タイトル: | 特許公報(B2)_第三アミンオキシドの合成 |
出願番号: | 1998067544 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 291/04 |
バイクンス・シッタラム・プラブフ JP 4272722 特許公報(B2) 20090306 1998067544 19980318 第三アミンオキシドの合成 ケムチュア コーポレイション 505365356 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 礒山 朝美 100116975 バイクンス・シッタラム・プラブフ US 08/820871 19970320 20090603 C07C 291/04 20060101AFI20090514BHJP JPC07C291/04 C07C 291/04 特開昭62−169761(JP,A) 特公昭41−019526(JP,B1) 特開昭57−054160(JP,A) 特開昭62−093269(JP,A) 国際公開第95/011882(WO,A1) 特公昭36−023013(JP,B1) 特開昭50−146597(JP,A) 新実験化学講座8 無機化合物の合成I,丸善(株),1983年 2月20日,第3刷,p118 10 1999029546 19990202 13 20050214 山田 泰之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ニトロソアミン含有量が100ppb未満の流動自在な固体第三アミンオキシドの製造方法に関する。本発明の方法は、第三アミンと極性ヒドロキシアルキル溶媒と有機酸と過酸化水素水の混合物を加熱し、次いで溶媒と水を共沸除去することを含んでなる。得られる固体第三アミンは漂白しなくても良好な色を有しており、それ以上の精製を行わなくても有用である。【0002】第三アミンオキシドは有機界面活性剤として商業的に広く使用されている。かかる界面活性剤は、シャンプー、ヘアコンディショナー、食器及び衣料用洗剤、柔軟剤などに非常に有用な性質を有している。こうした用途において、第三アミンオキシドは水溶液として用いられる。最近では、第三アミンオキシドを熱可塑性樹脂用添加剤として使用することにも関心がもたれている。このような新たな添加剤としての用途においては、高い固形分を有していること、好ましくはコンパウンディング及び加工作業中における溶媒除去の問題を回避するために揮発性溶媒を最低限しか含まない固体第三アミンオキシドであることが重要である。【0003】ニトロソアミン類は、過酸化水素水を用いる第三アミンオキシドの慣用的製造方法における微量副生物であると報告されている。ニトロソアミンの量は非常に少なくわずか数百ppbのオーダーではあるが、こうした僅かな量であってもアミンオキシドは人体と接触するような多くの用途には適さなくなってしまう。これは、ニトロソアミンが発ガン性及び/又は突然変異誘発性であると報告されているためである。したがって、高い変換率及び収率並びに迅速な反応速度で第三アミンオキシドを製造するための方法で、しかも室温で固体であってニトロソアミンを実質的に含まない(すなわち、N−ニトロソジメチルアミン濃度が約100ppb未満の)第三アミンオキシド生成物を生じる方法に対するニーズが存在する。本発明はかかる方法を提供するものである。【0004】【従来の技術】第三アミンオキシドは概して適当な第三アミンと過酸化水素水との反応によって作られると報告されている。かかるプロセスは米国特許第4748275号(Smith他)に記載されており、それには参考文献についても論じられている。この反応は典型的には50〜75℃で実施され、アミンを完全に変換するには長い反応時間を要する。【0005】各種促進剤が変換速度と変換率を上昇させることが報告されている。米国特許第4247480号(Murata他)の方法で報告されている通り、二酸化炭素が好ましい例であると思われる。これらの水性プロセスは、その水分含量が許容できる用途に使われる製品に対しては十分満足できるものである。米国特許第3776959号(Stalioraitis他)、同第4659565号(Smith他)、第4748275号(Smith他)及び同第5130488号(Smith他)などには、有機溶媒中での第三アミンの酸化についても報告されている。