タイトル: | 特許公報(B2)_レチノイン酸の皮膚に対する効果と類似の効果を有する化合物の組合せを含有するスキンケア組成物 |
出願番号: | 1998515241 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K7/00,A61K7/48,A61P17/00 |
グレインジヤー,スチユワート・ペイトン バーガー,アラン・ロバート スコツト,イアン・リチヤード イワタ,コウイチ チヤン,ケリー・ホワ ロウリングス,アンソニー・ビンセント JP 3589469 特許公報(B2) 20040827 1998515241 19970918 レチノイン酸の皮膚に対する効果と類似の効果を有する化合物の組合せを含有するスキンケア組成物 ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ 川口 義雄 伏見 直哉 田中 夏夫 グレインジヤー,スチユワート・ペイトン バーガー,アラン・ロバート スコツト,イアン・リチヤード イワタ,コウイチ チヤン,ケリー・ホワ ロウリングス,アンソニー・ビンセント US 60/026,824 19960927 20041117 7 A61K7/00 A61K7/48 A61P17/00 JP A61K7/00 C A61K7/00 D A61K7/00 H A61K7/00 W A61K7/48 A61P17/00 7 A61K 7/00 A61K 7/48 国際公開第95/003772(WO,A1) 国際公開第95/011662(WO,A1) 特表平08−501574(JP,A) 特開昭63−227523(JP,A) 特開平06−128137(JP,A) 4 EP1997005150 19970918 WO1998013020 19980402 2000503031 20000314 29 19990331 鶴見 秀紀 発明の分野本発明は、レチノール及び/又はレチニルエステルと組み合わせてある種の化合物を含有するスキンケア組成物およびそのような組成物を皮膚に適用することを含む化粧方法に関する。発明の背景レチノール(ビタミンA)は、ヒト身体で天然に生じ、正常な上皮細胞分化に必須の内因性化合物である。天然および合成のビタミンA誘導体は種々の皮膚障害の治療で広範囲に使用され、皮膚修復または再生剤として使用されてきた。レチノイン酸は、種々の皮膚疾患、例えば、アクネ、皺、乾癬、老人斑および脱色を治療するのに使用されてきた。例えば、Vahlquist,A.ら,J.Invest.Dermatol.,第94巻,Holland D.B.およびCunliffe,W.J.(1990)、496−498頁;Ellis,C.N.ら,「Pharmacology of Retinols in Skin」、Vasel,Karger,第3巻,(1989),249−252頁;Lowe,N.J.ら,「Pharmacology of Retinols in Skin」、第3巻,(1989),240−248頁;PCT出願WO93/19743参照。レチノールまたはレチノールのエステルの使用はレチノイン酸よりも好ましいと信じられている。レチノールはヒト身体で天然に生じ、レチノイン酸よりもずっと安全であると考えられている。レチノールのエステルはin vivoで加水分解されてレチノールを生じる。レチノールエステルおよびレチノールは、以下のメカニズムに従って、代謝により皮膚中でレチノイン酸に変換されると信じられている。しかしながら、内因的に生じるレチノールのほとんどは、表皮細胞(ケラチノサイト)における貯蔵のために不活性な脂肪エステルに迅速に変換される。レチノールから不活性なレチニルエステルへのエステル化は、酵素アシルCoAレチノールトランスフェラーゼ(ARAT)によって触媒される、アシルCoAからの脂肪アシル基の転移によって、あるいは酵素レシチンレチノールアシルトランスフェラーゼ(LRAT)によって触媒される、ホスファチジルコリンからのアシル基の転移によって細胞中で行なわれる。これらのエステル化反応はケラチノサイトでは非常に効率的であり、細胞レチノイドの大部分(95%)はレチニル脂肪エステルの形態である。かくして、生憎にも、レチノールおよびレチニルエステルはレチノイン酸よりも安全に使用できるが、皮膚に対する有益な効果においてレチノイン酸よりも効果的ではない。本発明は、部分的には、ある種の化合物がこれらのエステル化反応を阻害し、かくして、レチノイン酸への変換に利用できるレチノールの量を増加させることによってレチノールの作用を増強させるという発見に基づいている。かくして、これらの化合物とレチノールまたはレチニルエステルとの混合物はレチノイン酸を模倣するが、レチノイン酸よりも安全に使用できる。発明の概要本発明は、部分的には、(a)レチノール、レチニルエステルおよびそれらの混合物よりなる群から選択される0.001%ないし10%の化合物、(b)明細書に記載したイン・ビトロミクロソーム検定によって測定して、LRATによりまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化の少なくとも20%を100μM濃度で阻害する0.0001%ないし50%の化合物[ここで、該化合物は脂肪酸アミドまたはジメチルイミダゾリジノンではなく、環状脂肪族不飽和炭化水素、ジテルペン、および以下の構造:(式中、Rは8ないし20個の炭素原子を含有する脂肪族で不飽和または飽和の、直鎖または分岐鎖炭化水素鎖である)を有する脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリン界面活性剤、およびそれらの混合物よりなる群から選択される]、および(c)化粧品上許容されるビヒクルを含む皮膚コンディショニング用組成物を包含する。本発明においてレチノール及び/又はレチニルエステルと組み合わせて含まれる化合物は、皮膚に対するレチノイン酸の効果を模倣する(類似の効果を有する)かかる組合せの能力に基づいて選択される。言い換えると、もし化合物がイン・ビトロミクロソーム検定によって測定して、LRATまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化を十分に阻害するならば、それはレチノールまたはレチニルエステルと一緒に作用して、レチノイン酸のケラチノサイト(皮膚細胞)に対する効果を模倣することになる。