生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_乳化組成物
出願番号:1998112786
年次:2006
IPC分類:B01F 17/42,A61K 8/30,A61K 8/06,A61K 8/00,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

加知 久典 大山 慶一 JP 3755987 特許公報(B2) 20060106 1998112786 19980408 乳化組成物 日清オイリオグループ株式会社 000227009 加知 久典 大山 慶一 20060315 B01F 17/42 20060101AFI20060223BHJP A61K 8/30 20060101ALI20060223BHJP A61K 8/06 20060101ALI20060223BHJP A61K 8/00 20060101ALI20060223BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20060223BHJP JPB01F17/42A61K7/00 CA61K7/00 NA61K7/48 B01F 17/42 A61K 7/00 A61K 7/48 3 1999290669 19991026 12 20020328 山田 充 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、グリセリン脂肪酸モノエステルおよび12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドを含有する乳化組成物、さらに詳しくはグリセリン脂肪酸モノエステルのβ型結晶成長が抑制された乳化安定性に優れた乳化組成物に関するものである。【0002】【従来の技術】グリセリン脂肪酸モノエステルは、油脂と同じ構造をもち、油脂の代謝過程での代謝成分であるため安全であること、および乳化性、抱水性、抱油性等の機能特性が優れていることから、化粧品、医薬品、食品等幅広い分野に用いられている。乳化剤としては主に疎水性を示することから、単独もしくは他の親水性界面活性剤と組み合わせることで、水中油型あるいは油中水型等の乳化組成物を形成する。また食品分野においては食品用添加物として使用を許可され、乳化剤、パン・ケーキの起泡剤、油脂の可塑化剤、豆腐製造時の消泡剤など幅広く用いられている。【0003】グリセリン脂肪酸モノエステルはsub−α、α、βと呼ばれる結晶多形を有していることが知られており、その結晶性について種々の報告がなされている。グリセリン脂肪酸モノエステルはα型からβ型に転移し、安定なβ型結晶をとる。グリセリン脂肪酸モノエステルの良好な乳化性や起泡性は、α型結晶の形をとるときに発現することが一般に知られている。しかしながら、β型結晶に転移して結晶が成長しはじめると、粗大な結晶物が生成したり、食品においては食感が固くなり、商品としての外観、使用感等の安定性を損なってしまうことが多々あった。【0004】つまり、グリセリン脂肪酸モノエステルのβ型結晶の成長抑制が商品を長期間にわたり高品質に保つための鍵となるため、その問題の検討が試みられてきた。その解決方法のひとつとして、抑制作用のをもつ第三の物質を添加することによりβ型結晶への転移を抑制し、α型結晶を持続させようとするものがある。例えば、化粧料においては、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコールを添加する方法がしばしばとられるが、高級アルコールは、臭いが悪い、乳化組成物のキメを粗くする、肌への使用感を悪くする等の問題があり、配合上の制約を余儀なくされている。【0005】また、食品分野においては、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルをモノグリセリドとほぼ同量配合すると、グリセリン脂肪酸モノエステルのα型結晶が長期間持続し、食感を良好に保つことが報告されている。しかしながらプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルは疎水性界面活性剤としての能力が乏しいため、乳化組成物中の粒子を大きくし、クリーミングや油浮きを起こす一因となる。したがって、グリセリン脂肪酸モノエステルが化粧料や外用剤において乳化剤として使用されていることを考慮すれば、化粧料分野での乳化物の安定性に関してはプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルよりも乳化性に優れた結晶成長抑制剤が望まれる。【0006】【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、グリセリン脂肪酸モノエステルの乳化性を損なわず、安全性が高く、かつ乳化物のキメを損なわない、グリセリン脂肪酸モノエステルのβ型結晶の成長が抑制された乳化組成物を提供することにある。【0007】【発明が解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、グリセリン脂肪酸モノエステルを配合した乳化組成物において、グリセリン脂肪酸モノエステルのβ型結晶の成長を抑制する物質のスクリーニングおよび方法について種々検討を行なった。その結果、グリセリン脂肪酸モノエステルと同じ疎水性界面活性剤でもあり、単独で用いると同様に粗大結晶が析出しやすい12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドを併用したとき、グリセリン脂肪酸モノエステルの乳化性が低下することなく、また乳化助剤を必要としないで、結晶析出すなわちβ型結晶成長が抑えられることを見い出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明によれば、グリセリン脂肪酸モノエステルおよび12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドを含有する乳化組成物であって、グリセリン脂肪酸モノエステルと12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドの配合比が7:3〜3:7であり、グリセリン脂肪酸モノエステルが炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする1種または2種以上からなる乳化組成物が提供される。【0008】【発明の実施の形態】本発明の乳化組成物を得るための必須原料成分としては、グリセリン脂肪酸モノエステルがある。本発明において、グリセリン脂肪酸モノエステルはその構成脂肪酸は直鎖飽和脂肪酸であれば用いることができるが、より好適にはその構成脂肪酸がラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等、炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸を例示でき、これらは1種または2種以上の組み合わせの混合物として使用できる。グリセリン脂肪酸モノエステルの純度に関わらず、本発明の乳化組成物は得られるが、より良好な外観をもつ乳化組成物を得るためには、純度が40%以上のものを用いるのが好ましい。