化学的精製法および免疫親和性精製法の双方を含む。本発明の免疫親和性精製法は、天然のhpHAseと特異的に結合する抗体(抗天然hpHAse抗体)を同定する方法、およびこのスクリーニング方法によって同定される抗天然hpHAse抗体の発見に基づいている。本発明の特徴はまた、ビオチン付加ヒアルロン酸(bHA)を用いる感度の高いHAse活性の検出アッセイである。hpHAseの精製および性状決定によって、発明者らは、hpHAseはLuCa−1遺伝子によってコードされるという新たな発見に到達した。この遺伝子はヒト染色体の3p21.3、即ち腫瘍抑制に関連する領域に位置する。したがって、ある面として、本発明は、不溶性支持体および該支持体に共有結合させたビオチン付加ヒアルロン酸(bHA)を有するヒアルロニダーゼ活性検出アッセイ装置に特徴を有する。好ましくは、bHAはヒアルロン酸、1-エチル-ジメチルアミノプロピルカルボジアミド(EDC)およびビオチンヒドラジドの一工程反応で調製される。好ましい態様として、bHAは、ヒアルロン酸部分の二糖類100単位毎に少なくとも1つのビオチン部分を含み、bHAは、ヒアルロン酸部分の二糖類50単位毎に少なくとも1つの共有結合によって支持体に共有結合されている。他の面として、本発明は、サンプルから天然の酸活性ヒアルロニダーゼ(aaHAse)を精製する方法に特徴を有する。本方法は以下の工程を有する。(a)aaHAseを含んでいると思われるサンプルを、実質的に室温より低温の溶液であって非イオン性洗剤を含有する溶液に溶かす;(b)溶液の温度を実質的に室温より高温に上昇させ、温度上昇によってaaHAseを含有する洗剤濃厚相および洗剤希薄相を形成し;さらに(c)当該洗剤濃厚相からaaHAseを単離する。aaHAseはhpHAseであるのが好ましく、工程(a)〜(c)を2度繰り返すのが好ましい。また、他の面として、本発明は、天然のaaHAseとの結合に関して候補抗体をスクリーニングする方法に特徴を有し、以下の工程を有する。(a)候補抗体を天然のaaHAseを含有するサンプルと、抗体−aaHAse複合体を形成するのに十分な時間、インキュベートし;(b)抗抗体及びそれに検出可能な標識化したヒアルロン酸を有する不溶性支持体にサンプルを、抗抗体−候補抗体−hpHAse複合体を形成するために十分な時間、接触させ;さらに(c)支持体に接触させているサンプルを酸性pH約3.4〜3.7に曝露し、それによって抗体−aaHAse複合体中のhpHAseにより検出可能に標識化したヒアルロン酸を分解させる。ここでヒアルロン酸分解を伴うサンプルは抗aaHAse抗体を含有する。これに関連する面として、本発明は、抗天然hpHAse抗体、そのような抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系、および抗hpHAse抗体を結合させたhpHAseの免疫精製用および/または検出用アッセイ装置に特徴を有する。また他の面として、本発明は、サンプルからhpHAseを精製する方法に特徴を有し、該方法は、hpHAseを含有するサンプルを抗hpHAse抗体と接触させることを有する。好ましい態様として、サンプルはヒト血液、血清、血漿もしくは尿であり、またはhpHAseが組換えhpHAseである。さらに他の面として、本発明は、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDおよびN−グリコシダーゼ−Fによる切断に耐性を有する脂肪酸部分により特徴づけられる実質的に精製された天然のhpHAseに特徴を有する。これに関連する面として、本発明は、天然hpHAse、特にリポゾーム製剤を含有する製剤である。さらに他の面として、本発明は、組換えによってhpHAseを発現させる方法に特徴を有する。本発明の組換え発現系は、hpHAseの工業的製造および治療的用途で使用するhpHAseの製造に適した高レベルでの分泌hpHAseを提供する。これに関連する面として本発明は、組換えhpHAseおよび組換えhpHAseの製造方法に特徴を有する。さらに関連する面として、本発明は、ヒアルロニダーゼ投与が所望される症状を有するか、またはその疑いがある患者を処置する方法である。具体的な態様として、本発明は、不完全なhpHAse発現に関連する癌をもつかまたは癌の疑いがある患者にヒト血漿ヒアルロニダーゼを投与することに特徴を有し、hpHAseポリペプチドを患者に腫瘍増殖を抑制するのに有効な量投与することを含む。さらなる態様として、本発明は、心筋梗塞発症後の患者またはリソソーム貯蔵系疾患を罹患している患者を処置する方法に特徴を有する。本発明は、他の面として、不完全なLuCa−1遺伝子に関連する癌をもつかまたは癌の疑いがある患者を処置する方法を特徴とする。本方法は、ヒト血漿ヒアルロニダーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびそれらに機能可能に連結した真核細胞性プロモーター配列を有する構築物を患者の細胞に導入し、それによって該ヌクレオチド配列がhpHAseを発現できるように該細胞を遺伝的に形質転換させることを有する。本発明はまた、不完全なヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性に関連する症状をもつかまたはその疑いがある患者を同定する方法に特徴を有する。本方法は、該患者の血漿サンプルを抗天然ヒト血漿ヒアルロニダーゼ抗体と接触させ、その酵素と抗体との複合体を検出する工程を含む。本発明の主要な目的は、精製ヒアルロニダーゼ(hpHAse)を提供することである。精製ヒアルロニダーゼは、癌治療、特に腫瘍抑制遺伝子LuCa−1の欠陥に関連する癌治療を含む様々な臨床治療に用いることができる。本発明の利点は、精製hpHAseが現在利用可能な市販ヒアルロニダーゼ製剤より治療的利用により適しているということである。この市販ヒアルロニダーゼは、非ヒト由来であり、(1種ではなく)2種のヒアルロニダーゼを含み、SDS−PAGE分析で測定すると、極めて不純な混合物で、多様なタンパク質を含有する。これら多様なタンパク質には、数種の未同定タンパク質および抗凝固活性を含む種々の生物学的活性を有するタンパク質(Doctorら、Thrombosis Res.,30:565-571))が含まれる。精製hpHAseは、“清浄”なヒアルロニダーゼ供給源を提供し、現在利用できる市販の製剤に付随する副作用のいくつかを誘発する可能性が少なく、さらに特定の用量と結びついた活性レベルの制御を容易にする。本発明の別の利点は、現在の工業的製造では廃棄される血漿の脂質分画からhpHAseを精製することができることである。本発明のHAseアッセイの利点は、従来のELISA様アッセイよりも少なくとも1000倍感度が高いHAse活性のアッセイを提供することにある。さらに、本発明は、容易かつ効率的に調製できるビオチン付加ヒアルロン酸を提供する。本発明の抗天然aaHAseアッセイの利点は、天然のaaHAseと結合する抗体の迅速なスクリーニングを提供することにある。本発明の別の利点は、hpHAseを特異的に検出することにより、LuCa−1発現およびLuCa−1欠陥に関連する疾患(例えば小細胞型肺細胞癌のような癌)に対する感受性を有する患者の血清もしくは尿中hpHAseレベルと該疾患との相関性を測定する特異的な手段が可能となることである。本発明のこれらの目的および他の目的、並びに特徴は、以下にさらに完全に記述する本発明の詳細を通読するにしたがって当業者には明らかとなるであろう。【図面の簡単な説明】図1は、ビオチン付加HAの共有結合のための表面の化学的物理的構造を示す模式図である。図2は、ビオチン付加HAの化学構造を示す模式図である。図3は、本発明の抗天然酸活性HAse抗体アッセイの工程を示す模式図である。図4は、種々の濃度の抗天然hpHAse17E9抗体(白丸)または結合コントロール抗体(白四角)で免疫沈澱させた後のヒト血漿の上清に付随するヒアルロニダーゼ活性を示すグラフである。図5は、LuCa−1の推定アミノ酸配列(配列番号:3)と天然のHAsePH20のアミノ酸配列(配列番号:11)との整合を示す模式図である。同一のアミノ酸残基は黒地で示す。図6は、LuCa−1/hpHAseのハイドロパシー・プロットである。図7Aは、LuCa−1発現cos−7細胞と条件付け培養液(黒塗り棒)および偽トランスフェクト細胞と条件付け培養液(白棒)の洗剤抽出物の酸活性HAse活性を示すグラフである。図7Bは、LuCa−1発現Hek293細胞と条件付け培養液(黒塗り棒)および偽トランスフェクト細胞と条件付け培養液(白棒)の洗剤抽出物の酸活性HAse活性を示すグラフである。図8は、ヒト血漿(白四角と実線)、cos−1細胞で発現させた組換えLuCa−1(黒四角と点線)、およびVI−S型精巣ヒアルロニダーゼ(黒丸と点線)から精製したhpHAseのHAse活性の最適pHを示すグラフである。図9は、正常なヒトケラチノサイト及び幾つかの癌細胞系の細胞層及び条件付け培養液でのhpHAseの発現を示すグラフである。図10は、HSC−3頭部および頸部有棘細胞癌細胞の動物モデルでの成長に対するhpHAseの腫瘍周囲への注射の効果を示すグラフである。図11は、動物モデルでの腫瘍成長に対する形質転換HSC−3細胞のhpHAse発現の効果を示すグラフである。図12は、動物モデルでの悪液質に対する形質転換HSC−3細胞のhpHAse発現の効果を示すグラフである。好ましい態様の詳細な説明本発明の精製ヒアルロニダーゼおよびそれをコードするDNAについて述べる前に、本発明は、記載されている特定の方法、プロトコル、細胞株、ベクターおよび試薬そのものに限定されず、もちろん変更可能であることを理解すべきである。さらにまた、本明細書で使用する用語は、具体的な態様を説明することを目的としており、本発明の範囲を限定しようとするものではないことを理解すべきである。本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定されるであろう。本明細書および添付の請求の範囲で用いるとき、不定冠詞”a”および定冠詞”the”の単数形は、文脈が明らかに別のものを指す場合を除いて複数の対象物を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば“1個のヒアルロニダーゼをコードするDNAを含む1個の形質転換細胞”といえば、複数のそのような細胞を含み、“1個の該形質転換ベクター”といえば、1つまたは2つ以上の形質転換ベクターおよび当業者に既知の複数のその均等物を含む等々である。特記しない限り、本明細書で使用される全ての技術的および学術的用語は、本発明が属する分野の通常の技術を有する者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または均等のいずれの方法、装置および材料も本発明の実施または試験で用いることができるが、好ましい方法、装置および材料をこれから述べる。本明細書に記載する全ての刊行物は、本発明に関連して用いることが可能な当該文献に記載されている細胞系、ベクターおよび方法を説明し開示する目的のために参照として本明細書に含まれる。定義“酸活性ヒアルロニダーゼ”または“aaHAse”とは、ヒアルロナンの切断でβ-1,4-エンドグリコシダーゼ活性を有し、かつHAse活性の最適pHが約pH3.7であるヒアルロニダーゼを意味する。本明細書で使用されるaaHAseはヒト血漿ヒアルロニダーゼを含む。“ヒト血漿ヒアルロニダーゼ”、“ヒト血漿酸活性ヒアルロニダーゼ”および“hpHAse”とは、ヒト血漿に天然に見出され、以下の特性を有するヒアルロニダーゼを意味する。1)ヒアルロンの切断でβ-1,4-エンドグリコシダーゼ活性;2)HAse活性における最適pHが約pH3.7;3)12.5%SDS−PAGE非還元型ゲル電気泳動で決定した分子量が約57kDa;4)酵素比活性が約2×105から8×105濁度減少単位(turbidity reducing unit(TRU))/mg精製後タンパク質;5)モノ-P f.p.l.c.上でクロマトフォーカシングで溶出して決定したとき等電点がpH6.5;6)温度誘発洗剤相抽出でトリトンX−114洗剤濃厚相へ分配される;7)ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD、およびN−グリコシダーゼ−Fによる切断に耐性を示す脂肪酸翻訳後修飾(例えば脂質アンカー);8)少なくとも2つのN-連結糖付加部位;および9)下記のアミノ酸配列(配列番号:1)を有すること;式中、MAGHLLPICALFLTLLDMAQG(配列番号:2)は、翻訳後修飾時に切断されるシグナル配列である。本明細書で使用される“hpHAse”は、天然に存在するhpHAseのアミノ酸配列を有するhpHAseポリペプチドとともに、アミノ酸置換、欠失および/または付加(例えば融合タンパク質)などにより、天然に存在するアミノ酸配列に対して改変されているhpHAseを包含する。“hpHAse”は、生物学的に活性な(例えば抗hpHAse抗体と結合し、および/またはヒアルロニダーゼ活性を示すことができる)hpHAseポリペプチドを包含するのが好ましい。“hpHAseの尿型”または“尿hpHAse”とは、ヒトの尿中に見出され、以下の特性を有するhpHAseの形態を意味する。1)ヒアルロンの切断でβ-1,4-エンドグリコシダーゼ活性;2)HAse活性における最適pHが約pH3.7;3)12.5%SDS−PAGE非還元型ゲル電気泳動を用いるゲルザイモグラフィーで決定したとき分子量が約57kDa;4)LuCa−1に特異的な抗天然hpHAseモノクローナル抗体で免疫沈澱;5)モノ-P f.p.l.c.上でクロマトフォーカシングで溶出して決定したとき等電点がpH6.5;及び6)温度誘発洗剤相抽出でトリトンX−114洗剤濃厚相へ分配される。“天然hpHAse”とは、その天然に存在する構造で折り畳まれた(すなわちhpHAseは変性していない)hpHAseを意味する。天然のhpHAseが天然に存在するhpHAseの完全なアミノ酸配列(配列番号:1)を含まない場合、天然のhpHAseポリペプチドは、折り畳まれたときに、天然のhpHAseと結合する抗体が該hpHAseポリペプチドと結合するように天然の完全長のhpHAseの三次元エピトープに極めて類似するポリペプチドである。“天然のhpHAse”は、ヒトの血漿、血液、血清および尿中に天然に見出されるhpHAse、並びに組換えによって(例えばホ乳類細胞での発現によって)産生されるhpHAseの双方を包含する。“ポリペプチド”とは、長さに関係なく、又は翻訳後修飾(例えば糖付加、リン酸化または脂肪酸鎖の修飾)に関係なく、一切のアミノ酸の鎖を意味する。“実質的に純粋なポリペプチド”とは、該ポリペプチドに天然に付随する成分から分離されたポリペプチドを意味する(例えば、ヒトの血漿から精製した実質的に純粋なphHAseポリペプチドは、ヒト血漿に通常付随する成分を実質的に含まない)。典型的には、ポリペプチドは、少なくとも60重量%のときに実質的に純粋であり、該ポリペプチドに通常付随するタンパク質および天然に存在する有機分子を実質的に含まない。好ましくは、調製物は、hpHAseポリペプチドが少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%である。実質的に純粋なhpHAseポリペプチドは、例えば天然の供給源(例えばホ乳類の血漿、好ましくはヒト血漿)からの抽出によって;hpHAseをコードする組換え核酸の発現によって;または該タンパク質を化学的合成することによって得ることができる。純度は、適切ないずれかの方法、例えばクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析によって測定できる。タンパク質は、天然の状態で該タンパク質に付随する不純物から分離されているとき、天然に付随する成分を実質的に含まない。したがって、化学的に合成されたタンパク質、または天然にそれが生成される細胞とは異なる細胞系で産生されるタンパク質は、それに天然に付随する成分を実質的に含まないであろう。したがって、実質的に純粋なポリペプチドは、真核生物に由来するものだけでなく、大腸菌または他の原核細胞で合成されたポリペプチドを含む。“抗体”とは、抗原と結合できる免疫グロブリンペプチドを意味する。本明細書で使用される抗体には完全な抗体、並びに問題のエピトープ、抗原または抗原フラグメントと結合できる一切の抗体フラグメント(例えばF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv)を含む。本発明の抗体は、天然hpHAseポリペプチドに対して免疫応答性または免疫特異的であるため、該天然hpHAseと特異的かつ選択的に結合する。抗hpHAse抗体は好ましくは免疫特異的である(すなわち、関連物質と実質的に交差反応性をもたない)。抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、好ましくはモノクローナルである。“特異的に結合する”とは、特異的ポリペプチド、即ちhpHA抗体のエピトープとの抗体の高いアビディティ結合および/または高い親和性結合を意味する。この特異的ポリペプチド上での抗体とそのエピトープとの結合は、好ましくは同じ抗体と他の一切のエピトープとの結合(特にサンプルに付随するかまたは同じサンプル中の分子に存在するエピトープ)よりも強い。なぜならば、例えば問題の特異的ポリペプチドはヒト血漿中の他の成分よりもhpHAseとより強力に結合するからである。問題のポリペプチドと特異的に結合する抗体は、弱いながら検出可能なレベル(問題のポリペプチドに対して示される結合の例えば10%またはそれ未満)で結合することが可能であろう。そのような弱い結合またはバックグラウンド結合は、問題の化合物またはポリペプチドと結合する特異的な抗体と、例えば適切なコントロールの使用によって、容易に判別できる。一般に、107リットル/モルまたはそれ以上、好ましくは108リットル/モルまたはそれ以上、さらに好ましくは109l/モルまたはそれ以上の結合親和性で天然のhpHAseと結合する本発明の抗体はhpHAseと特異的に結合すると言える。一般に、104l/モルまたはそれ未満の結合親和性をもつ抗体は、現在用いられる通常の方法で検出できるレベルで抗原と結合しないということで有用ではない。“抗天然hpHAse抗体”または“抗hpHAse抗体”とは、天然の(非変性)hpHAseと特異的に結合する抗体を意味する。好ましくは、そのような抗体を用いて、ヒトの血漿および/または例えばホ乳類細胞によって発現された組換えhpHAseから天然に存在するhpHAseを(例えば免疫沈澱または免疫親和性カラムクロマトグラフィーによって)免疫精製することができる。