タイトル: | 特許公報(B2)_不飽和炭化水素の分離精製装置および分離精製方法 |
出願番号: | 1998243562 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 7/08,C07C 11/12,C10G 7/08,B01D 3/40 |
叶内 政信 有森 康彦 中野 利洋 JP 4134391 特許公報(B2) 20080613 1998243562 19980828 不飽和炭化水素の分離精製装置および分離精製方法 日本ゼオン株式会社 000229117 前田 均 100097180 西出 眞吾 100099900 叶内 政信 有森 康彦 中野 利洋 JP 1998111489 19980407 20080820 C07C 7/08 20060101AFI20080731BHJP C07C 11/12 20060101ALI20080731BHJP C10G 7/08 20060101ALI20080731BHJP B01D 3/40 20060101ALI20080731BHJP JPC07C7/08C07C11/12C10G7/08B01D3/40 C07C 7/08 B01D 3/40 C07C 11/12 C10G 7/08 特開昭60−156623(JP,A) 特開昭60−104021(JP,A) 特開昭60−54704(JP,A) 特開昭57−54129(JP,A) 特開昭56−83421(JP,A) 特開昭51−127006(JP,A) 特開昭57−75104(JP,A) 2 1999349499 19991221 15 20041228 藤森 知郎 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和炭化水素の分離精製装置および方法に係り、さらに詳しくは、原料成分のばらつきによらず目的とする不飽和炭化水素を所定濃度で安定して取り出すことができる不飽和炭化水素の分離精製装置および方法に関する。【0002】【従来の技術】不飽和炭化水素としての1,3−ブタジエンやイソプレンのような共役ジエン類は、一般にナフサをクラッキングし、エチレン、プロピレンなどのC2 およびC3 炭化水素を分離して得られるC4 留分やC5 留分から抽出溶剤を用いて抽出蒸留により、分離精製されている(特公昭45−17405号公報、特公昭45−17411号公報、特公昭47−41323号公報、特開昭56−83421号公報など)。【0003】通常、抽出蒸留は抽出蒸留塔と放散塔よりなる装置を用いて行われる。C4 留分またはC5 留分中の溶剤に比較的容易に溶解する共役ジエン類は、抽出蒸留塔の塔底から溶剤との混合物として取り出され、放散塔に送られて、共役ジエン類と溶剤とに分離され、溶剤は抽出蒸留塔に返送される。【0004】従来の共役ジエン類の分離精製装置および分離精製方法では、安定した品質の共役ジエン類を分離精製するために、抽出蒸留塔への溶剤の供給量制御、抽出蒸留塔の塔頂から取り出した原料の残存成分(原料から共役ジエン類を抽出した残り)の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ還流させる還流量制御、抽出蒸留塔の塔底温度制御などを行うことが一般的であった。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の共役ジエン類の分離精製装置および分離精製方法では、抽出蒸留塔へ供給される原料の組成がばらついた場合などには、塔から取り出すべき目的とする共役ジエン類の濃度がばらつき、安定した品質の共役ジエン類を取り出すことが困難であった。【0006】なお、抽出蒸留塔から高濃度で且つ一定濃度の共役ジエン類の抽出液を取り出すために、抽出蒸留塔の塔底から取り出した抽出物を抽出蒸留塔へ戻し、その戻り量をも制御することが好ましい。しかし、抽出蒸留塔への戻り量は、溶剤量、塔底温度、塔底圧力、原料供給量、原料中の共役ジエン類の濃度などに応じて変動させないと、抽出蒸留塔では、目的とするブタジエンやイソプレンなどの共役ジエン類の濃度と、それ以外の特定不純物の濃度とを一定に保つことができない。しかも、このような制御をオペレータの手操作では対応することは不可能に近い。そこで、現状では、抽出蒸留塔から取り出す共役ジエン類の濃度を多少変動させても運転のし易さを優先させ、戻り量を制御することなく、次工程へ送る流量を制御し、余剰量を戻り量としている。そのため、抽出蒸留塔から取り出した共役ジエン類の濃度変動が大きかった。特に、共役ジエン類の分離精製装置に用いる最初の抽出蒸留塔において、取り出した共役ジエン類の濃度変動が大きいと、その後のプロセスで共役ジエン類の純度を高めることが困難になり、安定して高純度の共役ジエン類を得ることが困難になる。