本発明は、さらに、本発明の組成物を皮膚に局所的に適用することを含む皮膚をコンディショニングする化粧方法を提供する。また、本発明は、本発明の組成物を皮膚に局所的に適用することを含む、皮膚に対するレチノイン酸の効果を模倣する化粧方法を提供する。本明細書で用いる「コンディショニング」という用語は、乾燥した皮膚、光により損傷を受けた皮膚、皺の外観、老人斑及び老化した皮膚のうちの1以上の予防および治療を意味する。また、本組成物は、角質層柔軟性を増加させ、皮膚の色を薄くし、皮脂分泌を制御し、そして一般的に皮膚の質を増大させるのにも有用である。該組成物は皮膚の剥離および表皮分化を改善するのにも使用できる。本発明組成物中の選択された化合物の存在は、レチノールまたはレチニルエステルの効能を実質的に改良する。本発明によれば、イン・ビトロミクロソーム検定によって測定して、ARATまたはLRATにより触媒されるレチノールのエステル化の少なくとも20%を100μM濃度で阻害する有効量の化合物を、レチノールまたはレチニルエステルを含有する組成物に含ませることによって、該組成物の効能が実質的に改良される。好ましい態様の説明本発明の組成物は、第1の必須成分として、レチノールおよびレチニルエステルよりなる群から選択される化合物を含有する。「レチノール」なる語は、とりわけ、レチノールの以下の異性体:オール−トランス−レチノール、13−シス−レチノール、11−シス−レチノール、9−シス−レチノール、3,4−ジデヒドロ−レチノールを含む。好ましい異性体はオール−トランス−レチノール、13−シス−レチノール、3,4−ジデヒドロ−レチノール、9−シス−レチノールである。最も好ましいものは、その広い商業的入手可能性のため、オール−トランス−レチノールである。レチニルエステルはレチノールのエステルである。「レチノール」なる語は前記で定義した。本発明で用いるのに適したレチニルエステルはレチノールのC1−C30エステル、好ましくはC2−C20エステル、最も好ましくはC2、C3およびC16エステルである。何故ならば、それらはより通常に入手できるからである。レチニルエステルの例は、パルミチン酸レチニル、ギ酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酪酸レチニル、吉草酸レチニル、イソ吉草酸レチニル、ヘキサン酸レチニル、ヘプタン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ノナン酸レチニル、デカン酸レチニル、ウンデカン酸レチニル、ラウリル酸レチニル、トリデカン酸レチニル、ミリスチン酸レチニル、ペンタデカン酸レチニル、ヘプタデカン酸レチニル、ステアリン酸レチニル、イソステアリン酸レチニル、ノナデカン酸レチニル、アラキドン酸レチニル、ベヘン酸レチニル、リノール酸レチニル、オレイン酸レチニルを含むが、それらに限定されるものではない。本発明で用いる好ましいエステルは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニルおよびプロピオン酸レチニルから選択される。何故ならば、これらは最も商業的に入手可能であり、従って、最も安価だからである。リノール酸レチニルもその効力のため好ましい。レチノール及び/又はレチニルエステルは、本発明の組成物では、0.001%ないし10%の量で、好ましくは0.01%ないし1%の量で、最も好ましくは0.01%ないし0.5%の量で使用される。本発明の組成物の第2の必須成分は、イン・ビトロミクロソーム検定にパスする化合物である。本発明で使用するのに適した化合物は、イン・ビトロミクロソーム検定によって測定して、LRATまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化の少なくとも20%を100μM濃度で阻害する。本発明組成物に該化合物を含ませることの適切さを決定するのに使用されるイン・ビトロミクロソーム検定は以下の通りである:本発明の好ましい具体例において、LRATまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化の少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%を、100μMの濃度で阻害する化合物が選択される。イン・ビトロミクロソーム検定ミクロソームは、J.C.SaariおよびD.L.Bredberg、「CoA and Non−CoA Dependent Retinol Esterification in Retrinal Figment Epithelium」、J.Biol.Chem.,263,8084−90(1988)に記載されているごとくに得られる。0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)緩衝液、5mMジチオスレイトール、2mg/mlウシ血清アルブミン、40マイクロモル濃度のパルミトイルCoA、40マイクロモル濃度のジラウロイルホスファチジルコリン、10マイクロモル濃度のレチノールおよびテスト化合物を含有する溶液または溶媒ブランクを、ウシ・レチナール色素上皮細胞から単離したミクロソーム画分と共に、37℃で1時間インキュベートする。インキュベーション後、等容量のエタノールの添加によつて反応をクエンチし、形成されたレチニルエステル(LRATにより触媒される反応からのラウリン酸レチニルおよびARATにより触媒される反応からのパルミチン酸レチニル)をヘキサンで抽出する。ヘキサン層を取り出し、窒素下で蒸発させ、残渣を、テトラヒドロフラン中80%メタノールの移動相および蛍光検出(325nm励起、480nm発光)を用いる3.9×300mm C19逆相カラム上のHPLCによって分析して、レチニルエステルを定量する。溶媒ブランクの存在下で形成されたエステルの量を100%とし、これを用いて、テストした化合物についてのエステル形式の阻害率(%)を計算する。対照として、ミクロソームのアリコートを5分間沸騰することによって不活化したところ、エステル形成が少なくとも95%阻害される。環状脂肪族不飽和炭化水素、ジテルペン、フラボノン、フラボノールおよびある種の脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリン界面活性剤は、上記したイン・ビトロミクロソーム検定を満足する化合物の例である。