タイトル: | 特許公報(B2)_基板計測装置 |
出願番号: | 1998210352 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,G01B11/30,G01N21/65 |
楠田 達文 JP 3602966 特許公報(B2) 20041001 1998210352 19980708 基板計測装置 大日本スクリーン製造株式会社 000207551 下出 隆史 100097146 五十嵐 孝雄 100096817 市川 浩 100102750 楠田 達文 20041215 7 G01B11/30 G01N21/65 JP G01B11/30 101A G01N21/65 7 G01B 11/00-11/30 G01N 21/62-21/74 H01L 21/66 特開平9−5237(JP,A) 6 2000028326 20000128 14 20021206 関根 洋之 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、半導体ウェハや、液晶パネル用のガラス基板、半導体製造用のフォトマスク基板等の基板に関して、基板表面の平坦度によって測定位置を決定し、その測定位置において所定の測定を行う技術に関する。【0002】【従来の技術】半導体デバイスの製造工程においては、半導体基板上に種々の処理が施される。基板にはパターンや窪み、溝などが形成され、その表面に凹凸が生じる場合がある。基板の凹凸に関係する測定を行う場合には、基板上の凹凸部分を含む領域と凹凸部分を含まない平坦な領域とを区別して測定を行う必要がある。【0003】【発明が解決しようとする課題】基板の凹凸に関する測定を行う際には、従来は、画像処理装置によって凹凸部分を含む領域と凹凸部分を含まない平坦な領域とを区別していた。【0004】しかし、このような画像処理装置は、測定装置のコストアップにつながるという問題があった。【0005】この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、複雑な画像処理を行わずに、凹凸部分を含む領域と凹凸部分を含まない平坦な領域とを区別して認識し、これに基づいて測定位置を決定するとともに、その測定位置において所定の測定を行うことができる技術を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の装置は、表面に凹凸を有する基板に対して所定の測定を行う基板計測装置であって、前記基板上の第1の測定位置において、前記第1の測定位置の近傍領域の平坦度に関係する測定値が得られる第1の測定を行う第1の測定部と、前記第1の測定位置における前記測定値に応じて得られる平坦度の指標値が所定の範囲内の値となるときに、前記第1の測定位置を第2の測定に適した第2の測定位置として決定する測定位置決定部と、前記第2の測定位置において前記第2の測定を行う第2の測定部と、を備えることを特徴とする。【0007】第1の測定部は、第1の測定位置の近傍領域において基板の平坦度に関係する測定値を測定し、測定位置決定部はその測定値から平坦度の指標値を求める。この指標値から、第1の測定位置の近傍領域内に凹凸部分がどの程度含まれるかを知ることができる。これにより、凹凸部分を含む領域と凹凸部分を含まない平坦な領域とを区別することができるので、第2の測定位置を平坦度の指標値に基づいて容易に決定し、所定の測定を行うことが可能となる。【0008】上記基板計測装置において、前記第2の測定位置の近傍領域は、凹凸を含む領域であり、前記第2の測定部において行われる前記第2の測定は、前記凹凸に関する測定であるようにしてもよい。【0009】また、上記基板計測装置において、前記第1の測定部は、前記第1の測定位置に第1の光スポットを照射し、前記第1の光スポットからの反射光を前記第1の測定位置の近傍領域の平坦度に関係する前記測定値として得ることが好ましい。【0010】第1の光スポットからの反射光は、第1の測定位置の近傍領域内の基板の平坦度に関係する。すなわち、第1の測定位置の近傍領域に凹凸部分を含む場合には、凹凸部分による乱反射などにより、凹凸部分を含まない平坦な場合の反射光とは異なるものとなる。したがって、反射光を測定することにより、第1の測定位置の近傍領域内の基板の平坦度を知ることができる。【0011】上記基板計測装置において、前記第1の測定部は、前記基板上に形成された薄膜の膜厚値に関する測定を行う膜厚測定部であり、前記測定位置決定部は、前記薄膜の膜厚値から予測される反射光のスペクトルの予測値と前記測定値との一致度を前記指標値として求め、前記指標値が所定の閾値以下となるときに前記第1の測定位置を前記第2の測定位置として決定するようにしてもよい。