【0007】本発明は、このような実状に鑑みてなされ、原料成分のばらつきや原料供給量の変動によらず目的とする共役ジエン類などの不飽和炭化水素を所定濃度で安定して取り出すことができる不飽和炭化水素の分離精製装置および方法を提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る不飽和炭化水素の分離精製装置は、不飽和炭化水素を含有する原料と溶剤とが供給され、当該原料を蒸留して目的とする不飽和炭化水素を分離精製する抽出蒸留塔と、前記抽出蒸留塔または抽出蒸留塔に接続されるその他の塔(以下、「抽出蒸留塔等」とも言う)での目的とする不飽和炭化水素以外の特定不純物の濃度を検出する不純物濃度検出手段と、前記抽出蒸留塔等における目的とする不飽和炭化水素の濃度を検出する目的物濃度検出手段と、前記抽出蒸留塔の塔底から取り出した目的とする不飽和炭化水素を含む流体の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ戻す戻り量制御手段と、前記抽出蒸留塔へ供給される溶剤の量を制御する溶剤量制御手段と、前記抽出蒸留塔の塔頂から取り出した原料の残存成分(原料から不飽和炭化水素を抽出した残存成分を意味するが、多少不飽和炭化水素も含まれる;以下同じ)の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ還流させる還流量制御手段と、前記抽出蒸留塔の塔底の温度を制御する塔底温度制御手段と、前記不純物濃度検出手段および目的物濃度検出手段により検出した検出値に基づき、所定時間後の特定不純物の濃度、目的とする不飽和炭化水素の濃度の予測値を算出し、当該予測値に基づき、前記戻り量制御手段、溶剤量制御手段、還流量制御手段および塔底温度制御手段を制御する予測制御手段とを有する。【0009】また、本発明に係る不飽和炭化水素の分離精製方法は、不飽和炭化水素を含有する原料と溶剤とを抽出蒸留塔に供給する工程と、前記抽出蒸留塔等における目的とする不飽和炭化水素以外の特定不純物の濃度を検出する工程と、前記抽出蒸留塔等における目的とする不飽和炭化水素の濃度を検出する工程と、 前記抽出蒸留塔の塔頂と塔底との差圧を検出する工程と、前記抽出蒸留塔の塔底から取り出した目的とする不飽和炭化水素を含む流体の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ戻す工程と、前記抽出蒸留塔へ供給される溶剤の量を制御する溶剤量の制御工程と、前記抽出蒸留塔の塔頂から取り出した原料の残存成分の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ還流させる還流量の制御工程と、前記抽出蒸留塔の塔底の温度を制御する塔底温度の制御工程と、前記不純物濃度検出工程および目的物濃度検出工程により検出した検出値に基づき、所定時間後の特定不純物の濃度、目的とする不飽和炭化水素の濃度の予測値を算出し、当該予測値に基づき、前記戻り量、溶剤量、還流量および塔底温度を制御する予測制御工程とを有する。【0010】本発明において使用される溶剤は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのN−アルキル置換低級脂肪酸アミド、フルフラール、N−メチルピロリドン、ホルミルモルホリン、β−メトキシプロピオニトリルなどの、炭化水素留分からジオレフィン抽出蒸留用溶剤として用いられているものが例示される。これらの溶剤は単独で使用できるのみならず、2種以上を混合して使用してもよいし、また沸点を調整するため、水、メタノールなどを適当量混合してもよい。さらには、ジオレフィン類、アセチレン類の重合を防止する重合防止剤、酸化防止剤、消泡剤などを併用することもできる。【0011】抽出溶媒は、抽出蒸留塔において、不飽和炭化水素を含有する石油留分を供給する段(石油留分供給段)よりも、通常、上段の位置に設けられた抽出溶媒供給段から抽出蒸留塔に供給されることが好ましい。【0012】また、重合禁止剤を抽出溶媒の供給段よりも上段の位置から連続供給しても良い。抽出溶媒供給段よりも上段の位置としては、たとえば、抽出溶媒フィード段よりも上段の抽出蒸留塔の側部、抽出蒸留塔頂部の凝縮器の入口あるいは出口が挙げられる。これらのうち、塔頂部凝縮器の入口に設けるのが、凝縮器内での重合体の生成を抑えることができるとともに、セパレーター後の次工程においても重合体の生成を抑えることができるので好ましい。この重合禁止剤が連鎖移動反応により重合禁止または抑制するものであることが好ましい。重合禁止剤がジ低級アルキルヒドロキシルアミンであることが好ましい。【0013】本発明で使用する原料(石油留分)は、不飽和炭化水素を含有するものである。石油留分は、通常、ナフサをクラッキングして分離したものである。石油留分としては、炭素2個の炭化水素を主として含有するC2 留分、炭素3個の炭化水素を主として含有するC3 留分、炭素4個の炭化水素を主として含有するC4 留分、炭素5個の炭化水素を主として含有するC5 留分などがある。これらの中でも、抽出蒸留などにより不飽和炭化水素の濃度を高めたものが好ましく、不飽和炭化水素として共役ジエン類を多く含有するものが好ましく、特に、ブタジエンを多く含有するC4 留分かイソプレンを多く含有するC5 留分が好ましい。