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タイトル:特許公報(B2)_メチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造方法
出願番号:1998038699
年次:2007
IPC分類:C07C 45/74,C07C 45/82,C07C 49/04,C07C 29/143,C07C 29/80,C07C 31/125,B01J 23/02,C07B 61/00


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大 野 憲 男 武 田 正 雪 平 井 茂 生 石 田 博 美 JP 3952577 特許公報(B2) 20070511 1998038699 19980220 メチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造方法 三井化学株式会社 000005887 鈴木 俊一郎 100081994 大 野 憲 男 武 田 正 雪 平 井 茂 生 石 田 博 美 20070801 C07C 45/74 20060101AFI20070712BHJP C07C 45/82 20060101ALI20070712BHJP C07C 49/04 20060101ALI20070712BHJP C07C 29/143 20060101ALI20070712BHJP C07C 29/80 20060101ALI20070712BHJP C07C 31/125 20060101ALI20070712BHJP B01J 23/02 20060101ALN20070712BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070712BHJP JPC07C45/74C07C45/82C07C49/04 EC07C29/143C07C29/80C07C31/125B01J23/02 XC07B61/00 300 C07C 27/00-49/92 特開平01−175952(JP,A) 特開平03−095136(JP,A) 特開昭63−119436(JP,A) 特開昭55−111436(JP,A) 特開昭55−108831(JP,A) 4 1999228464 19990824 8 20040607 井上 千弥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造方法に関する。【0002】【発明の技術的背景】従来から、メチルイソブチルケトン(MIBK)および/またはメチルイソブチルカルビノール(MIBC)を製造する方法としては、たとえば塩基性固体触媒の存在下にアセトンを縮合させてジアセトンアルコール(DAA)とし、次いでDAAを脱水、水添してMIBKおよび/またはMIBCとする方法が知られている。また、このようなMIBKおよび/またはMIBCの製法では、アセトンを回収して再使用している。【0003】ところでMIBKおよび/またはMIBCの製法において用いられる塩基性固体触媒の活性は経時的に大きく低下する。また、回収したアセトン中には二酸化炭素が含まれており、この二酸化炭素が塩基性固体触媒の活性を低下させる。二酸化炭素がアセトン中に含有される原因は明らかではないが、たとえば、アセトンに含まれる空気中の二酸化炭素がアセトン中へ溶解したり、DAAの分解、アセトンの縮合の際に副生するメシチルオキシドの分解などにより発生する二酸化炭素がアセトン中へ溶解することなどが考えられる。活性が低下した塩基性固体触媒の交換または再生を行うためには、多大な経費と時間が必要となるため、触媒の寿命を延長することができる方法が求められている。【0004】また、経済性の点からアセトンの回収率の向上および廃液中の有機化合物量の低減が求められている。【0005】【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑みなされたものであって、アセトンを縮合させる触媒の寿命を従来より長くすることができ、アセトンの回収率が高く、しかも廃液中の有機化合物量を従来より低減することができるようなMIBKおよび/またはMIBCの製造方法を提供することを目的としている。【0006】【発明の概要】本発明に係るMIBKおよび/またはMIBCの製造方法は、(1)塩基性固体触媒の存在下にアセトンを縮合させて、DAAおよびアセトンを含む反応生成物を製造する工程(2)前記工程(1)で製造した反応生成物および後記工程(5)で回収したアセトン含有留分を蒸留して、アセトンを分離し前記工程(1)に導入するとともにDAAを回収する工程(3)前記工程(2)で回収したDAAを脱水、水添してMIBKおよび/またはMIBCを含む反応生成物を製造する工程(4)前記工程(3)で製造した反応生成物を蒸留してMIBKおよび/またはMIBCを回収する工程(5)前記工程(4)で副生する水相にアルカリ溶液を添加して蒸留を行い、アセトン含有留分を回収する工程を含むことを特徴としている。【0007】本発明では、前記工程(5)において、水相のpHが8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上となるようにアルカリ溶液を添加することが望ましい。