【0012】第1の測定部として膜厚測定部を用いれば、基板上に形成された薄膜の膜厚値から、基板が平坦である場合の反射光スペクトルを予測することができる。したがって、反射光スペクトルの予測値と測定値との一致度を平坦度の指標値として求めれば、その指標値が所定の閾値以下となる場合に、第1の測定位置を第2の測定位置として決定することができる。【0013】また、上記基板計測装置において、前記測定位置決定部は、前記薄膜の複数の異なる膜厚値から予測される反射光のスペクトルの複数の前記予測値を予め準備し、複数の前記予測値と前記測定値との一致度の最大値を前記指標値として求めることが好ましい。【0014】薄膜の膜厚値が既知でない場合でも、膜厚値の取りうる範囲が予想できれば、その範囲の膜厚値に応じて複数の予測値を準備することができる。したがって、薄膜の膜厚値が既知でない場合でも、複数の予測値と測定値との一致度の最大値を指標値とすることによって、第1の測定位置の近傍領域内の基板の平坦度を知ることができる。【0015】上記基板計測装置において、前記第2の測定部は、前記第2の測定位置に第2の光スポットを照射し、前記第2の光スポットからの反射光を分析することによって前記第2の測定を実行する測定部であり、前記第2の光スポットは、前記第1の光スポットよりも小さくすることが好ましい。【0016】こうすれば、第2の光スポットは、第1の光スポットに含まれるため、第2の測定部による測定を精度良く行うことが可能となる。【0017】【発明の他の態様】この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。第1の態様は、表面に凹凸を有する基板に対して所定の測定を行う基板計測方法であって、(a)前記基板上の第1の測定位置において、前記第1の測定位置の近傍領域の平坦度に関係する測定値が得られる第1の測定を行う工程と、(b)前記第1の測定位置における前記測定値に応じて得られる平坦度の指標値が所定の範囲内の値となるときに、前記第1の測定位置を第2の測定に適した第2の測定位置として決定する工程と、(c)前記第2の測定位置において前記第2の測定を行う工程と、を備えることを特徴とする。【0018】第2の態様は、上記の発明の各工程または各部の機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。【0019】第3の態様は、コンピュータに上記の発明の各工程または各部の機能を実現させるコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様である。こうした態様では、プログラムをネットワーク上のサーバなどに置き、通信経路を介して、必要なプログラムをコンピュータにダウンロードし、これを実行することで、上記の方法や装置を実現することができる。【0020】【発明の実施の形態】A.第1実施例:以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施例としての基板計測装置の構成を示す説明図である。この基板計測装置には、測定対象となる半導体ウェハWを収納する収納容器10と、ウェハW上に形成された薄膜(絶縁膜)の膜厚を測定する機能を有する膜厚測定部100と、ウェハWに入射した光のラマン効果による散乱光を測定する機能を有するラマン分光測定部200とが備えられている。なお、本実施例における膜厚測定部100が本発明の第1の測定部に相当し、ラマン分光測定部200が本発明の第2の測定部に相当する。【0021】収納容器10は、その底部に水平面内で移動可能なステージ12を備えている。ウェハWは、ステージ12上に載置される。また、収納容器10の上面の中央付近には、透光性のガラス板14がはめ込まれている。ステージ12を水平面内で移動させることにより、ウェハW上の任意の位置をガラス板14の下方に移動させることができる。【0022】収納容器10の上には、2つの支持柱50,60が立設されている。支持柱50には、後述する膜厚測定部100の光出射器150が第1の調整ステージ52とブラケット54とを介して取り付けられている。他の支持柱60には、後述するラマン分光測定部200の光出射器250が第2の調整ステージ62とブラケット64とを介して取り付けられている。また、支持柱60には、2つの光出射器150,250から射出された光束をウェハWへ導くためのハーフミラー20と集光レンズ22とが取り付けられている。なお、ハーフミラー20は、ブラケット66を介して支持柱60に取り付けられており、集光レンズ22は、第3の調整ステージ68とブラケット70とを介して支持柱60に取り付けられている。