タイトル: | 特許公報(B2)_微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法 |
出願番号: | 1998373553 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C01F 17/00,A61K 8/25,C01B 13/14,C01B 33/12,C08K 3/22,C08L 101/00,C09K 3/00 |
矢部 信良 東福寺 浩太 百瀬 重禎 吉田 栄 田平 一之 佐藤 次雄 JP 3981483 特許公報(B2) 20070706 1998373553 19981228 微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法 株式会社コーセー 000145862 大東化成工業株式会社 391015373 田中 宏 100089406 樋口 榮四郎 100096563 矢部 信良 東福寺 浩太 百瀬 重禎 吉田 栄 田平 一之 佐藤 次雄 20070926 C01F 17/00 20060101AFI20070906BHJP A61K 8/25 20060101ALI20070906BHJP C01B 13/14 20060101ALI20070906BHJP C01B 33/12 20060101ALI20070906BHJP C08K 3/22 20060101ALI20070906BHJP C08L 101/00 20060101ALI20070906BHJP C09K 3/00 20060101ALI20070906BHJP JPC01F17/00 BA61K8/25C01B13/14 AC01B33/12 AC08K3/22C08L101/00C09K3/00 104Z C01F 1/00-17/00 A61K 8/25 C01B 13/14 C01B 33/12 C08K 3/22 C08L 101/00 C09K 3/00 特開平09−118610(JP,A) 特開昭63−277281(JP,A) 特開平11−180829(JP,A) 4 2000203835 20000725 11 20030603 鮎沢 輝万 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、白色度の高い微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法に関する。この微粒子金属酸化物・酸化セリウム複合体は、紫外線遮断剤として樹脂組成物並びに化粧料に配合する。【0002】【従来の技術】 紫外線は、プラスチックを劣化させるため、いろいろな対策が取られてきた。その一つとして、様々な有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線散乱剤と言われる種々な紫外線遮断剤が開発され、これらをプラスチックに添加することで紫外線の影響を低減させることが行われてきた。有機系紫外線吸収剤には、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系などがあるが、最近では、耐熱性や耐候性の不足や、その分解生成物の安全性などが問題にされている。これらの問題を解決する目的で、無機系紫外線散乱剤の微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛が開発されてきたが、これについても新たに、分散性や触媒作用等の問題も生じている。【0003】 また、紫外線は生体に対しても悪影響を及ぼすことが知られており、波長が280〜320nmのUV−B領域の紫外線は、皮膚の紅斑水泡等の炎症を引き起こし、波長が320〜400nmのUV−A領域の紫外線は、メラニン生成を促して、皮膚の褐色化を生じさせることが知られている。このような紫外線の悪影響の対策として、従来より多種多様な日焼け止め化粧料が知られている。これらの化粧料に用いられてきた紫外線遮断剤としては、大別すると、ケイ皮酸系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系等の紫外線吸収剤と、酸化亜鉛、酸化チタン等の紫外線散乱剤との2種類に分けられる。しかしこれらの紫外線吸収剤は、紫外線に対する吸収性が不充分であったり、大量に配合すると安全性の面から好ましくない等の問題が生じる場合がある。更に、従来の紫外線散乱剤については分散性を向上させても透明性を高くすることは困難であったため、使用感の悪化を来すだけでなく不自然な化粧仕上がりとなる等の問題があった。【0004】 最近では、特開平6−145645号や特開平7−207251号に見られるようなセリウム化合物を紫外線散乱剤として利用する技術が提案されているが、これらの方法では、紫外線遮断能力を高めようとすると、透明性に問題が生じてしまい、これらの要素が、両立する技術の開発が望まれていた。特開平9−118610号に見られるようなシリカ・セリウム複合粒子の技術も開示されているが、この方法で製造すると一般的な酸化セリウムの色である黄色の粉体が得られるが、酸化チタンに見られるような白色の粉体の開発が求められていた。【0005】【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、本発明の課題は、高い紫外線遮断効果を有し、且つ透明性をも併せ持った白色の高い微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体を製造する方法を提供することである。