生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_炭水化物含有インスリン製剤
出願番号:1998502128
年次:2010
IPC分類:A61K 38/28,A61K 47/26,C07K 14/62


特許情報キャッシュ

キメル、ロン・レグストルップ バルシュミット・パー ジェンセン、スティーン JP 4472027 特許公報(B2) 20100312 1998502128 19970619 炭水化物含有インスリン製剤 ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ 391032071 NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB 鈴江 武彦 100058479 蔵田 昌俊 100108855 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 福原 淑弘 100109830 峰 隆司 100075672 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 野河 信久 100103034 幸長 保次郎 100119976 河野 直樹 100153051 砂川 克 100140176 風間 鉄也 100100952 勝村 紘 100101812 河井 将次 100070437 佐藤 立志 100124394 岡田 貴志 100112807 堀内 美保子 100111073 竹内 将訓 100134290 市原 卓三 100127144 山下 元 100141933 キメル、ロン・レグストルップ バルシュミット・パー ジェンセン、スティーン DK 0684/96 19960620 DK 0899/96 19960827 20100602 A61K 38/28 20060101AFI20100513BHJP A61K 47/26 20060101ALI20100513BHJP C07K 14/62 20060101ALN20100513BHJP JPA61K37/26A61K47/26C07K14/62 A61K 38/28 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平08−003067(JP,A) 特開平06−340547(JP,A) 国際公開第95/000550(WO,A1) 特開平08−003064(JP,A) 12 DK1997000267 19970619 WO1997048413 19971224 2000513343 20001010 16 20040513 小森 潔 序説本発明は、優れた物理的安定性を有するヒトインスリン、またはその類縁体又は誘導体を含有する水性インスリン製剤に関する。さらに、本発明は、そのような製剤を含む非経腸的処方剤、およびインスリン製剤の物理的安定性の改善方法に関する。発明の背景発明の分野糖尿病は、真性糖尿病(diabetes mellitus)及び尿崩症(diabetes insipidus)におけるように多尿排出者の疾患をいう一般的用語である。真性糖尿病はグルコースを利用する能力がほぼ完全に失われている代謝性障害である。全人口の約2%が糖尿病に罹患している。1920年代にインスリンが採用されてから、真性糖尿病の治療の改善が継続的になされてきた。血糖値が過大になることを抑制するために、糖尿病患者はしばしば多数回の注射治療を行い、それによりインスリンが食事毎に投与される。真性糖尿病の治療においては、レギュラーインスリン、セミレンテ(Semilente)▲R▼インスリン、イソフェインインスリン、インスリン亜鉛懸濁液、プロタミン亜鉛インスリン、及びウルトラレンテ(Ultralente)▲R▼インスリンのような、多種のインスリン製剤が提供され使用された。糖尿病患者は数十年間インスリンにより治療されるため、インスリン製剤の安全性とライフクオリティを改善するという大きな要求がある。商業的に入手可能なインスリン製剤には、作用の発現の速さに特徴のあるものや、発現は遅いが幾分長時間作用するものもある。通常、速効性インスリン製剤はインスリン溶液であるのに対し、遅効性インスリン製剤は亜鉛塩のみの添加により、またはプロタミンの添加により、あるいは双方の組合せにより沈澱した結晶性及び/又は非晶質のインスリンを含む懸濁液であり得る。加えて、患者の中には発現の早期作用型と、より長時間作用型の双方を有する製剤を使用している者もいる。患者の中には、患者本人が、懸濁製剤にインスリン溶液を望ましい割合で混合することにより最終的調製を自分自身で調製する者もいる。通常、インスリン製剤は皮下注射により投与される。患者にとって重要なことは、インスリン製剤の作用プロファイルであり、これは注射からの時間の関数としてのグルコース代謝に対するインスリン作用である。とりわけ、このプロファイルにおいては、作用の発現までの時間、最大値、及び全体的な持続時間が重要である。異なる作用プロファイルを有する様々なインスリン製剤が患者により所望され、要求されている。ある患者は、同じ日に非常に異なった作用プロファイルを有するインスリン製剤を使用し得る。例えば、所望される作用プロファイルは、その日の時間と患者により摂取されるいずれかの食事の量および内容物に依存する。しかしながら、等しく重要なことは、インスリン製剤の物理的安定性である。