タイトル: | 特許公報(B2)_ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法 |
出願番号: | 1998041406 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 265/04,C07C 263/16,C07D 229/00,C08G 18/02,C08G 18/79 |
村山 智 水津 俊二 笹原 俊昭 小西 伸 JP 3806916 特許公報(B2) 20060526 1998041406 19980206 ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法 日本ポリウレタン工業株式会社 000230135 村山 智 水津 俊二 笹原 俊昭 小西 伸 20060809 C07C 265/04 20060101AFI20060720BHJP C07C 263/16 20060101ALI20060720BHJP C07D 229/00 20060101ALI20060720BHJP C08G 18/02 20060101ALN20060720BHJP C08G 18/79 20060101ALN20060720BHJP JPC07C265/04C07C263/16C07D229/00C08G18/02 ZC08G18/79 A C07D229/00 C07C263/16 C07C265/04-14 特開平04−305566(JP,A) 特開平07−309926(JP,A) 特開昭61−097265(JP,A) 3 1999228524 19990824 12 20021021 守安 智 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、直鎖脂肪族ジイソシアネートを用いたウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】ウレトジオン基は、イソシアネート基2個が反応することで生成し、その反応機構は可逆的であることが知られている。このため、ウレトジオン基が潜在的なイソシアネート基源となることを利用して、塗料、接着剤、フォーム等の応用が検討されている。また、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートより、ウレトジオン/イソシアヌレート変性ポリイソシアネートのほうが粘度が低くなることも知られている。このことを利用して、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの低粘度化が検討されている。【0003】ウレトジオン基含有ポリイソシアネートは、例えば特開昭56−127359号公報、特開昭58−39666号公報、特開昭60−258164号公報、特開昭61−200969号公報、特開平4−288316号公報等により、特に脂肪族ジイソシアネートを用いたウレトジオン基含有ポリイソシアネートは、特開昭59−33265号公報等で公知となっている。【0004】【発明が解決しようとする課題】特開昭56−127359号公報、特開昭58−39666号公報、特開昭60−258164号公報、特開昭61−200969号公報、特開平4−288316号公報等に記載されているウレトジオン基含有ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートを変性している。しかし、一般的に芳香族ポリイソシアネートのウレトジオン変性体は固体であり、融点が高く、有機溶剤への溶解性が低いため、これらの塗料や接着剤への応用が困難であった。【0005】また、特開昭59−33265号公報記載のウレトジオン基含有ポリイソシアネートに用いられる脂肪族ジイソシアネートは、側鎖を有する脂肪族ジイソシアネートであり、このイソシアネートを用いてウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの提供が可能となっている。しかし、前述の特許公報に記載されている方法で、側鎖のない直鎖脂肪族ジイソシアネートをウレトジオン変性すると、副反応であるイソシアヌレート化反応が優先してしまうため、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートが得られなかった。なお、特開平7−304836号公報に、ウレトジオン基含有量の高いポリイソシアネートの例が記載されているが、イソシアヌレート基含有量も比較的高いものである。【0006】【課題を解決するための手段】 本発明者等は、このような従来の問題点を解決するため、鋭意検討の結果、直鎖脂肪族ジイソシアネート又はこれを用いたイソシアネート基末端プレポリマーのウレトジオン化反応を、クロロホルムを所定量用いて行うことにより、イソシアヌレート化反応を抑制し、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートが得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。【0007】 すなわち、本発明は以下の(1)〜(3)である。・ 直鎖脂肪族ジイソシアネート、反応系中での濃度が25〜85重量%であるクロロホルム、及びウレトジオン化触媒としてトリアルキルホスフィンを用いることを特徴とする、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法。【0008】(2) 直鎖脂肪族ジイソシアネートと活性水素基含有化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、反応系中での濃度が25〜85重量%であるクロロホルム、及びウレトジオン化触媒としてトリアルキルホスフィンを用いることを特徴とする、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法。【0009】(3) 直鎖脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法。【0010】【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳しく説明する。本発明に用いられる直鎖脂肪族ジイソシアネートは、下記の化学構造式OCN(CH2)nNCO(nは1以上の整数) (1)で表されるものである。具体的には、テトラメチレンジイソシアネート(以下BDIと略する)、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略する)、ヘプタメチレンジイソアイネート、オクタメチレンジイソアイネート、デカメチレンジイソシアネート(以下DDIと略する)等が挙げられる。これらは単独又は2種以上使用してもよい。