これらの化合物の個々について以下に述べる。もちろん、本明細書で明示的に言及しない他の化合物も、それらが明細書に記載するイン・ビトロミクロソーム検定テストをパスする限り、本発明組成物に含まれる。環状脂肪族不飽和化合物適当な環状脂肪族不飽和化合物は、前記したイン・ビトロミクロソーム検定テストに従って選択される。好ましい環状脂肪族不飽和化合物は環状脂肪族不飽和のアルデヒド、ケトン、アルコールおよびエステルから選択される。好ましい環状脂肪族不飽和のアルデヒド、ケトン、アルコールおよびエステルは、アルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、イソダマスコン、ダマスセノン、アルファイオノン、ベータイオノン、アリルアルファイオノン、イソブチルイオノン、アルファメチルイオノン、ガンマメチルイオノン、ブラマノール、サンダノール、アルファテルピネオール、リラール、エチルサフラネート、およびそれらの混合物である。これらの化合物の構造は以下の通りである:好ましくは、最小コストで効能を最大化するためには、環状脂肪族不飽和化合物は上記した構造を有するダマスコンおよびイオノンよりなる群から選択される。最も好ましくは、環状脂肪族不飽和化合物はα−ダマスコン及び/又はα−イオノンである。環状脂肪族不飽和化合物は、組成物の0.0001重量%ないし50重量%の範囲の量で本発明組成物に含ませることができ、好ましくは0.01重量%ないし10重量%、最も好ましくは0.1重量%ないし5重量%の量である。ジテルペン本発明を含ませるのに適当なジテルペンは前記したイン・ビトロミクロソーム検定にパスするものである。好ましいジテルペン化合物はゲラニルゲラニオールであり、これは以下の構造を有する:ジテルペンは、0.0001%ないし50%の範囲の量で本発明組成物に含ませることができ、好ましくは0.01%ないし10%、最も好ましくは0.1%ないし5%の量で使用される。フラボノンおよびフラボノール本発明で含ませるフラボノンおよびフラボノールは、前記したイン・ビトロミクロソーム検定をパスするものである。好ましいフラボノンおよびフラボノールはナリンゲニン、ケルセチンおよびそれらの混合物から選択される。ナリンゲニンおよびケルセチンの構造は以下の通りである:フラボノンまたはフラボノールは、0.0001%ないし50%の範囲の量で本発明組成物に含ませることができ、好ましくは0.01%ないし10%、最も好ましくは0.1%ないし5%の量で使用される。ケルセチン及び/又はナリンゲニンはSigmaから得ることができる。ケルセチン及び/又はナリンゲニンを含有する植物抽出物、例えば、ルチン、マツヨイグサ、タマネギ、柑橘種も本発明で使用するのに適する。脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリン界面活性剤本発明に含まれる脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリン界面活性剤は前記したイン・ビトロミクロソーム検定テストをパスする。好ましい脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリンは、以下の一般的構造:[Rは8ないし20個の炭素原子を含有する脂肪族で飽和または不飽和の、直鎖または分岐鎖炭化水素鎖である]を有する。適当な脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリンの例は、限定されるものではないが、ココイルヒドロキシエチルイミダゾリン(Rはヤシ油脂肪酸に由来し、ほとんどはC12でいくらかはより長い鎖である)、ラウリルヒドロキシエチルイミダゾリン(R=CH3(CH2)10)、ミリスチルヒドロキシエチルイミダゾリン(R=CH3(CH2)12)、ステアリルヒドロキシエチルイミダゾリン(R=CH3(CH2)16)、およびオレイルヒドロキシエチルイミダゾリン(R=CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7)を含む。好ましくは、脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリンにおけるRは8ないし18個の炭素原子、より好ましくは11ないし18個の炭素原子を含有する。最も好ましくは、脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリンは、その商業的入手可能性および効能のため、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリンである。脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリンは、0.0001%ないし50%の範囲の量で本発明組成物に含ませることができ、好ましくは0.01%ないし10%、最も好ましくは0.1%ないし5%の量で表示される。化粧品上許容されるビヒクル本発明の組成物は、組成物中の有効成分のための希釈剤、分散剤または担体として作用して、組成物が皮膚に適用された場合にそれらの分配を促進するための化粧品上許容されるビヒクルも含む。水以外のまたは水と共に用いるビヒクルとしては液体または固体の軟化剤、溶剤、保湿剤、増粘剤および粉末を挙げることができる。特に好ましい非水性担体はポリジメチルシロキサン及び/又はポリジメチルフェニルシロキサンである。本発明のシリコーンは25℃において10ないし10,000,000mm2/s(センチストークス)の範囲の粘度を持つものでよい。特に望ましいものは、低粘度および高粘度シリコーンの混合物である。これらのシリコーンは商品名Vicasil、SEおよびSFの下にGeneral Electric Companyから、200および550シリーズとしてDow Corning Companyから入手できる。本発明の組成物で使用できるシリコーンの量は、組成物の5重量%ないし95重量%の範囲、好ましくは25重量%ないし90重量%である。化粧品上許容されるビヒクルは、通常、組成物の5重量%ないし99.9重量%、好ましくは25重量%ないし80重量%であり、他の化粧品添加剤の不存在下では、組成物の残りを形成できる。