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タイトル:特許公報(B2)_皮膚中の成分の定量方法及び定量装置
出願番号:1998106517
年次:2006
IPC分類:A61B 5/00,G01N 21/27


特許情報キャッシュ

舛田 勇二 高橋 元次 伊藤 雅英 島田 美帆 JP 3798550 特許公報(B2) 20060428 1998106517 19980416 皮膚中の成分の定量方法及び定量装置 株式会社資生堂 000001959 伊東 忠彦 100070150 舛田 勇二 高橋 元次 伊藤 雅英 島田 美帆 20060719 A61B 5/00 20060101AFI20060629BHJP G01N 21/27 20060101ALI20060629BHJP JPA61B5/00 101AG01N21/27 B A61B 5/00 G01N 21/27 特開平4−127034(JP,A) 特開平10−014903(JP,A) 国際公開第97/032521(WO,A1) 8 1999299743 19991102 16 20030110 本郷 徹 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は皮膚の成分の求める定量方法及び装置に関し、特に重回帰分析の手法を利用して皮膚の反射スペクトルから皮膚の成分量を求める定量方法及び装置に関する。【0002】【従来の技術】皮膚の色はそれを構成する色素成分によって決まるが、所謂「色白」にすることが一般に求められる美容上の観点、また不健康な状態を示す一つの指針とされる「目の下のクマ」が示すように健康状態を診断するという観点からも、人にとって重要な特性である。【0003】色白の肌を得るという美容上の美白の観点においては、皮膚の色は最終的な目標となるものであるが、具体的な達成方法としては、その存在量の多少が皮膚の色の濃色化と色白化に反映されるメラニン色素の生成を抑制することによるのが一般的である。メラニンの生成を抑え、所謂色白の肌を得るため、化粧品の分野においては美白化粧品と一般に称される化粧品の開発が盛んに行なわれている。【0004】そして、この美白化粧品の開発に際しては、美白効果の指針として、皮膚の色に加えて、メラニンの量を直接に定量したいとする要求が従来からある。即ち、皮膚中のメラニンに対する効果を直接に評価することで、美白化粧品の美白効果の一つを正確に評価することが求められている。しかし従来は、皮膚中のメラニン量を定量する簡単な方法は無く、評価対象となる皮膚の最終的な目標である色から判断するより他はなかった。【0005】従って、実際にメラニン量を評価しようとする場合、皮膚の色から評価はなされ、従来からある測色機で皮膚の色を測り、L* a* b* 表色系にかかるL* を評価して行なっている。つまり、美白化粧品を皮膚に適用し、L* 値が下がるとメラニンば増え、L* 値が上がるとメラニンは減少したと判断し、美白化粧品のメラニンに対する効果、即ち美白効果を評価していた。【0006】しかしながら、メラニンが増加すれば確かにL* 値は低下するが、L* 値が高いからといって必ずしもメラニンが多いとは言えないことが分かっている。即ち、皮膚に炎症(紅斑)が生じ、皮膚中の血液が増加して色素であるヘモグロビン(酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンを含む)が増加することによっても皮膚のL* 値は低下する。【0007】従って、皮膚のL* 値が低下する場合、メラニンの増加によるものなのか、炎症によるヘモグロビンの増大によるものなのか、区別して判断ができず、L* 値が増大しても美白化粧品の美白効果、特にメラニンの生成を抑える効果として正確に評価することはできなかった。また、健康維持の必要などから、人の健康状態を測るという観点においては、例えば「目の下のクマ」等の鬱血した部分に対し、その色味を評価するのみでは足りず、これを構成する成分の特定と定量、特に特定のヘモグロビン種の特定と定量が求められつつある。しかしながら、それを簡便に評価する方法はない。【0008】つまり、例えば上記と同様の従来の測色を例えば「目の下のクマ」等の鬱血した部分に対し適用することが考えられるが、測色によりその色は明確になるものの、鬱血した部分がどのような皮膚の成分によりどのような比率で構成されているかは十分に判断できず、「目の下のクマ」等の鬱血した部分を評価することによっても、人の健康状態の正確な把握や維持のために十分に役立てることは出来ない。【0009】このような状況の中、従来の測色機が物一般を評価対象とするのに対し、皮膚のメラニン量とヘモグロビン量を直接に評価することを目的とする測定器として、メキサメーター(Mexameter:C+K社製)が開発され、皮膚の評価に用いられるようになっている。このメキサメーターは、評価対象である皮膚においてGreenとして図11中に示される568nm(Greenと称す。)、Redとして図11中に示される660nm(Redと称す。)及びInfraredとして図11中に示される880nm(Infraredと称す。)