タイトル: | 特許公報(B2)_アルミニウム材料の耐食性試験方法 |
出願番号: | 1998038244 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N17/00 |
植木 光彦 熊田 正隆 室岡 秀一 小堀 一博 小島 正博 寺田 隆 JP 3678575 特許公報(B2) 20050520 1998038244 19980220 アルミニウム材料の耐食性試験方法 本田技研工業株式会社 000005326 昭和電工株式会社 000002004 清水 久義 100071168 高田 健市 100099885 黒瀬 靖久 100099874 植木 光彦 熊田 正隆 室岡 秀一 小堀 一博 小島 正博 寺田 隆 20050803 7 G01N17/00 JP G01N17/00 7 G01N 17/00 特開平10−062333(JP,A) 3 1999237330 19990831 15 20030220 本郷 徹 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム材料の腐食を促進して短時間で耐食性を試験する耐食性試験方法に関し、特に熱交換器等の自動車用アルミニウム製品の耐食性試験に適した耐食性試験方法に関する。【0002】【従来の技術】自動車用等の各種熱交換器の材料としては、アルミニウムまたはその合金が多く使用されている。また、熱交換器は、その使用環境において、排ガス等の汚染空気に曝されるとともに、降雨や日照により湿潤と乾燥と繰返し、長期使用の間には腐食は免れない。そのため、的確な製品の耐久性予測や製品開発を行う上で、製品または材料金属の耐食性試験は不可欠である。【0003】各種金属材料の耐食性試験は、短時間で試験を行うために試験体を腐食促進環境下において行う。一般的な耐食性試験法として、例えば、連続的に塩水を噴霧する塩水噴霧試験方法(JIS Z2371),酸性水を噴霧するキャス試験 (JIS H8681)、ASTM G85−85,Method G43 SWAAT等が知られており、熱交換器の耐食性試験としてもこれらの試験法が広く採用されている。また、特に自動車用部品の耐食性試験法として、(財)自動車技術会制定の自動車規格JASO M609−91 自動車用材料腐食試験方法、M610−92 自動車部品外観腐食試験法があり、一定サイクルで塩水噴霧、乾燥、湿潤を繰返すこの試験方法も採用されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の一般的な耐食性試験法のうち、塩水噴霧試験方法法は塩水の噴霧時間が長いために、孔食を主とする実機とは異なる形態で腐食が発生進行し、市場における耐久性を的確に予測することが困難である。さらに、腐食の促進性が低いために、短期間で試験を実施することができない。また、酸性液を用いるキャス試験やSWAATでは腐食の促進性はあるが、やはり実機の腐食形態とは異なるために、市場における耐久性を的確に予測することができない。【0005】また、JASO M609−91やM610−92は、市場の腐食環境に近い腐食試験方法であるが、裸鋼板、塗装板、ステンレス、めっき品、アルミニウム材料など、あらゆる金属材料を対象にした試験方法であり、個々の材料すべてに対して短期間で腐食を発生させる最適な耐食性試験方法とは言い難い。【0006】このように、既存の耐食性試験方法においては、アルミニウム材料およびその製品、特に熱交換器等の自動車用アルミニウム製品を対象として、市場相関がありかつ腐食を短時間で発生させる最適条件が確立されていない。【0007】この発明は、このような技術背景に鑑み、孔食を主体とする腐食形態を示すアルミニウム材料について、短期間で実機の耐久性と相関性の高い試験結果が得られるアルミニウム材料の耐食性試験方法の提供を目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】この第1の発明のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、前記目的を達成するために、試験体に対し、孔食を早期に発生させる孔食発生促進過程を実施した後、続いて孔食の成長を促進する孔食成長促進過程を実施することにより、該試験体の耐食性を試験する方法であって、前記孔食発生促進過程は、試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の33〜67%となるように設定し、3.4〜8サイクル/日の頻度で1〜10日間行うものであり、前記孔食成長促進過程は、前記試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に6〜45時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の50〜95%となるように設定し、0.5〜2サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うことを特徴とする。