【0023】第1の調整ステージ52は、光出射器150をブラケット54と共に水平方向に移動させることができる。同様に、第2および第3の調整ステージ62,68は、それぞれ光出射器250、集光レンズ22を上下方向に移動させることができる。したがって、これらの調整ステージ52,62,68によって、光出射器150,250と、集光レンズ22と、ウェハWとの位置関係をうまく調整することができる。【0024】膜厚測定部100は、信号処理部110と、光源部132と、分光器134と、光ファイバ141,142と、光出射器150とを備えている。この膜厚測定部100は、ウェハWの基板上に形成された絶縁膜の膜厚を測定する機能を有するとともに、その膜厚測定の機能を利用することによりウェハW表面の平坦度を示す指標値を決定する機能を有している。【0025】光源部132から射出された入射光束は、第1の光ファイバ141を介して光出射器150に導かれる。光出射器150は、入射光束を適切な角度で発散させつつハーフミラー20に向けて射出する。入射光束は、ハーフミラー20で反射された後、集光レンズ22とガラス板14とを通過してウェハWにほぼ垂直に入射する。ウェハWで反射された反射光束は、ガラス板14と集光レンズ22とを通過して、ハーフミラー20で反射された後、光出射器150に戻る。光出射器150に入射した反射光束は、第2の光ファイバ142を介して分光器134に導かれる。【0026】図2は、光出射器150内における光ファイバの先端部の構成を示す説明図である。図2に示すように、光ファイバの先端部では、第1と第2のファイバ141,142の分布がほぼ均一になるように円形にまとめられている。このような構成により、光出射器150の先端部から入射光束を射出できるとともに、反射光束を入射させることができる。なお、ウェハW上には、第1の光ファイバ141から射出される入射光束の像が形成されるので、ウェハW上に形成される光スポットはほぼ円形となる。【0027】信号処理部110(図1)は、図示しないメインメモリとCPUと入力装置と表示装置とを備えたコンピュータであり、そのメインメモリには、スペクトル分析部120としての機能を実現するためのコンピュータプログラムが格納されている。信号処理部110には、ウェハWによって反射される光のスペクトルの予測値Icを格納するハードディスク装置122が電気的に接続されている。スペクトル分析部120は、反射光スペクトルの予測値Icと、分光器134で測定された反射光束のスペクトルの測定値とを解析して、予測値Icと測定値との一致度から膜厚を決定することができる。本実施例においては、後述するように、この一致度をウェハWの平坦度の指標値として利用し、ラマン分光測定部200における測定位置を決定する。この説明から分かるように、スペクトル分析部120が本発明における測定位置決定部に相当する。【0028】さらに、信号処理部110には、収納容器10内のステージ12や、3つの調整ステージ52,62,68を駆動するための駆動系コントロール部36が電気的に接続されている。したがって、駆動系コントロール部36によってステージ12や3つの調整ステージ52,62,68を制御することにより、ウェハW上の測定位置を決定することができるとともに、測定系の光学的アライメントを調整することができる。【0029】ラマン分光測定部200は、光源部232と、ラマン分光計234と、光ファイバ241,242と、光出射器250とを備えている。ラマン分光測定部200は、周知のラマン分光法を実現する機能を有しており、この測定により結晶の歪みによる応力等を測定することができる。なお、本実施例においては、ラマン分光測定部200は、ウェハW上に存在する凹凸部分を測定対象領域としている。この測定対象領域の位置は、前述のように、スペクトル分析部120によって求められるウェハW上の平坦度の指標値に基づいて決定される。【0030】光出射器250から射出された入射光束は、ハーフミラー20を通過した後、集光レンズ22とガラス板14とを通過してウェハWに到達する。ウェハWで反射された反射光束は、ガラス板14と集光レンズ22とハーフミラー20とを通過して光出射器150に戻る。光出射器250に入射した反射光束は、光ファイバ242を介してラマン分光計234に導かれ、ラマン分光測定が行われる。なお、光出射器250内における光ファイバ241,242の先端部は、図2と同様に構成されている。したがって、第1のファイバ241から射出される入射光束によってウェハW上に形成される光スポットもほぼ円形となる。