“機能可能に連結された”とは、適切な分子(例えば転写アクチベータータンパク質)が調節配列に結合し、したがって例えばhpHAseポリペプチド、組換えタンパク質、またはRNA分子の産生を促進するときに問題のDNAの遺伝子発現を可能にする態様で、その問題のDNA(例えばhpHAseポリペプチドをコードするDNA)および調節配列が連結されることを意味する。“形質転換”とは、新規なDNA(すなわち当該細胞にとって外因性DNA)の取り込みに続いて細胞内で誘発される永久的遺伝的変化を意味する。細胞がホ乳類細胞の場合、永久的遺伝的変化は一般に、そのDNAを細胞ゲノム内に導入することによって達成される。“ベクター”とは、本発明のhpHAseポリペプチドをコードするDNAによるホスト細胞の形質転換を促進する一切の生物学的または化学的合成物を意味する。“実質的に同一”とは、ポリペプチドまたは核酸が、参照アミノ酸配列または核酸配列に対して少なくとも50%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%の相同性を示すことを意味する。ポリペプチドについては、比較配列の長さは一般に、少なくとも16アミノ酸、好ましくは少なくとも20アミノ酸、より好ましくは少なくとも25アミノ酸、最も好ましくは35アミノ酸であろう。核酸については、比較配列の長さは、一般に少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも60ヌクレオチド、最も好ましくは110ヌクレオチドであろう。配列同一性は典型的には配列分析ソフト(配列分析ソフトは、例えばウィスコンシン大学、バイオテクノロジー・センターのジネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,マジソン、ウィスコンシン州、53705)による配列分析ソフトパッケージ(Sequence Analysis Software Oackage))を用いて測定される。そのようなソフトは、種々の置換、欠失、およびその他の変更に対して相同性の度合いを決定することによって類似の配列を整合させる。典型的には、保存的置換は以下のグループ内の置換を含む。グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。“処置”及び“処置する”という用語は、一般に所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味するのに本明細書では使用される。この効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという意味で予防的であってもよく、並びに/または、疾患及び/もしくはその疾患をもたらす有害な作用を部分的または完全に治癒させるという意味で治療的であってもよい。本明細書で使用される“処置”とは、ホ乳類、特にヒトの疾患の一切の処置を包含し、これには(a)ある疾患(例えば癌)に罹患する傾向を有するが未だ罹患していると診断されていない対象者で当該疾患の発生を防止すること;(b)該疾患を抑制すること、即ちその進行を停止させること;または(c)該疾患を緩和させること、即ち該疾患を退行させること(例えば腫瘍容積の減少、悪液質の鈍化)が含まれる。本発明は、LuCa−1遺伝子(hpHAseをコードする遺伝子)欠陥に付随する癌を有するか、またはその疑いのある患者の処置に関する。“治療上有効量の実質的に純粋なhpHAseポリペプチド”とは、所望の治療効果を促進させるのに有効な、実質的に純粋なhpHAseポリペプチドの量を意味する。所望する正確な治療効果は処置すべき症状にしたがって変化するであろう。例えば、ヒアルロナンの所望の分解は、過剰ヒアルロナン、不所望の細胞運動性(例えば腫瘍細胞の転移)に付随する症状の処置において、および/または投与部位の生理的液体の循環を強化させるために、および/または腫瘍成長または進行を抑制するために、患者にhpHAseが投与される場合に所望される治療効果である。LuCa−1欠陥に関連する癌をもつかまたはその疑いがある患者を処置するのにhpHAseが投与される場合、望ましい治療効果の1つには、腫瘍細胞の成長抑制およびアポプトシスに対する腫瘍細胞の閾値の低下(すなわちプログラムされた細胞死の引き金となるものへの細胞の感受性の増強)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。hpHAseの治療効果は、hpHAseのヒアルロニダーゼ活性、コンドロイタナーゼ活性またはその両方に付随しているであろう。“LuCa−1欠陥”または“hpHAse欠陥”とは、細胞の染色体3p.21.3部位における遺伝的欠陥を意味する。この欠陥は、正常細胞のhpHAse活性レベルと比較してhpHAse活性レベルの低下、および/または罹患患者の血清または血漿中のhpHAse活性レベルの低下(例えばhpHAse発現の低下または欠陥hpHAseの発現のため)を伴う。“LuCa−1欠陥”または“hpHAse欠陥”はまた、罹患患者の血清または血漿中のhpHAse活性レベルの低下を伴う細胞性欠陥(例えばhpHAseの血流中への輸送における欠陥)も包含する。例えば、LuCa−1欠陥に関連する肺癌をもつ患者由来の血漿は、通常の患者(すなわちLuCa−1欠陥に関連する癌をもたない患者)の血漿より約50%未満のhpHAse活性を示す。健常人の血漿は、本発明のHAseアッセイを用いて測定したとき、hpHAse活性が約15rTRU/mgを示す。LuCa−1欠陥に関連する肺癌患者の血漿のhpHAse活性は約7.5rTRU/mgである。“LuCa−1欠陥に関連する症状をもつか、またはその疑いがある”とは、LuCa−1遺伝子座におけるヘテロ接合型、ホモ接合型または後成型(epigenetic)欠陥を有するか、および/または通常の患者(すなわちhpHAseレベルの変化をもたらすLuCa−1欠陥をもたない患者)のhpHAseレベルと較べてhpHAseレベル(例えば血清hpHAseまたは尿hpHAse、好ましくはhpHAse)の低下を伴うLuCa−1遺伝子座外のなんらかの遺伝的欠陥をもつ患者を意味する。LuCa−1欠陥に付随する症状をもつか、その疑いがある典型的な患者は、正常レベルのhpHAseを発現しない癌または前癌細胞(例えば転移性癌)をもつ患者である。これからさらに詳細に本発明について説明する。ヒアルロニダーゼ活性のアッセイ本発明のHAseアッセイは、1-エチル-ジメチルアミノプロピルカルボジアミド(EDC、ClCH2CH2Cl、Sigma)およびビオチンヒドラジド(Pierce)を用いる簡単な一工程反応を介して、フリーのカルボキシル基のビオチン付加によるHAの標識化を必要とする。簡単に記せば、溶解HAおよび溶解ビオチンヒドラジドを含んでなる溶液をEDCと混合する。ビオチンは、EDCおよびHAに対して過剰に存在するのが好ましい。存在するEDCのモル量は、HAの二糖類単位のカルボキシル基とビオチン部分のNH基との間に見出されるべき所望の共有結合の数(すなわちHA二糖類単位数に対する所望のビオチン部分の数)にしたがって変動する。HA二糖類単位:EDCのモル比は、85:1である一方、ビオチンヒドラジド:EDCのモル比は38:1であるのが好ましい。得られるHA−bHA化合物の代表的な化学構造を図1に示す。HA−EDC−ビオチンヒドラジド反応の完了後、非共役ビオチンを透析、好ましくは蒸留水に対して透析して除去することができる。得られたビオチン付加HA基質(bHA)は、HA分子に共有結合したEDC−ビオチン部分を、HA分子中に二糖類部分200単位毎に、好ましくは二糖類部分150単位毎に、より好ましくは二糖類部分85〜100単位毎に1つのEDC-ビオチン比で有する。EDC−ビオチン:HAのモル比は、1:1(例えば二糖類1単位に対して1つのEDC−ビオチンが結合)〜5:1(例えば二糖類100単位を含むHA分子に対して1つのEDC−ビオチンが結合)の範囲であろう。bHA試薬は好ましくは-20℃で使用まで保存できる。HAse活性の検出用アッセイ装置は、例えば共有結合部NH−CH3を有する微量定量ウェル(例えばコバリンク(Covalink)−NH微量定量プレート、NUNC,ニュージャージ州、Placerville)の表面にbHAを接合させることによって調製する。共有結合のための表面の代表的な化学的および物理的構造を図2に示す。そのような基質の調製方法及び化合物を共有結合により固定するのにそのような基質を用いることは、当技術分野で周知である(例えば米国特許第5,427,779号明細書(1996年6月27日発行)およびPCT公開出願第WO8905329号(1989年6月15日公開)を参照のこと)。bHAをアッセイ装置に接合することは、例えば製造元の説明書にしたがってコバリンク−NHウェル中でEDCとともにbHAをインキュベートすることによって達成される。未結合bHAはウェルを緩衝液で洗浄して除去される。プレートのウェルに残留するbHAは該ウェルの表面に共有結合している。得られたアッセイ装置は、テストサンプルに曝されるべき表面に共有結合したbHAを含み、このbHAは、少なくとも1つの共有結合、好ましくはbHA分子中の二糖類単位200毎に少なくとも1つの共有結合、より好ましくは二糖類単位100毎に少なくとも1つの共有結合、最も好ましくはbHA分子中の二糖類単位50毎に少なくとも1つの共有結合によって該表面に結合している。プレートを調製後約1週間から10日以内に使用するのが好ましい。HAse活性アッセイを、共有結合bHAを有するアッセイ装置のウェルにテストサンプルを配置し、テストサンプル中のhpHAseがウェル中のbHAを分解するのに十分な時間、サンプルをインキュベートすることによって行う。テストサンプルは、HAse活性を有すると考えられるいずれのサンプル(例えば生物学的サンプル(例えば血液、血清、血漿、尿、または組換え供給源に由来するサンプル)または生化学的精製中の工程で得られるサンプル)でもよい。既知量のhpHAse活性を有するサンプルをコントロールとして該アッセイを行うのが好ましい。インキュベーション緩衝液のpHは、サンプル中のHAse活性の最適pHにしたがって調節できる(例えば、中性HAse活性(pH約7.0〜7.5)、酸活性HAse活性(pH約4.5より低く、好ましくは約pH3.0〜3.7である)。インキュベーション後、ウェルを洗浄して分解bHAを除去し、例えば残留bHAとアビジンペルオキシダーゼとの反応及びマイクロプレート読み取り装置による検出によって残留する未分解bHAを検出する。bHAがアッセイ装置に共有結合することによって、未分解bHAがプレートから流出することを防止し、したがってアッセイの感度および精度が高まる。さらに、本アッセイは完了までにわずか60分またはそれ未満を必要とするだけで、さらに感度は通常の比色アッセイ(Afifyら、上掲書)より1,000倍高く、SDS式ゲルザイモグラフィーよりも約1,000〜5,000倍高い。本発明のHAseアッセイは、サンプル中の酸活性または中性HAse活性の有無を(定性的または定量的に)決定しようとする種々の用途に用いることができる。ある態様として、本発明のHAse活性アッセイは、HAse活性における欠陥(例えばhpHAseの血漿活性低下を伴うLuCa−1/hpHAseにおける欠陥)を有する患者の同定に有用である。ヒアルロニダーゼの比活性は濁度減少単位(TRU)で表される。1TRUは、ヒアルロナンの酸性溶液の濁度を減少させるために必要なヒアルロニダーゼ活性の量と定義され、U.S.P./国民医薬品集(NF XIII)単位(NFU)に相当する。上記のアッセイを用いて得られた結果は、U.S.P.によって標準化したヒアルロニダーゼサンプル(例えばWYDASE(登録商標)、Wyeth-Ayerst)の標準曲線を介してTRU、NFUおよびU.S.P.単位と相関させることができる。例えば、標準曲線をウシ精巣ヒアルロニダーゼ(WYDASE(登録商標))の段階的希釈物を同時にインキュベートすることによって作成し、4種のパラメーター曲線で内挿した既知サンプルの活性を適合させて、相対的TRU(rTRU)/mlにおける値を得ることができる(Dorfmanら、J.Biol.Chem.,172:367(1948))。生化学的hpHAse精製方法酸活性ヒアルロニダーゼ活性は、非イオン性洗剤(例えばトリトンX−114)による温度誘発洗剤相抽出によって顕著に濃縮および/または精製することができる。一般に、例えばhpHAseのような酸活性HAse(aaHAse)を含むサンプルまたは含むと思われるサンプルを、低温(例えば実質的に室温より低い温度、好ましくは約15℃未満、より好ましくは約4℃)で非イオン性洗剤を含む溶液に溶解する。サンプルは、例えば未加工ヒト血漿、血小板脱顆粒のない古くなったヒト血漿(例えばクエン酸塩添加による)、ヒト血漿の脂質分画、ヒト血液、ヒト血清、ヒトの尿、または組換えaaHAseを発現する細胞(例えばホ乳類、昆虫、細菌または酵母細胞、好ましくはホ乳類細胞)の条件づけ培養液もしくは該細胞溶解物とすることができる。好ましくは、該サンプルはヒト血漿またはヒトの尿であり、これらは特にhpHAseの豊富な供給源である。血漿からの精製は、血漿分画が血清または全血よりも総タンパク量が少ないので、全血または血清から精製するより有利である。サンプルを溶解した後、溶液の温度を少なくとも室温またはそれより高い温度(好ましくは約25℃より高く、より好ましくは約37℃)に上昇させ、それによって洗剤濃厚相および洗剤希薄相を生成させる。aaHAseは洗剤濃厚相へ分配される。この洗剤濃厚相は、洗剤濃厚相の除去および温度誘発洗剤相抽出の繰り返しによってさらにaaHAseが濃縮される。この温度誘発洗剤相抽出を3回繰り返すことによって、出発材料のaaHAse活性に対して少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約20倍、より好ましくは少なくとも約60倍aaHAseが濃縮される。洗剤濃厚相のaaHAse活性は、例えば陽イオン交換クロマトグラフィーおよび/またはヒドロキシルアパタイト樹脂によってさらに濃縮および精製できる。抗天然aaHAse抗体の製造と特定ある任意の抗原から抗体を製造する方法は知られているが、これまで抗天然aaHAse抗体(例えば抗天然hpHAse抗体)を製造する試みは失敗に終わっている。変性抗aaHAseと結合する抗体は製造されたことがあるが、通常の方法および通常のELISAアッセイを用いて製造されたこれらの抗体は、天然の(すなわち非変性)aaHAseとは結合しなかった(Harrisonら、J.Reprod.Fertil.,82:777-85(1988))。本明細書に開示する方法に従うことによって、天然のaaHAse(例えば天然のhpHAse)と結合する抗体が得られた。同様に、当業者は本明細書に概略した方法にしたがって、他の抗天然hpHAse抗体を含む他の抗天然aaHAse抗体を生成することができる。一般に本発明は、天然のaaHAseと結合する抗体を検出するスクリーニングアッセイを提供することによって、aaHAse抗体の製造に付随する問題を克服した。抗hpHAse抗体の作製当技術分野で周知であり日常的となっている方法にしたがって、ホ乳類(例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ)の免疫およびハイブリドーマ細胞系の製造にaaHAseを抗原として用いることができる(例えばHarlow & Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(1988),Cold Spring Harbor Laboratory刊、ニューヨーク州、Cold Spring Harbor;及びSchrierら、Hybridoma Techniques(1980),Cold Spring Harbor Laboratory刊、ニューヨーク州、Cold Spring Harborを参照のこと)。抗原調製体に用いられるaaHAseは、該aaHAseが天然に存在する供給源(例えばヒト血漿から精製したhpHAse)、組換えaaHAse、生物学的に活性な(例えば抗原的におよび/または酵素的に活性な)aaHAseポリペプチド、天然のaaHAse、および/または変性aaHAseポリペプチドから精製できる。該aaHAseが組換えaaHAseの場合、該組換えaaHAseは天然に存在するaaHAseのアミノ酸配列を有していてもよいか、または天然のaaHAseに対して(例えばアミノ酸置換、欠失、または付加(例え融合タンパク質)によって)修飾されていてもよい。抗原調製体は、天然のaaHAse(例えばaaHAseが天然に存在する供給源から精製されたaaHAseまたは完全長の組換えaaHAse)であるのが好ましい。aaHAseはいずれの酸活性ヒアルロニダーゼでもよいが、好ましくはaaHAseはhpHAseである。抗aaHAse抗体のためのアッセイハイブリドーマ細胞系によって分泌された抗体は、本発明の抗天然aaHAse抗体アッセイでスクリーニングされる。一般に、このアッセイは、1)抗抗体;および2)検出可能に標識化したヒアルロン酸(HA)が結合した不溶性支持体を必要とする。抗抗体は、抗原の特異性に関係なくaaHAse免疫化ホ乳類ホストによって産生された抗体に結合することができる。例えば、免疫化ホストがマウスの場合、抗抗体はヤギの抗マウス抗体(すなわちマウスの抗体で免疫したヤギから得られた抗体)である。抗抗体は、aaHAseで免疫化したホ乳類ホストによって産生された抗体のFc部分と結合するのが好ましく、かつ免疫グロブリンのクラスまたはサブクラスに特異的に結合(例えばIgGまたはIgGサブクラス(例えばIgG1またはIgG2)と特異的に結合)することができる。抗抗体は、不溶性支持体の表面と共有結合するのが好ましい。検出可能に標識化したHAは、上記のHAseアッセイにおいてビオチン付加HA(bHA)であるのが好ましく、上記のように不溶性プレートの表面に共有結合されているのが好ましい。本発明の抗aaHAseアッセイの模式図を図3に示す。本発明の抗aaHAse抗体アッセイは、非酸性条件下で(即ちaaHAseが酵素的に活性でない条件下で)、aaHAseはそれらのHA基質と結合しないという本発明者らの観察を利用する。一般に、本アッセイは、候補抗体を天然のaaHAse(例えば天然のhpHAse)を含有するサンプルと接触させて天然aaHAse/抗体複合体を生成させることによって実施される。この接触工程を非酸性、好ましくは中性pHで行うのが好ましい。続いて、非酸性(好ましくは中性)条件下で、結合抗抗体及び検出可能に標識化したHAを有する不溶性支持体とサンプルを接触させ、抗抗体を該候補抗体に結合させることによって天然aaHAse/抗体/抗抗体複合体を生成させる。