【0014】本発明の装置および方法は、石油留分中の不飽和炭化水素の濃度が、通常、90%以上、好ましくは95%以上のもの(具体的には石油留分を抽出蒸留して不飽和炭化水素の濃度を高めたもの)を得ようとする場合に適用することが効果的である。【0015】【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。図1は共役ジエン類の分離精製装置の全体構成を示す概略図、図2は図1に示す第1抽出蒸留塔の制御方法を示す概略図、図3は図2に示す予測制御手段の制御方法を示すフローチャート図、図4は測定データと制御操作対象との関係を示すグラフ、図5はブテン類の分離精製装置の全体構成を示す概略図である。【0016】第1実施形態本実施形態では、不飽和炭化水素としての共役ジエン類を含有するC4 留分またはC5 留分からの共役ジエン類の分離精製プロセスについて説明する。【0017】図1に示すように、C4 留分またはC5 留分は、まず、蒸発塔2で気化させて第一抽出蒸留塔4へと供給される。また、溶剤は第一抽出蒸留塔4のC4 留分またはC5 留分供給部位より上段に供給される。第一抽出蒸留塔4の塔底から共役ジエン類を含有する溶剤が放散塔8の塔頂より数段下へ供給され、塔内で共役ジエン類と溶剤が分離される。塔底温度は、通常0.5〜5気圧である塔内圧力における溶剤の沸点になるように操作する。放散塔8の塔頂からは、共役ジエン類が取り出され、一部は、さらに第二抽出蒸留塔12へ送られ、精製操作を受け、残りは第一抽出蒸留塔4へと戻される。放散塔8の塔底からは通常100〜200℃の溶剤が取り出される。【0018】本実施形態においては、第一抽出蒸留塔の塔底近くの不純物濃度の変化、第一抽出蒸留塔塔頂より放出されるガス中の共役ジエン類濃度の変化を検出し、その変化量に応じて、第一抽出蒸留塔4への溶剤供給量の制御、放散塔8から第一抽出蒸留塔4への戻り流量の制御、第一抽出蒸留塔4の塔頂での還流量の制御、および第一抽出蒸留塔4の塔底温度の制御を行うことにより、一定の濃度の共役ジエン類が抽出できる。【0019】以下、例として、C4 留分からブタジエンを分離精製するプロセスについて具体的に説明する。【0020】図1に示すように、ブタジエンを含有する原料(ナフサ中のC4 成分)BBFを蒸発塔2へ供給し、原料BBFをガス化する。蒸発塔2では、BBFをガス化するために、塔内温度が、好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは40〜80℃に保持され、塔内圧力は、絶対圧力で、好ましくは2〜8気圧、さらに好ましくは4〜6気圧に保持される。【0021】この蒸発塔2にてガス化された原料BBFは、次に、第1抽出蒸留塔4へ供給される。第1抽出蒸留塔4には、ガス化された原料BBFと共に抽出溶剤が供給される。第1抽出蒸留塔4へ供給される溶剤の量は、後述するように制御されるが、一般的には、原料BBFが100重量部に対して、好ましくは100〜1000重量部、さらに好ましくは200〜800重量部となるように供給する。溶剤の温度は、低い方が溶解度が高く好ましいが、第1抽出蒸留塔4の内部温度や還流量の増減に影響するために、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは20〜60℃である。【0022】抽出溶剤としては、共役ジエン類の一例としてのブタジエンを溶解抽出することができるものであれば、特に限定されないが、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、イソプレンサイクリックサルホン、アセトニトリル、アルコール、グリコール、N−メチルロールダミン、N−エチルコハク酸イミド、N−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシルエチルピロリドン、N−メチル−5−メチルピロリドン、フルフラール、2−ヘプテノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトン酢酸アミド、 モルホリン、N−ホルミルモルホリン、N−メチルモルホリン−3−オン、スルホラン、メチルカルビトール、テトラヒドロフラン、アニリン、N−メチルオキサゾリドン、N−メチルイミダゾール、N,N’−ジメチルイミダゾリン−2−オン、1−オキソ−1−メチルフォスホリン、メチルシアノアセテート、エチルアセトアセテート、エチルアセテート、マロン酸ジメチルエステル、プロピレンカーボネート、メチルカービトール、トリエチルホスフェート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。本実施形態では、抽出溶媒としては、これらのうち、アミド化合物、特にジメチルホルムアミドが好適である。【0023】抽出溶媒は、第1抽出蒸留塔4において、共役ジエン類を含有する石油留分(原料BBF)を供給する段(石油留分供給段)よりも上段の位置に設けられた抽出溶媒供給段から第1抽出蒸留塔4に供給される。