生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_免疫的測定法
出願番号:1998155853
年次:2007
IPC分類:G01N 33/543,G01N 33/531


特許情報キャッシュ

山本 光章 小田原 祥子 JP 3920458 特許公報(B2) 20070223 1998155853 19980604 免疫的測定法 第一化学薬品株式会社 390037327 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 棚井 澄雄 100106909 山本 光章 小田原 祥子 JP 1998083805 19980330 20070530 G01N 33/543 20060101AFI20070510BHJP G01N 33/531 20060101ALI20070510BHJP JPG01N33/543 581JG01N33/543 583G01N33/531 B G01N 33/531 G01N 33/543 特開昭56−158947(JP,A) 特開平09−171016(JP,A) 3 1999344493 19991214 11 20050524 白形 由美子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、被検試料中の抗原又は抗体の測定法に関し、更に詳しくは、高感度化した又は測定範囲を拡大した免疫的測定法に関する。【0002】【従来の技術】従来、抗原抗体反応に基づく免疫的測定法には、凝集反応を利用するものや、検出用の酵素で標識した抗体を利用するものなどが知られている。これらの免疫的測定法においては、特異的な抗原抗体反応により生ずる免疫複合体の量を目視によりあるいは光学的な変化として測定している。特に測定対象の抗原(又は抗体)と、不溶性担体に測定対象に対応する抗体(又は抗原)を担持させた不溶化粒子(以下、「固定化粒子」と略す)との抗原抗体反応に基づく凝集反応あるいは凝集阻止反応を利用した被検試料中の抗原(又は抗体)測定法(以下、「凝集法」と略)は、測定の自動化が可能なことから自動分析装置を利用して広く普及している。【0003】従来行われている凝集法の多くは、ラテックス粒子にポリクローナル抗体やモノクローナル抗体を感作した固定化粒子を被検試料中の目的抗原と反応させて免疫凝集体を形成させ、その凝集の程度を測定するものであるが、これらの凝集法においては、測定可能な濃度域が一定濃度範囲に限定される。そこで、従来、低濃度域から高濃度域までの広範囲な測定範囲を獲得するために、免疫凝集体の形成を反映する光学的な変化あるいは変化量を制御する試みが考え出されている。このような試みとしては、例えば、測定系の濃度に応じて、(1) 粒子径を小さくしたり大きくしたりすることで、同一測定対象量に対応する光学的な変化速度を元来の粒子径に比べて相対的に小さくしたり大きくしたりする方法、(2) 一回の測定に使用する固定化粒子の量を単純に増減する方法、(3) 2つの異なる量の抗体を担持させた2種の粒子径の異なるラテックス粒子を用いる方法(特開昭55-15126号公報)、(4) 固定化粒子と遊離の抗体を競合的に抗原と反応させることにより高濃度域での測定範囲拡大を意図した方法(特開昭59-92353号公報)などが知られている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の方法には以下のような欠点がある。つまり、(1)の不溶性担体の粒子を変える方法では、一般に測定できる範囲は粒子径により制限されてしまう。(2)の固定化粒子の使用量を変える方法では、固定化粒子の使用量と免疫凝集体による光学的な変化量の関係は一次的に変化しないこともあり、低値域での精度や高値域での測定範囲が元来のものより劣る可能性がある。(3)の方法は(1)及び(2)の方法の改良法として開発されたものであるが、試薬を調製する毎に、抗体の量と粒子径の異なる不溶性担体をそれぞれ組み合わせる煩雑さを伴う。(4)の方法では2つの特異抗体を準備しなければならないことや低値域での光学的変化量の減少による精度低下などの問題がある。【0005】従って、本発明は、上記のような欠点を伴わずに、測定対象と固定化粒子との反応による凝集を利用した免疫的測定法における測定範囲を拡大することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】かかる実情において本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、従来、凝集法において非特異反応を消去する目的で使用されていたグアニジン類(特開昭56-2556号公報,特開昭56-158947号公報)を、非特異反応が実質的に起こらない系において使用すると、全く意外にも、測定可能な範囲が拡大しあるいは測定感度が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】 すなわち、本発明は、測定対象となる抗原又は抗体を含有する試料に当該測定対象に対する抗体又は抗原を担持させた不溶性担体粒子を添加し、抗原抗体反応による免疫複合体の形成の程度を測定する免疫的測定法であって非特異反応が測定結果に影響を与えない程度に少ないもの(非特異反応の回避のために用いられる化合物が存在していない条件での測定値と存在している条件での測定値の比が0.7〜1.3以内の一致性を示す場合をいう)において、グアニジン、グアニジン塩又はその誘導体を反応系中に7.5/202M〜75/202M共存させることを特徴とする免疫的測定法における測定範囲の拡大方法を提供するものである。 