生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_温度応答性ハイドロゲル
出願番号:1998250989
年次:2007
IPC分類:C08G 63/66,A61K 9/00,A61K 47/34,C08G 63/676


特許情報キャッシュ

櫻井 智徳 定延 治朗 JP 3916329 特許公報(B2) 20070216 1998250989 19980904 温度応答性ハイドロゲル 帝人株式会社 000003001 三原 秀子 100099678 櫻井 智徳 定延 治朗 20070516 C08G 63/66 20060101AFI20070419BHJP A61K 9/00 20060101ALI20070419BHJP A61K 47/34 20060101ALI20070419BHJP C08G 63/676 20060101ALI20070419BHJP JPC08G63/66A61K9/00A61K47/34C08G63/676 C08G63/00-91 A61K 9/00-72 A61K47/00-48 欧州特許出願公開第00113505(EP,A1) 特開平10−158377(JP,A) 特開平05−043516(JP,A) 2 2000080158 20000321 9 20041004 大熊 幸治 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は温度応答性ハイドロゲルに関する。更に詳しくは、応答温度領域を任意に制御可能であり、かつ生分解性を付与可能な脂肪族/脂環族ポリエーテルエステルを用いた温度応答性ハイドロゲルに関する。【0002】【従来の技術】ヒトへの薬物の投与、害虫に対する農薬散布、触媒研究等において、使用条件下で易分解体である薬剤・触媒または使用環境下で効果発揮期間が短い薬剤・触媒等の使用は、その供給量や放出量の制御が難しく、使用に耐え得ないまたは使用に制限があるといった問題が従来より指摘されていた。特に医療分野においては、近年の遺伝子工学の進歩によりサイトカイン、ホルモンといった生理活性物質が大量に供給されるようになったが、これらの物質は生体内で分解され易い為に、より効果的な新しい投与方法が望まれている。また、従来使用されてきた薬物の投与においても、投与間隔の延長、投与量の減少等を実現する新しい投与方法が期待されている。【0003】この様な要望に答える方法論の一つとして、必要な量を、必要な場所に、必要な時だけ作用させる、いわゆるドラッグデリバリーシステム(DDS)の概念が提唱され、基礎的、実用的研究が盛んに行われているが、現在実用化されているものは、そのほとんどが単純に薬剤の徐放を狙ったものであり、さらに高機能なDDSの開発が必要である。【0004】最近、高機能を有する次世代DDS研究の1つとして、刺激応答性ハイドロゲルを用いて、刺激、例えば温度、pH等の変化が加えられた時のみ必要な場所へ必要な量の薬物を放出する理想的な放出制御を実現する研究が進められている。ゲルの有する外部環境応答性、ハイドロゲルの有する高い生体適合性を利用する試みである。温度応答性ハイドロゲルは、水環境下において、ある温度以下では水和し、ある温度以上では脱水和することにより体積変化を引き起こす[Lower Critical Solution Temperature (LCST)を有する]タイプと、逆に、ある温度以下では脱水和し、ある温度以上では水和することにより体積変化を引き起こす[Upper Critical Solution Temperature (UCST)を有する]タイプに分類することが出来る。これらの2つのタイプのうちでは、設計の容易さ、応答の速さ等の面に優れるLCSTを有するタイプのハイドロゲルの方が好ましく使用されている。【0005】LCSTを有するタイプのハイドロゲルは、例えば、ある温度以下では高分子と水との相互作用が優先する為に水溶液中に均一に溶解しているが、ある温度以上になると水和よりも高分子の凝集の方が優勢になる為に脱水和して、水溶液が白濁、ついには沈殿するポリマー、即ち水―高分子系においてLCSTを有するポリマーを主成分とし、該ポリマーを何らかの方法で3次元架橋することによって得ることが出来る。