タイトル: | 特許公報(B2)_ペルオキシダーゼ活性の測定方法 |
出願番号: | 1998375920 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12Q 1/28,G01N 21/78 |
鈴木 英明 高橋 樹由 荒谷 弦一郎 葛城 寿史 細越 未央 JP 4286356 特許公報(B2) 20090403 1998375920 19981219 ペルオキシダーゼ活性の測定方法 大日精化工業株式会社 000002820 久保田 耕平 100087918 鈴木 英明 高橋 樹由 荒谷 弦一郎 葛城 寿史 細越 未央 JP 1997364876 19971219 20090624 C12Q 1/28 20060101AFI20090604BHJP G01N 21/78 20060101ALI20090604BHJP JPC12Q1/28G01N21/78 C C12Q 1/28 G01N 21/78 CA/REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamII) 特開平11−246854(JP,A) 特開平11−221097(JP,A) 特開平11−225792(JP,A) 特開平10−295399(JP,A) 特開平10−295398(JP,A) 特開平11−276197(JP,A) 特開平11−276198(JP,A) 特開平10−300674(JP,A) 特開平11−246853(JP,A) 特開平11−279549(JP,A) 特表平10−502346(JP,A) 特表平04−507194(JP,A) 6 1999253196 19990921 12 20051216 冨永 みどり 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、化学発光法を利用するペルオキシダーゼ活性の測定方法に関するものであり、詳しくは、特定の化学発光試薬を用いる化学発光法を利用することにより水素受容体の存在下においてペルオキシダーゼ活性を測定する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】ペルオキシダーゼは水素受容体の存在下で水素供与体の酸化反応を触媒する酵素である。このような触媒活性は例えばヘモグロビンのような非酵素物質においても観察され、ペルオキシダーゼ活性と総称される。ペルオキシダーゼの触媒活性は微量でも高感度で検出しやすいので、ペルオキシダーゼ酵素活性の検出のみならず、種々の検出対象物質の指標となる分析用試薬として幅広い分野で利用されている。このようにペルオキシダーゼを標識物質として用いる分析方法は、抗原抗体反応を利用する免疫学的測定法、核酸の相補性を利用する核酸ハイブリダイゼーションアッセイ法、その他アビジン−ビオチン、ホルモン−ホルモン受容体、糖−レクチン等の特異的な親和性を利用する分析系に用いられる。【0003】また、このようなペルオキシダーゼ活性の測定には、過酸化水素を水素受容体として水素供与体を酸化し、色素を生成させてその発色量を分光光度計等で測定する比色法、または蛍光物質を生成させてその蛍光を蛍光分光光度計で測定する蛍光法等が行なわれている。しかしながら、ペルオキシダーゼ活性の測定に比色法を用いる場合には、ペルオキシダーゼの低濃度領域での定量性に欠けると云う問題点があり、これを解決する目的で蛍光法が開発されたが、低濃度領域での定量性に関しては未だ充分とは言えない。この問題点を解決する目的で、化学発光法によるペルオキシダーゼ活性の測定方法が開発されている。化学発光法はペルオキシダーゼ酵素の触媒活性によって化学発光性物質が中間体を経て励起状態となり、この状態から基底状態に戻る際に放出される発光量を測定することによりペルオキシダーゼ酵素活性を定量する方法であり、化学発光性物質にルミノールを、水素受容体に過酸化水素を、そして発光増強剤にp−ヨードフェノールを用いる化学発光系が開発されており、ペルオキシダーゼ活性を高感度で定量することが可能になっている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ペルオキシダーゼ酵素活性の測定を酵素免疫測定法に応用する場合には、酵素の低濃度領域での定量性を更に高める必要性が生じるケースが多く、ペルオキシダーゼ酵素活性測定の更なる高感度化が望まれていた。本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、ペルオキシダーゼ活性をより高感度で測定可能な化学発光法による新規な測定方法を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行なった結果、化学発光試薬として、N,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類をN,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物及び蟻酸の存在下において還元剤と接触させることにより得られる反応生成物を用い、水素受容体として過酸化水素を、そして好ましくは発光増強剤として特定のフェノール性化合物を用いる化学発光系が、化学発光性物質にルミノールを用いる化学発光系より高感度でペルオキシダーゼ活性を定量することが可能なことを見い出し、これらの知見に基いて本発明に到達したものである。