純度が40%未満では、乳化組成物の粒子は全体に粗くなり好ましくない。【0009】次に、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドは、ヒマシ油を原料として得られる12−ヒドロキシステアリン酸とグリセリンをエステル化したものや、硬化ヒマシ油とグリセリンのエステル交換によって得られるものなどを使用できる。なお、ヒマシ油を原料として製造されたものは、構成脂肪酸の80%以上が12−ヒドロキシステアリン酸であり、通常、純度は40%以上である。本発明ではそれらをそのまま、あるいは蒸留や精製などして純度を90%以上に高めたものを用いてもよい。乳化性を考慮すれば高純度のものを使用するのが好ましい。【0010】グリセリン脂肪酸モノエステルと12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドの比率は9:1〜1:9と幅広い範囲でβ型結晶成長の抑制効果を発揮するが、より一層の効果を期待するならその比率は7:3〜3:7で用いるのが好ましい。この効果はグリセリン脂肪酸モノエステルおよび12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドと油性成分、水性成分で形成される乳化組成物で効果があるが、他の界面活性剤を併用して乳化組成物を調製する場合でも効果を発揮する。【0011】本発明の乳化組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の乳化組成物に使用される界面活性剤、固体、半固体、液状の油剤、水、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子、防腐・抗菌剤、酸化防止剤等を添加することができる。それぞれ特に限定されるものではないがいくつか例を挙げると、本発明に用いることのできる界面活性剤は、非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸およびその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩アルキルスルホン酸、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。【0012】油剤としては天然動植物油脂類、および半合成油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、エステル油、シリコーン油等があるが、天然動植物油脂類、および半合成油脂としてはアボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、菜種油、馬脂、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエステル等が挙げられ、炭化水素としてはスクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられ、高級脂肪酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、エステル油としてはアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられ、グリセライド油としては、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ2−エチルヘキサン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等が挙げられ、シリコーン油としてはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変成シリコーン、アルキル変成シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級脂肪酸エーテル変性シリコーン等が挙げられる。【0013】アルコール、多価アルコール類としてはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ソルビトール、キシリトール、マルトース等の糖アルコール、プロピレングリコール、1, 3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。【0014】水溶性高分子としては、アラビアゴム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、マルメロ、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子等が挙げられる。【0015】防腐・抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール類、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。【0016】酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。乳化組成物の組成および配合割合については実施例にて例示したが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。【0017】【実施例】以下に本発明を実施例、参考例を挙げて説明するが、参考例で用いる12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドは、市販品のサラコス121(日清製油社製)、リケマールHC−200(理研ビタミン社製)を用いた。ここで、サラコス121、リケマールHC−200は、その構成脂肪酸中に占める12−ヒドロキシステアリン酸の割合は、それぞれ83〜85%、約80%であり、純度はそれぞれ90%以上、45%以上のものである。【0018】実施例112−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドによる、グリセリン脂肪酸モノエステルのβ型結晶成長抑制効果を、粉末X線回折により確かめた。測定は(株)リガク製試料水平型X線回折測定装置RINT2000、X線源はCuKα( 40kV,40mA) を用い、測定温度25℃、スキャンスピード2°/minで行った。グリセリン脂肪酸モノエステル(A)としてステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン社製、ポエムS−100)、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド(B)として12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド(日清製油社製、サラコス121)を用いた。A:B=10:0〜2:8のサンプルを加熱溶融した後、ドライアイスにて急冷し固化した。溶融と固化の操作を数回繰り返し、均一にしたものをX線回折によ用意した。これらを40℃の恒温槽に保存し、一定時間ごとにX線回折用のサンプルとした。測定は結晶系が完全にβ型に転移するまで続けた。