の3点の波長の反射率測定を行なう反射率測定部と、得られたデータを解析してメラニン量(mx)とヘモグロビン量(ex)を算出・表示する制御部からなる装置である。【0010】図11は、メキサメーターの測定原理を説明する図であり、式1及び式2はメキサメーターの測定原理を表す関係式である。この図11と式1及び式2を用いてメキサメーターの測定原理の概略を説明するが、メラニン量の評価においては、RedからInfraredの間には血液の吸収はほとんど無いため、Redでの測定で得られた反射率より求めた吸光度から、Infraredでの測定で得られた反射率より求めた吸光度を差し引くことにより、メラニンの量が求められる。【0011】同様に血液の評価においては、血液がGreen近辺に吸光度のピークを有し、Redでの吸収はほとんど無いため、Greenでの測定で得られた反射率から求めた吸光度から、Redでの測定で得られた反射率より求めた吸光度を差し引くことにより、血液の量、ひいてはヘモグロビン(酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンを両方含んでいる)量が求められる。【0012】【発明が解決しようとする課題】しかし、このメキサメーターはその評価方法に欠点を有し、特に血液の測定原理に欠点を有している。つまり、Greenから求めた吸光度から、Redから求めた吸光度を差し引くことにより、確かにヘモグロビン量は求められるが、メラニンの吸光度もそれらの波長域で差があり、そのまま差し引くことによりメラニン量が算出されるヘモグロビン量に過剰に足されてしまうことになる。【0013】かかる欠点はこの測定装置の測定精度に影響して、それを低下させている。以上より、従来は人の肌の色を構成する成分やその量に対し、肌の色から大体の予測をつけていたが、それは色からの経験的な判断によるものであり、メラニンやヘモグロビン等皮膚から見えているおそらく皮膚色を構成していると思われているもの自身を測っているわけではなかった。【0014】また、それに対しメラニンやヘモグロビン等を皮膚の吸光度を基にして測定し、従来の測色による方法を改善しようとする例も見られるが、測定・評価の精度に不十分な点があり、従来の問題点が十分に解決されてはいない。そこで、本発明の課題は上記従来技術の問題点を解決しうる新規な皮膚中の成分の定量方法及び装置を提供することである。【0015】また、本発明の別の課題は、皮膚の色を測定し、それを構成していると思われるものでそれぞれ分解して、肌の色味が肌成分のどのような構成から成っているのか、即ち肌の成分の正確な定量を可能とすることである。【0016】【課題を解決するための手段】 請求項1記載の発明は、皮膚中の成分の定量方法であって、皮膚の反射スペクトル、ランベルト−ベールの法則における透過率を皮膚の反射率に置き換えた吸光度モデル及び皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行うことにより、皮膚中の成分の量を求めることを特徴とする。【0017】 請求項2記載の発明は、請求項1記載の皮膚中の成分の定量方法において、500nmから700nmの波長領域内で重回帰分析を実施することを特徴とする。請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の皮膚中の成分の定量方法において、前記皮膚中の成分は、メラニン、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの少なくとも一つであることを特徴とする。請求項4記載の発明は、請求項3記載の皮膚中の成分の定量方法において、前記吸光度モデルは、式 log10(1/R)=mCM+h0CHO+hCH+Dで示され、Rは、皮膚の反射率、CMは、メラニン量、CHOは、酸化ヘモグロビン量、CHは、還元ヘモグロビン量、Dは、真皮の見かけ上の吸光度、mは、メラニンの吸光係数、hoは、酸化ヘモグロビンの吸光係数、hは、還元ヘモグロビンの吸光係数であることを特徴とする。【0018】 請求項5記載の発明は、皮膚中の成分の定量装置であって、皮膚の反射率を測定する反射率測定部と、該反射率測定部により得られた反射率データから皮膚の反射スペクトルを求めると共に、該反射スペクトル、ランベルト−ベールの法則における透過率を皮膚の反射率に置き換えた吸光度モデル及び皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行うことにより、皮膚中の成分の量を求める制御部を有することを特徴とする。【0020】 請求項6記載の発明は、請求項5記載の皮膚中の成分の定量装置において、前記制御部は、500nmから700nmの波長領域内で重回帰分析を実施することを特徴とする。【0021】 請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の皮膚中の成分の定量装置において、前記皮膚中の成分は、メラニン、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの少なくとも一つであることを特徴とする。