過剰または未結合物質を非酸性(好ましくは中性)溶液で洗い流すのが好ましい。この洗浄緩衝液を、aaHAseの酵素活性を許容するpHを有する酸性溶液と置換する。この酸性溶液は、aaHAseのHA分解活性に最適なpHに近いpHであるのが好ましい。例えば、aaHAseがhpHAseである場合、酸性溶液は、pH3.7であるのが好ましい。天然aaHAse/抗体/抗抗体複合体中に結合した免疫沈澱させたaaHAseにより、検出可能に標識化したHAが分解されるのに十分な時間、好ましくは60分間、サンプルを不溶性支持体と共にインキュベートする。その後、サンプルを洗浄し分解HAを除去し、未分解HAをその標識によって検出する。例えば、検出可能標識がビオチンである場合、未分解bHAは上記のHAseアッセイで上述したように検出される。HAの分解はサンプル中のaaHAseの存在と相関し、該酵素の存在はさらに抗天然aaHAse抗体の存在と相関する。本発明の抗体の一般的性状を以下に説明する。抗体/抗原結合力抗原と抗体を一緒に保持する力は、4つの一般的領域に分類される。即ち、(1)静電気力;(2)水素結合;(3)疎水性;及び(4)ファンデルワールス力である。静電気力は2つのタンパク質側鎖上の反対に荷電したイオン群の間の引力による。引力(F)は電荷間の距離(d)の二乗に反比例する。水素結合力は、親水基間、例えば−OH、−NH2および−COOH間の可逆性水素ブリッジの形成による。これらの力は、これらの基を有する2つの分子が近接配置されているか否かにもっぱら依存する。疎水力は、水中油滴が合流してただ1つの大きな油滴を形成するのと同じ態様で作用する。したがって、非極性疎水基、例えばバリン、ロイシンおよびフェニルアラニンの側鎖は水性環境中で結合しようとする。最後に、ファンデルワールス力は外部電子雲間の相互作用によって分子間で生じる力である。異なるタイプの力についての更なる知見は当技術分野では既知である(例えば、Essential Immunology(1988、I.M.Roitt編、第6版、Blackwell Scientific Publications刊)を参照のこと)。本発明の有用な抗体はこれらの力を全て示す。これらの力を大量に蓄積させることによって、天然のaaHA酵素に対して高度の親和性または結合力を有する抗体、特にaaHAseが天然に存在する材料(例えばヒト血漿)中でaaHAseに対して強い結合力を有する抗体を得ることができる。抗体/抗原結合強度の測定抗体と抗原間の結合親和性は、上述の力の全ての測定値を合計したものである。そのような測定を実施する標準的な手順は当技術分野で既知であり、本発明の抗天然aaHAse抗体の親和性を測定するのに直接利用することができる。抗体/抗原結合親和性を測定する標準的方法の1つは、抗原を透過させることができるが抗体を透過させない物質で構成された透析サックを使用する。抗体と完全にまたは部分的に結合する抗原を透析サック内の溶媒(例えば水)中に入れる。続いてこのサックを、抗体も抗原も含まないが溶媒のみを含むさらに大きな容器に入れる。抗原のみが透析膜を通過して拡散することができるので、透析サック内の抗原濃度と外側の大きな容器内の抗原濃度は平衡に到達しようとする。透析サック内の抗体と結合したままの抗原量と抗体から解離した量を、透析サック内の抗原濃度および透析サック外の溶媒内の抗原濃度を測定することによって算出する。周囲の容器内の溶媒(例えば水)を定常的に更新して一切の拡散抗原を除去することによって、透析サック内の抗原から抗体を完全に解離させることが可能である。周囲の溶媒が更新されない場合、この系は平衡に達し、反応、即ち抗体と抗原間の結合と解離の平衡定数(K)を計算できる。平衡定数(K)は、透析サック内の抗原に結合した抗体濃度を遊離抗体の結合部位濃度と遊離抗原濃度とを掛けたもので割った値に等しい量である。平衡定数即ち“K”値は一般にリットル/モルで測定される。K値は、抗原と抗体との複合形で比較したときの遊離状態の抗原と抗体間の遊離エネルギーの差(ΔG)の測定値である。107l/モル〜109l/モルまたはそれ以上の親和性またはK値を有する抗天然aaHAse抗体が好ましい。抗体結合活性上記で指摘したように、“親和性(affinity)”という用語はただ1つの抗原決定基と抗体との結合をいう。“結合活性(avidity)”という用語は抗体と多価抗原との相互作用をいうために用いられる。結合活性に寄与する因子は複雑であり、抗原上の各決定基に対して関連するある血清中の抗体の不均一性および決定基それ自体の不均一性の双方が含まれる。ほとんどの多価抗原では、抗体による2つの抗原分子の結合は個々の抗体の結合の算術的総和よりも常に大きく、通常は何倍も大きい興味深い“ボーナス”効果をもたらす。したがって、抗血清と多価抗原との間で測定される結合活性は、抗体と単一の抗原決定基との間の親和性よりもいくぶん大きいであろうことは理解されるところである。抗天然aaHAse抗体の使用抗天然aaHAse抗体は、免疫精製技術および免疫検出技術を含む種々の免疫的技術で有用である。そのような免疫的技術で有用な抗天然aaHAse抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、好ましくはモノクローナル抗体である。免疫的技術で有用な抗天然aaHA抗体は、平衡定数または親和性定数(Kd)が少なくとも107l/モル〜109l/モルまたはそれ以上を示すのが好ましい。107l/モルまたはそれ以上の結合親和性は、(1)ただ1種のモノクローナル抗体(すなわち一種類の抗体が多数存在)、(2)複数の異なるモノクローナル抗体(例えば5種の異なるモノクローナル抗体の各々が多数存在)または(3)多数のポリクローナル抗体によるであろう。(1)〜(3)の組合わせを使用することもまた可能である。好ましい抗体は、サンプル中の天然のaaHAseの50%以上と結合する。しかしながら、これは上記の(1)〜(3)によって示されたとおり幾つかの異なる抗体を用いることによって達成できる。サンプル中のより多くの割合の抗原と結合させる場合、異なる抗体の数を増加させる方がただ1種の抗体よりも一般により効果的である。したがって、天然のaaHAseと結合する2種以上の抗体を一緒に組み合わせることによって、即ち天然のaaHAseに対して結合親和性Kaが107l/モル以上である2種以上の抗体を一緒に組み合わせることによって、相乗効果を得ることができる。抗天然aaHAse抗体を用いた免疫精製抗天然aaHAseは、例えばaaHAseが天然に存在する供給源(例えばヒト血液、血漿、血清または尿由来hpHAse)、または組換えaaHAseの供給源(例えばhpHAseを発現する形質転換細胞の上清または細胞溶解物)からaaHAseを免疫精製する場合に用いることができる。本発明の抗天然aaHAse抗体を用いる有用な免疫精製技術には、免疫沈澱、ビーズ上での免疫親和性単離、免疫親和性カラムクロマトグラフィー、および当技術分野で周知の他の方法が含まれるが、これらに限定されるものではない。抗天然aaHAse抗体は免疫精製技術で有用である。本発明の抗体を用いる免疫精製法では、ただ1種の抗天然aaHAse抗体(例えばモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、好ましくはモノクローナル抗体)または多数の抗天然aaHAse抗体を用いることができる。さらに、本発明の抗天然aaHAse抗体を用いて、天然のaaHAse、好ましくは天然のhpHAseの免疫精製のための装置を調製することができる。一般に、そのような装置は、抗天然aaHAse抗体を不溶性支持体(例えばビーズ、親和性カラム成分(例えば樹脂)または免疫親和性精製で用いられる他の不溶性支持体)に共有結合させることによって調製される。または、磁化カラムを用いることによって抗天然aaHAse−aaHAse複合体を溶液から分離させることができる金属粒子に該抗体を結合させてもよい。該抗aaHAse抗体はモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよいが、好ましくはモノクローナル抗体である。不溶性支持体に結合させた抗体(また別には精製で用いられる)はまた、サンプル中の天然のaaHAseの少なくとも50%と結合することができる装置を提供するために抗aaHAse抗体の混合物を含んでいてもよい。そのような免疫精製装置を用いて、aaHAseが天然に存在する供給源(例えば未加工血清、未加工血漿または尿由来hpHAse)から、または組換えによって製造されたaaHAseからaaHAseを単離することができる。抗天然aaHAse抗体を用いる定性的および定量的免疫検出抗天然aaHAse抗体を、免疫検出アッセイを用いて、サンプル中のaaHAseを検出(所望の場合には定量)することができる。抗天然aaHAse抗体を用いる免疫検出アッセイは種々の態様でデザインすることが可能である。例えば、抗天然aaHAse抗体を用い、不溶性支持体(例えば免疫アッセイカラム、ビーズ、または微量定量プレートのウェル)に結合させた抗天然aaHAse抗体を有するアッセイ装置を製造することができる。抗体を不溶性支持体に共有結合または非共有結合によって付着させる方法は当技術分野で周知である。続いて、aaHAseを含むと思われるサンプルをアッセイ装置と接触させ、抗天然aaHAse抗体−aaHAse複合体を形成させる。その後、上記の抗天然aaHAseアッセイで述べたように、該複合体に結合したaaHAse活性によって、または該複合体を検出可能に標識化した第二の抗天然aaHAse抗体と接触させることによって、抗天然aaHAse−aaHAse複合体を検出することができる。“検出可能に標識化した抗体”、“検出可能に標識化した抗aaHAse”または“検出可能に標識化した抗aaHAseフラグメント”とは、検出可能標識を結合させた抗体(または抗原結合特異性を保持している抗体フラグメント)を意味する。検出可能標識を通常、化学的接合によって結合する。標識がポリペプチドの場合、標識を遺伝子工学技術によって結合する。検出可能標識は当技術分野で既知の多様な標識から選択できるが、通常は、放射性同位元素、蛍光発光団、常磁性標識、酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ)もしくは検出シグナル(例えば放射能活性、蛍光、発色)を放出するか、又は該標識をその基質に暴露した後検出可能なシグナルを放出する他の分子部分または化合物である。種々の検出可能な標識/基質の対(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ルシフェリン)、抗体を標識する方法、および標識化抗体を使用する方法は当技術分野で周知である(例えば、Harlow & Lane編、Antibodies:A Laboratory Manual(1988,Cold Spring Harbor Laboratory刊、ニューヨーク州、Cold Spring Harbor)を参照のこと)。または、検出可能に標識化した抗天然aaHAse抗体を直接用いて、サンプル中のaaHAseを検出および/または定量することができる。例えば、検出可能に標識化した抗天然aaHAse抗体をLuCa−1/hpHAse欠陥を有すると思われる組織サンプル(乳房、卵巣又は肺由来の組織サンプル)と十分な時間接触させて、抗天然hpHAseと組織サンプル中のhpHAse(例えば組織サンプル中の細胞形質膜内のhpHAse)との複合体を形成させることができる。続いて、該抗天然hpHAse抗体と結合した検出可能標識によって、抗天然hpHAse抗体の結合を検出および/または定量することができる。または、抗天然hpHAse抗体の結合、抗天然hpHAse抗体と結合する抗体を用いて検出してもよい。続いて、抗天然hpHAse抗体の組織サンプルとの結合を、コントロールサンプル(例えば、LuCa−1/hpHAse欠陥をもたない正常サンプルおよび/またはLuCa−1/hpHAse欠陥に関連する組織を含むサンプル)との抗天然hpHAse抗体の結合、および患者のLuCa−1/hpHAse欠陥の有無と相関する抗体結合と比較することができる。本明細書で提供される開示を読み進むにしたがって当業者には明らかなように、aaHAseの免疫検出アッセイは種々のサンプルを用いて種々の異なる態様で用いることができる。例えば、aaHAseの免疫検出アッセイを用いて、hpHAse治療を受けている患者の血清または血漿サンプル中のhpHAseを検出し、および/または患者の腫瘍進行、治療への応答および/または患者の身体へのhpHAseの取り込みに関して患者の血清または血漿中のhpHAseを相関させることができる。hpHAseが血清または尿中で検出される場合、hpHAseレベルは、LuCa−1欠陥に関連する症状に対する感受性および/または該症状の存在および/または該疾患の重篤度と相関させることができる。例えば、LuCa−1においてヘテロ接合型欠陥に関連する肺癌をもつ患者のhpHAseレベルは正常なhpHAseレベルの50%に近い。一方、LuCa−1におけるホモ接合型欠陥をもつ患者は、非常に低いかまたは検出不能のhpHAseレベルを示す。したがって、本発明のaaHAseアッセイで検出されるように、または本発明の抗天然hpHAse抗体を用いて検出されるように、hpHAseレベルは腫瘍の進行と相関させることができるだけでなく、LuCa−1における遺伝的欠陥と直接的に相関させることが可能であり、したがってLuCa−1欠陥に関連する症状(例えば癌)の疑いのある患者の特定が可能である。したがって、本発明は、hpHAseレベルを患者の機能的対立遺伝子の数と直接相関させ、さらに血液、血漿、血清または尿中のhpHAseレベルを単純に確認することによって遺伝的欠陥の検出を可能にする。hpHAseの製造方法上記に概略した精製手順の他に、hpHAseヒアルロニダーゼポリペプチドは、標準的合成技術、または組換えDNA技術を用い、さらに細菌、酵母もしくはホ乳類細胞で標準的技術により発現させることによって、製造できる。本明細書で用いるとき、“hpHAse”という用語は、該用語が用いられている内容が明瞭に別の意味を指している場合を除いて、該タンパク質の天然型、組換え型および修飾形を含む。化学合成hpHAseは、本明細書に記載したアミノ酸配列およびその変種配列を基にして、Clark-Lewisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:3574-3577(1993);及びClark-Lewisら、Biochemistry,30:3128-3135(1991)に記載されたtert−ブチルオキシ−カルボニル及びベンジル保護法を用いる標準的固相法によって合成できる。フッ化水素による脱保護の後で、該タンパク質は空気酸化によって折り畳まれ、逆相HPLCによって精製される。純度は、逆相HPLCおよび等電点フォーカシングによって決定される。アミノ酸の取り込みは合成の間モニターされ、最終組成はアミノ酸分析によって決定される。タンパク質の正確な共有結合構造はイオンスプレー質量分析法(SCIEX APIII)を用いて確認できる。hpHAseポリペプチドの合成のための組換えDNA技術下記実施例で考察するように、LuCa−1(配列番号:3)およびhpHAse(配列番号:1)は同一である。hpHAseのアミノ酸配列(配列番号:1)とLuCa−1のアミノ酸配列(配列番号:3)との間の唯一の変化は、27番目のアミノ酸残基のN末端におけるLeuがValに置換されていることである(この場合シグナル配列のN末端のMetが最初のアミノ酸残基として数えられている)。しかしながらこの2つのタンパク質はそれ以外ではアミノ酸配列並びに免疫学的および生化学的性状は同一である。hpHAseをコードするヌクレオチド配列はLuCa−1をコードする配列(配列番号:4)と同一であるが、ただし、27番目のアミノ酸残基(LuCa−1でLeu、hpHAseでVal)に対応するコドンの第三の残基のシトシンがグアニンに置換されている点を除く。したがって、LuCa−1をコードするヌクレオチド配列(配列番号:4)はhpHAseをコードするヌクレオチド配列である。LuCa−1/hpHAse遺伝子は単離され、配列が決定されている(Baderら、GenBank受託番号U03056,NIDG532973,1993年11月1日提出;GenBank受託番号U96078も参照されたい)。Baderらが報告したLuCa−1のアミノ酸およびヌクレオチド配列を下記に示す。hpHAseをコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で周知の種々の方法のいずれによっても単離できる。例えば、hpHAseをコードするDNAは、cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーからハイブリダイゼーションによる方法で単離できる。または、例えばムリスら(Mullisら、米国特許第4800159号明細書)が記載したように、合成オリゴヌクレオチドプライマーの標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または当技術分野で周知の発現クローニング法(例えばSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press刊、ニューヨーク州、Cold Spring Harbor)を参照のこと)を用いて単離することができる。hpHAseをコードするDNAを特定するためにハイブリダイゼーションまたはPCRが用いられる場合は、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーの配列は、上記に提示したLuCa−1のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を基にすることができる。hpHAseポリペプチドをコードする単離DNAの配列は当技術分野で周知の方法を用いて決定できる(例えばSambrookら、上掲書を参照のこと)。配列を確認した後で、得られたクローンを用いて、例えばhpHAseの類似体(例えば、hpHAseをコードする他のヒト対立遺伝子またはホ乳類の別の種(例えばイヌ、ラット、マウス、霊長類、ウシ)の酸活性血清ヒアルロニダーゼ)を同定するか、および/またはhpHAseをコードするDNAを発現させる目的で(例えばホスト細胞、好ましくは患者の癌性細胞でのhpHAseポリペプチド発現による抗癌療法の場合のように)ホストの標的細胞を形質転換させることができる。hpHAseをコードする構築物の作製とhpHAseポリペプチドの発現hpHAseをコードする構築物の作製およびhpHAse発現のために多数のベクターが利用できる(例えば、American Type Culture Collection,メリーランド州、ロックビルを参照のこと)。