| タイトル: | 特許公報(B2)_粘性または、固形水系化粧料 |
| 出願番号: | 1998319757 |
| 年次: | 2007 |
| IPC分類: | A61K 8/73,A61K 8/02,A61Q 1/02,A61Q 1/04,A61Q 1/10,A61Q 19/00 |
河内 洋一 片山 長和 JP 3933805 特許公報(B2) 20070330 1998319757 19981006 粘性または、固形水系化粧料 株式会社ナリス化粧品 591230619 志村 尚司 100104307 河内 洋一 片山 長和 20070620 A61K 8/73 20060101AFI20070531BHJP A61K 8/02 20060101ALI20070531BHJP A61Q 1/02 20060101ALI20070531BHJP A61Q 1/04 20060101ALI20070531BHJP A61Q 1/10 20060101ALI20070531BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20070531BHJP JPA61K8/73A61K8/02A61Q1/02A61Q1/04A61Q1/10A61Q19/00 A61K 8/73 A61K 8/02 A61Q 1/02 A61Q 1/04 A61Q 1/10 A61Q 19/00 特開平10−236934(JP,A) 国際公開第98/008601(WO,A1) 国際公開第96/029979(WO,A1) 特開平09−220464(JP,A) 特開平06−157258(JP,A) 特開平04−279509(JP,A) 特開昭63−267361(JP,A) 特開平08−283123(JP,A) 特開平07−233045(JP,A) 特開平05−178723(JP,A) 特開平03−048611(JP,A) 特開平10−025303(JP,A) 特開平10−150933(JP,A) 特開平11−209262(JP,A) 3 2000119166 20000425 13 20050829 岩下 直人 【発明の属する技術分野】本発明は粘性水系化粧料に関し、更に詳細には、フルイドゲル主剤として崩壊性ゲル化剤と、使用性および安定性向上剤として非崩壊性増粘剤を組み合わせることによってフルイドゲルの手法を用いて作成する使用性、安定性の良好な粘性または、固形水系化粧料に関する。【0002】【従来の技術】従来、化粧料の増粘、固化剤としては、化粧品業界では、アクリル酸系高分子、セルロース系高分子などの有機系水溶性増粘高分子と、粘土鉱物、無水ケイ酸などの無機系増粘剤が汎用されてきた。もっとも汎用されるアクリル酸系高分子は、耐塩性に乏しく、ごく少量の塩類の配合で粘度低下が生じたり、ファンデーション中の無機顔料よって凝集が起こるなどの物性的問題点と、皮膚上の汚れなどでゲル構造が崩壊するため極端な粘度低下が生じ、指にとれない、塗布部に残留しないなどの使用上の問題点があった。セルロース系の増粘剤では、高温で著しく溶解性が低下することにより耐温性が乏しい。粘土鉱物、無水ケイ酸などの無機系増粘剤では、使用感上の粉っぽさによりスキンケア化粧料などでは、高い粘度は望めなかった。近年、化粧品業界では、崩壊性のゲル化剤の代表である寒天を用いての処方化が試みられているが、固形の剤型にするとゲル強度が強すぎるために塗布具につかない、使用時に均一に塗布できないという問題点があった。そこでゲル強度を低下させた寒天が市販されているが塗布後の表面状態が均一に見えない、ゲル強度を低下させたため固化しにくい、もしくは配合量が多くなり、使用感への影響が大きいなどの問題点がある。【0003】一方、特開平4−279509号公報では、ι−カラギーナンとキサンタンガム及び/又はローカストビーンガムを併用することで水相を固形化させることが開示されているが、塗布具によるとれが悪いという問題点がある。特開平5−178723号公報では、代表的な水の固型化剤である寒天等の増粘多糖類を用いて水中油型の固型化粧料としたものが知られているが、上記と同様に指あるいはスポンジによるとれが悪いといった問題は解決されていない。特開平7−17828号公報では、寒天またはゼラチンを用いた剤型に、固化前に包水性シート状素材を貼付し使用時に剥離することで塗布具へのとれを改善したものが示されている。