これらのプロセスも用途によっては十分満足のいくものであるが、生成物が油状であるか、或いは利用できる水と溶媒の比率の点で望ましくない制限があるかのいずれかである。例えば米国特許第5130488号(Smith他)に記載された方法では、反応混合物からアミンオキシドが回収できるようにするため水と有機溶媒の比率が2.1/1に制限される。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、ニトロソアミンを実質的に含まない(すなわち、N−ニトロソジメチルアミン濃度が約100ppb未満の)固体第三アミンオキシドを高収率及び迅速な反応速度で製造するための方法を提供することを課題とする。【0007】【課題を解決するための手段】今回、極性ヒドロキシアルキル溶媒中で適当な第三アミンを有機酸及び過酸化水素水と反応させ、次いで溶媒と水を共沸除去することによって、ニトロソアミンを実質的に含まない(すなわち、N−ニトロソジメチルアミン濃度が約100ppb未満の)固体第三アミンオキシドを高収率及び迅速な反応速度で製造できることを発見した。得られる第三アミンは流動自在な固体であり、漂白しなくても良好な色を有しており、それ以上の精製を行わなくても有用である。【0008】【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態は、アミンオキシドを形成し得る第三アミンを極性ヒドロキシアルキル溶媒中約50〜100℃で促進剤及び過酸化水素と反応させ、次いで溶媒、有機酸及び水を共沸除去することによって、ニトロソアミンを実質的に含まない室温(すなわち、23℃)で流動自在な固体であるアミンオキシドを製造する方法である。流動自在な(free-flowing)固体とは、微粒子状態で凝集(すなわち、互いにくっつき合うこと)せず、同時に/又は他の面に付着しない固体物質を意味する。流動自在な固体は、最初の容器への付着による固体の損失をさして伴わずに容器から容器へと容易に移動できるものとして特徴付けることができる。【0009】別の好ましい実施形態では、本発明は次の一般式:【0010】【化8】【0011】(式中、R1 及びR2 は各々独立にC8-30アルキル基である)の第三アミンオキシドを提供する。別の好ましい実施形態では、本発明は次の一般式:【0012】【化9】【0013】(式中、R1 及びR2 は各々独立にC16-18 アルキル基である)の第三アミンオキシドで、23℃及び相対湿度80%で保存したときに約10重量%未満の水しか吸収せず、しかも23℃において固体である第三アミンオキシドを提供する。別の好ましい実施形態では、本発明は次の一般式:【0014】【化10】【0015】(式中、R1 及びR2 は各々独立にC20-22 アルキル基である)の第三アミンオキシドで、23℃及び相対湿度80%で保存したときに約5重量%未満の水しか吸収せず、しかも23℃において固体である第三アミンオキシドを提供する。別の好ましい実施形態では、本発明は次の一般式:【0016】【化11】【0017】(式中、R1 及びR2 は各々独立にC10アルキル基である)の第三アミンオキシドで、20℃/分の加熱速度で測定したときの10%減量点が約120℃以上である第三アミンオキシドを提供する。別の好ましい実施形態では、本発明は次の一般式:【0018】【化12】【0019】(式中、R1 及びR2 は各々独立にC16-18 アルキル基である)の第三アミンオキシドで、20℃/分の加熱速度で測定したときの10%減量点が約145℃以上である第三アミンオキシドを提供する。別の好ましい実施形態では、本発明は次の一般式:【0020】【化13】【0021】(式中、R1 及びR2 は各々独立にC20-22 アルキル基である)の第三アミンオキシドで、20℃/分の加熱速度で測定したときの10%減量点が約220℃以上である第三アミンオキシドを提供する。一般に、本発明の方法は、アミンオキシドを形成し得るどんな第三アミンにも適用し得る。ただし、室温で固体の第三アミンオキシドを得るには、第三アミンは次の一般式【0022】【化14】【0023】(式中、R3 はC1-30アルキル基であり、R4 及びR5 は各々独立にC8-30アルキル基である)を有しているべきである。熱可塑性樹脂用添加剤として用いるには、R3 がメチル基でR4 及びR5 が各々独立にC8-30基であるのが好ましい。