本発明においては、nが偶数のものが好ましく、特にBDI、HDI、DDIが好ましく、更にはHDIが最も好ましい。【0011】また、必要に応じて、上記の直鎖脂肪族ジイソシアネート以外の有機ポリイソシアネートを併用することができる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の側鎖を持つ脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。また、これらの有機ジイソシアネートのウレタン変性ポリイソシアネート、アロファネート変性ポリイソシアネート、ウレア変性ポリイソシアネート、ビウレット変性ポリイソシアネート、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ウレトンイミン変性ポリイソシアネート、ウレトジオン変性ポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネート等のいわゆる変性ポリイソシアネートも使用できる。更に、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート等のような、いわゆるポリメリック体といわれるものも使用できる。これらの有機ポリイソシアネ−トは単独又は2種以上の混合物で使用することができる。【0012】本発明に用いられるイソシアネート基末端プレポリマーにおいて、これを得るのに用いられる有機ポリイソシアネートは、前述した直鎖脂肪族ジイソシアネートである。この直鎖脂肪族ジイソシアネートは、nが偶数のものが好ましく、特にBDI、HDI、DDIが好ましく、更にはHDIが最も好ましい。なお、このイソシアネート基末端プレポリマーに用いられる有機ポリイソシアネートも、必要に応じて前述の直鎖脂肪族ジイソシアネート以外の有機ポリイソシアネートを併用してもよい。【0013】また、イソシアネート基末端プレポリマーを構成する活性水素基含有化合物としては、数平均分子量が500〜10,000の長鎖ポリオール、数平均分子量が500未満の鎖延長剤と呼ばれるものがある。直鎖脂肪族ジイソシアネート及び活性水素基含有化合物は、それぞれ単独又は2種以上使用してもよい。【0014】長鎖ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオール及びこれらのコポリオール等がある。【0015】前記ポリエステルポリオールとしては、公知のシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸、(部分)酸エステル、又は(部分)酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール(以下1,2−PGと略する)、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール(以下1,2−BDと略する)、1,3−ブタンジオール(以下1,3−BDと略する)、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下MPDと略する)、ネオペンチルグリコール(以下NPGと略する)、3,3−ジメチロールヘプタン(以下DMHと略する)1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール(以下DPGと略する)、1,4−シクロヘキサンジメタノール、あるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール等の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールが挙げられる。また、低分子ポリオールを開始剤とし、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。【0016】ポリカーボネートポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールに用いられる低分子ポリオールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応等で得られるものが挙げられる。【0017】ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドやテトラヒドロフラン等の環状エーテルの単品や混合物を開環重合させたポリ(オキシアルキレン)ポリオール等、及びこれらを共重合したポリエーテルポリオール、更に、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオールが挙げられる。【0018】ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基含有ポリブタジエン、水素添加の水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水素添加の水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等が挙げられる。【0019】動植物系ポリオールには、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロイン等が挙げられる。【0020】また、活性水素基を2個以上有するものであれば、ダイマー酸系ポリオール、水素添加ダイマー酸系ポリオールの他にエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂類も長鎖ポリオールとして好適に使用できる。【0021】鎖延長剤としては、分子量500未満の分子内に2個以上の活性水素基を含有する化合物であり、前述のポリエステルポリオールに構成成分として用いられる低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールが挙げられる。【0022】本発明に用いられる活性水素基含有化合物の中で好ましいものは、炭素数20以下の低分子ポリオールである。更に好ましいものは側鎖を有する低分子脂肪族ポリオールであり、特に1,2−PG、1,2−BD、1,3−BD、MPD、NPG、DMH、DPGが好ましい。【0023】イソシアネート基末端プレポリマーを得る際のイソシアネート基と活性水素基のモル比は、イソシアネート基/活性水素基が2以上、好ましくは2.5以上である。イソシアネート基/活性水素基が2未満の場合は、得られるポリイソシアネート中のウレトジオン基含量が少ないものとなる。【0024】本発明においては、平均官能基数、相溶性、反応性等を調整するために1官能の化合物を併用してもよい。