生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_イオン交換樹脂の性能評価方法
出願番号:1998040379
年次:2007
IPC分類:G01N 30/00,B01J 47/00,B01J 47/04,C02F 1/42


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鶴見 武 JP 3864539 特許公報(B2) 20061013 1998040379 19980223 イオン交換樹脂の性能評価方法 栗田工業株式会社 000001063 重野 剛 100086911 鶴見 武 20070110 G01N 30/00 20060101AFI20061214BHJP B01J 47/00 20060101ALI20061214BHJP B01J 47/04 20060101ALI20061214BHJP C02F 1/42 20060101ALI20061214BHJP JPG01N30/00 JB01J47/00 ZB01J47/04 ZC02F1/42 Z G01N 30/00 B01J 47/00 B01J 47/04 C02F 1/42 特開平09−257778(JP,A) 特開平09−210977(JP,A) 特開平10−339724(JP,A) 特開平10− 2890(JP,A) 2 1999237370 19990831 7 20040916 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明はイオン交換樹脂の性能評価方法に係り、特に混床式脱塩装置のカチオン交換樹脂の劣化度を現場にて短時間で容易かつ的確に判定することができるイオン交換樹脂の性能評価方法に関する。【0002】【従来の技術】イオン交換樹脂は、工業用水や地下水等の水中のイオンを除去し、水中の溶解塩類を低減するための脱塩手段として広く用いられている。イオン交換樹脂は、被処理水中のイオンによってその交換基が飽和し、イオン交換する能力が失われた場合には、塩酸や苛性ソーダによって再生が行われ、再度脱塩に使用される。【0003】従来、脱塩塔にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を充填した混床式脱塩装置のイオン交換樹脂の再生処理は、次のような一連の処理手順で実施されている。【0004】(1) 脱塩塔からイオン交換樹脂を抜き出し、再生塔へ送り出す移送工程(2) 再生塔で逆洗して、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを分離する逆洗分離工程(3) アニオン交換樹脂のみをアニオン交換樹脂再生塔へ移送する移送工程(4) 再生塔においてそれぞれ、カチオン交換樹脂に塩酸を、アニオン交換樹脂に苛性ソーダを注入する薬注工程(5) 各再生塔に純水を注入して、薬品を押し出す押出工程(6) 各再生塔に純水を注入してイオン交換樹脂をより清浄にする洗浄工程(7) 洗浄された各イオン交換樹脂を樹脂貯槽に移送する移送工程(8) 両イオン交換樹脂を空気などにより混合する混合工程(9) 更に純水で清浄し、純度を確保する第2の洗浄工程(10) 加圧水などにより、樹脂貯槽から脱塩塔へイオン交換樹脂を送り込む移送工程(11) 採水(脱塩処理)に入る前に、脱塩塔内で復水によりイオン交換樹脂を十分に洗浄する第3の洗浄工程このような再生処理を行うことにより、イオン交換樹脂のイオン交換性能が回復するが、イオン交換樹脂の使用期間が長くなると、イオン交換樹脂のイオン交換基と呼ばれる部分に、被処理水中に微量存在するイオン交換樹脂に非常に強固に吸着する成分が吸着され、再生処理によってはイオン交換性能を回復できなくなる。また、イオン交換基が、被処理水中に殺菌のために添加されている塩素によって酸化されるなどして、イオン交換樹脂そのものが溶出したりする現象が起こる。このため、イオン交換樹脂は、その一部又は全部を定期的に新品のイオン交換樹脂と入れ替える必要がある。