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タイトル:特許公報(B2)_感作金属コロイド試薬溶液の安定化方法及び該安定化試薬溶液
出願番号:1998328043
年次:2007
IPC分類:G01N 33/531,G01N 33/532,G01N 33/543,G01N 33/553


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榎本 昌泰 土居 洋介 JP 3983909 特許公報(B2) 20070713 1998328043 19981118 感作金属コロイド試薬溶液の安定化方法及び該安定化試薬溶液 アルフレッサファーマ株式会社 000231394 青山 葆 100062144 田村 恭生 100068526 榎本 昌泰 土居 洋介 20070926 G01N 33/531 20060101AFI20070906BHJP G01N 33/532 20060101ALI20070906BHJP G01N 33/543 20060101ALI20070906BHJP G01N 33/553 20060101ALI20070906BHJP JPG01N33/531 BG01N33/532 ZG01N33/543 541ZG01N33/553 G01N 33/531 G01N 33/532 G01N 33/543 G01N 33/553 特開平09−005326(JP,A) 特開平06−347462(JP,A) 特開昭49−113775(JP,A) 特開平07−229902(JP,A) 特開昭63−211218(JP,A) Journal of microscopy,1981年,vol.23,p.201-213 12 2000146967 20000526 8 20050921 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は感作金属コロイド試薬の溶液中での安定化に関する。さらに詳しくは、主として臨床検査の分野で、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定に用いられる抗体等を感作した感作金属コロイド試薬溶液に鉄イオン、銅イオンおよび鉛イオンから選ばれる金属イオンとキレート剤からなる物質を配合することを特徴とする感作金属コロイド試薬溶液の安定化法とその安定化した感作金属コロイド試薬溶液に関する。【0002】【従来の技術】抗原抗体反応を利用した免疫学的測定において金属コロイドが広く用いられている。例えば、抗体を感作した金属コロイドを抗原と反応させて、抗原・抗体−金属コロイド複合体を形成させ、この複合体を抗体が固定化された判定紙(膜)上で泳動させると、固定化された抗体に複合体が捕捉され、その結果、金属コロイドによる着色が生じる。この着色を判定することにより抗原の有無を調べるイムノクロマトグラフィ法がある。また、溶液中で抗体感作金コロイドと抗原を反応させると、金コロイドが凝集することによって、色調が変化する。この色調を吸光度変化として捉え測定することにより抗原の有無または量を調べるという凝集比色法がある。これらの測定方法においては、測定対象に特異的に結合する物質が金属コロイドに感作された感作金属コロイドが利用され、金属コロイドとしては金コロイドが用いられる場合が多い。【0003】金属コロイドを感作処理後に懸濁させる溶液の組成について、多くの報告がある。例えば、0.05%ポリエチレングリコ−ル(分子量約20000)/PBS溶液(特開平9−5327号公報、実施例1)、0.05Mリン酸ナトリウム−0.15M食塩−0.05%カ−ボワックス20M(pH7.2)(特開平2−141665号公報、4頁、実施例3)、10mMHEPES(pH7.1)、0.3MD−マンニト−ル、0.05%ポリエチレングリコ−ル(分子量20000)、0.1%BSA(特開平8−278305号公報、3頁右カラム、41−47行、実施例:金コロイド標識抗ヒトヘモグロビンモノクロ−ナル抗体の調製、)、20mMトリス緩衝液(pH8.2)、150mM塩化ナトリウム、1%BSA(特公平7−46107号公報、10頁右カラム、42−43行、実施例5)、0.1Mトリス緩衝液(pH7.6)、0.3%BSA、0.25%ポリエチレングリコ−ル(6000)、4%シュ−クロ−ス、0.1%アジ化ナトリウム(特開平7−318560号公報、、7頁右カラム、11−15行、実施例)、10mMリン酸緩衝液(pH6.4)、1%BSA、0.05%アジ化ナトリウム(特開平6−94718号公報、5頁左カラム、9−13行、実施例1)等がある。また、PBS(リン酸緩衝生理的食塩水)/1%BSA/0.02%アジ化ナトリウムで懸濁し、4℃保存で4週間は反応の低下はなかったとの報告もなされている(Biochem.Biophys.Res.Commun.Vol.121、No.1(1984)284頁−289頁、特に285頁)。