| タイトル: | 特許公報(B2)_N置換βアラニン又はその塩の製造方法及びN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物 |
| 出願番号: | 1998262952 |
| 年次: | 2008 |
| IPC分類: | C07C 229/12,B01J 23/755,C07C 227/26,C11D 1/10,C07B 61/00 |
涌井 二男 佐藤 章弘 岡野 知道 西田 誠男 JP 4124524 特許公報(B2) 20080516 1998262952 19980917 N置換βアラニン又はその塩の製造方法及びN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物 ライオン株式会社 000006769 ライオン・アクゾ株式会社 000115407 池内 寛幸 100095555 佐藤 公博 100076576 涌井 二男 佐藤 章弘 岡野 知道 西田 誠男 20080723 C07C 229/12 20060101AFI20080703BHJP B01J 23/755 20060101ALI20080703BHJP C07C 227/26 20060101ALI20080703BHJP C11D 1/10 20060101ALI20080703BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080703BHJP JPC07C229/12B01J23/74 321XC07C227/26C11D1/10C07B61/00 300 C07C 229/12 B01J 23/755 C07C 227/26 C11D 1/10 C07B 61/00 特開平06−116596(JP,A) 特開昭59−025355(JP,A) 6 2000086599 20000328 11 20041012 山田 泰之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、N置換βアラニン又はその塩の製造方法及びこの製造方法によって得られるN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物に関する。【0002】【従来の技術】最近マイルドな界面活性剤としてアミノ系界面活性剤が用いられるようになってきた。下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩はアミノ酸系の両性活性剤に分類され、米国特許第2787633号、特開平6−116596号公報や特開平9−3485号公報に特に記載がある。【0003】R1NHCH2CH2COOM (I)(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す)【0004】米国特許第2787633号に記載されているように、N置換βアラニンは、脂肪族第一アミンにアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル等をマイケル付加させ、必要により得られた付加生成物を加水分解することにより製造できることが知られている。【0005】また、特開平6−116596号公報にはN置換βアラニン系活性剤とヒドロキシカルボン酸とを組み合わせた洗浄剤組成物、特開平9−3485号公報にはN置換βアラニン系活性剤とエーテルカルボン酸系活性剤とを組み合わせた洗浄剤組成物が記載されている。【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の方法で製造したN置換βアラニン系活性剤は洗浄剤や界面活性剤組成物として使用する場合、臭気が悪く、しかも経時的に着色を与えるという問題を有している。特に、台所用洗浄剤、毛髪用洗浄剤、皮膚用洗浄剤として使用する場合には異臭及び着色が問題となり、商品としての価値を著しく損なう。【0007】本発明は、臭気及び色相の良好なN置換βアラニンの製造方法を提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、脂肪族第一アミンを水素と反応処理して用いる方法が、本発明の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。【0009】すなわち、本発明は、下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、脂肪族第一アミンとアクリル酸誘導体との反応において、脂肪族第一アミンとして水素反応処理した脂肪族第一アミンを用いることを特徴とする方法に関する。【0010】R1NHCH2CH2COOM (I)(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す)【0011】尚、本発明の方法において、水素反応処理を水素化触媒存在下に行うこと、又は水素反応処理を水素化ホウ素ナトリウムを用いて行うことが好ましい。【0012】また、本発明は、上記の方法により製造したN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物に関する。【0013】また、本発明は、上記の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物に関する。。【0014】さらに、本発明は、上記の界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを含有する洗浄剤組成物に関する。【0015】【発明の実施の形態】本発明の製造方法を式で具体的に示せば以下のようになる。