タイトル: | 特許公報(B2)_ヒノキチオールアルミニウム錯体含有組成物 |
出願番号: | 1998336801 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A01N 65/00,A01N 59/06,A01N 25/22,A01P 3/00,C11D 3/20,C11D 3/30,C11D 3/48,A61K 31/12,A61K 31/13 |
田中 陽子 JP 4257756 特許公報(B2) 20090213 1998336801 19981127 ヒノキチオールアルミニウム錯体含有組成物 旭化成ケミカルズ株式会社 303046314 稲葉 良幸 100079108 大貫 敏史 100109346 内藤 和彦 100134120 田中 陽子 20090422 A01N 65/00 20090101AFI20090402BHJP A01N 59/06 20060101ALI20090402BHJP A01N 25/22 20060101ALI20090402BHJP A01P 3/00 20060101ALI20090402BHJP C11D 3/20 20060101ALI20090402BHJP C11D 3/30 20060101ALI20090402BHJP C11D 3/48 20060101ALI20090402BHJP A61K 31/12 20060101ALN20090402BHJP A61K 31/13 20060101ALN20090402BHJP JPA01N65/00 AA01N59/06 ZA01N25/22A01P3/00C11D3/20C11D3/30C11D3/48A61K31/12A61K31/13 A01N 65/00 A01N 59/06 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 国際公開第97/002025(WO,A1) 特開平07−327592(JP,A) 特開平07−082288(JP,A) 特開平04−070744(JP,A) 特開昭61−012992(JP,A) 特開2000−119115(JP,A) 5 2000159604 20000613 6 20051107 太田 千香子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品や化粧品に抗菌剤として用いられ、特に最近、天然志向の高まりから家庭用、業務用洗浄剤一般、トイレタリー製品、芳香剤、消臭剤、除菌剤等に使用されているヒノキチオールを使用した組成物に関する。特に金属イオンに対する安定性を高めたヒノキチオール組成物に関する。【0002】【従来の技術】従来、ヒノキチオールは医薬品や化粧品に抗菌剤として、また、家庭用、業務用洗浄剤一般、トイレタリー製品、芳香剤、消臭剤、除菌剤等に使用されている。しかし、ヒノキチオールは容易に金属イオンと反応し着色してしまう欠点がある。特に鉄イオンと生成したヒノキチオール鉄錯体は暗赤色に着色してしまうため、製造時には製造装置やタンク類から混入する鉄イオンの影響によって簡単に着色してしまう。このような着色は製品の外観を損ねるため、さける必要があるが、製造装置自体から鉄部分を無くすことは費用などの点から現実的でない。【0003】そこで、ヒノキチオールの金属イオンに対する安定性を高めるため、あらかじめヒノキチオールを金属錯体として使用することが提案されている。たとえば、ヒノキチオールを銅錯体として使用することが特開平7−138155号公報に、ヒノキチオールを亜鉛錯体として使用することが特開平7−173053号公報に、さらにヒノキチオールをアルミニウム錯体として使用することが特開平9−143045号公報に記載されている。【0004】しかしながら、ヒノキチオール銅錯体は自身が青色に着色していること、ヒノキチオール亜鉛錯体、またヒノキチオールアルミニウム錯体にしても金属イオンに対し、ある程度は着色が生じてしまうため問題があった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の欠点に鑑み、ヒノキチオールの金属イオン、特に鉄イオンに対する安定性を高め、製造時、保管時の製品の着色を防止できるヒノキチオール組成物を提供することを課題とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を解決するため、ヒノキチオールの安定性を高めるためヒノキチオールをアルミニウム化合物と反応させてヒノキチオールアルミニウム錯体とし、さらにアミン類を配合することにより、ヒノキチオール組成物の着色が防止できることを見いだして本発明をなすに至った。【0007】 即ち、本発明は、ヒノキチオールアルミニウム錯体と、アミン類とからなる組成物である。以下本発明を詳細に説明する。本発明の組成物は、ヒノキチオールアルミニウム錯体を含むことを要する。【0008】ヒノキチオールアルミニウム錯体の合成方法としては、ヒノキチオールをヒノキチオール可溶の有機溶媒に溶解し、例えばナトリウム化合物を加えて反応させて、水溶性のヒノキチオールのナトリウム塩を生成させ、析出したヒノキチオールナトリウム塩を濾別後乾燥する。