請求項8記載の発明は、請求項7に記載の皮膚中の成分の定量装置において、前記吸光度モデルは、式 log10(1/R)=mCM+h0CHO+hCH+Dで示され、Rは、皮膚の反射率、CMは、メラニン量、CHOは、酸化ヘモグロビン量、CHは、還元ヘモグロビン量、Dは、真皮の見かけ上の吸光度、mは、メラニンの吸光係数、hoは、酸化ヘモグロビンの吸光係数、hは、還元ヘモグロビンの吸光係数であることを特徴とする。請求項1記載の発明によれば、一般的な測色機でも計測可能な皮膚の反射スペクトルから皮膚中の成分量を求めることができる。【0022】 よって、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。また、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用いることにより、皮膚のスペクトルを構成している皮膚中の全ての成分を、一般的な測色機でも計測可能な該皮膚のスペクトルを用いて、独立に評価の対象とすることができる。【0023】また従来技術に見られたように数点の吸光度測定から成分を定量しようとするものではなく、ある波長幅を有した皮膚のスペクトルについて重回帰分析を行なうものであり、他の成分から受ける影響を従来より小さくして該皮膚中の全ての成分を独立かつ正確に定量が可能である。従って、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。【0024】 請求項2記載の発明によれば、所謂光の可視領域において、皮膚の真皮等での光の散乱係数が大きい500nm未満の波長領域を分析対象とせず、特に500nmから700nmの波長領域内で皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を実施することにより、成分の定量における皮膚での光の散乱の影響を小さくすることが可能となる。【0025】 よって、皮膚での光の散乱の影響を事実上受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の少ない分析、すなわち皮膚の成分の定量が可能となる。請求項3記載の発明によれば、メラニンは美容上の美白の観点からその定量が求められるものであり、ヘモグロビンは紅斑を形成する原因となる色素であり、皮膚の色を構成しうる皮膚中の主要な色素を正確かつ簡便に定量することが可能となる。【0026】また、ヘモグロビンについては、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に定量することが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可能となる。請求項5記載の発明によれば、一般的な測色方法により計測可能な皮膚の反射スペクトルから皮膚中の成分量を求めることの可能な装置を提供することができる。【0027】 よって、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。また、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用いることにより、皮膚のスペクトルを構成している皮膚中の全ての成分を、一般的な測色方法により計測可能な該皮膚のスペクトルを用いて、独立に評価の対象とすることの可能な装置を提供することができる。【0028】また該装置は、従来技術に見られたように数点の吸光度測定から成分を定量しようとするものではなく、ある波長幅を有した皮膚のスペクトルについて、皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行なうよう構成されており、他の成分から受ける影響を従来より小さくして該皮膚中の全ての成分を独立かつ正確に定量が可能である。【0029】 従って、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。請求項6記載の発明によれば、所謂光の可視領域において、皮膚の真皮等での光の散乱係数が大きい500nm未満の波長領域を分析対象とせず、特に500nmから700nmの波長領域内で皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を実施するよう構成されることにより、成分の定量における皮膚での光の散乱の影響を小さくすることが可能となる。【0030】 よって、皮膚での光の散乱の影響を事実上受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の少ない分析、すなわち皮膚の成分の定量が可能な装置を提供することができる。請求項7記載の発明によれば、メラニンは美容上の美白の観点からその定量が求められるものであり、ヘモグロビンは紅斑を形成する原因となる色素であり、皮膚の色を構成しうる皮膚中の主要な色素を正確かつ簡便に定量することが可能装置を提供することができる。【0031】また、ヘモグロビンについては、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に定量することが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可能となる。