好ましくは、該ビヒクルはビヒクルの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも80重量%が水である。好ましくは、水は組成物の少なくとも50重量%、最も好ましくは60ないし80重量%を占める。任意の皮膚有益物質および化粧品添加剤乳化剤と共に油または油性物質を存在させて、使用する乳化剤の平均親水性−親油性バランス(HLB)に大いに依存して油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョンいずれかを供することができる。本発明の組成物は、好ましくは、日焼け止めを含む。日焼け止めは紫外線をブロックするのに通常使用される物質を含む。例示的化合物はPABA、シンナメーチおよびサリチレートの誘導体である。例えば、メトキシ桂皮酸オクチルおよび(オキシベンゾンとしても公知の)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンを使用できる。メトキシ桂皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンは、各々、商標名Parsol MCXおよびBenzophenone−3の下で商業的に入手できる。エマルジョンで使用される日焼け止めの正確な量は、太陽の紫外線放射からの所望される保護の程度に依存して変化し得る。もう1つの好ましい任意成分は必須脂肪酸(EFA)、すなわち、全ての細胞の原形質膜形成に必須の脂肪酸から選択され、ケラチノサイトではEFA欠乏は細胞を過剰増殖性とする。EFAの補足はこれを矯正する。また、EFAは表皮細胞の脂質生合成を促進し、表皮細胞のバリヤー形成のための脂質を提供する。該必須脂肪酸は、好ましくは、リノール酸、γ−リノレン酸、ホモ−γ−リノレン酸、コロンビン酸、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、アラキドン酸、α−リノレン酸、チムノドン酸、ヘキサエン酸およびそれらの混合物から選択される。軟化剤は、しばしば、本発明の化粧品組成物に配合される。かかる軟化剤の量は組成物全体の0.5重量%ないし50重量%、好ましくは5重量%および30重量%の間の範囲とし得る。軟化剤は、エステル、脂肪酸およびアルコール、ポリオールおよび炭化水素のごとき一般的化学範疇の下で分類できる。エステルはモノ−またはジーエステルであり得る。脂肪酸ジ−エステルの許容される例はアジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ダイマー酸ジイソプロピル、およびコハク酸ジオクチルである。許容される分岐鎖脂肪酸エステルは、ミリスチン酸2−エチル−ヘキシル、ステアリン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソステアリルを含む。許容される三塩基酸エステルはトリリノール酸トリイソプロピルおよびクエン酸トリラウリルを含む。許容される直鎖脂肪酸エステルはパルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチ、エルカ酸オレイルおよびオレイン酸ステアリル含む。好ましいエステルはココカプリレート/カプリレート(ココカプリレートおよびココカプリレートのブレンド)、プロピレングリコールミリスチルエーテルアセテート、アジピン酸ジイソプロピルおよびオクタン酸セチルを含む。適当な脂肪アルコールおよび脂肪酸は10ないし20個の炭素原子を有する化合物を含む。特に好ましいものはセチル、ミリスチル、パルミチックおよびステアリルアルコールおよび対応する酸のごとき化合物である。軟化剤として働き得るポリオールには、直鎖および分岐鎖アルキルポリヒドロキシル化合物がある。例えば、プロピレングリコール、ソルビトールおよびグリセリンが好ましい。また、有用なのはポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのごときポリマー性のポリオールである。ブチレンおよびプロピレングリコールは浸透促進剤としても特に好ましい。軟化剤として働き得る例示的炭化水素は12ないし30個の炭素原子の炭化水素鎖を有するものである。特別の例は鉱油、石油ゼリー、スクアレンおよびイソパラフィンである。本発明の化粧品組成物内の機能的成分のもう1つの範疇は増粘剤である。増粘剤は、通常、組成物の0.1重量%ないし20重量%、好ましくは0.5重量%ないし10重量%である。例示的増粘剤はB.F.Goodrich Companyからの商標Carbopol下で入手できる架橋ポリアクリレート物質である。キサンタン、カラギーナン、ゼラチン、カラヤ、ペクチンおよびローカストビーンガムのごときガムを使用できる。ある状況下では、増粘機能は、シリコーンまたは軟化剤としても働く物質によって達成できる。例えば、10センチストーク以上の粘度を持つシリコーンガムおよびステアリン酸グリセロールのようなエステルは二元の機能を有する。粉末を本発明の化粧品組成物に配合することができる。これらの粉末は白亜、タルク、カオリン、澱粉、緑粘土、化学的に修飾されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機的に修飾されたモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、アルミニウム澱粉コハク酸オクテニルおよびそれらの混合物を含む。他の添加少量成分を化粧品組成物に配合することもできる。これらの成分は着色剤、乳白剤および香料を含むことができる。これらの他の少量成分の量は組成物の0.001重量%ないし20重量%の範囲であり得る。組成物の使用本発明による組成物は、主として、ヒトの皮膚への局所適用用の製品として、特に皮膚をコンディショニングし滑らかにし、皺の入ったまたは老化した皮膚の外観を予防しまたは低下させるための剤として意図される。使用において、例えば、1ないし100mlの少量の組成物を、適当な容器またはアプリケーターから皮膚の露出領域に適用し、要すれば、次いで、手もしくは指または適当なデバイスを用い、皮膚に広げ及び/又は皮膚に擦り込む。製品の形態および包装本発明の局所皮膚治療用組成物は、適当には、ローション、クリームまたはゲルとして処方することができる。