【0016】【化1】【0017】(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示し、XはCOOMで表されるカルボン酸(塩)基、COOR2 で表されるエステル基又はシアノ基を示し、R2 は炭素数1〜8、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す)【0018】本発明の製造方法で使用する脂肪族第一アミンは下記の一般式(II)で表される。【0019】R1NH2 (II)(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示す)【0020】上記の一般式(II)中のR1 において、炭化水素基としては、直鎖でも分岐鎖でもよく、飽和でも不飽和でもよく、ヒドロキシル基のような置換基を任意に含んでよい。炭素数は6〜24であり、好ましくは10〜22である。これらの中でも、直鎖又は分岐鎖の炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、直鎖又は分岐鎖の炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基が特に好ましい。具体的には、R1 としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、椰子脂肪酸、牛脂脂肪酸に由来する炭化水素基等が挙げられる。この脂肪族第一アミンは対応する脂肪酸又はアルコールを原料にして製造される。【0021】本発明の製造方法においては、最初に、上記脂肪族第一アミンを水素反応処理する。脂肪族第一アミンの水素反応処理は水素化触媒存在下に水素と反応させるか、あるいは水素化化合物を用いる方法によって行うことができる。【0022】水素化触媒としては公知の水素化反応触媒であり、例えば、ニッケル系触媒、銅系触媒、貴金属系触媒等が挙げられる。特に、操作性、経済性等の面から担体に担持されたニッケル系触媒、例えば、ニッケル−珪藻土触媒、ニッケル−アルミナ触媒、ニッケル−シリカアルミナ触媒等が好ましい。触媒使用量は脂肪族第一アミン100重量部に対して0.05〜3.0重量部が適当であり、好ましくは0.1〜1.0重量部である。また、触媒は対応する脂肪酸又はアルコールを原料にして1級アミン化反応を行った後、使用した触媒をそのまま使用して、連続して水素反応処理を行うこともできる。反応温度は100〜180℃、水素圧力は1〜20kg/cm2(ゲージ圧) が好ましい。反応時間は0.1〜4時間が好ましい。【0023】また、水素化化合物としては水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等が挙げられ、特に水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。使用量は脂肪族第一アミン100重量部に対して0.01〜5.0重量部が適当であり、好ましくは0.1〜3.0重量部である。反応温度は50〜150℃が好ましい。反応時間は0.1〜4時間が好ましい。【0024】次に、上記水素反応処理を行った脂肪族第一アミンをアクリル酸誘導体と反応させ、上記一般式(III) で表される付加反応生成物とする。アクリル酸誘導体は上記の式CH2=CHX で表され、アクリル酸もしくはその塩、アクリル酸エステル又はアクリロニトリルである。【0025】この付加反応は通常20〜100℃、望ましくは40〜90℃の温度で、アクリル酸誘導体を脂肪族第一アミンに対してモル比1〜2で反応させる。温度が20℃より低いと反応が長時間かかり、100℃より高いとN置換βアラニンの臭い及び色相が悪くなる。アクリル酸誘導体の脂肪族第一アミンに対するモル比は、多くなると未反応のアクリル酸誘導体が多く残り、しかも2モル付加体が多く副生するので好ましくない。また、モル比が少ないと未反応の脂肪族第一アミンが多くなり好ましくない。反応時間はアクリル酸誘導体を0.1〜2時間かけて滴下し、1〜12時間熟成することが好ましい。【0026】さらに、反応を促進させるためにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール又は水を添加してもよい。この低級アルコール又は水は付加反応物から必要により減圧下に留去してもよく、また残してもよい。低級アルコール又は水の使用量は付加生成物100重量部に対して1〜100重量部が好ましい。【0027】アクリル酸誘導体としてアクリル酸エステル又はアクリロニトリルを使用した場合は、さらに、生成したN置換アミノプロピオン酸エステル又はN置換アミノプロピオニトリルをアルカリや酸で加水分解することによって、一般式(I)で表されるN置換βアラニンが得られる。【0028】加水分解温度は通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃である。加水分解の時間としては、アルカリや酸を0.5〜2時間かけて滴下し、1〜6時間熟成することが好ましい。加水分解後、必要に応じて生成物のpHを酸で6〜12に調整してもよい。使用する酸は一般的に使用される無機酸又は有機酸であり、塩酸、硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。温度は20〜90℃で行うのが好ましい。加水分解後、pH調整する場合は、使用する無機酸又は有機酸に対応して無機塩又は有機塩が生成するが、必要により電気透析などの脱塩方法によって除去してもよい。【0029】このようにして得られる一般式(I)で表されるN置換βアラニンは、異臭の原因となる成分を含有せず、しかも保存しても着色がなく、当初の目的を達成した化合物であるため、種々の用途に供される界面活性剤として極めて好適である。