ただし、R基の少なくとも1つが任意には1以上の−O−、−S−、−SO−、−CO2− 、−CO−又は−CON−基を含んでいてもよい。本発明の別の実施形態では、第三アミンはポリ(第三アミン)であってもよい。ポリ(第三アミン)とは、平均して1より多くの第三アミンを含む化合物又は樹脂を意味する。代表的なポリ(第三アミン)には、脂肪族及び脂環式ジアミン類(例えば1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,10−ジアミノデカン及び1,4−ジアミノシクロヘキサンなど)の第三アミン類似体、並びに芳香族系ジアミン類(例えばジアミノアントラキノン類やジアミノアニソール類など)の第三アミン類似体がある。また、ジアミンのオリゴマー及びポリマーから誘導される第三アミンも含まれる。【0024】有用な第三アミンには、例えばポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレンなどのポリマーに結合した第三アミンも包含される。第三アミンがポリマーに結合しているときは、ポリマー当たりの第三アミンの数の平均は広く変動し得る。必ずしもすべてのポリマー鎖が第三アミンを含んでいる必要はないからである。一般に、ポリマー全体の中の第三アミン部分の有用な数は、ポリマーの重量を基準にして、約0.001重量%〜約5重量%の間にある。上述の第三アミンはすべて任意には1以上の−O−、−S−、−SO−、−CO2− 、−CO−又は−CON−基を含み得る。【0025】特に好ましい第三アミンには、高純度でしかも比較的低価格で広く市販されていることもあって、ジデシルメチルアミン(すなわち、R4 及びR5 が各々主にC10であるもの)、ジココアルキルメチルアミン(すなわち、R4 及びR5 が各々主にC12-16 であるもの)、ジタローアルキルメチルアミン(すなわち、R4 及びR5 が各々主にC16-18 であるもの)、ジエイコシルメチルアミン(すなわち、R4 及びR5 が各々主にC20であるもの)及びジドコサニルメチルアミン(すなわち、R4 及びR5 が各々主にC22であるもの)、並びにこれらのアミンの少なくとも1種類を含む第三アミン混合物が挙げられる。なお、これらの第三アミンは一般に上記アルキル基が80%以上に濃縮されたものとして市販されているが、その他のアルキルアミン分も該第三アミン中に存在する。用途によってはもっと高純度の単一の第三アミンが望ましいこともあろうが、極めて高純度の第三アミンを製造するためのコストがひどく高くなる可能性がある。【0026】上述の通り、本発明の目的は、室温で流動自在な固体であってニトロソアミン含有量の低い第三アミンオキシドを製造するための簡単で経済的な方法を提供することである。この目的を達成するため、出発原料として使用する第三アミンは第一及び第二アミンの総含有量が約1重量%以下、好ましくは約0.5重量%未満であるべきである。【0027】こうした第三アミンは、第三アミン製造時から存在する望ましくない第一及び/又は第二アミンを有する関連第三アミンからの蒸留によって得ることができる。別法として、第一及び第二アミンと選択的に反応するスカベンジャーを添加して第一及び第二アミン量を低減することもできる。この目的に使用できるスカベンジャーは、原則として、第三アミンよりも第一及び第二アミンとより速く反応する物質で、これらのアミンとの反応が短時間のうちにできるだけ完全に起こるものである。【0028】有用なスカベンジャーには、米国特許第5543515号に記載されているものがある。代表的なスカベンジャーには以下の種類の化合物:ハロホルメート類、ハロホルムアミド類、無水カルボン酸、アシルハライド類、カルボン酸エステル類、ケテン類及びそれらの二量体、ホスゲン、炭酸エステル類、ピロ炭酸エステル類、イソシアネート類、ホスフィニルハライド類、ホスホニルハライド類、ホスホリルハライド類、スルフェニルハライド類、スルホニルハライド類、スルホン酸エステル類及び無水物がある。生じた化合物は、後段での過酸化物(特に過酸化水素)との第三アミンオキシド生成反応を妨害することなく、処理した第三アミン中に残しておくこともできる。しかしながら、蒸留、抽出、濾過及び/又は遠心によって、スカベンジャー並びに第一及び/又は第二アミンとの反応で生成したその誘導体を第三アミンから除去するのが好ましい。【0029】過酸化水素含有量3〜100%のものを始め、どんな過酸化水素水を使用してもよい。