これは、ペンフィル(Penfill)▲R▼カートリッジを備えた装置のようなペン様注射器が大量に使用されており、この場合、インスリン製剤はカートリッジの全体が空になるまでその中に保存されることに起因する。1.5〜3.0mlカートリッジを備えた注射器については、少なくとも1〜2週間は間に合わすことが可能である。背景技術の説明最初の安定な中性インスリン懸濁液は、スコットとフィッシャーにより開発された(J.Pharmacol.Exp.Ther.58(1936)、78)。彼らは、過剰なプロタミン及び亜鉛塩(インスリンIU(国際単位)当たり2μmgの亜鉛)を存在させることにより、プロタミンインスリン製剤(ヘイジドルン(Hagedornn)等により、J.Am.Med.Assn.106(1936)、177〜180に述べられている。)を安定化させ得ることを発見した。合衆国又はヨーロッパ薬局方に従って製造されたプロタミン亜鉛インスリンには、非晶質プロタミン亜鉛インスリン及び結晶性プロタミン亜鉛インスリンが含まれる。新たに調製されたプロタミン亜鉛インスリンには、非晶質沈澱物が主として含まれる。これは貯蔵時に部分的に結晶粒子に変化し得、効果をより長引かせることになる。NPHインスリン又はイソフェインインスリンと称される完全な結晶性プロタミン亜鉛インスリンの改質が、クレイエンビュール(Krayenbuhl)とローゼンベルグにより開発された(Rep.Steno Mem.Hosp.Nord.Insulinlab.1(1946)、60、およびデンマーク特許第64,708号参照)。彼らは少量の亜鉛及びフェノール、又はフェノール誘導体、又は好ましくはm−クレゾールの存在下で中性pH値にあるイソフェイン製剤中に一緒に用いられたインスリンとプロタミンは、放置すると非晶質沈澱物を形成し得、これは、徐々にではあるが完全に、端面が三角面で限定された横長の正方晶系に変化する。インスリン及びサーモンプロタミンは、インスリン1mg当たりプロタミン硫酸塩約0.09mgに対応する重量比で一緒に結晶化する。IU当たり少なくとも0.15μgの亜鉛と、0.1%よりも高い濃度のフェノールが正方晶系の調製に必要である。初期の頃は、この種の結晶は天然の供給源由来のブタインスリン及びウシインスリンをも用いて調製されたが、80年代からは遺伝子工学的に、または半合成的に作られたヒトインスリンもまた用いられている。ヒトインスリンはいわゆるA鎖、B鎖の二つのポリペプチド鎖から構成され、それぞれ21アミノ酸および30アミノ酸を含む。A鎖及びB鎖は二つのシスチンジスルフィド結合により相互に連結される。他の大多数の種に由来するインスリンは類似構造を有するが、ヒトインスリンの鎖の対応する位置に同じアミノ酸を含まないことがあり得る。遺伝子工学として知られているプロセスの発達により、ヒトインスリンの類縁体である極めて多様なインスリン化合物を容易に合成することが可能となった。これらのインスリン類縁体においては、1以上のアミノ酸がヌクレオチド配列によりコードされ得る他のアミノ酸と置換された。上記で説明したように、ヒトインスリンは51個のアミノ酸残基を含むため、多数のインスリン類縁体が可能であることは明らかであり、事実、興味ある特性を備えた極めて多様な類縁体が合成された。注射製剤のための濃度を備えたヒトインスリン溶液においては、インスリン分子は6量体として会合形態で存在する(ブランジ等、糖尿病治療13、(1990)、923〜954)。皮下注射後、血流による吸収速度は分子の大きさに依存すると考えられ、この6量体形成を妨げ、または抑制するアミノ酸置換を備えたインスリン類縁体は並外れて速い発現作用を有することが見出された(ブランジ等、Ibid)。これには糖尿病患者にとって大きな治療上の価値がある。長時間作用型のプロタミンインスリン製剤の結晶においては、インスリンは6量体になっていることが見出される(バッシュミット等、Acta Chryst.B47、(1991)、975〜986)。ヒトインスリンの類縁体に基づく薬学的製剤は、例えば以下の書類から知られている。WO95/00550はAspB28及びプロタミンを含むインスリン結晶に基づく薬学的製剤に関し、それは投与されると生体内で速い発現と長時間の活性を示す。さらに、結晶には亜鉛イオン及びフェノール及び/又はm-クレゾールが含まれ得る。等張剤としてグリセリンが製剤に添加される。米国特許第5,461,031号には、早期作用型単量体インスリン類縁体、亜鉛、プロタミン及びフェノール誘導体を含有する種々の非経腸的な薬学的処方剤が開示されている。さらに、その処方剤には等張剤として作用するグリセリンが含有される。米国特許第5,474,978号には、6個の単量体インスリン類縁体、亜鉛イオン、および少なくともフェノール誘導体3分子からなるヒトインスリン類縁体の6量体複合体を含む早期作用型非経腸的処方剤が開示されている。好ましい等張剤はグリセリンである。残念ながら、インスリンは非共有結合性重合により不溶性且つ生物学的に不活性なフィブリルを形成する傾向がある(c.f.例えば、ジェンス・ブランジェ、インスリン公定処方製剤、スプリンゲル−ヴェルラグ、1987、およびその参照)。フィブリル形成は、温度を例えば30℃以上に上げることにより、並びに付随する変化により促進される。このフィブリル化プロセスは抑制することが極めて困難であり、インスリン製剤が貯蔵され得る期間に上限をもたらし、それ故ペンフィル▲R▼のカートリッジ容積に上限をもたらす。