この1官能の化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−エチル−ヘキサノール、ベンジルアルコール等の低分子モノアルコール、メトキシポリ(オキシエチレン)グリコール、リシノレイン酸アルキルエステル等の高分子モノオール、エチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のモノアミン、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート等のモノイソシアネートが挙げられる。これらは単独又は2種以上使用してもよい。また、この1官能化合物の反応時期は、ウレトジオン化の前でも後でもよく、粘度やウレトジオン化の程度により適宜選択すればよい。【0025】直鎖脂肪族ジイソシアネートと活性水素基含有化合物を反応させる際の反応触媒としては、公知のいわゆるウレタン化触媒を用いることができる。具体的には、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩等が挙げられる。この反応時おける温度は、10〜120℃、好ましくは、30〜100℃である。【0026】本発明に用いられるウレトジオン化触媒は、トリエチルホスフィン、ジブチルエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のトリアルキルホスフィンである。【0027】ウレトジオン化触媒の添加量は、反応系に対して0.01〜1.0重量%の範囲から選択される。また、ウレトジオン化反応時は、イソシアヌレート化反応も進行するため、反応率(イソシアネート基の減少率)は40%以下、更には35%以下が好ましい。反応が進みすぎるとゲル化しやすくなり、目的とする形状のものが得られなくなる。このため、反応温度、添加量、添加方法等の反応条件を慎重に選択しなければならない。触媒の添加方法としては、一括仕込みの他に、分割添加等が挙げられる。分割添加の場合、各触媒仕込量は、同量でもよいし、異なっていてもよい。【0028】ウレトジオン化反応は、ウレトジオン化触媒の存在下で、通常−10〜120℃の反応温度で、好ましくは10〜80℃で、前述の溶剤の存在下で、また場合によってはジオクチルフタレート等の可塑剤を更に添加して反応させる。次いで、反応率が40%までに、好ましくは35%までの時点で、停止剤を添加してウレトジオン化触媒を不活性化し、反応を停止させる。停止剤としては、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸エチル、リン酸ジエチル等の酸性リン酸エステル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル等の酸性亜リン酸エステル、硫黄、塩酸、硝酸、硫酸、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸エステル、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酢酸クロライド等の有機酸ハライド等が挙げられる。【0029】本発明においては、イソシアネート基のウレトジオン基への転化率(ウレトジオン化反応前のイソシアネート基の量に対するウレトジオン基の量の割合)は、33%以上であり、好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上である。【0030】 本発明においてウレトジオン化反応の際に用いる有機溶剤は、クロロホルムである。芳香族系の有機溶剤を用いた場合、ウレトジオン基の生成が抑えられ、イソシアヌレート基が多く生成してしまう。なお、活性水素基を有するものは、イソシアネート基と反応してしまうので好ましくない。【0032】 ウレトジオン化反応時における反応系のクロロホルム含有量は、25〜85重量%である。クロロホルム含有量が多すぎる場合は、ウレトジオン化の反応時間が必要以上に長くなり、着色等好ましくない現象が起こりやすくなる。また、クロロホルム含有量が少なすぎる場合は、副反応であるイソシアヌレート化反応が相対的に優先してしまい、結果的に、得られるポリイソシアネート中のウレトジオン基含量が少なくなりやすくなる。【0033】 ウレトジオン化反応終了後は、反応生成物、クロロホルム、触媒及び直鎖脂肪族ジイソシアネート(モノマー)の混合物が得られる。そして、クロロホルム及び遊離イソシアネートモノマーを除去するほうが好ましい。クロロホルム及び遊離イソシアネートモノマーは、それぞれの含量が各1重量%以下、更には各0.9重量%以下になるまで除去するほうが好ましい。回収したクロロホルム及びイソシアネートモノマーは再度使用して有効に活用できる。【0034】本発明の製造方法によって得られるウレトジオン変性ポリイソシアネートは、ウレトジオン基含量:15〜25重量%、イソシアヌレート基含量:11重量%以下であり、好ましくは、ウレトジオン基含量:15.1〜24.9、イソシアヌレート基含量:5重量%以下である。特に直鎖脂肪族ジイソシアネートにHDIを用いたものは、ウレトジオン基含量:20〜25重量%、イソシアヌレート基含量:15%以下であり、好ましくは、ウレトジオン基含量:20.1〜24.9、イソシアヌレート基含量:5重量%以下である。【0035】また、本発明によって得られたウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの粘度は、10〜150mPa・s/25℃(固形分100%換算時)、好ましくは15〜130mPa・s/25℃である。【0036】本発明によって得られたポリイソシアネートに、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、溶剤、難燃剤、加水分解防止剤、潤滑剤、可塑剤、充填剤、貯蔵安定剤等の添加剤を適宜配合することができる。【0037】なお、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートのウレトジオン基含量は、以下のようにして求めることができる。(イ)ポリイソシアネートそのもののイソシアネート含量を求める。(ロ)ポリイソシアネートをウレトジオン基の解離温度より高い温度に加熱し、ウレトジオン基を完全に解離させる。その後、(イ)と同様にしてイソシアネート含量を求める。(ハ)(イ)と(ロ)のイソシアネート含量の差がウレトジオン基含量となる。イソシアネート含量の定量方法は、公知の方法が採用でき、例えば、過剰量のアミンにて、イソシアネート基と反応させ、残存アミンを濃度が規定されている酸にて中和し、当初のアミン量と消費された酸の量からイソシアネート含量が求められる。ウレトジオン基の解離温度より高い温度とは、イソシアネートの種類によって異なるが、一般的には150〜180℃に加熱することが好ましい。【0038】【実施例】本発明について、実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例において「部」は全て「重量部」を意味し、「%」は全て「重量%」を意味する。