【0032】【発明の実施の形態】以下、本発明が従う測定原理、及びそれの基づく本発明の実施形態について、図面や関係式を用いて説明する。図1は、皮膚の光学モデルを説明する図であり、皮膚1に入射した光2は、その5%程度が表皮3の表面で反射し、表皮3の中で約10%が乱反射し、一部が表皮3と真皮4で吸収され、残りが真皮4の表面で反射により皮膚の外に出射してくる。本発明はかかる皮膚の光学モデルを基にする。【0033】つまり、皮膚の色は、皮膚に光が当たって入射し、その入射光が表皮3を通って真皮4の表面で反射することにより目に関知されるものであるが、具体的には表皮3中にある色素成分であるメラニンや、真皮上層血管膜中の酸化及び還元ヘモグロビンにより入射する光の一部が吸収され、その吸収が起こることにより特有の肌の色として目に関知されている。【0034】物体内での光の吸収による光の変化の現象については、式3に示されるランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則がある。log10{1/(I/I0 )}=εCd (式3)ここで、I0 =入射光I=透過光の強さε=光吸収物質の吸光係数C=光吸収物質の濃度d=光吸収物質の厚みこのランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則を用い、皮膚の反射率を吸光度に置き換えて、皮膚の色として現れて人に関知されうる皮膚での光の吸収現象について、式4に示される吸光度モデル、即ち皮膚の吸光度は色素成分であるメラニン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、及びその他ビルビリン等残りの物のそれぞれの吸光度の足し合わせ(線型結合)で表されるとするモデルをたてることができる。【0035】log10(1/R)=mCM +h0 CHO+hCH +D (式4)ここで、R=皮膚の反射率CM =メラニン量CHO=酸化ヘモグロビン量CH =還元ヘモグロビン量D=真皮の見かけ上の吸光度m=メラニンの吸光係数ho =酸化ヘモグロビンの吸光係数h=還元ヘモグロビンの吸光係数かかるモデルに従い、皮膚固有の吸光度スペクトルは、メラニン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、及びその他残りの物それぞれの吸光度スペクトルの足し算(重ね合わせ)により構成することができる。【0036】そしてメラニン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、及びその他残りの物それぞれの吸光度スペクトルの重ね合わせにおいて、各成分スペクトルの重ね合わせの指針は、当然に、かかる重ね合わせにより得られたスペクトルと、皮膚の吸光度スペクトルが最も良く一致するようにするということである。このような精度良い一致を得るための手法として、重回帰分析が利用される。すなわち、皮膚の吸光度スペクトルを酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、及びその他残りの物それぞれの固有の吸光係数スペクトルm,ho ,hで波長毎に重回帰分析する。【0037】そしてその結果、最も良いスペクトル形状の一致を示す合成スペクトルを得て、かかる合成スペクトルにおける各成分の吸光度スペクトルの寄与の程度、上記式4においては、各成分の量CM ,CHO,CH が求められる。こうして得られた各成分の量CM ,CHO,CH は、重回帰分析により得られた合成にかかる吸光度スペクトルと実際の皮膚の吸光度スペクトルの一致の程度、若しくは該合成にかかる吸光度スペクトルを変換して反射率スペクトルとしたものと実際の皮膚の反射率スペクトルの一致の程度が良いほど正確な値を有することになる。【0038】以上より、皮膚の反射スペクトルから、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを置くことにより、皮膚中の各成分の量が、皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析により決まることになる。よって、一般的な測色機でも計測可能な皮膚の反射スペクトルから、皮膚中の成分量を求めることができる。【0039】従って、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。以上の皮膚中の成分量の定量方法は、所謂目の下のクマ、肌のくすみや透明感、更には美白化粧品等の評価に応用することが可能である。【0040】尚、この時、式4に示されるランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルは、光の吸収のみを考慮したものである。しかし、肌では、実際には図1の光学モデルにも示されるように光の散乱現象が生じており、それは真皮は短波長側に比較的大きな散乱係数を有することによる。