生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_有胞子乳酸菌を含有する液剤
出願番号:1998038345
年次:2006
IPC分類:A23L 2/52,A23L 2/38,A61K 35/74,A61P 1/12,C12N 1/20,A23C 9/13,C12R 1/07


特許情報キャッシュ

桂木 能久 菅谷 博之 武田 葉子 梶原 泰 JP 3789632 特許公報(B2) 20060407 1998038345 19980220 有胞子乳酸菌を含有する液剤 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 桂木 能久 菅谷 博之 武田 葉子 梶原 泰 20060628 A23L 2/52 20060101AFI20060608BHJP A23L 2/38 20060101ALI20060608BHJP A61K 35/74 20060101ALI20060608BHJP A61P 1/12 20060101ALI20060608BHJP C12N 1/20 20060101ALI20060608BHJP A23C 9/13 20060101ALN20060608BHJP C12R 1/07 20060101ALN20060608BHJP JPA23L2/00 FA23L2/38 GA61K35/74 AA61P1/12C12N1/20 AA23C9/13C12N1/20 AC12R1:07 A23L 2/52 A23L 2/38 A61K 35/74 A61P 1/12 C12N 1/20 A23C 9/13 C12R 1/07 特開平11−169145(JP,A) 特開平11−075831(JP,A) 特開平10−327846(JP,A) 4 1999225721 19990824 7 20040907 中島 庸子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は有胞子乳酸菌を含有する液剤に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】最近、“体質改善をねらった健康指向の食品”、特に腸の環境改善効果を目指した商品への要望が高まってきている。例えば、ある種の乳酸菌又はビフィズス菌は継続的飲用すると腸内菌叢を改善するので、それにより健康を増進する研究が活発化している。しかし、乳酸菌は一般に寿命が短く、特に乾燥条件下ではその生存率は極めて低い。また健康増進効果を得るには、胃液及び胆汁酸による影響をのがれて腸管に達する必要性がある。そこで多くのメーカーは、耐酸性乳酸菌の利用、腸溶性カプセルを用いた導入方法を採用しはじめている。一方、有胞子乳酸菌〔バチルス コアグランス(Bacillus coagulans) 〕は、一般的な乳酸菌と異なり、一定の条件下で乾燥にも熱や酸にも非常に強く、腸内で発芽して活発に増殖する特性を有し、各種食品へ応用されている。しかし、有胞子乳酸菌は、胞子が発芽せずに成熟胞子のままでいてこそ、耐熱性等に優れるものであり、一旦発芽し発芽胞子(発芽胞子は更に栄養細胞へと変化する)となると、耐熱性、耐薬品性等が失われる。そこで、有胞子乳酸菌の安定化(胞子を発芽させずに成熟胞子のまま維持すること)について種々検討された結果、粉末の状態では極めて安定で、1年以上にわたり一定の菌数を保持することが知られている。しかし、水系で安定に保持する方法は未だ提案されてない。即ち、有胞子乳酸菌は生理食塩水や糖水溶液に保存しても、経時的に死滅菌数が増加し、各種飲料等への応用ができない。更に、有胞子乳酸菌の胞子を液剤に配合する場合、胞子の安定性の低さが食品や医薬品の商品設計上大きな問題点であった。例えば、低pHの条件下では、胞子発芽後、栄養細胞に発育し、その後死滅する問題があった。【0003】【課題を解決するための手段】 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、低pH条件下で液剤の浸透圧を制御することにより、液剤中で胞子の発芽を抑制し、胞子の形態を安定に保持する技術を見出し、本発明を完成した。 即ち、本発明は、 下記1)〜4)を満たし、50℃で2週間保存した後に、胞子の残存率が12.2%以上であることを特徴とする有胞子乳酸菌を含有する液剤である。 1)バチルス コアグランス(Bacillus coagulans) の胞子を 1.0×103 個/ml以上を含むこと 2)浸透圧が0.699〜1.5 Osmol /kgの範囲に入ること 3)pHが2.7 〜4.5 の範囲にあること 4)還元麦芽糖水飴及び/又はショ糖を含むこと【0004】【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。胞子の発芽は、胞子表面から水が侵入した際に、溶解しているカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの2価金属イオンにより誘発される(細菌の解剖:水島昭二、三浦謹一郎著、講談社サイエンティフィック出版、1979年)。本発明者らは、胞子の周りの浸透圧を上げる、すなわち胞子の表面にかかる圧力を上げることにより、外からの水の進入を少なくし発芽を抑制する方法を見出した。浸透圧とは、厳密には希薄溶液で取り扱うことのできる定義である。溶質濃度が高い液剤の場合、一見、浸透圧を適用することが困難であると考えられるが、本発明者らは浸透圧と有胞子乳酸菌の胞子残存率の間には正の相関関係があることを知見した。浸透圧は、水に溶解する分子(溶質)の数に比例することから、溶質の量が多いと浸透圧は高い関係が生じる。液剤の浸透圧を上げるには、塩類、糖類などの水可溶性成分を添加すれば良い。塩類としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属を含む塩類、乳性ミネラル、有機酸塩類などが挙げられる。糖類としては、グルコースなどの単糖、ショ糖などの二糖、オリゴ糖、多糖類、糖アルコール類が挙げられる。また、蛋白質、アミノ酸、ペプチドなども用い得る。