生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_腸内ビフィズス菌生育促進剤
出願番号:1998312981
年次:2008
IPC分類:A61K 31/736,A61P 1/00,A23L 1/30,C08B 37/00


特許情報キャッシュ

吉松 正 荒 勝俊 JP 4201401 特許公報(B2) 20081017 1998312981 19981104 腸内ビフィズス菌生育促進剤 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 吉松 正 荒 勝俊 20081224 A61K 31/736 20060101AFI20081204BHJP A61P 1/00 20060101ALI20081204BHJP A23L 1/30 20060101ALN20081204BHJP C08B 37/00 20060101ALN20081204BHJP JPA61K31/736A61P1/00A23L1/30 BC08B37/00 Q C08B 1/00-37/18 A61K 31/33-33/44 CAplus(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平06−090707(JP,A) 特開平02−289520(JP,A) 1 2000143520 20000523 6 20041020 福井 悟 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、腸内の有害菌、日和見菌には資化されず、最も有用な菌であるビフィズス菌に高選択的に資化される、腸内ビフィズス菌生育促進剤に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ビフィズス菌(Bifidobacteriaceae)は、1)腸内細菌叢のバランスを正常化し、病原菌による腸管感染や食中毒から体を守る、2)腸内腐敗を抑制して腸内をきれいにし、下痢、便秘、発育障害、癌、高血圧、胃腸障害等の病気や老化を防止する、等の優れた作用を発揮する、腸内で最も有用な細菌の1つである。かかるビフィズス菌を腸内で増殖させる因子として、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖等のオリゴ糖が知られている(特開昭61−227777号公報等)。しかし、かかるオリゴ糖はビフィズス菌に資化されるが、クロストリジウム パーフリンゲンス(Clostridium perfringens )等の有害菌、バクテロイデス ブルガタス(Bacteroides vulgatus)等の日和見菌にも資化されるという問題を有する。一方キサンタンガム等の多糖類やその他の食物繊維は、有害菌や日和見菌に資化され難いが、ビフィズス菌にもほとんど資化されないという問題を有する。【0003】このため有害菌や日和見菌に資化されず、ビフィズス菌にのみ高選択的に資化され、腸内ビフィズス菌の生育を促進する物質が求められていた。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、数多くのオリゴ糖、天然物の抽出物、食物繊維、多糖類等の腸内細菌による資化性について検討した結果、ガッティガムが、有害菌や日和見菌には全く資化されず、ビフィズス菌のみに高選択的に資化されて腸内ビフィズス菌の生育を促進することを見出した。すなわち本発明は、ガッティガムを有効成分とする腸内ビフィズス菌生育促進剤を提供するものである。【0005】【発明の実施の形態】ガッティガムは、L−アラビノース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロース、D−グルクロン酸からなる分岐多糖類であり、食品用途としては増粘剤の他に、緩衝作用を有することから緩衝剤として用いられていた。しかしガッティガムが腸内有害菌、日和見菌を増殖させることなく、ビフィズス菌を高選択的に増殖させることができることは全く知られていなかった。【0006】本発明に用いる腸内ビフィズス菌生育促進剤は、ガッティガムをそのまま用いてもよいが、パントテン酸、リボフラビン等のビタミン類が腸内ビフィズス菌の増殖因子として必須であるため、これらを併用するとさらに効果的である。さらに本発明の効果を害さない範囲で、他の食物繊維、オリゴ糖、ミネラル類等を配合できる。