よって、可視波長域の短波長側から長波長側にかけて全域で重回帰分析を行なおうとする場合、真皮での短波長側の光の散乱により重回帰分析における計算のずれ、つまり合成にかかるスペクトルと実際のスペクトルが良く一致しないという結果を生じうる。【0041】従って、このような散乱現象の影響を抑えて、精度良い成分の定量を行なうためには、所謂光の可視領域において、皮膚の真皮等での光の散乱係数が大きい500nm未満の波長領域を分析対象とせず、特に500nmから700nmの波長領域内で重回帰分析を実施することが望ましい。こうすることにより、成分の定量における皮膚での光の散乱の影響を小さくすることが可能となる。【0042】よって、皮膚での光の散乱の影響を事実上受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の少ない分析、すなわち誤差の少ない皮膚の成分の定量が可能となる。次に、本発明の一実施形態である皮膚中の成分の定量装置について説明する。【0043】図2は、本発明の一実施形態である皮膚中の成分の定量装置の要部構成を説明する図である。本発明の一実施形態である皮膚中の成分の定量装置10は、筒状の本体15の先端に開口部分11を有し、その内部には強度が知られた少なくとも可視域の光を含む光を出射することの可能な光源(図示されない)と、開口部分11から入射する光の強度を関知可能なセンサ部(図示されない)とを有し、この開口部分11を測定対象となる皮膚に押し当てて皮膚の光の反射率を測定する反射率測定部12を含む。【0044】そして、反射率測定部12と電気的に接続され、反射率測定部12により得られた反射率データから皮膚の反射スペクトルを求め、上記した本発明に従うランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則に基づく吸光度モデルを置くことにより、具備する記憶手段に記憶している定量対象となる皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行い、該反射スペクトルから皮膚中の成分の量を求める制御部13を含む。【0045】制御部13は、上記したような散乱の寄与を抑える目的から、その重回帰分析を行なう波長領域を任意に選択することが可能なように構成されており、例えば、その重回帰分析を前記反射スペクトルの500nmから700nmの波長範囲に含まれる波長領域について行なうようことが可能なように構成されている。また、制御部13には、適当な表示手段を備えることができ、重回帰分析による合成スペクトルと実際のスペクトルの一致の程度を図示したり、皮膚成分の定量結果を表示したりすることが可能である。そして更に適当なプリント手段を具備することにより、これらデータのプリントアウトも可能である。【0046】以上のような構成を有する皮膚中の成分の定量装置10は、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用いることにより、皮膚のスペクトルを構成している皮膚中の全ての成分を、一般的な測色方法により計測可能な該皮膚のスペクトルを用いて、独立に評価の対象とすることの可能な装置を提供することができる。【0047】また装置10は、従来技術に見られたように数点の吸光度測定から成分を定量しようとするものではなく、ある波長幅を有した皮膚のスペクトルについて皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行なうよう構成されており、他の成分から受ける影響をより小さくして、皮膚中の全ての成分を独立かつ正確に定量が可能である。【0048】従って、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。以上の皮膚中の成分量の定量装置は、所謂目の下のクマ、肌のくすみや透明感、更には美白化粧品等の評価に応用することが可能である。【0049】尚、本発明にかかる一実施形態である皮膚中の成分の定量方法及び定量装置は上記式4に示される吸光度モデルに従い、式4に示される吸光度モデルにおいては、メラニン、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの3種を用いてモデルが構成されているが、本発明においては定量対象をかかる3種に限定する必要はない。【0050】即ち、皮膚の色を構成する皮膚の成分であれば、その成分固有の吸光係数スペクトルを用意し、式4をその成分を考慮した形に適宜変形することにより、本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法及び定量装置を用いて、他の成分とは実質的に独立にその量を定量できる。具体的には、黄疸症状の現れた肌における黄疸の色の原因となるビリルビンの定量も、ビルビリンの吸光係数スペクトルを用意し、上記式4をビリルビンを考慮した形に変えて同様に各成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行なうことにより可能となる。【0051】次に、本発明の実施例を示すと共に、本発明の効果を明らかにする。