【0024】図1および2に示す第1抽出蒸留塔4の塔頂において、揮発度(溶解度)がブタジエン以上のガスを分離し、原料BBFからブタジエン分を分離した残存ガスBBRを取り出し、塔底からは高濃度のブタジエン抽出液を取り出すために、第1抽出蒸留塔4の塔底圧力は、絶対圧力で、好ましくは、1〜10気圧、さらに好ましくは5〜7気圧、塔底温度は、好ましくは、100〜160℃、さらに好ましくは110〜130℃に制御される。【0025】第1抽出蒸留塔4の塔底において、塔底から出ていく溶剤に溶け込むC4留分の溶解量は、その塔底における溶剤量、温度、圧力によって決定される。したがって、第1抽出蒸留塔4の塔底から一定濃度のブタジエン抽出液を取り出すためには、第1抽出蒸留塔4の塔底における溶剤量、塔頂の還流量、塔底温度などを制御する必要がある。また、第1抽出蒸留塔4の塔底から取り出すブタジエン抽出液の濃度を高濃度にするためには、後述するように、第1抽出蒸留塔4の塔底から取り出した抽出液、または必要に応じて放散塔8を介して溶媒を除去した一部を第1抽出蒸留塔4へ戻す必要がある。本実施形態では、後述するように、第1抽出蒸留塔4の塔底から取り出した抽出液を第1抽出蒸留塔4への戻り量の制御をも行っている。【0026】第1抽出蒸留塔4の塔頂から取り出された残存ガスBBRは、図示省略してある残存成分タンクへ送り、残存ガスBBRの一部は、図示省略してある凝縮器にて凝縮して第1抽出蒸留塔4の塔頂に戻して還流させる。この残存ガスBBRの還流量も、後述するように制御される。【0027】図1および2に示す第1抽出蒸留塔4の塔底では、目的とするブタジエンを高濃度に含む抽出液が取り出され、放散塔8へ送られる。放散塔8では、塔底圧力が絶対圧力で1〜3気圧に保持され、塔底温度が150〜200℃に保持され、抽出液から溶剤を分離し、塔底から排出する。放散塔8の塔頂では、溶剤が分離されたブタジエンを多く含む放散ガスが発生し、その放散ガスの一部を凝縮器にて凝縮する場合は、凝縮分は、放散塔8の塔頂に戻して還流される。未凝縮分はコンプレッサ10を介して、一部は第1抽出蒸留塔4へと戻され、残りは第2抽出蒸留塔12へと送られる。放散ガスを凝縮器にて全凝縮する場合は、凝縮液の一部は放散塔8の塔頂に戻して還流され、残りはコンプレッサ10を介して、一部は第1抽出蒸留塔4へと戻され、さらにその残りが第2抽出蒸留塔12へと送られる。第1抽出蒸留塔4へ戻されるのは、このように気体として戻される場合と液体として戻される場合があるが、いずれの場合もその戻り量は、後述のように制御される。【0028】この第2抽出蒸留塔12では、揮発度(溶解度)がブタジエン以下の不純物を塔底から分離し、塔頂では、高濃度のブタジエンを含むガスを取り出すために、塔底圧力が絶対圧力で3〜6気圧に保持され、塔底温度が100〜150℃に保持される。この第2抽出蒸留塔12の塔底から分離された不純物を多く含む抽出液は、第1放散塔13へ導かれる。第1放散塔13では、塔底圧力が絶対圧力で1〜3気圧に保持され、塔底温度が120〜180℃に保持され、抽出液からブタジエンを分離し、ブタジエンを含む放散ガス2を放散塔8の凝縮器入り口へと戻す。第1抽出蒸留塔4の塔底液は、第二放散塔14へと送られる。第二放散塔14では、塔底圧力が絶対圧力で1〜3気圧、塔底温度が150〜200℃に保持され、抽出液から溶剤を分離し、塔底から排出され再使用される。放散ガスは塔頂から排出される。【0029】第2抽出蒸留塔12の塔頂から取り出したブタジエンを多く含む蒸留ガスは、低沸点物除去塔16および高沸点除去塔18へと順次送られる。低沸点物除去塔16では、塔底圧力を3〜7気圧、塔底温度を30〜60℃にすることで、ブタジエンよりも低沸点の不純物であるメチルアセチレンを除去する。また、高沸点物除去塔18では、塔底圧力で3〜7気圧、塔底温度を40〜70℃にすることで、ブタジエンよりも高沸点の不純物、例えば、シス−2−ブテン、1,2−ブタジエン、エチルアセチレンなどを除去する。本実施形態では、最終的に得られる抽出液中のブタジエンの濃度は99%以上となる。【0030】次に、図2〜4を主として参照し、本実施形態に係る第1抽出蒸留塔4の制御装置および制御方法について説明する。【0031】図2に示すように、第1抽出蒸留塔4の中段には、ブタジエンを含む原料(石油留分)BBFが供給される原料供給ライン20が接続してある。原料供給ライン20には、原料流量計21が装着してあり、第1抽出蒸留塔4へ供給する原料の流量を計測するようになっている。原料流量計21で計測した原料流量データは、予測制御手段60へ入力するようになっている。予測制御手段60は、メモリ回路を持つ特定の電気回路、汎用パソコン、汎用コンピュータ、大型コンピュータなどで構成してあり、後述する制御を行うためのプログラムが記憶してある。なお、後述する制御を行うためのプログラムの代わりに、そのような動作を行う論理回路であっても良い。【0032】第1抽出蒸留塔4において、原料供給ライン20の上段側には、溶剤供給ライン22が接続してあり、ブタジエンの抽出溶剤を第1抽出蒸留塔4内に供給するようになっている。溶剤供給ライン22には、溶剤流量制御弁23が装着してあり、予測制御手段60からの出力信号に基づき、第1抽出蒸留塔4内に供給する流量を制御するようになっている。制御方法については後述する。