更に紫外線遮断剤を配合した高い紫外線遮断効果を持つ耐光性に優れた樹脂組成物を提供することである。また上記紫外線遮断剤を配合した紫外線遮断効果が高く、安全性に優れ、使用感の良好な化粧料を提供することである。【0006】【課題を解決するための手段】 即ち、本発明は、40℃以下、pH9以上の条件下で、セリウム塩水溶液とアルカリを反応させて水酸化セリウムを生成させた後、60℃以下、pH8未満の条件下で酸化剤を加え、次いで酸化けい素と複合化することを特徴とする、白色度がL*a*b*系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下である微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法である。また、本発明は、40℃以下、pH9以上の条件下で、セリウム塩水溶液とアルカリと酸化剤を同時に滴下混合し、次いで反応終了時に40℃以下、pH8未満の条件に調整し、その後酸化けい素と複合化することを特徴とする、白色度がL*a*b*系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下である微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法である。前記のセリウム塩は、硝酸セリウム、塩化セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウムが好ましい。また、前記の酸化剤は、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾンが好ましい。以下、本発明を更に詳しく説明する。【0007】【発明の実施の形態】 一般に酸化セリウムは淡黄色をしている。そのため、微粒子金属酸化物・酸化セリウム複合体を製造したとき黄色がかった複合体になる。本発明は、白色度がL*a*b*系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下である微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法である。この微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体は、白色度が高く、しかも微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体本来の透明性、紫外線遮断効果を有するので、樹脂や化粧料への配合に有用である。また、酸化セリウムを複合体にすることによって化粧料などへの分散性が向上する。複合体中の酸化セリウムの含有量は40〜98重量%が好ましい。また、複合体の大きさは任意であるが、平均粒径2〜50μmである。【0008】 本発明において白色度を規定したL*a*b*とは、1976年にCIE(国際照明委員会)により定められた「CIE1976 L*a*b*色空間」で定義される。この色空間は次式で定める量L*、a*、b*を直交座標系に持つ色空間である。 L*=116(Y/Y0)1/3−16 a*=500[(X/X0)1/3−(Y/Y0)1/3] b*=200[(Y/Y0)1/3−(Z/Z0)1/3](ただし、X/X0,Y/Y0,Z/Z0>0.008856、X,Y,Zは物体色の三刺激値、X0,Y0,Z0は物体色を照明する光源の三刺激値で、Y0=100に基準化されている。) そして、本発明では、L*a*b*系で評価した白色度が、L*≧80、|a*|≦4、|b*|≦10と定めた。その測定は色差計(日本電色工業社製)を用いて行なう。【0009】 本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法は、40℃以下、pH9以上の条件下で、セリウム塩水溶液とアルカリを反応させて水酸化セリウムを生成させ、その後60℃以下、pH8未満の条件下で酸化剤を加え、次いで酸化けい素と複合化する方法である。酸化剤を加え終わった後に酸化けい素と複合化するが、この酸化剤を加え終わったときのpHが重要であり、pH8未満、好ましくは7以下にあることが重要である。このときのpHが8以上の場合は所望の白色度の複合体は得られない。酸化セリウムを酸化けい素と複合化させるには、通常、上記方法で得た酸化セリウムに酸化けい素を生成する化合物を加え、酸化けい素を生成させることによって行なう。また、本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造法は、40℃以下、pH9以上の条件下で、セリウム塩水溶液とアルカリと酸化剤を同時に滴下混合し、次いで反応終了時に40℃以下、pH8未満の条件に調整し、その後酸化けい素と複合化する方法である。また、酸化剤滴下中のpHを5以上にすることによって平均粒径2〜4nmの超微粒の酸化けい素・酸化セリウム複合体を得ることができる。【0010】 ここで用いるセリウム塩水溶液は、例えば炭酸セリウムを塩酸や硝酸などの酸水溶液で溶解するか、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウムなどを水に溶解して調製する。この時のセリウム塩溶液の濃度は適当でよいが、濃い方が酸化セリウムの生成に有利である。また、セリウム塩水溶液のpHは水酸化セリウムが生成しない程度まで高くした方が有利である。アルカリ溶液は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液またはアンモニア水を用いることができる。