【0031】なお、上述のスペクトル分析部120の機能を実現するコンピュータプログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータは、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してコンピュータにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータが読み取って直接実行するようにしてもよい。【0032】この明細書において、コンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。また、オペレーションシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェア装置を動作させるような場合には、そのハードウェア装置自体がコンピュータに相当する。ハードウェア装置は、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを少なくとも備えている。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータに、上述の各手段の機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。【0033】なお、この発明における「記録媒体」としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。【0034】図3は、本実施例の基板計測装置の処理手順を示すフローチャートである。ステップS101においては、膜厚測定部100の光出射器150から射出された入射光束の光スポットをウェハW上の第1の測定位置に位置決めする。なお、光スポットの位置決めは、駆動系コントロール部36がステージ12を制御することによって行われる。【0035】図4は、測定対象となる半導体ウェハWを示す説明図である。ウェハW上には、多数のチップCPが形成されており、スクライブラインSLによって区分されている。各チップCPには所定の回路パターンが形成されている。【0036】図5は、図4の破線で囲まれた領域を拡大して示す説明図である。図に示すように、チップCPは、表面にパターンや窪みなどの凹凸を有する凹凸部UAを含んでいる。各チップCP上の凹凸部UA以外の他の領域は、凹凸のない平坦な領域である。なお、本実施例においては、凹凸部UAを含む領域が後述するステップS105におけるラマン分光測定の測定対象領域となる。【0037】ステップS102では、ステップS101において位置決めされた光スポットからの反射光のスペクトルを測定する。すなわち、この光スポットが膜厚測定部100の測定領域となる。【0038】ステップS103では、ステップS102において測定された反射光スペクトルの測定値と、反射光スペクトルの予測値Icとの一致度(GOF値)を求める。なお、反射光スペクトルの予測値Icは、基板の物性値(光学定数)と、薄膜の厚みおよび物性値(光学定数)とに基づいて決定される。本実施例においては、複数の膜厚値に応じた複数の予測値Icが予め準備されている。複数の膜厚値の範囲は、絶縁膜の膜厚値が取りうる範囲を少なくとも含むように設定され、また、膜厚値の差分は十分な測定精度が得られる程度に決定される。なお、絶縁膜の膜厚値が取りうる範囲は、通常、絶縁膜の成膜条件などから容易に推定することができる。【0039】絶縁膜の膜厚は、反射光スペクトルの測定値と反射光スペクトルの予測値Icとの一致度から決定することができる。すなわち、予測値Icと測定値との一致度が十分大きいときには、その予測値Icを計算する基礎となった膜厚値が絶縁膜の膜厚として決定される。【0040】本実施例では、上記の一致度は、ウェハWの平坦度の指標値として利用される。すなわち、光スポット内の領域に凹凸部分が存在する場合には、ウェハWに入射した光は凹凸部分によって乱反射されるので、反射光スペクトルの測定値は、光スポット内の領域に凹凸部分を含まない場合に予測される反射光スペクトルの予測値Icとは異なった値となる。したがって、反射光スペクトルの予測値Icと測定値との一致度から、光スポット内の領域の平坦度を知ることが可能である。【0041】図6は、測定領域M1と凹凸部UAとの位置関係、および、その位置関係での反射光スペクトルの測定値Imを示す説明図である。図6(A−1),(B−1),(C−1)に示すように、測定領域M1(光スポット)は、ほぼ円形の形状を有している。【0042】図6(A−1)は、測定領域M1内に凹凸部UAを全く含まない場合を示している。図6(A−2)は、図6(A−1)の状態で測定領域M1から反射された光の反射光スペクトルの測定値Imと、複数の予測値Icのうち測定値Imと最も一致する予測値Icとを示している。