該組成物は、適当な容器にパッケージして、その粘度および消費者によって意図される使用に適合させることができる。例えば、ローションまたはクリームはボトルまたはロール−ボールアプリケーター、ガス−駆動エアロゾルデバイスまたは指操作のために適したポンプを備えた容器に詰めることができる。組成物がクリームである場合、それは簡便に非変形性ボトルまたはチューブもしくはフタ付きジャーのような絞容器に貯蔵することができる。また、本組成物は米国特許第5,063,057号に記載されているごときカプセルに含ませることができる。本発明は、従って、本明細書に定義した化粧品上許容される組成物を含有する閉鎖容器を提供する。以下特定実施例により本発明を説明する。材料及び方法細胞培養トリプシン処理によって新生包皮から単離したヒト・ケラチノサイトを、分裂するケラチノサイトコロニーを樹立するために、照射された3T3マウス線維芽細胞の存在下、ダルベッコ修飾イーグル(DME)Hams F12(1:1)培地/10%胎児ウシ血清中で増殖させた。前記条件下、細胞を二次継代まで増殖させ、将来の使用のために凍結保存した。凍結した二次継代ケラチノサイトを解凍し、前記培地に植え付け、5日間増殖させ、しかる後、それを、0.15mM Caを含有するClonetics Corporation,San Diego,CAからの無血清MCDB153−ベースの培地ケラチノサイト増殖培地(KGM)、または0.09mM Caを含有するGIBCOからのケラチノサイト無血清培地(KSFM)に取り換えた。第7日、細胞が80−90%コンフルエントになったとき、トリプシン処理し、種々の実験のために無血清培地に平板培養した。チミジン検定3H−チミジン取り込みおよびケラチノサイト増殖培養したケラチノサイトによる3H−チミジンの取り込みをケラチノサイト増殖の検定として使用した。チミジンは、動物界における遺伝情報の普遍的ライブラリーであるDNAのモノマー単位である4つのデオキシヌクレオシドの1つである。ケラチノサイトのごとき体細胞の細胞分裂に先立って、細胞分裂をする細胞の完全なゲノムが複製される。これには、細胞による大量のDNA合成が含まれ、両娘細胞が遺伝物質の同一コピーを受け取ることが可能になる。細胞分裂のためにDNAを合成しているケラチノサイトの培地に3H−チミジンを含ませると、標識ヌクレオシドが新たに合成されたDNAに取り込まれる。3H−チミジンの細胞集団への取り込みの程度は、その細胞集団によるDNAの合成速度に比例し、従って、細胞増殖の指標である。(前記したごとくに培養した)ケラチノサイトを1ml培地のウェル当たり20,000細胞の密度で24ウェルプレートに植えた。4日間のインキュベーションまたは細胞が60−70%コンフルエントになるまでのインキュベーションの後、培地を交換した。培地交換の24時間後にテスト化合物を(三連で)ウェルに添加し、4時間後、50μlの培地中の1μCi 3H−チミジンをウェル当たりに添加した。細胞をさらに24時間インキュベートした。培地を細胞から除去し、10%氷冷トリクロロ酢酸(TCA)を添加し、プレートを氷上で30分間インキュベートした。細胞を5% TCAで5回洗浄し、少なくとも1時間(通常は一晩)、500μlの0.1M NaOH中に溶解させた。調製物を0.1M HClで中和し;細胞調製物50μlを用いて、全蛋白質含有量を決定した。DNAの3H標識からの1分当たりの崩壊(DPM)を、細胞調製物900μlの液体シンチレーションカウンティングによって測定した。チミジン取り込みの結果をDPM/μg蛋白質として表した。トランスグルタミナーゼ検定トランスグルタミナーゼ検定およびケラチノサイト分化表皮における末端分化のプロセスの間に角化エンベロープ(CE)として知られている蛋白質の15nm厚み層が細胞周辺の内部表面で形成される。CEは、表皮で発現される少なくとも2つの異なるトランスグルタミナーゼ(TGase)の作用によって触媒されるNε−(γ−グルタミル)リシンイソジペプチド結合の形成によって互いに架橋された多数の異なる蛋白質からなる。トランスグルタミナーゼI(TGase I)は表皮の分化した層、特に顆粒層で豊富に発現されるが、未分化基底表皮には存在しない。かくして、TGase Iは表皮ケラチノサイト分化の有用なマーカーであり、高TGase Iレベルがより分化した状態を示す。TGase I抗体を用いるELISAベースのTGase検定を用いて、以下の実施例において、培養したケラチノサイトの分化の状態を評価した。実施例1では、以下の手法を用いた:(前記したごとくに培養した)ケラチノサイトを、200μl培地のウェル当たり3,000細胞の密度で96ウェルプレートに植え付けた。4日間のインキュベーションの後、培地を、テスト化合物を含有する培地に交換した(テスト当たり6連)。細胞をさらに72時間培養し、しかる時点の後、培地を吸引し、プレートを−70℃で貯蔵した。プレートをフリーザーから取り出し、細胞をPBSで洗浄した。100μlの滅菌水を添加し、−70℃で凍結し、次いで解凍することによって細胞を破砕した。細胞をPBS/3%BSA(洗浄緩衝液、ウシ血清アルブミン)と共に室温(R/T)で1時間インキュベートし、次いで、洗浄緩衝液の新鮮アリコートですすいだ。洗浄緩衝液で1:2000に希釈したBiomedical Industriesから得た50μlの一次抗体のモノクローナル抗−ヒトトランスグルタミナーゼ・マウス抗体(IgG)と共に細胞を37℃で1時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液で2回すすいだ。次いで、洗浄緩衝液で1:4000に希釈した50μlの二次抗体(Fab断片、Amershamから得られるペルオキシダーゼ結合抗−マウスIgG)と共に37℃で1時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液で2回洗浄した。暗所にて(アルミニウムホイル下)、基質溶液(10mlの0.1Mクエン酸緩衝液pH5.0中の4mgのo−フェニレンジアミンおよび3.3μlの30%H2O2)と共に細胞を室温で5分間インキュベートした。50μlの4N H2SO4の添加によって反応を停止させた。試料の吸光度をプレートリーダーにて492nmで読んだ。6連のうち、4つを両抗体で処理し、2つを第二抗体でのみ処理した(すなわち、酵素結合Abのバックグラウンド結合を決定した)。