【0030】なかでも、身体用洗浄剤、台所用洗浄剤、硬表面用洗浄剤等、種々の洗浄剤としての利用は、N置換βアラニンの特性である高洗浄力、高マイルド性等の長所を積極的に活用できるので非常に好ましい。【0031】洗浄剤として使用する場合、本発明の製造方法によって得られるN置換βアラニンは、単独であっても、他の界面活性剤と混合してもどちらでも好適に使用できる。混合する場合は、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアラニネートやアルキルタウレート等のアミノ酸誘導体等に代表されるアニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグルコシド、短鎖アルキルグルコシド長鎖脂肪酸エステル、アルキルメチルグルカミド、ショ糖脂肪酸エステル等に代表されるノニオン性界面活性剤や、アルキルアミンオキシド、アルキルカルボベタイン、アルキルアミドアルキルカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルイミダゾリン又はその誘導体等に代表される両性及び双性界面活性剤等が好適である。これらの界面活性剤の中でも、特に高洗浄力、泡性能の点でアニオン性界面活性剤が好ましい。これら界面活性剤の配合割合はN置換βアラニン100重量部に対して10〜1000重量部が好ましい。【0032】また、洗浄剤として使用するに当たっては、一般の洗浄剤に通常用いられる界面活性剤以外の成分、即ち、低級アルコールやポリアルキレングリコール類等のアルコール系ハイドロトロープ剤や、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸等のハイドロトロープ剤や抗菌剤として供される低分子芳香族化合物、クエン酸、リンゴ酸、EDTA等のキレート剤、色素、香料、粘度調整剤、無機化合物等の機能性物質等を好適に混合することができる。【0033】【実施例】次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。尚、以下の例における「%」は「重量%」である。【0034】実施例11リットルの誘導回転式オートクレーブに、ラウリルアミン300gとニッケル−珪藻土触媒1.5gを仕込んだ後、水素をアミン液中に供給し、反応圧力を10kg/cm2(ゲージ圧)まで加え、150℃の反応温度で1時間攪拌した。その後、60℃まで冷却し、触媒を濾過により分離した。【0035】次に、2リットル容−四つ口フラスコに、上記水素反応処理したラウリルアミン185g(1.0モル)とエチルアルコール20gを仕込んだ後、60℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸エチル120g(1.2モル)を滴下漏斗より1時間かけて滴下した後、同温度で4時間熟成を行った。次に、未反応のアクリル酸エチルを60℃で20mmHgの減圧下除去して、N−ラウリルアミノプロピオン酸エチルエステル89.5%、N−ラウリルイミノジプロピオン酸エチルエステル10.0%、未反応ラウリルアミン0.5%の付加反応生成物を得た。【0036】この付加反応生成物に水600gを加えて、攪拌しながら、70℃へ昇温した。40%NaOH水溶液120gを同温度で1時間かけて滴下した後、3時間熟成を行った。反応終了後、塩酸によりpH10に調整し、Nラウリルβアラニンを得た。【0037】実施例2ニッケル−珪藻土触媒の添加量を0.03g、水素反応処理の反応時間を2時間とする以外は実施例1と同様の方法で、Nラウリルβアラニンを得た。【0038】実施例31リットル容−四つ口フラスコに、水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒を用いる以外は実施例1と同様の方法で水素反応処理したラウリルアミン185g(1.0モル)とエチルアルコール20gを仕込んだ後、60℃で加熱攪拌しながら、アクリロニトリル64g(1.2モル)を滴下漏斗より1時間かけて滴下した後、同温度で4時間熟成を行った。次に、未反応のアクリル酸エチルを60℃で20mmHgの減圧下除去して、N−ラウリルアミノプロピオニトリル98.9%、N−ラウリルイミノジプロピオニトリル0.7%、未反応ラウリルアミン0.4%の付加反応生成物を得た。【0039】この付加反応生成物にエタノール300gと水100gを加えて、攪拌しながら、70℃へ昇温した。40%NaOH水溶液120gを同温度で1時間かけて滴下した後、反応液に窒素を流通させ、副生するアンモニアを追い出しながら5時間熟成を行った。反応終了後、塩酸によりpH10に調整し、Nラウリルβアラニンを得た。【0040】実施例41リットル容−四つ口フラスコに、実施例1の方法で水素反応処理したラウリルアミン185g(1.0モル)とエチルアルコール100gと水500gとを仕込んだ後、60℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸86g(1.2モル)を滴下漏斗より1時間かけて滴下した後、同温度で7時間熟成を行い、Nラウリルβアラニンを得た。【0041】実施例51リットルの誘導回転式オートクレーブに、ラウリルアミン300gと水素化ホウ素ナトリウム3.0gを仕込んだ後、120℃の反応温度で1時間攪拌した。その後、窒素をオートクレーブ内に流通させ、60℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウムを濾過により分離した。【0042】上記処理したラウリルアミンを原料として用いる以外は実施例1と同様の方法で付加反応、加水分解反応及びpH調整を行い、Nラウリルβアラニンを得た。【0043】実施例6水素化ホウ素ナトリウムを0.015g、水素反応処理の反応時間を2時間とする以外は実施例5と同様の方法で、Nラウリルβアラニンを得た。