【0052】【実施例】(実施例1)重回帰分析による皮膚成分の定量上記式4に示す吸光度モデルを用い、皮膚の吸光度スペクトルから皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行い、皮膚中のメラニン量、酸化ヘモグロビン量及び還元ヘモグロビン量を定量した。【0053】即ち、図3に示す皮膚の反射スペクトルから算出した皮膚の吸光度スペクトルを、図4(a)〜図4(d)に示す4種の各成分の吸光係数スペクトルを使用し、500nmから700nmの波長領域で、重回帰分析した。得られた皮膚構成成分量から合成したスペクトル(反射スペクトルに変換してある)と皮膚の反射スペクトル(図3の吸光度スペクトルを反射率スペクトルに変換した物)の一致状況は図5に示される。【0054】非常に良いスペクトルの一致が見られ、このとき、重相関係数は0.9932、残差の分散は0.0005、最大残差は0.0618、最大残差波長は590nmであった。図5に示される良い一致から正確な各成分の定量が行なえて、こうして得られた各成分量と真皮の吸光度(式4のD)は、メラニン量(CM )は1.3158モル・cm、酸化ヘモグロビン量(CHbO )は1.1996モル・cm、還元ヘモグロビン量(CHb)は1.0679モル・cm、真皮の吸光度(D)は0.1089であった。【0055】次に、重回帰分析による皮膚成分の定量を、図3に示す皮膚の吸光度スペクトルと、図4(a)〜図4(d)に示す各成分の吸光係数スペクトルを使用し、400nmから700nmの波長領域で同様に行なった。得られた皮膚構成成分量から合成したスペクトル(反射スペクトルに変換してある)と皮膚の反射スペクトル(図3の吸光度スペクトルを反射率スペクトルに変換した物)の一致状況は図6に示される。【0056】図5に示されるほどのスペクトルの良い一致は見られなかった。このとき、重相関係数は0.8936、残差の分散は0.0090、最大残差は0.1892、最大残差波長は570nmであった。こうして得られた各成分量と真皮の吸光度(式4のD)は、メラニン量(CM )は1.3928モル・cm、酸化ヘモグロビン量(CHbO )は−0.0891モル・cm、還元ヘモグロビン量(CHb)は−0.0487モル・cm、真皮の吸光度(D)は0.1879であった。【0057】(実施例2)加熱により生じた赤みを有する肌での皮膚成分の評価本発明にかかる皮膚成分の定量方法及び定量装置の精度を従来技術と比較して確認するために以下の検討を行なう。本実施例においては、皮膚が温められ、赤みを帯びた場合、即ちヘモグロビンが著しく増加した場合、本発明にかかるメラニンの定量に与える影響を評価する。【0058】評価方法は、評価部位を人前腕内側部(測定箇所n=5か所、後の評価結果はこの5か所の平均値を用いている。)とし、これを47°Cのお湯に3分間浸漬した。次に、このお湯浸漬により赤みを生じた前腕内側部の肌のメラニン量とヘモグロビン量を本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法に従い所定時間毎に測定し、そして予め本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法に従い測定された浸漬前の通常時のメラニン量とヘモグロビン量と比較した。尚、本実施例において示すヘモグロビン量は、独立に求められた酸化ヘモグロビン量と還元ヘモグロビン量を合わせたものである。【0059】結果を図7に示すが、図7は、ヘモグロビンが著しく増加した場合に本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法におけるメラニンの定量に与える影響を示す図である。図7に示すように、お湯浸漬前に比べ、お湯浸漬により著しくヘモグロビン量は増加しており、お湯浸漬による肌の赤みの発生と良く対応する。【0060】しかし、かかるお湯浸漬の条件程度では変化しないとされている皮膚のメラニン量も少量増加するという結果が得られた。このメラニンに対する測定結果は、その定量においてヘモグロビンの著しい増加が影響したものと推定されるが、従来技術に比べ軽微なものである。次に、比較例として従来技術であるメキサメーター(Mexameter MX−16,C+K社製)を使用し、同様の検討を行なった。【0061】結果は同様に図8に示す。図8に示すように、お湯浸漬前に比べ、お湯浸漬により著しくヘモグロビン量は増加しており、お湯浸漬による肌の赤みの発生と良く対応する。しかし、かかるお湯浸漬の条件程度では変化しないとされている皮膚のメラニン量がお湯浸漬により、大きく減少するという結果が得られた。このメラニンに対する測定結果は、上記実施例におけるメラニン定量の場合と同様に、その定量においてヘモグロビンの著しい増加が影響したものと推定される。【0062】このとき、メラニン量の変動の程度は、ヘモグロビン量の変化の程度を基準とすると、上記実施例にかかるメラニン量の変動の程度に比べ2倍程度大きいことが分かった。以上より、お湯により皮膚が温められ、赤みを帯びた場合、即ちヘモグロビンが著しく増加した場合、かかるヘモグロビンの増加が本発明にかかるメラニンの定量に与える影響は、従来技術の約半分に低減されることが分かった。