過酸化水素は好ましくは約20〜70重量%、さらに好ましくは45〜70重量%活性過酸化水素である。本発明の方法では溶媒が存在するので、反応混合物の撹拌に支障を生じることなく、より濃縮された過酸化水素を用いることもできる。【0030】過酸化水素の有用な量は少なくとも化学量論量である。その範囲は、第三アミン1モル当たり、約1〜5モルの過酸化水素、より好ましくは約1〜1.5モルの過酸化水素である。さらに好ましい量は第三アミン1モル当たり過酸化水素約1.05〜1.3モル、特に約1.1〜1.2モルである。反応後に残存する過剰の過酸化水素は、例えば亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム及び/又はチオ亜硫酸ナトリウムなどの還元剤の添加によって破壊できる。例えば白金系やマンガン系などの過酸化物分解触媒も有用である。さらに、Novo Nordisk社からCatazymeという商品名(製品50Lなどがある)で販売されているような当技術分野で公知の酵素も過剰の残留過酸化水素を破壊するのに有効であることが分かった。【0031】本発明で使用する有機溶媒は、反応温度において第三アミンと第三アミンオキシドが溶解する有機液体でしかも水と共沸混合物を形成し得るものであればどんなものでもよい。ただし、爆発の危険を避けるために、該溶媒は実質的に不活性であるべきである。本発明の好ましい実施形態では、溶媒は、反応混合物の固形物含量を約15重量%未満、好ましくは約30重量%未満に下げるような量で用いなくても、反応混合物を流体及び撹拌可能な状態に維持し得るものである。優れた結果は約50重量%の固形物含量で達成された。【0032】価格及び入手容易性並びに効果の点で、本発明の方法に使用するのに好ましい溶媒はヒドロキシル基を1又はそれ以上含む低級アルキルアルコール、例えばC1-8 アルコール、特にC1-4 アルコールである。例示的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−ブチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、tert−アミルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、1−ヘキシルアルコール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノールなど、並びにこれらの各種混合物である。特に好ましい溶媒としては、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブタノール及び2−ブタノールがある。【0033】溶媒は、任意には、他の溶媒、例えばヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、2−エチルヘキサン、オクタン、イソオクタン、シクロオクタン、トルエンなどの脂肪族、環式脂肪族又は芳香族炭化水素、或いはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン、2,4−ジクロロトルエンなどのハロ炭化水素を含んでいてもよい。エステル系溶媒も補助溶媒として有用であり、例示的なエステル溶媒には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、並びにこれらの対応プロピオン酸エステル、酪酸エステル及び吉草酸エステルが挙げられる。任意成分としての補助溶媒を使用する場合、その量は一般に極性溶媒の重量を基準にして約25重量%以下(例えば1〜25重量%)に制限される。非極性溶媒の使用は反応混合物中での第三アミン及び/又はアミンオキシドの溶解度を下げる。【0034】本発明の方法では、第三アミンの酸化反応の促進剤も使用される。好ましい促進剤には、酸化反応完了時の反応混合物から蒸留によって除去することのできる低級有機酸がある。好ましい酸には、ギ酸、酢酸及びプロピオン酸があるが、酢酸が特に好ましい。その他の有機カルボン酸、例えばジエチレントリアミン五酢酸やエチレンジアミン四酢酸なども有用である。その他の促進剤としては、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及びカルバミド酸アンモニウム、並びに促進剤の混合物である。二酸化炭素及びアルミニウムも有効な促進剤である。