また本発明は、測定対象となる抗原又は抗体を含有する試料に当該測定対象に対する抗体又は抗原を担持させた不溶性担体粒子を添加し、抗原抗体反応による免疫複合体の形成の程度を測定する免疫的測定法であって、非特異反応が測定結果に影響を与えない程度に少ないもの(非特異反応の回避のために用いられる化合物が存在していない条件での測定値と存在している条件での測定値の比が0.7〜1.3以内の一致性を示す場合をいう)において、グアニジン、グアニジン塩又はその誘導体を反応系中に24/324M〜120/324M共存させることを特徴とする免疫的測定法における測定感度の増大方法を提供するものである。【0008】【発明の実施の形態】前述した従来法は、不溶性担体の大きさや使用濃度を変えて物理的に光学的な変化速度を制御しようとしたり、競合反応により免疫反応を制御しようとするものであり、不溶性担体の大きさや使用濃度を変更せず、かつ抗原抗体反応を行う物質を使用しない本発明とはその原理が全く異なるものである。【0009】ところで、免疫凝集反応において、試料由来成分による非特異的凝集を回避するために、試薬中に塩酸グアニジン、ヨウ化塩、チオシアン酸等の化合物を共存させる方法が知られている(特開昭56-2556号公報,特開昭56-158947号公報)。しかし、これらは試料中の血液由来の成分による非特異凝集の回避のみを目的とするものであり、これら化合物の存在に関係なく特異的な抗原抗体反応が観察される抗原抗体反応、すなわち非特異反応が測定結果に影響を与えない抗原抗体反応のみをその対象とし、この系にグアニジン類を添加することにより、高感度なあるいは広範囲な測定を可能にする本発明とは、化合物の共存により奏される作用効果が全く異なる。【0010】本発明において、「非特異反応が測定結果に影響を与えない程度に少ない」とは、例えば、従来非特異反応の回避に用いられていた化合物(塩酸グアニジン、ヨウ化塩、チオシアン酸塩、尿素等)の存在しない条件と存在する条件において導き出された測定値の相関関数が0.7以上、あるいは、化合物が存在していない条件での測定値と存在している条件での測定値の比が0.7〜1.3以内の一致性を示すような場合をいう。【0011】本発明に使用されるグアニジン塩としては、グアニジン塩酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン硫酸塩、グアニジン硝酸塩、グアニジンリン酸塩、グアニジンスルファミン酸塩等が挙げられ、グアニジン誘導体としては、グアニジノ安息香酸、グアニジノグルタル酸、グアニジノコハク酸、グアニジノ酢酸、グアニジノプロピオン酸、グアニジノベンズイミダゾール等が挙げられる。測定系中におけるこれらの物質の濃度は特に制限されるものではないが、1M以下、特に0.001〜1Mが好ましい。【0012】本発明におけるグアニジン類の作用機序は明らかではないが、測定系中の抗原又は抗体と反応しないことから、免疫複合体の形成速度に影響を与えているものと考えられる。【0013】本発明に使用される不溶性担体としては、従来固定化粒子を用いて抗原又は抗体を測定する場合に使用される公知の物質はいずれも制限なく使用でき、例えば有機高分子物質、無機物質、細胞膜、血球、微生物など挙げられる。【0014】有機高分子物質としては、例えばアクリル酸重合体、スチレン重合体、メタクリル酸重合体等の微粉末を均一に懸濁させたラテックス粒子が好ましい。無機物質としては、シリカ、アルミナ等の微粒子が挙げられる。また不溶性担体の形状も特に限定されるものではなく、平均粒子径は0.02〜1.6μm、特に0.03〜1.2μmが好ましい。【0015】不溶性担体への抗体又は抗原の固定化法についても、物理吸着、共有結合、免疫的結合等、通常の固定化法を用いることができる。免疫複合体の形成速度に影響を与える物質及び固定化粒子を溶解及び懸濁する液としては、特に制限はないが、一般には、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、グッドの緩衝液等の緩衝液が使用でき、必要に応じて塩化ナトリウム等の添加剤を加えることもできる。反応におけるpHは5〜10が好ましく、より好ましくは6〜9である。最終的に調製される試薬中における固定化粒子の濃度は特に制限されるものではないが、懸濁液中0.1〜10mg/mlが好ましい。【0016】本発明において使用される抗体は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれでもよい。また抗体は、単独で使用しても複数種混合して使用してもよい。【0017】本発明における測定対象物質は、特に制限されず、抗原抗体反応を利用して測定されるものであればいずれも本発明を適用することができる。【0018】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0019】実施例1(1) 抗CRP抗体の調製精製ヒトCRP(ケミコン社製)の100μgを1回の免疫に使用した。