【0005】この入れ替えに際しては、既存のイオン交換樹脂が保有するイオン交換能力、即ち、イオン交換容量を測定し、その低下量に合わせて、交換するイオン交換樹脂量を決定するのが合理的である。【0006】しかし、イオン交換樹脂の性能評価のためには、分析用のイオン交換樹脂の採取、イオン交換容量の分析作業などで一週間以上の期間を要することから、処理効率の悪化や処理水質の低下といった現象が発生してから対策を講じるまでに約一ヶ月の期間が必要となっていた。【0007】一方で、近年、より高純度の水質が求められるようになり、イオン交換樹脂のイオン交換容量の低下が認められない場合でも処理水質の悪化が問題視されるような事例も多く見られるようになってきている。このような場合には、イオン交換樹脂の性能評価によらず、一定期間使用したイオン交換樹脂は、その全量を交換することで水質の悪化を防止しているために、イオン交換樹脂コストの高騰を招いていた。【0008】このような事例に対応し得るイオン交換樹脂の評価方法として、塩酸洗浄法(特許第2595671号)、MTC(IWC−86−54 J.T.McNULTY,M.EUMANN,C.A.BEVAN,V.C.T.TAN)等が提案されている。このうち、塩酸洗浄法は、再生したイオン交換樹脂をCl形にした後、純水を通水し、OH形になった樹脂量から樹脂の劣化度を判定するものであり、MTCは、再生されたカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との混床に、硫酸ナトリウム含有水を通し、流出する硫酸イオン量から劣化度を求める方法である。【0009】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、塩酸洗浄法やMTCでも、現場では実施し難く、サンプル樹脂を専用の装置がある場所へ移送する必要があることから、判定には数日を要し、また、精度面でも十分に満足し得るものとは言えなかった。【0010】このようなことから、特に高度水処理を行っている脱塩処理系では、イオン交換樹脂のイオン交換容量に余裕を持たせ、イオン交換樹脂の性能評価結果から求められる必要交換量よりも多量のイオン交換樹脂の交換を行っており、このためにイオン交換樹脂コストの高騰を招いているのが現状である。【0011】なお、従来、一連のイオン交換樹脂の再生処理工程のうち、例えば、前記(11)の工程において、洗浄排水の導電率計による導電率の監視やイオンクロマトグラフによる微量イオンの測定が実施されている。これらの方法によれば、洗浄排水中に不純なイオンが含まれていることを検知することはできる。しかし、この不純なイオンの発生理由は、必ずしもイオン交換樹脂の性能低下ばかりではなく、再生操作の不良によっても発生するため、洗浄排水中に微量なイオンが増加したからといってイオン交換樹脂が性能低下したと断定することはできない。【0012】 本発明は上記従来の問題点を解決し、混床式脱塩装置のカチオン交換樹脂の劣化度を現場にて短時間で容易かつ的確に判定することができるイオン交換樹脂の性能評価方法を提供することを目的とする。【0013】【課題を解決するための手段】 本発明のイオン交換樹脂の性能評価方法は、再生後の混床式脱塩装置のイオン交換樹脂の性能を評価する方法において、アニオン交換樹脂と分離されたカチオン交換樹脂を再生後、両イオン交換樹脂を混合する前の、該再生後のカチオン交換樹脂に純水を供給して洗浄し、この洗浄排水のTOCをTOC計により測定し、測定されたTOC値に基いて該カチオン交換樹脂の劣化度を判定することを特徴とする。【0014】 本発明に従って、再生後のカチオン交換樹脂を純水で洗浄した際の洗浄排水のTOCの増加、即ち全有機物濃度の増加を調べることにより、カチオン交換樹脂の劣化の程度を現場にて短期間で容易かつ的確に判定することができる。【0015】即ち、最近、PWR(加圧水型原子炉)の混床式脱塩装置においては、イオン交換樹脂の劣化の現象として、カチオン交換樹脂が酸化されることでカチオン交換樹脂から有機物質が放出され、それが処理水質に混入する事象と、この有機物がアニオン交換樹脂に吸着し、アニオン交換樹脂のイオン吸着性能を劣化させる事象が解明された。