また、金コロイド免疫測定時にナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウムの各塩を反応液中に存在させる方法が開示されている(特開平9−5326号公報)。しかし、この方法は、感作金コロイド試薬の安定化ではなく、免疫反応の判定を容易にする目的のものである。さらに、感作する前の金属コロイドの凝集防止方法として、無機イオンを含まず、かつ有機系である緩衝剤(トリスヒドロキシメチルアミノメタン、N−トリスヒドロキシメチル−2−アミノメタンスルホン酸等)を組成として用いる方法が開示されている(特開平9−70527号公報)。【0004】【発明が解決しようとする課題】上記のように感作処理後の金属コロイド懸濁溶液には、一般に緩衝剤、BSA、ポリエチレングリコ−ル、塩化ナトリウムが添加されるが、これらの物質が添加された感作金属コロイド試薬溶液では経時的に反応性が低下し、長期間の使用が困難である。したがって、臨床検査用試薬として、長期使用に耐えられる安定な感作金属コロイド試薬が望まれる。本発明の目的は、溶液中での感作金属コロイド試薬を安定化する方法、長期保存可能な感作金属コロイド試薬溶液を提供することである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明によれば、抗体等で感作した金属コロイド試薬溶液に、鉄イオン、銅イオンおよび鉛イオンから選ばれる金属イオンとキレ−ト剤からなる物質の1種または2種以上を配合することにより、感作金属コロイド試薬溶液を安定化することができ、かかる安定な感作金属コロイド試薬溶液を用いることにより、感作金属コロイド試薬溶液の反応性を長期に維持することができる。本発明の安定化した試薬溶液は、公知の方法に従って、例えば、ヘモグロビンの測定試薬として好適に使用される。【0006】【発明の実施の形態】本発明による安定化すべき感作金属コロイド試薬溶液における金属コロイドとしては、金、銀、セレン等の金属のコロイドがあるが、金コロイドが一般的に利用され易く、好ましい。金属コロイドを感作するものとしては、臨床検査などで抗原抗体反応によって測定する場合に利用される各種の抗体や抗原が含まれるが、それ以外のものでも、測定対象に特異的に結合するものであれば利用可能である。【0007】本発明で安定化剤として用いられる鉄イオン、銅イオンおよび鉛イオンから選ばれる金属イオンとキレ−ト剤からなる物質はそれら金属イオンの塩とキレート剤とを安定化すべき感作金属コロイド試薬溶液に添加混合して調製してもよく、あるいは予め金属塩とキレート剤とを反応させて得られる金属キレート化合物として用いることもできる。鉄イオンにはFe2+、Fe3+、銅イオンにはCu+、Cu2+、鉛イオンにはPb2+、Pb4+が含まれるが、いずれも使用し得る。これらの金属塩としては塩化物や硫酸物としての物質が利用できる。例えば、鉄イオンには塩化鉄や硫酸第一鉄、銅イオンには塩化銅や硫酸銅、鉛イオンには塩化鉛、硫酸鉛等の塩がある。キレ−ト剤としてはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコ−ルビス(β−アミノエチルエ−テル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CyDTA)、ジアミノプロパノ−ル四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N”,N”−五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン二プロピオン酸(EDDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸(HBED)、1,6−ヘキサメチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(HDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等が挙げられる。キレ−ト剤としてはEDTAが一般的に良く利用される。また、金属キレ−ト化合物としては、エチレンジアミン四酢酸一ナトリウム鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム鉛が市販されており、これらを利用するのが好ましい。【0008】金属イオンとキレ−ト剤の感作金属コロイド試薬溶液中での濃度は、金属イオンやキレート剤の種類により異なるが、通常0.0001〜2%(重量%、以下同じ)の範囲から選ばれる。例えば、エチレンジアミン四酢酸一ナトリウム鉄(C10H12N2O8NaFe・H2O)としては0.01−2%の範囲で用いられ、とくに、0.1%付近が好ましい。