一般にフィブリル形成はインスリンの単量体化を必要とするため、2量体及び6量体を形成し難いインスリン類縁体はフィブリル化により物理的安定性は劣化したものとなる。したがって、改善された物理的安定性を備えたヒトインスリン、又はその類縁体もしくは誘導体を含有するインスリン製剤を提供することが本発明の目的である。本発明においては、この目的は、溶解し及び/又は沈澱したヒトインスリン又はその類縁体もしくは誘導体と、炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の還元型炭水化物もしくは非還元性炭水化物、または炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の非還元性炭水化物もしくは還元型炭水化物のエステル及び/又はエーテル誘導体、またはそれらの混合物により達成された。【図面の簡単な説明】図1はAspB28ヒトインスリン-プロタミン結晶及びマニトールを含有する本発明処方剤の顕微鏡写真(倍率1000倍)である。図2はヒトインスリン-プロタミン結晶及びマニトールを含有する本発明処方剤の顕微鏡写真(倍率1000倍)である。図3は溶解したAspB28ヒトインスリンと結晶化したAspB28ヒトインスリンの双方を含有する本発明製剤と、溶解したヒトインスリンと結晶化したヒトインスリンの双方を含有する製剤の作用プロファイルのグラフ表示である。さらに双方の製剤にはマニトールが含有される。グラフはブタに注射後の血液グルコース反応である。図は安定性の高いAspB28ヒトインスリン製剤について、作用発現の速さが維持されることを示す。発明の説明定義本明細書で用いる「ヒトインスリン類縁体」とは、1以上のアミノ酸が欠失され及び/又は他のアミノ酸(コードされ得ないアミノ酸を含む)により置換されたヒトインスリン、あるいは追加のアミノ酸を含む(すなわち51個より多くのアミノ酸を含む)ヒトインスリンを意味する。本明細書で用いる「ヒトインスリン誘導体」とは、少なくとも1つの有機置換基が1以上のアミノ酸と結合しているヒトインスリン又はその類縁体を意味する。本明細書において、「水溶性」という用語は、温度20℃において少なくとも約10mmol/l、好ましくは少なくとも50mmol/lの水に対する溶解度に対応する。炭水化物、還元型炭水化物、単糖類、二糖類、並びにそのような化合物のエステル及びエーテル誘導体という用語は、「Grundrids af den organiske kemi、Almen KemiIII、1.Ed.、Jul.Gjellerups forlag、1969、299〜316頁」におけるK.A.ジェンセンの教義に従い用いられる。本明細書においては、「非還元性炭水化物」という表現は、糖化されたインスリンを形成するために本発明製剤中のインスリンのアミノ基と実質的に反応し得ない炭水化物を表す。この定義には、カルボニル基が、例えば無水物形成又は誘導体化により不活性化され、または妨げられた炭水化物が含まれる。ある側面において、本発明は水性インスリン製剤に関し、この製剤は、・溶解し及び/又は沈澱したヒトインスリン、またはその類縁体及び/又は誘導体と、・100〜400mM、好ましくは150〜250mM、より好ましくは180〜230mMの、炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の還元型炭水化物もしくは非還元性炭水化物、または炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の非還元性炭水化物または還元型炭水化物のエステル及び/又はエーテル誘導体、またはそれらの混合物と、を含有する。他の側面において、本発明は水性インスリン製剤に関し、この製剤は、・溶解したヒトインスリンおよび沈澱したヒトインスリン、またはその類縁体及び/又は誘導体と、・炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の還元型炭水化物もしくは非還元性炭水化物、または炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の非還元性炭水化物もしくは還元型炭水化物のエステル及び/又はエーテル誘導体、またはそれらの混合物と、を含有する。さらに他の側面において、本発明は水性インスリン類縁体製剤に関し、この製剤は、・溶解し及び/又は沈澱したヒトインスリン類縁体と、・炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の還元型炭水化物もしくは非還元性炭水化物、または炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の非還元性炭水化物もしくは還元型炭水化物のエステル及び/またはエーテル誘導体、またはそれらの混合物と、を含有する。好ましい態様本発明のインスリン製剤に用いられる炭水化物又は炭水化物誘導体は、炭水化物の主構造に5〜18個の炭素原子を含有するものが有利であり、好ましくは以下の化合物から選択される。