生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_光感応性ヌクレオシドおよびそのフォスフォロアミダイト
出願番号:1998255488
年次:2004
IPC分類:7,C07H19/06,C07H21/04,C12N15/09


特許情報キャッシュ

斎藤 烈 中谷 和彦 堂野 主税 中村 卓 藤澤 和彦 JP 3540624 特許公報(B2) 20040402 1998255488 19980909 光感応性ヌクレオシドおよびそのフォスフォロアミダイト 独立行政法人 科学技術振興機構 503360115 佐伯 憲生 100102668 斎藤 烈 中谷 和彦 堂野 主税 中村 卓 藤澤 和彦 20040707 7 C07H19/06 C07H21/04 C12N15/09 JP C07H19/06 C07H21/04 B C12N15/00 A 7 C07H 19/06-19/10,19/16-19/207,21/00-21/04 C12N 15/00-15/90 REGISTRY(STN) CAPLUS(STN) CAOLD(STN) 特開平03−210197(JP,A) Biochemistry,1996年,Vol.35, No.31,p.10182-10193 Biotechniques,1996年,Vol.21, No.6,p.1084-1092 Tetrahedron,1997年,Vol.53, No.4,p.1523-1544 Tetrahedron Letters,1994年,Vol.35, No.6,p.873-876 NUCLEOSIDES & NUCLEOTIDES,1997年,Vol.16, No.7-9,p.1461-1464 10 2000086692 20000328 15 19990910 特許法第30条第1項適用申請有り 平成10年3月14日社団法人日本化学会発行の「日本化学会第74春季年会(1998)講演予稿集II」第1279頁に発表 中木 亜希 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、光感応性の基が三重結合を介して核酸に結合してなる核酸又はその反応性誘導体、好ましくは次式(I)、【化7】(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される基で置換された核酸又はその反応性誘導体に関する。また、本発明は、この核酸を含有する核酸オリゴマー、この核酸のフォスフォロアミダイト誘導体からなるフォスフォロアミダイト試薬、及び、このフォスフォロアミダイト試薬を用いる核酸オリゴマーの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】近年、DNAの一電子酸化による損傷機構が大変注目され、主に電子受容性分子とDNAとの分子間電子移動反応が調べられている。このような電子受容性分子とDNAとの分子間電子移動反応を解析するために、各種の光感応性物質をフォスフォロアミダイド試薬を用いて核酸中に導入し、光DNA切断の研究が行われてきた。例えば、次式【0003】【化8】【0004】で示されるフォスフォロアミダイド試薬を用いた光DNA切断知られている(アメリカ化学会誌、第119巻、12762−12771頁、1997年(J. Am.Chem. Soc., 119(52), 12762-12771,1997))。しかしながら、従来の光感応性物質による光DNA切断は、選択性に乏しく位置選択的なDNAの切断は困難であった。また、本発明者らは、次式(1)【0005】【化9】【0006】で示されるシアノベンゾフェノン(CNBP)(1)がDNAの一電子酸化における優れた電子受容体であることを報告してきたが、このものも選択性が充分ではなかった。【0007】このような従来の光感応性物質は、これをDNAに導入したときにその自由度が大きく、その結果として選択性が低くなるのではないかと考えられ、本発明者らは、DNAに光感応性ヌクレオシドを自由度無く固定して導入する技術を開発した。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明は、DNA鎖中に光感応性ヌクレオシドを構造の自由度無く簡便に導入するための光感応性物質を提供する。また、本発明は、当該光感応性物質をDNAに導入するための核酸又はその反応性誘導体、好ましくはフォスフォロアミダイド試薬を提供し、選択的な光DNA切断を提供する。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために、ヌクレオシドの一つであるウリジンに自由度のないアセチレン結合を介して、光感応性のベンゾフェノンを導入する手法を見出した。本発明は、次式(I)、【0010】【化10】(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される基がヌクレオシドの塩基部分に結合しているヌクレオシド、又はそのフォスフォロアミダイド誘導体に関する。【0011】また、本発明は、前記の式(I)で表される基がヌクレオシドの塩基部分に結合しているヌクレオシド部分を少なくともひとつ含有してなる核酸オリゴマーに関する。