【0009】また、第2の発明のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、第1の発明の方法の孔食発生促進過程を単独で行うものであって、試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の33〜67%となるように設定し、3.4〜8サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うことを特徴とする。【0010】また、第3の発明のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、第1の発明の方法の孔食成長促進過程を単独で行うものであって、試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に6〜45時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の50〜95%となるように設定し、0.5〜2サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うことを特徴とする。【0011】第1の耐食性試験方法は、腐食促進を腐食挙動の異なる2段階で行い孔食を発生かつ進行させ、市場の実機の腐食形態を短期間に再現する。即ち、第1段階の孔食発生促進過程は主として孔食を早期に発生させるものであり、第2段階の孔食成長促進過程は先の過程で発生させた孔食の成長を促進するものである。これらの過程は、いずれも塩水噴霧ステップ、乾燥ステップ、湿潤ステップを1サイクルとしてこれを反復して行うものであるが、1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合を、孔食発生促進過程で短く、孔食成長促進過程で長く設定している点で異なる。【0012】なお、前記孔食発生促進過程および孔食成長促進過程は、腐食挙動が異なるといってもいずれも腐食形態は孔食でありかつ腐食を促進するものであるから、単独で実施した場合でも、腐食の進行速度が若干低下するものの、市場の腐食形態を再現してアルミニウム材料の耐食性試験とすることができる。上述の第1の耐食性試験方法が2つの異なる過程を組合せたものであるのに対し、第2の耐食性試験方法は第1の試験方法の孔食発生促進過程を単独で行うものであり、第3の耐食性試験方法は孔食成長促進過程を単独で行うものである。これらの単一過程による試験方法では、試験に要する期間が若干長くなるものの、同一サイクルの反復実施であるからサイクル管理が簡単であるという利点がある。【0013】以下に、各ステップの条件について詳述する。なお、孔食発生促進過程および孔食成長促進過程における各ステップの条件は、保持時間およびサイクル頻度を除いて共通である。【0014】[塩水噴霧ステップ]塩水噴霧ステップは、試験体に塩水を噴霧して試験体表面に腐食促進物質を付着させるとともに、試験体表面が常時濡れている状態を保持する。噴霧する塩水は、pH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液である。NaClは腐食促進成分であり、NaCl濃度が2%未満では腐食の進行が遅く試験に長時間を要し、6%を超えると腐食進行が飽和する。NaCl濃度の好ましい下限値は3%であり、好ましい上限値は5%である。NaCl水溶液をpH6〜8の中性とするのは、市場の腐食形態を再現するためである。NaCl水溶液のpHの好ましい下限値は6.5であり、好ましい上限値は7.5である。また、前記塩水の噴霧雰囲気は、適度な腐食速度を確保するために35〜60℃の範囲としている。35℃未満では腐食の発生が遅れ、60℃を超えると水和酸化膜が成長し、カソードの還元反応は抑制されてしまい腐食速度は遅くなるためである。塩水噴霧雰囲気温度の好ましい下限値は45℃であり、好ましい上限値は55℃である。【0015】[乾燥ステップ]乾燥ステップは、試験体を50〜70℃、湿度40%RH以下の乾燥環境中で保持して、試験体表面から水分を除去するとともに腐食を促進する。乾燥環境における温度は、50℃未満では腐食の促進が不十分で試験に長時間を要し、一方70℃を超えると試験装置の耐熱性を確保するために、装置の構成材料に制限がある。好ましい乾燥環境温度の下限値は55℃であり、好ましい上限値は65℃である。また、湿度は、40%RHを超えると付着水分が蒸発しにくくなり乾燥しにくくなる。湿度の好ましい上限値は30%RHである。【0016】[湿潤ステップ]湿潤ステップは、試験体を湿度40〜60℃、湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時間保持することにより、乾燥した試験体表面に再び水分を与えて腐食を促す。