【0063】(実施例3)紫外線照射により生じた赤みを有する肌での皮膚成分の評価本発明にかかる皮膚成分の定量方法及び定量装置の精度を従来技術と比較して確認するために以下の検討を行なう。本実施例においては、皮膚が紫外線照射を受け日焼けし、赤みを帯びた場合、即ちヘモグロビンが著しく増加すると共にメラニンが徐々に増加した場合、本発明にかかるメラニンとヘモグロビンの定量に与える影響を評価する。【0064】評価方法は、評価部位を人前腕内側部(測定箇所n=12か所、後の評価結果はこの12か所の平均値を用いている。)とし、これに2MEDの紫外線を照射し、日焼けを起こさせた。次に、この紫外線照射を行なった前腕内側部の肌のメラニン量とヘモグロビン量を本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法に従い所定日数毎に測定し、そして予め本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法に従い測定された紫外線照射を受ける前の通常時のメラニン量とヘモグロビン量と比較した。尚、本実施例において示すヘモグロビン量は、独立に求められた酸化ヘモグロビン量と還元ヘモグロビン量を合わせたものである。【0065】結果を図9に示すが、図9は、日焼けした肌を本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法によって評価した結果を示す図である。尚、図9(a)にはメラニン計測値=1及び1.6付近に横線が示されているが、これは女性60名の頬のメラニン量計測値の範囲を参考として示すものである。同様に、図9(b)にはヘモグロビン計測値=1及び3付近に横線が示されているが、これは女性60名の頬のヘモグロビン計測値の範囲を参考として示すものである。【0066】図9(a)に示すように、紫外線照射前に比べ、紫外線照射により徐々にメラニン量が増加している。一方、ヘモグロビン量は、紫外線照射直後に著しく増加し、9日後位から紫外線照射前と同程度までその量が低下していることが示される。以上のメラニン量とヘモグロビン量の変化挙動は、日焼け直後に肌が赤くなり、数日後にはその赤みがとれて、一方で皮膚の色が徐々に黒っぽくなりながら落ちついてくるという一般的な現象に良く対応する。【0067】次に、比較例として従来技術であるメキサメーター(Mexameter MX−16,C+K社製)を使用し、同様の検討を行なった。結果は同様に図10に示すが、図10は、日焼けした肌を従来技術であるメキサメーターを使用して評価した結果を示す図である。尚、図10(a)にはメラニン量計測値(mx)=450及び515付近に横線が示されているが、これは女性60名の頬のメラニン量計測値(mx)の範囲を参考として示すものである。同様に、図10(b)にはヘモグロビン量計測値(ex)=575及び640付近に横線が示されているが、これは女性60名の頬のヘモグロビン量計測値(ex)の範囲を参考として示すものである。【0068】図10(a)に示すように、紫外線照射前に比べ、紫外線照射2日後にメラニン量が減少し、その後増加に転じている。一方、ヘモグロビン量は、紫外線照射直後に著しく増加し、9日後位から低下しはじめるが、紫外線照射前の量に比べて多い量のままで安定してしまっている。【0069】以上のメラニン量とヘモグロビン量の変化挙動は、日焼け直後に肌が赤くなり、数日後にはその赤みはとれて、一方で皮膚の色が徐々に黒っぽくなりながら落ちついてくるという一般的な現象と対応しない。このような不一致の原因は、従来技術であるメキサメーターを使用した評価では、紫外線照射2日後の評価において、メラニン量の定量に対し、増大しているヘモグロビン量の影響が大きく現れたものと推定される。【0070】また、一方でヘモグロビン量の定量においては、9日後等に見られるように、皮膚に沈着して増加したメラニンの量の影響が大きく影響しているものと推定される。以上より、皮膚への紫外線照射により日焼けが起こされ、ヘモグロビン量とメラニン量が増大した場合、かかるヘモグロビン量とメラニン量の増加が本発明にかかるメラニン及びヘモグロビンの定量に与える影響は、従来技術に比べ低減されることが分かった。【0071】【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。従って、所謂目の下のクマ、肌のくすみや透明感、更には美白化粧品等の評価に応用することが可能である。【0072】 請求項2記載の発明によれば、皮膚での光の散乱の影響を事実上受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の少ない分析、すなわち皮膚の成分の定量が可能となる。【0073】 請求項3記載の発明によれば、皮膚の色を構成しうる皮膚中の主要な色素を正確かつ簡便に定量することが可能となる。また、ヘモグロビンについては、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に定量することが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可能となる。