タイトル: | 特許公報(B2)_キャリブレーション機能付水分計装置及び水分計装置におけるキャリブレーション方法 |
出願番号: | 1998297898 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 22/04,G01N 22/00,B28C 7/12,G01N 33/38,G01N 27/02 |
稲林 昌二 浅川 哲治 押川 祐三 JP 4125431 特許公報(B2) 20080516 1998297898 19981020 キャリブレーション機能付水分計装置及び水分計装置におけるキャリブレーション方法 パシフィックシステム株式会社 592256667 吉田 芳春 100081271 稲林 昌二 浅川 哲治 押川 祐三 20080730 G01N 22/04 20060101AFI20080710BHJP G01N 22/00 20060101ALI20080710BHJP B28C 7/12 20060101ALI20080710BHJP G01N 33/38 20060101ALI20080710BHJP G01N 27/02 20060101ALI20080710BHJP JPG01N22/04 CG01N22/00 UB28C7/12G01N33/38G01N27/02 A G01N 22/00 - 22/04 G01N 33/00 - 33/46 G01N 27/00 - 27/10 G01N 27/14 - 27/56 特開平08−332625(JP,A) 特開平08−201315(JP,A) 特開平07−060741(JP,A) 特開平03−137551(JP,A) 特開平08−335101(JP,A) 特開平08−334450(JP,A) 4 2000121578 20000428 12 20050705 豊田 直樹 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、生コンクリートを製造する際における骨材の水分率を測定する水分計装置に係り、特に、装置の初期設定および所定時期にキャリブレーションを行い水分率を高精度に測定できるキャリブレーション機能付水分計装置及び水分計装置におけるキャリブレーション方法に関する。【0002】【従来の技術】 生コンクリートは、コンクリート打設の際の作業性や構造物が必要とするコンクリートの強度等により、セメント、水、骨材などの配合を調整している。コンクリートの強度や作業性は、スランプ値により支配される。生コンクリートのバッチャープラントで生コンクリートを製造する際には、指定された生コンクリートの強度を確保しながら、なおかつ、所定の作業性を有した生コンクリートを提供することが必要である。【0003】上記スランプ値に影響を与える要因として、粗骨材、細骨材など骨材の表面水率(水分値)、粒度及びその温度、混練水の水質、動荷重計量精度、セメントの種類などが挙げられる。その中で、骨材の水分値の変動が大きな要因となっている。特に、コンクリートの材料中では、骨材の含水分の量が変化しやすく、その他の材料の配合量や材質の管理を正確に行っても、骨材、特に砂などの細骨材の含水分の変動によりスランプ値が変動する。【0004】そこで、従来、骨材の含水分を水分計により測定し、その測定値に基づき供給すべき水の量を修正している。骨材の水分値は、例えば、特開平8−90549号公報に開示されている混練システムによって検出することができ、検出された水分値に基づき、最適な強度と作業性を得ることができるようになっている。【0005】このシステムは、骨材の自然落下路にマイクロ波を用いて水分値を検出する水分計を設けた構成であり、この水分計で得られた骨材の水分値に基づき、セメント、水との3者の配合比のうち供給すべき水の量を補正するものである。【0006】【発明が解決しようとする課題】上記システムで得られた水分値は、製造に用いる骨材の水分を正確に検出し測定精度を向上させるための初期設定が重要となる。しかし、この骨材の理想的なデータの採取が困難で非現実的であり、検量線登録に至らない。よって、水分率測定を十分に高精度化させることができなかった。【0007】具体的には、製造に用いる骨材の採取データとして異なる水分率(最低1%以上の幅)を有したものが得られにくく、仮に理想的な検量線が登録されても、製造に用いる骨材が変わると、別の検量線を登録後、相関を把握し管理を行う必要があった。したがって、上記水分計を用いていても、この理想的データを登録し、その後の設定管理が十分行われないと、骨材の水分測定を高精度化することができなかった。図9に(a)理想の検量線、及び(b)実際の検量線を示す。【0008】問題1…検量線(回帰線)を求めるために、製造に用いる骨材について十分な分散を持ったデータの採取が困難である。