タイトル: | 特許公報(B2)_ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルと相応するオリゴエチレングリコールのモノビニルエーテルとを分離する方法 |
出願番号: | 1998278962 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 41/42 |
ルードルフ エーリッヒ ローレンツ JP 4149580 特許公報(B2) 20080704 1998278962 19980930 ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルと相応するオリゴエチレングリコールのモノビニルエーテルとを分離する方法 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 508020155 BASF SE 矢野 敏雄 100061815 山崎 利臣 100094798 久野 琢也 100099483 ラインハルト・アインゼル 230100044 ルードルフ エーリッヒ ローレンツ DE 19743144.5 19970930 20080910 C07C 41/42 20060101AFI20080821BHJP JPC07C41/42 C07C 41/42 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平10−45653(JP,A) 仏国特許発明第724955(FR,B1) 2 1999180922 19990706 5 20050519 吉住 和之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルを、相応するオリゴエチレングリコールのモノビニルエーテルから蒸留により分離する方法に関する。【0002】【従来の技術】ジオールのジビニルエーテルは、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(モノマー)のラジカル開始重合により製造されたポリマーの内部強度を高めるために使用される慣用の架橋剤である。【0003】ビニルエーテルを製造するための最も重要は大規模工業的手段は、触媒作用するアルカリ金属アルコラートの存在で、均質な液相中でのアルコールのアセチレンへの付加である。ビニル化温度は一般に150〜180℃である。さらに、この反応は一般に大気圧を超える圧力で行われる。【0004】ジビニルエーテルの製造の場合に、アルコールとしてジオールが使用される。ビニル化は次いで2つの連続する工程で行われる。最初に主にジオールのモノビニルエーテルだけが生成される。次いでこのモノビニルエーテルが反応してジビニルエーテルになる。【0005】ジオールとしてジエチレングリコール又はトリエチレングリコールを使用する場合、相応するジビニルエーテルへの反応は一般に定量的なジビニルエーテル形成が行われる前に中断される。この原因は反応に伴う粘度上昇であり、この粘度上昇はアセチレンの十分な圧入を次第に困難にする。【0006】従って、通常の場合、ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルの製造の際に、過剰量のジビニルエーテルの他に、反応混合物量に対して5重量%までの相応するモノビニルエーテルを含有する反応混合物が生じる。架橋剤としてジビニルエーテルを意図的に使用する場合、モノビニルエーテル含有量は障害となるため、ジビニルエーテルからモノビニルエーテルを分離するのが好ましい。この分離の課題を解決するために、簡単な方法で、減圧で反応混合物を精留による後処理が考慮される。【0007】この精留による後処理はジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルの高い沸点に基づき不可欠である。注目すべきはジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルの沸点はそれぞれ相応するものエーテルの沸点を下回り、恐らくこれはモノビニルエーテルがなお水素架橋を形成する能力があることに起因しているとみられる。【0008】モノビニルエーテルとジビニルエーテルとの沸点の差異は、前記の2つの場合においてあまり顕著でないため(ジエチレングリコールモノビニルエーテルの沸点は6mbarで90℃;ジエチレングリコールジビニルエーテルの沸点は13mbarで89℃)、この精留による分離の課題の克服のために効率のよい塔を必要とすることから出発しなければならない。意外にも、塔頂で留出物として生じるジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテル中での相応するジオールのモノビニルエーテル含有量は、還流比及び理論段数とは無関係に、留出物に対してほぼ1重量%以下に低下させることはできなかった。【0009】このことは、ジビニルエーテル及びモノビニルエーテルが明らかに共沸混合物を形成していることに起因しているとみられる。【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルと、相応するオリゴエチレングリコールの少量のモノビニルエーテルとを蒸留により分離する方法を提供することであった。