請求項5記載の発明によれば、皮膚の成分量を生体におけるそのままの状態で、特に皮膚サンプルの採取等の手段を用いることなく、簡便に測定することが可能であり、非常に素早く、正確な皮膚中の成分量の定量が可能となる。【0074】 従って、所謂目の下のクマ、肌のくすみや透明感、更には美白化粧品等の評価に応用することが可能である。【0075】 請求項6記載の発明によれば、皮膚での光の散乱の影響を事実上受けることなく、ランベルト−ベールの法則に基づく吸光度モデルを用い、皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析をすることが可能であり、誤差の少ない分析、すなわち皮膚の成分の定量が可能な装置を提供することができる。請求項7記載の発明によれば、皮膚の色を構成しうる皮膚中の主要な色素を正確かつ簡便に定量することが可能装置を提供することができる。【0076】また、ヘモグロビンについては、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンをそれぞれ独立に定量することが可能であり、皮膚成分の詳細な定量が可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明において採用される皮膚の光学モデルを説明する図である。【図2】本発明の一実施形態である皮膚中の成分の定量装置の要部構成を説明する図である。【図3】本発明にかかる実施例において使用する皮膚の吸光度スペクトルである。【図4】本発明にかかる実施例において使用する各成分の吸光係数スペクトルである。【図5】本発明にかかる実施例において得られた皮膚構成成分量から合成したスペクトルと皮膚の反射スペクトルの一致状況を示すグラフである。【図6】本発明にかかる別の実施例において得られた皮膚構成成分量から合成したスペクトルと皮膚の反射スペクトルの一致状況を示すグラフである。【図7】ヘモグロビン量が著しく増加した場合に本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法におけるメラニンの定量に与える影響を示す図である。【図8】ヘモグロビン量が著しく増加した場合に、本発明にかかる比較例であるメキサメーターの使用の定量方法におけるメラニンの定量に与える影響を示す図である。【図9】日焼けした肌を本発明にかかる皮膚中の成分の定量方法によって評価した結果を示す図である。【図10】日焼けした肌を従来技術であるメキサメーターを使用して評価した結果を示す図である。【図11】メキサメーターの測定原理を説明する図である。【符号の説明】1 皮膚2 光3 表皮4 真皮10 皮膚中の成分の定量装置11 開口部分12 反射率測定部13 制御部15 筒状の本体 皮膚の反射スペクトル、ランベルト−ベールの法則における透過率を皮膚の反射率に置き換えた吸光度モデル及び皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行うことにより、皮膚中の成分の量を求めることを特徴とする皮膚中の成分の定量方法。 500nmから700nmの波長領域内で重回帰分析を実施することを特徴とする請求項1に記載の皮膚中の成分の定量方法。 前記皮膚中の成分は、メラニン、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚中の成分の定量方法。 前記吸光度モデルは、式 log10(1/R)=mCM+h0CHO+hCH+Dで示され、 Rは、皮膚の反射率、CMは、メラニン量、CHOは、酸化ヘモグロビン量、CHは、還元ヘモグロビン量、Dは、真皮の見かけ上の吸光度、mは、メラニンの吸光係数、hoは、酸化ヘモグロビンの吸光係数、hは、還元ヘモグロビンの吸光係数であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚中の成分の定量方法。 皮膚の反射率を測定する反射率測定部と、 該反射率測定部により得られた反射率データから皮膚の反射スペクトルを求めると共に、該反射スペクトル、ランベルト−ベールの法則における透過率を皮膚の反射率に置き換えた吸光度モデル及び皮膚の構成成分の吸光係数スペクトルを用いて重回帰分析を行うことにより、皮膚中の成分の量を求める制御部を有することを特徴とする皮膚中の成分の定量装置。 前記制御部は、500nmから700nmの波長領域内で重回帰分析を実施することを特徴とする請求項5に記載の皮膚中の成分の定量装置。 前記皮膚中の成分は、メラニン、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの少なくとも一つであることを特徴とする請求項5又は6に記載の皮膚中の成分の定量装置。 前記吸光度モデルは、式 log10(1/R)=mCM+h0CHO+hCH+Dで示され、 Rは、皮膚の反射率、CMは、メラニン量、CHOは、酸化ヘモグロビン量、CHは、還元ヘモグロビン量、Dは、真皮の見かけ上の吸光度、mは、メラニンの吸光係数、hoは、酸化ヘモグロビンの吸光係数、hは、還元ヘモグロビンの吸光係数であることを特徴とする請求項7に記載の皮膚中の成分の定量装置。


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