酸化剤は、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン等を用いることができる。【0011】 本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法において、例えば、液温を40℃以下、pHを9以上に保った水にセリウム塩水溶液とアルカリ溶液を滴下し生成させた水酸化セリウムを60℃以上、pHを8未満にして過酸化水素等の酸化剤を添加して得られる微粒子酸化セリウムを、さらに80℃以上に加熱し、pHを9以上に保ちながらケイ酸ナトリウム水溶液と塩酸、硝酸、硫酸などの鉱酸水溶液を滴下して複合体を生成させ、続いてこれを水洗、ろ過、乾燥、粉砕すれば、目的とする微粒子シリカ・酸化セリウム複合体が得られる。この場合、乾燥、粉砕後に焼成してもよい。滴下するケイ酸ナトリウムの量は、SiO2として複合体の2〜60%が適当である。この不定形シリカ生成反応では前記した温度とpH条件を守ることが重要であって、これを逸脱すると均一な微粒子シリカ・酸化セリウム複合体が得られない。【0012】 また、本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウムの製造方法は、例えば、反応開始時の液温を40℃以下、pHを9以上、好ましくはpHを11以上に保った水にセリウム塩水溶液とアルカリ溶液および過酸化水素を同時に添加し、かつ反応終了時に液温を40℃以下、pHを8未満となるように酸溶液を加え、そうして生成する酸化セリウムを、更に80℃以上に加熱し、pHを9以上に保ちながらケイ酸ナトリウム溶液と鉱酸溶液を添加して複合体を生成させ、水洗、ろ過した後、乾燥又は焼成する方法である。【0013】 図1は、上記の方法で得られた微粒子シリカ・酸化セリウム複合体の光波長に対する光透過率を測定した結果を示したものである。光透過率は次のようにして測定した。すなわち、各試料をクリアラッカー固形分に対し添加率が3.0%となる量をとり、これにヒマシ油0.4mlを加えてフーバーマーラー(50回転×2)で分散し、この分散液にクリアラッカー6mlを加えて混練した後、この液を透明石英板に30μmの厚さに塗布し、分光光度計(島津製作所製UV−2200)で測定した。また、L*値、a*値、b*値は直径6cmの金皿に試料20gをプレス成形し、色差計(日本電色工業社製)で測定した。【0014】 図1において、試料(1)は無添加のもの、試料(2)は従来の淡黄色のSiO230重量%含有するシリカ・酸化セリウム複合粒子、試料(3)は本発明の白色のSiO230重量%含有する微粒子シリカ・酸化セリウム複合体である。この図1より本発明のSiO230重量%含有する微粒子シリカ・酸化セリウム複合体(3)の方が、従来のSiO230重量%含有するシリカ・酸化セリウム複合粒子(2)より、300〜400nm領域での紫外線遮断効果が優れている。両方の粉体の色相(L*値、a*値、b*値)を測定したところ、従来品はL*値96.45、a*値−8.00、b*値21.06であり、本発明品はL*値91.58、a*値−1.91、b*値6.85であった。これより、本発明品の方が明らかに従来品より白いことが分る。【0015】 本発明方法で製造した微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体は、紫外線遮断剤として樹脂組成物に配合される。一般に樹脂組成物は、太陽光線の紫外線領域の光を吸収することで劣化を起こす。そのための紫外線対策として、本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウム系複合体を樹脂組成物に配合することで耐光性を良くし、光劣化を防止ないし低減できる。また、樹脂組成物に覆われた内容物の紫外線による光劣化を防止ないし低減できる。本発明の微粒子シリカ・酸化セリウム系複合体は透明で、黄色がかってなく白色度が高いので樹脂に配合しても、樹脂の色調をそこねることがない。ここでいう樹脂組成物とは、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどの合成樹脂や天然樹脂の成形品、これらの樹脂を配合した塗料なども含めた樹脂組成物全般のことをいう。【0016】 本発明方法で製造した微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体は、紫外線遮断剤として化粧料に配合される。微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体を配合することによって透明感を有し、紫外線遮断効果に優れたものを得ることができる。本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウム系複合体は透明で、黄色がかってなく白色度が高いので化粧料への配合適性が良い。化粧料の剤型としては、乳液、化粧水等のスキンケア化粧料、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料、頭髪化粧料等に用いることができ、就中、日焼け止め化粧料が好ましい。配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜70重量%である。【0017】 更に化粧料に配合する場合、微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体を表面処理して用いてもよい。