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(C10H12N2O8Na2Cu・xH2O)としては、0.0001−0.5%の範囲であり、とくに、0.01%付近が好ましい。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム鉛(C10H12N2O8Na2Pb・2H2O)としては、0.0001−0.5%の範囲であり、とくに、0.05%付近が好ましい。【0009】本発明における感作金属コロイド試薬溶液中には、更に他の安定化剤としてカルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、デキストラン硫酸、コ−ル酸、デオキシコ−ル酸、キサンツレン酸から選ばれる物質が適宜添加されてもよく、金属イオンおよびキレート剤からなる物質をこれら他の物質と組み合わせて用いるのが好ましい。また、感作金属コロイド試薬溶液中には、従来用いられている緩衝剤、糖および糖アルコ−ル、アルブミン、ポリエチレングリコ−ル、塩化ナトリウム、防腐剤、その他の物質が適宜含まれる。【0010】カルシウムイオンとしては塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム等の塩、マグネシウムイオンとしては塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の塩、バリウムイオンには塩化バリウム、フッ化バリウム等の塩が含まれる。これらの金属イオンは0.018−4.5mMの濃度範囲、好ましくは1mM付近の濃度が好ましい。デキストラン硫酸、コ−ル酸、デオキシコ−ル酸、キサンツレン酸は遊離酸としてまたはそれらの塩として用いられ、デキストラン硫酸は0.0001−0.2%の濃度範囲、コ−ル酸およびデオキシコ−ル酸は0.0001−0.5%の濃度範囲、キサンツレン酸は0.005−0.1%の濃度範囲が好ましい。【0011】緩衝剤としては、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、2−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル)エタンスルフォン酸(HEPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルフォン酸(BES)、2−モルフォリノエタンスルフォン酸(MES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルフォン酸(TES)、3−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルフォン酸(DIPSO)、2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルフォン酸(TAPSO)等のグッド緩衝液が挙げられ、pHは5−9が好ましく、濃度は1−100mMが好ましい。【0012】糖及び糖アルコ−ルとしては、グルコ−ス、マンノ−ス、サッカロ−ス、ラクト−ス、マルト−ス、マンニト−ル、ソルビト−ル等が挙げられ、濃度としては0.01−10%が好ましい。アルブミンとしては、ウシ血清アルブミン(BSA)が好ましく濃度としては0.001−1%が好ましい。防腐剤としてはアジ化ナトリウムが好ましく、濃度としては0.01−0.5%が好ましい。その他の添加物質として、ツィ−ン20、ポリエチレングリコ−ル(分子量1,000−500,000)、ポリエチレングリコ−ルラウリルエ−テル、5−ブロモサルチル酸、サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、フェノ−ル、チモ−ル等が挙げられる。【0013】【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例1ヒトヘモグロビンをヘモプレ−トオ−トII〔(株)アズウェル製ヒトヘモグロビン検出用試薬キット:抗ヘモグロビン抗体を感作した金コロイド試薬凍結乾燥品、その溶解液および検体希釈液を含む〕の検体希釈液に溶解して、ヘモグロビン濃度0,50,100および200ng/mlの溶液を調製し、小分け分注し−40℃の冷凍庫に凍結保存したものを融解し、検体として使用する。ヘモプレ−トオ−トIIの金コロイド試薬凍結乾燥品(30ml用)を0.1%BSA、3%マンニト−ル、0.01%塩化カルシウム、0.02%コ−ル酸ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウムを含む5mMHEPES緩衝液(pH7.5)29mlで溶解する(金コロイド液:溶液組成1)。該金コロイド液9容と後記表1の種々の添加物質を蒸留水に溶解した試料1容を混合し、試験用金コロイド試薬溶液を調製し、以下のようにしてその反応性を試験した。