初回免疫はフロインドの完全アジュバンドを、追加免疫には不完全アジュバンドを使用した。1回の免疫には、CRPとフロインドのアジュバンドを等量混合して調製したエマルジョン200μlを用い、これをBALB/cマウスの腹腔に注射した。免疫は2週間間隔で4回繰り返した。【0020】マウス眼底静脈より採取した血液中の抗体価をELISA法にて測定し、抗体価の高いマウスを選んで細胞融合に供した。4回目の免疫から2週間後にCRP 100μgを生理食塩液200μlに溶解したものをマウス腹腔に注射し、3日後に脾臓を摘出した。脾臓をRPMI1640培地中でほぐした後、1500rpm で遠心分離して集め、脾細胞を回収した。同培地で洗浄後、15%牛胎児血清を含むRPMI1640培地2mlを加え細胞懸濁液とした。108個の脾細胞とミエローマ細胞SP2/O-AG14の107個を混合した後、1500rpm の遠心分離で沈殿部を集め、GKN液(塩化ナトリウム8g、塩化カリウム0.4g、グルコース2g、リン酸水素二ナトリウム1.41g及びリン酸二水素ナトリウム二水和物0.78gを精製水に溶かして1リットルとしたもの)に懸濁し、遠心分離により洗浄後、沈殿部を回収した。これを15%牛胎児血清を含むRPMI1640培地30mlに入れ、HAT培地及びフィーダー細胞を96穴マイクロプレート3枚の1ウエルあたり200μl入れた中に、100μlずつ分注して37℃にて5%炭酸ガス培養器中で培養した。【0021】培養上清中の抗CRP抗体の存在は、CRPを固相化したELISA法で評価した。10日後にすべてのウエルで融合細胞の増殖を確認した。詳細には、10μg/mlでCRPを含有する150mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2;以下、PBSと略す)100μlを96穴マイクロプレートに分注し4℃で1晩放置した。放置後これを捨て、次に0.05%Tween20及び1%牛血清アルブミンを含むPBS300μlで3回洗浄した後、培養上清各50μlを加え室温で1時間放置した。0.05%Tween20を含むPBSで3回洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識抗マウス抗体(第一化学薬品製)を50μl加え室温で1時間放置した。これを0.5%Tween20を含むPBSで3回洗浄後、0.2%オルトフェニレンジアミン及び0.02%過酸化水素を含むクエン酸緩衝液(pH5)50μlを加え、室温で15分間放置後、4.5N硫酸50μlを加えて反応を停止させ、波長492nmにおける吸光度を測定し、吸光度の高いウエルを選択した。【0022】単クローン化は限界希釈法で行った。すなわちフィーダー細胞としてBALB/cマウスの胸腺細胞を106個ずつ分注した96穴マイクロプレートに陽性ウエル中のハイブリドーマを10個/mlとなるように希釈したものを0.1mlずつ分注した。培地は初回はHT培地を、2回目以降は15%牛胎児血清を含むRPMI1640を用い、37℃にて5%炭酸ガス培容器中で10日間培養した。ELISA法による陽性ウエルの選択及び限界希釈法による単クローン化操作を各3回繰り返して抗CRPモノクローナル抗体産生細胞(ハイブリドーマ08204;工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-16765として寄託した)を得た。本細胞の約105個をプリスタン前処理したマウス腹腔に投与し、生成した腹水を採取した。遠心分離により不溶物を除去後、等量の飽和硫安液を加え、撹拌しながら1晩放置後、遠心分離で沈殿を回収した。沈殿を20mMトリス緩衝液(pH8)に溶解し、透析した。同緩衝液で平衡化したDEAE−セファロースカラムに透析内容物を吸着させた後、同緩衝液中の塩化ナトリウム0〜0.3Mの濃度勾配で溶出させ、IgG画分を0.05Mグリシン緩衝液で透析し、精製抗体を得た。【0023】単独種類の使用により免疫凝集を生じさせるモノクローナル抗体(以下「抗CRPモノクローナル抗体」と称する。)は次のようにして選択した。精製抗体を1.4mg/mlの濃度で0.05Mグリシン緩衝液(pH8)に混和した液5mlに、平均粒径0.1μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)5%懸濁液5mlを加え、摂氏4度にて2時間撹拌した。遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%牛血清アルブミンを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH8)を加え、摂氏4度で一晩撹拌した。遠心分離により沈殿部を集めた後、これを2%牛血清アルブミンを含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)で波長600nmにおける吸光度が2ODとなるように懸濁し、各抗CRP抗体固定化粒子懸濁液を調製した。0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)150μlに、CRPを含有する試料液2μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液50μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定し、吸光度変化のある抗体を選択した。