生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ウイルス感染症の予防・治療剤
出願番号:1998195084
年次:2010
IPC分類:A61K 36/24,A61P 31/16,A61P 31/22


特許情報キャッシュ

古田 要介 高橋 和美 JP 4440357 特許公報(B2) 20100115 1998195084 19980625 ウイルス感染症の予防・治療剤 富山化学工業株式会社 000003698 古田 要介 高橋 和美 JP 1997187761 19970627 20100324 A61K 36/24 20060101AFI20100304BHJP A61P 31/16 20060101ALI20100304BHJP A61P 31/22 20060101ALI20100304BHJP JPA61K35/78 PA61P31/16A61P31/22 A61K36/24 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 医学中央雑誌WEB 特開平10−314285(JP,A) 特開平10−167978(JP,A) 特開平10−158146(JP,A) 特開平09−224623(JP,A) 特開昭61−074567(JP,A) 3 1999071296 19990316 4 20050621 佐々木 秀次 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、羅布麻または羅布麻の抽出物を有効成分とするウイルス感染予防・治療剤に関する。【0002】【従来の技術】ヘルペスウイルスは人の病原性ウイルスであり、皮膚・抹消神経・脳などに病変を示し、国内においても毎年死亡者が認められている。また、同ウイルスは治癒しても体内に潜伏感染し、完全に生体から排除することができず体力低下時や他の疾患に伴って再燃する日和見感染的性質を持つ。インフルエンザウイルスはカゼ症候群の中心的ウイルスであり、過去周期的に人類を襲い何千万人という死亡者を出してきた。ここ数年、衛生面・栄養面の向上により死亡者数は減少しているが、毎年のように流行を繰り返している。これらウイルスに対して治療薬は少なく、使用されている治療薬についても副作用が心配されている。また、予防薬としてはインフルエンザワクチンがあるが十分な予防効果が得られていないのが現状である。【0003】【発明が解決しようする課題】現在、各種ウイルスに対して治療薬が少なく、使用されている治療薬についても副作用が心配されており、更に抗ウイルススペクトラムが狭いなどの問題も多い。また、予防薬としてはインフルエンザワクチンがあるが、十分な予防効果が得られていない。本発明は、これらの問題をふまえて、各種ウイルスに対し感染予防効果を示し、かつ治療効果も示す安全で安価なウイルス感染予防・治療剤を提供する。【0004】【課題を解決するための手段】羅布麻(学名:Apocynum venetum L.)は、中国に広く分布しているキョウチクトウ科の多年生の宿根草木である。中国では、羅布麻の葉を茶葉(羅布麻茶)として利用しており、羅布麻の葉については、高血圧、心不全、気管支炎、水腫などの予防・治療に有効であると報告されている。本発明者は、羅布麻または羅布麻の抽出物に新たな薬理作用を求めて、検討を加えた結果、羅布麻または羅布麻の抽出物が抗ウイルス作用を示すばかりでなく、ウイルス感染を予防することを見出し、本発明を完成させた。【0005】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使われる羅布麻は、低木全体あるいは葉、茎、根のいずれも利用できるが、葉が好ましい。また、羅布麻は、採取したもの、さらに乾燥したもの、さらに焙煎したものでもよいが、焙煎したものが好ましい。また、採取、乾燥または焙煎した羅布麻を水あるいはアルコールなどで抽出した抽出物を用いることもできる。羅布麻あるいはその抽出物の利用形態は、特に限定されないが、例えば、液状、粉末状、顆粒状などの形で用いることができる。また、羅布麻あるいはその抽出物と賦形剤、補助剤、添加剤などを組み合わせることにより、例えば、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、エキス剤、浸剤、煎剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、含嗽剤などの各種剤形の医薬製剤とすることができる。さらに具体的には、例えば、うがい薬、飴などが挙げられる。【0006】本発明で予防・治療できるウイルスとしては、DNA型ウイルスである単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインーバーウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、B型肝炎ウイルスおよびRNA型ウイルスであるインフルエンザウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、コックサキーウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ロタウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、水疱性口内炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、成人T細胞白血病ウイルス、エイズウイルスなどが挙げられるが、特に、単純ヘルペスウイルス及びインフルエンザウイルスが挙げられる。【0007】【実施例】つぎに、本発明の羅布麻の抗ウイルス作用について説明する。試料:羅布麻茶(燕龍茶)の葉20gを沸騰蒸留水100mlに浸し、10分間煮出したものを20%抽出液とした。ウイルス:DNA型ウイルスの代表例として、ヘルペスウイルスの内の単純ヘルペスウイルス2型G株を、RNA型ウイルスの代表例として、インフルエンザウイルスA/PR/8/34株を用いた。細胞:単純ヘルペスウイルスの宿主細胞としてVero細胞を、インフルエンザウイルスの宿主細胞としてはMDCK細胞を用いた。培養液:10%牛胎児血清添加E'-MEM(ニッスイ)を用いた。【0008】試験例1(抗ヘルペスウイルス作用)12穴プレート(CORNING製)に、Vero細胞を4×105個/穴で蒔き込み、37℃,5%CO2の条件下で一晩培養する。単純ヘルペスウイルス2型G株を500個/mlに培養液で希釈し、0.2ml/穴でVero細胞に感染させた。感染吸着時においては、羅布麻抽出液を培養液で所定の濃度に希釈して添加し、また、感染吸着後においては、羅布麻抽出液を1%メチルセルロース含有培養液で所定の濃度に希釈し添加した。感染3日後に、3%ホルマリン溶液を用い、細胞を固定後、0.03%メチレンブルーで染色しプラーク数を測定した。表1に、抽出液添加濃度が0.1%の例で、無処置群の抑制率を0%とした場合のウイルス増殖抑制率を示す。【0009】【表1】【0010】試験例2(抗インフルエンザ作用)6穴プレート(CORNING製)にMDCK細胞を5×105個/穴で蒔き込み、35℃,5%CO2の条件下で一晩培養する。インフルエンザウイルスA/PR/8/34株を血清非添加の培養液で200個/mlに希釈し、0.5ml/穴で1時間感染・吸着させた。感染・吸着終了後、0.3%寒天、1%牛血清アルブミンおよび3μg/mlトリプシンを含むE'-MEM培養液を添加し十分に凝固後、倒置して3日間培養した。培養終了後3%ホルマリン溶液を用い細胞を固定後、寒天培養液を剥離し0.03%メチレンブルーで染色しプラーク数を測定した。抽出液非添加のプラーク数を100とした場合のウイルス増殖抑制率は、抽出液添加濃度0.05%で79.5%であった。【0011】【発明の効果】本発明に係わる羅布麻またはその抽出物は、ウイルス感染症、特に、ヘルペスウイルス及びインフルエンザウイルス感染症の予防・治療に有用である。 羅布麻または羅布麻の抽出物を有効成分とする単純ヘルペスウイルスおよびインフルエンザウイルス感染予防・治療剤。 羅布麻が羅布麻の葉または羅布麻の抽出物が羅布麻の葉の抽出物である請求項1に記載のウイルス感染予防・治療剤。 羅布麻の葉が、焙煎したものである請求項2に記載のウイルス感染予防・治療剤。


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