これを水で溶解し、アルミニウム化合物を加え析出沈殿してくる生成物を濾別後乾燥する方法や、ヒノキチオールをヒノキチオール可溶の有機溶媒に溶解させ、アルミニウム化合物を加えて反応させ、生成物を濾別後乾燥する方法等がある。これらの方法により得られたヒノキチオールアルミニウム錯体又はその塩又はその混合物を組成物に使用する。あるいは組成物中にヒノキチオール又はその塩とアルミニウム化合物を配合しておき、組成物中で単離することなく反応させる方法もある。組成物中のヒノキチオール又はその塩、又はその混合物とアルミニウム化合物の割合は任意に選ぶことが出来るが、ヒノキチオールとしての換算モル量をアルミニウム化合物の等モル量から3倍モル量までを使用することが好ましい。【0009】使用するアルミニウム化合物は特に限定されるものではないが、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム・6水和物、臭化アルミニウム、臭化アルミニウム・6水和物、フッ化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、酢酸アルミニウム等を単独でも混合物としても使用することができる。ヒノキチオールアルミニウム錯体の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩類、硫酸塩、塩酸塩等の無機酸塩類、クエン酸、アスコルビン酸等の有機酸塩類等が挙げられ、これらを単独でも混合物としても使用する事が出来る。【0010】本発明の組成物はアミン類を含むことを要する。アミン類は特に限定されることなく、広く一般に使用されているものを使用できる。モルホリン、及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を使用することが出来る。これらは組成物との相溶性等を考慮して、単独又は混合物として任意に選択することが出来る。【0011】特に鉄イオンに対する安定性の観点からは、モノエタノールアミン、モルホリンが好ましく、安全性の観点からはトリエタノールアミンなどが好ましい。これらのアミン類は、接触及び混入する金属イオンの量にもよるが、組成物中に0.001〜50重量%、通常0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%程度含有しておくことが好ましい。【0012】上述の発明成分の他に組成物中には化粧品、洗浄剤、トイレタリー製品、芳香剤、消臭剤、除菌剤、食品等に一般的に使用されているもの、例えば界面活性剤であるアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、更に水溶性有機溶剤、油溶性有機溶剤、増粘剤、帯電防止剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、増量剤、香料等を配合することが出来る。【0013】また本発明の組成物を使用する際の形態としては、液体状、クリーム状、ミスト状、エアゾールによるフォーム状等が挙げられ、布、紙、不織布、プラスチック等担持させられるものに組成物を含浸させた、おしぼりテイッシュ様の形態で使用することも出来る。【0014】【発明の実施の態様】以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。また例中の「%」は「重量%」を示す。また、実施例中で行う組成物の鉄イオンに対する組成物の安定性の評価方法は以下の通りである。<安定性評価方法>ヒノキチオール組成物0.01gをエタノール5gに溶解後、水で稀釈し総量100gとする。この溶液10gをシャーレに秤り取り、これにアミン類を濃度が0.1%になるように加えた後、均一に攪拌する。続いて鉄テストピース(JIS、G、3141 Spcc、SB)を入れ、24時間静置後肉眼で着色程度を観察した。評価基準は以下の通りである。【0015】○ 着色は観測されなかった。△ かすかに着色が見られた。× 完全に赤く着色した。【0016】【合成例1】ヒノキチオール(和光純薬工業(株)製、特級試薬)1.64gをエタノール40mlに溶解し、水酸化ナトリウム溶液(水酸化ナトリウム0.4gを水3mlに溶解し、エタノール10mlを加えたもの)を加え、4.5時間攪拌する。その後ロータリーエバポレーターを使用して濃縮し、室温にて乾燥させる。次にこれを水適当量に溶解し、塩化アルミニウム6水和物水溶液(塩化アルミニウム0.8gを水10mlに溶解したもの)を加え、1時間攪拌する。10%炭酸ナトリウム水溶液でpHをpH7に調整後、生成した沈殿物を濾別し、真空乾燥機で一晩乾燥させ、ヒノキチオールアルミニウム錯体1.67gを得た。【0017】【合成例2】ヒノキチオール(和光純薬工業(株)製、特級試薬)0.49gをエタノール15mlに溶解し、酢酸アルミニウム・4水和物0.2gを加える。室温で約18時間攪拌後濾取し、ロータリーエバポレータにて濃縮する。