従って、本発明の第一は、下記一般式(1)【0006】【化3】(一般式(1)において、R1 及びR2 は、それぞれアルキル基、アリール基及びハロゲン化アリール基からなる群より選択され、互いに同一でも異なるものでもよく、R3 、R4 、R5 及びR6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択され、互いに同一でも異なるものでもよく、Xはn価の陰イオンであり、nは1又は2である。)で表わされるN,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類をN,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物及び蟻酸の存在下において還元剤と接触させることにより得られる反応生成物からなる化学発光試薬を用い、水素受容体の存在下においてペルオキシダーゼ酵素活性を測定することを特徴とする化学発光法によるペルオキシダーゼ活性の測定方法に関するものである。また、本発明の第二は、下記一般式(1)【0007】【化4】(一般式(1)において、R1 及びR2 は、それぞれアルキル基、アリール基及びハロゲン化アリール基からなる群より選択され、互いに同一でも異なるものでもよく、R3 、R4 、R5 及びR6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択され、互いに同一でも異なるものでもよく、Xはn価の陰イオンであり、nは1又は2である。)で表わされるN,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類をN,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物及び蟻酸の存在下において還元剤と接触させることにより得られる反応生成物からなる化学発光試薬を用い、水素受容体の存在下においてペルオキシダーゼ活性を測定する際に、発光増強剤としてフェノール性化合物を用いることを特徴とする化学発光法によるペルオキシダーゼ活性の測定方法に関するものである。【0008】【発明の実施の形態】以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明のペルオキシダーゼ活性の測定方法は、N,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類をN,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物及び蟻酸の存在下において還元剤と接触させることにより得られる反応生成物からなる化学発光試薬を用い、水素受容体の存在下において、さらに好ましくは、発光増強剤の存在下においてペルオキシダーゼ酵素活性を測定するものであり、その測定操作は任意であるが、一般に、化学発光性物質、発光増強剤及びペルオキシダーゼ酵素を含有する測定試料を用意し、これに、特定塩基性pH領域において水素受容体溶液を添加して化学発光反応させ、この化学発光量を発光測定装置で測定する方法等を採用することができる。【0009】本発明のペルオキシダーゼ活性の測定方法に用いられる化学発光試薬は、N,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類をN,N’−ジ置換カルボン酸アミド化合物及び蟻酸の存在下において有機溶媒中で還元剤と接触させることにより得られる反応生成物を含有するものである。N,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類は、下記一般式(1)【0010】【化5】で表わされ、式中、R1 及びR2 は、それぞれアルキル基、アリール基及びハロゲン化アリール基からなる群より選択され、互いに同一でも異なるものでもよい。アルキル基、アリール基及びハロゲン化アリール基は、炭素数1〜20を有するものであり、好ましいアルキル基は炭素数1〜10のものである。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。また、アリール基は、炭素数6〜14のものが好ましく、フェニル基、トリール基、キシリル基等を挙げることができ、さらにアルキル基で置換されたものでもよい。アリール基としては、特にフェニル基が好ましい。ハロゲン化アリール基としてはハロゲン化フェニル基、ハロゲン化トリル基、ハロゲン化キシリル基等を挙げることができ、特にクロロフェニル基が好ましい。【0011】一般式(1)において、R3 、R4 、R5 及びR6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択され、それぞれ、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。これらの炭化水素基としては、炭素数が、例えば1〜20、特に1〜10のものが好ましい。【0012】一般式(1)において、Xはn価の陰イオンであり、nは1又は2である。陰イオンとしては、具体的には、硝酸イオン、ハロゲンイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン等を挙げることができる。