好ましくは、ベクターは真核細胞性ホストでも原核細胞性ホストでも増殖が可能であり、一般に細菌由来の複製点と問題のDNAに機能可能に連結された真核細胞性プロモーターを含んでなり、それによってhpHAseをコードする構築物の製造が可能となる。適切なホスト細胞、並びに安定的に形質転換されたホスト細胞系を構築する方法は、公共に供されている。例えば、Pouwelsら、(1985)Cloning Vectors:A Laboratory Manual;Ausubelら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons刊、ニューヨーク;Sambrookら、上掲書;Kormalら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:2150-2154(1987)を参照のこと。これらの文献の各々は、問題のDNAを操作するための方法および組成物についての参考のため本明細書に含まれる。構築物中のプロモーターが当該hpHAseコード配列と機能的に連結されるように、hpHAseポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を核酸ベクターに挿入することによって、hpHAseポリペプチドの発現を達成する。その後、その構築物は、ホスト細胞を形質転換するために用いられる。hpHAse発現は、一時的発現、構成型発現または誘発型発現のいずれかによってホ乳類細胞系で達成することができる。好ましい態様の1つとして、ホスト細胞はホ乳類細胞、好ましくはcos−7細胞系またはcos−7細胞由来細胞系である。より好ましくは、hpHAse製造用ホスト細胞は、hpHAse発現に対して防御されているホ乳類細胞である(即ち、該ホスト細胞に悪影響(例えば細胞成長遅延、細胞死)を与えることなく該細胞が高レベルでhpHAseを産生できる)。ある態様として、hpHAse耐性細胞はSV−形質転換細胞系またはアデノウイルス形質転換細胞系(すなわち切断アデノウイルスで形質転換した細胞系)、好ましくはHEK細胞系(HEK293)である。例えば、強力なプロモーター(例えばCMV)で起動されるhpHAseをコードするDNAによるHEK細胞の形質転換によって、驚くほど高いhpHAse発現および培養液中への分泌がもたらされる(約2.9×10-10mg/細胞/24時間)(>100rTRU)。そのような細胞系を使用することにより、例えばタンパク質治療で使用することができる十分量のhpHAseを製造することができる。hpHAseに耐性をもたない腫瘍細胞系での発現が望まれる場合、hpHAseをコードするDNAは、好ましくは誘発性プロモーター、好ましくは形質転換されたhpHAse構築物含有細胞の近辺の他のホ乳類細胞には顕著な影響を与えない誘発剤に応答性を有する誘発性プロモーターの制御下に置かれる。例えば、hpHAseをコードするDNAは、ステロイド誘発性プロモーター下に置くことができる(例えば、エクジソン発現系ではムリステロン(muristeron)によって誘発することができる)。標的細胞は形質転換され、誘発剤に暴露されたときにhpHAseを発現する。腫瘍をもつ患者の処置を目的として腫瘍細胞を形質転換するためにhpHAseコードDNAが使用される場合、該hpHAseをコードするDNAは一過性、構成的または誘発的に発現できるが、好ましくは一過性または構成的に発現され、より好ましくは構成的に発現される。これに加えて、またはこれとは別に、腫瘍周囲の細胞(例えば腫瘍細胞の近傍の細胞)またはhpHAseを発現し分泌することができる他の細胞(例えば肝細胞または単球)を形質転換させてもよい。組換えhpHAseポリペプチドの発現(例えば本明細書で開示する発現系のいずれかによる産生)は、免疫学的手順、例えば組換え細胞抽出物のウェスタンブロットまたは免疫沈澱分析によって、または本明細書で開示する本発明のHAse活性アッセイによってアッセイすることができる。例えば、本発明のhpHAseポリペプチドは、適切な発現担体中のhpHAseポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によって適切なホスト細胞を形質転換し、さらに該コードポリペプチドの発現を促進し、さらに好ましくは培養液中へのhpHAseの分泌を促進する条件下で該形質転換細胞を培養することによって産生できる。形質転換の方法および発現担体の選択は選択したホストシステムに左右される。分子生物学分野の通常の技術を有する者にとって、種々の原核細胞および真核細胞発現系を用いて本発明のhpHAseポリペプチドを産生することができることは理解されよう。生物学的に活性なhpHAseポリペプチドの同定hpHAseポリペプチドをコードするDNAは、hpHAseの全部または一部をコードすることができる。hpHAseポリペプチドは生物学的に活性であるのが好ましく、例えばヒアルロナンの切断で酸活性ヒアルロニダーゼ活性を示し、および/または抗天然hpHAse抗体により結合することができる。一般に、あるタンパク質の抗体を誘発する能力に関する知見および/または問題のタンパク質の酵素的または他の生物学的活性に関する知見がいったん得られれば、完全長のタンパク質の生物学的に活性なポリペプチドを同定する方法は、特に本発明の場合のように問題のタンパク質(ここではhpHAse)をコードするヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列が提供されている場合、当業者には日常的なことである。生物学的に活性なhpHAseポリペプチドは、本発明のHAseアッセイを用いることによって、または通常のHAseアッセイ(例えばELISA様ヒアルロナンアッセイ(Sternら、Matrix,12:391-403(1992))もしくは基質ゲルザイモグラフィー(Guentenhoenerら、Matrix,12:388-396(1992)))を用いることによって同定できる。または、生物学的に活性なhpHAseポリペプチドは、形質転換ホスト細胞の上清および/または細胞溶解物の成分に抗天然hpHAse抗体を結合させることによって検出できる。hpHAseポリペプチドは、好ましくは天然のhpHAse活性の少なくとも25%、より好ましくは50%、さらに好ましくは75%、一層好ましくは95%を示す。hpHAseと同種のヒアルロニダーゼの同定hpHAseと同種のヒアルロニダーゼをコードするDNA(例えば、天然hpHAseに対して保存的アミノ酸置換を含む)は、hpHAseのDNA配列および/またはアミノ酸配列(例えば、LuCa−1/hpHAse配列)を基にしたオリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーションまたはPCRによって、種々のcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをスクリーニングして得ることができる。または、使用するオリゴヌクレオチドは、例えば選択したhpHAseのアミノ酸配列を基にして縮退させるか、または保存的アミノ酸置換を有するhpHAse様アミノ酸配列をコードするDNAの検出または増幅を可能にするためおよび/またはスクリーニングされるべきホ乳類種のDNAにおけるコドン使用頻度を考慮するためにデザインしてもよい。そのような“縮退オリゴヌクレオチドプローブ”は、ハイブリダイゼーションスクリーニングの感度を高めるため、かつ他の種のhpHAse類似体またはhpHAseをコードするヒトの対立遺伝子変種を同定し単離するために組み合わせて用いることができる。アミノ酸および/またはヌクレオチド配列がコードするタンパク質を特定するために縮退オリゴヌクレオチドプローブをデザインし使用する方法、並びに同種DNAのスクリーニングおよび単離のためのハイブリダイゼーション方法およびPCR技術は、当技術分野では日常的であり周知である(例えば上掲書(Sambrookら)を参照されたい)。または、hpHAseをコードするDNAは、当技術分野で周知の発現クローニング法によって単離できる(例えば上掲書(Sambrookら)を参照のこと)。例えば、ホ乳類細胞をcDNA発現ライブラリー、即ち、真核細胞プロモーターに機能可能に連結された種々のcDNAフラグメントを含むクローン集合物で形質転換できる。hpHAse類似体またはその生物学的に活性なフラグメントの発現は、本発明のHAse活性アッセイを用いて培養上清および/または細胞溶解物を分析して検出できる。hpHAseポリペプチドを用いる治療法本発明の実質的に純粋な天然のhpHAseポリペプチド(例えばhpHAseが精製された血漿の成分を伴わないhpHAseポリペプチド)は、ヒトおよび動物の治療を含む多様な用途において、単独または他の治療薬とともに用いることができる。処置すべき症状が過剰なヒアルロン酸と関連を有する場合、および/または治療が一般にHAse活性を高めるためにデザインされている場合、本発明の精製hpHAseは一般に、中性HAse製剤即ちWYDASETM(商標)の代わりに用いることができる(すなわち、従来の中性ヒアルロニダーゼ含有製剤は、中性HAse活性における特定の欠陥を処置するためには用いられず、むしろHAse(中性または酸活性)活性を提供する)。酸活性hpHAseはHA基質の制御された分解を提供し、患者の細胞外マトリックスの全成分を分解するわけではないので、酸活性hpHAseを使用する方が中性HAseを使用するより好ましい。hpHAseを過剰なヒアルロンに付随する疾患の処置に用いて、投与部位での生理学的液体の循環を高めることができる(例えば分散剤として、例えば皮下または局所施用(例えば化粧用クリームのような化粧品製剤の場合)によって、および/または単独または化学療法剤と併用する抗癌剤として)。例えば、hpHAseを患者に投与し、注入、特に皮下注入を促進することができる。hpHAseはまた、卒中または心筋梗塞を発症した患者に(例えば輸液によって)投与できる。好ましくは、hpHAseは、ヘパリン、強力なヒアルロニダーゼ抑制物質、の非存在下または極めて低レベル下で投与される。心筋梗塞の治療のための投与方法および投与されるhpHAse量は、ウシの精巣ヒアルロニダーゼの投与方法および投与量を基準にすることができる(例えばWolfら、J.Pharmacol.Exper.Therap.,222:331-7(1982);Braunwaldら、Am.J.Cardiol.,37:550-6(1976);DeGiovanniら、Br.Heart J.,45:350(1961);DeOliveiraら、Am.Heart J.,57:712-22(1959);Klonerら、Circulation,58:220-6(1978);Klonerら、Am.J.Cardiol.,40:43-9(1977);Kovenら、J.Trauma,15:992-8(1975);Macleanら、J.Clin.Invest.,61:541-51(1978);Macleanら、Science,194:199-200(1976);Marokoら、Ann.Intern.Med.,82:516-20(1975);Marokoら、N.Engl.J.Med.,296:896-903(1977);Marokoら、Circulation,46:430-7(1972);Salete,Clin.Biochem.,13:92-94(1980);Snellら、J.Clin.Invest.,50:2614-25(1971);Wolfら、Circ.Res.,48:88-95(1981)を参照のこと)。さらに、hpHAseはまた、ヒアルロニダーゼにおける欠陥に付随するある種のリソソーム貯蔵疾患をもつ患者に投与するとき治療効果を示すことができる(Natowiczら、N.Engl.J.Med.,335:1029-33(1996))。hpHAseは、シャント経路の形態としてヒアルロニダーゼの直接投与(例えば細胞内または静脈内)によって、及び/または遺伝子治療(例えば、Luca−1遺伝子の欠陥複製物を置換する)によって治療的に用いることができる。hpHAse治療法が効果を発揮するリソソーム貯蔵性疾患は、不完全なマンノース−6−ホスフェート経路による[GlcNAcβ 1-4GlcUAβ 1-3]n(GAGs)の蓄積をもたらす疾患である。HAse活性はマンノース−6-ホスフェート経路に依存しないので、hpHAseはこれらの蓄積GAGlsを非機能的細胞系の下で分解することができる(Herdら、Proc.Soc.Experim.Biol.Med.,151:642-9(1976))。hpHAseはまた、脳腫瘍に付随する浮腫、特にグリア芽細胞腫の多形性型に付随するものの処置に用いることができる。脳腫瘍に付随する浮腫は、腫瘍近辺の脳の非癌性部分のヒアルロナンの蓄積によって生じる。ヒアルロナン蓄積部位にヒアルロニダーゼを(例えば静脈内注射またはシャント形成による)投与することにより、これらの部位で過剰なヒアルロナンを分解することによってそのような悪性疾患に付随する浮腫を軽減する。したがって、ヒアルロニダーゼは、腫瘍塊の減少および腫瘍成長および/または転移の抑制において、脳腫瘍の処置で有効であるだけでなく、悪性疾患に付随する浮腫の軽減に有用である。hpHAseは、浮腫の処置のためのウシ精巣ヒアルロニダーゼを投与する場合と同様な態様で浮腫を処置する目的として投与できる(SaEarp,Arq.Braz.Med.,44:217-20を参照のこと)。特に興味深いことは、非癌性(正常)細胞と比較して検出不可能hpHAse活性が低下した転位性および非転位性癌、特に転位性癌の処置においてhpHAseポリペプチドの使用である。hpHAseは、種々の癌、特に侵襲性腫瘍の一切の処置において、化学療法剤として(単独または他の化学療法剤と一緒に)用いることができる。例えば、hpHAseポリペプチドは、小型肺細胞癌及び有棘肺細胞癌、並びに乳房、卵巣、頭部および頸部の癌に用いることができるか、又はhpHAseのレベル低下もしくは不完全LuCa−1(hpHAse)遺伝子(例えば、適切なレベルのhpHAseの発現を提供しないか、または適切なレベルのヒアルロニダーゼ活性を提供できない不完全なhpHAseをコードするLuCa−1遺伝子)またはhpHAse活性の減少を伴う他の欠陥に関連する他の一切の癌の処置に用いることができる。hpHAseはまた、通常の化学療法に耐性を示す腫瘍の感受性を高めるために使用することができる。ある態様として、hpHAseは、LuCa−1欠陥に関連する腫瘍をもつ患者に、腫瘍部位周辺の拡散を高めるため(例えば、化学療法剤の循環を高めるため(例えば腫瘍部位または腫瘍部位周辺の化学療法剤の循環および/または濃度を高めるため)、腫瘍細胞の運動性を抑制するため(例えばHA分解によって)および/または腫瘍細胞のアポプトシスの閾値を下げるため(即ち腫瘍細胞をアノイキスの状態に置くため、すなわち、細胞死を促進することができる、好ましくはアノイキス状態の細胞のプログラム化された細胞死をもっぱら促進することができる化学療法剤または他の薬剤の作用に対して腫瘍細胞の感受性を高める状態に置くため)ために有効な量で投与される。本明細書で用いられるとき、化学療法剤は、腫瘍細胞成長の抑制を促進する、より好ましくはもっぱら腫瘍細胞死を促進する全ての分子、合成(例えばシスプラチン)並びに天然に存在する(例えば腫瘍壊死因子(TNF))分子を包含する。hpHAseによる処置が有効な疾患もしくは症状を有するかまたはそれらに感受性を有する患者は、種々の通常の方法または本発明のアッセイ装置を用いて特定できる。本発明の装置は、血液、血漿、血清または尿hpHAseレベル、好ましくは血液、血漿または血清レベルを決定し、該レベルをLuCa−1欠陥と相関させるために上記で述べたように抗天然hpHAse抗体が結合されている。例えば、患者がhpHAse活性の低下に付随する症状を有すると疑われるか、またはそのような状態に感受性を有すると疑われる場合、生物学的サンプル(例えば血液、血清または血漿)を患者から得て、上記のように抗天然hpHAse抗体を用いてHAseアッセイおよび/または免疫アッセイによって分析することができる。または、患者がLuCa−1/hpHAse欠陥に関連する癌を有するかまたはその疑いがある場合に特に、抗天然hpHAse抗体を用いて、組織サンプル中のhpHAseレベル(例えば、腫瘍組織に付随する細胞の形質膜、これら細胞内又はその周囲細胞に存在するhpHAse)を決定することができる。正常(すなわち非癌性)組織サンプルに付随するhpHAseレベルと比較して組織サンプル中のhpHAseレベルが低下していれば、LuCa−1/hpHAse欠陥に関連する癌が示唆される。hpHAseの投与ルートおよび投与される量は、処置すべき疾患、並びに大きさ、体重、年令、疾患の重篤度および治療への応答性を含む患者の種々の変動因子にしたがって大きく変動するであろう。適切な投与ルートおよび用量を決定する方法は、一般に担当医によってケースバイケースで決定される。そのような決定は当技術分野で通常の技術を有する者には日常的である(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine(第11版、1987)を参照のこと)。例えば、hpHAseを用いて皮下注入を促進させる場合、hpHAseを含む溶液を皮下注射によって投与し、該溶液(例えば栄養剤、体液補充液または血圧上昇溶液)の吸収を促進する。hpHAseは、注射、例えば皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、腫瘍周辺内および静脈内注射を含む非経口注射によって投与されるのが好ましい。好ましい態様として、例えば、hpHAseを腫瘍周辺に注射するか、腫瘍塊に直接hpHAseを注射するか、及び/又はhpHAseを発現し分泌することができる腫瘍細胞、腫瘍周囲細胞もしくは他の細胞(例えば肝細胞または単球)にhpHAseコードDNAを導入することによって、直接hpHAseポリペプチドを腫瘍部位に送達することにより、hpHAseで処置可能な腫瘍をもつ患者にhpHAseポリペプチドを投与する。hpHAseは脂肪酸(例えば脂質部分)が修飾されているので、hpHAseの作用が必要とされている部位に注射された後、hpHAseは容易に細胞の形質膜に取り込まれる(例えば、J.Cell Bio.,131(3):669-77(1995)を参照のこと)。さらに、hpHAseはまた、LDL(低密度リポタンパク質)レセプターと複合体を形成し、レセプター仲介エンドサイトーシスによって細胞内に内在化される。