【0033】第1抽出蒸留塔4の塔頂には、残存ガス排出ライン24が接続してあり、第1抽出蒸留塔4内で原料からブタジエンを抽出した残りの残存ガス(ただし、多少のブタジエンは含まれる)の一部を図示省略してある残存成分タンクへと排出するようになっている。排出ライン24には、還流ライン26も接続してあり、排出ライン24で取り出した残存ガスの一部を、第1抽出蒸留塔4内の塔頂部へ還流するようになっている。【0034】第1抽出蒸留塔4の塔頂近くの排出ライン24には、塔頂におけるブタジエン濃度を検出するための目的物濃度センサ25(目的物濃度検出手段)と、塔頂での内部圧力を計測するための塔頂圧力センサ27が装着してある。目的物濃度センサ25としては、たとえばガスクロマトグラフィを用いることができる。圧力センサ27としては、汎用の圧力センサを用いることができる。これらセンサ25および27の出力信号は、予測制御手段60へ入力される。【0035】還流ライン28には、還流量制御手段としての制御弁28が装着してあり、予測制御手段60からの出力信号により制御弁28の開度を制御し、還流量を制御するようになっている。【0036】図2に示す例では、第1抽出蒸留塔4には、その塔頂内と塔底内との圧力差圧を検出する差圧検出手段として差圧センサ30が装着してある。この例では、差圧センサ30で検出した塔頂−塔底差圧データは、予測制御手段60へ入力するようになっている。この圧力差圧の変化による予測制御は、抽出物の組成の安定性への寄与は小さいが、安全性の面への寄与が大きく、予測制御を行うことが好ましい。【0037】第1抽出蒸留塔4の下から7段目には、7段目において存在するトランス−2−ブテンおよびシス−2−ブテンなどの不純物の濃度を計測する第1および第2不純物濃度センサ(不純物濃度検出手段)32および34が装着してある。第1不純物濃度センサ32が、シス−2−ブテンの濃度を検出し、第2不純物濃度センサ34がトランス−2−ブテンの濃度を計測するようになっている。これら濃度センサ32および34は、これらの濃度を検出することができるものであれば特に制限はないが、たとえばガスクロマトグラフィなどで構成される。これら濃度センサ32および34で検出した濃度データは、予測制御手段60へ入力するようになっている。【0038】なお、第1センサおよび第2センサの位置は第1抽出蒸留塔4の下から7段目に限定されない。例えば、下から15段目のあたりでも、放散塔8からの放散ガスライン44上でも、凝縮液ライン51でもよい。これらの部位では、濃度データは一致しないものの、濃度変化量は強い相関関係を有し、いづれかの位置での濃度を連続的に測定していれば、他の部位での濃度も正確に判断できる。また、予測制御手段においては、濃度データを濃度変化データに変換して用いているので、これらの部位での濃度変化が正確に測定できれば、正確な予測制御が可能である。【0039】第1抽出蒸留塔4の塔底には、塔底温度制御手段としての塔底ヒータ36が具備してあり、予測制御手段60からの濃度変化データに応じた出力信号に基づき、塔底温度を制御するようになっている。塔底温度は、前述したように、一般的には、100〜160℃に保持されるが、本実施形態では、この温度範囲内で、予測制御手段60からの出力信号に基づき、塔底温度を制御する。リボイラー36の熱源としては、スチームに限らず、温水、熱媒などを例示することができる。もちろん、このリボイラー36は温度制御が可能である。【0040】第1抽出蒸留塔4の塔底には、第1抽出ライン38が接続してあり、塔底に存在するブタジエンを高濃度に含む抽出液(溶剤含有)は放散塔8に送られる。放散塔8では、前述したように、抽出液から溶剤を分離し、塔底から排出する。放散塔8の塔頂では、溶剤が分離されたブタジエンを多く含む放散ガスが発生し、そのガスは、その塔頂から第3抽出ライン44を通してコンプレッサ10により第2抽出蒸留塔12へと送られる。第3抽出ライン44には、戻りライン46が接続してある。戻りライン46は、第1抽出蒸留塔4の塔底近くの段に接続してあり、第3抽出ライン44を通して運ばれるブタジエンを多く含む放散ガスまたはその凝縮液を第1抽出蒸留塔4内に戻すようになっている。【0041】戻りライン46には、ライン内流量を検出する戻り流量計50、ラインを流れる流体の流量を制御する戻り流量制御弁48が装着してある。制御弁48は、予測制御手段60からの出力信号に応じて制御され、戻りライン46を通して第1抽出蒸留塔4内に戻される流体の流量を制御する。制御弁48および流量計50が戻り量制御手段に相当する。放散ガスの一部を気体のまま第一抽出蒸留塔4へ戻した場合は、放散ガスの残りは、圧力センサー52の値を制御弁56で制御しながら、第二抽出蒸留塔12へと送られる。放散ガスの凝縮液を第一抽出蒸留塔4へ戻した場合は、凝縮液の残りは、凝縮液受ドラムの液レベルを制御弁56で制御しながら第二抽出蒸留塔12へと送られる。【0042】本発明においては、予測制御手段は特に限定されないが、一例として、図3および4に基づき、図2に示す予測制御手段60による制御方法を説明する。