TGaseレベルは、各処理からの読みからバックグラウンドを差し引き、両抗体に暴露された複製につき平均値±標準偏差を決定することによって決定した。TGase Iレベルを測定した他の実施例については、以下の手法を用いた:(前記したごとくに培養した)ケラチノサイトを、200μl細胞培養培地のウェル当たり3,000細胞の密度で96ウェルプレートに植え付けた。4日間のインキュベーションの後、培地を、テスト化合物を含有する培地に交換した(テスト当たり6連)。細胞をさらに72時間培養し、しかる時点の後、培地を吸引し、プレートを−70℃で貯蔵した。プレートをフリーザーから取り出し、凍結し解凍することによって細胞をさらに凍結粉砕し、次いで、PBSで3回洗浄した。細胞をTBS/5%BSA緩衝液と共に室温(R/T)で1時間インキュベートした。次いで、TBS/1%BSA緩衝液で1:2000に希釈したBiomedical Technologiesから得た100μlのモノクローナル抗−ヒトトランスグルタミナーゼ(IgG)マウス抗体(一次抗体)と共に細胞を37℃で2時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液(TBS/1%BSA/0.05% Tween−20)で6回すすいだ。次いで、細胞を、洗浄緩衝液で1:4000に希釈したAmershamからの100μlのFab断片、ペルオキシダーゼ結合抗−マウスIgG抗体(二次抗体)と共に37℃で2時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液で3回、およびPBSで3回すすいだ。暗所にて(アルミニウムホイル下)、基質溶液(10mLの0.1Mクエン酸緩衝液pH5.0中の4mgのo−フェニレンジアミンおよび3.3μlの30%H2O2)と共に細胞を室温で5分間インキュベートした。50μlの4N H2SO4の添加によって反応を停止させた。試料の吸光度をプレートリーダーにて492nmで読んだ。6連のうち、4つを両抗体で処理し、2つを第二抗体でのみ処理した(すなわち、酵素結合抗体のバックグラウンド結合を決定した)。トランスグルタミナーゼIレベルは、各処理からの読みからバックグラウンドを差し引き、両抗体に暴露された複製につき平均値±標準偏差を決定することによって決定した。DNA検定細胞の処理後に検出されたTGase Iのレベルは、細胞数によって影響され得た。すなわち、細胞の数が多くなれば、検出されたTGase−Iのレベルは大きくなった。TGase Iのレベルを同一ウェル中の細胞のDNA含有量に正規化し、かくして、細胞数の差異による変動を排除した。DNAの定量は、ケラチノサイト細胞数を含めた細胞数の特に有用な指標である。何故ならば、各細胞は、全ての意図および目的に対して、同一のゲノム、従って同一量のDNAを有するからである。従って、細胞のウェルの全DNA含有量はそのウェル中の細胞数に直接比例する。DNAの定量を用いて、TGaseデータを細胞数に対して正規化した。200μl培地のウェル当たり3,000の細胞密度で、ケラチノサイトを96ウェルプレートに植え付けた。4日間のインキュベーションの後、培地を、テスト化合物を含有する培地と交換した(テスト当たり6連)。細胞をさらに72時間培養し、しかる時点の後、培地を吸引し、プレートを−70℃で少なくとも1.5時間貯蔵した。プレートをフリーザーから取り出し、30分間で解凍した。Hoechst染料(1μg/ml最終濃度)の100μl/ウェルを添加し、これを15分間インキュベートし、被覆し、次いで、蛍光計で読んだ(励起360nmおよび発光460nm)。染色溶液を取り除き、TGase検定の準備としてPBSでウェルをすすいだ。実施例1レチノイン酸はケラチノサイト分化状態を改変することにおいてレチノールよりも効果的である。レチノイン酸(RA)およびレチノール(ROH)の添加後に細胞のDNA含有量に対して規格化したトランスグルタミナーゼレベルに対する効果を調べ、結果を表1に示す。テストしたレチノイン酸の全ての濃度、すなわち、2.5×10-7M、2.5×10-8Mおよび2.5×10-9Mはエタノール対照よりもケラチノサイト分化を減少させ、対応する2.5×10-7M、2.5×10-8Mおよび2.5×10-9Mレチノール処理の各々よりも有意に大きい程度までそうした。トランスグルタミナーゼレベルの減少は、レチノイン酸およびレチノール双方につき用量依存的であった。これは、レチノールよりも上皮分化に対する大きな阻害効果を有するレチノイン酸に合致する。実施例2イン・ビトロミクロソームのレチノールのエステル化の方法ミクロソームは、J.C.SaariおよびD.L.Bredberg「CoA and Non−CoA Dependent Retinol Esterification in Retinal Pigment Epithelium」、J.Biol.Chem,23,8084−90(1988)に記載されているごとくに得られる。0.1Mリン酸ナトリウムpH7緩衝液、5mMジチオスレイトール、2mg/mlウシ血清アルブミン、40マイクロモル濃度のパルミトイルCoA、40マイクロモル濃度のジラウロイルホスファチジルコリン、10マイクロモル濃度のレチノールおよびテスト化合物または溶媒ブランクを含有する溶液を、ウシ・レチナール色素上皮細胞から単離したミクロソーム画分と共に、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、等容量のエタノールの添加によって反応をクエンチし、形成されたレチニルエステル(ARAT触媒反応からのパルミチン酸レチニルおよびLRAT触媒反応からのラウリン酸レチニル)をヘキサンで抽出した。ヘキサン層を取り出し、窒素下で蒸発させ、残渣を、テトラヒドロフラン中80%メタノール移動相および蛍光検出(325nm励起、480nm発光)を用いる3.9×300mm C18逆相カラム上のHPLCによって分析して、レチニルエステルを定量した。溶媒ブランクの存在下で形成されたエステルの量を100%とし、これを用いてテストした化合物についてのエステル形成の阻害率(%)を計算した。対照として、ミクロソームのアリコートを5分間沸騰することによって不活化した結果、エステル形成は少なくとも95%阻害された。得られた結果を表2にまとめる。