この物については、離水、とれの問題は改善されているものの、使用後に表面に破断面が露出したままなので状態が悪く見えるため商品価値に影響すると思われる。また、資材的なコストアップにもつながる。特開平8−208434号公報では、寒天と水膨潤性粘土鉱物の組み合わせでの固形水系化粧料が示されている。特開平8−208435号公報では、酸処理寒天による水相の固形化が開示されている。以上の公報でも明らかなように、溶解した液状組成物を容器に流し込み、冷却することで水系化粧料を固形化するといった技術のみが検討されている。様々な水系化粧料を任意に増粘、固形化できる汎用性の高い組成物としては示されていない。【0004】【発明が解決しようとする問題点】水系化粧料を任意に増粘、固形化できる使用性および安定性の良好な組成物、つまり、低粘性の場合の離水などの安定性、耐塩性、使用後の表面状態、指や化粧用具へのとれ、塗布時の均一性、増粘、固化するための配合量による使用感の影響といった総合的な問題点に対して有用で汎用できる組成物に関する検討を実施した。【0005】【問題を解決するための手段】上記の状況に鑑み、本発明者らは、使用性および安定性の良好である粘性または、固形水系化粧料を提供すべく鋭意検討して本発明に到達した。つまり水系化粧料に汎用可能な組成物と、その製造方法について提供する。【0006】本発明者らは、化粧品分野で近年特に求められている使用性が良く、耐塩性があり、顔料系、乳化系への利用が可能なゲル基材を得るためにはフルイドゲル(流動性ゲル)が好適と考えた。これは加温溶解したジェランガムや寒天など崩壊性の水溶性ゲル化剤を、冷却時に剪断力を加えることにより、ゲル形成を壊しながら製造することで、均一でなめらかな微細ゲル分散構造であるフルイドゲルを得るという新しい手法である。この製造方法を応用すると、ゲル化剤の種類、配合量、冷却条件、剪断方法などを変えることでゲル分散構造が変化し、液状から固形状まで様々な形態の製品が可能になる。また、基本組成であるジェランガムや寒天は耐塩性を有し、顔料系、乳化系においても不都合を生じない。しかしながら、このフルイドゲル製造技術については、今まで化粧品分野で用いられたことはない。それは、再現性の高い物性を得るために、製造過程の管理が厳密に行われなけるばならないことと、崩壊性ゲルに特徴的な安定性不良である離水を防ぐための対策が得られていなかったためである。特に離水による安定性不良を改善する検討を行った。【0007】【試験例1】(製法)フルイドゲルA.(1)〜(4)を加熱溶解し、攪拌冷却する。B.30℃でホモミキサー(特殊機化工業社製)で処理する(4500rpm,1min)。放冷固化品A.(1)〜(4)を加熱溶解し、静置冷却する。[測定]レオメーター(不動工業社製;NRM−2002J型)を用い、15mmφの円盤状アダプターを一定速度(6cm/分)で進入させたときの最大応力を測定し、降伏値とした。【表1】著しい降伏値の低下がみられる。得られたゲルは、崩壊性は無く化粧品基材として使用性の良好なものであった。【0008】寒天、ジェランガムなどで形成された、フルイドゲルの一般的性質としては、以下の点があげられる。広いPHで極端な粘度低下がなく安定なゲルである。再溶解温度は80℃以上であるので高温での耐性に優れている。非常に降伏値が高いチキソトロピックなゲル性状のため保管時の安定性は良好でありながら、外力によって粘度低下が起こるため使用時に均一でなめらかな塗布ができる。そのため、乳化系に組み込んでも乳化粒子の合一、分離などが少ない。金属イオンなどの荷電に安定で、耐塩性が良好なため低粘度のゲルでも直接に指でとることができ、顔料分散系における荷電から生じる水溶性高分子の凝集も生じない。また、比較的少量で高粘度のゲルができるので使用感にも影響が少ない。しかしながら、微細ゲルが緩やかな相互間力で水中に分散しているという構造上、どうしても上部へ数%の離水が生じることを防止することはできなかった。ゲルの剪断方法(パドル撹拌、ホモジナイズ等)によってできるフルイドゲルの性状が異なるので、安定した品質を得るためには製造時の管理を完全に行う必要がある。【0009】本発明者らは、高融点で崩壊性の水溶性ゲル化剤として寒天、カラギーナン、ジェランガム、アルギン酸ナトリウムを、使用性および安定性向上剤としてネイティブジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローストビーンガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースを併用して作成したフルイドゲルが、水系化粧料の増粘、固形化に関して汎用でき、使用性および安定性が向上することを見いだした。