ある好ましい態様として、hpHAseはリポソーム製剤で患者に投与され、標的細胞(例えばLuCa−1/hpHAse欠陥をもつ癌細胞)へのhpHAseの細胞内薬剤送達および/またはそのような標的細胞の形質膜へのhpHAse取り込みをもたらす。リポソーム製剤は、リポソーム内に取り込まれたhpHAseの特異的な標的指向性薬剤送達を標的細胞に提供するために調製されるのが好ましい。hpHAseは水溶液にかなり不溶性であるので(例えば、NaCl濃度が50mM未満のときhpHAseは水溶液で沈澱する)、リポソームへの取り込みは、hpHAseの脂肪酸鎖の翻訳後修飾に付随するhpHAseの生化学的性状のために一層可溶性の調製物を作出する。さらに、hpHAseを循環系に導入することによって、hpHAseは血漿のこれらの脂質分画と同時に精製されるので、hpHAseと高密度リポタンパク質(HDL)複合体との結合をもたらすおそれがある。本発明者らによって同定された生化学的性状は、hpHAseがリポソームに容易に取り込まれることができることを示唆している。リポソームの調製方法およびそれを投与する方法は当技術分野では周知である。例えば、hpHAse含有リポソームは、Liposome Technology,G.Gregoriadis編、(1984)CRC Press刊、フロリダ州、Boca Ratonに記載されるように、洗剤を含まない免疫親和性精製(IAP)hpHAseとリポソーム製剤とを混合することによって調製できる。本発明のリポソーム製剤は、hpHAse活性を増大させる化合物を含有するのが好ましい。好ましい態様として、hpHAseリポソーム製剤は、コレステロールおよび/またはカルジオリピン、より好ましくはカルジオリピンを含有する。理論に支えられていないが、カルジオリピンは、hHAseの変性を防ぎ、したがって酵素の安定性を維持しかつ標的細胞の形質膜へのその取り込みを増大させることによってhpHAseの活性を高める。本発明者らが発見したように、hpHAse活性は、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンの存在下では増大されない。コレステロールおよびカルジオリピンを含有するリポソーム製剤が特に好ましい。hpHAseが治療、例えば化学療法に用いられる場合は特に、1つまたは2つ以上の所望の性状を提供する目的でhpHAseを修飾するのが望ましい。例えば、hpHAseは血清タンパク質であり、したがって血清中では十分な半減期を本質的に備えているが、例えばポリペプチドを修飾してその生物学的半減期(例えば血清半減期)を増加させるのが望ましいであろう。タンパク質の半減期を増加させる種々の方法が当技術分野ではよく知られているが、例えば以下の方法が含まれる。ポリエチレングリコール部分へのタンパク質の接合、即ちPEG付加(PEGylation)(例えば、USPN 4,179,337号;USPN 5,166,322号;USPN 5,206,344;Nucciら、Adv.Drug Delivery Rev.,4:133-151(1991);Zalipskyら、Polymeric Drugs and Drug Delivery Systems,ACSを参照のこと)、デキストランへのタンパク質の共役(Maksimenko,Bull.Exp.Biol.Med.,(ロシヤ語)52:567-569(1986))、およびエンドグリコシダーゼFでの処理によるタンパク質の糖除去(Laceら、Carbohydrate Res.,208:306-311(1990))。一般に、これらの方法は、タンパク質の分子量を増加させ、タンパク分解酵素に対するタンパク質の感受性を低下させ、および/または処置すべき対象者からタンパク質が排除される速度を低下させるようにデザインされる。修飾hpHAseポリペプチドの半減期の増加によって、有効量として必要とされるタンパク質の量が減少し、必要な投与頻度が減少し、患者がこのタンパク質に曝される機会が減少し、したがってアレルギー反応、毒性作用または他の副作用の可能性が減少する。半減期が増加した修飾hpHAseポリペプチドのこれらの性状によって、タンパク質の免疫原性および/または毒性に関連する望ましくない副作用の可能性を抑えて該タンパク質の長期使用が可能になる。好ましくは、これらの方法は、タンパク質の生物学的活性を実質的に損なうことなく、タンパク質の半減期を増加させるように用いることができる。hpHAseの酵素活性は例えば本発明のhpHAse活性アッセイを用いて分析できる。タンパク質の生物学的半減期を検査する方法は当技術分野で周知である。投与に適した具体的な用量は、上記で考察した要素にしたがって当業者によって容易に決定することができる(例えばHarrison’s Principles of Internal Medicine(11版、1987)を参照のこと)。さらに、ヒトでの適切な用量の概算は、hpHAseのインビトロでの酵素活性レベルの決定および/または動物実験で有効な用量から推論することができる。例えば、70〜300TRUのヒアルロニダーゼはscidマウスの腫瘍負荷を減少させるのに有効である。このデータが与えられた場合、平均70kgのヒトでの対応する用量は約250,000〜1,200,000TRUの範囲のヒアルロニダーゼであろう。ヒトの患者に投与されるhpHAseポリペプチドの量は一般に、1TRUから5,000,000TRUの酵素活性、好ましくは約1,000TRUから2,500,000TRU、より好ましくは約100,000TRUから1,500,000TRUの範囲、通常は約250,000TRUから1,200,000TRUで、平均処方用量は約725,000TRUである。ある態様として、hpHAseポリペプチドは、約150,000TRU/ccの濃度でのhpHAseを含む0.15M食塩水溶液として調剤される。続いてこの製剤を15,000TRU/(kg患者の体重)で静脈内注射する。または、該酵素製剤を皮下注射して、ヒアルロニダーゼを腫瘍部位の周辺に灌流させる。好ましい態様として、hpHAseは腫瘍周辺にまたは腫瘍塊の中に注射される。また別の好ましい実施態様では、hpHAseをリポソームとして製剤化し、静脈内注射するかまたはLuCa−1(hpHAse)遺伝子の欠陥に関連する癌細胞部位近くに注射する。hpHAseを静脈内注射することにより、腫瘍部位にhpHAseがもたらされる。癌細胞または前癌細胞におけるhpHAseの発現による抗癌療法ヒト染色体の3p21.3における欠陥と癌との付随性は、いくつかの組織で報告されている。LuCa−1遺伝子(配列番号:4)は3p21.3でのいくつかの腫瘍抑制遺伝子候補の1つである。LuCa−1およびhpHAseの同一性、並びにヒアルロニダーゼの発現がマウスでの腫瘍進行および腫瘍形成の抑制と密接に関連するという観察(De Maeyerら、上掲書;Pawloeskiら、上掲書)は、hpHAseをコードするLuCa−1遺伝子が腫瘍抑制遺伝子としての活性を有することを示唆する。したがって、LuCa−1/hpHAse欠陥を有する細胞の染色体にLuCa−1/hpHAseをコードするヌクレオチド配列を導入することによって欠陥を修復し、それによって腫瘍の発育および/または進行を防止または抑制することが可能である(例えば置換遺伝子療法)。導入されたhpHAseをコードする配列は、標的細胞の形質転換時に構成的にまたは誘発的に発現される。または、LuCa−1/hpHAseの欠陥は、hpHAseの発現を強化することができる遺伝的成分を導入(例えばhpHAseの転写または翻訳の抑制に必要な因子の抑制物質を導入)することによって修復できる。この後者のアプローチは、hpHAseをコードする配列自体は不完全ではないが、該欠陥がhpHAseの発現低下によって生じる場合に有用であろう。例えば、腫瘍細胞または腫瘍細胞近傍の細胞(例えば、引き続いて腫瘍細胞に暴露されるhpHAseを発現することができる細胞)の形質転換は、小型肺細胞癌、有棘肺細胞癌、並びに乳房、卵巣、頭部および頸部の癌、または低レベルhpHAseもしくは不完全LuCa−1(hpHAse)遺伝子(例えば適切なレベルのhpHAseの発現を提供できないLuCa−1または適切なレベルのヒアルロニダーゼ活性を提供できない不完全なhpHAseをコードするLuCa−1遺伝子)もしくはhpHAse活性低下に伴うその他の欠陥に関連する一切の他の癌の処置に用いることができる。遺伝子治療を実施するために問題の配列をホスト細胞に導入する方法は当技術分野では周知である。一般に、そのような遺伝子治療法には生体外と生体内での方法が含まれる。本発明の生体外遺伝子治療は、例えば患者から単離した細胞をhpHAseポリペプチドをコードする配列で形質転換すること、該形質転換細胞を患者に移植することを含み、それによってhpHAse産生の貯蔵器官を、好ましくは腫瘍内の部位にまたは腫瘍の近くに提供する。したがって、この移植細胞は分泌hpHAseを提供し、患者の腫瘍の進行と戦う。生体外遺伝子治療を実施する方法は当技術分野では周知である(例えば、Morganら、Science,237:1476(1987);Gerrardら、Nat.Genet.,3:180(1993)を参照のこと)。本発明の生体内遺伝子治療は、hpHAseポリペプチドをコードする核酸を生体内送達し、細胞(例えば癌細胞、前癌細胞、腫瘍周囲細胞、またはhpHAseの発現および分泌が可能な細胞、好ましくは癌細胞または前癌細胞)内に該核酸を導入し、かつ患者の形質転換細胞によりhpHAseを発現し、それによってhpHAse欠陥を修復することによって、患者の体内でhpHAseの欠陥の修復を達成する。生体外トランスフェクション法または生体内トランスフェクション法のいずれかにしたがって、細胞を形質転換させるいくつかの異なる方法を用いることができる。例えば、遺伝的物質を送達するために種々の機械的方法を用いることができるが、これらには融合誘発性脂質小胞(リポフェクチンのような陽イオン性脂質を取り込んだリポソーム、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:7413-7417(1987))を参照のこと;DNAの直接注入(Wolffら、Science,247:1465-1468(1990));遺伝子銃と称される装置を用いるDNA被覆金粒子の空気送達(Yangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1568-1572(1990));および種々のウイルスベクター(例えばアデノウイルス、レトロウイルス、アデノ付随ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ワクシニアウイルスおよびポリオウイルスの非複製性変異体/変種)が含まれる。各分野における多数の刊行物の引用とともに種々の技術の概略はヒトの遺伝子治療に関する最近の記事に含まれている(Morsyら、JAMA,270:2338-2345(1993)を参照のこと)。遺伝子治療を実施するための製剤は、用いられる遺伝子治療の方法、投与ルート(例えば全身的遺伝子治療用投与または特定の標的細胞の形質転換用投与)および形質転換のために標的とされる部位(例えば肺、乳房または卵巣)によって変動するであろう。hpHAseポリペプチドをコードする核酸配列は裸出状態であるか(すなわち被包化されていない)、DNAと陽イオン化合物(例えば硫酸デキストラン)との製剤として提供されているか、またはリポソーム内に包含されていてもよい。また別には、問題のDNAは、“遺伝子銃”および当技術分野で周知の関連技術を用いて圧縮空気によって送達してもよい(Fynanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:11478-11482(1993))。標的細胞内でのhpHAseの発現のための構築物の種々の成分(例えば選択プロモーター、発現促進用成分の存在)もまた、細胞の種類および所望するhpHAseの発現レベルにしたがって変動するであろう。投与されるDNAの量は、標的細胞の形質転換に対する感受性、対象者の大きさおよび体重、所望されるhpHAseの発現レベルおよび処置すべき症状を含む多数の要因によって大きく変動するであろう。例えばヒトの乳癌に注射されるDNAの量は、一般に約1μg〜200mg、好ましくは約100μg〜100mg、より好ましくは約500μg〜50mg、最も好ましくは約10mgであろう。一般に、ヒトの遺伝子治療のためのDNAの量は、動物モデルにおける遺伝子治療に有効なDNA量から推論できる。例えば、ヒトの遺伝子治療のためのDNA量は大雑把に、ラットの遺伝子治療のDNA有効量の100倍である。細胞の形質転換を達成するために必要なDNAの量は、用いられる形質転換の方法の効率が増加するにしたがって減少するであろう。hpHAse、抗hpHAse抗体、およびhpHAseポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を用いる他の多くの用途は当業者には明白であろう。hpHAseポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ハイブリダイゼーションスクリーニング法で用いて、hpHAseと相同性を有する他のヒアルロニダーゼを検出できる。寄託ハイブリドーマ細胞系17E9および4D5(これらは、天然hpHAseと結合する抗hpHAse抗体を産生する)は、特許を目的としてカリフォルニア大学評議員(300 Lakeside Drive,22nd floor,Oakland,California,94612)に代わってアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection(ATCC),Rockville,Maryland,USA)に寄託されている。ハイブリドーマ細胞系17E9の寄託は、ATCCによって1996年10月17日に受領された(ATCC番号、ATCC HB-12213)。ハイブリドーマ細胞系4D5の寄託は、ATCCによって1996年10月17日に受領された(ATCC番号、ATCC HB-12214)。これらハイブリドーマ細胞は、微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)に規定された条件にしたがって寄託された。この寄託物質を利用することができるということを、当局がその特許法に基づいて付与した権限に違反して本発明を実施するライセンスと解してはならない。実施例以下の実施例は、本発明を実施する方法を完全に開示し説明するために当業者に提供するものであって、本発明の範囲を制限することを目的とするものではない。使用された数字(例えば量、温度など)に関しては正確を期するように努めたが、ある程度の実験的誤差および偏差は存在する。特記しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。実施例1:共有結合ビオチン付加ヒアルロン酸を用いるヒアルロニダーゼ(HAse)活性アッセイヒト臍帯ヒアルロン酸(HA;ICN)を、ビオチンヒドラジド(Pierce)で遊離カルボキシル基を介して1-エチル−ジメチルアミノプロピルカルボジアミド(EDC,Sigma)を用いて結合させてビオチン付加した。ヒアルロン酸(HA)100mgを0.1M Mes(pH5.0)に溶解し、DMSOに溶解させたビオチンヒドラジド(Pierce)を最終濃度1mMで添加した。EDCはHA/ビオチン溶液に最終濃度0.03mMで溶解し、4℃で一晩攪拌した。続いて蒸留水(dH2O)に対して徹底的に透析して未結合ビオチンを除去し、最終濃度1mg/mlで-20℃で保存した。続いてヒアルロニダーゼアッセイを行う約10日前までに、スルホ−NHS(Pierce)9.2μg/ウェルおよび新しいEDC6μg/ウェルを用いてビオチン付加ヒアルロン酸(bHA)を最終濃度5μgbHA/ウェルでコバリンク−NH微量定量プレート(NUNC,ニュージャージ州、Placerville)に4℃で一晩共有結合によって結合した。未結合HAを、洗浄緩衝液(2M NaCl、50mM MgSO4、0.05%トゥイーン20を含むPBS)で洗浄して除去した。血漿ヒアルロニダーゼ活性を調べるためのインキュベーションは、ヒト血漿をアッセイ緩衝液(0.1Mギ酸塩(pH3.7)、0.1M NaCl、1%トリトンX−100、0.02%アジド、5mM CaCl2および5mMサッカロラクトン(エキソグリコシダーゼ活性を抑制するため))で1:400に希釈し、bHAプレートでサンプル100μlを37℃で30分間インキュベートして実施した。反応は、6MグアニジンHClを添加して終了させ、PBS洗浄緩衝液で3回洗浄した。プレートに共有結合したままの残留未消化ヒアルロン酸wo、基質としてo-フェニレンジアミンを用いてアビジンペルオキシダーゼ(ABCキット、Vectastain)と反応させた。bHAと結合した蛍光を微量定量プレート読み取り装置を用いて492nmで検出した。段階希釈したウシ精巣ヒアルロニダーゼ(WYDASETM(商標))を一緒にインキュベートして標準曲線を作成し、未知サンプルの活性を4種パラメーター曲線に合わせて内挿し、ヒアルロニダーゼの標準化市販調製物に対して相対的濁度減少単位(rTRU)/mlで与えられる値を得た。bHAヒアルロニダーゼ活性アッセイは、従来の比色アッセイ(Afifyら、上掲書)よりも約1,000倍感度がよく、完了まで60分を要するだけである。さらにまた、本アッセイは、従来のELISA様アッセイで用いられるウシ鼻軟骨からの長々と時間を要するビオチン付加HA結合アグリカンペプチドの調製(Sternら、上掲書;Delpechら、上掲書)を必要としない。本アッセイはまた、より長いインキュベーション時間を用いることによって非常に低いレベルの活性を産生する細胞培養のHAse活性の検出に用いることができる。実施例2:本発明の生化学的精製方法を用いるヒト血漿ヒアルロニダーゼの精製hpHAseを3工程の生化学的手順で精製した。1)ヒト血漿の温度誘発洗剤hpHAse抽出;2)ファストフローS(Fast Flow-S)陽イオン交換クロマトグラフィー;及び3)ヒドロキシルアパタイト樹脂。ヒアルロニダーゼ活性およびタンパク質濃度を各精製段階で求めて、ヒアルロニダーゼ比活性を算出した。ヒアルロニダーゼ活性は実施例1のアッセイを用いて決定した。タンパク質濃度を、280nmでの吸収および標準物質として結晶化ウシ血清アルブミンを使用し且つ595nmで読み取った96ウェルプレートによるバイオラド(Biorad)(Burlingame,カリフォルニア州)タンパク微量アッセイキット(Tengblad,Biochem.Biophys.Acta,578:281-289(1979))の双方で決定した。1)温度誘発洗剤相抽出UCSFまたはアービン・メモリアル(Irwin Memorial)血液ドナーセンターのいずれかから入手した期限切れヒト血漿2リットルを酵素精製のために日常的に用いた。