【0035】促進剤の量は広い範囲で変えることができる。反応混合物中の促進剤の量は、それがどんな形態で存在していようとも、促進剤を添加しないで達成される速度よりも速い速度で反応を進行させる量であることが要求される。換言すれば、少なくとも触媒量の促進剤が存在すべきである。促進剤の有用な濃度は、第三アミンの重量を基準にして約0.001〜10重量%にある。好ましい濃度は約0.005〜1重量%である。最も好ましい濃度は約0.01〜0.8重量%である。二酸化炭素を促進剤として加える場合、二酸化炭素は反応混合物を覆うブランケットとして加えてもよいし、さらに好ましくは二酸化炭素を過酸化水素水中及び/又は溶媒中に溶解させてもよい。【0036】反応は広範な温度域で実施し得る。温度は、反応が妥当な速度で進行するように十分高くなければならないが、反応体や生成物が分解してしまうほど高くすべきではない。有用な温度範囲は約0〜140℃である。より好ましい温度範囲は約40〜140℃である。さらに好ましい温度範囲は約45〜130℃である。最も好ましくは、反応は約45〜110℃で実施される。この温度範囲では反応はごく速やかに進行し、通常約30時間以内、概して約20時間以内に完了する。約55〜90℃で優れた結果が得られた。【0037】本発明の方法は、溶媒中促進剤を含んだ第三アミンの溶液に過酸化水素水を加えることによって実施される。有機溶媒は一般に反応を通してずっと存在するが、反応中の任意の時点でのその存在量については変更可能である。有機溶媒は反応初期に最小限とし、反応混合物を流体及び撹拌可能な状態に維持しておくため反応の経過とともに徐々に添加してもよい。或いは、有機溶媒を反応の最初に全部加えてもよいし、後から反応の途中で加えてもよい。ただし、後者の場合、過酸化水素水から水を共沸除去するための溶媒が存在することが条件となる。過酸化水素は好ましくは制御された速度で加えて、温度が好ましくは上述の範囲内に保たれるようにする。温度を所望範囲内に保つために冷却が必要となることもあろう。過酸化水素の添加速度は、どの時点でも大量に蓄積した未反応過酸化水素が存在しないようにするのが好ましい。反応温度は、酸化反応が実質的に完了するまで(一般に約50時間未満、普通約40時間未満)、上記温度範囲内に保つ。【0038】反応が完了したら、有機溶媒と水を共沸混合物として除去することによって直ちにアミンオキシドを回収し得る。別法として、かかる共沸混合物は反応の途中に、反応系に追加溶媒を加えて、除去してもよい。共沸混合物の除去は好ましくは真空(通例少なくとも25mmHg)下で、過酸化水素から水が完全に除去されるように十分な有機溶媒を加えて行われる。第三アミンオキシドはこのようにして二水和物、一水和物及び/又は無水物のいずれかの形態の固体として回収される。【0039】回収したアミンオキシドはそのまま利用することもできるし、或いはアミンオキシドを相対的に高い温度で溶解させることができて低い温度で沈殿させることのできる有機溶媒から1回以上再結晶することによってアミンオキシドの純度を高めてもよい。再結晶は、酢酸エチルのような水が少なくとも部分的に溶解する有機溶媒を用いることで、回収アミンオキシドの水分量を所望に応じて下げるのに使うこともできる。例えば、アミンオキシドが二水和物として回収され、それを水分量の低減したアミンオキシド(例えば二水和物と一水和物と無水物形オキシドの混合物、或いは一水和物又は無水物形)へと変換することが望まれる場合、所望の脱水度に達するまでかかる有機溶媒からアミンオキシドを再結晶することができる。【0040】本発明は、流動自在な固体第三アミンオキシドを製造する手段として特に有効であり、かかるアミンオキシドは後処理に付さなくてもドライポリマー添加剤混合物のような粉末組成物の製造に使用できる。かかる後処理は、コストの増大及び/又は後処理に使った物質や後処理中に生じた分解生成物による汚染を起こしかねない。【0041】この方法で製造したアミンオキシドは、低分子量のものは使用温度によっては固体と液体の境界線上におかれるような融点をもつものの、すべて固体とみなすことができ、二水和物として回収されるアミンオキシドは実質的に非吸湿性であるか低吸湿性であるという利点も併せもつ。低吸湿性とは、23℃において80%の相対湿度に24時間暴露したときのアミンオキシドの吸水量が約10重量%未満であることを意味する。