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タイトル:特許公報(B2)_オキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法
出願番号:1998362861
年次:2007
IPC分類:C07D 305/06


特許情報キャッシュ

伊藤 直和 佐々木 裕 栗山 晃 JP 3990060 特許公報(B2) 20070727 1998362861 19981221 オキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法 東亞合成株式会社 000003034 伊藤 直和 佐々木 裕 栗山 晃 20071010 C07D 305/06 20060101AFI20070920BHJP JPC07D305/06 C07D305/00-305/14 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平6−118394(JP,A) 特表平10−508067(JP,A) 特開平10−7669(JP,A) 4 2000186079 20000704 6 20010131 2004006330 20040331 塚中 哲雄 福井 悟 穴吹 智子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、開環重合が可能なモノマーとして有用なオキセタン環を有する化合物(以下、オキセタン化合物という)の貯蔵安定化方法に関するものである。【0002】【従来の技術】オキセタン化合物は、4員環の環状エーテルであり、ルイス酸などのカチオン重合触媒で開環重合することが知られており、例えば、オキセタン化合物について、エンサイクロペディア オブ ポリマーサイエンス アンド エンジニアリング(ENCYCLOPEDIA OFPOLYMERSCIENCE ANDENGINEERING)、Vol.10,p.653〜670に記載されている。これらのオキセタン化合物は、開環重合性を利用して、樹脂、コーティング剤、接着剤などの原料、中間体および添加剤として用いられる。しかしながら、製造時の微量不純物の混入などの原因により、オキセタン化合物を長期にわたって保存すると、開環重合が発生し、その結果生じた重合物により白濁し、製品の品質上問題となる。オキセタン化合物の製造方法としては、パティソンが、ジャーナル オブ アメリカンケミカルソサイティ(J.Am.Chem.Soc.)、79,3455(1957)に、1,3−ジオール類とジアルキルカーボネート類のエステル交換反応により6員環カーボネート類を得、次いで、加熱、脱炭酸させることにより、オキセタン化合物を合成する方法を報告している。しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記方法で製造されたオキセタン化合物、例えば、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンおよび3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどは、長期保存中に白濁する場合が多いことがわかった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オキセタン化合物の白濁を防止し、長期にわたって品質の劣化がない、オキセタン化合物の貯蔵安定化方法を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、塩基性化合物を添加することにより、開環重合等の機能を低下させることなく、オキセタン化合物の貯蔵安定性が改良できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は塩基性化合物を添加することを特徴とするオキセタン化合物の貯蔵安定化方法である。以下、本発明について詳細に説明する。【0005】【発明の実施の形態】本発明におけるオキセタン化合物としては、3,3−ジアルキルオキセタン,3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタン,3−アルキル−3−クロロメチルオキセタン,3−アルキル−3−アルキルオキシオキセタン,3−アルキル−3−フェニルオキシオキセタン,ビス(3−アルキルオキセタン−3−イルメチル)エーテル、2−アルキルオキセタン、2−フェニルオキセタン、2,2’−ジアルキルオキセタン、2,3−ジアルキルオキセタンおよび2−フェニル−3,3−ジアルキルオキセタンなどが挙げられ、これらの中でも、本発明の効果を発現しやすいという理由から3位または2位に置換基を有するオキセタン化合物が好ましく、さらに好ましくは3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンである。【0006】本発明における塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物などの塩基性無機化合物およびアミンなどの塩基性有機化合物を用いることができる。塩基性無機化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび炭酸カリウムなどが挙げられ、これらの中でも、オキセタン化合物に対する溶解性の面から、水酸化リチウム,水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。