【0006】水―高分子系においてLCSTを有するポリマーとしては、ポリ(N―イソプロピルアクリルアミド)等のN―置換(メタ)アクリルアミド誘導体、ポリ(N―アクリロイルピロリジン)、ポリ(N―アクリロイルピペリジン)等の含窒素環状ポリマー、ポリ(N―アクリロイル―L―プロリン)等のビニル基含有アミノ酸とそのエステル類、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(エチレングリコール)/ポリ(プロピレングリコール)共重合体等が知られている。これらのホリマーの中では、転移がシヤープであり、相転移温度が生体系ヘの応用に適するポリ(N―イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)共重合体が代表的であり、共重合成分による相転移温度の制御、相転移速度の改善、相転移メカニズムの解明の各観点から盛んに研究が展開されている。【0007】ところで、近年、プラスチックによる環境汚染が問題になってきている。水溶性ポリマーの場合は一般に使用後回収、リサイクル、焼却処理が不可能である為に、環境を考えた場合には、生分解性を有する水溶性ポリマーの使用が不可欠である。また、医療関連分野においても、治療終了後、薬効終了後生体内から除去する必要がないマトリックスとして生体分解性高分子の効用がクローズアップされてきている。【0008】従来研究されてきた水―高分子系においてLCSTを有するポリマー及びそれを主成分として成るゲルは、上述したように、研究対象のほとんどのポリマーの主鎖が共有結合によって構成されている為に生体内分解性を示さない。生分解性温度感応性ポリマーとしては、天然高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等が知られているが、生体内での使用も考慮に入れた場合、天然高分子の使用は、供給の安定性、純度、製品ロット間のばらつき等の問題があり制限を受けることになる。合成高分子で生分解性を有する温度感応性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステルを主成分とする重合性多官能性マクロモノマーと末端重合基を有するポリエチレングリコールとを共重合する方法で得る方法が示されている(特開平7―33844号公報)が、この方法には、重合性官能基に毒性の強い(メタ)アクリル酸基を使用している、マクロモノマーの合成が必要であるという問題点が有り、改善が望まれる。【0009】合成高分子の中で、水溶性ポリマーに生分解性を付与した、いわゆる生分解性水溶性ポリマーとしてはポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(リンゴ酸塩)、ポリ(アミノ酸)等が挙げられる。しかし、水―高分子系においてポリ(ビニルアルコール)単独ではLCSTを示さず、一部アセチル化されたポリ(ビニルアルコール)はLCSTを示すが、分解性などの点で不利てある。ポリ(エチレングリコール)のLCSTは水の沸点近くであり実用的ではない。ポリ(リンゴ酸塩)、ポリ(γ―グルタミン酸)、ポリ(ε―リジン)等のポリ(アミノ酸)が実用的なLCSTを有するという報告はない。実用的なLCSTを有する生分解性水溶性ポリマーとしてはポリ(エチレングリコール)/ポリ(プロピレングリコール)共重合体が知られているが、ポリ(プロピレングリコール)成分の含有量が増加すると水溶性でなくなる為に組成に制限がある。【0010】本発明で着目した、ポリエーテルエステル(A)は、古くより知られたポリマーであるが、これらのポリマーの用途としては繊維サンプルの補強(特開昭48―10486号公報)、紙の透明性向上の為の1組成分(特開昭49―72408号公報)、フォトクロミックパーティクルを形成する為の1成分(特開昭52―43779号公報)、生物的、化学的試薬のキャリアーとしての多孔質微粒子作成の為の感光性ポリマーの1成分(特開昭53―22581号公報)、ガスバリヤ性水溶性フィルムの基材(特開平5―170888号公報)、エポキシ樹脂の接着性改良の為の1組成分(USP225607)、コントロールドリリース製剤のマトリックス(EP113505)等が報告されているのみであり、この様な構成成分を有するポリエーテルエステルが水―高分子系でLCSTを有するという報告は見られない。