生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_生の果物、野菜、キノコおよびそれらの凍結乾燥物を用いる簡便な消臭方法
出願番号:1998236217
年次:2011
IPC分類:A61K 36/73,A61K 8/97,A61L 9/01,A61P 1/00,A61Q 13/00


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根岸 紀 JP 4616428 特許公報(B2) 20101029 1998236217 19980721 生の果物、野菜、キノコおよびそれらの凍結乾燥物を用いる簡便な消臭方法 根岸 紀 598113999 江幡 敏夫 100100734 根岸 紀 20110119 A61K 36/73 20060101AFI20101222BHJP A61K 8/97 20060101ALI20101222BHJP A61L 9/01 20060101ALI20101222BHJP A61P 1/00 20060101ALI20101222BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20101222BHJP JPA61K35/78 HA61K8/97A61L9/01 RA61P1/00A61Q13/00 A61K 36/73 A61K 8/97 A61L 9/01 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平01−269452(JP,A) 特開平09−038183(JP,A) 特開平08−259453(JP,A) 特公平03−055088(JP,B2) 特開平08−059486(JP,A) NEGISHI O et al,Effect of Polyphenol Oxidase on Deodorization,Biosci Biotechnol Biochem ,1997年,Vol.61,No.12,Page.2080-2084 1 2000038339 20000208 9 20050516 鶴見 秀紀 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は口臭、人の排泄物の臭いなど人に関係のある臭いを消去する為の方法およびその方法に用いられる材料に関する。【0002】【従来の技術】口臭や人間の排泄物の臭いを消去する方法として、お茶のカテキン類やマッシュルーム抽出物などを使用し、悪臭の原因物質を捕捉除去する方法が知られている。これらのカテキン類などのポリフェノールを単独で使用する方法に加え、さらに、ポリフェノールオキシダーゼを添加し共存させることにより、消臭効果を高める方法がある。これらは、いづれも地球環境に優しい方法である。【0003】しかし、いづれの方法においても、悪臭を消去するために用いる基材を野菜やキノコから抽出・精製することが必須であるし、また、熱に不安定な酵素であるため、その操作条件も制限されてしまう。しかも、これらの方法を達成するためには、時間、動力と経費等がかかる上、人間に用いる場合、全く安全であるとは必ずしも言い難い。【0004】【発明が解決しようとする課題】そこで、消臭効果が従来から知られている方法と同等あるいはそれ以上であって、地球環境に優しく、しかも人体にも安全で、さらに、加工する時間、動力、経費等がかからない、あるいは少なくてすむ方法を開発することが本発明の課題である。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、カテキン類等のポリフェノール化合物やポリフェノールオキシダーゼが果物、野菜およびキノコに共存することに着目し、これら果物、野菜およびキノコの中から幾つか選んで食べてみると大きな消臭効果が得られたという知見を得、さらに検討を加え、遂に本発明に到達したものである。【0006】本発明では、果物、野菜およびキノコ中のポリフェノール化合物が、内在のポリフェノールオキシダーゼによって酸化された後、さらに反応性の高いラジカルを持った構造になり、悪臭物質と反応して消臭効果を発揮するものである。本発明における特徴として、同じ果物、野菜およびキノコ中に両基材は存在するため、内在のポリフェノール化合物に対するポリフェノールオキシダーゼの基質特異性が高い、すなわち他の化合物よりもポリフェノール化合物に対する酵素の反応性が高いことが上げられる。すなわち、生の果物、野菜およびキノコを食することによって高い消臭効果が上げられると推定される。【0007】以下に本発明を詳しく説明する。本発明は、生の果物、野菜およびキノコを用いることを特徴とする簡便な消臭法である。本発明での生の果物、野菜およびキノコは、切断したりキズを付けたりしたときに褐変あるいは変色する果物、野菜およびキノコが好ましい。これらは少なくともポリフェノール化合物とポリフェノールオキシダーゼを含むものである。【0008】果物としては、例えば、リンゴ、ナシ、ビワ、モモ、スモモ、プルーン、アンズ、サクランボ、カキ、ブドウ、ブルーベリー、バナナ、アボガドなど、切ったり、傷を付けた時に褐変するものを挙げることができる。果物には、摘果後、廃棄される未熟果実、例えば、未熟なリンゴやナシなども含む。未熟果物を用いた場合、ポリフェノールおよびポリフェノールオキシダーゼの濃度が成熟した果物よりも高い、すなわち両物質が凝集されているという利点が上げられる。これを使用することによって反応性が増し、消臭効果が向上すると考えられる。【0009】野菜としては、例えば、キャベツ、ホウレンソウ、レタス類、エンダイブ、チコリ、トレビス、セロリ、ウド、シソ、ペパーミント、バジル、クレソン、パセリ、ミョウガ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、ショウガ、ホースラデイッシュ、ワサビ、ナス、キュウリ、メロン、オクラなどを挙げることができる。 