ヒドロキシエチルイミダゾリン界面活性剤は優れたエステル化阻害剤であり、他方、他の界面活性剤および他の複素環化合物は実質的に不活性であることが分かる。カプリリックヒドロキシエチルイミダゾリン(R=CH3(CH2)6)は十分にはLRATを阻害しなかった。実施例3表3に示すR基を有する種々のヒドロキシエチルイミダゾリン界面活性剤で実施例2を反復した。得られた結果を表3に示す。表3の結果は、オレイル>ココ>ラウリルの相対活性を示す。恐らくはココは純粋にはC12ではないが、同様にいくらか長いアルキル基を有するので良好である。カプリリックヒドロキシエチルイミダゾリンに対する表2のデータは、100マイクロモル濃度において8%に過ぎない阻害を示した。一緒にすると、データは、オレイル>ココ>ラウリル>カプリリックの相対活性を明瞭に示す。実施例4オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン(OHI)、レチノイン酸(RA)、レチノール(ROH)およびパルミチン酸レチニル(RP)を用いてトランスグルタミナーゼ検定を行った。得られた結果を表4にまとめる。レチノイン酸はケラチノサイト分化を実質的に低下させたが、他方、レチノール、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、およびパルミチン酸レチニルは単独で使用した場合にケラチノサイト分化に影響しなかつた、あるいはレチノイン酸よりもかなり低い程度だったことが、表4の結果から分かる。実験1および2において、レチノールをオレイルヒドロキシエチルイミダゾリンと組み合わせると、結果は、レチノイン酸の効果に近づくレベルまで、ケラチノサイト分化の相乗的低下であった。実験3では、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリンをパルミチン酸レチニルと組み合わせた場合、結果は、実験1および2におけるごとく劇的ではなかったが、それにもかかわらず、相対的低下が観察された。また、本実施例は、本明細書に記載するインビトロミクロソーム検定にパスした化合物は、実際には、レチノイン酸の効果と同様のレベルにて、レチノールと組み合わせた場合にケラチノサイトに対して効果を有していたことも示している。実施例5インビトロミクロソーム検定テストを表5Aおよび5Bにリストした化合物に対して行った。表5Aの化合物は100μM濃度でテストした。表5Bの化合物は10μM濃度でテストした。ある種の環状脂肪族不飽和化合物はLRATまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化の優れた阻害剤であることが表5Aおよび5Bの結果から分かる。比較例6イン・ビトロミクロソーム検定テストを、さらなる環状脂肪族不飽和化合物で行った。得られた結果を表6にまとめる。表6の化合物は100μM濃度でテストした。全ての環状脂肪族不飽和化合物が、LRATまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化を阻害するのではない、または十分に阻害するのではないことが表6の結果から分かる。実施例7表7にリストした化合物および組合せのケラチノサイト分化に対する効果を調べた。結果は対照の%として表した。トランスグルタミナーゼレベルはDNAに対して正規化した。データは、レチノール濃度を変化させた2つの実験からのものである。得られた結果を表7にまとめる。表7の結果は、α−ダマスコンは単独では、およびレチノールは単独では非常には効果的ではなく、他方、2つの組合せは、ケラチノサイト分化に対するレチノイン酸の効果を模倣するトランスグルタミナーゼの相乗的低下を達成したことを示す。また、本実施例はミクロソーム検定と細胞培養データとの間の良好な相関を確立する。実施例8イン・ビトロミクロソーム検定テストを、ジテルペン化合物、ゲラニルゲラニオールまたはファルネソルで行った。得られた結果を表8にまとめる。ゲラニルゲラニオールおよびファルネソルは共にレチノールのエステル化を阻害することが表8の結果から分かる。ゲラニルゲラニオールは、この構造が以下のものであるファルネソルよりも実質的に優れたエステル化阻害剤である。実施例93H−チミジン取り込みを、前記「材料および方法」欄に記載した手法に従って測定した。得られた結果を表9Aおよび9Bにまとめる。ゲラニルゲラニオールは、レチノールの増殖促進効果を、レチノイン酸の匹敵する量で達成できるのと同様のレベルまで、有意に増加させることが前記結果から分かる。ここでも、良好な相関が、ミクロソーム検定テストと細胞培養に対する化合物の効果との間に存在することが判明する。実施例10イン・ビトロミクロソーム検定を表10にリストする化合物に対して行った。得られた結果を表10にまとめる。表10の化合物は100μM濃度でテストした。実施例11ナリンゲニンおよびレチノールはケラチノサイト分化を相乗的に阻害する。細胞のDNA含有量に正規化したTGase Iレベルに対する効果を、テスト化合物での72時間処理に応答して調べた。結果を表11に示す。ナリンゲニンはSigmaから得た。2.5×10-7Mレチノイン酸はケラチノサイトTGase Iレベルを(対照レベルの42%まで)抑制することにおいて非常に効果的であったことが表11の結果から分かる。2.5×10-9Mレチノールは効果的ではなく(91%)、10-7Mナリンゲニンは単独で使用した場合にケラチノサイトTGase Iレベルに対して阻害活性を有しなかった。しかしながら、2.5×10-9Mレチノール+10-7MナリンゲニンはケラチノサイトTGase Iを対照レベルの53%まで抑制した。ナリンゲニンおよびレチノールは、従って、相乗的に作用して、レチノイン酸の効果と同様にしてケラチノサイト分化を抑制する。実施例12ナリンゲニンおよびパルミチン酸レチニルはケラチノサイト分化を相乗的に抑制する。細胞のDNA含有量に対して正規化したTGase Iレベルに対する効果を、テスト化合物での72時間処理に対応して調べた。結果を表12に示す。2.5×10-7Mレチノイン酸はケラチノサイトTGase Iレベルを(対照レベルの32%まで)抑制することにおいて非常に効果的ではなかったことが表12の結果から分かる。2.5×10-9Mパルミチン酸レチニルは効果的ではなく(93%)、10-8Mナリンゲニンは単独で使用した場合にケラチノサイトTGase Iレベルに対して小さな阻害効果を有した。