【0008】【発明の具体的説明】以下、本発明に係るMIBKおよび/またはMIBCの製造方法について図1を参照しつつ具体的に説明する。図1は、アセトンからMIBKおよび/またはMIBCを製造する工程の一例を示す工程図である。【0009】工程(1)図1に示す例では、原料アセトンは導管11から反応装置1に導入される。この原料アセトンには、後記工程(2)で分離したアセトンが含まれる。【0010】反応装置1内には、塩基性固体触媒が充填されており、アセトンは塩基性固体触媒と接触することにより縮合してDAA(ジアセトンアルコール)が生成する。【0011】塩基性固体触媒の例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の不溶性の塩基化合物を含有する固体触媒が挙げられる。これらの塩基性固体触媒は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。また、上記の塩基性固体触媒の活性成分を構成する塩基性化合物は、触媒として単独で用いることもできるが、担体に担持して用いることもできる。この場合に用いられる担体としては、水に対する溶解度の低い担体を用いることが好ましい。【0012】塩基性固体触媒としては、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物と、メタケイ酸ナトリウムなどのケイ素化合物とを含む塩基性固体触媒の形成成分の混合物を低温焼成して得られる触媒を用いることが好ましい。【0013】塩基性固体触媒は、固定床、流動床、移動床などの形式で反応装置1内に充填しアセトンと接触させることができるが、固定床にて塩基性固体触媒とアセトンとを接触させることが好ましい。【0014】アセトンと塩基性固体触媒との接触は、少なくとも1回行われればよいが、反応装置1と同様の反応装置を複数直列に配置して、アセトンと塩基性固体触媒とを2回以上接触させるとDAAの生成率が向上する。【0015】反応装置1内で塩基性固体触媒と接触してアセトンの少なくとも一部がDAAとなったDAAおよびアセトンを含む反応生成物は、導管12から蒸留塔2へ導入される。【0016】工程(2)蒸留塔2では、アセトンとDAAとの沸点の差を利用して両者を分離する。得られたDAA(水、アセトン等を少量含んでいる。)は、導管14から脱水反応装置3に導入される。一方、分離された未反応のアセトンは、導管13により再生流として原料アセトンとして再使用される。【0017】なお、蒸留塔2には、後述する蒸留塔10で分離されたアセトンが、導管28から導入されることがある。工程(3)脱水反応装置3では、DAAと触媒とを接触させることにより脱水反応が起こり、メシチルオキシドが生成する。ここで用いられる触媒としては硫酸、リン酸などが挙げられる。【0018】脱水反応により生成したメシチルオキシドを含む反応生成物(水、アセトン、DAA等を含んでいる。)は、導管16からドラム4に導入される。ドラム4では、メシチルオキシドとアセトンとを液々分離する。ドラム4で分離されたメシチルオキシド(水、アセトン、DAA等を少量含んでいる。)は、導管18から水添反応装置5に導入される。一方、ドラム4で分離されたアセトンは、導管17から蒸留塔10に導入することができる。【0019】水添反応装置5では、水添触媒の存在下にメシチルオキシドと水素とを接触させてMIBKおよび/またはMIBCを生成する。水添触媒としては、ニッケル、ラネーニッケル、白金黒、酸化白金、パラジウム、パラジウム黒などの従来公知の水添触媒が用いられる。【0020】水添反応装置5で生成したMIBKおよび/またはMIBCを含む反応生成物(水、アセトン、DAA等を少量含んでいる。)は、導管19から沈降槽6に導入される。【0021】沈降槽6では水添反応装置5で生成したMIBKおよび/またはMIBCを含む反応生成物と水添触媒が分離され、MIBKおよび/またはMIBCを含む反応生成物は、導管21から蒸留塔7に導入される。一方、水添触媒は、導管20から水添反応装置5に導入され再使用される。【0022】工程(4)蒸留塔7では、MIBKとMIBCとの沸点の差を利用して両者を分離する。分離されたMIBK(水、アセトン、DAA等を少量含んでいる。)は、導管23から蒸留塔8に導入される。一方、MIBC(メチルイソブチルカルビノール)は、導管22から排出され、従来公知の方法により精製される。【0023】蒸留塔8では、MIBKと水、アセトン、DAA等との分離が行われる。分離された水、アセトン、DAA等は、導管25からドラム9に導入される。一方、MIBK(メチルイソブチルケトン)は、導管24から排出される。【0024】ドラム9では、水、アセトン、DAAを含む水相が分離され導管26から蒸留塔10に導入される。工程(5)本発明では、前記水相が蒸留塔10に導入される前に該水相にアルカリ溶液を添加する。アルカリ溶液としては、アルカリ成分の有機溶媒溶液を用いることもできるが、アルカリ成分の水溶液を用いることが好ましい。アルカリ成分としては、アミン類、アンモニアまたはアルカリ土類金属の水酸化物を用いることができるが、本発明においては、水酸化リチウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を用いることが好ましく、これらの中では水酸化ナトリウムが特に好ましい。