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タイトル:特許公報(B2)_テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物の製造方法
出願番号:1998304098
年次:2008
IPC分類:C07C 67/08,B01J 23/44,C07C 27/12,C07C 51/265,C07C 69/76,C07C 67/52,C07C 67/54,C07C 69/82,C07B 61/00


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中島 実 長谷川 英雄 JP 4104228 特許公報(B2) 20080404 1998304098 19981026 テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物の製造方法 帝人ファイバー株式会社 302011711 三原 秀子 100099678 中島 実 長谷川 英雄 20080618 C07C 67/08 20060101AFI20080529BHJP B01J 23/44 20060101ALI20080529BHJP C07C 27/12 20060101ALI20080529BHJP C07C 51/265 20060101ALI20080529BHJP C07C 69/76 20060101ALI20080529BHJP C07C 67/52 20060101ALI20080529BHJP C07C 67/54 20060101ALI20080529BHJP C07C 69/82 20060101ALI20080529BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080529BHJP JPC07C67/08B01J23/44 XC07C27/12 340C07C51/265C07C69/76 ZC07C67/52C07C67/54C07C69/82 AC07B61/00 300 C07C 67/52 C07C 67/54 C07C 69/80 C07C 69/82 C07C 67/60 特開平09−309862(JP,A) 特開昭53−112828(JP,A) 特開昭50−095237(JP,A) 5 2000128833 20000509 8 20050118 品川 陽子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、パラキシレン及び/またはパラトルイル酸メチルを酸化し、次いでメチルエステル化することによってテレフタル酸ジメチル(以下、DMTと略記することがある。)を製造する設備を用いて、DMTとイソフタル酸ジメチル(以下、DMIと略記することがある。)とを併産する方法に関し、更に詳しくは、パラキシレン(以下、pXと略記することがある。)、メタキシレン(以下、mXと略記することがある。)、またはこれらの酸化誘導体からなる原料組成物を、重金属酸化触媒の存在下に、液相酸化し、次いでメタノールを用いてジメチルエステル化することによって純度の高いDMT及びDMIを併産する方法に関する。【0002】【従来の技術】一般にDMTは、エチレングリコール、テトラメチレングリコールなどのグリコールと反応させてポリエステルとするものであるが、そのポリエステルは繊維、フィルムなどの成形材料として工業的に極めて大量に生産されているので有用性の高い化合物である。【0003】一方、近年、ポリエステルの改質を目的に、イソフタル酸(以下、IAと略記することがある。)またはDMIを適正量添加して共重合化を行って得られる、いわゆる改質ポリエステルの用途も拡大し、その需要が増大している。【0004】IAの製造法としては、重金属酸化触媒及び臭素の存在下、酢酸溶媒中でメタキシレンを液相酸化する、いわゆるSD法が知られているが、装置材料に対する臭素の腐食性が無視できず、また、酢酸スラリー中のIAが配管屈曲部等に堆積して流量確保が困難になり、定期的な配管洗浄が必要になるなど、プロセスの設備管理および運転管理に課題を有している。【0005】一方、DMIを製造する場合には、DMTと同様、臭素不存在下にメタキシレン及び/又はメタトルイル酸メチルを酸化し、次いでメチルエステル化する、いわゆるヴィッテン・ハーキュレス法によって製造することが基本的に可能であるが、これまでに提案されている技術としては、例えば、前述のジメチルエステル再結晶後の母液を濃縮後、残渣を触媒存在下、酸素含有ガスで酸化し、次いでメタノールでエステル化し、再結晶母液を蒸発濃縮してDMTとDMIとの混合物を得る方法(特公昭39−30275号公報)、あるいはSD法で得られたIAをエステル化してDMIを得る方法(特公昭40−15016号公報)などが知られているが、実生産を想定した場合、生産効率が低く、操業には適切とは言い難いものであり、その効率的製造方法の開発が待たれていた。