上記オリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖などを用い得る。糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなどが挙げられる。糖アルコールは、バチルス・コアグランスにより資化されず、保存時の発芽抑制効果があり、好適である。【0005】本発明において、浸透圧は、フォーゲル社(独)の氷点降下法を利用した浸透圧計(機種名 OM802)で測定した。本発明においては、液剤の浸透圧は0.3 〜1.5 Osmol /kgの範囲に入ることが必要であり、好ましくは0.4 〜1.0 Osmol /kgの範囲である。0.3 Osmol /kg以上であれば、胞子の安定性が向上する。しかし、1.5 Osmol /kgを越えると液剤としての味のバランスを失い、商品の価値が失われる。【0006】また、本発明では、液剤のpHは2.7 〜4.5 の範囲が必要であり、好ましくは3.2 〜4.0 、特に好ましくは3.3 〜3.8 の範囲である。pHが上記範囲内にあれば、胞子の発芽が比較的起こりにくく、また高温殺菌を要しないので、風味の良い液剤が得られる。【0007】本発明の液剤は、液状の食品および医薬品に適用できる。例えば、食品では乳酸菌飲料、清涼飲料、ゼリー状飲料、スープ類、プリンやゼリーなどのデザート類、ポーション類、果汁、野菜ジュース、アイスクリーム、乳化食品などが挙げられる。医薬品では、一般的にドリンク剤として表現される液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、乳剤、エキス剤、煎剤などに用いられる。但し、液状の形態であればこれに記載される限りではない。【0008】上記食品および医薬品の流通は、冷凍、チルド、常温の3つのタイプに限られ、飲料の保存はこれらの温度に対応することが望まれる。本品は、有胞子乳酸菌を含むため、凍結すると死滅する恐れがある。このため、保存はチルドおよび常温が好ましい。しかし、チルドでの流通および保存の場合は、輸送や保存に関るランニングコストが多大となることから、工業的有用性を考慮して、常温での保存が好ましい。【0009】本発明において、例えば1本1リットルの液剤を想定した場合、液剤中に 1.0×103 個/mlの濃度になるようにBacillus Coagulanse の胞子を配合すると、正味胞子数は 1.0×106 個/本となる。この量を含むことにより、腸の環境改善効果が得られる。好ましくは、 1.0×104 〜 1.0×108 個/ml、特に好ましくは 1.0×105 〜 1.0×107 個/mlの濃度で配合する。本発明の液剤は、50℃で2週間保存した後の胞子残存率が1%以上である。本発明において、胞子残存率は以下のように測定した。飲料のベース配合を85℃に30分間さらし、殺菌した。これに、予め85℃で10分間加熱処理した有胞子乳酸菌胞子懸濁液を無菌状態下で 1.0×103 個/ml以上になるように添加した。これを50℃の恒温室で保存し、2週間後の残存率を測定した。即ち、2週間後に0.5ml ずつサンプリングし、4.5ml の滅菌した50mMリン酸バッファー(pH7)で希釈後、80℃で30分加熱後冷却し、BCP寒天培地(日水製薬(株))に塗沫し、50℃で2日培養後、生じたコロニー数より胞子の残存率を求めた。50℃で2週間の保存は加速試験であり、常温で保存した場合の約1年4ヶ月に相当する。常温で6ヶ月間保存した後の胞子残存率は、1%以上であることが好ましく、特に10%以上、より好ましくは50%以上である。【0010】本発明において、有胞子乳酸菌は市販品だけでなく、自然界より新たに単離されたもの、または市販品より選抜育種または変異育種したものも使用できる。【0011】本発明の液剤には、保存中に起こる成分の酸化劣化を抑制する目的で、抗酸化剤を添加できる。中でも、ビタミンE、β−カロチンなどの脂溶性の抗酸化剤は、胞子安定化合効果を有し好適である。【0012】また、本発明の液剤には、風味向上から醗酵乳の添加が望ましい。醗酵乳は、脱脂粉乳、全脂粉乳、生乳、乳蛋白質の中の1種及び2種以上を含む原料をラクトバチルス属および/又はビフィズス属を用いて醗酵させて調製する。醗酵乳は、殺菌醗酵乳、生菌を含む醗酵乳、メイラード反応生成物を含む醗酵乳(褐変醗酵乳)等のタイプがあるが、中でも、殺菌醗酵乳の使用が好ましい。また、乳清成分を原料にした醗酵液や醗酵エキスも用い得る。【0013】本発明の液剤には、その他、香料、ヨーグルトフレーバー、果実系フレーバー、安定化剤、ペクチンなどの多糖類なども添加できる。【0014】【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。実施例1〜7、比較例1〜2表1に示す処方の液剤に、ラクリス(三共(株)製、登録商標)粉末より単離した有胞子乳酸菌を表1に示す量添加した。そのpH(乳酸、クエン酸で調整)と浸透圧を表1に併せて示す。この液剤について、前記方法により、50℃で2週間保存した後の胞子の残存率を測定した結果も表1に併せて示す。実施例8、比較例3〜4表2に示す処方の液剤を用いた以外は前記実施例と同様に試験を行った。結果を表2に示す。【0015】【表1】【0016】【表2】 下記1)〜4)を満たし、50℃で2週間保存した後に、胞子の残存率が12.2%以上であることを特徴とする有胞子乳酸菌を含有する液剤。 1)バチルス コアグランス(Bacillus coagulans) の胞子を 1.0×103 個/ml以上を含むこと 2)浸透圧が0.699〜1.5 Osmol /kgの範囲に入ること 3)pHが2.7 〜4.5 の範囲にあること 4)還元麦芽糖水飴及び/又はショ糖を含むこと 糖アルコールを含むことを特徴とする請求項1記載の液剤。 抗酸化剤を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の液剤。 発酵乳を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の液剤。


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