【0024】(2) 抗CRP抗体固定化粒子懸濁液の調製抗CRPモノクローナル抗体を1.4mg/mlの濃度で0.05Mグリシン緩衝液(pH8)に混和した液5mlに平均粒径0.1μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)5%懸濁液5mlを加え、摂氏4度にて2時間撹拌した。遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%牛血清アルブミンを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH8)を加え、摂氏4度で一晩撹拌した。遠心分離により沈殿部を集めた後、これを2%牛血清アルブミンを含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)で波長600nmにおける吸光度が2ODとなるように懸濁し、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液を調製した。【0025】(3) グアニジン塩酸塩溶液の調製グアニジン塩酸塩(キシダ化学社製)を0.1〜1Mの濃度で0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)に混和し、グアニジン塩酸塩溶液を調製した。【0026】(4) CRPの測定グアニジン塩酸塩溶液150μlに、CRPを含有する試料液2μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液50μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定した。得られた吸光度とCRP濃度の関係を図1に示す。【0027】比較例1グアニジン塩酸塩溶液に代えて0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)を150μl使用し、実施例1の(4)と同様にCRPの測定を実施し、得られた吸光度とCRP濃度の関係を図1に示す。【0028】実施例2(1) 抗Lp(a)抗体固定化粒子懸濁液の調製精製ヒトapo(a)を免疫源として、定法によりマウスから得られた、単独種類の使用により免疫凝集を生じさせるモノクローナル抗体(工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されたハイブリドーマ28205(FERM BP-3755)により生産されるもの。以下「抗Lp(a)モノクローナル抗体」と称する。〕を1.4mg/mlの濃度で0.05Mグリシン緩衝液(pH9)に混和した液5mlに平均粒径0.1μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)5%懸濁液5mlを加え、摂氏4度にて2時間撹拌した。遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%牛血清アルブミンを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9)を加え、摂氏4度で一晩撹拌した。遠心分離により沈殿部を集め、これを2%牛血清アルブミンを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9)で波長600nmにおける吸光度が2ODとなるように懸濁し、抗Lp(a)抗体固定化粒子懸濁液を調製した。【0029】(2) グアニジン塩酸塩溶液の調製グアニジン塩酸塩(キシダ化学社製)を0.1〜1Mの濃度で0.2M塩化ナトリウムを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9)に混和し、グアニジン塩酸塩溶液を調製した。【0030】(3) Lp(a)の測定グアニジン塩酸塩溶液240μlに、Lp(a)を含有する試料液4μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗Lp(a)抗体固定化粒子懸濁液80μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定した。得られた吸光度とLp(a)濃度の関係を図2に示した。【0031】比較例2グアニジン塩酸塩溶液に代えて0.2M塩化ナトリウムを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9)を240μl使用し、実施例2の(3)と同様にLp(a)の測定を実施し、得られた吸光度とLp(a)濃度の関係を図2に示した。【0032】実施例3(1) 抗ミオグロビン抗体固定化粒子懸濁液の調製抗ミオグロビン−ウサギ抗体(オリエンタル酵母工業社製)を1.4mg/mlの濃度で0.05Mグリシン緩衝液(pH8)に混和した液5mlに平均粒径0.2μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)5%懸濁液5mlを加え、摂氏4度にて2時間撹拌した。遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%牛血清アルブミンを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH8)を加え、摂氏4度で一晩撹拌した。遠心分離により沈殿部を集め、これを2%牛血清アルブミンを含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)で波長600nmにおける吸光度が2ODとなるように懸濁し、抗ミオグロビン抗体固定化粒子懸濁液を調製した。【0033】(2) グアニジン塩酸塩溶液の調製グアニジン塩酸塩(キシダ化学社製)を250mMの濃度で0.15M塩化ナトリウムを含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)に混和しグアニジン塩酸塩溶液を調製した。【0034】(3) ミオグロビンの測定グアニジン塩酸塩溶液150μlに、ミオグロビンを含有する試料液2μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗ミオグロビン抗体固定化粒子懸濁液50μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定した。得られた吸光度とミオグロビン濃度の関係を図3に示した。【0035】比較例3グアニジン塩酸塩溶液に代えて0.15M塩化ナトリウムを含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)を150μl使用し、実施例3の(3)と同様にミオグロビンの測定を実施し、得られた吸光度とミオグロビン濃度の関係を図3に示した。【0036】実施例4(1) 抗CRP抗体固定化粒子懸濁液の調製実施例1と同様に抗CRP抗体固定化粒子懸濁液を調製した。【0037】(2) グアニジン塩溶液の調製グアニジン炭酸塩(シグマ社製)を0.05〜0.25Mの濃度で0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)に混和しグアニジン炭酸塩溶液を調製した。【0038】(3) CRPの測定グアニジン炭酸塩溶液150μlに、CRPを含有する試料液2μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液50μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定した。得られた吸光度とCRP濃度の関係を図4に示した。【0039】比較例4グアニジン炭酸塩溶液に代えて0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)を150μl使用し、実施例4の(3)と同様にCRPの測定を実施し、得られた吸光度とCRP濃度の関係を図4に示した。【0040】実施例5(1) 抗CRP抗体固定化粒子懸濁液の調製実施例1と同様に抗CRP抗体固定化粒子懸濁液を調製した。【0041】(2) グアニジン塩溶液の調製グアニジン・チオシアン酸塩(シグマ社製)を0.05〜0.25Mの濃度で0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)に混和しグアニジン・チオシアン酸塩溶液を調製した。【0042】(3) CRPの測定グアニジン・チオシアン酸塩溶液150μlに、CRPを含有する試料液2μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液50μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定した。得られた吸光度とCRP濃度の関係を図5に示した。【0043】比較例5グアニジン・チオシアン酸塩溶液に代えて0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)を150μl使用し、実施例5の(3)と同様にCRPの測定を実施し、得られた吸光度とCRP濃度の関係を図5に示した。【0044】実施例6(1) 抗CRP抗体固定化粒子懸濁液の調製実施例1と同様に抗CRP抗体固定化粒子懸濁液を調製した。【0045】(2) グアニジン塩酸塩溶液の調製グアニジン塩酸塩(キシダ化学社製)を100mMの濃度で0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)に混和しグアニジン塩酸塩溶液を調製した。【0046】(3) CRPの測定グアニジン塩酸塩溶液150μlに、CRPを含有する血清2μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液50μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定した。また、グアニジン塩酸塩溶液に代えて0.2M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)を150μl使用して同様に測定し、CRP濃度既知の試料の吸光度変化量からCRP濃度を算出し相関性を評価した。この結果を図6に示す。また、同時に市販のラテックス免疫比濁法による試薬(CRPラテックス「生研」:デンカ生研社製)を用いて血清25例のCRP濃度を測定し、相関性を評価した結果を図7に示す。