【0025】アルカリ金属の水酸化物の水溶液としては、アルカリ金属の濃度が1〜40重量%の範囲内にあることが好ましい。特に本発明においては、アルカリ金属の濃度が5〜30重量%の範囲の濃度の水溶液を好適に使用することができる。【0026】アルカリ溶液は導管26のいずれかの場所、たとえば導管29から導入することができる。アルカリ溶液が添加された水相のpH値(蒸留塔10に導入される直前の値)は、通常8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上である。【0027】なお、蒸留塔10には、反応装置1を停止させたときに反応装置1から回収されるアセトンを含む溶液(回収アセトン溶液)も導入されることがあるが、この場合は回収アセトンと前記水相との混合溶液のpH値(蒸留塔10に導入される直前の値)が前記値である。【0028】蒸留塔10では、前記のようにアルカリ溶液を添加した、水、アセトン、DAAを含む水相(回収アセトン溶液を含む場合がある。)をフラッシュ蒸留する。フラッシュ蒸留により分離された水およびアセトンは、導管28から蒸留塔2に導入される。一方、廃液は導管27から排出される。【0029】アルカリ溶液を添加した水相をフラッシュ蒸留すると、二酸化炭素の発生を抑制することができる。特にpH値を12以上とすると、アルカリ溶液を添加しない場合に比べて、二酸化炭素の発生量が約1/10以下となる。二酸化炭素の発生量が少ないと、反応装置1に流入する二酸化炭素(塩基性固体触媒の被毒物質)の量が低下するため、触媒の寿命を延長することができる。【0030】また、アルカリ溶液を添加した水相をフラッシュ蒸留すると、水相中のDAAが加水分解してアセトンとなるため、アセトンの回収率が向上する。さらにアセトンの回収率を向上させることができるため、廃液中の有機化合物量を低減させることができ、排水中のTODを低減させることができる。【0031】【発明の効果】本発明は、アセトンの回収率が高く、かつ廃水中の有機化合物含量を低減させることができ、しかもアセトンを縮合させる触媒の寿命を長くすることができる。【0032】【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。【0033】【実施例1および比較例1】図1に示したような装置を用いてアセトンからメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造を行った。ただし、反応装置として、1で示す反応装置と同一の反応装置を反応装置1と蒸留塔2との間にさらに2機配置し、合計3機の反応装置を用いた。この3機の装置には水酸化カルシウムとメタケイ酸ナトリウムとの混合物を120〜130℃で焼成して得た固体触媒が固定床方式で充填されている。また、実施例1では導管29からアルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液)を導入し、水相のpHを調整した。結果を表1に示す。なお、pHはpHメータで測定し、アセトン含量およびCO2 含量はガスクロマトグラフィーで測定し、水分含量はカールフィッシャー水分計で測定し、TODはJIS K−0102に準拠して測定した。【0034】【表1】【図面の簡単な説明】【図1】 アセトンからMIBKおよび/またはMIBCを製造する工程の一例を示す工程図である。【符号の説明】1 … 反応装置2 … 蒸留塔3 … 脱水反応装置4 … ドラム5 … 水添反応装置6 … 沈澱槽7 … 蒸留塔8 … 蒸留塔9 … ドラム10 … 蒸留塔 (1)塩基性固体触媒の存在下にアセトンを縮合させて、ジアセトンアルコールおよびアセトンを含む反応生成物を製造する工程(2)前記工程(1)で製造した反応生成物および後記工程(5)で回収したアセトン含有留分を蒸留して、アセトンを分離し前記工程(1)に導入するとともにジアセトンアルコールを回収する工程(3)前記工程(2)で回収したジアセトンアルコールを脱水、水添してメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールを含む反応生成物を製造する工程(4)前記工程(3)で製造した反応生成物を蒸留してメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールを回収する工程(5)前記工程(4)で副生する水相にアルカリ溶液を添加して蒸留を行い、アセトン含有留分を回収する工程を含むことを特徴とするメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造方法。 前記工程(5)において、水相のpHが8以上となるようにアルカリ溶液を添加する請求項1に記載のメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造方法。 前記工程(5)において、水相のpHが10以上となるようにアルカリ溶液を添加する請求項1に記載のメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造方法。 前記工程(5)において、水相のpHが12以上となるようにアルカリ溶液を添加する請求項1に記載のメチルイソブチルケトンおよび/またはメチルイソブチルカルビノールの製造方法。


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