図3に示すステップS1にて制御がスタートすると、ステップS2にて、図2に示す予測制御手段60は、データCVi(i=1〜4)を読み込む。CV1は、図2に示す抽出蒸留塔2の7段目において不純物濃度センサ32により検出したシス−2−ブテンの濃度データである。CV2は、図2に示す抽出蒸留塔2の7段目において不純物濃度センサ34により検出したトランス−2−ブテンの濃度データである。CV3は、図2に示す抽出蒸留塔2の塔頂に装着してある目的物濃度センサ25により検出したブタジエンの濃度データである。CV4は、図2に示す抽出蒸留塔2の差圧センサ30により検出した塔頂−塔底差圧データであって、前述のように制御に必須のデータではないが、これを用いて制御すると安全性が高まるので、用いることが好ましいものである。【0043】次に、図3に示すステップS3では、図2に示す予測制御手段60に記憶してある制御モデルから、前記データCV1〜CV4に基づき、t秒後のデータCV1〜CV4を予測し、その値をFCV1〜FCV4とする。予測制御手段60に記憶してある制御モデルは、以下の数式に基づき決定される制御モデルであり、実際の第1抽出蒸留塔4における測定データCV1〜CV4と制御操作対象(戻り量MV1、溶剤量MV2、還流量MV3、塔底温度MV4)との関係を数式によりモデル化したものである。【0044】【数1】【0045】上記式において、Gijは、CVi(i=1〜4)とMVj(j=1〜4)との伝達関数を示し、Sは、ラプラス変換計算のパラメータであり、aij、bij、cijは、CVi(i=1〜4)とMVj(j=1〜4)との組合せに対応するプロセス固有の値であり、ステップテストの結果により求められる。なお、ステップテストとは、MVj(j=1〜4)を任意量ステップ状に変化させて、CVi(i=1〜4)の応答データを求めることである。【0046】このような数式によりモデル化された制御モデルを用いて、図3に示すステップS3では、所定時間(t秒)後のデータCV1〜CV4を予測し、その値をFCV1〜FCV4とする。なお、t秒後とは、特に限定されないが、たとえば600〜3600秒後である。【0047】次に、図3に示すステップS4では、各データCV1〜CV4毎に予め設定された目標値PCViと前記の予測値FCViとの差Ai(i=1〜4)を計算する。次に、ステップS5では、これらの差Aiが−αi(マイナス許容値)から+αi(プラス許容値)の所定範囲内にあるか否かを確認する。これらの差Aiが所定範囲内にあるとは、t秒後のCViの予測値FCViが、それぞれ許容範囲内にあることを意味する。なお、許容値αiは、CVi毎に決定され、特に限定されないが、各目標値PCViの1〜10%程度である。【0048】ステップS5にて、これらの全ての差Aiが許容値であれば、t秒後のCViの予測値FCViが許容範囲であるので、制御操作対象MV1〜MV4を現在の状態に維持し、ステップS2以降のステップを繰り返す。ステップS5にて、これらの差Aiのうちの一つでも許容値から外れた場合には、該当する予測値FCViが許容範囲から外れることを意味するので、ステップS6へ行き、許容値から外れた予測値FCViを、許容値に入る方向に変動させるように、制御操作対象MViの現在の設定値を変更する。たとえば許容値から外れた予測値FCViを下げる方向に制御したい場合には、図4に示す矢印の方向に、制御操作対象MViの現在の設定値を変動させる。図4において、上向きの矢印が、制御操作対象MViの現在の設定値を上げることを意味する。【0049】たとえば図2に示す濃度センサ32で検出したデータCV1に対応する7段シス−2−ブテンの濃度予測値FCV1が所定範囲から外れて上昇する場合には、この7段シス−2−ブテンの濃度予測値FCV1を下げるために、以下のように制御操作対象MViの現在の設定値を変化させる。すなわち、図2に示す予測制御手段60により制御弁48を操作して、戻りライン46を通して第1抽出蒸留塔2へ戻る戻り量MV1を増大させる。また、図2に示す予測制御手段60により制御弁23を制御して、溶剤供給ライン22を通して第1抽出蒸留塔4へ供給される溶剤量MV2を減少させる。また、図2に示す予測制御手段60により還流ライン26の制御弁28を制御して、還流量MV3を減少させる。さらに、図2に示す予測制御手段60によりヒータ36を制御して、塔底温度MV4を上昇させる。【0050】同様に、図2に示す濃度センサ34で検出したデータCV2に対応する7段トランス−2−ブテンの濃度予測値FCV2が所定範囲から外れて上昇する場合には、このFCV2を下げるために、図4に示す示す矢印の方向にしたがって、制御操作対象MViの現在の設定値を変化させる。同様に、図2に示す濃度センサ25で検出したデータCV3に対応する塔頂におけるブタジエン濃度の予測値FCV3が所定範囲から外れて上昇する場合には、このFCV3を下げるために、図4に示す示す矢印の方向にしたがって、制御操作対象MViの現在の設定値を変化させる。図2に示す差圧センサ30で検出したデータCV4に対応する塔頂−塔底差圧の予測値FCV4が所定範囲から外れて上昇する場合には、このFCV4を下げるために、図4に示す示す矢印の方向にしたがって、制御操作対象MViの現在の設定値を変化させることが、安全上好ましい。