そのために、検量線の向きの逆転、感度の異常(過大、過少)が発生する。問題2…製造に用いる骨材が変わったり、環境の変化(周辺温度等)により、再設定(キャリブレーション)が必要となる。【0009】 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、測定しようとする骨材に最適な検量線を用いて高精度に水分率を測定でき、また、骨材の変更時等に対応して更新され測定精度を維持できるキャリブレーション機能付水分計装置及び水分計装置におけるキャリブレーション方法を提供することを目的としている。【0010】【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本発明によれば、骨材に含まれる水分率を測定し、測定した水分率に対応した出力電気特性値を出力する水分計センサーと、水分計センサーの出力電気特性値とこれに対応する水分率との関係を示す検量線が予め設定登録された記憶部と、水分計センサーから出力される出力電気特性値から、記憶部に登録された検量線を参照して骨材の測定水分率を求める水分率測定値算出手段と、骨材の予め設定した水分率を用いて配合され製造された生コンクリートのスランプ値を推定した値とスランプ値の目標値との差から、推定した値に対応した単位水量と目標値に対応した単位水量との差を求め、求めた単位水量の差から骨材の真の水分率を算出する理論式モデル手段と、理論式モデル手段から得られる真の水分率と、水分率測定値算出手段から得られた測定水分率との相関状態を監視し、相関状態に所定以上の相違がある際に、設定されている検量線上における該当水分率部分を対応する値にシフトさせる更新手段とを備えたキャリブレーション機能付水分計装置が提供される。【0011】 上記構成によれば、推定表面水率に対し測定水分率の高い、あるいは低いデータが連続して発生したときに、検量線が自動更新されるため、骨材の変更時等にこの骨材に適した検量線に更新することができ、装置の継続的な使用において常時高精度な水分率測定が可能となる。【0012】 骨材の非測定時に水分計センサーから出力される出力電気特性値に基づき得られた測定水分率を検量線の1点目として設定し、骨材を所定の規定に従い実際に水分値試験して得られた測定水分率を検量線の2点目として設定し、これら2点に基づき得られた検量線を記憶部に初期設定する初期設定手段をさらに備えたことが好ましい。【0013】 上記構成によれば、装置の稼働開始時において水分値測定に必要な検量線を水分計センサーの出力電気特性値に基づき、簡単、かつ正確に得ることができ、水分率測定精度を高めることができる。【0014】 本発明によれば、さらに、水分計センサーが出力する出力電気特性値を予め設定登録された検量線に基づき水分率に変換出力する水分計装置におけるキャリブレーション方法において、骨材の予め設定した水分率を用いて配合され生成された生コンクリートのスランプ値を推定した値とスランプ値の目標値との差から、推定した値に対応した単位水量と目標値に対応した単位水量との差を求め、求めた単位水量の差から骨材の真の水分率を算出し、算出された真の水分率と、変換出力された測定水分率との相関状態を監視し、相関状態に所定以上の相違がある際に、設定されている検量線上における該当水分率部分を対応する値にシフトさせる水分計装置におけるキャリブレーション方法が提供される。【0015】 上記構成によれば、表面水率と測定水分率の相関が監視される構成であり、相関がとれなくなった際に、測定水分率に対応する検量線となるよう更新処理されるため、常時使用する骨材に適合した検量線に更新することができるようになる。【0016】 骨材の非測定時に水分計センサーから出力される出力電気特性値に基づき得られた測定水分率を検量線の1点目として設定し、骨材を所定の規定に従い実際に水分値試験して得られた測定水分率を前記検量線の2点目として設定し、これら2点に基づき得られた検量線を初期設定することが好ましい。【0017】 上記構成によれば、水分値測定に必要な検量線は、最小2点のデータを得て作成することができ、うち1点は水分計の出力電気特性値を利用したものであり、骨材の水分値を測定するだけで正確な検量線を初期設定できるようになる。【0018】【発明の実施の形態】本発明は、次の2点を特徴としている。1.水分計センサーの特性を利用し、初期設定を簡単に行う。2.スランプコントローラの理論式モデルが出力する砂の表面水推定データから、真の表面水推定モデルを構築し、キャリブレーションデータを装置が自動更新する。【0019】 図1は、本発明のキャリブレーション機能付水分計装置を示す構成図である。装置は、水分計センサー1と、I/Fボックス2と、スランプコントロール装置3と、プラントの操作盤4で大略構成されている。