すなわち、i)非還元性アルドース又はケトース、好ましくは非還元性アルドテトロース、ケトテトロース、アルドペントース、ケトペントース、アルドヘキソース及びケトヘキソース、より好ましくは非還元性アルドペントース、ケトペントース、アルドヘキソース及びケトヘキソースからなる群の中から選択される単糖類、ii)還元された単糖類、すなわち、アルジトールのような多価アルコールであって、好ましくはアルドテトロース、ケトテトロース、アルドペントース、ケトテトロース、アルドペントース、ケトペントース、アルドヘキソース、及びケトヘキソースの還元形態、より好ましくはアルドペントース、ケトペントース、アルドヘキソース、及びケトヘキソースの還元形態(すなわち、ペンチトール及びヘキシトール)からなる群の中から選択される、iii)非還元性二糖類であって、好ましくは非還元性ジヘキソースから選択される。好適な還元型又は非還元性炭水化物の具体例は、マニトール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、スクロース、及びトレハロースである。i)〜iii)の中で好ましい化合物は、マニトール及びソルビトール、最も好ましくはマニトールである。好ましいエステル及びエーテル誘導体は、それぞれC1〜C4脂肪酸エステル誘導体、およびC1〜C4アルキルエーテル誘導体である。本発明の具体的な態様においては、インスリン製剤にはさらにハロゲン化物、好ましくは塩化物、より好ましくは塩化ナトリウムが含有される。ハロゲン化物の存在により一層高い物理的安定性を有する製剤が得られることが示された。一般的に速効性ヒトインスリン類縁体を含有するインスリン製剤はかなり低い物理的安定性を示すため、本発明はそのような類縁体を含有する製剤に関して特に有利である。したがって、本発明におけるインスリン製剤には、好ましくは、1以上の速効性ヒトインスリン類縁体、特にB28位がAsp、Lys、Leu、Val又はAlaであり、B29位がLys又はProであるヒトインスリン類縁体、あるいはデス(B28〜B30)インストリン、デス(B27)インストリン又はデス(B30)ヒトインスリンが含有される。インスリン類縁体は、好ましくは、B28位がAsp又はLysであり、B29位がLys又はProであるヒトインスリン類縁体から選択される。最も好ましい類縁体は、AspB28ヒトインスリン又はLysB28ProB29ヒトインスリンである。他の態様において、本発明におけるインスリン製剤は、1以上の脂肪親和性置換基を有するインスリンのような長時間作用型のプロファイルを有するインスリン誘導体を含有する。好ましい脂肪親和性インスリンはアシル化インスリン(WO95/07931(ノヴォ・ノルディスクA/S)に述べられているものを含む)であり、例えば、LysB29のε−アミノ基が少なくとも6個の炭素原子から構成されるアシル置換基を含むヒトインスリン誘導体である。好ましいインスリン誘導体は以下のものである。すなわち、B29-Nε-ミリストイル-デス(B30)-ヒトインスリン、B29-Nε-ミリストイル-ヒトインスリン、B29-Nε-パルミトイル-デス(B30)-ヒトインスリン、B28-Nε-ミリストイルLysB28-ProB29ヒトインスリン、B28-Nε-パルミトイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B30-Nε-ミリストイル-ThrB29LysB30-ヒトインスリン、B30-Nε-パルミトイル-ThrB29LysB30-ヒトインスリン、B29-Nε-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-デス(B30)-ヒトインスリン、及びB29-Nε-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-デス(B30)-ヒトインスリンであり、最も好ましいのはB29-Nε-ミリストイル-デス(B30)-ヒトインスリンである。好ましい態様において、当該インスリン製剤は溶解したインスリン又はインスリン類縁体もしくは誘導体と、沈澱したインスリン又はインスリン類縁体もしくは誘導体の両者を、好ましくは結晶体で含有し、その重量比は1:99〜99:1、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30である。本発明のこの態様において、インスリン製剤はインスリン又はインスリン類縁体及びプロタミンと、任意に亜鉛及び/又はフェノール、m-クレゾール、又はそれらの混合物のようなフェノール化合物を含有する結晶を含有することが有利である。結晶中のプロタミンの量は、好ましくは、インスリン又はインスリン類縁体100IU当たりプロタミン塩基0.20〜0.40mgに対応する。結晶中のプロタミンとインスリンの比は、より好ましくはイソフェインの比に対応する。亜鉛は、好ましくはインスリン100IU当たり亜鉛10〜40μg、より好ましくはインスリン100IU当たり亜鉛15〜35μgの量で存在する。フェノールとm-クレゾールは、各々、好ましくは0〜4mg/mlに対応する量で存在する。しかしながら、m-クレゾール1.4〜2.0mg/mlとフェノール0.6〜2.0mg/mlからなる混合物が最も好ましい。本発明の好ましいインスリン製剤は、a)60〜3000nmol/ml、好ましくは240〜1200nmol/mlのヒトインスリン又はインスリン類縁体及び/又はインスリン誘導体と、b)100〜400mM、好ましくは150〜250mM、より好ましくは180〜230mMの濃度の還元型炭水化物又は非還元性炭水化物であって、好ましくはマニトールと、c)0〜100mM、好ましくは5〜40mM、より好ましくは5〜20mMの濃度の塩化物であって、好ましくは塩化ナトリウムと、d)1〜4mg/ml量の生理学的に許容可能な緩衝剤であって、好ましくはリン酸二ナトリウム二水和物のようなリン酸塩緩衝剤とを含有する。