また、塩基性有機化合物としては、アミンならびにキノリンおよびキノリジンなど含窒素複素環化合物などが挙げられるが、これらの中でも、オキセタン化合物との相溶性の面よりアミンが好ましく、例えば、オクチルアミン、ナフチルアミン、キシレンジアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジメチルアニリン、キヌクリジン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミンおよびトリエタノールアミンなどが挙げられる。【0007】オキセタン化合物は、ルイス酸などのカチオン重合触媒により開環重合を起こす性質を利用して、樹脂やコーティング剤に使用されることが多く、その場合、前記塩基性化合物は、開環重合の抑制剤として働く。オキセタン化合物の機能を損なうことなく、安定に保存するために必要な塩基性化合物の添加量は、オキセタン化合物に対して、添加する塩基性化合物は0.1重量ppm〜1,000重量ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1重量ppm〜1,000重量ppmの範囲である。添加量が0.1重量ppm未満の場合は十分な貯蔵安定性を得ることができず、一方、1,000重量ppmを超えても貯蔵安定性への効果が向上するとは言えず、逆に、開環重合を阻害して、オキセタン化合物の機能を損なう可能性がある。【0008】オキセタン化合物に対する塩基性化合物の添加は、特に限定されることなく、通常の混合条件で行なうことが出来る。また、塩基性化合物は水などで希釈して用いることも可能だが、そのままの状態で添加する方が好ましい。【0009】【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。実施例1トリメチロールプロパンとジエチルカーボネートを原料として、前述のパティソンの方法で製造した3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンに、貯蔵安定剤として水酸化カリウムをそれぞれ1重量ppm、10重量ppmおよび100重量ppm添加し、それぞれの混合物を25℃の恒温室で保管した。1)貯蔵安定性の評価は、以下の方法で行い、その結果を表1に示す。上記の混合物を純水で100倍に希釈し、分光光度計により、波長600nmでの透過率を測定し、さらに、40日経過後および60日経過後についても同様に試験を行ない、その値の変化により貯蔵安定性を評価した。2)重合性の評価は以下の方法で行い、その結果を表1に示す。上記で得られた3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンにユニオンカーバイド社製の脂環式エポキシであるUVR−6110(商品名)を、重量比で3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン/UVR−6110=20/80となるように混合し、得られた組成物を鋼鈑に約20ミクロンの厚みになるように塗布した。さらに、80w/cmの集光型高圧水銀灯を設置したコンベアタイプの紫外線照射装置(ランプ高さ=10cm、照射強度:310mW/cm2、76mJ/cm2)を用いて、コンベアスピードを変化させ、表面から粘りのなくなる最大のコンベアー速度(m/min)を測定した。また、その時に得られた硬化物表面の粘りの有無を評価した。コンベアー速度は速いほど、硬化性が早いことを示す。【0010】比較例1水酸化カリウムを添加しない以外は、実施例1と同様に試験を行ない、その結果を表1に示す。【0011】比較例2水酸化カリウムを10,000重量ppm添加した以外は、実施例1と同様に試験を行ない、その結果を表1に示す。【0012】実施例2安定剤として、トリ−n−ブチルアミンを10重量ppmおよび100重量ppm添加した以外は、実施例1と同様に試験を行ない、その結果を表1に示す。【0013】【表1】【0014】実施例3トリメチロールエタンとジエチルカーボネートを原料に、パティソンの方法で製造した3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンに、貯蔵安定剤として水酸化ナトリウムを10重量ppmおよび100重量ppm添加し、それぞれの混合液を25℃の恒温室で保管した。実施例1と同様に安定性、重合性を評価し、その結果を表2に示す。ただし、透過率の経時変化は20日経過後および40日経過後について実施した。【0015】比較例3水酸化ナトリウムを添加しない以外は、実施例3と同様に試験を行ない、その結果を表2に示す。【0016】比較例4水酸化ナトリウムを10,000ppm添加した以外は、実施例3と同様に試験を行ない、その結果を表2に示す。【0017】【表2】【0018】【発明の効果】本発明の方法によれば、オキセタン化合物に塩基性化合物を添加することにより、開環重合性を損なうことなく、オキセタン化合物の貯蔵安定性を改良することができる。 塩基性化合物を添加することを特徴とするオキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法。 塩基性化合物がアルカリ金属水酸化物またはアミンである請求項1記載のオキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法。 オキセタン環を有する化合物が2位または3位に置換基を有する化合物である請求項1または請求項2に記載のオキセタン化合物の貯蔵安定化方法。 オキセタン環を有する化合物が3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンである請求項1〜3のいずれかに記載のオキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法。


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