この水分計自動キャリブレーション装置は、上記生コンクリートを製造する混練システム等に適用することができる。この際、図示のように水分計センサー1は、各種骨材別の貯蔵ビンの個数に対応して複数個設けることができる。【0020】水分計センサー1としては、例えば、マイクロ波高精度水分計が用いられる。この水分計は、マイクロ波を骨材に照射し、エネルギ吸収量に基づき水分値(%)を測定出力する。この水分計センサー1は、セラミックスプレート1aを取り付けた頑丈なステンレススチールの箱内に収容されている。そして、この水分計センサー1は、骨材貯蔵ビンと下部の計量ホッパとの間の自然落下路に設けられ、セラミックスプレート1a部分がこの自然落下路に面して配置され、該プレート1aを通じてマイクロ波のエネルギが放出され、その上を骨材が流れて水分値を測定するようになっている。【0021】I/Fボックス2は、水分計センサー1を作動させる所定電圧を供給するとともに、水分計センサー1の測定出力(電圧値)を、データ変換してスランプコントロール装置3に出力する。【0022】 スランプコントロール装置3は、I/Fボックス2を介して入力される電圧値に基づき、骨材の水分値(表面水率)を管理処理する。このスランプコントロール装置3は、水分率測定機能、スランプ推定機能、スランプコントロール機能を有して骨材の水分値を管理処理する。詳細は後述するが、スランプコントローラの理論式モデルを備え、理論式モデルが出力する砂の表面水推定データから、真の表面水推定モデルを構築する。そして、この理論式モデルが上記初期設定、及び用いる骨材の水分値を高精度化させるための自動更新(キャリブレーション)を実行する。【0023】このスランプコントロール装置3は、汎用のコンピュータ装置が用いられ、CPU,ROM,RAM等からなり上記管理処理機能を実現するソフトウェアプログラムを実行処理する処理手段3aと、キーボード等操作用の操作手段3bと、操作内容及び管理処理内容(キャリブレーション設定画面)等を表示するCRT等の表示手段3cと、該管理処理内容等を印字出力するプリンタ等の印字手段3dで大略構成されている。【0024】次に、上記構成における初期設定について説明する。装置導入時等に必要な初期設定においては、水分計センサー1から出力される測定出力を少なくとも2点得て骨材の表面水率を得るための検量線を生成する。図2は、初期設定を示す図であり、うち、図2(a)には初期設定時の検量線を示す。【0025】1点目について…水分計センサー1は、骨材の非測定状態(砂空状態)において、I/Fボックス2から、水分計センサー1を作動させる所定電圧(±15V)を供給したとき、所定の電圧(11〜12V)を出力する。I/Fボックス2は、図2(b)のデータ表に示すように、この入力電圧を例えば0〜5V(0〜20mA)にデータ変換して出力する。この際、表面水率が0%に近い値のとき水分計センサー1は、I/Fボックス2から5Vのデータを出力する。本発明では、このデータ(5V)を骨材の絶乾状態(表面水率0%)のデータとし、検量線生成のための1点として登録する。【0026】上記の絶乾状態とは、骨材を100〜110℃の乾燥機で定重量となるまで加熱乾燥した状態をいい、骨材粒中の空隙に含まれている水は全て取去られた状態をいう。即ち、水分値は上記0%である。なお、骨材の含水状態は、気乾状態、表乾状態、湿潤状態の順に高くなる。【0027】2点目について…検量線の生成は、少なくとも2点必要であり、2点目は、採取した骨材の表面水率を試験で求めて登録する。例えば図2(b)に示すように採取した骨材の表面水率が4.5%であるとき、この表面水率に対応する水分計センサー1(I/Fボックス2)の出力電圧値2.2Vを登録する。このように、少なくとも1点以上の表面水率試験を行って検量線を生成する。【0028】図3は、上記水分計の初期設定処理を示すフローチャートである。この初期設定について説明する。始めに、水分値0%(細骨材の絶対乾燥状態)における水分計センサー出力電気特性(電圧、電気抵抗値、電流等)をキャリブレーションデータの1点として設定する(S1)。次に、計量時の細骨材を試料として採取する(S2)。【0029】次に、JISの規格に基づいた細骨材の表面水率試験を行う(S3)。この試験法は、質量方法と容積方法の2通りがある。そして、試料質量A/表乾比重Bにより試料の容積C(ml)が求められる。容器+水の質量=D(g)、容器+水+試料容積=E(g)から、A+D−E=置き換えられた水量F(g)が得られる。これにより、(F−C)/(A−F)×100=表面水率G(%)が得られる。なお、平均値H(%)に対する偏差I(%)は、0.3%以下である必要がある。