【0044】実施例7ラウリルアミンの代わりにヤシ脂肪酸由来のアミン(ヤシアミンと略する)を用いる以外は、実施例1の方法で水素反応処理、付加反応、加水分解反応及びpH調整を行い、Nヤシβアラニンを得た。【0045】実施例8ラウリルアミンの代わりにステアリルアミンを用い、水素反応処理の反応温度を180℃、反応圧力を15kg/cm2 (ゲージ圧)、反応時間を0.5時間とする以外は実施例1と同様の方法で、Nステアリルβアラニンを得た。【0046】比較例1原料アミンとして水素反応処理を行わないラウリルアミンを用いる以外は、実施例1と同様に付加反応、加水分解反応及びpH調整を行って、Nラウリルβアラニンを得た。【0047】比較例2原料アミンとして水素反応処理を行わないラウリルアミンを用いる以外は、実施例4と同様に付加反応、加水分解反応及びpH調整を行って、Nラウリルβアラニンを得た。【0048】評価実験実施例1〜8及び比較例1〜2で製造したN置換βアラニンの臭気及び50℃で1ヶ月保存後の色相を次の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。【0049】(臭気評価)官能検査を行い、以下の基準で臭気を評価した。○:異臭がなく臭気がよい。△:若干異臭があり臭気が悪い。×:異臭が強く著しく臭気が悪い。【0050】(色相評価)視覚により、以下の基準で色相を評価した。○:色相の変化がわずかである。△:色相の変化があり着色が認められる。×:色相の変化が著しく明らかに着色が認められる。【0051】【表1】【0052】表1から明らかなように、本発明の方法で製造したN置換βアラニン(実施例1〜8)は臭気及び50℃、1ヶ月保存後の色相が良いのに対し、比較例(比較例1〜2)はいずれも臭気及び50℃、1ヶ月保存後の色相が悪いという問題点を有している。【0053】次に上記実施例及び比較例によって製造されたN置換βアラニンを洗浄剤として用いた例を示す。【0054】実施例9〜13及び比較例3〜4表2に示す液体洗浄剤組成物を調製し、組成物の臭気、皮膚刺激性、洗浄力及び1カ月保存後の色相を評価した。その結果を表2に示す。臭気及び色相については上記と同様の方法で評価し、皮膚刺激性及び洗浄力の評価方法については下記に示す。尚、表2中の配合量はすべて重量%であり、組成物はpHを6.5に調製したものである。【0055】(皮膚の刺激性評価)界面活性剤組成物1%水溶液(35℃)を用いてテスター10名の手による浸漬試験により評価を行った。即ち、1分毎の浸漬−乾燥操作を15回行い、24時間後の手の皮膚荒れの程度を以下の基準で視覚判定した。【0056】○:皮膚荒れが殆どない。△:皮膚の角質表面の一部に乾燥落屑性や赤斑変化等の手荒れ症状らしき兆候が認められる。×:乾燥落屑性や赤斑変化等の手荒れ症状が明確に認められる。【0057】(洗浄力評価)日本薬局方に規定された大豆油と牛脂各10gを60mlのクロロホルムに溶解した後、オイルレッド0.1gを加えて良く混合し、汚垢溶液を調製する。この溶液にガラスプレートを浸して汚染し、25℃の温度で30分以上風乾してクロロホルムを除去し、汚染片を作成する(汚染量20〜30mg/枚)。この汚染片6枚を25℃、700mlの0.15%の洗浄剤液中で20rpmの回転速度で3分間かき混ぜて洗浄した後、風乾して重量を測定し、洗浄後の油除去率を下記の数式(1)により算出して洗浄力とした。【0058】洗浄力(%)={1−(W2−W0)/(W1−W0)}×100 (1)(上記数式(1)中、W0 はガラスプレートの重量を、W1 は汚染後のガラスプレートの重量を、W2 は洗浄風乾後のガラスプレートの重量を示す)【0059】【表2】【0060】表2から明らかなように、調製した洗浄剤組成物はいずれも優れたマイルド性及び洗浄性能を示すが、本発明の洗浄剤組成物(実施例9〜13)は臭気及び50℃で1ヶ月保存後の色相が良いのに対し、比較品の洗浄剤組成物(比較例3〜4)はいずれも臭気及び50℃で1ヶ月保存後の色相が悪いという問題点を有している。【発明の効果】本発明の製造方法によって得られるN置換βアラニン又はその塩は、有臭成分などの不純物を含まないため、高起泡力、高洗浄力、低皮膚刺激性等の優れた特性を有する界面活性剤であり、しかも、液体洗浄剤として製剤化した場合にも臭気が良好で保存した場合にも着色や異常な臭気の発生を起こさない優れた基材であり、特に、台所用洗浄剤、毛髪用洗浄剤、皮膚用洗浄剤として極めて好適である。 下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、脂肪族第一アミンとアクリル酸誘導体との反応において、脂肪族第一アミンとして水素反応処理した脂肪族第一アミンを用いることを特徴とする方法。R1NHCH2CH2COOM (I)(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す) 水素反応処理を水素化触媒存在下に行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。 水素反応処理を水素化ホウ素ナトリウムを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により製造したN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物。 請求項4に記載の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物。 請求項4に記載の界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを含有する洗浄剤組成物。