【0011】本発明で着目したポリエーテルエステル(B)は従来公知(特開昭58―173121号公報)であるが、これらのポリマーの使用目的は、ポリエステルの染色性、親水性、接着性等の改良(特開昭58―173121号公報)、生分解性、親水性、相溶性の改良(特開平5―43516号公報)等が報告されているのみであり、この様な構成成分を有するポリエーテルエステルが水―高分子系でLCSTを有するという報告もやはり見られない。【0012】【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来研究されてきた水―高分子系でLCSTを有するポリマーにはほとんど報告がなかった生分解性の付与を可能ならしめる構造を有する温度応答性脂肪族/指環族ポリエーテルエステルを用いたハイドロゲルを提供することを目的とする。【0013】【課題を解決するための手段】 本発明者らは前述の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、主鎖構成成分に加水分解性の導入が可能であるエステル結合を選択し、ポリエーテルエステルを構成するジカルボン酸成分またはジオール成分、及びポリエーテル成分を適切に選択することによって、ポリエーテルエステル主鎖中に望む温度領域に合致した微妙な親水−疎水バランスを実現させることで所望のポリエーテルエステル/水組成物及びハイドロゲルが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明は、下記式(1)【0014】【化2】【0015】[ここで、R1は炭素数1〜12のアルキレン基またはシクロアルキレン基であり、R2は炭素数2〜4の2価の脂肪族残基であり、Kはポリオキシアルキレン構造(R2O)の分子量が100〜10000となるような繰返し単位数である]で表わされる繰返し単位からなるポリエーテルエステルを用いた温度応答性ハイドロゲルである。【0016】本発明によれば、特定の構成成分より成るポリエーテルエステルを用いることにより、従来の研究では報告が少なかった生分解性を有する温度応答性ポリマーを提供することが出来る。【0017】 上記式(1)においてR1 は、炭素原子数1〜12の2価のアルキレン基またはシクロアルキレン基を示し、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等のアルキレン基、1,2―シクロヘキシレン基、1,3―シクロヘキシレン基、1,4―シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基を例示出来る。上記式(1)のポリエーテルエステルを構成するジカルボン酸成分としてコハク酸またはフマル酸等のTCA回路構成化合物から誘導される成分を用いると、生体内安全性が高く、生体内で用いる場合により好ましい。【0018】また、かかる脂肪族残基は全体の20モル%以下で、p―フェニレン基等の芳香族残基を含むことができる。【0019】 上記式(1)におけるR2 は、炭素原子数2〜4の2価の脂肪族残基を示す。好ましくはエチレン基である。得られるポリエーテルエステルの水溶性を喪失しない範囲内で、R2としてエチレン基以外の成分を、エチレン基と共に用いることが出来る。この場合、R2はエチレン基及びプロピレン基、エチレン基及びテトラメチレン基の組み合わせが好ましい。【0020】 上記式(1)においてkはポリ(アルキレングリコール)構造(R2 O)の分子量が100〜10000となるような繰り返し単位数である。ポリ(アルキレングリコール)成分の数平均分子量は、好ましくは150〜6000、より好ましくは200〜4000である。ポリ(アルキレングリコール)の分子量が100より小さい場合、得られるポリマー分子量が小さくなり好ましくない。ポリ(アルキレングリコール)の分子量が10000より大きい場合、ポリ(アルキレングリコール)の重合性が低下する、LCSTを示す為の重合成分に使用する酸成分が市販品として得られにくくなる等の問題が生じるので好ましくない。【0021】本発明に用いられるポリ(アルキレングリコール)の分子量の範囲は、疎水領域を形成するジカルボン酸成分またはジオール成分の組成、ポリエーテルエステル水溶液の濃度、コントロールしたいLCSTの3個のファクターの兼合い等によって決定することができる。