なお、この予測値Icは、絶縁膜(SiN膜)の膜厚値を「214.5nm」と仮定したときの値である。このように、ウェハWの平坦な部分のみ含む領域を測定領域M1として反射光スペクトルを測定した場合には、測定値Imとほぼ一致する予測値Icを得ることができる。【0043】反射光スペクトルの予測値Icと測定値Imとの一致度(GOF値)は、以下の式(1)によって求められる。【0044】【数1】【0045】ここで、反射光スペクトルの予測値Ic(k)と測定値Im(k)は、それぞれN個の離散的な波長値に関して得られているものと仮定している。なお、一致度の計算式としては、式(1)以外の計算式を用いることも可能である。【0046】測定領域M1と凹凸部UAとが図6(A−1)に示す位置関係を有する場合には、図6(A−2)に示すようにGOF値の最大値GOFmaxは「960」となる。なお、このように高いGOF値(1000に近い値)が得られたときには、絶縁膜の膜厚値を「214.5nm」に等しいと決定することができる。【0047】図6(B−1)は、測定領域M1のほぼ50%の領域に凹凸部UAを含む場合を示している。図6(B−2)は、図6(B−1)の状態での反射光スペクトルの測定値Imと、複数の予測値Icのうち測定値Imと最も一致する予測値Icとを示している。なお、この予測値Icは、絶縁膜の膜厚値を「196.5nm」と仮定したときの値である。図6(B−2)に示すように、ウェハWの凹凸部UAを含む領域を測定領域M1として反射光スペクトルを測定した場合には、反射光スペクトルの予測値Icと測定値Imとはあまり一致しない。このときGOF値の最大値GOFmaxは「790」となっている。【0048】図6(C−1)は、測定領域M1内に凹凸部UAのみを含む場合を示している。図6(C−2)は、図6(C−1)の状態での反射光スペクトルの測定値Imと、複数の予測値Icのうち測定値Imと最も一致する予測値Icとを示している。なお、この予測値Icは、絶縁膜の膜厚値を「192.5nm」と仮定したときの値である。図6(C−2)に示すように、測定領域M1内において凹凸部UAを含む領域が増加すると、反射光スペクトルの予測値Icと測定値Imとはかなりずれる。このときGOF値の最大値GOFmaxはさらに小さくなり、「740」となっている。【0049】上記のように、反射光スペクトルの複数の予測値Icと測定値ImとのGOF値の最大値GOFmaxは、測定領域M1内に含まれる凹凸部UAの面積によって変化する。すなわち、測定領域M1内に凹凸部UAを多く含む場合には最大値GOFmaxは小さくなり、凹凸部UAをあまり含まない場合には最大値GOFmaxは大きくなる。したがって、GOF値の最大値GOFmaxをウェハの平坦度の指標値として用いれば、測定領域M1に含まれる凹凸部UAの領域を見積もることができる。【0050】ステップS104(図3)では、ステップS103で求められたGOF値の最大値GOFmaxが所定の閾値以下となるか否かを判断する。本実施例においては、GOF値の最大値GOFmaxが「760」以下である場合には、膜厚測定部100の測定対象領域となった測定領域M1の位置を、ラマン分光測定の測定領域M2の位置として決定する。なお、本実施例においては、最大値GOFmaxが「760」以下となる場合には、測定領域M1内に凹凸部UAをほぼ80%以上含んでいる。一方、GOF値の最大値GOFmaxが「760」を超える場合には、測定領域M1には、凹凸部UAをあまり含まないので、その測定領域M1はラマン分光測定の測定領域として不適当と判断される。この場合には、ステップS101に戻って、次の測定領域M1’に光スポットを位置決めして再度、一致度を調べる。このようにステップS101〜S104までの処理を繰り返し行い、GOF値の最大値GOFmaxが所定の閾値以下となる測定位置を決定する。【0051】なお、次の測定領域M1’の位置は、測定領域M1において得られたGOF値の最大値GOFmaxに基づいて決定することが好ましい。例えば、得られたGOF値の最大値GOFmaxから図6(A−1)に示すような状態が予想される場合には、測定領域M1から光スポットの直径程度離れたところに次の測定領域M1’を位置決めする。また、図6(B−1)に示すような状態が予想される場合には、光スポットの半径程度離れたところに次の測定領域M1’を位置決めする。このようにすれば、GOF値の最大値GOFmaxが所定の閾値以下となる測定領域を早く決定することができる。【0052】ステップS105では、ステップS104で決定されたGOF値の最大値GOFmaxが所定の閾値以下となる測定位置において、ラマン分光測定を行う。図7は、ラマン分光測定の測定領域M2(光スポット)と膜厚測定の測定領域M1(光スポット)との関係を示す説明図である。