なお、添加物質濃度は試験用金コロイド試薬溶液中で何れも0.05%とした。【0014】添加物を添加した試験用金コロイド試薬溶液の反応性は金コロイド凝集比色法により以下のように測定した。マイクロプレ−トに検体25μl、検体希釈液50μl、試験用金コロイド試薬溶液100μlを添加後マイクロプレ−トを撹拌し、撹拌後約30秒後とその6分後の吸光度(主波長540nm、副波長700nm)をプレ−トリ−ダ−を用いて測定した。初期吸光度と6分後の吸光度の差(変化)を検体(ヘモグロビン)に対する金コロイド試薬の反応性の指標とした。試験用金コロイド試薬溶液の調製当日と37℃にて5日および10日保存後のものについて上記操作により検体を測定し、調製当日の試験用金コロイド試薬溶液の反応性を100%として、37℃にて5日および10日保存後のものの残存反応率(%)を求めた。その結果を表1の溶液組成1の欄に示す。【0015】実施例2ヘモプレ−トオ−トIIの金コロイド試薬凍結乾燥品(30ml用)を0.1%BSA、3%マンニト−ル、0.01%塩化カルシウム、0.025%キサンツレン酸、0.05%アジ化ナトリウムを含む5mMTES緩衝液(pH7.0)29mlで溶解する(金コロイド液:溶液組成2)。該金コロイド液9容と種々の添加物(後記表1を参照)を蒸留水に溶解した試料1容を混合し、試験用金コロイド試薬溶液とし、実施例1と同様にしてその反応性を試験した。なお、添加物質濃度は試験用金コロイド試薬溶液中でいずれも0.05%とした。すなわち、試験用金コロイド試薬溶液の調製当日と37℃にて5日および10日保存後のものについて同様に検体を測定し、試験用金コロイド試薬溶液の安定性(残存反応率)について測定した。その結果を表1の溶液組成2の欄に示す。【0016】【表1】【0017】該表1に示す結果からも明らかなように、対照(蒸留水添加)に比べ、鉄、銅、鉛の各イオンとEDTAとからなる物質(EDTA−Na−Fe、EDTA−2Na−Cu、EDTA−2Na−Pb)を添加した場合、溶液組成1および2とも、金コロイド試薬溶液の反応の低下が抑制され明白な安定化効果が認められた。一方、キレート剤単独(EDTA−2Na)やカルシウム、マンガン、コバルトなどの他の金属イオンとEDTAとからなる物質を添加した場合は安定化効果は劣り、また、鉄や銅などの金属塩単独添加ではいずれも安定化効果は認められなかった。【0018】【発明の効果】感作金属コロイド試薬溶液を保存した場合の反応性の低下を鉄イオン、銅イオンおよび鉛イオンから選ばれる金属イオンとキレ−ト剤からなる物質を1種または2種以上配合することにより抑制することができ、感作金属コロイド試薬の安定化が図れる。従って、本発明によれば、より長期にわたり感作金属コロイド試薬溶液の使用が可能となり、感作金属コロイド試薬溶液を用いた抗原抗体反応等の測定を行う臨床検査分野において、使用期間の延長や測定精度の向上に寄与することができる。 感作金属コロイド試薬溶液に鉄イオン、銅イオンおよび鉛イオンから選ばれる金属イオンとキレ−ト剤からなる物質を1種または2種以上配合することを特徴とする感作金属コロイド試薬溶液の安定化方法。 キレ−ト剤がエチレンジアミン四酢酸である請求項1に記載の方法。 該金属イオンとキレ−ト剤からなる物質がエチレンジアミン四酢酸一ナトリウム鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅、またはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム鉛である請求項1または2に記載の方法。 金属コロイドが金コロイドである請求項1、2または3に記載の方法。 感作金属コロイドが抗体により感作された金属コロイドである請求項1、2、3または4に記載の方法。 抗体がヒトヘモグロビンに対する抗体である請求項5に記載の方法。 安定化剤として、鉄イオン、銅イオンおよび鉛イオンから選ばれる金属イオンとキレ−ト剤からなる物質を1種または2種以上配合したことを特徴とする安定な感作金属コロイド試薬溶液。 キレ−ト剤がエチレンジアミン四酢酸である請求項7に記載の溶液。 該金属イオンとキレート剤からなる物質が、エチレンジアミン四酢酸一ナトリウム鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅またはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム鉛である請求項7または8に記載の溶液。 金属コロイドが金コロイドである請求項7、8または9に記載の溶液。 感作金属コロイドが抗体により感作された金属コロイドである請求項7、8、9または10に記載の溶液。 抗体がヒトヘモグロビンに対する抗体である請求項11に記載の溶液。


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