本発明の製剤は、さらに、グリセリンのような通常等張剤として用いられる1以上の化合物を含有する。インスリン製剤のpH値は、好ましくは7.0〜7.8の範囲である。さらに、本発明は溶解したインスリン類縁体と沈澱したインスリン類縁体の双方を含有するインスリン製剤の調製方法に関し、この方法は以下の工程、すなわち、a)ヒトインスリン類縁体、亜鉛、及びイソフェイン量未満のプロタミンを含有する酸性溶液を提供する工程と、b)生理学的pHにおいて緩衝剤として作用する物質を含有するアルカリ性溶液を提供する工程と、(上の溶液の少なくとも1つはさらにフェノール化合物を含有する。)c)酸性溶液とアルカリ性溶液を混合し、任意に、pH値を6.5〜8.0、好ましくは7.0〜7.8の範囲に調製する工程と、d)得られた懸濁液を放置して沈澱させる工程と、を含む。この方法により、溶解したインスリン類縁体と沈澱したインスリン類縁体の両者を含有するインスリン製剤を極めて簡単な手法で得ることができる。さらに、得られた懸濁液の沈澱物は、通常、ロッド形の結晶からなり、これはいわゆるプレミックス(PreMix)インスリン製剤に有利である。工程a)の溶液中のインスリン類縁体のプロタミンに対する重量比は、好ましくは、最終生成物中の溶解したインスリン類縁体の沈澱したインスリン類縁体に対する重量比が1:99〜99:1、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30の範囲で得られるように選択される。より具体的には、好ましくは、工程a)の溶液は120〜6000nmol/mlのインスリン類縁体と0.01〜5.0mg/mlのプロタミンとを含有する。さらに、工程a)の溶液は亜鉛を含有し、好ましくはインスリン100IU当たり亜鉛10〜40μg、より好ましくはインスリン100IU当たり亜鉛15〜35μg含有する。好ましい態様において、溶液a)及び/又は溶液b)は、塩化物、好ましくは塩化ナトリウムを、最終生成物中に0〜100mM、好ましくは5〜40mM、より好ましくは5〜20mM含有する。工程a)の酸性溶液のpHは、好ましくは5以下、より好ましくは2〜3.5の範囲である。インスリン類縁体は、好ましくは、B28位がAsp、Lys、Leu、Val又はAlaであり、B29位がLys又はProであるヒトインスリン、あるいはデス(B28〜B30)ヒトインスリン、デス(B27)ヒトインスリン又はデス(B30)ヒトインスリンであり、より好ましくはAspB28ヒトインスリン又はLysB28ProB29ヒトインスリン、さらに好ましくはAspB28ヒトインスリンである。工程a)及び/又は工程b)の溶液に用いられたフェノール化合物は、好ましくは、フェノール、m-クレゾール、又はそれらの混合物である。さらに、工程a)及び/又は工程b)の溶液は、炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の還元型炭水化物もしくは非還元性炭水化物を含有し、または炭水化物の主構造に少なくとも4個の炭素原子を含有する水溶性の非還元性炭水化物もしくは還元型炭水化物のエステル及び/又はエーテル誘導体、またはそれらの混合物を含有することが有利である。前記炭水化物又は炭水化物誘導体は、好ましくは、炭水化物の主構造に5〜18個の炭素原子を含有する。特に好ましい態様では、工程a)及び/又は工程b)の溶液は、マニトール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、トレハロース、スクロース、又はそれらの中のいずれかとの混合物を含有し、好ましくはマニトール及び/又はソルビトール、より好ましくはマニトールを含有する。工程b)のアルカリ性溶液に用いられる緩衝剤物質は、好ましくは生理学的に許容可能な緩衝剤であり、好ましくはリン酸塩緩衝剤、より好ましくはリン酸二ナトリウム二水和物である。沈澱したインスリン類縁体は、好ましくはインスリン類縁体及びプロタミンを含有する結晶である。工程d)で得られる懸濁液は、好ましくは、温度5℃〜40℃、より好ましくは20℃〜36℃、さらに好ましくは30℃〜34℃の範囲で放置され、沈澱される。さらに、本発明は以下の実施例により示されるが、これらに限定して解釈されるべきものではない。実施例I製剤1溶解したAspB28ヒトインスリンと結晶化したAspB28ヒトインスリンの双方を含有するインスリン製剤が、以下の方法で調製された。溶液A:濃度200IU/mlのAspB28ヒトインスリンの溶液は、76.5mgのAspB28ヒトインスリンに326μlの0.2N塩酸と、163μlの塩化亜鉛溶液(0.4mg/ml)を添加することにより、これを水に溶解させることによって調製された。次いで、6.35mgのプロタミン硫酸塩溶液が撹拌しながらインスリン溶液に加えられ、17.2mgのm−クレゾール、15mgのフェノール、及び455mgのマニトールからなる混合物が撹拌しながらこの溶液に加えられた。得られた透明溶液のpHは2.6〜2.9と測定され、10mlの水が加えられた。溶液は28〜32℃で平衡化された。溶液B:25mgのリン酸二ナトリウム二水和物が注射用の水に溶解された。17.2mgのm−クレゾール、15mgのフェノール及び455mgのマニトールが撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHは9と測定され、10mlの水が加えられた。