図7中、実線で示された領域は、GOF値の最大値がほぼ「760」となる場合の第1の測定領域M1を示している。また、破線で示されたラマン分光測定の第2の測定領域M2は、第1の測定領域M1とほぼ同じ大きさの領域で設定されている。こうすれば、凹凸部UAを多く含む測定領域M2をラマン分光測定の測定対象領域とすることができる。【0053】図8は、ラマン分光測定の測定領域M2と膜厚測定の測定領域M1との他の関係を示す説明図である。図8中、実線で示された領域は、GOF値の最大値がほぼ「760」となる場合の測定領域M1であり、図7に示す測定領域M1と同じである。一方、破線で示されたラマン分光測定の測定領域M2は、測定領域M1より小さく設定されている。このとき、測定領域M2内には凹凸部UAのみが含まれる。図8に示すように、第2の測定領域M2を第1の測定領域M1より小さく設定すれば、より確実に第2の測定領域M2を決定できるとともに、精度のよい(S/N比の高い)測定が可能となる。なお、このような第2の測定領域M2の大きさの調整は、図1の光出射器250と集光レンズ22とウェハWとの位置関係を調整することによって行うことができる。【0054】B.第2実施例:図9は、本発明の第2実施例としての基板計測装置の構成を示す説明図である。この基板計測装置は、第1実施例の基板計測装置(図1)とほぼ同様の構成であるため詳細な説明は省略する。【0055】本実施例においては、膜厚測定部100の光出射器150とラマン分光測定部200の光出射器250とが平行に並べられており、2つの調整ステージ62,80とブラケット64とを介して支持柱60取り付けられている。2つの光出射器150,250の光出射口は距離Lだけ離れている。この装置では、ラマン分光測定を行う際には、図に示すようにラマン分光測定用の光出射器250からの入射光束が集光レンズ22の中央付近に入射するように設定される。また、膜厚測定を行う際には、膜厚測定用の光出射器150を距離Lだけ左方に移動させて、光出射器150からの入射光束が集光レンズ22の中央付近に入射するように設定される。この光出射器150,250の移動は、調整ステージ80を水平方向に移動させることによって行われる。【0056】この装置では、上記のように2つの測定系の交換が行われるので、図1に示すハーフミラー20は備えられていない。このとき、2つの光出射器150,250から出射される入射光束は、ハーフミラーを通過あるいは反射せずにウェハWに到達するため、ハーフミラーを使用した場合に比べ、ウェハWを照射する光の強度を大きくすることが可能である。また、ウェハWからの反射光束もハーフミラーを透過あるいは反射せずにそれぞれの光出射器150,250に戻るので、反射光の強度も大きくすることが可能である。したがって、このような構成を採用すれば、より精度のよい(S/N比の高い)測定を行うことが可能である。【0057】以上、説明したように、上記実施例においては、第1の測定部として膜厚測定部100を用いて、ウェハW上の第1の測定領域M1からの反射光スペクトルを測定する。スペクトル分析部120は、反射光スペクトルの予測値と測定値との一致度(GOF値)を求める。この一致度は、第1の測定領域M1が凹凸部分をあまり含まない場合には大きい値を示し、凹凸部分を多く含む場合には小さい値を示す。したがって、この一致度を、第1の測定領域M1の基板の平坦度の指標値として用いれば、第2の測定部の第2の測定領域M2の位置を容易に決定して、所定の測定を行うことが可能となる。【0058】なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。【0059】(1)上記実施例においては、ウェハの絶縁膜の膜厚値が未知であるとして、反射光のスペクトルとして複数の膜厚値に応じた複数の予測値Icを準備しているが、膜厚値が既知であれば反射光スペクトルの予測値は1つのみ準備すればよい。この場合には、1つの予測値に対してGOF値を求めればよいので、全体としての処理を早く行うことが可能となる。【0060】(2)上記実施例においては、第1の測定部として膜厚測定部100(図1,図9)を用いて反射光のスペクトルを測定しているが、他の測定装置を用いてもよい。第1の測定部としては、第1の測定領域M1内の平坦度に関係する値が得られればよく、例えば、反射率を測定する装置を用いてもよい。すなわち、第1の測定領域M1内に凹凸部分がある場合には、乱反射により反射率が小さくなることが予想されるので、これによっても基板の平坦度を知ることができる。なお、この場合には、測定位置決定部は反射率の大きさによって第2の測定領域M2の位置を決定すればよい。