表面処理としては、金属石鹸処理、シリコーン処理、ジアルキルリン酸処理、パーフルオロアルキル基を有する化合物処理、アミノ酸処理、レシチン処理、コラーゲン処理等が挙げられる。【0018】 上記の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体を配合した化粧料においては、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤とを組み合わせると効果が顕著なものとなる。紫外線吸収剤としては、オキシベンゾン、メトキシケイ皮酸オクチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンから選ばれる一種又は二種以上が好ましい。紫外線吸収剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜40重量%である。紫外線散乱剤としては、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛が好ましく、より好ましくは、平均粒子径が0.05μm以下の微粒子酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である。紫外線散乱剤の配合量としては、0.1〜50重量%が好ましい。【0019】 更に、上記の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体を配合した化粧料には通常化粧料に用いられる成分、例えば、粉体、界面活性剤、油剤、ゲル化剤、高分子、美容成分、保湿剤、色素、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。【0020】【実施例】実施例1 塩化セリウム(CeCl3)488gを水に溶解し塩化セリウム水溶液3.3リットルを調製した。また、水酸化ナトリウム237gを水に溶解して水酸化ナトリウム水溶液3.3リットルを調製した。更に、30%過酸化水素水118gを水に溶解して過酸化水素水溶液3.3リットルを調製した。30〜40℃に加温した水8.5リットルに、撹拌しながら塩化セリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液を、反応液のpHを9〜11、温度を40℃以下に維持しつつ同時に滴下した。滴下終了後、反応液のpHを5〜7、温度を60℃になるように塩酸を加え調整し、これに上記過酸化水素水溶液を滴下した。生成物を水で5回デカンテーション洗浄し酸化セリウムを調製した。【0021】 ケイ酸ナトリウム液(SiO2含有率28.5重量%)562gを水に溶解してケイ酸ナトリウム水溶液2リットルを調製した。また95重量%硫酸75.8gを水に希釈して希硫酸2リットルを調製した。上記で得た酸化セリウムを80℃以上に加熱撹拌しながら、上記のケイ酸ナトリウム水溶液と希硫酸を反応液のpHが9以上に保てるように同時に滴下した。両液の滴下終了後30分撹拌し反応液のpHが7〜8になるように希硫酸で調整した。これをろ過、水洗、乾燥、粉砕してSiO230重量%含有の微粒子シリカ・酸化セリウム複合体を得た。この複合体の白色度はL*値93.2、a*値−1.6、b*値7.5であった。また平均粒径は3.5nmであった。【0022】実施例2 塩化セリウム(CeCl3)488gを水に溶解し塩化セリウム水溶液3.3リットルを調製した。また、水酸化ナトリウム237gを水に溶解して水酸化ナトリウム水溶液3.3リットルを調製した。更に、30%過酸化水素水118gを水に溶解して過酸化水素水溶液3.3リットルを調製した。30〜40℃に加温した水8.5リットルに、撹拌しながら塩化セリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及び過酸化水素水溶液を、反応液のpHを9〜11、温度を40℃以下に維持しつつ同時に滴下した。滴下終了時に反応液のpHを5〜7となるように1モル/Lの塩酸を加え、調整した。反応終了後30分攪拌した後、生成物を水で5回デカンテーション洗浄し酸化セリウムを調製した。【0023】 ケイ酸ナトリウム液(SiO2含有率28.5重量%)562gを水に溶解してケイ酸ナトリウム水溶液2リットルを調製した。また95重量%硫酸75.8gを水に希釈して希硫酸2リットルを調製した。上記で得た酸化セリウムを80℃以上に加熱撹拌しながら、上記のケイ酸ナトリウム水溶液と希硫酸を反応液のpHが9以上に保てるように同時に滴下した。両液の滴下終了後30分撹拌し反応液のpHが7〜8になるように希硫酸で調整した。これをろ過、水洗、乾燥、粉砕してSiO230重量%含有のシリカ・酸化セリウム複合体を得た。この複合体の白色度はL*値94.1、a*値−1.5、b*値6.9であった。また平均粒径は2.9nmであった。【0024】参考例1 実施例2で得たSiO230重量%含有の白色の微粒子シリカ・酸化セリウム複合体を、軟質ポリ塩化ビニルに0重量%、0.5重量%、及び1.0重量%配合し、これを加熱ロールで厚さ0.20mmのシートに成形した。これらのシートの光透過率を分光光度計(島津製作所製UV−2200)で測定したところ、図2の結果を得た。試料aは無配合のシート、試料bは0.5重量%配合のシート、試料cは1.0重量%配合のシートである。この図2から、本発明の微粒子シリカ・酸化セリウム複合体は、少ない配合率で優れた紫外線遮断効果が得られることが分かった。