【0007】本発明の腸内ビフィズス菌生育促進剤は、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bif. longum )、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bif. bifidum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bif. breve)等、ヒトの腸内に定住しているあらゆるビフィズス菌の生育促進に有効であるが、特にビフィドバクテリウム ロンガムに対してその効果が顕著である。【0008】本発明の腸内ビフィズス菌生育促進剤はどのような形態でもよいが、例えば医薬品、飲食物の形態が好ましい。医薬品として用いる場合は、ガッティガムの他、必要に応じて上記ビタミン類、ミネラル類、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、保存剤、着色料、香料等を適宜配合し、常法に従って例えば糖衣剤等の形態にすることができる。また飲食物として用いる場合は、ガッティガムの他、必要に応じて上記ビタミン類、ミネラル類、着色料、香料等を適宜配合し、常法に従って例えば菓子、清涼飲料水、発酵乳等の形態にすることができる。【0009】本発明の腸内ビフィズス菌生育促進剤中の、ガッティガムの含有量は、効果及び経済性の観点から、0.1〜20重量%(以下、単に%で示す。)、特に0.1〜10%が好ましい。医薬品として用いる場合は、1〜20%、特に1〜10%が好ましい。また飲食物として用いる場合は、0.1〜6%、特に0.1〜3%が好ましい。【0010】ガッティガムの1日の摂取量は、年齢、体重、症状等により一定ではないが、効果及び経済性の観点から、0.1〜10g、特に0.5〜7gが好ましい。これを1日に1回から数回に分けて摂取することが好ましい。【0011】本発明の腸内ビフィズス菌生育促進剤は、ヒトの腸内ビフィズス菌の生育促進に有効であるが、ブタ、ウシ、ヒツジ等の家畜の腸内ビフィズス菌の生育促進に用いることもできる。【0012】【実施例】試験例1 ビフィズス菌、有害菌及び日和見菌の各種物質の資化性試験ビフィズス菌としてビフィドバクテリウム ロンガム JCM1217株、有害菌としてクロストリジウム パーフリンゲンス JCM1290株、日和見菌としてバクテロイデス ブルガタス JCM5826株を用いた。表1に示すオリゴ糖、食物繊維、天然物抽出物、多糖類、及びポジティブコントロールとしてグルコースを、それぞれ単独で0.5%含有するPYF培地(Pepton Yeast extract Fildes solution)に、上記3菌株を107 c.f.uとなるようにそれぞれ単独で接種した。これらを37℃で3日間、嫌気的に培養し、培養液の濁度(OD600nm)及びpHを測定した。結果を表1に示す。【0013】【表1】【0014】ガッティガムは、有害菌、日和見菌には全く資化されず、ビフィズス菌にのみ資化され、培養液pHが低下した。すなわちガッティガムは、ビフィズス菌の生育を促進し、有害菌、日和見菌の生育を抑制して、腸内環境を改善し得ることが示された。オリゴ糖、グルコースは、ビフィズス菌、有害菌、日和見菌のいずれにも資化された。ガッティガム以外の多糖類、食物繊維は、ビフィズス菌、有害菌、日和見菌のいずれにも資化されないか、有害菌、日和見菌に資化されるか、のいずれかであった。すなわちビフィズス菌にのみ資化され、有害菌、日和見菌には資化されないものは、ガッティガムのみであった。【0015】試験例2 ウィスターラットを用いたビフィズス菌の増殖試験3週齢のウィスターラット15匹を5匹ずつ3群に分け、第1群には標準飼料(オリエンタル酵母社製)を、第2群には標準飼料にガッティガムを5%添加した飼料を1週間連続して投与した。投与終了後各ウィスターラットの盲腸内容物を採取し、生理食塩水で稀釈後、各種腸内細菌選択培地に塗抹し、光岡らの方法(腸内細菌の世界、叢文社)に準じて培養し、ビフィズス菌数(盲腸内容物1g当たりの菌数)を測定した。第3群には何も投与せずに直ちに盲腸内容物を採取して同様にビフィズス菌数を測定した(コントロール)。各群の5匹の平均値は、第1群が、4.2×107 、第2群が5.2×108 、及び第3群が4.6×107 であった。これから、標準飼料を1週間摂取しても腸内ビフィズス菌は増殖しないが、ガッティガムを1週間摂取すれば、腸内ビフィズス菌が増加することが明らかになった。【0016】実施例1及び2表2及び3に示す配合で、常法に従い飲料及び錠剤を製造した。これらは優れたビフィズス菌生育促進効果を示した。【0017】【表2】【0018】【表3】【0019】【発明の効果】本発明の腸内ビフィズス菌生育促進剤を用いれば、腸内の有害菌、日和見菌の生育を抑制してビフィズス菌の生育を促進させることができる。 ガッティガムを有効成分とする腸内ビフィズス菌生育促進剤。


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