以上のことで、低粘性の場合でも離水などの安定性不良がなく、耐塩性があり、PHによる急激な粘度変化がなく、使用後の表面状態、指や化粧用具へのとれ、塗布時の均一性が良好であり、増粘、固化剤として好適なフルイドゲル組成物を得ることができる。高融点で崩壊性の水溶性ゲル化剤の配合量については、多すぎるとフルイドゲルを作成しても分散した微細ゲルが粗大化するため使用後の表面状態、塗布時の均一性が不良になり、少なすぎるとフルイドゲルが形成されない。したがって一般的には全組成物中の0.01〜5.0重量%の範囲が妥当であり、特に0.1〜3.0重量%が好ましい。また、崩壊性のゲル化剤の融点以上では、フルイドゲルが再溶解して、冷却後は均一に固化し性状が変化してしまう。そこで、充分な耐温性を得るためには、崩壊性ゲル化剤の融点は、通常60℃以上は必要で、特に80℃以上が好ましい。以上のことより、寒天としては、寒天AX−30.UP−6.UP−37.ウルトラ寒天UX−30.UX−200(伊那食品工業製)、ジェランガムとしては、ケルコゲル(大日本製薬株式会社製)が好適な例である。さらに、使用性および安定性向上剤として使用する非崩壊性増粘剤は多すぎるとフルイドゲルが形成されず、少なすぎると離水などの安定性不良が生じる。したがって一般的には全組成物中の0.01〜5.0重量%の範囲が妥当であり、特に0.1〜3.0重量%が好ましい。以上のことより、ネイティブジェランガムとしては、ケルコゲルLT−100(大日本製薬株式会社製)、キサンタンガムとしてはケルトロールT(大日本製薬株式会社製)が好適な例である。【0010】【試験例2】安定性向上剤の効果例A.(1)〜(4)を加熱溶解し、攪拌冷却する。B.30℃でホモミキサー(特殊機化工業社製)で処理する(4500rpm,1min)。遠心分離機(国産遠心機社製;H108N型)を用い、遠心分離を行った(3000rpm,15min)。遠心後、試料表層に現れた水相の高さを測定し、離水性の評価を行った。【表2】安定性向上剤としてネイティブジェランガムを併用することで、離水が押さえられている【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。A:目的とする水系化粧料に高融点で崩壊性の水溶性ゲル化剤と、使用性および安定性向上剤として非崩壊性増粘剤を配合する。B:Aをフルイドゲルに調整する。フルイドゲルの調整方法は、加温溶解したAを、冷却時にホモミキサー、ディスパー、パドルなどを用いて、固化点付近で目的に応じた剪断力を加えながら製造するという方法である。これは、固化点付近で発達するゲル構造を壊しながら製造することで、緩やかな相互間力をもった微細ゲル分散状態を形成させるためである。この方法で、均一でなめらかな粘性または、固形状態の本発明で示されるフルイドゲル組成物ができる。【0012】本発明は、その使用目的に応じて各種成分を配合することができる。例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品として認められている成分を配合することで、それぞれの製品を作ることができる。もちろん、使用目的で成分は適宜選択される。本発明のフルイドゲル組成物で使用されている崩壊性の水溶性ゲル化剤および、非崩壊性増粘剤は保湿剤としても有用である。そのため、みずみずしい使用感が実現できるためスキンケア組成物として好適である。メーキャップ組成物としても、顔料の荷電による高分子の凝集がなく、降伏値が高いために分離防止、使用性改善を目的として利用できる。また、その降伏値の高さから一般的な乳化系の安定剤としても良好である。その他配合される成分として下記に示すが、もちろんこれに限定されるものではない。乳化、可溶化、分散剤としての界面活性剤、例としては、POE脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE高級アルコールエーテル、POE.POPブロックポリマーなどの非イオン性界面活性剤や、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、高級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アシルサルコシン酸塩、スルホコハク酸塩などのアニオン性界面活性剤、また、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン性界面活性剤があり、イミダゾリン系や、ベタイン系の両性界面活性剤を配合することも可能である。