湿潤環境における温度は、40℃未満では腐食の促進が不十分で試験に長時間を要し、一方60℃を超えると水和酸化膜が成長し、カソードの還元反応は抑制されてしまい腐食速度は遅くなるためである。好ましい湿潤環境温度の下限値は45℃であり、好ましい上限値は55℃である。また、相対湿度は、80%RH未満では試験体表面に十分な水分を与えることができない。湿度の好ましい下限値は90%RHであり、好ましい上限値は98%RHである。【0017】次に、孔食発生促進過程および孔食成長促進過程における各ステップの保持時間およびサイクル頻度について、表1を参照しつつ説明する。【0018】【表1】【0019】[孔食発生促進過程]塩水噴霧ステップの保持時間は0.5〜2時間とする。0.5時間未満では腐食を促進する効果に乏しく、2時間を超えると腐食形態が面状腐食になりやすい。塩水噴霧ステップの保持時間の好ましい下限値は1時間であり、好ましい上限値は1.5時間である。【0020】乾燥ステップの保持時間は1〜3時間とする。1時間未満または3時間を超える場合は、腐食の進行速度が低下する。乾燥ステップの保持時間の好ましい下限値は1時間であり、好ましい上限値は2時間である。【0021】湿潤ステップの保持時間は1〜5時間とし、後述の孔食成長促進過程よりも短く設定する。1時間未満では腐食を促進する効果に乏しく、5時間を超えて湿潤状態を持続すると孔食を発生させる効果が低下する。湿潤ステップの保持時間の好ましい下限値は2時間であり、好ましい上限値は4時間である。【0022】孔食を早期に発生させるために、3つのステップ時間を上述の範囲とし、さらに、特に孔食の早期発生に深く関与する1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合を33〜67%となるように、各ステップ保持時間を設定する。湿潤ステップ時間の割合が前記範囲内にあるときに、孔食を早期に発生させかつ腐食の進行を促進する効果が大きい。1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合の好ましい下限値は40%であり、好ましい上限値は60%である。【0023】また、塩水噴霧ステップ、乾燥ステップ、湿潤ステップを1サイクルとするサイクル頻度は3.4〜8サイクル/日の範囲とする。換言すれば、相対的に湿潤ステップ時間を短くしてサイクル頻度を多くすることにより、孔食を早期に発生させかつ腐食の進行を促進する効果が大きい。サイクル頻度の好ましい下限値は4サイクル/日であり、好ましい上限値は6サイクル/日である。【0024】[孔食成長促進過程]塩水噴霧ステップおよび乾燥ステップの保持時間は、上述の孔食発生促進過程におけるそれぞれの保持時間と同一である。【0025】湿潤ステップの保持時間は6〜45時間とし、上述の孔食発生促進過程よりも長く設定する。6時間未満であっても45時間を超えても孔食の成長を促進する効果が低下する。湿潤ステップの保持時間の好ましい下限値は12時間であり、好ましい上限値は36時間である。【0026】孔食の成長を促すために、3つのステップ時間を上述の範囲とし、さらに、特に孔食の成長に深く関与する1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合を50〜95%となるように、各ステップ保持時間を設定する。湿潤ステップ時間の割合が前記範囲内にあるときに、孔食を早期に発生させかつ腐食の進行を促進する効果が大きい。1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合の好ましい下限値は67%であり、好ましい上限値は92%である。【0027】また、サイクル頻度は0.5〜2サイクル/日の範囲とする。換言すれば、湿潤ステップ時間を長く設定してサイクル頻度を少なくすることにより、孔食を成長させる効果が大きい。サイクル頻度の好ましい下限値は0.62サイクル/日であり、好ましい上限値は1.6サイクル/日である。【0028】この発明の第1の耐食性試験方法は、前記孔食発生促進過程1〜10日間実施して、早期に孔食を発生させた後、続いて前記孔食成長促進過程を実施して孔食を成長させるものである。前記孔食発生促進過程の実施期間は、3〜5日間が好ましい。また、前記孔食成長促進過程は1サイクル以上任意の期間実施し、特に期間は限定しない。【0029】また、第2の耐食性試験方法は前記孔食発生促進過程のみを実施するものであり、第3の耐食性試験方法は前記孔食成長促進過程のみを実施するものであって、いずれも1サイクル以上任意の期間実施する。【0030】この発明の第1のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、腐食挙動の異なる2種類の腐食促進過程を組合せることにより、アルミニウム材料に短期間で孔食を発生させかつ進行させることができる。そのため、孔食を起こすような状況で使用されるアルミニウム材料やアルミニウム製品の耐食性について短期間で的確に評価することができる。