冷蔵ヒト血漿2リットルを0.02%アジ化ナトリウム、50mM NaCl、5%ショ糖および7.5%トリトンX−114(Boehringer Mannheim)の溶液に攪拌しながら4℃で溶解させ、続いて10,000×gで30分間遠心沈殿して不溶性物質を除去した。続いて、血漿を37℃で温度誘発相抽出に付し、洗剤濃厚相および洗剤希薄相を分離させた。抽出物を37℃で10,000×gで30分間遠心沈殿して2つの相を透明にした。洗剤濃厚相を取り出し、冷50mM Hepes(pH7.5)と0.15M NaClで2リットルに希釈した。続いてこの溶液を氷上で十分に混合し、その後37℃で再度分配を実施し遠心した。洗剤相に分配されるヒアルロニダーゼの比活性を高めるためにこの操作を3回繰り返した。最終洗剤濃厚相では、実施例1のHAse活性アッセイで求めたときヒト血漿出発材料と比較してhpHAseの比活性は60倍濃縮された。2)ファストフローS陽イオン交換クロマトグラフィー25mM Mes(pH6.0)中の平衡化SP−セファロース陽イオン交換樹脂(Pharmacia)20mlで、工程1の最終洗剤濃厚相を6倍希釈し、4℃で一晩攪拌した。ビーズを遠心沈殿して採集し、46mmオクチルグリコシド(Boehringer Mannheim)を含む25mM Mes(pH6.0)で徹底的に洗浄した。ヒアルロニダーゼを、Mes(pH6.0)緩衝液に0.3M NaClを添加して数回洗浄しつつビーズから溶出させた。SP−セファロース溶出液をYM3(Amicon)膜上で濃縮し、f.p.l.c.ファスト脱塩カラム上で25mM NaCl、46mMオクチルグルコシドを含む10mM PO4(pH7.4)中に脱塩した。3)ヒドロキシル−アパタイト樹脂工程2)のヒアルロニダーゼ調製物を平衡化ヒドロキシルアパタイト樹脂(Biorad)10mlと混合し、4℃で一晩攪拌台に放置した。hpHAseはこのような条件下では樹脂に吸着されず、上清から回収された。上清から回収したhpHAseを、ファルマシア・ファストゲルシステム(Pharmacia Phast Gel System)の銀染色12.5%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動分析により測定したとき均一になるまで精製した。表1は、上記の各精製工程のhpHAse含有分画のヒアルロニダーゼ活性、タンパク質濃度および比活性をまとめたものである。生化学的hpHAse精製の結果の要約上述の生化学的な方法を用いるhpHAseの精製によって、hpHAseは温度誘発洗剤相への分配について固有の特性を有することが明らかになった。洗剤濃厚相へのhpHAse分配は、通常ある種の内在性膜タンパク質(integral membrane proteins)または脂質固着タンパク質とともに観察される(Bordier,J.Biol.Chem.,256:1604-7(1981))。ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(これはグリコシル−ホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを切断する)またはN-グリコシダーゼF(これはN連結糖付加部分を切断する)によりhpHAseを処理しても、hpHAseのhpHAse分配特性が変化しない(しかしゲルザイモグラフィーと組み合わせたN-グリコシダーゼF処理は、hpHAseが少なくとも2つのN連結糖付加部位をもつことを示した)。これらの実験から、hpHAseが内在性膜タンパク質であるか、またはヒト赤血球アセチルコリンエステラーゼのGPIアンカーと同様なホスホリパーゼ耐性アンカーをもつことが示唆される(Robertsら、J.Biol.Chem.,263:18766-75(1988))。GPIアンカーは、形質膜の細胞外領域上に存在するタンパク質と通常は結合しているが、血清に存在するGPI固着タンパク質の例もある(例えばCD59、Vakevaら、Immunology,82:28-33(1994))。さらに、中性PH20精子ヒアルロニダーゼのいくつかはGPI特異的ホスホリパーゼC感受性アンカーを有する(Gmachlら、FEBS Lett.,336:545-8(1993);Thalerら、Biochemistry,34:7788-95(1995))が、GPIアンカー様翻訳後修飾は酸活性ヒアルロニダーゼでは報告されていない。のみならず、そのような翻訳後修飾は、アミノ酸配列またはそのような酸活性ヒアルロニダーゼをコードするヌクレオチド配列からは明らかではないだろう(すなわち、脂肪酸またはGPIアンカーの付加による翻訳後修飾の特異的部位は報告されていない)。例えば、GPI固着タンパク質についてコンセンサス配列は現在のところ知られていない。イソプレニル化タンパク質のコンセンサス配列(CAAX;配列番号:10)は知られているが、hpHAseはこの配列を含まない。hpHAseは他の強力な両親媒性性状を示した。例えば、hpHAseを溶解させた溶液のイオン強度が透析によって低下するとき、hpHAseは溶液から沈澱した。hpHAseは、0〜30%の硫酸アンモニウム分画に豊富であった。hpHAseのコンカバリンA結合特性から、hpHAseがマンノース含有糖タンパク質であることがわかった。中性pHでのS200-f.p.l.c.カラム(Pharmacia)によるゲル濾過クロマトグラフィーは、約120kDaでボイド容積内にHAse活性のピークを溶出させた。ゲル濾過クロマトグラフィーを非イオン性洗剤の非存在下で実施したとき、HAse活性のピークは約60kDaで溶出した。hpHAse活性に付随する分子量におけるこの違いは、おそらく洗剤の存在下でのhpHAseの凝集またはオリゴマー化(例えば分子内結合による)によるものであろう。hpHAseは非イオン製洗剤の存在下で37℃で非常に安定であり、したがってトリトンX−114相抽出は、ほとんどの血漿タンパク質が洗剤濃厚相に分配されないので特に、最初の分画工程として理想的である。洗剤を除去しさらにhpHAseを精製する陽イオン交換クロマトグラフィーの間、非イオン性洗剤を添加することおよび少なくとも50mMでNaClを維持することは酵素の沈澱を防止するために必須である、バッチ吸着クロマトグラフィーはカラムクロマトグラフィーと比較して活性を保存した。興味深いことには、60mMオクチルグリコシドの存在下、10kDaカットオフ膜でhpHAse含有調製物を濃縮したとき、hpHAse活性は保持されなかった。しかしながら、3kDaカットオフ膜を用いることによってhpHAse活性は保持された。これらの結果から、hpHAseのストークス径は球形モデルから実質的に逸れていることが示唆される。これらのデータから、ほとんどの球形タンパク質について考えられているように、hpHAseはオクチルグルコシド洗剤の存在下で球形をもたず、むしろロッド状形態をとるらしいことを示している。hpHAseは、1つの寸法では57kDaタンパク質より6〜7kDaタンパク質の分子量を有するようである。したがって、一つの寸法ではこのタンパク質は、小型タンパク質およびペプチドのために設けられた障壁を通過することができ、このことから血漿酵素がヒト尿中で見出されることが説明できるであろう(下記参照、通常腎臓は50〜60kDa未満(<50〜60kDa)のタンパク質を排除する)。したがって、患者は、hpHAseがリポソームまたはリポソーム様構造に取り込まれない場合、尿中に大量のhpHAseを排出するかもしれない。hpHAseのSP−セファロース後調製物は、不純物タンパク質をヒドロキシアパタイト樹脂に吸着させて均一になるまで精製して、全体として150万倍の精製度が得られた。この最終精製工程から得たhpHAseサンプルのSDS−PAGE電気泳動および銀染色によって単一バンドが得られ、このことは、hpHAseは電気泳動上均一になるまで精製されたことを示している。精製した酵素の比活性(実施例1で述べたアッセイを用いて検査したとき600,000rTRU/mg)は、精子ヒアルロニダーゼPH20で報告された値のほぼ6倍であった。最終調製物中の非イオン性洗剤レベルによって分子質量分析は変動したが、精製した酵素はSDS電気泳動ゲルで相対分子質量57kDaで移動した。実施例3:抗天然酸活性HAse(aaHAse)抗体のためのスクリーニングアッセイビオチン付加HA(bHA)を実施例1で述べたように調製した。bHA約5μg/ウェルおよびヤギ抗マウスIgG(Jackson Immunolabs)1.25μg/ウェルを、スルホ−NHS(Pierce)9.2μg/ウェルおよび新しいEDC 6μg/ウェルを有するコバリンク−NH微量定量プレート(NUNC,ニュージャージ州、Placerville)に4℃で一晩共有結合によって接合した。未結合HAおよびヤギ抗体は、洗浄緩衝液(2M NaCl、50mM MgSO4、0.05%トウィーン20を含むPBS)でプレートを洗浄して除去した。抗天然酸活性HAse(抗天然aaHAse)抗体は、候補抗体を酸活性HAseを含むサンプルと中性pH緩衝液(これはリン酸緩衝食塩水(PBS)中に1%トリトンX−100を含む)中でインキュベートしてスクリーニングした。サンプルが希釈サンプルの場合(例えば希釈血漿サンプル)、中性pH緩衝液はさらに5mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)を含んでいた。aaHAse含有サンプルを候補抗体とインキュベートして、天然aaHAse−抗体複合物を形成させた。続いてサンプルをbHA/抗マウス抗体ウェルに入れてインキュベートし、中性pH緩衝液中で抗マウス抗体/抗天然aaHAse/aaHAse抗体を形成させた。aaHAseを結合しない抗体を含むサンプルは陰性コントロールとして用いることができる。天然aaHAseと結合する抗体の検出は、先ず未結合物質を中性pH緩衝液で洗浄し、続いて中性pH緩衝液を実施例1で述べたHAse活性アッセイで用いた酸性アッセイ緩衝液(0.1Mギ酸塩(pH3.7)、0.1M NaCl、1%トリトンX−100、0.02%アジド、5mM CaCl2および5mMサッカロラクトン)で置き換えて実施した。中性から酸性へのpHシフトによって、一切の結合aaHAseのHAse活性が共有結合bHAを分解する。反応を6MグアニジンHClを添加することによって終了させ、PBS洗浄緩衝液(PBS、2M NaCl、50mM MgSO4、0.05%トゥイーン20)で3回洗浄した。bHAの分解は、基質としてo-フェニレンジアミンを用いてアビジンペルオキシダーゼとウェルを反応させ、実施例1で述べたように492nmでプレートを読み取って検出した。抗天然aaHAse抗体はbHAの分解によって同定された。本アッセイは、aaHAseがpH4.5以上ではHA基質に対して親和性をもたない(これはhpHAseによるHA−セファロース親和性クロマトグラフィーによって決定されたが、結果は示されていない)というaaHAseの特性を利用している。実施例4:抗hpHAseモノクローナル抗体の生成と同定実施例2の精製法のヒドロキシアパタイト後工程から単離したhpHAseを用いて、当技術分野で周知の方法にしたがって5匹の6週齢雌Balb−cマウスを免疫した(例えば上掲書(Harlow & Lane)参照)。簡単に記せば、hpHAseをフロイントの完全アジュバントと混合しマウスに腹腔内注射した。21日間隔で、タンパク質+フロイントの不完全アジュバントを動物に追加免疫した。フロイントの不完全アジュバントにhpHAseを含む第4回目と最終追加免疫は静脈内注射した。血清サンプルを採り、マウスを殺処分して周知の方法(Harlow & Lane、上掲書;Schrierら、上掲書)にしたがってハイブリドーマ細胞系を調製するために5匹のうちの2匹から脾臓細胞を単離した。balb/c細胞の融合はsp2/0ミエローマを用いて実施した。抗体分泌ハイブリドーマを、実施例3で述べた本発明の抗天然aaHAse抗体アッセイを用いてスクリーニングした。簡単に記せば、20の融合プレートのハイブリドーマ上清を希釈ヒト血漿と37℃で60分間インキュベートし、続いてbHA/抗マウスIgGプレート中で37℃で60分間インキュベートした。1%トリトンX−100および10mg/ml BSAを含むPBSでプレートを5回洗浄し、免疫沈澱しなかったヒアルロニダーゼを除去した。続いて酸性ギ酸塩アッセイ緩衝液(pH3.7)をウェルに添加し、37℃で60分間インキュベートした。6Mグアニジンで反応を停止させた後、実施例3で述べたように、基質としてo-フェニレンジアミンを用いアビジンペルオキシダーゼとウェルを反応させ、492nmでプレートを読み取ってウェルに残留する未分解bHAを検出した。8クローンを最初の20ハイブリドーマ融合プレートから同定した。2クローン、17E9(IgG2αクラス抗体、カッパ鎖を産生)および4D5(IgG1クラス抗体、カッパ鎖を産生)を用いて腹水を得た。単一細胞によってクローン化したハイブリドーマ系の腹水由来免疫グロブリンをBalb/cマウスで生成し、タンパクA親和性クロマトグラフィーによって精製した。17E9抗体も4D5抗体もhpHAse活性をブロックしなかった。17E9抗体は免疫親和性精製および免疫沈澱での使用が好ましい。4D5抗体は免疫組織化学での使用が好ましい。実施例5:17E9モノクローナル抗体を用いるhpHAseの免疫沈澱17E9抗天然hpHAseクローン由来精製IgG2aまたはコントロールIgG2a非特異的抗体のいずれかを用いて、hpHAseをヒト血漿から免疫沈澱させた。ヒト血漿をR.I.P.A.緩衝液(1%NP40、1%デオキシコレート、1%トリトンX−100、5mM EDTAを含むPBS)で希釈した。コントロールIgG2a抗体または17E9抗体のいずれかの段階希釈と接合させたタンパク質Aセファロースをサンプルに加えた。未結合物質を遠心沈殿によってビーズから分離し、上清に残留するHAse活性を実施例1で述べたアッセイを用いて検出した。図4に示すように、17E9抗体による免疫沈澱によって本質的に全ての検出可能な酸活性ヒアルロニダーゼ活性が除去された。さらに、17E9抗体はウシ精巣ヒアルロニダーゼ(PH20)とは結合しなかった。このことは、17E9が、PH20及びhpHAseと共有する炭化水素部分または他の部分とは結合しないことを示唆している。実施例6:hpHAseの免疫親和性精製親和性クロマトグラフィーカラムに結合させた17E9抗体を用いて、hpHAseを単一工程で未加工ヒト血漿から均質となるまで精製した。17E9ハイブリドーマクローンの腹水から得た精製IgG約3mgをハイトラップNHS(High Trap-NHS)活性化カラム(Pharmaci)1mlに製造元の指示にしたがって結合させた。hpHAse血漿をR.I.P.A.緩衝液で1:2に希釈し17E9IgG抗体カラムに通した。続いてカラムを2M NaClと100mMオクチルグルコシドを含むPBSで洗浄し、続いて100mMクエン酸塩(pH4.0)で洗浄した。hpHAseを150mM NaClを含む100mMクエン酸塩(pH3.0)で溶出させた。hpHAseは明瞭な均一ピークとしてpH3.0で溶出した。免疫親和性精製hpHAseの比活性は約4.0×105rTRU/mgの範囲であった。したがって、生化学的精製工程と比較して存在するとしても極めてわずかな活性が免疫親和性精製工程で失われる。さらにまた、免疫親和性精製は、サンプル中のhpHAseの約100%のhpHAseの回収をもたらした。すなわち、HAseアッセイでは未結合分画中に残留するHAse活性は検出されなかった。実施例7:hpHAseのアミノ酸配列決定実施例6の免疫親和性精製hpHAse約50μgをLys−C(N末端フラグメントを生成するため)またはトリプシン(内部フラグメントを生成するため)で消化し、Vydac C-18逆相カラム上でクロマトグラフィーを実施してフラグメントを分離した。精製ペプチドの配列をガス相エドマンシークェンサーで配列決定した。N末端アミノ酸の配列決定のためには、精製タンパク質をプロソーブ(Prosorb)膜(ABI)に固定した。N末端アミノ酸の配列決定は、ガス相エドマン分解を用いて自動化タンパク配列決定によって実施した。精製hpHAse(配列番号:1)のLys−C消化物に由来するN末端のアミノ酸配列および5つの分断内部アミノ酸配列のファスタ調査(Pearsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:2444-8(1988))から、LuCa−1遺伝子(配列番号:3、GenBank受託番号u03056)の予想アミノ酸配列と同一であることを明らかにした。実施例8:LuCa−1/hpHAseの性状上記の実施例7で述べたように、hpHAseはLuCa−1と同一である。LuCa−1遺伝子は、小型細胞肺癌系では100%のヘテロ接合型消失を示す染色体3p.21.3に位置する17個の配列を含む一群の中の1つである(Dietrichら、Clin.Chim.Acta,13:746-52(1966))。LuCa−1を含む領域に広がる3p.21の欠失はまた、非小型細胞肺癌、乳癌、前立腺、並びに頭部および頸部の癌でも報告されている。モノ−Pf.p.l.cシステム上でのhpHAseのクロマトフォーカシングは、hpHAse(配列番号:1)およびLuCa−1(配列番号:3)の同一性に関して更なるデータを提供した。hpHAseはpH6.5で溶出し、これはLuCa−1の算出等電点理論値6.58と非常に近い。LuCa−1(配列番号:3)およびヒト精巣ヒアルロニダーゼPH20(配列番号:11)のアミノ酸配列のピアソン・リップマンアラインメント(Pearsonら、上掲書)は、LuCa−1およびPH20が40%を越える配列同一性および60%相同性を共有することをわかった(図5)。PH20はもっぱら精子特異的中性ヒアルロニダーゼであり、ミツバチおよびスズメバチ(yellow jacket vespid)の毒液中に見出される毒液ヒアルロニダーゼと顕著な相同性を共有する(Gmachlら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:3569-73(1993))。厳格な酸活性をもつ血漿ヒアルロニダーゼ(LuCa−1/hpHAse)とPH20との間の際立った相同性は、それらの最適pHが非常に異なることを考えるならば驚くべきことであり、このことから、全てのホ乳類のβ,1-4ヒアルロニダーゼが、中性も酸性も双方共に高度に保存された酵素類の構成メンバーであることが示唆される。LuCa−1/hpHAseのハイドロパシープロットは疎水性に富むドメイン(例えば内在性膜タンパク質に付随しているようなもの)を全く示さず、これにより、実施例2で述べたhpHAseの相分配特性が説明できるであろう。