しかしながら、2.5×10-8Mレチノール+10-8Mナリンゲニンは対照レベルの85%までケラチノサイトTGase Iを抑制した。ナリンゲニンおよびパルミチン酸レチニルは、従って、レチノイン酸の効果と同様にしてケラチノサイト分化を抑制するように相乗的に作用する。実施例13ケルセチンおよびレチノールはケラチノサイト分化を相乗的に阻害する。細胞のDNA含有量に対して正規化したTGase Iレベルに対する効果を、テスト化合物での72時間処理に対応して調べた。結果を表13に示す。ケルセチンはSigmaから得た。2.5×10-7Mレチノイン酸はケラチノサイトTGase Iレベルを(対照レベルの52%まで)抑制することにおいて効果的であることが表13の結果から分かる。2.5×10-7Mレチノールは効果的ではなく(90%)、10-6ケルセチンは単独で使用した場合はケラチノサイトTGase Iレベルに対して小さな阻害効果しか有しなかった。しかしながら、2.5×10-7Mレチノール+10-6MケルセチンはケラチノサイトTGase Iを対照レベルの70%まで抑制した。ケルセチンおよびレチノールは、従って、レチノイン酸の効果と同様にしてケラチノサイト分化を抑制するのに相乗的に作用する。これらのテストの工程の間、レチノイン酸は、それに対して分析した他の化合物と比較する陽性対照として使用した。レチノイン酸は、皮膚ケラチノサイトにおいてトランスグルタミナーゼIレベルを用量依存的に低下させた。換言すれば、レチノイン酸はケラチノサイト分化を低下させた。レチノールおよびパルミチン酸レチニルは、ケラチノサイト分化を阻害することにおいてレチノイン酸よりも有意に効果が低かった。しかしながら、前記実施例によって証明された予期せぬ結果は、培養したケラチノサイトに対するレチノールおよびレチニルエステルの効果が、イン・ビトロミクロソーム検定によって測定して、LRATまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化の少なくとも20%を100μMで阻害する化合物の0.0001%ないし50%である化合物とレチノールまたは該エステルとを組み合わせることによって、レチノイン酸のレベルに近づくレベルまで増強できることであった。この効果はレチノールまたは該エステルまたは当該化合物自体いずれかの効果よりも大きいのみならず、2つの成分が相互と相乗的に作用してケラチノサイトに対するレチノイン酸タイプの応答を促進する。前記結果は、イン・ビトロミクロソーム検定をパスする化合物が、レチノールおよびレチニルエステルと相乗的に作用して、ケラチノサイト分化を低下させ及び/又はケラチノサイト分化を増加させ、レチノイン酸のケラチノサイトに対する効果を模倣することを示す。実施例14−19は、本発明による局所組成物を示す。該組成物は常法により加工できる。それらは、化粧品用途に適する。特に、該組成物は、外観およびその感触を改良するために皺のある、粗い、乾燥した、はげ落ちやすい、老人及び/又は紫外線損傷皮膚への適用に、ならびにその質低下を防止しまたは遅らせるために健康な皮膚に適用するのに適する。実施例14本実施例は本発明の組成物を配合する高内部層油中水型エマルジョンを説明する。実施例15本実施例は本発明による水中油型クリームを説明する。実施例16本実施例は本発明によるアルコール性ローションを説明する。実施例17本実施例は本発明組成物を含有するもう1つのアルコール性ローションを説明する。実施例18本実施例は本発明の組成物を配合するサンケアクリームを説明する。実施例19本実施例は本発明の組合せを配合する非水性スキンケア組成物を説明する。実施例で言及しなければ、本発明で使用した材料は以下の入手源から得た。パルミトイルCoA、BSA、ジラウロイルホスファチジルコリン、レチノール、レチノイン酸ジチオスレイトールはSigmaから。環状脂肪族不飽和化合物:ダマスコンはFirmenichから;イオノンはIFFから;他のものはAllured Pub.Co.による、「Flavor and Fragnance Materials」中の供給業者から。イミダゾリン界面活性剤:オレイルイミダゾリンはScher Chemical Co.からのSchercozoline Oであり;他のものは、以下の通り、Mackazoline名称下でMcIntyreからのものであった:カプリリック、ココ、ラウリル:各々、Mackazoline CY,CおよびL。 (a)レチノール、レチニルエステルおよびそれらの混合物よりなる群から選択される0.001%ないし10%の化合物、(b)明細書に記載したイン・ビトロミクロソーム検定によって測定して、LRATまたはARATにより触媒されるレチノールのエステル化の少なくとも20%を100μM濃度で阻害する0.0001%ないし50%の化合物[ここで、該化合物は脂肪酸アミドまたはジメチルイミダゾリジノンではなく、環状脂肪族不飽和炭化水素、ジテルペン、および以下の構造:(式中、Rは8ないし20個の炭素原子を含有する、不飽和または飽和の、直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素鎖である)を有する脂肪ヒドロキシエチルイミダゾリン界面活性剤、およびそれらの混合物よりなる群から選択される]、および(c)化粧品上許容されるビヒクルを含むスキンケア組成物。 該環状脂肪族不飽和化合物がアルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、イソダマスコン、ダマスセノン、アルファイオノン、ベータイオノン、アリルアルファイオノン、イソブチルイオノン、アルファメチルイオノン、ガンマメチルイオノン、ブラマノール、サンダノール、アルファテルピネオール、リラール、エチルサフラネート、およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項1記載の組成物。 該ジテルペンがゲラニルゲラニオールである請求項1記載の組成物。 該レチニルエステルがパルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニルおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項1−3いずれか1項記載の組成物。