【0047】実施例7(1) 抗Lp(a)抗体固定化粒子懸濁液の調製実施例2と同様に抗Lp(a)抗体固定化粒子懸濁液を調製した。【0048】(2) グアニジン塩酸塩溶液の調製グアニジン塩酸塩(キシダ化学社製)を100mMの濃度で0.2M塩化ナトリウムを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9)に混和しグアニジン塩酸塩溶液を調製した。【0049】(3) Lp(a)の測定グアニジン塩酸塩溶液240μlに、Lp(a)を含有する血清4μlを加え、摂氏37度で5分間加温後、抗Lp(a)抗体固定化粒子懸濁液80μlを加えて撹拌後1〜5分の波長600nmにおける吸光度変化量を測定した。また、グアニジン塩酸塩溶液に代えて0.2M塩化ナトリウムを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9)を240μl使用して同様に測定し、Lp(a)濃度既知の試料の吸光度変化量からLp(a)濃度を算出し、相関性を評価した結果を図8に示す。また、同時に市販の免疫比濁法による試薬(Lp(a)ラテックス「第一」:第一化学薬品社製)を用いて血清20例のLp(a)濃度を測定し、相関性を評価した結果を図9に示す。【0050】評価図1〜5から明らかなように、実施例1〜5では抗原濃度に依存した吸光度変化の割合がグアニジン塩の存在により影響され、比較例1〜5に比べ高感度或いは高濃度域まで吸光度変化の測定可能な範囲が拡大した。すなわち、図1、4及び5では、グアニジン塩を用いない比較例はCRP濃度20mg/dlで吸光度が飽和に達し、これを超える高濃度域における測定ができないのに対し、グアニジン塩を用いた実施例では20mg/dlを超えても更に吸光度が上昇し、より高濃度域における測定が可能となっている。また図2及び3では、グアニジン塩を用いない比較例に比べ、グアニジン塩を用いた実施例はより高感度な測定が可能となっている。【0051】また実施例6及び7の図6〜9は、本発明におけるグアニジン塩の効果が、従来技術における血清試料に由来する非特異的な凝集の回避とは異なり、抗原抗体反応の特異性には何ら影響を与えないことを示している。【0052】【発明の効果】本発明方法によれば、高感度なあるいは測定範囲の広い凝集イムノアッセイが可能となる。また、本発明に使用するグアニジン、グアニジン塩及びその誘導体は安定な化学物質で、原理的には抗原抗体反応や測定システムの正確性に影響を与えない特徴をもち、製造方法も簡便であると共にコストも安い。【図面の簡単な説明】【図1】グアニジン塩酸塩の存在下(実施例1)及び非存在下(比較例1)においてCRPの測定を行った結果を示す図である。【図2】グアニジン塩酸塩の存在下(実施例2)及び非存在下(比較例2)においてLp(a)の測定を行った結果を示す図である。【図3】グアニジン塩酸塩の存在下(実施例3)及び非存在下(比較例3)においてミオグロビンの測定を行った結果を示す図である。【図4】グアニジン炭酸塩の存在下(実施例4)及び非存在下(比較例4)においてCRPの測定を行った結果を示す図である。【図5】グアニジンチオシアン酸塩の存在下(実施例5)及び非存在下(比較例5)においてCRPの測定を行った結果を示す図である。【図6】グアニジン塩酸塩の存在下及び非存在下においてCRPの測定を行った場合の相関性を示す図である。【図7】グアニジン塩酸塩の存在下でのCRPの測定と市販のラテックス免疫比濁法による試薬を用いたCRPの測定との相関性を示す図である。【図8】グアニジン塩酸塩の存在下及び非存在下においてLp(a)の測定を行った場合の相関性を示す図である。【図9】グアニジン塩酸塩の存在下でのLp(a)の測定と市販のラテックス免疫比濁法による試薬を用いたLp(a)の測定との相関性を示す図である。 測定対象となる抗原又は抗体を含有する試料に当該測定対象に対する抗体又は抗原を担持させた不溶性担体粒子を添加し、抗原抗体反応による免疫複合体の形成の程度を測定する免疫的測定法であって、非特異反応が測定結果に影響を与えない程度に少ないもの(非特異反応の回避のために用いられる化合物が存在していない条件での測定値と存在している条件での測定値の比が0.7〜1.3以内の一致性を示す場合をいう)において、グアニジン、グアニジン塩又はその誘導体を反応系中に7.5/202M〜75/202M共存させることを特徴とする免疫的測定法における測定範囲の拡大方法。 測定対象となる抗原又は抗体を含有する試料に当該測定対象に対する抗体又は抗原を担持させた不溶性担体粒子を添加し、抗原抗体反応による免疫複合体の形成の程度を測定する免疫的測定法であって、非特異反応が測定結果に影響を与えない程度に少ないもの(非特異反応の回避のために用いられる化合物が存在していない条件での測定値と存在している条件での測定値の比が0.7〜1.3以内の一致性を示す場合をいう)において、グアニジン、グアニジン塩又はその誘導体を反応系中に24/324M〜120/324M共存させることを特徴とする免疫的測定法における測定感度の増大方法。 不溶性担体粒子の直径が、0.02〜1.6μmである請求項1又は2記載の方法。


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