α型結晶とβ型結晶の代表的なX線回折ピークパターンを図1に示す。結果を表1に示す。【0019】【表1】【0020】ポエムS−100:サラコス121=10:0のサンプルは、35時間後にはβ型に転移しているのにくらべ、7:3〜3:7のサンプルはα型を長時間保っていた。これらから、特定比率のポエムS−100とサラコス121は、溶融した際β型へ転移しにくくなっていることが分かる。【0021】実施例2表2に示す処方により乳化組成物を調製し、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドを配合することによる結晶析出抑制効果を、乳化安定性で評価した。評価基準を下記に示し、結果は表2に併せて示した。乳化物の安定性評価基準◎・・・結晶析出が見られない △・・・全体に析出(小粒)○・・・わずかに析出 ×・・・大量に析出(大粒)【0022】【表2】注)※1ポエムS−100(理研ビタミン社製)※2サラコス121(日清製油社製)乳化組成物の調製方法;(1)精製水以外の成分を均一に混合し、70℃とする。(2)精製水を70℃とする。(3)(1)に(1)を添加し、乳化混合、冷却することで乳化物を得た。(4)調製した乳化物を、試験管に高さ10cmまで入れ、40℃の恒温槽にそれぞれセットし、1ヶ月後の状態を肉眼にて確認した。【0023】表2の試料No.1と7の乳化物は極めて安定性に乏しいが、試料No.2〜6は安定性が良好であり、その中でも試料No.2、3、4、5の乳化物は特に安定性に優れていることが分かる。この結果は、実施例1のX線回折の結果と相関性が見られる。すなわち乳化組成物において、グリセリン脂肪酸モノエステルと12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドを、β型転移時間の遅延効果がX線回折にて十分に確認された比率で配合すると、結晶成長が抑制され、安定性に優れたものが得られた。【0024】実施例3表3に示す処方により乳化組成物を調製し、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドまたはプロピレングリコールモノステアレートを配合したときの結晶析出抑制効果を、乳化安定性で評価した。評価基準を表4に示し、評価結果は表3に併せて示した。【0025】【表3】注)※1ポエムS−100(理研ビタミン社製)※2サラコス121(日清製油社製)乳化組成物の調製方法:参考例2と同様に調製した。【0026】【表4】【0027】表3に示したとおり、比較例1(試料No. 9)は経時的に粗大結晶が析出し、油浮きが生じ、クリーミングが起き、極めて安定性に乏しい。比較例2(試料No. 10)は粗大結晶の析出は抑えられているが、油浮き、クリーミングが起き、比較例1と同じく乳化物としての安定性に乏しい。それらに比べ、グリセリン脂肪酸モノエステルと12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドの配合比を5:5で用いた実施例3(試料No. 8)は極めて安定性に優れていることが分かる。【0028】参考例1O/W型クリームを下記の配合と製造方法で調製した。その結果、実施例1のO/W型クリームは安定性に優れ、良好な使用感を有するものであった。(製造方法)(1)成分1〜9を均一に加熱混合し70℃とする。(2)成分10〜13を均一に加熱混合し70℃とする。(3)TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、ディスパー、3000rpm)で攪拌しながら、(1)に(2)を添加し乳化混合した後14を添加し、冷却してクリームを得た。【0029】参考例2W/O型クリームを下記の配合と製造方法で調製した。その結果、実施例2のW/O型クリームは安定性に優れ、良好な使用感を有するものであった。(製造方法)(1)成分1〜10を均一に加熱混合し70℃とする。(2)成分11、12を均一に加熱混合し70℃とする。(3)TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、3000rpmで攪拌しながら、(1)に(2)を添加し乳化混合した後冷却してクリームを得た。【0030】参考例3乳液を下記の配合と製造方法で調製した。その結果、実施例3は安定性に優れ、良好な使用感を有する乳液であった。(製造方法)(1)成分1〜7を均一に加熱混合し70℃とする。(2)成分10〜11を均一に加熱混合し70℃とする。(3)TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、ディスパー、3000rpmで攪拌しながら、(1)に(2)を添加し乳化混合した後12を添加し、冷却して乳液を得た。【0031】参考例4ローションを下記の配合と製造方法で調製した。その結果、実施例4は安定性に優れ、良好な使用感を有する乳液であった。(製造方法)(1)成分1〜6を均一に加熱混合し60℃とする。(2)成分7,8を均一に加熱混合し60℃とする。(3)TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、ディスパー、2000rpmで攪拌しながら、(1)に(2)を添加し乳化混合した後冷却して半透明のローションを得た。【0032】なお、参考例1〜4の処方から、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドを除き、不足分はグリセリン脂肪酸モノエステルで補った製品を同様に製造したが、これらは経時的に結晶が析出し、沈殿が生じ、油水分離が起き、安定性に乏しいものであった。【0033】【発明の効果】本発明によれば、グリセリン脂肪酸モノエステルおよび12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドが9:1〜1:9の割合で配合された乳化組成物は、安全性に優れ、乳化安定性が良好で、使用感に優れたものを提供できる。かかるグリセリン脂肪酸モノエステルのβ型結晶の成長が抑制された本発明の乳化組成物は、化粧料、医薬品等の身体に関わる分野のほか一般工業用としても広範囲の産業の乳化製品に応用することができ、極めて有用である。【図面の簡単な説明】【図1】ステアリン酸モノグリセリドと12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドのα型(左)、β型(右)結晶のX線回折ピークパターン。 グリセリン脂肪酸モノエステルおよび12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドを含有することを特徴とする乳化組成物。 グリセリン脂肪酸モノエステルと12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセリドの配合比が9:1〜1:9である請求項1記載の乳化組成物。 グリセリン脂肪酸モノエステルが、炭素数12〜22の直鎖飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする1種または2種以上からなる請求項1記載の乳化組成物。


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