したがって、これらのデータは、LuCa−1/hpHAseの洗剤濃厚相への分配は翻訳後修飾(例えば脂肪酸鎖の修飾またはホスホリパーゼC/ホスホリパーゼD/N−グリコシダーゼF耐性GPIアンカー)のためであるということを示唆している。実施例9:LuCa−1/hpHAseをコードするDNAの単離λ gt10 5’-STRETCH PLUSヒト肝cDNAライブラリー(Clontech Laboratories,Inc.,アメリカ、カリフォルニア州、パロアルト)を用いてネストPCR反応を2巡し、LuCa−1コード配列をコードするcDNAを単離した。1巡目のPCR(ここではLuCa−1 cDNAの590から1948までのヌクレオチドを増幅させた)では以下のプライマーを用いた。LuCaF1(5’-CAGGTTGTCCTGCACCAGTC-3’)(配列番号:5)およびLuCaR1(5’-ATGTGCAACTCAGTGTGTGGC-3’)(配列番号:6)。PCR反応は、肝cDNAライブラリー1ml、25mMプライマー各1ml、10mM dTNP1ml(Gibco BRL,アメリカ、ニューヨーク州、グランドアイランド)、2単位のPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene Cloning Systems,アメリカ、カリフォルニア州、ラホイヤ)を含み、10mMトリス−HCl、50mM KClおよび2mM MgCl2で緩衝化させた全反応容積50ml中で実施した。PCR反応条件は、95℃で1分間の変性工程、60℃で1分間のアニーリング工程、および74℃で1分間の伸長を37サイクル、続いて最後に74℃で7分間の伸長を含んでいた。第2巡目のPCR増幅は、以下のネストPCRプライマーを用いてLuCa−1コードcDNAの612〜1925ヌクレオチドを増幅させるために用いた。LuCaF2(5’-GTGCCATGGCAGGCCACC-3’)(配列番号:7)およびLuCaR2(5’-ATCACCACATGCTCTTCCGC-3’)(配列番号:8)。プライマーLuCaF2は、その後のPCR生成物の一方向性クローニングを促進するためにPCR反応の前にリン酸化した。リン酸化は、25mM LuCaF2 2mlを10単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ、10mM ATP(50mMトリス−HCl(pH7.5)、10mM MgCl2、5mMジチオスレイトールで緩衝)1mlおよび最終容積9mlの0.1mMスペルミジンとともにインキュベートすることによって実施した。反応は、鋳型として最初のPCR反応から得た最終生成物の1ml、リン酸化LuCa−1F2 4ml、25mM LuCaR2 1ml、10mM dNTP 1ml(Gibco BRL)(10mMトリス−HCl、50mM KClおよび1.5mM MgCl2で緩衝)、および0.5単位のTaqDNAポリメラーゼ(Gibco BRL)を含む全容積50ml中で実施した。第二のPCR反応は、95℃で1分間の変性、58℃で1分間のアニーリングおよび72℃で1分間の伸長から成るものを7サイクル、さらに72℃で7分間の最終伸長が続いた。一方向性のTA発現ベクターpCR3.1-Uni(Invitrogen,アメリカ、カリフォルニア州、サンディエゴ)2μlにPCR反応の生成物をT4 DNAリガーゼで連結した。この連結ベクターを用いてワン・ショット(One ShotTM)TOP10F’(Invitrogen)コンピテント細胞を形質転換し、これを50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天平板に播種し37℃で一晩インキュベートした。コロニーは、50μg/mlのアンピシリン含有10mlLBブロスでコロニーを一晩培養し、さらにウィザード(商標)プラスミニプレップDNA精製システム(WizardTM Plus Miniprep DNA Purification System,Promega Corporation,アメリカ、ウィスコンシン州、マジソン)によってプラスミドを精製し、続いてDraIIIエンドヌクレアーゼ(Boehringer Manheim,アメリカ、インディアナ州、インディアナポリス)でベクターの制限地図を作製し、ABIプリズム(PrismTM)DNAシークェンサーで自動蛍光配列決定を実施することによってLuCa−1挿入物の存在について検査した。DraIIIにより制限地図作製およびプラスミドの配列決定によって、このクローン化された配列が、N末端に見出されたVal27−Leuの置換を除いてGenBankデータベースで入手できるLuCa−1配列と同一であることが示された。肝λgt10 cDNAライブラリーから得られた活性PCR生成物の配列決定によって、27番目のアミノ酸残基に対応する位置における得られた配列と既に報告されたLuCa−1配列との間のG−C不一致が明らかになった。したがって、既に報告されたLuCa−1配列がエラーを含むのか、本明細書で配列決定したクローンが対立遺伝子変種であるのかのいずれかである。実施例10:Cos−7細胞での組換えLuCa−1の発現インスリン、トランスフェリンおよびセレニウム(Gibco BRL)を含む非必須アミノ酸(UCSF細胞培養施設)を有するDMF/F12の50/50混合物20ml中にリポフェクタミン(Lipofectamine)60μlとともにDNA9μgを用いて、T75フラスコ内の細胞密集度50%のcos−7細胞に、pCR3.1-Uni発現プラスミド内の精製LuCa−1をコードするcDNAを5時間トランスフェクトさせた。続いてこのトランスフェクト細胞を10%ウシ胎児血清含有DME/F12の50/50混合物中でさらに48時間増殖させた。実施例11:Cos−7細胞で発現した組換えLuCa−1の精製と性状決定抗天然hpHAse抗体と結合する能力および酸活性HAse活性を示す能力によってLuCa−1がhpHAseと同一であるということをさらに証明するために、組換えLuCa−1の性状をさらに調べた。上述したように組換えLuCa−1をcos−7細胞で発現させ、以下の実験に付した。1)抗hpHAse抗体を用いたHAse活性アッセイ;2)抗天然hpHAse抗体を用いたLuCa−1の免疫沈澱;3)抗天然hpHAse抗体沈澱LuCa−1のゲルザイモグラフィー;および4)LuCa−1付随酸活性HAse活性の最適pHの決定。陰性コントロールとして機能するクロラムフェニコールトランスフェラーゼ遺伝子を含むpCR3.1-Uniベクターの9μgを細胞にトランスフェクトした(偽トランスフェクション細胞)。酵素捕捉アッセイで抗hpHAse抗体を用いる組換えLuCa−1のHAse活性hpHAseを発現するcos−7細胞およびそれらの細胞の条件付け培養液を別々に、実施例2で述べたように2%トリトンX−114で抽出し、続いて温度誘発洗剤相を分離した。実施例1の酵素免疫捕捉アッセイを用いて、洗剤濃厚相抽出物をHAse活性について分析した。細胞層および条件付け培養液の両方のトリトンX−114洗剤相抽出物が、本発明のアッセイで検出したとき酸活性HAse活性を含んでいた(図7A)。偽トランスフェクションコントロール細胞は、低レベルの検出可能な酸活性HAse活性を示した(図7)。組換えhpHAseのHAse活性をさらに評価するために、Cos−7細胞の形質転換について上述したものと同様な態様で、HEK293細胞をhpHAseコードDNAで安定的にトランスフェクトした。簡単に記せば、リポフェクチン60μlを有するDNA9μgを用いてhpHAseをコードする構築物をHEK293細胞にトランスフェクトした。48時間後、限界希釈法を用いて500μg/ml G418を有する24ウェルプレートに細胞を播種した。14日後に、耐性コロニーの条件付け培養液を上記ようにヒアルロニダーゼ活性についてアッセイした。高レベルの発現を有するコロニーを更なる性状決定のために増殖させた。組換えhpHAseの分析は、血清非含有培養液中でhpHAseをコードする構築物を過剰発現するHEK293細胞系を48時間増殖させることによって行った。条件付け培養液は17E9抗hpHAse免疫親和性カラムに通した。組換えhpHAseを上記のプロトコルを用いて溶出させた。図7Bに示すように、細胞層も条件付け培養液も酸活性hpHAse活性を含んでいた。偽トランスフェクション細胞は検出可能なヒアルロニダーゼ活性を示さなかった。これらのデータはLuCa−1が酸活性HAse活性を示すため、hpHAseとLuCa−1は同一であるという観察がさらに支持される。抗hpHAse抗体による組換えLuCa−1の免疫沈澱タンパクAセファロースに結合させた実施例4で述べた17E9抗hpHAseモノクローナル抗体を用いて、抗天然hpHAse抗体とLuCa−1との結合を実施例5で述べた免疫沈澱法で調べた。17E9抗体は、LuCa−1発現細胞由来のLuCa−1も条件付け培養液由来のLuCa−1も免疫沈澱させた。しかしながら、偽トランスフェクション細胞の酸活性HAse活性は17E9抗体−タンパクAセファロースビーズでは免疫沈澱しなかった。これらの実験から、hpHAse及びLuCa−1は17E9抗天然hpHAse抗体が結合する抗原エピトープを共有することがわかる。さらに、17E9が偽トランスフェクションcos−7細胞によって発現される酸活性HAseとは結合しなかったので、このエピトープはhpHAseおよびLuCa−1に固有である。抗hpHAse抗体で免疫沈澱させたLuCa−1のゲルザイモグラフィー17E9抗天然hpHAse抗体で免疫沈澱させた組換えLuCa−1も、当技術分野で周知の方法(Afifyら、上掲書)にしたがって基質ゲルザイモグラフィーで酸活性HAse活性について調べた。簡単に記せば、LuCa−1トタンスフェクション細胞(テストサンプル)および偽トランスフェクション細胞(クロラムフェニコールトランスフェラーゼをコードするプラスミド;陰性コントロール)の細胞溶解物および条件付け培養液を、タンパクAセファロースビーズに結合させた抗天然hpHAseで免疫沈澱させた。サンプルをSDSサンプル緩衝液に懸濁し、40μg/ml HAを含む10%ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動した。免疫沈澱hpHAse(実施例5)を含むサンプルおよびウシ精巣ヒアルロニダーゼ(WYDASETM(商標)150rTRU/ml)は陽性コントロールとして作用した。インキュベーションはAfifyら(上掲書)の記載にしたがって実施し、消化HAは、アルシアンブルー(Alcian blue)/酢酸で染色し続いてアルシアン/炭水化物染色を強化し、タンパク質を可視化するためにクマシー染色を実施することによって検出した。SDS−HAゲルの透明領域は、免疫親和性精製hpHAse調製物と同じ相対分子質量に相当した。透明帯(したがって免疫沈澱酸活性ヒアルロニダーゼ活性)は偽トランスフェクション細胞サンプルでは観察されなかった。組換えLuCa−1のHAse活性の最適pH実施例1で述べたHAse活性アッセイを用いて組換えLuCa−1HAse活性の最適pHを決定した。アッセイ緩衝液が、0.1Mギ酸塩(pH3〜4.5)、酢酸塩(pH5.0)、Mes(pH6.0)、Hepes(pH7.0〜8.0)、0.1M NaCl、1%トリトンX−100、0.02%アジド、5mM CaCl2および5mMサッカロラクトンで構成されていたことを除いて、実施例1のHAse活性アッセイを既に記載したように実施した。シグマVI−S型精巣ヒアルロニダーゼ(3,000TRU/mg固形)(これは中性HAsePH20(pH7.5で最大HAse活性)を含む)を比較として用いた。このサンプルのためのアッセイ緩衝液を、NaClを含まないで調製したという点を除き(NaClは中性HAse活性を抑制する)、VI−S型サンプルを同じように処理した。図8に示したように、組換えLuCa−1の最適pH曲線は、免疫親和性精製hpHAseと同じ厳密な酸活性プロファイルを示した。LuCa−1もhpHAseもpH4.5より上ではHAse活性を示さず、対照的にVI−S型精巣ヒアルロニダーゼはpH7.5より上でのみHAse活性を示した。要約すれば、生化学的、分子的および免疫学的基準から、LuCa−1およびhpHAseが同一であることが強く示唆される。実施例12:LuCa−1/hpHAseの器官調査とLuCa−1/hpHAseの一過性発現LuCa−1 cDNAの1.3kbのコード領域を増幅するために用いた実施例11で述べたプライマーを用いて、当技術分野で周知の方法にしたがってLuCa−1/hpHAse転写物の組織分布を調べた。種々の組織のλgt10 cDNAライブラリーから得た増幅PCR生成物は、心臓、腎臓、肝臓、肺、胎盤および骨格筋で検出されたが、脳では検出されなかった。心臓組織は、最も高レベルのLuCa−1/hpHAse転写物産生の1つであることを示した。上述したものと同様な手順にしたがって、本発明のhpHAseと実質的に同じ配列を有する他のヒアルロニダーゼを精製し、クローニングし、さらに発現させることができる。実施例13:尿由来のhpHAse型の生化学的精製期限切れヒト血漿に代わってサンプルとして濃縮尿を用いた点を除いて、実施例2で述べた生化学的精製方法にしたがって尿型hpHAseをヒトの尿から精製した。尿hpHAseは、hpHAseと同様な態様で洗剤濃厚トリトンX−114相に分配される。これは、尿hpHAseがhpHAseの脂質修飾と同様な脂質修飾を含むことを示唆している。尿hpHAseの等電点は、モノ−Pf.p.l.cでのクロマトフォーカシングで溶出させて決定したとき6.5である。ヒト尿hpHAseは抗天然hpHAse抗体17E9で免疫沈澱した。ゲルザイモグラフィーでは粗血漿および尿サンプルで2本のHAse活性のバンドが示された。血漿では、HAse活性は57kDaおよび46〜47kDaに相当する2本のバンドとして検出された。57kDaバンドが主要な種であった。尿では、HAse活性はまた57kDaおよび46〜47kDaに相当する本のバンドとして検出された。しかしながら、いずれの種も優勢ではなかった(すなわちバンドは尿サンプルでは等しい濃さで出現した)。これらのデータから、hpHAseおよび尿hpHAseがそれぞれ血漿および尿に2つの異なる修飾形で存在するか、または尿および血漿に存在する2つの異なる酸活性HAseがあるということを示唆している。実施例14:転移由来癌におけるhpHAseの発現上記実施例5で述べた免疫沈澱アッセイを用いて17E9免疫反応性hpHAse活性レベルの性状を調べることによって、ヒト血漿ヒアルロニダーゼの産生についていくつかの癌腫系(SCC 10A,SCC 10B,HSC-3,NIC H740,およびDMS 153)を調査した。hpHAseレベルを条件付け培養液および細胞層自体の両方で調べた。ヒトの正常な包皮のケラチノサイトを陽性コントロールとして用いた。SCC 10A細胞株は原発性喉頭癌腫瘍に由来し、SCC 10B細胞株は同じ患者のリンパ節転移に由来する。HSC-3細胞株はリンパ節転移由来であり、NIC H740細胞株はhpHAseをコードする染色体3p21.3の領域のホモ接合型欠損を含む小型細胞肺癌である。DMS153細胞株は古典的小型肺細胞癌株(小型肺細胞癌変種細胞株とは異なる)である。図9に示すように、SCC 10A細胞株は、正常なhpHAseケラチノサイトのhpHAse活性レベルに匹敵する活性レベルを産生するが、同じ患者のリンパ節転移(SCC 10B)の活性レベルは細胞層でも条件付け培養液でも完全に存在しない。HSC-3由来細胞株は検出可能なhpHAse活性を示さなかった(用いたhpHAse活性アッセイは正常なケラチノサイトで見出された活性の少なくと1/100を正確に検出することができる)。小型細胞肺癌株は、NIC H740もDMS 153も検出可能な活性を示さなかった。NIC H740およびDMS 153細胞はまた検出可能なhpHAseコード転写物を一切産生しなかった(結果は示さず)。これらのデータから、hpHAseの消失が腫瘍発生と強力に関係していることが示唆される。本発明者らは、機能的な血漿ヒアルロニダーゼ遺伝子産物を生成する転移性癌を全く同定できなかった。原発性癌由来のいくつかの非転移性株は機能的な活性を有する。このことから酵素機能の完全な消失は腫瘍転移に付随していることが示唆される。実施例14:収量が改善された組換えhpHAse発現系培養上清に高収量のhpHAseを産生する組換えhpHAse発現系を開発した。hpHAseをコードするDNAを、CMVプロモータ駆動PCR3.1Uniベクター(Invitrogen)に機能可能に挿入した。続いてこのhpHAseをコードする構築物を用いて当技術分野で周知の方法にしたがってHEK細胞を形質転換した。その後、37℃、5%CO2でDME H21(4.5g/lグルコース)、10%FBS培養液中でHEK細胞をT225cm2フラスコで増殖させた。条件付け培養液を細胞から採集しhpHAseレベルを調べた。未加工血漿に匹敵する収量をもつ組換え血漿生成物を製造するにはしばしば固有の困難が存在するが、ここで述べる本組換えhpHAse発現系は、未加工hpHAse血漿のコーン(Cohn)分画I相(当技術分野で周知の冷アルコール沈澱によって調製)に存在するヒアルロニダーゼの量の30倍を産生する(表1)。比較として、Cos−7細胞の一過性hpHAse発現ではHEK細胞で達成されるレベルの約10%が発現された。理論に支持されないが、アデノウイルスで形質転換されるホ乳類細胞が好ましい。ホ乳類発現系由来の組換えhpHAseは、いくつかの基準を用いて調べたとき生化学的に精製された酵素と区別できない。免疫親和性精製組換えhpHAseは生化学的に精製したhpHAseと同じ分子量で移動する。免疫親和性精製組換えhpHAseのアミノ酸配列は、天然の血漿酵素と同じように加工されたN末端を有する(FRGPLLVP)(配列番号:9)。さらに、N末端の配列決定によって、組換えhpHAseは我々の発現系で適切に処理されることが示唆された。組換えhpHAseは、ゲルザイモグラフィーで調べたとき生化学的に精製したhpHAseと同等の比活性を有する。組換えhpHAse、生化学的精製hpHAseおよび“最純性”市販精巣ヒアルロニダーゼ調製物の10Uサンプルは、高分子量HA100μgを10分間で解重合させることができる。さらに、組換えhpHAseは生化学的に精製したhpHAseと同じ洗剤相分配特性を示す。これは、本発現系が組換えhpHAseの正確な翻訳後処理を促進することを示唆している。実施例15:動物モデルにおけるhpHAseの腫瘍成長抑制活性組換えhpHAseの腫瘍増殖抑制能力をHSC-3頭部頸部有棘細胞癌モデル(正所性腫瘍異種移植(本来の器官/組織への移植腫瘍))で調べた。