油分としては、通常の化粧品に使用できるものであれば配合可能で、植物油としては、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、コメヌカ油、ヤシ油など、動物油としては、スクワラン、牛脂、ラノリンなど、合成油としては、シリコン油、ポリイソブテン、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリンなど、ロウとして、ミツロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウなど、炭化水素としては、流動パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなど、高級アルコールとしては、セタノール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノールなど、高級脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸など、その他、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、パーフルオロエーテルなどがあげられる着色剤などの目的で配合される粉体としては、通常化粧品に使用されるもので、有機色素(青色1号、緑色3号、、赤色202号、赤色227号、黄色4号などと、そのレーキ)、無機顔料(酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛など)、体質顔料(セリサイト、マイカ、タルク、ナイロンパウダー、セルロースパウダー、シリコンパウダー、ポリアクリル酸アルキル、リン酸カルシウム、窒化ホウ素など)、パール(酸化チタン処理マイカ、酸化チタン.酸化鉄処理マイカ、酸化チタン.紺青処理マイカなど)や、クロロフィル、β−カロチンなどの天然色素があげられる。これらの中から1種または2種以上を任意に選択して用いてもかまわない。また、これらの粉体に対して疎水性の向上、触媒活性の低下、滑沢性の向上を目的として、粉体に表面処理、複合化を行ってもよい。この表面処理、複合化の際に用いられる物質として、無水ケイ酸、酸化チタン、ナイロン、ポリアクリル酸アルキル、フッ素化合物、金属石鹸,、油脂、脂肪酸エステル類等が例示される。本発明のフルイドゲル組成物は、系の安定性を損なわない範囲であれば、上記成分のほかにガム質、天然水溶性化合物及びその誘導体、防腐剤、キレート剤、酸化防止剤、保湿剤、低級アルコール、多価アルコール、香料、清涼剤、PH調整剤、紫外線防止剤等を配合することも可能である。【0013】本発明乳化組成物のとり得る形態及び剤型は、粘性または固形であり、粘性液状、ゲル状、クリーム状の形態及び剤型であれば特に限定されない。例えば、保湿クリーム、美容液、化粧水、ファンデーション、アイシャドウ、口紅、マスカラ、アイライナー、頬紅、サンケア製品、ヘアケア製品、ボディケア製品等の製品に利用が可能である。本発明乳化組成物は、増粘および固化剤として有用で汎用性の高い組成物である。詳しくは、低粘性の場合でも離水などの安定性不良がなく、耐塩性があり、PHによる急激な粘度変化がなく、使用後の表面状態、指や化粧用具へのとれ、塗布時の均一性が良好な組成物である。本発明のフルイドゲル組成物の具体的処方と、その製造方法については後述する実施例において説明する。【0014】【実施例】以下に実施例を示して本発明について具体的に説明するが、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下の表に示す組成物の配合量は総て重量%で示す。【0015】【実施例1】A.(1)〜(4)を加熱溶解し、攪拌冷却する。B.30℃でホモミキサー(特殊機化工業社製)で処理する(4500rpm,1min)粘度測定はviscometer(リオン社製;VT−04)を使用し25℃で測定。【0019】【実施例2】表3に示す処方のファンデーション(実施例2、比較例1.2.3)を製造して、比較例4については、市販の固型乳化ファンデーション(油中水型乳化タイプ)について、以下の評価方法および評価基準によって官能評価を行った。