【0031】また、第1の耐食性試験方法の2つの腐食促進過程をそれぞれ単独で行う第2および第3の耐食性試験方法は、腐食の進行速度が第1の耐食性試験方法よりも若干低下するものの、アルミニウム材料に短期間で孔食を発生させかつ進行させることができ、短期間で耐食性を評価することができる。【0032】【実施例】次に、この発明のアルミニウム材料の耐食性試験方法の具体的実施例について説明する。【0033】以下の実験例において、試験体として、JIS A1050からなる肉厚0.4mmの多穴管押出チューブと、JIS A3003+2%Znからなる芯材の両面にJIS A4343+2%Znからなるろう材を10%でクラッドしたブレージングシートで製作したコルゲートフィンとを組合せ、これらを弗化物系フラックスを用いて窒素雰囲気中で600℃、5分間の加熱してろう付した熱交換器のミニサンプルを使用した。【0034】[実験例1]表2および表3に示す実施例1〜7は、この発明の第2の耐食性試験方法、即ち1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合が相対的に少ない孔食発生促進過程に相当するものである。【0035】実施例1〜7については、表2に示す濃度にNaClを溶解し、さらに塩酸または水酸化ナトリウムにより表2に示すpHに調整し、噴霧用塩水とした。そして、前記試験体に対し、表2に示す温度、湿度、時間の各条件で塩水噴霧ステップ、乾燥ステップ、湿潤ステップを1サイクルとするサイクル試験を90日間実施した。【0036】一方、比較例1は、JIS Z2371 塩水噴霧試験方法に準拠し、表2に示す濃度およびpHのNaCl水溶液を50℃で連続90日間噴霧した。比較例2はJIS H8681 キャス試験方法に準拠し、酸性塩水を49℃で90日間連続噴霧した。比較例3は、ASTM G85−85,Method G43SWAATに準拠し、ASTM人工海水と酢酸により調整した酸性腐食液を0.5時間噴霧、1.5次間湿潤環境保持を1サイクルとするサイクル試験を90日間実施した。比較例4は、JASO M610−92自動車部品外観腐食試験法(CCT)に準拠し、表2に示す条件で、塩水噴霧、乾燥環境保持、湿潤環境保持を1サイクルとするサイクル試験を90日間実施した。【0037】各試験体について、試験後開始後、30日目、60日目および90日目に、腐食状態を肉眼で観察するとともに、孔食の深さを測定し、腐食形態と腐食促進度について評価した。評価結果を表3に示す。【0038】【表2】【0039】【表3】【0040】[実験例2]表4および表5に示す実施例11〜17は、この発明の第3の耐食性試験方法、即ち1サイクル中の湿潤ステップ時間の割合が相対的に多い孔食成長促進過程に相当するものである。【0041】実施例11〜17については、表4に示す濃度にNaClを溶解し、さらに塩酸または水酸化ナトリウムにより表4に示すpHに調整し、噴霧用塩水とした。そして、前記試験体に対し、表4に示す温度、湿度、時間の各条件で塩水噴霧ステップ、乾燥ステップ、湿潤ステップを1サイクルとするサイクル試験を90日間実施した。【0042】一方、比較例11〜14は、比較例1〜4の再掲である。【0043】各試験体について、試験後開始後、30日目、60日目および90日目に、腐食状態を肉眼で観察するとともに、孔食の深さを測定し、腐食形態と腐食促進度について評価した。評価結果を表5に示す。【0044】【表4】【0045】【表5】【0046】[実験例3]表6および表7に示す実施例21〜24は、この発明の第1の耐食性試験方法に相当するものであって、孔食発生促進過程実施後に孔食成長促進過程を実施するものである。【0047】実施例21〜24は、表6に示すように、上述の実施例1(表2)と同一のサイクルを所定期間実施した後、続いて実施例11(表4)あるいは実施例12 (表4)と同一のサイクルを実施したものである。【0048】一方、比較例21〜24は、比較例1〜4の再掲である。【0049】各試験体について、試験後開始後30日目、60日目および90日目に、腐食状態を肉眼で観察するとともに、孔食の深さを測定し、腐食形態と腐食促進度について評価した。評価結果を表7に示す。【0050】【表6】【0051】【表7】【0052】表3、表5、表7の結果より、この発明の方法によれば、市場の実機の腐食形態である孔食が再現できるとともに、短期間で腐食を進行させることができることを確認できた。そして、この試験方法によりアルミニウム材料の耐久性を短期間で評価することができる。【0053】また、孔食発生促進過程、孔食成長促進過程という腐食挙動の異なる2種類のサイクル試験を組合せることにより、各過程を単独で実施するよりも、さらに短期間で腐食を進行させ得ることも確認することができた。