従って、PWRの混床式脱塩装置においては、カチオン交換樹脂の溶出成分を一刻も早く、より低濃度まで測定し、カチオン交換樹脂からの溶出有機物を検知することが、イオン交換樹脂の性能監視の上で重要である。【0016】本発明者は、このカチオン交換樹脂からの有機物の溶出現象を把握するためには、例えば、カチオン交換樹脂の再生洗浄時に洗浄排水中に含まれるカチオン樹脂溶出物を測定することが最も確実であることを知見した。このカチオン交換樹脂の再生塔の洗浄排水は、多量の塩素イオンを含むため導電率が高く、導電率による監視はできなかった。これに対し、TOC計の適用により微量の有機物を検知することで、カチオン交換樹脂の酸化劣化の進行による有機物溶出量の増加を迅速かつ的確に知ることが可能となる。なお、イオン交換樹脂の再生が完了した後、採水に入る前に行われる洗浄工程において、洗浄排水中の有機物を検出することでも同様の効果が期待できる。しかし、この工程ではカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂が混合されており、カチオン交換樹脂から溶出した有機物の一部がアニオン交換樹脂に吸着するため、洗浄排水中の有機物濃度はより一層低減されており、より低濃度の有機物が検出できる高精度の計器を必要とするという難点がある。【0017】【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。【0018】 本発明の方法は、アニオン交換樹脂と分離されたカチオン交換樹脂を再生後、両イオン交換樹脂を混合する前の、再生後のカチオン交換樹脂に純水を供給して洗浄し、このときの洗浄排水のTOCの測定値に基いてカチオン交換樹脂の劣化の程度を判定するものであるが、具体的には前述の(1)〜(11)の一連の再生処理工程のうち、(6)の洗浄工程のカチオン交換樹脂の洗浄排水、即ち、カチオン交換樹脂再生塔の出口水のTOC値を判定する。即ち、イオン交換樹脂の劣化を早期に検出し、迅速に対応する(イオン交換樹脂の交換)ためには、再生工程のうち、なるべく前段側の工程で評価を行うのが好ましいが、(4)の薬注工程、(5)の押出工程以前では、再生塔出口水にイオン交換樹脂からの溶出物以外の有機物が存在し、この有機物によってTOC測定が影響を受けるため好ましくない。【0019】これに対して、(6)の洗浄工程では、カチオン交換樹脂の溶出物以外の有機物は少なく、また、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが別々になっているため、カチオン交換樹脂からの溶出物はそのまま洗浄排水中に流出し、これがアニオン交換樹脂に吸着されて濃度が低下し、TOCの測定精度が悪化するという問題もない。【0020】 なお、前述の如く(11)の洗浄工程では、カチオン交換樹脂の溶出物がアニオン交換樹脂に吸着されるため、TOC計として高精度の計器が必要となるため、本発明では、(6)の洗浄工程でTOCの測定を行う。【0021】前記(6)の洗浄工程でTOCの測定を行う場合、カチオン交換樹脂の溶出物以外の有機物による影響を防止する面から、洗浄工程のなかでも、終期の段階でTOC測定を行うのが好ましく、一般的には、洗浄工程に要する時間Tのうち、(1/2〜1/1)×Tの時間(即ち、Tの50%〜100%の時間)が経過したときの洗浄排水のTOCを測定するのが好ましい。【0022】本発明では、このようにTOC測定を行うことにより、例えば、次のような評価を行って、対応策を講じるのが望ましい。【0023】 (1) 予めTOCの設定値を定めておき、TOCの測定値をこの設定値と比較して、設 定値よりも測定値の方が多ければ、カチオン交換樹脂が劣化したと判断する。【0024】 (2) 過去のTOC測定値と現在のTOC測定値とからTOCの変化率を求め、この変 化率を予め定めた設定値と対比して、カチオン交換樹脂の寿命を予測する。