(製法)表3の(1)〜(10)の各成分を90℃で加熱混合し、これに混合粉砕した(11)〜(15)を加えてホモミキサーで均一に分散し、70℃に保つ(水相)。別に(16)〜(21)を60℃にて加熱調製して(油相)、水相と油相をホモミキサーで混合乳化した後、実施例2については、40℃から31℃までホモミキサーでゲルを剪断しながら冷却した後、容器に充填した。比較例1.2.3については、そのまま容器に充填して冷却し、固型乳化ファンデーションを得た。(評価方法)保管安定性については、室温で1カ月保管した後、油分離、水分離などの発生について確認した。耐温性については、40℃に8時間保持し、表面状態を確認して発汗、分離などのないことを確認した。ファンデーションのとれ・清涼感・うるおい感・みずみずしさ・塗布後の皮膜感のなさ、のびの軽さについては、以下の基準に従って専門パネルn=10名で官能評価を行った。◎:非常に良い○:やや良い△:やや悪い×:非常に悪い【表3】【表4】表4からも明らかなように、比較例1は実施例2とほぼ同程度の清涼感・うるおい感・みずみずしさをもつものの、保管安定性で表面に薄く離水が生じる。また、寒天が多く配合されているため、塗布後の皮膜感が大きく、ファンデーションが化粧用具にとれないという問題がある。また比較例2は比較例1と同様の長所を持つが、ゲル自体がのびが悪く塗布感触的に不十分なものであった。比較例3は、増粘剤としてよく利用されている水溶性高分子、カルボキシビニルポリマーを配合したものであるが、清涼感・うるおい感・みずみずしさについては優れているものの、製造直後より顔料によって凝集が発生し、外観が不均一であり、翌日には分離が起こる安定性の悪いものであった。比較例4は比較例1〜3の欠点を解決してはいるものの、油中水型乳化タイプであるために、清涼感・うるおい感・みずみずしさに欠けるものであった。また、耐温性が低く発汗が発生した。これに対して実施例2は、みずみずしく、なめらかな使用感であり、使用性はいずれも良好で外観の不均一、凝集、分離もなく、保管安定性も満足いくものであった。【0020】【実施例3】クリーム(1)精製水 残余(2)ソルビット 4.0重量%(3)ジプロピレングリコール 3.0(4)トリメチルグリシン 5.0(5)POE(50E.O.)硬化ヒマシ油 0.5(6)寒天 0.5(7)ネイティブジェランガム 0.1(8)グリセリン 5.0(9)2−エチルヘキサン酸セチル 10.0(10)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0(11)セタノール 3.0(12)防腐剤 適量(13)香料 適量(1)〜(8)の各成分を90℃で加熱溶解し、70℃に保つ(水相)。別に(9)〜(13)を60℃にて加熱調製して(油相)、水相と油相をホモミキサーで混合乳化した後、撹拌冷却し、40℃から31℃までホモミキサーを用いてゲルを剪断しながら冷却を行い保湿クリームを得た。【0021】【実施例4】化粧水(1)精製水 残余(2)ソルビット 4.0重量%(3)ジプロピレングリコール 3.0(4)トリメチルグリシン 1.0(5)POE(20E.O.)モノラウリン酸ソルビタン 0.3(6)透明性キサンタンガム 0.1(7)ジェランガム 0.4(8)エタノール 10.0(9)塩化カルシウム 0.08(10)防腐剤 適量(11)香料 適量成分(1)に、(2)〜(10)を加えて90℃で溶解する。その後、撹拌しながら冷却を行い、(11)を加た後31℃までパドルミキサーを用いてゲルを剪断しながら冷却を行い透明固形化粧水を得た。【0022】【実施例5】エッセンス(1)精製水 残余(2)ソルビット 4.0重量%(3)ジプロピレングリコール 3.0(4)トリメチルグリシン 3.0(5)POE(20E.O.)モノラウリン酸ソルビタン 0.4(6)透明性キサンタンガム 0.3(7)ジェランガム 0.3(8)塩化カルシウム 0.08(9)エタノール 5.0(10)香料 適量(11)防腐剤 適量成分(1)に、(2)〜(10)を加えて90℃で溶解する。その後、撹拌しながら冷却を行い、(11)を加た後40℃から35℃までホモミキサーを用いてゲルを剪断しながら冷却を行い透明エッセンスを得た。