溶液は28〜32℃で平衡化された。溶液AとBの混合:溶液Bは溶液Aに加えられ、pHは7.30に再調製された。得られた懸濁液は30℃で6日間で放置され、結晶化された。得られた製剤中の沈澱したインスリンの溶解したインスリンに対する重量比は70:30であった。製剤は1.5mlのペンフィル▲R▼カートリッジに入れられた。実施例II製剤2溶解したAspB28ヒトインスリン及び結晶化したAspB28ヒトインスリンの双方を含有するインスリン製剤が、以下の方法で調製された。i)結晶画分溶液A:濃度200IU/mlのAspB28ヒトインスリンの溶液が、190.3mgのAspB28ヒトインスリンに813μlの0.2N塩酸と、410μlの塩化亜鉛溶液(0.4mg/ml)を添加することにより、これを水に溶解させることによって調製された。次いで、16.1mgのプロタミン硫酸塩溶液がインスリンの溶液に撹拌しながら加えられ、43.0mgのm−クレゾール、37.5mgのフェノール、及び909mgのマニトールからなる混合物と、14.6mgの塩化ナトリウムがこの溶液に撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHはpH=2.6〜2.9と測定され、22mlの水が加えられた。溶液は32℃で平衡化された。溶液B:62.4mgのリン酸二ナトリウム二水和物が水に溶解された。43.0mgのm−クレゾール、37.5mgのフェノール、909mgのマニトール、及び14.6mgの塩化ナトリウムが撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHは9と測定され、22mlの水が加えられた。溶液は32℃で平衡化された。溶液AとBの混合:溶液Bは溶液Aに加えられ、pHは7.30に再調製され、50mlの水が加えられた。得られた懸濁液は4日間32℃で放置され、結晶化された。得られた製剤中の沈澱したインスリンの溶解したインスリンに対する重量比は70:30であった。製剤は1.5mlのペンフィル▲R▼カートリッジに入れられた。実施例III−VI製剤3〜6溶解したAspB28ヒトインスリンと結晶化したAspB28ヒトインスリンの両者を含有するインスリン製剤が、溶液AとBにおいて使用されたマニトールの量が、各々、818mg、1005mg、1047mg、1137mgである点を除いて、実施例IIにおいて説明されたように調製された。製剤は1.5mlのペンフィル▲R▼カートリッジに入れられた。実施例VII製剤7溶解したLysB28ProB29ヒトインスリンと結晶化したLysB28ProB29ヒトインスリンの両者を含有するインスリン製剤が、以下の方法で調製された。i)結晶画分溶液A:濃度200IU/mlのLysB28ProB29ヒトインスリンの溶液が、水に69.7mgのLysB28ProB29ヒトインスリンを懸濁させることにより調製された。16.0mgのm−クレゾール、6.5mgのフェノール、364mgのマニトール、及び25.1mgのリン酸二ナトリウム二水和物からなる混合物がこの溶液に撹拌しながら加えられた。次いで、50μlの塩化亜鉛溶液(10mg/ml)が加えられた。得られた透明溶液のpHは7.40と測定され、10mlの水が加えられた。溶液は15℃で平衡化された。溶液B:プロタミン硫酸塩溶液が、7.61mgのプロタミン硫酸塩と25.1mgのリン酸二ナトリウム二水和物を水に溶かすことにより調製された。16.0mgのm−クレゾール、6.5mgのフェノール、及び364mgのマニトールが撹拌しながら加えられた。この溶液はプロタミン硫酸塩溶液に撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHは7.40に再調製され、10mlの水が加えられた。溶液は15℃で平衡化された。溶液AとBの混合:溶液Bは溶液Aに加えられ、pHは7.30に再調製された。得られた懸濁液は15℃で3日間放置され、結晶化された。ii)溶解画分LysB28ProB29ヒトインスリン溶液は、34.9mgのLysB28ProB29ヒトインスリンに33μlの1N塩酸と、25μlの塩化亜鉛溶液(10mg/ml)を添加することにより、これを水に溶解させることによって調製された。次いで、26.1mgのリン酸二ナトリウム二水和物、6.5mgのフェノール、16.0mgのm−クレゾール、及び364mgのマニトールからなる混合物がインスリン溶液に撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHはpH=7.3と測定され、10mlの水が加えられた。6mlの溶解画分が14mlの結晶フラクションに加えられ、pHが7.30に調製された。得られた製剤中の沈澱したインスリンの溶解したインスリンに対する重量比は70:30であった。製剤は1.5mlのペンフィル▲R▼カートリッジに入れられた。実施例VIII製剤8溶解したヒトインスリンと結晶化したヒトインスリンの両者を含有するインスリン製剤が、以下の方法で調製された。i)結晶画分溶液A:ヒトインスリンの溶液は、69.7mgのヒトインスリンに65μlの1N塩酸と、26μlの塩化亜鉛溶液(10mg/ml)とを加えることにより、これを水に溶解させることによって調製された。