【0061】(3)上記実施例においては、第2の測定部としてラマン分光測定部200(図1,図9)を用いているが、他の測定装置を用いてもよい。第2の測定部としては、凹凸部分によって測定領域が制限されるような測定装置を適用することが好ましい。例えば、X線を用いた銅膜配線パターンの膜厚を測定する装置などを適用することが可能である。なお、第2の測定部によって行われる測定が、ウェハの損傷を伴う場合にも、本発明の基板計測装置を適用できる。【0062】(4)上記実施例においては、スペクトル分析部120(図1,図9)は、第2の測定部であるラマン分光測定部200の測定領域M2として、GOF値の最大値が所定の閾値以下となる凹凸部分を多く含む領域を決定しているが、GOF値の最大値が所定の閾値以上となる凹凸部分をあまり含まない領域を第2の測定領域M2として決定してもよい。すなわち、本発明の測定位置決定部は、第2の測定部の測定に適合するような条件を設定すればよい。【0063】(5)上記実施例では、光スポットを形成するための入射光束がウェハWにほぼ垂直に入射するものとしていたが、本発明は、入射光束がウェハWに対して斜めに入射する場合にも適用可能である。【0064】(6)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の第1実施例としての基板計測装置の構成を示す説明図。【図2】光出射器150内における光ファイバの先端部の構成を示す説明図。【図3】本実施例の基板計測装置の処理手順を示すフローチャート。【図4】測定対象となる半導体ウェハWを示す説明図。【図5】図4の破線で囲まれた領域を拡大して示す説明図。【図6】測定領域M1と凹凸部UAとの位置関係、および、その位置関係での反射光スペクトルの測定値Imを示す説明図。【図7】ラマン分光測定の測定領域M2と膜厚測定の測定領域M1との関係を示す説明図。【図8】ラマン分光測定の測定領域M2と膜厚測定の測定領域M1との他の関係を示す説明図。【図9】本発明の第2実施例としての基板計測装置の構成を示す説明図。【符号の説明】10…収納容器12…ステージ14…ガラス板20…ハーフミラー22…集光レンズ36…駆動系コントロール部50,60…支持柱52,62,68…調整ステージ54,64,66,70…ブラケット80…調整ステージ100…膜厚測定部110…信号処理部120…スペクトル分析部122…ハードディスク装置132…光源部134…分光器141,142,241,242…光ファイバ150,250…光出射器200…ラマン分光測定部232…光源部234…ラマン分光計CP…チップM1,M2…測定領域SL…スクライブラインUA…凹凸部W…半導体ウェハ 表面に凹凸を有する基板に対して所定の測定を行う基板計測装置であって、前記基板上の第1の測定位置において、前記第1の測定位置の近傍領域の平坦度に関係する測定値が得られる第1の測定を行う第1の測定部と、前記第1の測定位置における前記測定値に応じて得られる平坦度の指標値が所定の範囲内の値となるときに、前記第1の測定位置を第2の測定に適した第2の測定位置として決定する測定位置決定部と、前記第2の測定位置において前記第2の測定を行う第2の測定部と、を備えることを特徴とする基板計測装置。 請求項1記載の基板計測装置であって、前記第2の測定位置の近傍領域は、凹凸を含む領域であり、前記第2の測定部において行われる前記第2の測定は、前記凹凸に関する測定である、基板計測装置。 請求項1または2記載の基板計測装置であって、前記第1の測定部は、前記第1の測定位置に第1の光スポットを照射し、前記第1の光スポットからの反射光を前記第1の測定位置の近傍領域の平坦度に関係する前記測定値として得る、基板計測装置。 請求項3記載の基板計測装置であって、前記第1の測定部は、前記基板上に形成された薄膜の膜厚値に関する測定を行う膜厚測定部であり、前記測定位置決定部は、前記薄膜の膜厚値から予測される反射光のスペクトルの予測値と前記測定値との一致度を前記指標値として求め、前記指標値が所定の閾値以下となるときに前記第1の測定位置を前記第2の測定位置として決定する、基板計測装置。 請求項4記載の基板計測装置であって、前記測定位置決定部は、前記薄膜の複数の異なる膜厚値から予測される反射光のスペクトルの複数の前記予測値を予め準備し、複数の前記予測値と前記測定値との一致度の最大値を前記指標値として求める、基板計測装置。 請求項3ないし5のいずれかに記載の基板計測装置であって、前記第2の測定部は、前記第2の測定位置に第2の光スポットを照射し、前記第2の光スポットからの反射光を分析することによって前記第2の測定を実行する測定部であり、前記第2の光スポットは、前記第1の光スポットよりも小さい、基板計測装置。