【0054】【発明の効果】以上の次第で、この発明の第1のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、試験体に対し、孔食を早期に発生させる孔食発生促進過程を実施した後、続いて孔食の成長を促進する孔食成長促進過程を実施することにより、該試験体の耐食性を試験する方法であって、前記孔食発生促進過程は、試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の33〜67%となるように設定し、3.4〜8サイクル/日の頻度で1〜10日間行うものであり、前記孔食成長促進過程は、前記試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に6〜45時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の50〜95%となるように設定し、0.5〜2サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うものであるから、アルミニウム材料に短期間で孔食を起こさせかつ進行させることができ、孔食を生じる状況で使用されるアルミニウム材料やアルミニウム製品の耐食性について、実機の耐久性と相関性の高い試験結果が得られる。そのため、試験結果に基づき、市場における製品の耐久性を的確に予測することができるとともに、用途に応じた耐食性材料や製品の開発も的確に行うことができる。孔食を起こすようなアルミニウム材料ないし製品として、自動車用熱交換器、特にコンデンサ、海洋雰囲気や融雪剤散布地区等の塩害地域で使用される各種アルミニウム製品を例示でき、これらの耐久性の評価と品質保証を的確に行え、また耐久性の改善にも寄与する。【0055】また、第2のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の33〜67%となるように設定し、3.4〜8サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うものであり、第1の耐食性試験方法よりも腐食の進行速度が若干低下するものの、アルミニウム材料に短期間で孔食を発生させかつ進行させることができ、短期間で耐食性を評価することができる。そのため、試験期間に若干の時間を要することを除き、第1の耐食性試験方法と同様の効果が得られる。【0056】また、第3のアルミニウム材料の耐食性試験方法は、試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に6〜45時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の50〜95%となるように設定し、0.5〜2サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うものであるから、第1の耐食性試験方法よりも腐食の進行速度が若干低下するものの、アルミニウム材料に短期間で孔食を発生させかつ進行させることができ、短期間で耐食性を評価することができる。そのため、試験期間に若干の時間を要することを除き、第1の耐食性試験方法と同様の効果が得られる。【0057】また、第2および第3の耐食性試験方法は、単一サイクルの反復であるから、サイクル管理が簡単である。 試験体に対し、孔食を早期に発生させる孔食発生促進過程を実施した後、続いて孔食の成長を促進する孔食成長促進過程を実施することにより、該試験体の耐食性を試験する方法であって、前記孔食発生促進過程は、試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の33〜67%となるように設定し、3.4〜8サイクル/日の頻度で1〜10日間行うものであり、前記孔食成長促進過程は、前記試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に6〜45時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の50〜95%となるように設定し、0.5〜2サイクル/日の頻度で1サイクル以上行う、ことを特徴とするアルミニウム材料の耐食性試験方法。 試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に1〜5時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の33〜67%となるように設定し、3.4〜8サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うことを特徴とするアルミニウム材料の耐食性試験方法。 試験体に、35〜60℃でpH6〜8に調整された2〜6%NaCl水溶液を0.5〜2時間噴霧する塩水噴霧ステップ、次いで前記試験体を50〜70℃で湿度40%RH以下の乾燥環境中に1〜3時間保持する乾燥ステップ、さらに前記試験体を40〜60℃で湿度80〜100%RHの湿潤環境中に6〜45時間保持する湿潤ステップを1サイクルとするとともに、前記湿潤ステップ時間が1サイクル中の50〜95%となるように設定し、0.5〜2サイクル/日の頻度で1サイクル以上行うことを特徴とするアルミニウム材料の耐食性試験方法。