【0006】更に、特開平9−309862号公報では、前記ジメチルエステル再結晶後の母液を濃縮後、残渣をコバルト、鉄、マンガン等の重金属触媒を存在させ加熱分解処理した後蒸留する方法が提案されている。【0007】しかしながら、該公報記載の技術では未だ熱分解処理が充分でなく、最終的に蒸留処理する際の製品収量が非常に少ないという問題点を有していた。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の従来技術が有していた問題点を解消し、改質ポリエステルの原料として好適に供し得る、高純度のDMTとDMIとの混合物を効率的に併産する方法を提供することにある。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記併産方法を確立するために鋭意検討を行った結果、上述のヴィッテン・ハーキュレス法プロセスにおいて得られるジメチルエステル再結晶後の母液を濃縮後、残渣を貴金属触媒存在下で加熱分解処理した後に、更に重金属触媒存在下、加熱分解処理し、次いで蒸留することによって、DMT及びDMI以外の不要成分を分解除去できると共に、一定の比率のDMTとDMIとの混合物を効率よく得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。【0010】即ち、本発明の目的は、パラキシレン及び/又はその酸化誘導体とメタキシレン及び/又はその酸化誘導体とからなる原料組成物を、重金属酸化触媒の存在下、液相酸化し、次いでメタノールでエステル化して得られるエステル化反応生成物からテレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物を製造する方法であって、該エステル化反応生成物を下記工程(a)〜(f)に逐次的に通過させることを特徴とする、テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物の製造方法により達成することができる。【0011】(a) エステル化反応生成物を蒸留してジメチルエステルを主成分とする主留分を得、該留分を低級アルキルアルコール中で再結晶させて、テレフタル酸ジメチルを再結晶ケークから回収し、テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとを主成分とする、反応中間体を含む混合物を溶存する再結晶母液を得る工程。【0012】(b) 再結晶母液から低級アルキルアルコールを除去して濃縮し、残渣を得る工程。【0013】(c) 残渣を蒸留してイソフタル酸ジメチルを高濃度に含む留分を得る工程。【0014】(d) 工程(c)により得られた留分を、パラジウム及び/又はその化合物を無機酸化物及び/又は活性炭に担持した固体触媒を貴金属触媒として用いて加熱分解処理する工程。【0015】(e) 工程(d)により得られた留分を、更に、コバルト、鉄、マンガン、及びニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属及び/又はその化合物からなる重金属触媒存在下、反応温度を200〜350℃の範囲とし、且つ反応圧力を常圧〜5kg/cm2Gの範囲で加熱分解処理する工程。【0016】(f) 工程(e)により得られた留分を蒸留して、テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物を得る工程。【0017】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の製造方法におけるジメチルエステルは、pX及び/又はパラトルイル酸メチル並びにmX及び/又はメタトルイル酸メチルを酸化し、次いでメチルエステル化する、いわゆるヴィッテン・ハーキュレス法プロセスで製造されるものであり、その反応生成物は反応中間体及び高沸点副生成物が含まれるものであるが、その成分組成は特に限定されるものではない。【0018】本発明の製造方法においては、上記の操作によって得られるジメチルエステルを蒸留し、得られる主留分を低級アルキルアルコール中で再結晶させて、得られた再結晶母液からは、濃縮操作によって低級アルキルアルコールを除去し、DMIとDMTとの混合物を主たる成分とする残渣を得る。ここで、”主たる”とは、全成分を基準として該成分が40wt%以上を占めていることをいい、主たる成分以外には、4−フォルミル安息香酸メチル(以下、AEと略記することがある。)、パラトルイル酸(以下、PTAと略記することがある。)、4−カルボキシ安息香酸メチル(以下、MMTと略記することがある。)、トリメリット酸トリメチル(以下、TMTと略記することがある。)及びこれらの成分よりも高沸点の副生成物が含まれている。【0019】本発明の製造方法において用いる再結晶溶媒としての低級アルキルアルコールは、常圧における沸点が再結晶時の加熱終了温度より低い溶媒であると、結晶の乾燥を短時間で行うことができるので好ましく、エステル化反応に用いるメタノールを、加圧下にて用いることが最も好適である。