なお、データCV1〜CV4に対応する予測値FCV1〜FCV4が所定範囲から外れて低下する場合には、図4に示す矢印と逆の方向に、予測制御手段60により制御操作対象MViを制御する。【0051】このような本実施形態に係る第1抽出蒸留塔4の制御方法を実施することで、7段シス−2−ブテンの濃度CV1の変動幅を0.63%(min8.50−max9.13%)程度に小さくすることができる。ちなみに従来の制御では、7段シス−2−ブテンの濃度CV1の変動幅は1.29%(min7.79−max9.08%)であった。また、本実施形態の方法によれば、7段トランス−2−ブテンの濃度CV2の変動幅を0.32%(min1.35−max1.67%)程度に小さくすることができる。ちなみに従来の制御では、7段トランス−2−ブテンの濃度CV2の変動幅は0.54%(min1.28−max1.82%)であった。また、本実施形態の方法によれば、塔頂ブタジエン濃度CV3の変動幅を0.21%(min0.19−max0.40%)程度に小さくすることができる。ちなみに従来の制御では、塔頂ブタジエン濃度CV3の変動幅は0.29%(min0.13−max0.42%)であった。【0052】本実施形態の装置および方法によれば、第1抽出蒸留塔4の塔底付近において、不純物としてのシス−2−ブテンおよびトランス−2−ブテンの濃度CV1およびCV2の変動幅を抑制すると共に、塔頂ブタジエン濃度の変動幅を抑制することで、塔底から取り出す抽出液に含まれるブタジエンの濃度を安定化させることができる。その結果、その後のプロセスで共役ジエン類の純度を高めることが容易になり、安定して高純度の共役ジエン類を得ることができる。【0053】第2実施形態本実施形態では、共役ジエン類以外の不飽和炭化水素の分離精製プロセスについて説明する。本実施形態では、図1に示す前記第1実施形態のC4 留分またはC5 留分からの共役ジエン類の分離精製プロセスで副次的に発生した残存ガスBBR(原料BBFからブタジエン分を分離した残存ガス)を原料として、ブテン類を分離精製する。【0054】残存ガスBBR中には、ブテン類が30〜80%含まれており、その他がブタン類となる。図5に示すように、残存ガスBBRは、蒸発塔101へ供給され、そこで気化させて抽出蒸留塔102へと供給される。【0055】また、溶剤は、第一抽出蒸留塔102のBBR供給部位より上段に供給される。抽出蒸留塔102の塔底からブテン類を含有する溶剤が取り出される。BBRに含まれているブタン類のほとんどは、塔頂から排出される。抽出蒸留塔102の塔底から取り出されたブテン類を含有する溶剤は、放散塔103の塔頂より数段下へ供給され、放散塔塔内でブテン類と溶剤が分離される。【0056】抽出蒸留塔102の塔底温度は、通常0.5〜5気圧である塔内圧力における溶剤の沸点になるように操作する。放散塔103の塔頂からは、ブテン類が取り出され、一部は、さらに溶剤回収塔105へ送られ、残りは抽出蒸留塔102へと戻される。放散塔103の塔底からは通常100〜200℃の溶剤が取り出される。溶剤回収塔105では塔頂よりブデン類が回収され、塔底からは溶剤とブデン類の混合液が抽出蒸留塔102の塔底へ戻される。塔105から回収されたブテン類は、n−ブテン、イソブテン、1−ブテン、2−ブテンの混合物となっているのが一般的である。これらの分離精製が必要な場合は、分離精製を困難にするブタン類がほとんど除去されているので、通常の蒸留操作により容易に分離精製することができる。【0057】本実施形態においては、抽出蒸留塔102の塔底近くの不純物濃度の変化、抽出蒸留塔塔頂102より放出されるブタン類ガス中のブテン類濃度の変化を検出し、その変化量に応じて、抽出蒸留塔102への溶剤供給量の制御、放散塔103から溶剤回収塔105を経て抽出蒸留塔102へ戻る戻り流量の制御、抽出蒸留塔102の塔頂での還流量の制御、および抽出蒸留塔102の塔底温度の制御を行うことにより、一定の濃度のブテン類が抽出できる。本実施形態では、最終的に得られる抽出液中のブテン類の濃度は99%以上となる。【0058】本実施形態に係る抽出蒸留塔102の制御装置および制御方法は、図2に示す第1抽出蒸留塔4の場合に比較し、供給される原料がBBFからBBRに代わり、塔頂から排出されるガスがBBRからブタン類を含むガスに代わり、CV1およびCV2として検出される不純物が、シス−2−ブテンおよびトランス−2−ブテンから、n−ブタンなどのブタン類に代わり、抽出蒸留塔102の底部から抽出される抽出液が共役ジエン類からブテン類に代わる以外は、同様なので、その説明は省略する。【0059】本実施形態の装置および方法によれば、抽出蒸留塔102の塔底付近において、不純物としてのブタン類の濃度CV1およびCV2の変動幅を抑制すると共に、塔頂におけるブテン類の濃度の変動幅を抑制することで、塔底から取り出す抽出液に含まれるブテン類の濃度を安定化させることができる。その結果、その後のプロセスでブテン類の純度を高めることが容易になり、さらに塔頂でのブテン類の損失を抑制でき安定して高純度のブテン類を得ることができる。