これらの陰イオンのなかで、特に硝酸イオンが好ましい。【0013】N,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類の具体例としては、N,N’−ジメチル−9,9’−ビスアクリジニウム塩、N,N’−ジエチル−9,9’−ビスアクリジニウム塩、N,N’−ジフェニル−9,9’−ビスアクリジニウム塩、N,N’−ジ−m−クロロフェニル−9,9’−ビスアクリジニウム塩等が挙げられる。勿論これらに限定されるものではないが、特にN,N’−ジメチル−9,9’−ビスアクリジニウムジナイトレート(ルシゲニン)が好ましい。【0014】また、化学発光試薬の調製に用いられるN,N’−ジ置換カルボン酸アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が非限定的に挙げられる。このN,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物は、本発明のペルオキシダーゼ活性の測定方法に用いられる化学発光試薬の調製には必須であり、N,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類と複合体を形成した後、アクリジニウム塩構造の還元反応に伴い、より発光収率の高い化合物へと変化するものと推定され、化学発光試薬の調製に反応成分として関与し、反応生成物の水溶性の付与等に寄与しているものと推定される。従って、その使用量はN,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類に対して1〜1000当量、好ましくは1.5〜500当量、特に好ましくは2〜300当量の割合である。【0015】前記のN,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類およびN,N’−ジ置換カルボン酸アミド化合物と共に化学発光試薬の調製に用いられる蟻酸は、還元反応を促進し、化学発光試薬の反応収率を著しく高める作用を有し、その使用量はN,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類に対して0.1〜5000当量、好ましくは0.5〜1000当量、特に好ましくは1〜500当量の割合である。【0016】化学発光試薬の調製に用いられる還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化リチウムボロン、水素化ナトリウムボロン等が挙げられるが、これらのなかで水素化リチウムアルミニウムが特に好ましい。還元反応を行なう際に反応溶媒を用いることが好ましく、反応溶媒としては、反応試薬に対して不活性であり、反応試薬に対する溶解性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、有機溶媒が用いられる。特にテトラヒドロフラン、ジオキサン類等の環状エーテル類等が好ましい。また、反応温度は、用いられる還元剤及び溶媒の種類によって異なるが、一般的に、−10〜+150℃、好ましくは0〜120℃、特に好ましくは20〜90℃の範囲で採用される。反応時間は1分〜一昼夜、好ましくは10分〜12時間、特に好ましくは30分〜5時間の範囲の時間で十分である。【0017】前記のようにして調製される化学発光試薬は、塩基性条件下において水素受容体及びペルオキシダーゼの存在下で反応して発光するが、この反応は過酸化水素の検出及びペルオキシダーゼの定量等に利用することが可能であり、ペルオキシダーゼを標識物質として用いることにより、更に、種々の物質の定量に用いることが可能になる。【0018】前記の化学発光試薬は、pH7.5〜13の塩基性条件下において、過剰の水素受容体の存在下、ペルオキシダーゼの濃度に依存した量で発光する。この発光はフェノール性化合物等の発光増強剤によって増強することが認められる。このようなフェノール性化合物としては、p−ヒドロキシ桂皮酸、p−フェニルフェノール、p−(4−クロロフェニル)フェノール、p−(4−ブロモフェニル)フェノール、p−(4−ヨードフェニル)フェノール、p−ヨードフェノール、p−ブロモフェノール、p−クロロフェノール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、2−ナフトール、ホタルルシフェリン等が非限定的に挙げられる。【0019】本発明のペルオキシダーゼ活性の測定方法において、化学発光試薬は10-6〜1M、好ましくは10-4〜10-2Mの範囲の濃度で用いられ、その使用量は10〜500μl、好ましくは50〜300μlの範囲である。また、発光増強剤の使用量は化学発光試薬の量の0.01〜100倍モル、好ましくは0.1〜10倍モルの範囲であり、その濃度は10-6〜1M、好ましくは10-4〜10-2Mの範囲である。【0020】また、化学発光反応に用いられる水素受容体はペルオキシダーゼ酵素の基質となり得るものであれば、特に限定されるものではないが、有機過酸化物、無機過酸化物等が任意に用いられ、特に過酸化水素が好ましく用いられる。この水素受容体の使用量は化学発光試薬に対して充分に過剰な量であることが必要であり、その使用量は化学発光試薬に対して3〜1万倍モル、好ましくは10〜1000倍モルの範囲である。