【0030】次に、上記で得られた表面水率試験結果と、その計量時点の水分計センサー1の出力電気特性値(例えば上記電圧値をキャリブレーションデータとしてスランプコントロール装置3に設定する(S4)。なお、設定する水分計センサー1出力電気特性値としては、他に、電気抵抗値や電流値等であってもよい。【0031】そして、試料のサンプリング回数がN回(1回以上の任意の回数)に達するまで行われ、N回に達すると(S5−はい)、初期設定を終了する。なお、表面水率試験結果で得られたキャリブレーションデータは、サンプリングデータの平均値を求め設定してもよい。【0032】図4は、上記初期設定時の設定画面を示す図である。図示のように、表示手段3c上には、初期設定画面が表示され、この画面中左側には上記2点それぞれの数値設定項目が表示され、設定された数値に対応して右側には検量線が表示されるようになっている。また、画面上部に表示されるように、各骨材(砂)別の複数の検量線を設定登録できるようになっている。【0033】次に、自動キャリブレーションについて説明する。上記スランプコントロール装置3が有する装置のスランプの管理機能は、本願と同一出願人による特開平8−335101号公報(名称;知的工程管理装置及び知的工程管理方法)に記載されている。【0034】この装置の概略を説明する。スランプ値を管理指標とする生コン・スランプの管理は容易ではなく、スランプ値は、水の配合割合、骨材の粒度分布及び粒形、ミキシング時間、温度条件等によって変動する。生コンを製造するための諸材料の計量は上記プラントで自動化され、所定の精度を有するが、水分総量の決定に大きな影響を持つ骨材、特に細骨材(砂)に含有される水分量の変動は抑制できず、スランプ管理の問題点であった。【0035】生コンの配合割合を決定するための配合計算においては、各骨材ごとの表面水率(表面水割合)を想定してそれに骨材の使用量を乗じて骨材の持ち込み水量を算定し、必要な全水量から差し引くことによって水の計量値を求める。この表面水率の設定は、JIS規格(JIS A1101) に基づいて材料使用時のサンプリングの際の正規の検査に加えて使用時点における配合補正を目的とした動態把握による調整を可能としてきめ細かく行う必要がある。特に、比表面積の大きさから単位重量あたりの持ち込み水量が大きく、スランプ管理に決定的な要因を持つ細骨材の表面水の動態把握が容易でないことが他の変動要因、すなわち骨材性状(粒度分布、粒形など)や温度その他の微妙な変化と絡んで正確なスランプ管理を行わねばならない。骨材の表面水率の測定は、JIS規定(JIS A1125) に則って行なわれるが、通常1日2回という定点観測に加えて、対象骨材から試料サンプリングに伴うノイズを完全排除することが困難であり、材料受入れ検査的な段階に留まっているのが現状である。【0036】これに対処すべく、上記特開平8−335101号公報に開示された装置は、プラントの運転状況、操作履歴、動態傾向等に基づき、プラント操作のガイダンス値を出力する構成となっている。装置は、表面水率設定の平均ガイダンス値を理論的に判断する理論式モデル、その他、表面水率の平均ガイダンス値を学習式に判断するニューラルネットワークモデル、表面水率設定のガイダンス値を推論式に判断するファジィ制御モデル、理論式モデルとニューロモデルの判断結果を平均化して統合モジュールの統合結果をファジィ制御モデルの判断結果で検証してガイダンス値を補正する統合モジュール等を有して構成されている。【0037】そして、本発明においては、上記装置の理論式モデルを備える。理論式モデルの機能について…スランプ推定値から目標スランプ値を差し引くことによって得られるスランプ差の発生原因は、混練材料計量時の配合補正の基礎となる細骨材の表面水率見積りの真値からの乖離によるものと仮定する。そこで、前記プラントによる水分率の測定処理時(現バッチ)において、設定されている細骨材の表面水率を基準に真の細骨材表面水率を推定する。理論式モデルでは、入力されるスランプデータより、スランプ推定値と目標スランプ値間のスランプ差は最新の測定結果から求めた水の過計量分とによるものと見做して計算上の表面水率を算出し、これから次計算で操作すべき表面水率を算出して、現在設定されている設定値との間で変更量を求めて安定化させる演算が実行される。その変更量はガイダンス値と呼称されている。【0038】以下、本発明の第2の特徴点である自動更新(キャリブレーション)の構成について説明する。本発明の装置による骨材の水分値の測定及びスランプ値管理処理は、上述したような初期設定された検量線を用いてなされる。しかしながら、装置の経時的な使用により、次第にこの検量線を用いることに無理が生じてくる。即ち、初期設定された骨材から他の骨材に変更されたり、骨材の密度変化時などには登録されている検量線では高精度な水分率測定を行えないこととなる。