さらに、本発明は、前記の式(I)で表される基で置換されたヌクレオシドのフォスフォロアミダイト誘導体からなるフォスフォロアミダイト試薬に関する。より詳細には、本発明は、次式(III)、【0012】【化11】【0013】(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表されるヌクレオシドのフォスフォロアミダイト誘導体からなるフォスフォロアミダイト試薬に関する。また、本発明は、前記したフォスフォロアミダイト試薬を用いて、前記の式(I)で表される基がヌクレオシドの塩基部分に結合しているヌクレオシド部分を少なくともひとつ含有する核酸オリゴマーを製造する方法に関する。さらに、本発明は、前記の式(I)で表される基がヌクレオシドの塩基部分に結合しているヌクレオシド部分を少なくともひとつ含有してなる核酸オリゴマーに光を照射して、当該核酸オリゴマーを選択的に切断する方法に関する。【0014】本発明の「光感応性の基」としては、可視光線、紫外線、遠紫外線などの光に感応して電子受容体として作用するものであって、三重結合が結合し得るものであればよい。本発明の好ましい光感応性の基としては、ベンゾフェノン基、4’−シアノベンゾフェノン基などが挙げられる。本発明の三重結合としては、前記した光感応性の基の自由度を無くせるものであればよく、通常は炭素−炭素三重結合が好ましい。当該三重結合が前記した光感応性の基に結合する位置も特に制限はないが、これらの基が核酸オリゴマーの中に収容されることができ、かつ、その自由度が無くなるような位置が好ましい。本発明の三重結合が結合した光感応性の基としては、次式(IV)【0015】【化12】【0016】(式中、R1は、水素原子又は置換基を示す。)で表される基が好ましい。式(IV)中のR1の置換基としては、電子受容体として作用を害しないものであればよく、好ましくはシアノ基が挙げられる。より好ましくは、前記した式(I)で表される基が挙げられる。【0017】前記した三重結合が結合した光感応性の基は、当該三重結合の他の端において核酸に結合する。核酸としては、各種ヌクレオシドをあげることができるが、ウリジンが好ましい。核酸に結合する位置は、核酸の糖部分であっても、塩基部分であってもよいが、好ましくは塩基部分が挙げられる。特に好ましい態様としては、三重結合がウラシルの5位に結合したものを挙げることができる。【0018】本発明の核酸の反応性誘導体としては、核酸の糖鎖中の水酸基が反応性の基で置換されたものであり、この場合には他の水酸基が目的とする反応において反応性を示さないように適当な保護基で保護されていてもよい。本発明の好ましい核酸又はその反応性誘導体としては、次式(II)、【0019】【化13】【0020】(式中、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、保護基又は反応性の基を示し、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される化合物、及び、次式(III)、【0021】【化14】【0022】(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される化合物を挙げることができる。本発明の好ましい反応性誘導体としては、フォスフォロアミダイド誘導体を挙げることができる。好ましい本発明のフォスフォロアミダイド試薬としては、次式(III)、【0023】【化15】【0024】(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される核酸のフォスフォロアミダイト誘導体からなるフォスフォロアミダイト試薬が挙げられる。本発明のフォスフォロアミダイド試薬は、前記した式(IV)で表される化合物に限定されるものではなく、DNA合成、好ましくはDNA自動合成機に直ちに利用できる化合物であれば特に制限はない。本発明の核酸をフォスフォロアミダイト試薬とすることにより、市販のDNA自動合成機を用いて任意のDNAに組み込むことが出来る。この様なフォスフォロアミダイト試薬を用いたDNA合成は、DNA自動合成機の普及により非常に簡単に、新しい機能を持つDNAを創出する方法として当業者に通常使用しているものである。【0025】本発明のフォスフォロアミダイド試薬のフォスフォンアミド基としては、例えば、O−メチル−N,N−ジイソプロピル−フォスフォンアミド基、O−(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピル−フォスフォンアミド基などのN,N−ジイソプロピルフォスフォンアミド基が好ましい。【0026】本発明の方法により、光感応性の基が三重結合を介して結合したヌクレオシドを得ることができ、このヌクレオシドを用いて通常の方法、例えば、DNA自動合成機による合成法などにより、三重結合を介して光感応性の基を含有するヌクレオシドを少なくともひとつ含有する核酸オリゴマー(ポリヌクレオチド)を製造することができる。