【0021】また、ペルオキシダーゼを標識物質として用い、抗体、核酸等を標識して種々の物質を定量する場合には、特に限定されるものではないが、ペルオキシダーゼとして、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を用いることが好ましい。【0022】化学発光反応において用いられる塩基性緩衝液としては、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液等を挙げることができる。これらの緩衝液は1mM〜1Mの範囲の濃度で用いることが好ましい。また、反応時には界面活性剤、キレート剤等の添加剤を任意に用いることもできる。【0023】【実施例】以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。【0024】[実施例1][化学発光試薬の調製]ルシゲニン(N,N’−ジメチル−9,9’−ビスアクリジニウムジナイトレート)1mgを試験管に採り、これにN,N−ジメチルホルムアミド150μlを加えて溶解させた後、攪拌下に1,4−ジオキサン1ml中へ加えてルシゲニンを1,4−ジオキサン中に微分散させた。次に、これに蟻酸20μlを加えてよく攪拌してから、水素化リチウムアルミニウム粉末200μgを添加して、60℃で3時間攪拌して還元反応させた後、反応混合液を氷冷下に脱イオン水1ml中へ少量ずつ注入して過剰量の水素化リチウムアルミニウムを分解させた。次に、生成した水酸化アルミニウム等の沈殿を濾別してから、濾液のpHを1N塩酸で7.0に調整することにより新規化学発光試薬を得た。[ペルオキシダーゼ活性の測定]複数の化学発光測定用ウェルに西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の種々の濃度水準の0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.4)溶液200μl及びp−ヨードフェノール10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.4)溶液20μlを加えた後、これに10倍に希釈した前記化学発光試薬を20μl及び0.0034重量%過酸化水素水溶液50μlを順次加え、ルミノメーター(ダイアヤトロン社製ルミナスCT−9000D)で0〜5秒間発光量を積算した結果、表1に示すような発光強度が得られ、HRPを5×10-19 mol/assayまで測定することが可能であった。【0025】【表1】【0026】[実施例2][化学発光試薬の調製]ルシゲニン1mgを試験管に採り、これにN,N−ジメチルアセトアミド150μlを加えて溶解させた後、攪拌下に1,4−ジオキサン1ml中へ加えてルシゲニンを1,4−ジオキサン中に微分散させる。次に、これに蟻酸20μlを加えてよく攪拌してから、水素化リチウムアルミニウム粉末200μgを添加して、60℃で3時間攪拌して還元反応させた後、反応混合液を氷冷下に脱イオン水1ml中へ少量ずつ注入して過剰量の水素化リチウムアルミニウムを分解させた。次に、生成した水酸化アルミニウム等の沈殿を濾別してから、濾液のpHを1N塩酸で7.0に調整することにより新規化学発光試薬を得た。[ペルオキシダーゼ活性の測定]複数の化学発光測定用ウェルに西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の種々の濃度水準の0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液200μl及びp−ヨードフェノール10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液20μlを加えた後、これに10倍に希釈した上記化学発光試薬を20μl及び0.0034重量%過酸化水素水溶液50μlを順次加え、ルミノメーター(ダイアヤトロン社製ルミナスCT−9000D)で0〜5秒間発光量を積算した結果、表2に示すような発光強度が得られ、HRPを5×10-19 mol/assay まで測定することが可能であった。【0027】【表2】【0028】[実施例3][化学発光試薬の調製]ルシゲニン1mgを試験管に採り、これにN−メチル−2−ピロリドン150μlを加えて溶解させた後、攪拌下に1,4−ジオキサン1ml中へ加えてルシゲニンを1,4−ジオキサン中に微分散させる。次に、これに蟻酸20μlを加えてよく攪拌してから、水素化リチウムアルミニウム粉末200μgを添加して、60℃で3時間攪拌して還元反応させた後、反応混合液を氷冷下に脱イオン水1ml中へ少量ずつ注入して過剰量の水素化リチウムアルミニウムを分解させた。次に、生成した水酸化アルミニウム等の沈殿を濾別してから、濾液のpHを1N塩酸で7.0に調整することにより新規化学発光試薬を得た。[ペルオキシダーゼ活性の測定]複数の化学発光測定用ウェルに西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の種々の濃度水準の0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液200μl及びp−ヨードフェノール10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液20μlを加えた後、これに10倍に希釈した上記化学発光試薬を20μl及び0.0034重量%過酸化水素水溶液50μlを順次加え、ルミノメーター(ダイアヤトロン社製ルミナスCT−9000D)で0〜5秒間発光量を積算した結果、表3に示すような発光強度が得られ、HRPを5×10-19 mol/assay まで測定することが可能であった。