このため、検量線の更新が必要となる。本発明装置における更新(キャリブレーション)機能は、既存の装置の如く操作者の判断に基づく手動更新に加え、装置が自動実行する自動更新のいずれもを許容する。【0039】自動更新の処理手順は、(1)骨材の表面水率の推定、(2)推定表面水率と測定水分率の相関の把握、(3)検量線のキャリブレーション、の3ステップを順次実行する。【0040】(1)骨材の表面水率の推定について…装置の理論式モデルは、スランプの違いを水の量に置き換えて計算している。図5は、これらスランプと単位水量の関連を示す曲線図である。そして、理論式モデルでスランプ推定機能を用い、プラントの基本配合から得られたデータを基に計算した砂の表面水率を推定する。そして、目標とする目標スランプと、推定された推定スランプとのスランプ差に対応した単位水量の差(水分の変更量)を得る。【0041】(2)この際、推定表面水率と測定水分率との相関をとる。図6に示すように、推定表面水率に対し、測定水分率は、低めあるいは高めにズレが生じるため、この相関について把握する(相関係数を得る)。【0042】(3)そして、キャリブレーションを行い検量線を更新する。推定表面水率と測定水分率の相関係数を基準とし、推定表面水率に対し測定水分率の高い(あるいは低い)データが連続的に多数発生した際、キャリブレーションを更新する。図7は、キャリブレーションの更新を示す図であり、初期設定された検量線に対し、推定表面水率に対し測定水分率の高い(あるいは低い)データが連続的に多数発生した際に、この検量線を更新する。【0043】図8は、上記キャリブレーションの手順を示すフローチャートである。キヤリブレーションは、装置を使用し続けた所定期間経過後や、骨材の変更時などに見直して実行するか否かを判断する。始めに、推定表面水率と水分計センサー1から得られる測定水分率の相関を把握する(T1)。相関がとれている状態においては、キャリブレーションの必要はない。測定水分率の値の信頼性が低下したときにキャリブレーションを実行する。この実行は、操作者の判断による手動更新(T2−手動)と、装置の自動更新(T2−自動)が選択できるようになっている。【0044】以下、自動更新の各手順を説明する。始めに、推定表面水率に対し、測定表面水率が設定範囲(±X.X%)内であるか、範囲外であるかを比較判断する(T3)。この結果、範囲内であれば(T3−範囲内)、正常であるとし自動更新は行わない。【0045】一方、推定表面水率に対し、測定表面水率が設定範囲(±X.X%)を越えた大きな値である場合には(T3−範囲外高い)、異常であると仮に判断する。そして、この異常発生のカウントをインクリメントする(T4)。このカウントが予め設定した所定回数Nに達する前まではT3に移行して新たな測定値に基づく比較処理を再実行するが、前記仮の異常発生が所定回数Nに達したとき(T5−イコール)、キャリブレーションを実行する(T6)。【0046】また、推定表面水率に対し、測定表面水率が設定範囲(±X.X%)以下の小さな値である場合においても(T3−範囲外低い)、異常であると仮に判断する。そして、この異常発生のカウントをインクリメントする(T7)。このカウントが予め設定した所定回数Mに達する前まではT3に移行して新たな測定値に基づく比較処理を再実行するが、前記仮の異常発生が所定回数Mに達したとき(T8−イコール)、キャリブレーションを実行する(T6)。【0047】キャリブレーション処理は、理論式モデルが出力する真の表面水率を用い、この真の表面水率に対応する水分計センサー1の出力電気特性値(例えば前記電圧値)を得て前記検量線を更新する。検量線の更新にあたっては、前記初期設定時の2点目のデータを更新し、例えば、図7に示す如く、初期設定された検量線に対し、推定表面水率に対し測定水分率の高い(あるいは低い)データが連続的に発生したことに基づき、理論式モデルから得られた表面水率に基づき、この2点目の表面水率に相当する箇所の検量線を上下にシフトさせる。ここで、初期設定された1点目(水分値0%,5V時)の値は変更しない。このシフトによって、検量線は初期設定された検量線に対し1点目は同一であるが、2点目が上下に相違するため、傾きが可変されて更新記憶されることになる。【0048】このような自動更新により、装置を長期間に渡り使用し続けても、検量線自体を使用する骨材に適応して更新することができ、骨材の水分値の測定を常時高精度に維持し続けることができるようになる。【0049】上記実施形態で説明した初期設定、及び自動更新においては、使用する骨材に関して、検量線上に載る有効なデータを多数収集することができれば、より検量線の精度を向上することができることとなり、前記2点のみで検量線を生成するに比してより高精度な水分測定を可能にする。