本発明の核酸オリゴマーは、光感応性の基が三重結合を介して結合したヌクレオシドの近傍で選択的に光による切断をすることができる。例えば、シアノベンゾフェノン(CNBP)エチニル基置換ウリジン(CU)を電子受容性核酸塩基として合成し、ホスホロアミダイト法により、DNAの最も酸化されやすい5’−GG−3’配列を含むオリゴマーを合成した。この核酸オリゴマーの塩基配列は次式(V)【0027】5’−AATACATTGGTGGCUTTGAGTAT−3’ (V)(式中、CUは、シアノベンゾフェノン(CNBP)エチニル基置換ウリジンを示す。)で表されるものである。このオリゴマーを相補鎖と二本鎖形成後、波長312nmの光を2時間照射した結果、シアノベンゾフェノン(CNBP)エチニル基置換ウリジン(CU)の直前に位置する一電子酸化に特徴的な5’−GG−3’配列の5’側のGでの選択的切断が認められた。【0028】本発明における光による核酸オリゴマーを切断する方法は、好ましくは可視紫外領域の波長、より好ましくは312nmの波長を約1〜5時間、好ましくは1〜2時間照射することにより行うことができる。【0029】本発明により、DNA鎖中に光感応性ヌクレオシドを構造の自由度無く簡便に導入することができ、本発明の方法により製造された核酸オリゴマーは位置選択的に光切断することができる。従来用いられている光感応ヌクレオシドでは、DNAに導入後自由度の高いフレキシブルな構造をとるために、その効果は本発明に比べて著しく低かった。【0030】本発明の核酸を導入したDNAは光感応性の基、例えば、ペンゾフェノン部分の光化学反応によりより選択的な切断が行えるために、1)DNAータンパクとのクロスリンクによるDNAータンパク相互作用の解析、2)DNA−DNA間の電子移動反応解析、3)DNA切断反応の解析、4)光遺伝子治療、5)アンチセンスDNA、6)光DNA接合等への利用が期待される。【0031】【実施例】次に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0032】実施例13’−ブロモ−4−メチルベンゾフェノン(1)の製造3−ブロモ安息香酸(5.1574g、25.66mmol)の塩化チオニル溶液(30mL)を一時間還流の後、塩化チオニルを留去し、トルエン(40mL)に溶した。この溶液中に無水塩化アルミニウム(7.2754g、54.56mmol)を数回にわけて加え、3時間室温で撹拌。氷水と塩酸を加えさらに30分撹拌。反応混合物は酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとばして濃縮。酢酸エチル−へキサン中で再結晶して無色結晶の化合物(1)(5.7470g、20.89mmol、81%)を得た。【0033】実施例23’−ブロモ−4−(ジブロモメチル)ベンゾフェノン(2)の製造前記実施例1で得られた化合物(1)(1.033g、3.754mmol)のアセトニトリル溶液(20mL)にNBS(1.654g、9.290mmol)、AIBN(63.7mg、0.3879mmol)を加え還流下5時間撹拌。反応混合物は酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとばして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(toluene:n−hexane=2:1)により精製し白色固体の化合物(2)(1.351g、3.121mmol、83%)を得た。【0034】実施例34−(3−ブロモベンゾイル)ベンズアルデヒド(3)の製造前記の実施例2で得られた化合物(2)(967.6mg、2.235mmol)のDMF溶液(10mL)に酢酸ナトリウム(916.2mg、11.17mmol)を加え130度で5時間撹拌。反応混合物は酢酸エチルで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとぱして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(toluene:chloroform=9:1)により精製し白色粉末の化合物(3)(388.4mg、1.343mmol、60%)を得た。【0035】実施例44−(3−ブロモベンゾイル)ベンゾニトリル(4)の製造前記の実施例3で得られた化合物(3)(320.5mg、1.108mmol)、ギ酸ナトリウム(151.3mg、2.225mmol)のギ酸溶液(8mL)に塩酸ヒドロキシルアミン(153.4mg、2.208mmol)を加え還流下7時間撹拌。ギ酸を留去の後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとばして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−hexane:ethyl acetate=7:1)により精製し白色粉末の化合物(4)(271.8mg、0.950mmol、86%)を得た。