〔ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの合成〕【0039】実施例1攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた反応器に、HDIを3,000部、クロロホルムを3,000部仕込み、均一に混合した。次いでTOPを4.5部仕込み、攪拌しながら50℃で18時間反応させた。次いで硫黄を0.4部加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=21.8%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてクロロホルムを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=24.6%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=47.7%であり、よって、ウレトジオン基含量は23.1%であった。また、イソシアヌレート基含量=2.3%であった。また、粘度は42mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−1とする。【0040】実施例1と同様な反応器に、HDIを1,000部、クロロホルムを3,000部仕込み、均一に混合した。次いでTBPを1.0部仕込み、攪拌しながら50℃で23時間反応させた。次いでリン酸0.5部を加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=11.3%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてクロロホルムを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=24.8%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=48.9%であり、よって、ウレトジオン基含量は24.1%であった。また、イソシアヌレート基含量=1.1%であった。また、粘度は31mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−2とする。【0041】実施例3実施例1と同様な反応器に、HDIを3,000部、クロロホルムを1,000部仕込み、均一に混合した。次いでTOPを4.5部仕込み、攪拌しながら50℃で16時間反応させた。次いで硫黄を0.4部を加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=32.3%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてクロロホルムを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=23.9%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=45.2%であり、よって、ウレトジオン基含量は21.3%であった。また、イソシアヌレート基含量=4.8%であった。粘度は69mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−3とする。【0042】実施例4実施例1と同様な反応器に、HDIを2,976部とDMHを24部仕込み、80℃にて2時間反応させ、その後50℃に冷却して、イソシアネート含量=49.2%のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。これにクロロホルムを3,000部仕込み均一に混合した。次いでTOPを4.5部仕込み、攪拌しながら50℃で18時間反応させた。次いで硫黄を0.4部を加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=21.7%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてクロロホルムを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=23.9%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=44.5%であり、よって、ウレトジオン基含量は20.6%であった。また、イソシアヌレート基含量=2.3%であった。粘度は49mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−4とする。【0043】実施例5実施例1と同様な反応器に、HDIを2,975部と1,3−BDを25部仕込み、80℃にて2時間反応させ、その後50℃に冷却して、イソシアネート含量=48.8%のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。これにクロロホルムを3,000部仕込み、均一に混合した。次いでTOPを4.5部仕込み、攪拌しながら50℃で18時間反応させた。次いで硫黄を0.4部を加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=21.5%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてクロロホルムを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=24.1%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=44.7%であり、よって、ウレトジオン基含量は20.6%であった。また、イソシアヌレート基含量=0.5%であった。粘度は46mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−5とする。【0047】実施例9実施例1と同様な反応器に、BDIを2,973部とDMHを27部仕込み、80℃にて2時間反応させ、その後50℃に冷却して、イソシアネート含量=59.0%のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。これにクロロホルムを3,000部仕込み均一に混合した。次いでTOPを3.75部仕込み、攪拌しながら50℃で12時間反応させた。次いで硫黄を0.3部を加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=24.2%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてクロロホルムを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=36.2%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=57.4%であり、よって、ウレトジオン基含量は21.2%であった。