【0025】なお、TOC計としては、有機物を燃焼して生成する炭酸ガス量をNDIR(非分散型赤外分光法)により定量する燃焼方式のTOC計と、有機物を酸化剤共存下で紫外線によって酸化し生成する炭酸ガスをNDIRにより定量する湿式酸化方式のTOC計とがあるが、本発明では、いずれの方式のものでも採用可能である。ただし、その検出感度は高感度のものが望ましく、1ppb程度のTOCが測定できる計器が最適である。【0026】本発明の方法は、特に高純度の処理水質が要求される混床式脱塩装置、とりわけ、PWRの混床式復水脱塩装置において、イオン交換樹脂のイオン交換性能の低下をより早く検知するイオン交換樹脂性能検知法として工業的に極めて有用である。【0027】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。【0028】実施例1イオン交換樹脂の再生を前述の再生手順(1)〜(11)に従って行っている、運転中のPWR原子力発電所の混床式復水脱塩装置において、TOC計((株)島津製作所製、湿式加熱分解方式のTOC−5000型)を用いて、前記(6)の洗浄工程のカチオン交換樹脂再生塔の洗浄排水のTOCを監視した。【0029】この洗浄工程では、純水をSV=14hr-1程度で25分間流し、25分経過後の洗浄排水の導電率を測定し、この値が設定値以下であれば良好に洗浄が行われたと判断して次の工程に移行する。【0030】本実施例では、この25分間の洗浄工程のうちの洗浄開始から15分経過したときの洗浄排水(カチオン交換樹脂再生塔出口水)のTOCをTOC計で測定した。【0031】このときのTOC測定値の経時変化を図1に示す。なお、図1には、洗浄の程度の良否の判定のために、洗浄開始から25分経過したときに測定した洗浄排水の導電率の変化を併せて示す。【0032】一方、SG(蒸気発生器)内の塩素イオン濃度を定期的に調べ、この結果をカチオン交換樹脂再生塔の洗浄排水の導電率(洗浄開始から25分後)及びTOC値(洗浄開始から15分後)と比較すると表1のような結果が得られた。【0033】【表1】【0034】 図1及び表1より、次のことがわかる。即ち、カチオン交換樹脂の経時劣化により、脱塩処理水であるSG器内水の塩素イオン濃度が年を経て増加しているが、これに対する導電率の変化よりもTOC値の変化は格段に大きく、かつ、塩素イオン濃度の増加に追従している。従って、本発明の方法によれば、イオン交換樹脂の再生時にTOC値を調べることで、イオン交換樹脂の劣化を容易に把握することができ、また、復水の脱塩処理時の処理水の水質も推定できる。【0035】【発明の効果】 以上詳述した通り、本発明のイオン交換樹脂の性能評価方法によれば、混床式脱塩装置のカチオン交換樹脂の劣化の程度を、当該混床式脱塩装置の再生処理工程において、短時間で容易かつ的確に判定することができる。【0036】このため、このイオン交換樹脂性能の評価結果に基き、イオン交換樹脂の必要交換量や交換時期を正確に設定することができ、イオン交換樹脂コストの高騰を抑えた上で、脱塩処理水質の悪化に事前に対応することができ、良好な処理水を確実に得ることができるようになる。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1における洗浄排水の導電率及びTOCの測定結果を示すグラフである。 再生後の混床式脱塩装置のイオン交換樹脂の性能を評価する方法において、 アニオン交換樹脂と分離されたカチオン交換樹脂を再生後、両イオン交換樹脂を混合する前の、該再生後のカチオン交換樹脂に純水を供給して洗浄し、この洗浄排水のTOCをTOC計により測定し、測定されたTOC値に基いて該カチオン交換樹脂の劣化度を判定することを特徴とするイオン交換樹脂の性能評価方法。 請求項1において、前記再生後のカチオン交換樹脂に純水を供給して洗浄する洗浄工程に要する時間Tのうち、(1/2〜1/1)×Tの時間が経過したときの洗浄排水のTOCを測定することを特徴とするイオン交換樹脂の性能評価方法。


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