次いで、6.0mgのプロタミン硫酸塩溶液がインスリン溶液に撹拌しながら加えられ、15.0mgのフェノール及び17.2mgのm−クレゾールからなる混合物が溶液に撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHはpH=2.7〜3.2と測定され、10mlの水が加えられた。溶液B:24.9mgのリン酸ナトリウム二水和物が水に溶解された。15mgのフェノール、17.2mgのm−クレゾール、728mgのマニトール、及び11.7mgの塩化ナトリウムが撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHはpH=9に調製され、10mlの水が加えられた。溶液Bは溶液Aに加えられ、pHは7.30に調製された。得られた懸濁液は次の日まで22〜24℃で放置された。ii)溶解画分ヒトインスリンの溶液は、34.9mgのヒトインスリンに33μlの1N塩酸と、13μlの塩化亜鉛溶液(10mg/ml)とを加えることにより、これを水に溶解させることによって調製された。次いで、12.5mgのリン酸ナトリウム二水和物、15mgのフェノール、17.2mgのm−クレゾール、364mgのマニトール、及び5.8mgの塩化ナトリウムからなる混合物がインスリン溶液に撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHは、pH=7.3と測定され、10mlの水が加えられた。6mlの溶解画分が14mlの結晶画分に加えられ、pHが7.30に調製された。得られた製剤中の沈澱したインスリンの溶解したインスリンに対する重量比は70:30であった。製剤は1.5mlのペンフィル▲R▼カートリッジに入れられた。実施例IX製剤9溶解したAspB28ヒトインスリン及び結晶化したAspB28ヒトインスリンの双方を含有するインスリン製剤が、以下の方法で調製された。溶液A:濃度200IU/mlのAspB28ヒトインスリン溶液は、189.9mgのAspB28ヒトインスリンに163μlの1N塩酸と、163.5μlの塩化亜鉛溶液(10mg/ml)を加えることにより、これを水に溶解させることによって調製された。次いで、11.5mgのプロタミン硫酸塩溶液がインスリン溶液に撹拌しながら加えられ、44.3mgのm−クレゾール、38.6mgのフェノール、及び1048mgのマニトールからなる混合物と、7.3mgの塩化ナトリウムがこの溶液に撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHはpH=2.6〜2.9と測定され、25mlの水が加えられた。溶液は22〜24℃で平衡化された。溶液B:62.3mgのリン酸二ナトリウム二水和物が水に溶解された。44.3mgのm−クレゾール、38.6mgのフェノール、1048mgのマニトール、及び7.3mgの塩化ナトリウムが撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHは9と測定され、25mlの水が加えられた。溶液は22〜24℃で平衡化された。溶液AとBの混合:溶液Bが溶液Aに加えられ、pHは7.30に調製された。得られた懸濁液は32℃で2日間放置され、結晶化された。得られた製剤中の沈澱したインスリンの溶解したインスリンに対する重量比は50:50であった。製剤は1.5mlのペンフィル▲R▼カートリッジに入れられた。実施例X(比較例)製剤10溶解したAspB28ヒトインスリンと結晶化したAspB28ヒトインスリンの双方を含有するインスリン製剤が、以下の方法で調製された。溶液A:濃度200IU/mlのAspB28ヒトインスリン溶液は、76.5mgのAspB28ヒトインスリンに326μlの0.2N塩酸と、163μlの塩化亜鉛溶液(0.4mg/ml)を加えることにより、これを水に溶解させることによって調製された。次いで、6.35mgのプロタミン硫酸塩溶液がインスリン溶液に撹拌しながら加えられ、17.2mgのm−クレゾール、15.0mgのフェノール、及び160mgのグリセリンからなる混合物がこの溶液に撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHはpH=2.6〜2.9と測定され、10mlの水が加えられた。溶液は28〜32℃で平衡化された。溶液B:25mgのリン酸二ナトリウム二水和物が注射用に水に溶解された。17.2mgのm−クレゾール、15.0mgのフェノール、及び160mgのグリセリンが撹拌しながら加えられた。得られた透明溶液のpHは9と測定され、10mlの水が加えられた。溶液は28〜32℃で平衡化された。溶液Bは溶液Aに加えられ、pHは7.30に再調整された。得られた懸濁液は28〜32℃で2日間放置され、結晶化された。得られた製剤中における沈澱したインスリンの溶解したインスリンに対する重量比は70:30であった。製剤は1.5mlのペンフィル▲R▼カートリッジに入れられた。実施例XI物理的応力試験各インスリン製剤の5サンプルがペンフィル▲R▼カートリッジに入れられ、以下の物理的応力試験を受けた。ペンフィル▲R▼カートリッジは定温器内に配置された回転子に固定され、1分当たり30回転の速度で且つ37℃±2℃の定温で、一日当たり4時間360°回転された。ペンフィル▲R▼カートリッジは、回転していないとき、37℃±2℃の定温で保存された。ペンフィル▲R▼カートリッジは一週間に5回巨視的に検査され、処方製剤の外観における変化が次の原則:21に従い記録された。