例えば後述するように、ポリエーテルエステルを構成する脂肪族ジカルボン酸成分としてアジピン酸を選択し、使用する際のポリエーテルエステル(A)水溶液の濃度を10%、コントロールしたいLCSTを10〜100℃に設定すると、ポリ(アルキレングリコール)の分子量の選択範囲は200〜2000が好ましい。仮にコントロールしたいLCSTを10〜50℃に絞ると、ポリ(アルキレングリコール)の分子量の選択範囲は200〜600が好ましい。【0024】 上記式(1)においてR1は、炭素原子数2〜12の、少なくとも一つの不飽和二重結合を有する2価の脂肪族残基を5〜35モル%含むことにより、架橋成分が導入され、ハイドロゲルとして有利である。【0025】R1 において用いられる場合、具体的には、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、2―シクロヘキセン―1,4―ジカルボン酸等から誘導される残基を例示出来る。フマル酸、シスアコニット酸等のTCA回路を構成する不飽和ジカルボン酸を用いると、生体内安全性が高く、生体内で用いる場合により望ましい。【0026】R2 において用いられる場合、具体的には、1―ブテン―1,4―ジオール、2―ブテン―1,4―ジオール,2―シクロヘキセン―1,4―ジオール等から誘導される残基を例示出来る。【0027】本発明におけるポリエーテルエステルの製造方法は特に制限はないが、例えば脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸アルキルエステルとポリ(アルキレングリコール)とを溶融重合せしめる従来公知の方法により実施することが出来る。より具体的には、例えば各原料を反応容器に入れ、重縮合触媒の存在下、高真空下で重縮合を行なう方法で実施される。ここで重縮合触媒としては当該分野における従来公知のものを用いることが出来るが、例えば酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酢酸錫、ジブチル錫ジオキシド等の錫化合物、テトラアルコキシチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、酢酸カルシウム等のカルシウム化合物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属化合物等が挙げられる。【0028】本発明におけるポリエーテルエステルの還元粘度は特に制限はないが、0.3〜4.0(クロロホルム溶媒、濃度3.5g/dl、測定温度25℃)、より好ましくは0.4〜3.0である。【0029】 本発明におけるハイドロゲルは、例えば上記式(1)で表わされるポリエーテルエステル(A)のジカルボン酸成分の一部を不飽和二重結合を有する脂肪族残基と置き代えて成るポリエーテルエステルの水溶液を架橋反応せしめて得ることが出来る。【0030】その際の、ハイドロゲルを生成する為のポリエーテルエステル水溶液の濃度としては2〜70%(w/v)の任意の濃度を選択出来る。ポリエーテルエステルの水溶液の濃度は、好ましくは5〜60%(w/v)、より好ましくは5〜50%(w/v)である。ポリエーテルエステルの水溶液の濃度が2%より希薄であるとハイドロゲル形成能が低下し好ましくない。ポリエーテルエステルの水溶液の濃度が70%より濃厚であると水溶液の粘性が高く好ましくない。【0031】上記ハイドロゲル生成の為の架橋方法は特に制限はないが、例えば2,2―ジメトキシフェニルアセトフェノンを光重合開始剤として、N―ビニル―2―ピロリドンを重合助剤としてポリエーテルエステル水溶液に混合しておき、該水溶液に紫外光を照射する方法で得ることが出来る。また、ポリエーテルエステル水溶液中でのペルオキソ二硫酸アンモニウムとN,N,N′,N′―テトラメチルエチレンジアミンとを用いたレドックス反応によっても得ることが出来る。【0032】【発明の効果】本発明によれば、主鎖に加水分解性の脂肪族エステル結合を導入し、かつ主鎖に微細な親水―疎水バランスを導入した為に、従来研究されてきた水―高分子系でLCSTを有するポリマーには少なかった生分解性を導入することが出来、生分解性水溶性ポリマーの見地からはLCSTという新しい機能を付与出来た。これにより、医薬品や農薬などの薬物・薬剤の徐放、化学反応の触媒効率の向上等の実現に適したポリマーが提供出来る様になった。