また、その仕込量は、十分な精製効果を上げるのに必要な量、あるいはスラリーのハンドリング性の観点から必要な量のうち多い方であり、生成粗エステルの重量を基準として、少くとも2重量倍、好ましくは3〜10重量倍を用いればよい。【0020】本発明の製造方法においては、当該残渣を規則充填材を充填した減圧蒸留塔で、還流比25〜30、真空度110〜160mmHg、塔頂温度190〜200℃で蒸留して得られる留分を貴金属触媒を用いて加熱分解処理を行う。ここで、貴金属触媒を用いることによって、AEなどのアルデヒド成分の分解が促進され、初めて該成分の蒸留分離が容易となる。該貴金属触媒としては、貴金属を無機酸化物及び/又は活性炭に担持した固体触媒を用いることが好ましく、特に貴金属としてパラジウムを、チタニア、ジルコニア、アルミナ、カーボンに担持して用いればよく、その際の貴金属担持量は、触媒の全重量を基準として0.1〜10wt%であることが好ましく、更に、0.5〜5wt%であることが好ましい。【0021】ここで、該加熱分解処理としては、例えば、該固体触媒を充填した流通型反応器内にて加熱分解処理を行えばよく、処理条件としては、上記留分を200〜350℃、圧力が大気圧〜5kg/cm2Gの条件下で処理することが、留分中に含まれるAE、PTA、MMT、TMT及びこれらの成分よりも高沸点の副生成物が、DMT及びDMIよりも低沸点の化合物、即ち、安息香酸メチル(以下、MBと略記することがある。)、4−メチル安息香酸メチル(以下、MPTと略記することがある。)等に分解しやすいので好ましい。これらの低沸点化合物は最終的な蒸留操作によって容易に除去することができる。【0022】なお、上記の流通型反応器内にて分解加熱処理を行う場合には、通液速度は空間速度(以下、LHSVと略記することがある。)で0.1〜2h-1、特に0.2〜0.5h-1の範囲であると分解性能が更に向上するので好ましい。【0023】本発明の製造方法においては、重金属触媒存在下で工程(d)により得られた留分を更に加熱分解処理して留分を得るが、この操作は、貴金属触媒だけでは、即ち本発明の製造方法における工程(d)だけでは分解し難い留分中の残存成分、特にTMT、フタル酸ジメチル等を、より沸点の低い化合物に分解して後工程である蒸留操作によって除去可能とするものである。ここで、該重金属触媒としては、コバルト、鉄、マンガン、ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の重金属を用いることが好ましく、就中、該重金属触媒を残渣の重量を基準として500〜10000ppm存在させた状態で、200〜350℃にて5〜20時間の反応条件下にて加熱反応させた場合には最も高い分解効率を得ることができる。【0024】本発明の製造方法において、上記の重金属触媒の存在下における加熱分解処理は、液相均一系にて反応を行うことが、更に分解効率が高くなるので好ましく、従って、重金属触媒は反応系に可溶である有機酸塩、就中、ギ酸塩、ナフテン酸塩、安息香酸塩等を用いることが好ましい。【0025】なお、重金属触媒による加熱分解処理を貴金属触媒を用いる加熱分解処理、即ち本発明の製造方法における工程(d)の前処理として行うことも可能ではあるが、重金属が貴金属触媒反応を被毒する等の弊害が発生する。【0026】【発明の効果】本発明によれば、収率のよい極めて効率的なテレフタル酸ジメチル及びイソフタル酸ジメチルの併産ができる。また従来のテレフタル酸ジメチルの製造設備を有効に使用して、イソフタル酸ジメチルが得られる点も有利である。【0027】【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示し、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。【0028】試料成分の測定:ガスクロマトグラフ(日立(株)製「GC263−70」、充填剤:担体クロモソーブW−NAW、液相:LAC−2R−728、3mガラスカラム使用)を用いて、常法に従って測定した。【0029】DMI収率:再結晶母液濃縮残渣中のDMI濃度と処理液蒸留主留分中のDMI濃度とを求め、下記式により算出した。【0030】【数1】【0031】[実施例1]ヴィッテン・ハーキュレス法の酸化反応原料として、pX99wt%、mX1wt%からなる混合物を用い、ヴィッテン・ハーキュレス法酸化・エステル化反応を行い、次いで蒸留によって低沸点成分及び高沸点成分を除去してジメチルエステルを主成分とする主留分を得た。【0032】該主留分をメタノール中で再結晶させて、DMTを再結晶ケークから回収し、反応中間体を含むDMIとDMTとを主成分とする混合物を再結晶母液に濃縮させた後、メタノールを除去して残渣を得た。【0033】上記操作によって得られた残渣7.6重量部を規則充填材を充填した理論段20段の減圧蒸留塔で、還流比25.5、真空度160mmHg、塔頂温度200℃で蒸留し、第1留分2.6重量部を得た。