キノコとしては、マッシュルーム(Agaricus bisporus)を挙げることができる。【0010】果物、野菜およびキノコの加工品としては、酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)活性が維持されたものであればどのようなものでもよい。好ましいものとして凍結乾燥品が挙げられる。凍結乾燥品に調製するために用いる材料は、市場に出回る期間が限られ、長期保存が効かないものに特に有効である。凍結乾燥品の調製方法は公知の方法を使用することができる。通常、先ず、果物は皮を剥かずに4つ割〜8つ割にして急冷凍する。野菜のうち、根菜や果菜では果物と同様に処理し、また、他の野菜やキノコはそのまま急冷凍する。次に、凍結された食物を凍結乾燥機を用いて乾燥することにより容易に得ることができる。【0011】実際に食するときは、果物であれば、すり下ろして褐変しはじめる直前に食べる、あるいは口に含んだときに、良く噛んで空気と接触させる必要がある。野菜やキノコの場合にも、よく噛んで空気と接触させて食べる必要がある。また、凍結乾燥品の場合には、先ず、少量の水とともに口に含むか、あるいは凍結乾燥品を水に浸して吸水させ、生の食物に近い状態にし、その後は、凍結乾燥してないものと同様によく噛んで空気と接触させて食べる必要がある。他の食べ方として、凍結乾燥品をミキサーで粉末にした後、水に懸濁してすぐに飲んでもよい。本発明において実際に食する果物、野菜やキノコあるいはそれらの加工品の量は、果物、野菜、キノコ、それらの加工品によって異なり、一概に言うことはできないが、通常、10〜200g程度で十分である。【0012】さらに、「食べる」すなわち「飲み込む」ことによって、口腔内の他に咽頭や食道の壁に付いている悪臭物質および胃中の悪臭物質に作用すると考えられる。また、最終的に腸でもポリフェノール化合物の作用が現われ、排泄物の臭いも軽減され、総合的に体外へ放出される臭いを軽減できると推定される。【0013】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。【0014】実施例1〜19ミニミキサーのチャンバー(300ml)に水20ml、果物40gおよび15%メチルメルカプタン溶液4μlを入れ、7,000rpmで10秒間磨砕・撹拌し、20秒間静置する操作を5分間繰り返した。その後、チャンバー中のヘッドスペースガス20mlを検知管〔ガステック(株)〕に通して、メチルメルカプタンの残量を測定し、消臭率を算出した。結果を表1に示す。比較例1果物を除く以外は実施例1〜19と同様な方法により試験した。結果を表1に示す。【0015】【表1】【0016】実施例20〜35実施例1〜19の果物の代わりに野菜とキノコを用いた以外は実施例1〜19と同様に試験した。得られた結果を表2に示す。比較例2野菜あるいはキノコを除く以外は実施例20〜35と同様な方法により試験した。結果を表2に示す。【0017】【表2】【0018】実施例36〜43表3記載の果物、野菜およびキノコを用いてそれらの量および経過時間を変えて試験した。得られた結果を表3に示す。【0019】【表3】【0020】実施例44夕食時にすり下ろしたニンニク10gをスープと一緒に食べた。翌朝、100gの水とともに100gの御飯を食べ、空腹時の胃から出てくる臭いを抑えた。さらに、リンゴ(祝)300gをすり下ろして褐変しはじめる直前に良く噛みながら10分かけて食べた。経時的に口臭をポリエステルフィルムでできたニオイ袋に採集し、ニオイセンサ(新コスモス電機株式会社製XP−329S型)で測定するとともに、リンゴを食べた前後の口臭(呼気)の官能検査も行った。ニオイセンサによる測定値は、マニュアルに従ってニオイ袋中のガスをセンサに吸引させ、270秒後のセンサの指示値を読み、ゼロガス(活性炭を通した空気)より得られた指示値との差から求めた。官能検査は、4人のパネラーによる評点法で行った。評点(スコア)については、不快の強さが大変強い(7)から大変弱い(1)までの7段階で評価させた。結果を表4に示す。比較例3実施例44で用いたリンゴ(祝)の代わりに電子レンジで煮ることによって酵素を失活させたリンゴを用いた以外は実施例44と同様な方法で試験した。結果を表4に示す。酵素を失活させたリンゴに比べ、生のリンゴでは顕著に不快臭が減少した。【0021】【表4】【0022】実施例45〜47夕食時にすり下ろしたニンニク10gをスープと一緒に食べた。翌朝、100gの水とともに100gの御飯を食べ、空腹時の胃から出てくる臭いを抑えた。さらに、凍結乾燥した果物および未熟果実1〜3個分(約20g)を水100gとともに良く噛みながら10分かけて食べた。凍結乾燥した果物を食べた前後の口臭(呼気)をポリエステルフィルムでできたニオイ袋に採集し、口臭の比較を官能検査(3〜4人のパネラーによる評点法で実施例44と同様に評価した)で行った。結果を表5に示す。いづれの場合も果物を食べる前に比べ、食べた後では有意に不快臭が減少した。【0023】【表5】【0024】【発明の効果】本発明である果物、野菜およびキノコを用いる消臭方法は、ポリフェノール化合物とポリフェノールオキシダーゼとの両方を含む生の果物、野菜、キノコおよびそれらの凍結乾燥物を食することにより口腔内で両者が混合し反応が進行するもので、実に簡便な方法である。一つの果物、野菜およびキノコ中に共存するが上に、反応性は高く、優れた消臭効果を奏する。また、安全性においては、これ以上のものはなく、時間、動力、二次的に素材を調製する経費は不要であるか、あるいはごくわずかである。 生のリンゴ、ナシ、あるいはプルーンの凍結乾燥物を有効成分として含有する口臭あるいは体臭のための経口用消臭剤。


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