また、そのシートの色相(L*値、a*値、b*値)を測定した結果は次のとおりであった。 L*値 a*値 b*値試料aのシート 85.81 0.61 4.02試料bのシート 84.14 0.05 4.71試料cのシート 81.74 −0.81 6.59 これにより、上記白色の微粒子シリカ・酸化セリウム複合体を配合したシートは十分な白色度がえられた。【0025】参考例2 実施例1で得られたSiO230重量%含有微粒子シリカ・酸化セリウム複合体を用いて、下記組成と調製方法によりクリームファンデーションを製造した。 組成: (1)ステアリン酸 5.0重量% (2)親油型モノステアリン酸グリセリル 2.5 (3)セタノール 1.5 (4)モノラウリル酸イソプロピレングリコール 2.5 (5)流動パラフイン 8.0 (6)ミリスチン酸イソプロピル 7.0 (7)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 (8)精製水 残 量 (9)トリエタノールアミン 1.2(10)ソルビトール 3.0(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.2(12)酸化チタン 8.0(13)カオリン 5.0(14)微粒子シリカ・酸化セリウム複合体 3.0(15)ベントナイト 1.0(16)ベンガラ 2.5(17)黄酸化鉄 2.0(18)黒酸化鉄 0.2【0026】 調製方法:イ.(12)〜(14)と(16)〜(18)をよく混合する。ロ.80℃の(8)に(15)を加えてよく膨潤させる。次に(9)〜(11)を加えて溶解させる。これにイの混合物を加え80℃で溶解する(水相)。ハ.(1)〜(7)を80℃で溶解する(油相)。ニ.水相に油相を加えて乳化する。その後冷却し35℃まで撹拌冷却する。 上記のようにして得られたクリームファンデーションは、透明感があり、延びもよく、紫外線遮断効果が優れていた。【0027】参考例3 フラスコに実施例2で得た微粒子シリカ・酸化セリウム複合体150gと精製水200gを添加し、混合しながら70℃まで加熱してスラリーとした。これにパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩(旭硝子社製、商品名:アサヒガードAG530)6gに精製水150gを加えてエマルジョン状態としたものを、前記スラリーに徐々に加え、1時間混合後、液性を酸性とし、洗浄、ろ過、乾燥してフッ素化合物処理微粒子シリカ・酸化セリウム複合体(以下、フッ素処理複合体と記す)154gを得た。【0028】参考例4 フラスコに実施例2で得た微粒子シリカ・酸化セリウム複合体150gとイソプロピルアルコール150gを添加して、混合しながら70℃まで加熱した。これにメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製)3gを加えて1時間混合後、減圧加熱してイソプロピルアルコールを除去した後、シリコーン処理微粒子シリカ・酸化セリウム複合体(以下、シリコーン処理複合体と記す)152gを得た。【0029】参考例5 参考例3で得たフッ素処理複合体を用いて、下記組成と調製方法により日焼け止め乳液を製造した。 組成: (1)フッ素処理複合体 10.0重量% (2)マイクロクリスタリンワックス 1.0 (3)ミツロウ 2.0 (4)スクワラン 10.0 (5)メチルポリシロキサン(10CS) 10.0 (6)デカメチルシクロペンタシクロシロキサン 10.0 (7)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0 (8)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0 (9)オキシベンゾン 0.1(10)1,3−ブチレングリコール 9.0(11)防腐剤 適 量(12)精製水 残 量(13)香料 適 量【0030】調製方法:イ.(2)〜(9)を加熱溶解し、これに(1)を添加して70℃とする。ロ.(10)〜(12)を加熱溶解して70℃とし、これをイに添加して乳化混合する。ハ.ロを冷却後、(13)を添加混合して日焼け止め乳液を得る。【0031】(比較例1) 参考例5において、(1)を、L*a*b*がL*値96.3、a*値−7.5、b*値22.18の淡黄色の微粒子シリカ・酸化セリウム複合体に置き換えたものを比較例1として同様に調製した。比較例1は、化粧料自体の外観が暗く、黄色味を帯びたものであった。それに対して、参考例5は、化粧料自体の外観に影響を与えない白さであった。また化粧膜は、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果にも優れたものであった。【0032】参考例6 参考例4で得たシリコーン処理複合体を用いて、下記組成と調製方法によりパウダーファンデーションを製造した。 組成: (1)シリコーン処理タルク 20.0重量% (2)シリコーン処理マイカ 残 量 (3)シリコーン処理酸化チタン 12.0 (4)シリコーン処理ベンガラ 1.0 (5)シリコーン処理黄酸化鉄 3.0 (6)シリコーン処理黒酸化鉄 0.1 (7)シリコーン処理複合体 20.0 (8)シリコーン処理酸化亜鉛 1.0 (9)スクワラン 5.0(10)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0(11)白色ワセリン 1.0(12)防腐剤 適 量(13)香料 適 量【0033】調製方法:イ.(1)〜(8)をヘンシェルミキサーで混合する。ロ.