簡単に記せば、Nu/Nuマウスの口腔床にマトリゲル(Matrigel)中の5×106個のHSC−3ヒト有棘細胞癌細胞を正所性移植した。この細胞を7日間成長させた。その後、動物をランダムに2つのグループに分けた。17E9 IgG2a抗体をNHSセファロースに結合させた免疫親和性カラムを用いて、CMVプロモーターの下、hyal−1を過発現しているHEKの条件付け培養液から組換えhpHAseを調製した。溶出hpHAseをウシHDL複合体(Sigma)中に置換し、バイオビーズ(Biobeads)に対して透析した。hpHAseを含まないHDL複合体担体を陰性コントロールとして用いた。この物質を容量100μlでマウスの腫瘍周囲(原発性性腫瘍部位から約10mm)に注射した。1回の注射につき約400rTRUのhpHAseを投与した。注射を48時間毎に繰り返した。球形モデルを用いて腫瘍容積を3寸法で測定した。図10に示すように、hpHAseの投与は腫瘍容積を顕著に減少させた。実施例16:動物モデルにおけるhpHAseをコードするDNAの発現による腫瘍成長抑制腫瘍細胞におけるhpHAse発現の腫瘍成長に対する影響を、機能的なhpHAse遺伝子を癌株に導入することによって調べた。ここでhpHAseをコードする配列は、誘発性プロモーターの制御下にある。適切なステロイド応答性プラスミドを含むホ乳類細胞のみが刺激ホルモン(ムリステロン)の注射に応答するので、ステロイド応答性発現プラスミド、エクジソン(ecdysone)をこの実験のために選んだ。したがって、この系により、腫瘍細胞内でhpHAseをコードする遺伝子の特異的再活性化効果の調査およびインビボ効果の評価が可能となる。HSC-3口腔有棘細胞癌細胞に、T75フラスコあたりリポフェクチン(Gibco)60μl、9μgプラスミドをトランスフェクトした。このプラスミドは、エクジソンレセプタープラスミドを含むムリステロン誘発性遺伝子構築物であって、hpHAse(誘発性ステロイドの制御下)並びにG418Sおよびゼオシン(zeocin)耐性をコードするムリステロン誘発性遺伝子構築物(エクジソン系、Invitogen)を有する。hpHAseをコードするDNAを含まないムリステロン誘発性構築物で形質転換した細胞をコントロールとして用いた。形質転換細胞を5×106細胞/注射でnu/nuマウスの口腔床に実施例15で述べたように注射した。7日間腫瘍を成長させた後、マウスの腹腔にムリステロン(5mg)を72時間毎に注射して構築物の発現を誘発した。腫瘍容積は上記実施例15で述べたように測定した。さらに、悪液質に陥る時間(動物の体重が出発重量より15%減少することにより規定)を測定した。生存%よりむしろ悪液質%を用いてカプラン・メイヤー(Kaplan Meyer)分析によって生存曲線を作成した。図11に示すように、hpHAseをコードする構築物で形質転換したHSC-3細胞を有するマウスは、コントロールマウスと比較して腫瘍成長が著しく減少した。さらに、hpHAse発現腫瘍細胞をもつ殆どのマウスは、39日間にわたって悪液質を進行させなかった。本発明をこれまで十分に説明してきたが、多くの変更および修飾が添付の請求の範囲を逸れることなく実施しえることは当業者には明白であろう。配列表(1)一般情報:(i)出願人:ザ・リージェント・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア(ii)発明の名称:ヒト血漿ヒアルロニダーゼ(iii)配列の総数:10(iv)郵便物の宛先:(A)名宛人:Robbins,Berliner & Carson,LLP(B)街:201 N.Figueroa Street,5loor(C)市:ロサンゼルス(D)州:カリフォルニア(E)国:アメリカ合衆国(F)ZIP:90012-2628(v)コンピューター解読形式:(A)媒体型:フロッピーディスク(B)コンピューター:IBMPCコンパチブル(C)作動システム:PC−DOS/MS−DOS(D)ソフト:PatentIn Release #1.0,バージョン#1.25(vi)現在の出願状況:(A)出願番号:(B)出願日:(C)分類:(viii)代理人情報:(A)氏名:Robert Berliner(B)登録番号:20121(C)リファレンス/ドケット番号:5555-458C1-XPC(ix)通信に関する情報:(A)電話:213-977-1001(B)ファックス:213-977-1003(2)配列番号1の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:435アミノ酸(B)型:アミノ酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:タンパク質(xi)配列の記載:配列番号:1(2)配列番号2の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:21アミノ酸(B)型:アミノ酸(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:ペプチド(xi)配列の記載:配列番号2(2)配列番号3の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:435アミノ酸(B)型:アミノ酸(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:タンパク質(xi)配列の記載:配列番号:3(2)配列番号4の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:2517塩基対(B)型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:cDNA(xi)配列の記載:配列番号:4(2)配列番号5の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:20塩基対(B)型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:cDNA(xi)配列の記載:配列番号:5(2)配列番号6の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:21塩基対(B)型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:cDNA(xi)配列の記載:配列番号:6(2)配列番号7の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:18塩基対(B)型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:cDNA(xi)配列の記載:配列番号:7(2)配列番号8の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:20塩基対(B)型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:cDNA(xi)配列の記載:配列番号:8(2)配列番号9の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:8アミノ酸(B)型:アミノ酸(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:ペプチド(xi)配列の記載:配列番号:9(2)配列番号10の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:4アミノ酸(B)型:アミノ酸(D)トポロジー:直線状(ii)分子の型:ペプチド(xi)配列の記載:配列番号:10(2)配列番号11の情報:(i)配列の性状:(A)長さ:509アミノ酸(B)型:アミノ酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直線状(xi)配列の記載:配列番号:11 組織、血液、血漿、血清および尿から成る群から選ばれるサンプルと抗ヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)抗体とを、抗hpHAse抗体−hpHAse複合体を形成するのに十分な時間接触させる工程;該サンプル中に存在するhpHAseの量を検出する工程;及び該サンプル中で検出されたhpHAse量を正常レベルのhpHAseと相関する既知量のhpHAseを含むコントロールサンプル中のhpHAse量と比較する工程、を有し、前記hpHAseが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるhpHAseであって、患者から得たサンプル中のhpHAse検出量がコントロールサンプル中のhpHAse量未満の場合、LuCa−1の欠陥に付随する症状を有するか又はその疑いがある患者から得たサンプルであることを示唆する、配列番号4で表されるLuCa−1遺伝子の欠陥に付随する症状を有するか又はその疑いがある患者から得たサンプルを特定する方法。 配列番号4で表されるLuCa−1遺伝子の欠陥に付随する症状をもつ患者にヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)を投与するための医薬製剤であって、a)治療上有効量の、精製された、少なくとも75%の純度を有するhpHAseポリペプチド;およびb)医薬上許容可能な担体、を含有し、前記hpHAseポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドである医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDおよびN−グリコシダーゼ−Fによる切断に耐性を有する脂肪酸部分を有する、請求項2に記載の医薬製剤。 a)治療上有効量の、精製された、酵素活性があるヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)ポリペプチドを含有する組成物;およびb)医薬上許容可能な担体、を含有する医薬製剤であって、前記hpHAseポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドである医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが、少なくとも60%の純度を有し、ポリペプチドが通常付随するタンパク質および天然に存在する有機分子を含まず、糖付加されており、25℃より高い温度で非イオン性洗剤濃厚相へ分配される、請求項4に記載の医薬製剤。 前記糖付加されたhpHAseポリペプチドが、N−グリコシダーゼ−F処理に感受性である、請求項5に記載の医薬製剤。 前記糖付加されたhpHAseポリペプチドがマンノース残基を有する、請求項5または請求項6に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが、さらに脂肪酸修飾を有する、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記脂肪酸修飾がホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD、およびN−グリコシダーゼ−Fによる切断に耐性を示す、請求項8に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドの酵素比活性が少なくとも6×105相対的濁度減少単位(TRU)/mgタンパク質を示す、請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドの酵素比活性が少なくとも2×105相対的濁度減少単位(TRU)/mgタンパク質を示す、請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドがSDS−PAGE電気泳動で決定した相対分子量が57kDaである、請求項4から請求項11のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが少なくとも75%の純度を有する、請求項4から請求項12のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが少なくとも90%の純度を有する、請求項4から請求項12のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが少なくとも99%の純度を有する、請求項4から請求項12のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが組換え体である、請求項4から請求項15のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記hpHAseポリペプチドが天然に存在するhpHAseである、請求項4から請求項15のいずれか1項に記載の医薬製剤。 前記担体がリポソームである請求項4から請求項17のいずれか1項に記載の医薬製剤。 非癌性細胞のヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性のレベルと比べて低いレベルのヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性を有する癌の患者において腫瘍の成長および転移のうち少なくとも一つを抑制するための、請求項4から請求項18のいずれか1項に記載の医薬製剤。 皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、または腫瘍周辺内注射による投与用に製剤化されている請求項19記載の医薬製剤。 前記癌が乳癌、小型肺細胞癌、有棘肺細胞癌、脳の癌、頭部の癌および頚部の癌から選ばれる請求項19記載の医薬製剤。 配列番号4で表されるLuCa−1遺伝子の欠陥に付随する癌の処置または予防のための組成物であって、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなる、精製されたヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)を含む組成物。 前記hpHAseが、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDおよびN−グリコシダーゼ−Fによる切断に耐性を有する脂肪酸部分を有し、少なくとも75%の純度を有する、請求項22に記載の組成物。 非癌性細胞のヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性のレベルと比べて、低いレベルのヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性を有する癌の患者において腫瘍成長および転移のうち少なくとも一つを抑制するための請求項22または請求項23のいずれか1項に記載の組成物。 非癌性細胞のヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性のレベルと比べて、低いレベルのヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性を有する癌の患者において腫瘍の成長および転移のうち少なくとも一つを抑制するための薬剤の調合における精製されたヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)の使用であって、前記hpHAseが、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDおよびN−グリコシダーゼ−Fによる切断に耐性を有する脂肪酸部分を有し、少なくとも75%の純度を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるhpHAseである使用。 配列番号4で表されるLuCa−1遺伝子の欠陥に付随する癌の処置のための薬剤の調合における精製されたヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)の使用であって、前記hpHAseが、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDおよびN−グリコシダーゼ−Fによる切断に耐性を有する脂肪酸部分を有し、少なくとも75%の純度を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるhpHAseである使用。 配列番号4で表されるLuCa−1遺伝子の欠陥に付随する癌の処置または予防のための医薬組成物であって、ヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびそれに機能可能に連結した真核細胞性プロモーター配列を含有する構築物を含み、前記hpHAseポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなる医薬組成物。 前記構築物がウイルスベクターである、請求項27に記載の医薬組成物。 前記構築物が被包化されてない構築物である、請求項27に記載の医薬組成物。 前記ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、請求項28に記載の医薬組成物。 非癌性細胞のヒト血漿ヒアルロニダーゼ(hpHAse)活性のレベルと比べて、低いレベルのヒト血漿ヒアルロニダーゼ活性を有する癌の患者において腫瘍の成長および転移のうち少なくとも一つを抑制するための医薬組成物であって、hpHAseポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびそれに機能可能に連結した真核細胞性プロモーター配列を含有する構築物を含み、前記hpHAseポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号1で表されるアミノ酸配列をアミノ酸置換、欠失、または付加により改変したアミノ酸配列であって、ヒアルロニダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなる医薬組成物。 皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、または腫瘍周辺内注射による投与用に製剤化されている請求項31記載の医薬組成物。 前記癌が乳癌、小型肺細胞癌、有棘肺細胞癌、脳の癌、頭部の癌および頚部の癌から選ばれる請求項31記載の医薬組成物。