【0033】【実施例】以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。【0034】還元粘度(ηsp/C)はクロロホルム溶媒中、濃度3.5g/dl、温度25℃で測定した。【0035】ポリエーテルエステルの相転移温度(LCST)は、試験管内でポリエーテルエステル0.1g/蒸留水0.9g(10重量%ポリマー)水溶液を調製後該試験管を温浴に浸漬し、温浴の温度を徐々に上昇させたときのポリマー水溶液の白濁変化を目視により確認し、その温度において完全に白濁が確認出来た温度とした。【0036】ポリエーテルエステルの加水分解性試験は、ポリエーテルエステル1.0gを蒸留水10mlに溶解し、この水溶液のηsp/Cを測定(測定温度35℃)した後、同水溶液を室温、密封された状態である期間静置後、再び同水溶液のηsp/Cを測定(測定温度35℃)し、加水分解によるηsp/Cの低下を評価した。【0037】[実施例1〜7]表1に示すジカルボン酸成分を有するジカルボン酸ジフェニルエステルとポリ(エチレングリコール)(PEG)を等モル量、触媒としてテトラブトキシチタン(ジカルボン酸成分の0.03モル%)を、撹拌装置及び真空留出系を備えた反応容器内に秤量し、窒素雰囲気下235℃で15分、次いで同温度で20分かけながら0.2〜0.4mmHgの真空条件とし、235℃でさらに0.5〜2.5時間溶融反応させて(実施例により反応時間は異なる)所望のポリエステルを得た。重合したポリマーとポリマーのηsp/C、LCSTを表1にまとめた。【0038】【表1】【0040】 表1に示したように、ジカルボン酸とポリ(アルキレングリコール)を適切に選択することでかなり広い実用範囲でLCSTを変化させられることが明らかとなった。 上記実施例のポリマーの加水分解性に関して、結果を表2にまとめた。【0041】【表2】【0042】 表2に示したように、ジカルボン酸とポリ(オキシアルキレン)グリコールを適切に選択することでかなり広い実用範囲で加水分解速度を制御出来ることが明かとなった。【0043】[実施例9〜11]表3に示すカルボン酸成分を有するジカルボン酸ジフェニルエステル(Ag)、PEG(Bg)、触媒としてテトラブトキシチタン(ジカルボン酸成分の0.03モル%)を、撹拌装置及び真空留出系を備えた反応容器内に秤量し、窒素雰囲気下230〜235℃で10分、次いで同温度で20分かけながら0.2mmHgの真空条件とし、235℃でさらに1時間溶融反応させた。続いて0.2〜0.4mmHgの高真空条件下で1.5時間かけて反応温度を180〜200℃に降温後、反応系中を常圧に戻した後、フマル酸ジフェニルエステル(Cg)、ハイドロキノン50mgを加え、すぐ0.2〜0.4mmHgの真空条件とし、180〜200℃で30分溶融反応させた。【0044】ポリマーの重合条件を表3に、得られたポリマーのηsp/C、LCSTを表4にまとめた。【0045】実施倒9〜11で得られたポリマー0.1gを蒸留水(0.9ml)に溶解後、該水溶液に2,2―ジメトキシアセトフェノン1.8mg(7μmol)/N―ビニル―2―ピロリドン(9μl)溶液を加え、300〜360nmにおける光強度が11.0mW/cm2 であるUV光を30秒間照射することでハイドロゲルを作成した。このハイドロゲルを蒸留水に浸漬し、蒸留水の温度を上昇させていくとある温度領域でゲルが白濁し、体積収縮を起こした。加温した蒸留水を冷却していくと、ある温度領域で白濁したゲルは再び透明になり、体積膨張を起こした。この変化が明確に確認出来た時の温度を下表4に示す。【0046】【表3】【0047】【表4】 下記式(1)[ここで、R1は炭素数1〜12の2価のアルキレン基またはシクロアルキレン基であり、R2 は炭素数2〜4の2価の脂肪族残基であり、kはポリオキシアルキレン構造(R2O)の分子量が100〜10000となるような繰返し単位数である]で表わされる繰返し単位からなるポリエーテルエステルを用いた温度応答性ハイドロゲル。 上記式(1)におけるR1が、さらに少なくとも一つの不飽和二重結合を有する脂肪族残基を5〜35モル%含む請求項1記載の温度応答性ハイドロゲル。


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