残留した液をさらに吸引濾過により濾過し、真空乾燥機にて一晩乾燥させ、ヒノキチオールアルミニウム錯体0.01gを得た。【0018】【合成例3】合成例1同様の方法で合成したヒノキチオールナトリウム塩0.18gを水15mlに溶解し、酢酸亜鉛水溶液(酢酸亜鉛0.1gを水1mlに溶解したもの)を加え、2時間攪拌する。吸引濾過により濾取し、真空乾燥機にて3時間乾燥させ、ヒノキチオール亜鉛錯体0.2gを得た。【0019】【実施例1】合成例1で得たヒノキチオールアルミニウム錯体を用い、アミン類としてモノエタノールアミンを用いて、安定性評価方法の記載にしたがって本発明のヒノキチオール組成物を得た。評価結果を表1に示す。【0020】【実施例2】合成例1で得たヒノキチオールアルミニウム錯体を用い、アミン類としてジエタノールアミンを用いて、安定性評価方法の記載にしたがって本発明のヒノキチオール組成物を得た。評価結果を表1に示す。【0021】【実施例3】合成例2で得たヒノキチオールアルミニウム錯体を用い、アミン類としてトリエタノールアミンを用いて、安定性評価方法の記載にしたがって本発明のヒノキチオール組成物を得た。評価結果を表1に示す。つぎに、エタノールに同じヒノキチオールアルミニウム錯体を溶解し、以下の配合でその他の成分を随時溶解後、精製水を加え均一に混合して住居用洗剤を得た。【0022】エタノール 8.0%ヒノキチオールアルミニウム錯体 0.01%香料 適量ポリオキシエチレンアルキルエーテル 8%トリエタノールアミン 0.1%精製水にて合計100%となるように調整。【0023】この住居用洗剤を25℃で一週間放置したが、着色は生じなかった。【0024】【実施例4】合成例2で得たヒノキチオールアルミニウム錯体を用い、アミン類としてモルホリンを用いて、安定性評価方法の記載にしたがって本発明のヒノキチオール組成物を得た。評価結果を表1に示す。【0025】【参考例1】合成例2で得たヒノキチオールアルミニウム錯体を用い、アミン類としてノナン酸とトリエタノールアミンを1:1に混合したものを用いて、安定性評価方法の記載にしたがって本発明のヒノキチオール組成物を得た。評価結果を表1に示す。【0026】【実施例5】エタノールに、ヒノキチオールを溶解し、以下の配合となるように他の成分を順次加えて均一に混合する。ヒノキチオール 0.3% 香料 適量 ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.6% エタノールにて合計100%となるように調整。【0027】この液体6.6gを秤取りエタノール12g、水180g、塩化アルミニウム6水和物0.3gを加え10分間攪拌する。その後トリエタノールアミン0.6gを加え均一に攪拌混合し、ディスプレイ画面用洗剤を得た。このディスプレイ画面用洗剤を25℃で一週間放置したが、着色は生じなかった。【0028】【実施例6】ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩5g、ラウリル硫酸塩5g、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム5g、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン3g、プロピレングリコール5g、グリセリン5gを精製水適量に溶解し、最後にヒノキチオールアルミニウム錯体0.1gを配合し、均一に溶解する。これにトリエタノールアミン0.1g、増粘剤0.1g、防腐剤適量を入れてよく攪拌し、精製水で合計100gとなるように調整して、手洗い用洗剤を得た。【0029】この手洗い用洗剤を25℃で一週間放置したが、着色は生じなかった。【0030】【比較例1】合成例1で得たヒノキチオールアルミニウム錯体を用いて、アミン類を使用しなかった以外は安定性評価方法に従って評価を行った。その結果を表1に示す。【0031】【比較例2】合成例3で得たヒノキチオール亜鉛錯体を用い、アミン類としてモノエタノールアミンを用いて、安定性評価方法に従って評価を行なった。その結果を表1に示す。【0032】【表1】【0033】【発明の効果】本発明の組成物により、ヒノキチオールの金属イオンに対する安定性が高まり着色を防止することができる。その結果、製造ラインからの金属イオンの混入による着色を心配することなく製品を製造することが出来、製品製造後も製品の品質、安定性が確保される。 ヒノキチオールアルミニウム錯体と、 モルホリン及びアルカノールアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種のアミン類と、からなる組成物。 0.001乃至50重量%で前記アミン類を含有する請求項1に記載の組成物。 さらに、界面活性剤を含有する請求項1又は2のいずれか1項に記載の組成物。 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の組成物からなる住宅用洗剤。 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の組成物からなる手洗い用洗剤。