イに加熱混合する(9)〜(11)を加え混合後、(12)、(13)を加える。ハ.ロを粉砕した後、プレス成型してパウダーファンデーションを得る。【0034】比較例2 参考例6において、(7)を微粒子酸化チタンに置き換えたものを比較例2として同様に調製した。比較例2は、化粧膜に青白さや白浮きを生じるため、自然な仕上がり感を得ることができなかった。それに対して、参考例6は、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果にも優れたものであった。【0035】参考例7 実施例2で得たSiO230重量%含有微粒子シリカ・酸化セリウム複合体を用いて、下記組成と調製方法により口紅を製造した。 組成: (1)エチレンプロピレンコポリマー 9.0重量% (2)マイクロクリスタリンワックス 5.0 (3)キャンデリラワックス 3.0 (4)セレシンワックス 3.0 (5)ラノリン 10.0 (6)ひまし油 20.0 (7)オクタン酸イソセチル 残 量 (8)赤色201号 2.0 (9)赤色202号 1.0(10)橙色201号 0.1(11)微粒子シリカ・酸化セリウム複合体 20.0【0036】調製方法:イ.(8)〜(11)を混合し、(6)の一部に加えローラーで混合分散する。ロ.(1)〜(5)、(6)の残部及び(7)を混合し、加熱溶解後、イを添加して均一に混合する。ハ.ロを容器に充填し、急冷して口紅を得る。【0037】比較例3 参考例7において、(11)をL*a*b*がL*値96.3、a*値−7.5、b*値22.18の淡黄色の微粒子シリカ・酸化セリウム複合体に置き換えたものを比較例3として同様に調製した。比較例3は発色が黄色味のためあざやかさに欠けるものであった。それに対して、参考例7は、透明感があり、よりあざやかな発色が得られ、紫外線遮断効果にも優れたものであった。【0038】参考例8 実施例2で得られたSiO2 30重量%含有微粒子シリカ・酸化セリウム複合体を用いて、下記組成と調製方法により白粉を製造した。 組成: (1)微粒子シリカ・酸化セリウム複合体 50.0重量% (2)タルク 30.0 (3)セリサイト 6.0 (4)カオリン 残量 (5)酸化チタン 3.0 (6)ミリスチン酸亜鉛 2.0 (7)ベンガラ 0.2 (8)黄酸化鉄 0.8 (9)スクワラン 2.0(10)メトキシケイ皮酸オクチル 2.0(11)防腐剤 適量(12)香料 適量【0039】 調製方法:イ.(1)〜(8)を混合する。ロ.(9)〜(12)を混合し、これをイに添加して均一に混合する。ハ.ロを粉砕した後、プレス成型して白粉を得る。【0040】比較例4参考例8において、(1)を微粒子酸化チタンに置き換えたものを比較例4として同様に調製した。比較例4は、化粧膜に青白さや白浮きを生じるため、自然な仕上がり感を得ることができなかった。それに対して、参考例8は、透明感があり、仕上がりが良好で、紫外線遮断効果にも優れたものであった。【0041】【発明の効果】 本発明方法によると、白色度が高い微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体が得られる。この微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体は、可視領域の透明性が高い状態でUV−A領域及びUV−B領域の紫外線遮断効果が優れており、安全で耐熱や耐薬品性に優れている。また、白色度が高いので、樹脂や化粧料への配合に適する。本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体を配合した樹脂組成物は耐光性が良く、優れた紫外線遮断効果を有する。また本発明の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体を配合した化粧料は、優れた紫外線遮断効果を有する。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の微粉末シリカ・酸化セリウム複合体の光透過率を示す図。【図2】ポリ塩化ビニルに本発明のSiO230重量%含有微粉末シリカ・酸化セリウム複合体を配合して成形したシートの光透過率を示す図。 40℃以下、pH9以上の条件下で、セリウム塩水溶液とアルカリを反応させて水酸化セリウムを生成させた後、60℃以下、pH8未満の条件下で酸化剤を加え、次いで酸化けい素と複合化することを特徴とする、白色度がL*a*b*系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下である微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法。 40℃以下、pH9以上の条件下で、セリウム塩水溶液とアルカリと酸化剤を同時に滴下混合し、次いで反応終了時に40℃以下、pH8未満の条件に調整し、その後酸化けい素と複合化することを特徴とする、白色度がL*a*b*系で評価した時にL*値が80以上、a*値が絶対値で4以下、b*値が絶対値で10以下である微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法。 セリウム塩が硝酸セリウム、塩化セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法。 酸化剤が過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微粒子酸化けい素・酸化セリウム複合体の製造方法。