したがって、装置は、上記2点目に限らず、3点目以降のデータ(表面水率が異なるデータ)が得られれば、これを入力可能とし検量線を作成、更新することができるよう構成されている。【0050】ところで、上記実施形態では、水分計センサー1として、マイクロ波を用いた構成を例に説明したがこれに限らない。水分計センサー1としては、他に電磁波を照射し誘電率を検出して含水率に換算し測定する誘電式や、微弱放射線を照射して水素濃度を測定するラジオアイソトープ式や、近赤外線領域の吸収波長と比較波長の光を投光し、その反射してくるエネルギを測定する赤外線式のセンサであっても、同様に上記キャリブレーションにより水分率を高精度に測定することができるようになる。【0051】【発明の効果】本発明によれば、水分計運用における、精度維持のための人的作業負担を大幅に軽減化できる効果を有する。また、キャリブレーションデータの更新は、プラントの日常運転データから最新の骨材の水分特性を基に自動実行できるため、水分計精度を恒常的に維持することが可能となる。したがって、生コンクリート製造において細骨材の表面水管理を高い精度で行うことができるようになり、所望のスランプ、強度、流動性、耐久性、作業性に優れたコンクリートを製造することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明のキャリブレーション機能付水分計装置の実施形態を示す構成図である。【図2】 初期設定手順を示す図である。【図3】 初期設定処理の手順を示すフローチャートである。【図4】 初期設定画面を示す図である。【図5】 キャリブレーション時のスランプと単位水量の関連を示す図である。【図6】 キャリブレーション時の推定表面水率と測定水分率との相関を示す図である。【図7】 キャリブレーション時の検量線の更新を示す図である。【図8】 キャリブレーションの手順を示すフローチャートである。【図9】 理想の検量線、及び実際の検量線を示す図である。【符号の説明】 1 水分計センサー 2 I/Fボックス 3 スランプコントロール装置 4 操作盤 骨材に含まれる水分率を測定し、該測定した水分率に対応した出力電気特性値を出力する水分計センサーと、 前記水分計センサーの出力電気特性値とこれに対応する水分率との関係を示す検量線が予め設定登録された記憶部と、 前記水分計センサーから出力される出力電気特性値から、前記記憶部に登録された検量線を参照して骨材の測定水分率を求める水分率測定値算出手段と、 前記骨材の予め設定した水分率を用いて配合され製造された生コンクリートのスランプ値を推定した値と該スランプ値の目標値との差から、前記推定した値に対応した単位水量と前記目標値に対応した単位水量との差を求め、該求めた単位水量の差から該骨材の真の水分率を算出する理論式モデル手段と、 前記理論式モデル手段から得られる真の水分率と、前記水分率測定値算出手段から得られた測定水分率との相関状態を監視し、該相関状態に所定以上の相違がある際に、前記設定されている検量線上における該当水分率部分を対応する値にシフトさせる更新手段と、を備えたことを特徴とするキャリブレーション機能付水分計装置。 骨材の非測定時に前記水分計センサーから出力される出力電気特性値に基づき得られた測定水分率を前記検量線の1点目として設定し、骨材を所定の規定に従い実際に水分値試験して得られた測定水分率を前記検量線の2点目として設定し、これら2点に基づき得られた検量線を前記記憶部に初期設定する初期設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のキャリブレーション機能付水分計装置。 水分計センサーが出力する出力電気特性値を予め設定登録された検量線に基づき水分率に変換出力する水分計装置におけるキャリブレーション方法において、 骨材の予め設定した水分率を用いて配合され生成された生コンクリートのスランプ値を推定した値と該スランプ値の目標値との差から、前記推定した値に対応した単位水量と前記目標値に対応した単位水量との差を求め、該求めた単位水量の差から該骨材の真の水分率を算出し、 該算出された真の水分率と、前記変換出力された測定水分率との相関状態を監視し、該相関状態に所定以上の相違がある際に、前記設定されている検量線上における該当水分率部分を対応する値にシフトさせることを特徴とする水分計装置におけるキャリブレーション方法。 骨材の非測定時に前記水分計センサーから出力される出力電気特性値に基づき得られた測定水分率を前記検量線の1点目として設定し、骨材を所定の規定に従い実際に水分値試験して得られた測定水分率を前記検量線の2点目として設定し、これら2点に基づき得られた検量線を初期設定することを特徴とする請求項3に記載の水分計装置のキャリブレーション方法。