【0060】その他の実施形態なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。【0061】たとえば、上記第1実施形態では、第1抽出蒸留塔4には、不純物濃度検出手段として、二つの不純物濃度センサ32および34を用いたが、本発明では、いずれか一つの不純物濃度センサ32または34とし、他の一つを省略しても良い。これらの濃度センサ32および34により検出されるシス−2−ブテンの濃度とトランス−2−ブテンの濃度とは、相関関係にあり、いずれか1の濃度のみを検出して濃度変動を抑制することで、他の1の濃度変動も抑制することができるからである。ただし、省略するのであれば、シス−2−ブテンの濃度を検出する不純物濃度センサ32を省略することが好ましい。シス−2−ブテンの除去は、第1抽出蒸留塔4の後プロセスでも除去できるからである。なお、この点は、第2実施形態でも同様である。【0062】また、上述した第1実施形態では、目的とするブタジエンの濃度を抽出蒸留塔4の塔頂にて検出したが、本発明では、塔頂に限らず、その他の位置であっても良い。ただし、塔頂にて検出することが最も好ましい。この点も、第2実施形態でも同様である。【0063】【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る装置および方法によれば、原料成分のばらつきによらず目的とする不飽和炭化水素を所定濃度で安定して取り出すことができる。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は共役ジエン類の分離精製装置の全体構成を示す概略図である。【図2】 図2は図1に示す第1抽出蒸留塔の制御方法を示す概略図である。【図3】 図3は図2に示す予測制御手段の制御方法を示すフローチャート図である。【図4】 図4は測定データと制御操作対象との関係を示すグラフである。【図5】 図5はブテン類の分離精製装置の全体構成を示す概略図である。【符号の説明】2… 蒸発塔4… 第1抽出蒸留塔6… 予備放散塔8… 放散塔10… コンプレッサ12… 第2抽出蒸留塔20… 原料供給ライン22… 溶剤供給ライン23… 溶剤量制御弁(溶剤量制御手段)25… 目的物濃度センサ(目的物濃度検出手段)26… 還流ライン28… 還流量制御弁(還流量制御手段)30… 差圧センサ(差圧検出手段)32,34… 不純物濃度センサ(不純物濃度検出手段)36… リボイラー(塔底温度制御手段)46… 戻りライン48… 制御弁(戻り量制御手段)50… 流量計(戻り量制御手段)60… 予測制御手段 不飽和炭化水素を含有する原料と溶剤とが供給され、当該原料を蒸留して目的とする不飽和炭化水素を分離精製する抽出蒸留塔と、前記抽出蒸留塔または抽出蒸留塔に接続されるその他の塔での目的とする不飽和炭化水素以外の特定不純物の濃度を検出する不純物濃度検出手段と、前記抽出蒸留塔または抽出蒸留塔に接続されるその他の塔における目的とする不飽和炭化水素の濃度を検出する目的物濃度検出手段と、前記抽出蒸留塔の塔底から取り出した目的とする不飽和炭化水素を含む流体の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ戻す戻り量制御手段と、前記抽出蒸留塔へ供給される溶剤の量を制御する溶剤量制御手段と、前記抽出蒸留塔の塔頂から取り出した原料の残存成分の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ還流させる還流量制御手段と、前記抽出蒸留塔の塔底の温度を制御する塔底温度制御手段と、前記不純物濃度検出手段および目的物濃度検出手段により検出した検出値に基づき、所定時間後の特定不純物の濃度、目的とする不飽和炭化水素の濃度の予測値を算出し、当該予測値に基づき、前記戻り量制御手段、溶剤量制御手段、還流量制御手段および塔底温度制御手段を制御する予測制御手段とを有する不飽和炭化水素の分離精製装置。 目的とする不飽和炭化水素を含有する原料と溶剤とを抽出蒸留塔に供給する工程と、前記抽出蒸留塔または抽出蒸留塔に接続されるその他の塔での目的とする不飽和炭化水素以外の特定不純物の濃度を検出する工程と、前記抽出蒸留塔または抽出蒸留塔に接続されるその他の塔における目的とする不飽和炭化水素の濃度を検出する工程と、前記抽出蒸留塔の塔底から取り出した目的とする不飽和炭化水素を含む流体の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ戻す工程と、前記抽出蒸留塔へ供給される溶剤の量を制御する溶剤量の制御工程と、前記抽出蒸留塔の塔頂から取り出した原料の残存成分の一部を流量制御して前記抽出蒸留塔へ還流させる還流量の制御工程と、前記抽出蒸留塔の塔底の温度を制御する塔底温度の制御工程と、前記不純物濃度検出工程および目的物濃度検出工程により検出した検出値に基づき、所定時間後の特定不純物の濃度、目的とする不飽和炭化水素の濃度の予測値を算出し、当該予測値に基づき、前記戻り量、溶剤量、還流量および塔底温度を制御する予測制御工程とを有する不飽和炭化水素の分離精製方法。