i)撹拌時に再び懸濁可能であり、塊や細粒のない白色懸濁液を含むカートリッジは「非フィブリル化」と分類された。ii)塊及び/又は細粒を含み撹拌時に再懸濁し得ない懸濁液、及び/又はカートリッジ壁に堆積している懸濁液を含むカートリッジは「フィブリル化した」と仮定された。これはカートリッジへの6μlの6N塩酸の添加により確かめられた。すなわち、フィブリル化したカートリッジは、酸添加後は視覚的に透明ではない。カートリッジの回転はすべてのサンプルがフィブリル化されるまで続けられた。結果は次の表Iに要約されている。 水性インスリン製剤であって、(a)溶解し及び/又は沈澱したヒトインスリン、又はB28位がAsp、Lys、Leu、Val、又はAlaであり、B29位がLys又はProであるヒトインスリン類縁体あるいはデス(B28〜B30)ヒトインスリン、デス(B27)ヒトインスリン、又はデス(B30)ヒトインスリンから選択されるヒトインスリン類縁体、及び/又は、B29-Nε-ミリストイル-デス(B30)-ヒトインスリン、B29-Nε-ミリストイルヒトインスリン、B29-Nε-パルミトイルヒトインスリン、B28-Nε-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B28-Nε-パルミトイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B30-Nε-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン、B30-Nε-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン、B29-Nε-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-デス(B30)-ヒトインスリン、B29-Nε-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-デス(B30)-ヒトインスリン、及びB29-Nε-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-デス(B30)-ヒトインスリンからなる群から選択されるヒトインスリン誘導体と、(b)100〜400mMのマニトールとを含有し、ヒトインスリン、またはその類縁体及び/又は誘導体の濃度が60〜3000nmol/mlである水性インスリン製剤。 前記インスリン製剤が、さらに、塩化物を含有する請求項1に記載のインスリン製剤。 前記インスリン製剤が、さらに、塩化ナトリウムを含有する請求項1に記載のインスリン製剤。 前記インスリン製剤が、ヒトインスリン又はその類縁体もしくは誘導体、プロタミン、亜鉛及び任意にフェノール化合物を含有する結晶を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のインスリン製剤。 溶解したインスリン又はインスリン類縁体、および、沈澱したインスリン又はインスリン類縁体を、20:80〜80:20の重量比で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒトインスリン製剤。 溶解したインスリン類縁体および沈澱し結晶化したインスリン類縁体の双方を含有するインスリン製剤であって、前記インスリン類縁体が、B28位がAsp、Lys、Leu、Val、又はAlaであり、B29位がLys又はProであるヒトインスリン、またはデス(B28〜B30)ヒトインスリン、デス(B27)ヒトインスリン、又はデス(B30)ヒトインスリンであるインスリン製剤の調整方法であって、a)前記ヒトインスリン類縁体、亜鉛、及び0.01〜5.0mg/mlのプロタミンを含有する酸性溶液を提供する工程と、b)生理学的pHにおいて緩衝剤として作用する物質を含有するアルカリ性溶液を提供する工程と、(ここで、上記溶液の少なくとも1つは、さらに、フェノール化合物を含有し、上記溶液の少なくとも1つはマニトールを含有する。)c)酸性溶液とアルカリ性溶液を混合し、任意に、pH値を6.5〜8.0の範囲に調整する工程と、d)得られた懸濁液を放置し沈澱させる工程と、を含有する前記調製方法。 工程a)の溶液中のインスリン類縁体のプロタミンに対する重量比は、最終生成物中の溶解したインスリン類縁体の沈澱したインスリン類縁体に対する重量比が20:80〜80:20の範囲で得られるように選択される請求項6に記載の方法。 工程a)の溶液は120〜6000nmol/mlのインスリン類縁体を含有する請求項7に記載の方法。 工程a)の溶液は、さらに、亜鉛を、インスリン100IU当たり亜鉛10〜40μgに対応する量で含有する請求項8に記載の方法。 溶液a)及び/又は溶液b)は、塩化ナトリウムを、最終生成物中に5〜40mMに対応する量で含有する請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。 工程a)の酸性溶液のpHは2〜3.5の範囲である請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。 前記インスリン類縁体はAspB28ヒトインスリン又はLysB28ProB29ヒトインスリンである請求項6に記載の方法。


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