次いで第2留分2.4重量部を得た。第1留分及び第2留分の組成を表1に示す。該残渣を蒸留した後の組成を表1に示す。【0034】この第2留分を主留分として、貴金属触媒を用いて分解熱処理を行うため、3mmφ×4mmのカーボンペレット上に2重量%のPdを担持した触媒200mlを充填した流通型反応器に毎時150mlの速度で導入した。【0035】圧力は反応器出側に設けたバルブにより2kg/cm2Gに調整し、反応器温度を280℃に保った。この反応生成物の組成は表2に示す。【0036】当該反応生成物5.0重量部を還流冷却器及び攪拌機付ガラス製反応器に仕込み、次いで酢酸コバルト・四水塩(Co(OCOCH3)2・4H2O)0.042部(仕込み液を基準としてコバルト金属濃度2000ppm)を添加し、窒素雰囲気下攪拌下280℃に昇温後20時間加熱を継続した。【0037】冷却後、反応器内に残留していた反応生成物の重量は4.7部であった。また、その組成は表2の通りであった。【0038】該反応生成物を諸条件(蒸留塔理論段20段、還流比3、真空度30mmHg、塔底温度160〜230℃、塔頂温度120〜190℃)のもとで蒸留し、全不純物重量が1%が未満で且つ、不純物AE濃度が0.05重量%以下の蒸留主留分2.2部を得た。当該留分の組成を表2、DMIの収率を表4に示す。【0039】[比較例1]再結晶濾液濃縮残渣を蒸留後、蒸留留分の貴金属固体触媒処理を実施せずに、5.0部を還流冷却器及び攪拌機付ガラス製反応器に仕込み、次いで酢酸コバルト・四水塩(Co(OCOCH3)2・4H2O)0.042部(仕込み液に対してコバルト金属濃度2000ppm)を添加し、窒素雰囲気下攪拌下280℃に昇温後12時間加熱を継続した。その組成は表3の通りであった。【0040】該反応生成物を諸条件(蒸留塔理論段20段、還流比3、真空度30mmHg、塔底温度160〜230℃、塔頂温度120〜190℃)のもとで蒸留し、全不純物重量が1%が未満で且つ、不純物AE濃度が0.05重量%以下の蒸留主留分0.2部を得た。当該留分の組成を表3、DMIの収率を表4に示す。【0041】【表1】【0042】【表2】【0043】【表3】【0044】【表4】 パラキシレン及び/又はその酸化誘導体とメタキシレン及び/又はその酸化誘導体とからなる原料組成物を、重金属酸化触媒の存在下、液相酸化し、次いでメタノールでエステル化して得られるエステル化反応生成物からテレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物を製造する方法であって、 該エステル化反応生成物を下記工程(a)〜(f)に逐次的に通過させることを特徴とする、テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物の製造方法。(a) エステル化反応生成物を蒸留してジメチルエステルを主成分とする主留分を得、該留分を低級アルキルアルコール中で再結晶させて、テレフタル酸ジメチルを再結晶ケークから回収し、テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとを主成分とする、反応中間体を含む混合物を溶存する再結晶母液を得る工程。(b) 再結晶母液から低級アルキルアルコールを除去して濃縮し、残渣を得る工程。(c) 残渣を蒸留してイソフタル酸ジメチルを高濃度に含む留分を得る工程。(d) 工程(c)により得られた留分を、パラジウム及び/又はその化合物を無機酸化物及び/又は活性炭に担持した固体触媒を貴金属触媒として用いて加熱分解処理する工程。(e) 工程(d)により得られた留分を、更に、コバルト、鉄、マンガン、及びニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属及び/又はその化合物からなる重金属触媒存在下、反応温度を200〜350℃の範囲とし、且つ反応圧力を常圧〜5kg/cm2Gの範囲で加熱分解処理する工程。(f) 工程(e)により得られた留分を蒸留して、テレフタル酸ジメチルとイソフタル酸ジメチルとの混合物を得る工程。 工程(e)における重金属触媒として、コバルト、鉄、マンガン、及びニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属及び/又はその化合物からなる触媒を、留分を基準として500〜1000ppmの範囲で存在させる、請求項1記載の製造方法。 工程(e)における加熱分解処理の反応温度を200〜350℃の範囲とし、且つ反応時間を5〜20時間の範囲とする、請求項1に記載の製造方法。 低級アルキルアルコールの使用量がジメチルエステルを主成分とする主留分を基準として2〜10重量倍の範囲とする、請求項1に記載の製造方法。 低級アルキルアルコールがメタノールである、請求項1に記載の製造方法。


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