【0036】実施例54−(3−トリメチルシリルエチニルベンゾイル)ベンゾニトリル(5)の製造前記の実施例4で得られた化合物(4)(887.3mg、3.101mmol)、酢酸パラジウム(7.1mg、0.03162mmol)及びトリフェニルフォスフィン(40.5mg、0.1544mmol)のトリエチルアミン溶液(15mL)を脱気後にトリメチルシリルアセチレン(1.20mL)を加え窒素雰囲気下、還流6時間撹拌。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとぱして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−hexane:ethyl acetate=30:1)により精製し白色粉末の化合物(5)(856.7mg、2.823mmol、91%)を得た。【0037】実施例64−(3−エチニルベンゾイル)ベンゾニトリル(6)の製造前記の実施例5で得られた化合物(5)(730.0mg、2.406mmol)のTHF溶液(10mL)にTBAF−1M−THF溶液(3.60mL、3.60mmol)と酢酸(0.2mL、3.46mmol)を加え室温で2時間撹拌。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとぱして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−hexane:ethyl acetate=15:1)により精製し白色粉末の化合物(6)(513.3mg、2.219mmol、92%)を得た。【0038】実施例75−{3−(4−シアノベンゾイル)フェニルエチニル}−2’−デオキシ−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)ウリジン(7)の製造前記の実施例6で得られた化合物(6)(275.5mg、1.191mmol)、5−ヨード−2’−デオキシウリジン(650.8mg、0.9914mmol)、及びトリエチルアミン(0.28mL、2.009mmol)のDMF溶液(10mL)を脱気後にテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(121.5mg、0.1051mmol)、ヨウ化銅(189.7mg、0.9961mmol)を加え窒素雰囲気下、5時間撹拌。反応混合物をクロロホルムで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとばして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(chloroform:methanol=100:1)により精製し淡黄色粉末の化合物(7)(720.10mg、0.9187mmol、93%)を得た。【0039】実施例8アミダイド誘導体(8)の製造前記の実施例7で得られた化合物(7)(167.8mg、0.2141mmol)をアセトニトリルで共沸した後、アセトニトリル(1mL)に溶かし、テトラゾール(0.320mmol)、2−シアノエチル−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロアミダイト(0.093mL、0.3586mmol)を加え室温2時間撹拌。反応混合物は酢酸エチルで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒をとぱして濃縮。淡黄色泡状の化合物(8)(193.4mg、0.1963mmol、92%)を得た。【0040】実施例93−ブロモベンゾフェノン(9)の製造3−ブロモ安息香酸(4.1600g、20.69mmol)の塩化チオニル溶液(15mL)を一時間還流の後、塩化チオニルを留去し、ベンゼン(15mL)に溶した。この溶液中に無水塩化アルミニウム(5.502g、41.25mmol)を数回にわけて加え、6時間室温で撹拌。氷水と塩酸を加えさらに30分撹拌。反応混合物は酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとばして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−hexane:ethyl acetate=20:1)により精製し白色粉末の化合物(9)(4.3216g、16.55mmol、80%)を得た。【0041】実施例103−トリメチルシリルエチニルベンゾフェノン(10)の製造前記の実施例9で得られた化合物(9)(3.0126g、11.537mmol)、酢酸パラジウム(25.9mg、0.1154mmol)及びトリフェニルフォスフィン(121.1mg、0.4617mmol)のトリエチルアミン溶液(20mL)を脱気後にトリメチルシリルアセチレン(5.0mL、35.38mmol)を加え窒素雰囲気下、還流6時間撹拌。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとばして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−hexane:ethyl acetate=80:1)により精製し淡黄色粉末の化合物(10)(2.9282g、10.5169mmol、91%)を得た。