本発明の好ましい第三アミンオキシドは、たとえ約10重量%の吸水レベルでも室温(すなわち、23℃)で固体として存続する。これらの生成物は、それらが二水和物であろうと、二水和物100%未満のアミンオキシドであろうと、一水和物であろうと、無水アミンオキシドであろうと、従来技術で製造した混合第三アミンオキシドと同じ用途に実用性をもつ。ただし、その主な魅力はそれらがドライ配合物中への配合に申し分なく適した形態を有していることである。【0042】本発明が、無水アミンオキシドの製造方法であって、次式:【0043】【化15】【0044】(式中、R1 及びR2 は各々独立にC8-30アルキル基である)の第三アミンを過酸化水素水及び第三アミンの酸化を触媒して第三アミンオキシドを生成するのに有効な量の有機カルボン酸と反応させる段階で、該反応が極性ヒドロキシアルキル溶媒中で実施され、かつ該溶媒が1重量%以上の水の共沸混合物を形成することができるものである段階、並びに該溶媒を除去することにより第三アミンオキシドを単離する段階を含んでなる方法を提供することは明らかである。また、上記のR基の少なくとも1つが任意には1以上の−O−、−S−、−SO−、−CO2− 、−CO−又は−CON−基を含んでいてもよいことも明らかである。【0045】さらに具体的には、本発明が、固体第三アミンオキシドの製造方法であって、当該方法が窒素雰囲気下において第三アミン、イソプロピルアルコール、酢酸及び過酸化水素水を約50℃〜約100℃の温度に約95%以上の第三アミンオキシドが反応するまで加熱する段階、並びにイソプロピルアルコールと水を好ましくは共沸混合物として除去して流動自在な固体第三アミンオキシドを得る段階を含んでなる方法を提供することは明らかである。【0046】本発明の好ましい実施形態には、次式:【0047】【化16】【0048】(式中、R1 及びR2 は各々C10アルキル基である)のアミンオキシドで、20℃/分の加熱速度で測定したときの10%減量点が約120℃以上であるアミンオキシドの製造方法が含まれる。本発明の別の好ましい実施形態には、次式:【0049】【化17】【0050】(式中、R1 及びR2 は各々C16-18 アルキル基である)のアミンオキシドで、23℃及び相対湿度80%で保存したときに約10重量%未満の水しか吸収せず、しかも23℃において固体であるアミンオキシドアミンオキシドの製造方法が含まれる。本発明のさらに別の好ましい実施形態には、次式:【0051】【化18】【0052】(式中、R1 及びR2 は各々C20-22 アルキル基である)のアミンオキシドで、23℃及び相対湿度80%で保存したときに約5重量%未満の水しか吸収せず、しかも23℃において固体であるアミンオキシドアミンオキシドの製造方法が含まれる。本明細書中で引用した米国特許はすべて文献の援用によって本明細書に取り込まれる。【0053】【実施例】当業者が本発明を容易に実施できるように、以下の実施例を例示として挙げる。ただし、これらの実施例は本発明を限定するものではない。実施例1反応容器にジデシルメチルアミン62.2g(0.2モル)及び2−プロパノール62.2g中の酢酸0.3gを投入した。この混合物を撹拌しながら約50〜55℃に加熱し、次いで50%過酸化水素水16.32g(0.24モル)を約60分間にわたり滴下して加えた。温度を60〜65℃に上げ、その温度で反応混合物を約18時間撹拌した。プロトンNMR分析ではアミンの変換率は99%以上であった(すなわち、未反応第三アミンが検出不能なレベルであった)。溶媒共沸混合物の除去を約15〜20mmHgの真空下で約40〜50℃、次いで真空度を約1mmHgに上げて約1〜4時間温度を約65〜70℃に上げることで行って、生成物を回収した。分析の結果、生成物は無水N,N−ジデシル−N−メチルアミンオキシドであり、約40〜45℃の融点を有する固体であった。N−ニトロソジメチルアミン濃度は93ppb未満であると測定された。回収量は流動自在な白色固体として61.44g(93.3%)であった。【0054】実施例1に記載のプロセスを用いて、様々な第三アミンオキシドを製造した。そうした第三アミンオキシドの幾つか例についての分析結果を表1に示す。【0055】【表1】【0056】これらの結果は、流動自在な固体第三アミンオキシドが本発明の方法で製造できることを示している。これらの固体第三アミンオキシドはN−ニトロソジメチルアミン濃度が100ppb未満で、高い収率で得られる。