また、イソシアヌレート基含量=1.6%であった。粘度は70mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−9とする。【0049】比較例1実施例1と同様な反応器に、HDIを3,000部、TOPを4.5部仕込み、攪拌しながら50℃で12時間反応させた。次いで硫黄を0.4部加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=43.2%の淡黄色の反応生成液を得た。その後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=22.9%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=38.2%であり、よって、ウレトジオン基含量は15.3%であった。また、イソシアヌレート基含量=11.8%であった。粘度は110mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−11とする。【0050】比較例2合成例1と同様な装置に、HDIを2,976部、DMHを24部仕込み、攪拌しながら50℃にて4時間反応させ、イソシアネート基含量=48.8%の反応生成液を得た。次に、TOPを4.5部を仕込み、攪拌しながら50℃に加熱して12時間反応させた。次いでリン酸1.2部を加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=43.0%の淡黄色の反応生成液を得た。この反応生成液から未反応のHDIを、120℃、0.01Torrで薄膜蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=22.0%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=37.5%であり、よって、ウレトジオン基含量は15.5%であった。また、イソシアヌレート基含量=9.2%であった。粘度は130mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−12とする。【0051】比較例3実施例1と同様な反応器に、HDIを3,000部、トルエンを3000部、TOPを4.5部仕込み、攪拌しながら50℃で14時間反応させた。次いで硫黄を0.4部加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=21.6%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてトルエンを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=21.3%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=37.5%であり、よって、ウレトジオン基含量は16.2%であった。また、イソシアヌレート基含量=12.5%であった。粘度は108mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−13とする。【0052】比較例4実施例1と同様な反応器に、HDIを3,000部、モノクロロベンゼンを3000部、TOPを4.5部仕込み、攪拌しながら50℃で13時間反応させた。次いで硫黄を0.4部加えて反応を停止させて、イソシアネート基含量=21.7%の淡黄色の反応生成液を得た。これをロータリーエバポレーターにてモノクロロベンゼンを除去した後、未反応のイソシアネートモノマーを、120℃、0.01Torrで薄膜減圧蒸留により除去した。生成物のイソシアネート基含量=22.3%であり、FT−IR及び13C−NMRから、この生成物にはイソシアネート基、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基が存在することが確認された。また、この生成物を180℃に加熱してウレトジオン基を解離させ、当初から存在しているイソシアネート基とウレトジオン基が解離して生成したイソシアネート基の総量を求めたところ、イソシアネート基含量=38.1%であり、よって、ウレトジオン基含量は15.8%であった。また、イソシアヌレート基含量=12.0%であった。粘度は102mPa・s/25℃であった。このウレトジオン基含有ポリイソシアネートをP−14とする。【0053】 表1、2にP−1〜5、P9、P−11〜14の特性とその使用原料を示す。【0054】【表1】【0055】【表2】【0056】実施例1〜5、9、比較例1〜3、表1〜2において HDI :ヘキサメチレンジイソシアネート DDI :デカメチレンジイソシアネート BDI :テトラメチレンジイソシアネート DMH :3,3−ジメチロールヘプタン 1,3−BD:1,3−ブタンジオール TOP :トリオクチルホスフィン TBP :トリブチルホスフィン【0057】 なお、実施例、比較例に用いた有機溶媒は、以下の通りである。クロロホルム : 非芳香族系有機溶剤トルエン : 芳香族系有機溶剤モノクロロベンゼン: 芳香族系有機溶剤【0058】【発明の効果】本発明により、直鎖脂肪族ジイソシアネートを用いた、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの提供が可能となった。また、本発明によって得られたポリイソシアネートは、イソシアヌレート基も含有するが、従来のイソシアヌレート変性ポリイソシアネートより低粘度であった。本発明によって得られたポリイソシアネートは、塗料、接着剤、エラストマー、フォーム等、ポリウレタンが使用できる分野には全て適応できる。 直鎖脂肪族ジイソシアネート、反応系中での濃度が25〜85重量%であるクロロホルム、及びウレトジオン化触媒としてトリアルキルホスフィンを用いることを特徴とする、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法。 直鎖脂肪族ジイソシアネートと活性水素基含有化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、反応系中での濃度が25〜85重量%であるクロロホルム、及びウレトジオン化触媒としてトリアルキルホスフィンを用いることを特徴とする、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法。 直鎖脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1又は2記載の、ウレトジオン基含量の高いポリイソシアネートの製造方法。