【0029】【表3】【0030】[比較例1]複数の化学発光測定用ウェルに西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の種々の濃度水準の0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液200μl及びp−ヨードフェノール10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液20μlを加えた後、これにルミノールを5.6×10-5Mの濃度で含有する0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)100μl及び0.0034重量%過酸化水素水溶液50μlを順次加え、ルミノメーター(ダイアヤトロン社製ルミナスCT−9000D)で0〜5秒間発光量を積算した結果、表4に示すような発光強度が得られ、HRPを5×10-17 mol/assay まで測定できることが可能であった。【0031】【表4】【0032】【発明の効果】本発明のペルオキシダーゼ活性の測定方法により、ペルオキシダーゼ酵素活性を従来から広く使用されているルミノールを用いる測定系よりも高感度で測定することが可能になり、ペルオキシダーゼを標識物質に用いる酵素免疫測定方法により抗原及び抗体類を、また、ハイブリダイゼーションアッセイ法により核酸類を、それぞれ、より高感度で検出又は定量することができる。 下記一般式(1)(一般式(1)において、R1 及びR2 は、それぞれ炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びクロロフェニル基からなる群より選択され、互いに同一でも異なるものでもよく、R3 、R4 、R5 及びR6 は、それぞれ水素原子であり、Xは硝酸イオンであり、nは2である。)で表わされるN,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類をN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロビオンアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、またはN−メチル−2−ピロリドンからなるN,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物及び蟻酸の存在下において還元剤と接触させることにより得られる反応生成物からなる化学発光試薬を用い、水素受容体の存在下においてペルオキシダーゼ酵素活性を測定することを特徴とする化学発光法によるペルオキシダーゼ活性の測定方法。 下記一般式(1)(一般式(1)において、R1 及びR2 は、それぞれ炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びクロロフェニル基からなる群より選択され、互いに同一でも異なるものでもよく、R3 、R4 、R5 及びR6 は、それぞれ水素原子であり、Xは硝酸イオンであり、nは2である。)で表わされるN,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類をN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロビオンアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、またはN−メチル−2−ピロリドンからなるN,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物及び蟻酸の存在下において還元剤と接触させることにより得られる反応生成物からなる化学発光試薬を用い、水素受容体の存在下においてペルオキシダーゼ酵素活性を測定する際に、発光増強剤としてフェノール性化合物を用いることを特徴とする化学発光法によるペルオキシダーゼ活性の測定方法。 前記N,N’−ジ置換−9,9’−ビスアクリジニウム塩類がルシゲニンであり、前記N,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物がN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドンからなる群より選択される少なくとも一種の化合物である請求項1又は2に記載のペルオキシダーゼ活性の測定方法。 前記還元剤が水素化リチウムアルミニウムである請求項1〜3のいずれかの請求項に記載のペルオキシダーゼ活性の測定方法。 前記水素受容体が過酸化水素である請求項1〜4のいずれかの請求項に記載のペルオキシダーゼ活性の測定方法。 前記フェノール性化合物がp−ヨードフェノール、p−フェニルフェノール及び6−ヒドロキシベンゾチアゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項2〜5のいずれかの請求項に記載のペルオキシダーゼ活性の測定方法。