【0011】【課題を解決するための手段】前記の課題は蒸留により分離すべき混合物に、蒸留による分離の前に金属水酸化物を添加することにより解決される。アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を添加するのが有利である。特に有利なのは水酸化カリウム及び/又は水酸化ナトリウムの添加であるが、もちろん水酸化カルシウムもしようできる。【0012】トリエチレングリコールジビニルエーテル又はジエチレングリコールジビニルエーテルの製造は、相応するオリゴエチレングリコールを、相応するジオールのアルカリ金属アルコラートの存在で(一般にオリゴエチレングリコールに対して3重量%まで)アセチレンを用いて(有利に150〜180℃で、20barまでの大気圧を上回る圧力で)、残留するモノビニルエーテルの割合が反応混合物に対して≧0.5重量%及び≦5重量%になるまでビニル化することにより行うことができる。その後この反応混合物に直接金属水酸化物を添加して、さらに反応混合物からジビニルエーテルと、なお含まれるモノビニルエーテルとを蒸留及び/又は精留により分離するか、又は反応混合物からまず主にジビニルエーテル及びモノビニルエーテルからなる揮発性成分を蒸留により分離し、得られた留出物に金属水酸化物を添加し、引き続きジビニルエーテルとモノビニルエーテルとを蒸留及び/又は精留により分離することができる。【0013】金属水酸化物の添加量は、一般に本発明により、含まれるモノビニルエーテルの約1.2倍のモル量を中和することができるように調節される。有利に、金属水酸化物は本発明により水溶液として添加される。【0014】本発明による方法は必ずしも精留として実施する必要はなく、簡単な蒸留(1理論段だけ)としても、例えばSambay薄層蒸発器中で実施することもできることは重要である。【0015】本発明により、簡単にトリエチレングリコール又はジエチレングリコールのジビニルエーテルを得ることができ、相応するオリゴエチレングリコールのモノビニルエーテルの含有量が≦0.1重量%である。【0016】【実施例】A) トリエチレングリコールジビニルエーテル 197gトリエチレングリコールモノビニルエーテル 2.1g及び製造条件による副生成物 1gからなる混合物200gに、50重量%の水酸化カリウム水溶液1.5gを添加した。引き続き、この混合物を6mbarの運転圧力で、留出物がもはや生じなくなるまで簡単な蒸留にかけた(沸点=105℃)。【0017】得られた留出物は次の組成を示した:トリエチレングリコールジビニルエーテル 99.66重量%トリエチレングリコールモノビニルエーテル 0.1重量%その他 0.24重量%蒸留残留物は約6gであった。これはトリエチレングリコールモノビニルエーテルをその24重量%まで含有する高粘性溶液からなる。【0018】B) A)の混合物と同様の組成を有する混合物を、次の種類の(21理論段)の充填塔中で精留した。塔の直径は1.38mであった。充填体はFa. Raschig社のPallringen 3S(材料:特殊鋼)からなる。充填体の充填高さは14.5mであった(5つの堆積床に分けられる)。塔頂の圧力は6mbarに調節した。塔底温度は140〜150℃であった。精留により分離すべき混合物は...理論段の高さで塔に供給される。【0019】塔頂で得られた凝集物は次の組成を示した:トリエチレングリコールジビニルエーテル 99重量%及びトリエチレングリコールモノビニルエーテル 1重量%この凝集物を相応する塔中で相応する条件で引き続き精留してもさらに分離できなかった。 ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルを、前記の2つのジビニルエーテル少なくとも95重量%まで及び相応するオリゴエチレングリコールのモノビニルエーテル5重量%までからなる混合物から蒸留及び/又は精留により分離する方法において、蒸留及び/又は精留による分離の前に及び/又はその分離の間に混合物に金属水酸化物を添加することを特徴とする混合物からジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルを蒸留及び/又は精留により分離する方法。 ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールを液相中で及び相応するオリゴエチレングリコールのアルカリ金属アルコラートの存在で、モノビニルエーテルの残留する割合が、反応混合物に対して0.5重量%以上〜5重量%以下になるまでアセチレンを用いてビニル化し、引き続き反応混合物からジビニルエーテルを蒸留により及び/又は精留により分離することによりジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルを製造する方法において、0.5重量%以上〜5重量%以下のモノビニルエーテルを含有する反応混合物に、蒸留及び/又は精留による分離の前に及び/又はその分離の間に金属水酸化物を添加することを特徴とするジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのジビニルエーテルの製造方法。