これらのアミンオキシドはそれ以上精製しなくても有用である。 アミンオキシドの製造方法であって、当該方法が第三アミンを過酸化水素及び第三アミンの酸化を触媒して第三アミンオキシドを生成するのに有効な量の有機カルボン酸と反応させる段階で、該反応が少なくとも1種類の極性ヒドロキシアルキル溶媒中で実施され、かつ該溶媒が1重量%以上の水の共沸混合物を形成することができるものである段階、並びに該溶媒を除去することにより第三アミンオキシドを単離する段階を含んでなり、前記アミンオキシドは次式:(式中、R1及びR2は各々C16〜C18アルキル基である)を有していて、前記アミンオキシドは、23℃において80%の相対湿度に24時間暴露したときの吸水量が10重量%未満であり、しかも該アミンオキシドは23℃において固体である、標記方法。 固体第三アミンオキシドの製造方法であって、当該方法が窒素雰囲気下において第三アミン、極性ヒドロキシアルキル溶媒、有機酸及び過酸化水素水を50℃〜100℃の温度に95%以上の第三アミンオキシドが反応するまで加熱する段階、並びに上記極性ヒドロキシアルキル溶媒、有機酸及び水を共沸混合物として除去して流動自在な固体第三アミンオキシドを得る段階を含んでなり、前記アミンオキシドは次式:(式中、R1及びR2は各々C16〜C18アルキル基である)を有していて、前記アミンオキシドは、23℃において80%の相対湿度に24時間暴露したときの吸水量が10重量%未満であり、しかも該アミンオキシドは23℃において固体である、標記方法。 アミンオキシドの製造方法であって、当該方法が第三アミンを過酸化水素及び第三アミンの酸化を触媒して第三アミンオキシドを生成するのに有効な量の有機カルボン酸と反応させる段階で、該反応が少なくとも1種類の極性ヒドロキシアルキル溶媒中で実施され、かつ該溶媒が1重量%以上の水の共沸混合物を形成することができるものである段階、並びに該溶媒を除去することにより第三アミンオキシドを単離する段階を含んでなり、前記アミンオキシドは次式:(式中、R1及びR2は各々C20〜C22アルキル基である)を有していて、前記アミンオキシドは、23℃において80%の相対湿度に24時間暴露したときの吸水量が10重量%未満であり、しかも該アミンオキシドは23℃において固体である、標記方法。 固体第三アミンオキシドの製造方法であって、当該方法が窒素雰囲気下において第三アミン、極性ヒドロキシアルキル溶媒、有機酸及び過酸化水素水を50℃〜100℃の温度に95%以上の第三アミンオキシドが反応するまで加熱する段階、並びに上記極性ヒドロキシアルキル溶媒、有機酸及び水を共沸混合物として除去して流動自在な固体第三アミンオキシドを得る段階を含んでなり、前記アミンオキシドは次式:(式中、R1及びR2は各々C20〜C22アルキル基である)を有していて、前記アミンオキシドは、23℃において80%の相対湿度に24時間暴露したときの吸水量が10重量%未満であり、しかも該アミンオキシドは23℃において固体である、標記方法。 20℃/分の加熱速度で測定したときのアミンオキシドの10%減量点が145℃以上である、請求項1または2に記載の方法。 20℃/分の加熱速度で測定したときのアミンオキシドの10%減量点が220℃以上である、請求項3または4に記載の方法。 前記極性ヒドロキシアルキル溶媒がヒドロキシル基を1又はそれ以上含むC1-8アルコールからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 前記有機酸が酢酸、ギ酸及びプロピオン酸からなる群から選択される少なくとも1種類の酸である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 固体第三アミンオキシドの製造方法であって、当該方法が窒素雰囲気下において第三アミン、イソプロピルアルコール、酢酸及び過酸化水素水を50℃〜100℃の温度に95%以上の第三アミンオキシドが反応するまで加熱する段階、並びにイソプロピルアルコール及び水を除去して流動自在な固体第三アミンオキシドを得る段階を含み、前記第三アミンはジココアルキルメチルアミン、ジタローアルキルメチルアミン、ジエイコシルメチルアミン及びジドコサニルメチルアミンからなる群から選択される、標記方法。 当該方法が、第三アミンオキシドの重量を基準にして250ppb未満のニトロソアミンしか生成しない、請求項1〜4および9のいずれかに記載の方法。