【0023】【実施例6】アイシャドウ(1)精製水 残余(2)1,3−ブチレングリコール 5.0重量%(3)グリセリン 1.0(4)ネイティブジェランガム 0.2(5)寒天 0.8(6)防腐剤 適量(7)タルク 10.0(8)カオリン 2.0(9)着色顔料 5.0(10)メチルフェニルポリシロキサン 3.0(11)POE(50E.O.)硬化ヒマシ油 1.0(12)ミリスチン酸イソプロピル 8.0(13)モノラウリン酸プロピレングリコール 3.0(14)香料 適量(1)〜(6)の各成分を90℃で加熱混合し、これに混合粉砕した(7)〜(9)を加えてホモミキサーで均一に分散し、70℃に保つ(水相)。別に(10)〜(14)を60℃にて加熱調製して(油相)、水相と油相をホモミキサーで混合乳化した後、撹拌冷却し、31℃までパドルミキサーを用いてゲルを剪断しながら冷却を行い固型乳化アイシャドーを得た。【0024】【実施例7】口紅(1)精製水 残余(2)グリセリン 5.0重量%(3)プロピレングリコール 2.0(4)キサンタンガム 0.3(5)寒天 0.8(6)二酸化チタン 2.0(7)赤色201号 0.6(8)赤色202号 1.0(9)赤色223号 0.2(10)POE(50E.O.)硬化ヒマシ油 1.0(11)キャデリラロウ 7.0(12)ミリスチン酸イソプロピル 8.0(13)流動パラフィン 3.0(14)ヒマシ油 4.0(15)香料 適量(16)防腐剤 適量(1)〜(5)の各成分を90℃で加熱混合し、これに混合粉砕した(6)〜(9)を加えてホモミキサーで均一に分散し、70℃に保つ(水相)。別に(10)〜(16)を60℃にて加熱調製して(油相)、水相と油相をホモミキサーで混合乳化した後、撹拌冷却し、40℃から31℃までホモミキサーを用いてゲルを剪断しながら冷却を行いクリーム状口紅を得た。【0025】【実施例8】ゲル状保湿剤(1)精製水 残余(2)ソルビット 4.0重量%(3)ジプロピレングリコール 3.0(4)トリメチルグリシン 5.0(5)POE(20)オレイルアルコールエーテル 0.3(6)寒天 0.5(7)ネイテイブジェランガム 0.1(8)グリセリン 5.0(9)エタノール 10.0(10)香料 適量(11)防腐剤 適量成分(1)に、(2)〜(11)を加えて90℃で溶解する。その後、撹拌しながら冷却を行い40℃から37℃までホモミキサーを用いてゲルを剪断しながら冷却を行いゲル状保湿剤を得た。【0026】【発明の効果】以上説明したところから明らかなように、本発明のフルイドゲル組成物は以下のような特徴及び利点を有する。(イ)水系化粧料の増粘、固形化に関して有用で汎用できる組成物である。つまり、低粘性の場合でも離水などの安定性不良がなく、耐塩性があり、PHによる急激な粘度変化がなく、使用後の表面状態、指や化粧用具へのとれ、塗布時の均一性が良好な増粘、固化剤である。(ロ)降伏値の高いゲルであるので、乳化、分散の安定化に優れる。(ハ)比較的少量で、ゲル化が可能であるため使用感に与える影響が少ない。そのため、コスト的にも安価である。(ニ)崩壊性ゲル化剤の種類、配合量、冷却条件、混合または、剪断方法によって、粘性液状から固形状までの様々な形態の製品が可能になる。(ホ)さらに、本発明で使用される基材については、食品添加物や化粧品原料として汎用されているもので極めて安全性が高いものである。【0027】【図面の簡単な説明】【図1】は、PH−粘度曲線である。【図2】は、温度−粘度曲線である。【図3】は、塩濃度−粘度曲線である。比較例は0.1%カルボキシビニルポリマー水溶液中和物の粘度−温度曲線である。 寒天、カラギーナン、ジェランガム、アルギン酸ナトリウムのうちの1種または2種以上である崩壊性の水溶性ゲル化剤と、ネイティブジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローストビーンガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのうちの1種または2種以上である水溶性増粘剤を加熱溶解した後、冷却時に剪断力を加えることによりゲル形成を壊しながら得られるフルイドゲルからなることを特徴とする粘性または、固形水系化粧料。 前記水溶性ゲル化剤は寒天であって、前記水溶性増粘剤はネイティブジェランガム、キサンタンガムのうちの1種または2種を含むことを特徴とする請求項1に記載の粘性または、固形水系化粧料。 前記水溶性ゲル化剤はジェランガムであり、前記水溶性増粘剤はキサンタンガムであることを特徴とする請求項1に記載の粘性または、固形水系化粧料。