【0042】実施例113−エチニルベンゾフェノン(11)の製造前記の実施例10で得られた化合物(10)(2.7272g、9.795mmol)のメタノール溶液(15mL)に炭酸カリウム(14.3mg、0.1035mmol)を加え室温で2時間撹拌。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとばして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−hexane:ethyl acetate=100:1) により精製し白色粉末の化合物(11)(1.5216g、7.334mmol、75%)を得た。【0043】実施例125−{3−ベンゾイルフェニルエチニル}−2’−デオキシ−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)ウリジン(12)の製造前記の実施例11で得られた化合物(11)(470.3mg、2.280mmol)、5−ヨード−2’−デオキシウリジン(1001.4mg、1.525mmol)、及びトリエチルアミン(0.420mL、3.013mmol)のDMF溶液(12mL)を脱気後にテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(194.3mg、0.1681mmol)、ヨウ化銅(286.5mg、1.504mmol)を加え窒素雰囲気下、4時間撹拌。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をとぱして濃縮。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−hexane:ethyl acetate=1:1)により精製し淡黄色粉末の化合物(12)(981.8mg、1.294mmol、85%)を得た。【0044】実施例13実施例8で得られた化合物(8)を用いて、常法により次式、5’−AATACATTGGTGGCUTTGAGTAT−3’(式中、CUは、シアノベンゾフェノン(CNBP)エチニル基置換ウリジンを示す。)で表される核酸オリゴマーを製造した。【0045】実施例14実施例13で製造された核酸オリゴマーに、波長312nmの光を2時間照射した。光照射後、生成物を分析すると次式の切断位置に示されるように、【0046】CUの直前にある5’−GG−3’の位置で選択的に切断された生成物のスポットを観察することができた。【0047】【発明の効果】本発明の光感応性ヌクレオシドを用いることにより、DNAに光感応性の基、例えば、光感応性ベンゾフェノンを自由度無く固定して導入出来るために、クロスリンクなど反応の選択性は極めて高い。また、DNAに損傷を与えない波長の光により、容易に活性化できる利点を持つ。 次式(I)、(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される基がヌクレオシドの塩基部分に結合しているヌクレオシド、又はそのフォスフォロアミダイド誘導体。 塩基がウラシルである請求項1に記載のヌクレオシド、又はそのフォスフォロアミダイド誘導体。 ヌクレオシド、又はそのフォスフォロアミダイド誘導体が、次式(II)、(式中、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、保護基、又はフォスフォロアミダイド基を示し、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される請求項2に記載のヌクレオシド、又はそのフォスフォロアミダイド誘導体。 ヌクレオシド、又はそのフォスフォロアミダイド誘導体が、次式(III)、(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表されるフォスフォロアミダイド誘導体である請求項3に記載のヌクレオシド、又はそのフォスフォロアミダイド誘導体。 請求項1から4のいずれかに記載のヌクレオシド部分を少なくともひとつ含有してなる核酸オリゴマー。 核酸オリゴマーが、DNAである請求項5に記載の核酸オリゴマー。 塩基部分が次式(I)、(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される基で置換されたヌクレオシドのフォスフォロアミダイド誘導体からなるフォスフォロアミダイド試薬。 フォスフォロアミダイド試薬が、次式(III)、(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表されるフォスフォロアミダイト誘導体である請求項7に記載のフォスフォロアミダイド試薬。 請求項7又は8に記載のフォスフォロアミダイド試薬を用いて、次式(I)、(式中、Rは、水素原子又はシアノ基を示す。)で表される基で置換されたヌクレオシド部分を少なくともひとつ含有する核酸オリゴマーを製造する方法。 請求項5又は6に記載の核酸オリゴマーに光を照射して、当該核酸オリゴマーを選択的に切断する方法。


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